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JP3646400B2 - カラーフィルター用樹脂溶液組成物、カラーフィルターおよび液晶表示装置 - Google Patents

カラーフィルター用樹脂溶液組成物、カラーフィルターおよび液晶表示装置 Download PDF

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JP3646400B2 JP9133796A JP9133796A JP3646400B2 JP 3646400 B2 JP3646400 B2 JP 3646400B2 JP 9133796 A JP9133796 A JP 9133796A JP 9133796 A JP9133796 A JP 9133796A JP 3646400 B2 JP3646400 B2 JP 3646400B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラーフィルター用樹脂溶液組成物、該組成物から形成される透明層を有するカラーフィルターおよび該カラーフィルターを有する液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の液晶表示装置に用いられる配向膜は、通常ポリイミドが広く使用され、芳香族、脂肪族ないし脂環族のテトラカルボン酸無水物とジアミン成分を極性溶剤中で反応せしめて得られるポリアミック酸ないしポリイミド溶液をITOなどの液晶表示装置を構成する基板の最上層にフレキソ印刷もしくはスピンコートにて500〜1000オングストロームの薄膜を形成、加熱硬化する手法で得られていた。液晶配向膜形成用ポリイミドおよび/あるいはその前駆体成分に要求される特性としてコーテイング液としての溶液特性と有機薄膜材料としてのフィルム物性があり、ポリイミドおよび/あるいはその前駆体成分溶液は塗布性と耐ラビング性が必ずしも十分でない場合が多く、特に近年、透明基板に対して平行な向きの電界(横電界)により駆動されるカラー液晶表示装置に用いられる液晶配向膜形成用途に適した平坦化膜を兼ね備えた厚物の配向膜形成用途には塗布性が満足できるものでは無かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、塗布性と平坦化性および耐ラビング性に優れた配向膜の機能を兼ね備えた透明層を与えるカラーフィルター用樹脂溶液組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題はポリイミドおよび/あるいはその前駆体成分、アクリル樹脂成分および溶剤成分を含有してなるカラーフィルタの透明層用樹脂溶液組成物によって達成される。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明において使用されるポリイミドおよび/あるいはその前駆体成分としては公知のポリイミドおよび/あるいはその前駆体であるポリアミック酸を広く使用することができ、下記の一般式(1)で表される構造単位を主成分とするポリアミック酸および/あるいはこのアミック酸をイミド閉環せしめたポリイミドを使用することができる。
【0006】
【化1】
Figure 0003646400
ここで一般式(1)のnは1〜2である。R1 は少なくとも2個の炭素原子を有する3価または4価の有機基である。R1 は環状炭化水素、芳香族環または芳香族複素環を含有することが好ましく、かつ炭素数6から30の3価または4価の基が好ましい。R1 の例として、フェニル残基、ビフェニル残基、ターフェニル残基、ナフタレン残基、ペリレン残基、ジフェニルエーテル残基、ジフェニルスルフォン残基、ジフェニルプロパン残基、ベンゾフェノン残基、ビフェニルトリフルオロプロパン残基、シクロブチル残基、シクロペンチル残基などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0007】
