JP3529925B2 - 交流用酸化物超電導ケーブル導体 - Google Patents
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Description
電導線材を集合してなる交流用酸化物超電導ケーブル導
体に関するものであり、特に、低交流損失で、かつ大電
流送電可能な交流用酸化物超電導ケーブル導体に関する
ものである。
窒素温度で比較的高い臨界電流密度を持つため、液体窒
素冷却で、大容量、低損失、かつコンパクト送電の可能
性が期待できる。
あることが特徴であるが、交流応用の際には、変動磁場
が原因となって損失を生じる。交流損失低減の対策は、
金属系の超電導線材においては従来より研究され、マト
リックスの高抵抗化、ツイスト、たとえば特公昭63−
21283号に開示されたように転位などが有効である
ことがわかっている。
流では表皮効果による損失の増大を防ぐため、線材に撚
りが施されている。
酸化物超電導線材は、高い臨界電流密度Jcを得るため
に、従来よりテープ状の形状が採用されている。また、
このようなテープ状線材を集合してなるケーブル導体の
構造としては、円筒形のフォーマー上に、テープ状線材
を螺旋状に巻付き、さらにそれを多層化した構造が提案
されている。
のインピーダンスの差による偏流が生じ、外側の層から
電流が流れ始めることにより、局所的な電流の配分によ
り、一部の素線に臨界電流Ic以上の電流が流れたり、
発生する自己磁界が複雑な向きに生じることによって、
交流損失が非常に大きくなることが問題になっていた。
撚りを施すことも考えられる。しかしながら、銀被覆B
i系2223酸化物超電導線材は、テープ状であること
と曲げ歪みに弱いことから、従来の金属系超電導線等の
ように、単純に撚合せることは困難であった。
多層導体の層間の転位によって層間の偏流を防ぎ、交流
損失が低減する導体構造を有する交流用酸化物超電導ケ
ーブル導体を提供することにある。
流用酸化物超電導ケーブル導体は、円筒形のフォーマー
上に、集合線材を巻付けてなる交流用酸化物超電導ケー
ブル導体であって、集合線材は、少なくとも第1、第2
および第3のテープ状酸化物超電導線材層からなり、各
々がこの順序に表面に現れるように転位されて積層され
ていることを特徴としている。
に巻付けられる集合線材は、第1、第2および第3の層
のすべてが表面に現れるように転位されて積層されてい
るため、集合線材を構成する各素線のインピーダンスが
等しくなり、各素線がすべて磁気的に等価な位置を占め
るようになる。
てなるケーブル導体に交流電流を通電すると、導体の内
側の層と外側の層に均等に電流が流れるようになる。そ
のため、特定の素線に臨界電流Ic以上の電流が流れた
り、不均一な自己磁界が生じることがなくなり、交流損
失を低減することができる。
ケーブル導体は、請求項1の発明において、集合線材
は、第1、第2および第3のテープ状酸化物超電導線材
層をこの順序に積層した後、表面に現れた第1の線材層
を、第3の線材層の下になるように曲げを加えて転位さ
せて第2の線材層が表面に現れるようにし、さらに次に
表面に現れた第2の線材層を、第1の線材層の下になる
ように曲げを加えて転位させて第3の線材層が表面に現
れるようにし、さらに、次に表面に現れた第3の線材層
を、第2の線材層の下になるように曲げを加えて転位さ
せて再び第1の線材層が表面に現れるようにすることを
繰返すことにより、第1、第2および第3の各線材層が
この順序に表面に現れるように転位されて積層されてい
る。
以上の長さの範囲で最低1回転位させるためには、テー
プ状線材を複数本積層した後、幅方向に線材幅分程度位
置をずらして、上下の線材の位置を入れ替えればよい。
幅に対して十分長さが取れれば、幅方向の曲げを小さく
することができるため、曲げ歪みによる劣化も防ぐこと
ができる。
材の幅は素線2本分になる。請求項3の発明による交流
用酸化物超電導ケーブル導体は、請求項2の発明におい
て、曲げは、集合線材の長手方向を軸として同一方向に
加えられることを特徴としている。
ケーブル導体は、請求項2の発明において、曲げは、集
合線材の長手方向を軸として交互に異なる方向に加えら
れることを特徴としている。
ケーブル導体は、請求項1から4のいずれかの発明にお
いて、集合線材は、円筒形のフォーマー上に、1層また
は2層に巻付けられてなる。
て、本発明による転位の効果を得るためには、円筒形の
