JP3529173B2 - 新規な寒天分解酵素及びそれを用いるネオアガロビオースの製造法 - Google Patents
新規な寒天分解酵素及びそれを用いるネオアガロビオースの製造法Info
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- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
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- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
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- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
Description
よび当該酵素を利用したネオアガロビオースの製造法並
びに当該寒天分解酵素を保有する微生物に関する。 よ
り詳細には、アルテロモナス属に属する新規微生物、そ
の微生物の産生する寒天分解酵素およびこれをアルカリ
性条件で寒天溶液に作用させるネオアガロビオースの製
造法に関する。
糖から構成される多糖)は多く知られている。 このう
ち、海藻由来のものとしては寒天、カラゲナン、アルギ
ン酸などが知られており、増粘剤やゲル化剤として特に
化粧品や食品の素材として広く利用されている。
も進められている。 例えば、フラクトオリゴ糖やガラ
クトオリゴ糖にはビフィズス菌の選択的増殖因子として
の機能や、カップリングシュガーやパラチノースのよう
な難う蝕性機能(虫歯の原因になりにくい)が認められ
ている。
り、これらは、ヘテロ2糖であるスクロース(ショ糖)
やラクトース(乳糖)に酵素を作用させ、その転移反応
により製造されていた。
としては、天然に多く存在するヘテロ多糖を加水分解す
る方法も知られている。 この方法の例としては、寒天
に寒天分解酵素を作用させて、寒天オリゴ糖を生産する
方法が挙げられ、6糖、4糖、2糖を主成分とするオリ
ゴ糖混合物が調製されている。 そして、このようにし
て得られた寒天オリゴ糖(混合物)には、デンプン老化
防止作用、非消化、静菌作用などの機能が認められてい
る。
るネオアガロビオースを含めて単一の寒天オリゴ糖のみ
を選択的に調製することは困難であった。 すなわち、
寒天に酸やアルカリを作用させて化学的に加水分解を行
った場合には、単糖を含めて複数の糖の混合物が調製さ
れ、単一のオリゴ糖を取得することは不可能であった。
場合にも、上述したような6糖、4糖、2糖を主成分と
するオリゴ糖混合物が調製されてしまい、選択的に単一
のオリゴ糖を生産させることは不可能であった。
めには、更に単離・精製の工程が必要とされており、煩
雑なものとならざるを得なかった。 換言すれば、単一
の寒天オリゴ糖を大量生産するための技術は、確立され
ていなかった。
オースは、現在は研究用試薬としてのみ販売されてお
り、他の糖類と比較した場合、かなり高価である。 し
かし、このネオアガロビオースについて、安全性が高
く、コストが低く、しかも選択的にネオアガロビオース
を生産する技術が実現すれば、当該物質の新規な用途開
発も期待される状況にある。
ら、簡便かつ選択的に寒天オリゴ糖、特にネオアガロビ
オースを生産するための技術の開発が望まれており、当
該目的に利用できる寒天分解酵素およびこれを利用した
選択的なネオアガロビオースの製造法の確立が求められ
ていた。
決のためにまず、寒天を分解する能力を有する微生物を
検索し、これを分離した。 そして更に、それら微生物
の保有する酵素を分離し、それらの作用を検索した結
果、特定の微生物が産生する寒天分解酵素は、寒天を分
解し、選択的にヘテロ2糖であるネオアガロビオースと
することを見出し、本発明を完成した。
選択的にネオアガロビオースを産生する寒天分解酵素お
よび当該酵素を利用するネオアガロビオースの製造法並
びに当該寒天分解酵素を保有する微生物を提供するもの
である。
は、例えば次のようにして得ることができる。 まず、
微生物群中から寒天を分解する能力を有する微生物を選
択し、次いでこの微生物を寒天を含むアルカリ性培地中
で培養することにより寒天分解酵素を生産させ、分離す
る。 更に、得られた寒天分解酵素を寒天を含む溶液と
接触させることにより、ネオアガロビオースを選択的に
生産する寒天分解酵素を保有する微生物を選抜すること
ができる。
は神奈川県の土壌からアルテロモナス・エスピー(Alte