またR2 は少なくとも2個の炭素原子を有する2価の有機基である。耐熱性の面から、R2 は環状炭化水素、芳香族環または芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6から30の2価の基が好ましい。R2 の例として、フェニル残基、ビフェニル残基、ターフェニル残基、ナフタレン残基、ペリレン残基、ジフェニルエーテル残基、ジフェニルスルフォン残基、ジフェニルプロパン残基、ベンゾフェノン残基、ビフェニルトリフルオロプロパン残基、ジフェニルメタン残基、シクロヘキシルメタン残基などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。一般式 (1)で表わされる構造単位を主成分とするポリマはR1 、R2 がこれらの内各々1個から構成されていても良いし、各々2種以上から構成される共重合体であっても良い。接着力を向上させるため耐熱性を低下させない範囲でジアミン成分として、シロキサン構造を有するビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどを共重合させても良い。またアミン末端の封止剤として無水マレイン酸などの無水物をポリアミック酸の重合終了後に末端濃度に応じて加え、反応させても良い。ポリアミック酸を閉環して得られるポリイミド膜の力学的特性は、分子量が大きいほど良好である。このため、ポリアミック酸の分子量も大きい事が望まれる。これらのポリアミック酸において、特に酸無水物成分の少なくとも1部として3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸とジアミン成分を反応せしめて得られるポリアミック酸が好ましく使用される。また本発明においてはあらかじめ閉環されたポリイミド樹脂溶液組成物が使用されても良く、このような樹脂溶液組成物成分としては例えば2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸無水物のような脂環族テトラカルボン酸無水物とジアミン成分を反応せしめて得られる溶媒可溶型のポリイミド成分が好ましく使用できる。
【0008】
その他、本発明のポリイミドおよび/あるいはその前駆体成分として Jpn.J. Appl.Phys.Lett.,50,18(1987) 、Mol.Cryst.Liq.Cryst.,163,157(1988)、Japan Display,1992 Digest,819(1992) 、電子材料、30(11),38(1991)に記載されるようなポリマ成分を好ましく使用できる。
【0009】
また本発明においては、ポリイミドおよび/あるいはその前駆体成分としてポリイミドシロキサン前駆体成分も使用することができ、このポリイミドシロキサン前駆体成分は単独で使用しても良いが、好ましくは上記のポリイミドおよび/あるいはその前駆体成分と併用して使用される。
【0010】
本発明において使用されるポリイミドシロキサン前駆体成分は特に限定されるものでは無いが下記のごとくに調製されるものが好ましく使用される。
【0011】
(A)アミノアルキル多価アルコキシシランあるいはアミノアリール多価アルコキシシランの加水分解物、あるいはこれらの縮合物と多価カルボン酸無水物の反応体。
【0012】
(B)アミノアルキル多価アルコキシシランの加水分解物あるいはアミノアリール多価アルコキシシランの加水分解物ないしこれらの縮合物と多価カルボン酸との反応体。
【0013】
(C)アミノアルキル多価アルコキシシランあるいはアミノアリール多価アルコキシシランと多価カルボン酸無水物の反応体。
【0014】
(D)アミノアルキル多価アルコキシシランあるいはアミノアリール多価アルコキシシランの加水分解物ないしこれらの縮合物と多価カルボン酸の反応体。
【0015】
(E)アルキルトリアルコキシシラン類を加水分解あるいは加水分解・縮合せしめて得られるアルキルシルセスキオキサンオリゴマーと上記(A)〜(D)で得られた反応体の混合物。
【0016】
これらのポリイミドシロキサン前駆体成分は加熱処理によりポリイミドシロキサン膜を形成するものである。
【0017】