フォーマー上に巻付けられる集合線材は、1層または2
層であることが好ましい。
ケーブル導体は、請求項1〜5のいずれかの発明におい
て、円筒形のフォーマーは、Al、Cu、ステンレス鋼
およびFRP(繊維強化プラスチック)からなる群から
選ばれるいずれかの材料からなることを特徴としてい
る。円筒形フォーマーをAl、Cu、ステンレス鋼とす
ることで、フレキシブルな導体とすることができ、FR
Pとすることで、高強度低損失導体とすることができ
る。
ケーブル導体は、請求項1〜6のいずれかの発明におい
て、酸化物超電導線材は、Bi系酸化物超電導線材であ
ることを特徴としている。Bi系酸化物超電導線材であ
ることで、液体窒素温度で使用可能な、コンパクトかつ
大容量、しかもより低損失なケーブル導体とすることが
できる。
3 およびCuOを、Bi:Pb:Sr:Ca:Cu=
1.81:0.30:1.92:2.01:3.03の
比になるように混合し、熱処理、粉砕を繰返して、前駆
体粉末を作製した。次に、この前駆体粉末を、外径12
mmφ、内径10mmφの銀パイプに充填した。その
後、これを1mmφまで伸線加工したものを61本、外
径12mmφ、内径10mmφの銀パイプに嵌合した。
さらに、これを1φまで伸線加工したものを0.25m
mまで圧延し、その後850℃で50時間の熱処理を行
なった。さらに、この線材をもう一度圧延、熱処理をし
て、幅約3mmのテープ状酸化物超電導線材(以下、
「素線」という)を得た。
断したものを3本用いて、集合線材を作製した。以下、
図面を参照して説明する。
例の構造を示す斜視図である。図1を参照して、まず、
第1の素線1、第2の素線2および第3の素線3を揃え
て積層した後、一方の端末Pを約10cmの範囲ではん
だ付けした。
合線材10の長手方向を軸として矢印Qの方向へ曲げを
加えることにより、最下層の第3の素線3の下になるよ
うに転位させた。このようにして、第2の素線2が表面
に現れた。
集合線材10の長手方向を軸として同様に矢印Qの方向
へ曲げを加えることにより、最下層の第1の素線1の下
になるように転位させた。このようにして、第3の素線
3が表面に現れた。
集合線材10の長手方向を軸として同様に矢印Qの方向
へ曲げを加えることにより、最下層の第2の素線2の下
になるように転位させた。このようにして、第1の素線
1が、再び表面に現れた。
方の端末をはんだ付けした。図2は、図1に示す集合線
材10の平面図である。図2を参照して、この集合線材
10においては、各素線に曲げを加えて転位させている
部分の幅は、各素線の幅の2本分になっていることがわ
かる。
図である。図3(a)は、図2中のIII−III線矢
視断面図を示す。また、図3(b)は図3(a)中のA
−A′線矢視断面図およびG−G′線矢視断面図を、図
3(c)は図3(a)中のC−C′線矢視断面図を、図
3(d)は図3(a)中のE−E′線矢視断面図を、図
3(e)は図3(a)中のB−B′線矢視断面図を、図
3(f)は図3(a)中のD−D′線矢視断面図を、図
3(g)は図3(a)中のF−F′線矢視断面図を、そ
れぞれ示す。
においては、第1の素線1、第2の素線2および第3の
素線3のすべてが、この順序に表面に現れるように転位
されて積層されていることがわかる。
0を17本用いて、ケーブル導体を作製した。以下、図
面を参照して説明する。
ケーブル導体の一例の構造を示す斜視図である。
円筒形のFRPパイプ5の上に、前述のようにして得ら
れた集合線材10を8本用いて、ピッチ750mで反時
計回りのS撚りでスパイラル状に巻付けた。次に、この
上にさらに、集合線材10を9本用いて、ピッチ750
mmで時計回りのz撚りでスパイラル状に巻付けた。こ
のようにして、2層構造の交流用酸化物超電導ケーブル
導体(実施例1)を作製した。
定用に、電圧端子を端子間距離500mmで取付けた。
同様の素線63本を用いて、実施例1の導体と導体外径
および臨界電流Icがほぼ等しくなるような導体を、従
来の方法により作製した。
コルゲートからなる円筒形のパイプの上に、実施例1で
用いたのと同様の素線を15本用いて、ピッチ750m
で反時計回りのS撚りでスパイラル状に巻付けた。次
に、この上にさらに、同じ素線を15本用いて、ピッチ
750mmで時計回りのz撚りでスパイラル状に巻付け
た。さらに、この上に、同じ素線を16本用いて、ピッ
チ750mmでS撚りでスパイラル状に巻付けた。さら