本発明において使用されるアクリル樹脂成分としては特に限定されるものでは無く公知のアクリル樹脂あるいはその共重合体が広く使用できるが、特にグリシジルアクリレートあるいはグリシジルメタアクリレート(以下、アクリレートとメタアクリレートの両方をまとめて(メタ)アクリレートと略称する)のごとく、グリシジル基あるいはエポキシ基を分子内に有する(メタ)アクリレート類とその共重合体が好ましく使用され、共重合体成分としては多価アルコキシシリルアルキル(メタ)アクリレート類が好ましく使用される。このようなグリシジル基あるいはエポキシ基を分子内に有する(メタ)アクリレート類は多価カルボン酸ないしその無水物と併用して使用され、硬化によりエポキシエステル結合で三次元化されたポリ(メタ)アクリレートとなるものである。
【0018】
本発明において使用される溶剤成分としてはポリアミック酸、ポリイミド溶液あるいはポリイミドシロキサン前駆体溶液調製に使用されるN−メチルピロリドン、N,N´−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の極性溶剤とアクリル樹脂、さらには多価カルボン酸ないしその無水物の溶剤であるエステル類、エーテル類とを併用して使用することができる。また、本発明の組成物においてポリイミドシロキサン前駆体を使用する場合には、多量のアルコール溶剤を使用することができる。
【0019】
従来、実用されているポリイミド系液晶配向膜形成用樹脂溶液組成物において、は通常、N−メチルピロリドン、N,N´−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の極性溶剤のみが使用され、ポリマー成分の析出を避けるために溶剤成分として20重量%以上の脂肪族エステル、エーテルおよびアルコール類を使用することが難しかった。
【0020】
本発明のカラーフィルター用樹脂溶液組成物においては溶剤成分の30重量%以上、さらには50重量%以上の脂肪族エステル、エーテルおよびアルコール類から選ばれた溶剤成分を使用することができ、このような溶剤組成は例えば塗布ラインの耐溶剤性レベルを緩和することができるという特徴を有している。これらの脂肪族エステル、エーテルおよびアルコール類から選ばれた溶剤成分は必要に応じて、N−メチルピロリドン、N,N´−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトンあるいは1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の極性溶剤とともにアクリル樹脂あるいは硬化剤溶液溶液調製に使用され、別途、調製されたポリイミドおよび/あるいはその前駆体溶液と混合され、本発明のカラーフィルター用樹脂溶液組成物の溶剤成分を構成するものであるが、混合調製後に添加することも可能である。
【0021】
本発明において使用される脂肪族エステル、エーテルおよびアルコール類から選ばれた溶剤成分としては特に限定されるものでは無いが、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアルキルエーテルアセテート、、3−メトキシ−3−メチルブタノールアセテート、プロピレングリコールジアルキルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、3−メトキシ−3−メチルブタノールのごとき溶剤が好ましく使用される。
【0022】
さらには、塗布性を上げるために公知の界面活性剤、消泡剤等が使用されても良い。
【0023】
本発明のカラーフィルター用樹脂溶液組成物は透明基板上に任意の色数で各色別に所望のパターン状に設けられた着色膜からなる画素を有し、該画素上に透明導電層が形成されたカラーフィルター上に塗布されても良いが、画素上に透明導電層を持たないところの透明基板に対して平行な向きの電界(横電界)により駆動されるカラー液晶表示装置のカラーフィルターに好ましく適用され、このカラーフィルターでは本発明の透明層はオーバーコート膜の機能を兼ね備えている。
【0024】
本発明で言うところのオーバーコート膜とは、該着色被膜が耐熱性、耐薬品性、硬度、段差平坦性等の点で実用上問題を有する場合に、該着色被膜の保護、カラーフィルター表面の平坦化のため形成される膜であり、本発明において透明層とは上記オーバーコート膜の機能に加えて、ラビング等の配向処理により接触した液晶分子を配向させる性能を有する膜のことである。
【0025】
本発明で言うところの着色膜とは任意の色の光を透過する性能を有する膜のことであり、液晶中に表示不良の原因となる不純物を溶出しなければ、どのような材質のものであってもかまわない。
【0026】
具体的材質としては、染色、染料分散あるいは顔料分散されたポリイミド膜やアクリル膜および感光性アクリル膜、染色あるいは染料分散されたPVA(ポリビニルアルコール)、任意の光のみを透過するように膜厚制御されたSiO2 膜等がある。なかでも顔料分散されたポリイミド膜である事がより好ましい。他の材料で着色膜を形成する場合と比べて同等若しくはより簡便なプロセスで着色膜を形成できる事に加えて、耐熱性、耐光性、耐薬品性においてより優れており、本発明の液晶配向膜等の形成時においてより高温のプロセス条件に耐えうるからである。
【0027】
本発明で言うところの配向処理とは、該オーバーコート膜上に接触した液晶分子を配向させる性能を該膜に付与する処理であればどのような方法であってもよいが、より好ましくはラビング法が用いられる。比較的簡便な装置で行えるため工業的な生産性が高いうえ、高い配向性能を示すからである。
【0028】
本発明でいうところのラビング法とは、配向処理を施す膜に対して、布等を使用して一方向にこする手法のことであり、ラビング処理された膜上に接触した液晶分子はこすられた方向に配向する。膜をこするのに用いられる材料は、対象とする膜の硬度に応じて種々のものがあるが,ポリイミド膜に対しては通常、毛足が2〜3mmのレーヨンや綿布が用いられる。
【0029】
本発明で用いられるカラーフィルターはブラックマトリクスと呼ばれる、各画素間に配列された遮光領域を有することが望ましい。液晶表示装置の混色を防ぎコントラストを向上させることができるからである。
【0030】
ブラックマトリックスとしては通常Cr、Al、Niなどの金属薄膜(厚さ 約0.1〜0.2μm)や樹脂中に遮光剤を分散させてなる樹脂ブラックマトリクスが用いられる。これらのブラックマトリクスはいずれも好適に用いられるが、本発明においてはポリイミド膜中に黒色顔料などを分散させてなる樹脂ブラックマトリクスを用いることがより好ましい。低反射、耐熱性, 、耐溶剤性に優れるという特徴と、低比誘電率であるため横電界に対して擾乱作用が少ないという特徴を合わせ持つからである。
【0031】
本発明で用いられる黒色顔料には特に制限はないが、顔料の中でも耐光性、耐熱性、耐薬品性に優れた物が望ましい。代表的な顔料の具体的な例をカラーインデックス(CI)ナンバーで示す。黒色顔料の例としてはピグメントブラック7などが挙げられる。本発明ではこれらに限定されず種々の顔料を使用する事ができる。なお、顔料は必要に応じて、ロジン処理,酸性基処理,塩基性基処理などの表面処理が施されている物を使用してもよい。
【0032】
本発明のカラーフィルター用樹脂溶液組成物とその塗膜は塗布品位とラビング耐性が良好であり、透明基板に対して平行な向きの電界(横電界)により駆動されるカラー液晶表示装置のカラーフィルターに適用する場合には、液晶分子に接するカラーフィルター表面にくるオーバーコート層の機能を兼ね備えた配向膜層に直接ラビング処理を施して用いることができるため、カラーフィルター表面に別途平坦化膜を形成することなく液晶表示装置を作製するのに使用することができる。本発明のカラーフィルター用樹脂溶液組成物は特に、カラーフィルター基板側に透明電極層を有する必要のない基板に平行な向きの電界により駆動される液晶表示装置のカラーフィルター上の配向膜形成に好ましく用いられる。
【0033】
【実施例】
参考例1
グリシジルメタアクリレート70g、メチルメタアクリレート30gおよびアゾビスイソブチロニトリル1gをメチルエチルケトン300gに溶解して、60℃で3時間、さらに80℃で10時間の重合を行なった後、反応液を攪拌n−ヘプタン中へ注ぎアクリル樹脂を沈殿させ、濾取後、50℃の真空乾燥機中で10時間乾燥させ、粉末アクリル樹脂(ポリスチレン換算重量平均分子量約50000)を得た。この粉末アクリル樹脂をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解して10重量%のアクリル樹脂溶液とした。