に、この上に、同じ素線を17本用いて、ピッチ750
mmでz撚りでスパイラル状に巻付けた。
体(比較例)が得られた。なお、実施例1と比較例の両
導体の諸元を表1に示す。
て、交流4端子法で交流損失を測定した。その結果を図
5に示す。図5において、横軸はピークの通電電流(A
peak)を示し、縦軸は交流損失(W/m)を示してい
る。また、本発明例の実施例1の導体についての測定結
果を●で、比較例の導体についての測定結果を○で、そ
れぞれプロットしている。
界電流Icはほぼ等しいにもかかわらず、実施例1の導
体の交流損失は、比較例の導体と比較して、500A通
電時で40%、700A通電時で30%、それぞれ低い
値となっていた。
材の他の例の構造を示す斜視図である。
線を転位させるための曲げが、集合線材の長手方向を軸
として交互に異なる方向に加えられている。なお、他の
構造については図1に示す集合線材10と全く同様であ
るので、その説明は省略する。
である。また、図8は、図6に示す集合線材10の断面
図である。図8(a)は、図7中のVIII−VIII
線矢視断面図を示す。また、図8(b)は図8(a)中
のA−A′線矢視断面図およびG−G′線矢視断面図
を、図8(c)は図8(a)中のC−C′線矢視断面図
を、図8(d)は図8(a)中のE−E′線矢視断面図
を、図8(e)は図8(a)中のB−B′線矢視断面図
を、図8(f)は図8(a)中のD−D′線矢視断面図
を、図8(g)は図8(a)中のF−F′線矢視断面図
を、それぞれ示す。
て実施例1と同様にケーブル導体を作製した場合にも、
上述した同様の効果が得られた。
ば、交流損失の低減された交流用酸化物超電導ケーブル
導体が得られる。
す斜視図である。
の一例の構造を示す斜視図である。
である。
示す斜視図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 円筒形のフォーマー上に、集合線材を巻
付けてなる交流用酸化物超電導ケーブル導体であって、 前記集合線材は、 少なくとも第1、第2および第3のテープ状酸化物超電
導線材層からなり、各々がこの順序に表面に現れるよう
に転位されて積層されていることを特徴とする、交流用
酸化物超電導ケーブル導体。 - 【請求項2】 前記集合線材は、 第1、第2および第3のテープ状酸化物超電導線材層を
この順序に積層した後、表面に現れた第1の線材層を、
第3の線材層の下になるように曲げを加えて転位させて
第2の線材層が表面に現れるようにし、さらに次に表面
に現れた第2の線材層を、第1の線材層の下になるよう
に曲げを加えて転位させて第3の線材層が表面に現れる
ようにし、さらに、次に表面に現れた第3の線材層を、
第2の線材層の下になるように曲げを加えて転位させて
再び第1の線材層が表面に現れるようにすることを繰返
すことにより、前記第1、第2および第3の各線材層が
この順序に表面に現れるように転位されて積層される、
請求項1記載の交流用酸化物超電導ケーブル導体。 - 【請求項3】 前記曲げは、前記集合線材の長手方向を
軸として同一方向に加えられることを特徴とする、請求
項2記載の交流用酸化物超電導ケーブル導体。 - 【請求項4】 前記曲げは、前記集合線材の長手方向を
軸として交互に異なる方向に加えられることを特徴とす
る、請求項2記載の交流用酸化物超電導ケーブル導体。 - 【請求項5】 前記集合線材は、前記円筒形のフォーマ
ー上に、1層または2層に巻付けられてなる、請求項1
〜4のいずれかに記載の交流用酸化物超電導ケーブル導
体。 - 【請求項6】 前記円筒形のフォーマーは、Al、C
u、ステンレス鋼およびFRPからなる群から選ばれる
いずれかの材料からなることを特徴とする、請求項1〜
5のいずれかに記載の交流用酸化物超電導ケーブル導
体。 - 【請求項7】 前記酸化物超電導線材は、Bi系酸化物
超電導線材であることを特徴とする、請求項1〜6のい
ずれかに記載の交流用酸化物超電導ケーブル導体。
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1995
- 1995-12-28 JP JP34300095A patent/JP3529925B2/ja not_active Expired - Fee Related
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