【0034】
参考例2
グリシジルメタアクリレート75g、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン25gおよびアゾビスイソブチロニトリル1gをメチルエチルケトン300gに溶解して、60℃で3時間、さらに80℃で10時間の重合を行なった後、反応液を攪拌n−ヘプタン中へ注ぎアクリル樹脂を沈殿させ、濾取後、50℃の真空乾燥機中で10時間乾燥させ、粉末アクリル樹脂(ポリスチレン換算重量平均分子量約35000)を得た。この粉末アクリル樹脂をジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解して15重量%のアクリル樹脂溶液とした。
【0035】
参考例3
無水トリメリット酸10gをジエチレングリコールジメチルエーテル85gに溶解して15重量%の硬化剤溶液を得た。
【0036】
参考例4
3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物161.11g(0.50モル)およびピロメリット酸二無水物97.20g(0.49モル)をγブチロラクトン2677.7gとともに仕込み、これを攪拌しながら4,4´−ジアミノジフェニルエーテル150.20g(0.75モル)、3,3´−ジアミノジフェニルスルフォン49.64g(0.2モル)およびビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン12.42g(0.020モル)を添加し、60℃で2時間反応させた後、無水マレイン酸1.97g(0.020モル)を加えてさらに60℃で2時間反応させ、粘度9.2ポイズのポリアミック酸溶液を得た。
【0037】
参考例5
メチルトリメトキシシラン13.6g(0.1モル)とフェニルトリメトキシシラン19.8g(0.1モル)およびγアミノプロピルメチルジエトキシシラン96.0g(0.5モル)を3−メチル−3−メトキシブタノ−ル428.0gおよびγブチロラクトン333.3gの混合液に加えて、30℃攪拌下に蒸留水28.8g(1.8モル)を添加した。この溶液を60℃で2時間攪拌した後、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物80.6g(0.25モル)を加えて、そのまま2時間攪拌を続けアミック酸含有のシロキサン溶液を得た。本溶液の粘度をE型粘度計で測定すると22.5センチポイズ(25℃)であった。
【0038】
参考例6
参考例1で得られた溶液15gと参考例3で得られた溶液3gをγブチロラクトン15gに溶解させ、これに参考例4で得られた溶液3gを攪拌下に添加し、本発明のカラーフィルター用樹脂溶液組成物を得た。
【0039】
参考例7
参考例2で得られた溶液10gと参考例3で得られた溶液3gをγブチロラクトン10gに溶解させ、これに参考例4で得られた溶液3gを攪拌下に添加し、本発明のカラーフィルター用樹脂溶液組成物を得た。
【0040】
参考例8
参考例2で得られた溶液10gと参考例3で得られた溶液3gをγブチロラクトン10gに溶解させ、これに参考例5で得られた溶液5gを攪拌下に添加し、本発明のカラーフィルター用樹脂溶液組成物を得た。
【0041】
参考例9
参考例1で得られた溶液10gと参考例3で得られた溶液3gをN−メチル−2−ピロリドン15gに溶解させ、これに2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸無水物と4,4´−ジアミノジフェニルエーテルの当モルを縮合閉環反応せしめて得たポリイミドの5重量%溶液1gを溶解せしめて本発明のカラーフィルター用樹脂溶液組成物を得た。
【0042】
実施例1
参考例6で得られた溶液10gを3−メチル−3−メトキシブタノ−ルアセテート5gおよびγブチロラクトン15gの混合液で稀釈した後、ITOからなる透明導電層を有するガラス基板上にスピンコートし260℃で1時間熱処理し、0.2μm厚みの塗膜を形成した。この膜をナイロン製フェルトを巻き付けたロールを有するラビング装置により、ロール回転数800rpm、ステージ移動速度50mm/秒で5回ラビング処理を行なった。ラビングによる塗膜の損傷はまったく認められ無かった。このようにして得られた配向膜を有する基板一対をラビング方向が逆平行になるように対向させて配置し、1mmのスペーサー膜を使用して、基板側面にエポキシシール剤(三井東圧化学(株)製“ストラクトボンド”ES−4500)を塗布し、120℃で30分間硬化させて封止した。この素子の内部に液晶(メルク製ZLI−2293)を真空下で注入し、注入口をエポキシシール剤でふさぎ、120℃で30分間加熱して封止樹脂の硬化および液晶のアイソトロピック処理を行なった。このようにして作製された試験用液晶セルを偏光顕微鏡のクロスニコル間で回転し観察したところ、明瞭な明暗が見られ、液晶はラビング方向に配向していることが認められた。またこの液晶セルについて磁場容量法によりプレチルト角を測定したところ2°であった。
【0043】
比較例1
実施例1において参考例6で得られた硬化性組成物の溶液の代わりに、参考例1で得られた溶液15gと参考例3で得られた溶液3gの混合液を使用して同様に試験用液晶セルを作製した。これを偏光顕微鏡のクロスニコル間で回転し観察したところ、明暗が見られたが不明瞭であり、液晶のラビング方向への配向が不十分であった。
【0044】
実施例2
無アルカリガラス基板上に形成された着色被膜上に、参考例6で得られた硬化性組成物の溶液をスピンコートし250℃で2時間熱処理し、1μmの塗膜を形成した。形成塗膜の表面粗度を表面粗さ計で測定したところ0.006μmであった。
【0045】
別途無アルカリガラス基板上に、1000オングストロームの配向膜(日本合成ゴム製 オプトマーAL1051)をスピンコートにて形成した。
【0046】
上記1μmの塗膜並びに配向膜をラビングマシンにてラビング処理した。ラビング処理された配向膜上に,スクリーン印刷機を用いて熱硬化性エポキシ樹脂をガラス基板の縁に沿って、液晶注入口部分を除いて線状に印刷し、ラビング処理された1μm塗膜を形成したガラス基板と、配向膜とが向かい合い、かつラビング処理方向が互いに直交するようにように張り合わせ、120℃で15分間、150℃で1時間加熱処理してエポキシ樹脂を硬化させた。貼り合わせたガラスセル中に、液晶注入口を通じてツイストネマチック型の液晶(メルク社製 ZLI4792)を注入した後、注入口に紫外線硬化性樹脂を塗布し、紫外線を照射、硬化させて注入口を封じた。
【0047】
このようにして得られたガラスセルを偏光顕微鏡にて観察したところ、液晶部分がパラレルニコル下で消光し、クロスニコル下で光を透過した。これによりラビング処理した1μm塗膜が配向膜として働く事を確認した。
【0048】
実施例3〜5
実施例2において参考例6で得られた硬化性組成物の溶液の代わりに参考例7〜9で得られた硬化性組成物を使用して、同様の結果を得ることができた。
【0049】
実施例6
ポリアミック酸中に黒色顔料を分散してなる黒色ペーストを無アルカリガラス上にスピンコートし、50℃で10分間、90℃で10分間、110℃で20分間オーブンを用いて空気中で加熱乾燥して、膜厚1.6μmのポリイミド前駆体着色膜を得た。この膜上にポジ型フォトレジスト(東京応化社製OFPR−800)を塗布し80℃で20分加熱乾燥して膜厚1μmのレジスト膜を得た。キャノン社製紫外線露光機PLA−501Fを用い、クロム製のフォトマスクを介して、波長365nmでの強度が50mJ/cm2 の紫外線を照射した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.38wt%の水溶液からなる現像液に浸漬し、フォトレジストおよびポリイミド前駆体の現像を同時に行った。エッチング後、不要となったフォトレジスト層をメチルセロソルブアセテートで剥離した。さらにこのようにして得られたポリイミド前駆体着色被膜を窒素雰囲気中で300℃で30分間熱処理し、膜厚1.2μmのポリイミド着色被膜によりブラックマトリクスパターンを得た。
【0050】
さらにポリアミック酸中に顔料分散してなる青、赤、緑の各色のカラーペーストについて、順次同様のプロセスによりパターン化されたポリイミド着色被膜を作製した。該着色被膜上に、参考例9で得られた溶液をスピンコートし200℃で1時間熱処理し1.5μm厚みの塗膜を形成しカラーフィルターを得た。
【0051】
1.5μm厚みの塗膜の表面粗度を表面粗さ計で測定したところ0.05μmであった。こうして得られたカラーフィルターの塗膜を直接ラビング処理機にてラビング処理した。
【0052】
ついで薄膜トランジスタ素子を備えた対向基板を次の手順で作製した。
【0053】
まず、無アルカリガラス上にクロムを用いてフォトエッチングの手法によりゲート電極とコモン電極をパターニングした後、これらの電極を覆うように窒化シリコン(SiN)膜からなる絶縁膜を形成した。ゲート絶縁膜上に非晶質シリコン(a―Si)膜を形成し、この膜状にアルミニウムを用いて、ソース電極とドレイン電極を形成した。その際、コモン電極とドレイン電極の間に基板に平行な向きに電界がかかるよう電極をパターニングした。これらの電極上にSiN膜で保護膜を形成した。最後にポリイミド系の配向膜を最上層に設け、ラビング処理して薄膜トランジスタを備えた電極付き対向基板を得た。
【0054】
電極付き対向基板とカラーフィルターとを貼り合わせ、液晶表示装置を作製し問題なく動作することを確認した。
【0055】
比較例2
実施例6において参考例9で得られた硬化性組成物の溶液の代わりに、参考例4で得られた溶液を使用して、同様のプロセスによりパターン化されたポリイミド着色被膜上に、1.5μm厚みの塗膜を形成しカラーフィルターを得た。この1.5μm厚みの塗膜の表面粗度を表面粗さ計で測定したところ0.34μmであった。さらに同様プロセスで液晶表示装置を作製したが、表示ムラの多い表示となった。
【0057】
【発明の効果】
本発明の、配向膜形成用樹脂溶液組成物溶液は良好な塗布性を示し、かつ本組成物溶液から得られる配向膜は優れた耐ラビング性を有している。本配向膜は基板に平行な向きの電界にて駆動される液晶表示装置に好ましく使用され、配向膜塗布の工程を省略でき、かつ平坦性のよいカラーフィルターを得ることができる。

Claims (8)

  1. ポリイミドおよび/あるいはその前駆体成分、アクリル樹脂成分、および溶剤成分を含有してなるカラーフィルターの透明層用樹脂溶液組成物。
  2. ポリイミドおよび/あるいはその前駆体成分が脂環族テトラカルボン酸無水物とジアミン成分を反応せしめて得られるポリマー成分、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物とジアミン成分を反応せしめて得られるポリマー成分、またはポリイミドシロキサン前駆体成分のいずれかであることを特徴とする請求項1記載のカラーフィルターの透明層用樹脂溶液組成物。
  3. 透明基板上に着色膜が形成されてなるカラーフィルターにおいて、該着色膜上に透明導電層を介して請求項1記載のカラーフィルターの透明層用樹脂溶液組成物から形成される透明層を有することを特徴とするカラーフィルター。
  4. ポリイミドおよび/あるいはその前駆体成分、アクリル樹脂成分、および溶剤成分を含有してなるカラーフィルターの配向膜用樹脂溶液組成物。
  5. ポリイミドおよび/あるいはその前駆体成分が、脂環族テトラカルボン酸無水物とジアミン成分を反応せしめて得られるポリマー成分、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物とジアミン成分を反応せしめて得られるポリマー成分、またはポリイミドシロキサン前駆体成分のいずれかであることを特徴とする請求項記載のカラーフィルターの配向膜用樹脂溶液組成物。
  6. 透明基板上に着色膜が形成されてなるカラーフィルターにおいて、該着色膜上に請求項記載のカラーフィルターの配向膜用樹脂溶液組成物から形成される液晶配向膜を有することを特徴とするカラーフィルター。
  7. ポリイミドおよび/あるいはその前駆体成分、アクリル樹脂成分、および溶剤成分を含有してなるカラーフィルター用樹脂溶液組成物から形成される透明層を持つカラーフィルターを有することを特徴とする液晶表示装置。
  8. 請求項7記載の液晶表示装置において、基板に平行な向きに電界をかける構成を持つ電極が薄膜トランジスタにより駆動されることを特徴とする液晶表示装置。
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