romonas sp.) E−1を分離、取得しているが、この微
生物は、次のような菌学的性質を有している。
アル・オブ・システマティック・バクテリオロジー(Be
rgey's Manual of Systematic Bacteriology)に基づき
検索した結果、まず、アルテロモナス(Alteromonas)
属またはデライア(Deleya)属に属する微生物と判断さ
れた。 更に、いずれかの属に属するものかについて検
討したが、アルテロモナス属に属する微生物であるとさ
れる可能性が強いが、デライア属に属するものである可
能性も捨てきれない。
属に属するものとした上で、平成6年11月25日付で
工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM. P−1
4664号として寄託した。
−1から本発明の寒天分解酵素を得るには、例えばこれ
を常法にしたがって培養し、次いで培養液中から当該酵
素を回収すれば良い。 また、本発明の寒天分解酵素の
調製には、上記菌株に限られず、上記菌株の変種、変異
株の他、アガロースを選択的にアガロビオースに分解で
きる菌株であれば何れも使用することができる。
法としては、当該寒天分解酵素が誘導酵素であるため、
寒天、アガロース、アガロヘキサオース、アガロトリオ
ースなどを炭素源として単独あるいは併用して使用する
ことが可能である。 尚、グルコースなどの他の炭素源
を併用することも可能である。
ア塩、硝酸塩、尿素などの無機窒素源や、カザミノ酸、
酵母エキス、牛肉エキス、ペプトン、大豆粉、コーンス
ティープリカー、各種アミノ酸などの有機窒素化合物
を、使用微生物の資化性と生育を考慮して、1種又は2
種以上を適宜選択して使用することができる。
ム、カルシウム、鉄、カリウムのリン酸塩、塩酸塩、硫
酸塩、炭酸塩、酢酸塩などの1種又は2種以上を適宜添
加することができる。 更に、必要に応じて、植物油、
界面活性剤などの消泡剤を添加してもよい。
振盪培養、通気撹拌培養、連続培養など通常の培養法を
用いて実施可能である。 培養条件は培地の種類、培養
法により適宜選択すればよく、寒天分解菌が増殖して寒
天分解酵素を生産可能な条件であればよい。 通常、培
養初発pH6.0〜8.0、温度25〜37℃で通気撹拌
して培養を行えば良く、培養日数は1〜2日間程度とす
ることが多い。
は、次のような方法で分離、回収される。 まず、本発
明の寒天分解酵素は菌体に付着しているため、培養終了
後、遠心分離により菌体を回収し、緩衝溶液にて洗浄を
行う。 次いで、界面活性剤を添加して菌体より寒天分
解酵素を遊離させ、更に遠心分離により菌体を除去すれ
ば酵素の抽出液が得られる。 一方、菌体外酵素であれ
ば、培養終了後、濾過や遠心分離により菌体を除去し、
寒天分解酵素を含む培養濾液を調製できる。
操作により脱塩処理したのち、イオン交換クロマトグラ
フィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、疎水クロマトグ
ラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、電気泳
動法などの精製方法を1種又は2種以上組合せて高純度
に精製することが可能である。 また、硫安塩析、溶媒
沈澱法、凍結乾燥、限界濾過、クロマトフォーカシング
などの方法も利用される。
解酵素の活性測定法は、以下のような方法により行うこ
とができる。 まず、10mMトリス−塩酸緩衝溶液
(pH7.5) に希釈溶解した酵素溶液50μlを40
℃にて保温しておき、これに0.1%寒天溶液(高温で
溶解した後に40℃で保温したもの)0.45mlを添
加して反応を開始する。 反応は40℃で10分間行な
い、沸騰水中で5分間放置することにより反応を停止す
る。 還元糖はソモギー・ネルソン法で測定する。活性
は、1μmoleのガラクトースに相当する還元力を生
成する酵素量を1単位(U)として表示する。
うな物理的、化学的性質を有する。 (1) 作用:アガロースのβ−1,4結合を加水分解し
てアガロース溶液の粘度を低下させ、ネオアガロビオー
スを生成する。 (2) 基質特異性:アガロース、ネオアガロヘキサオ
ース、ネオアガロテトラオースに作用し、速やかにネオ
アガロビオースに分解する。 しかし、ネオアガロビオ
ースやラクトース(乳糖)には作用しない。
が存在しない条件下においては、pH6.0〜9.0の範
囲で安定である。寒天を基質としたとき最適pHは7.
5であり、pH8.0においても高い活性(最高活性の
95%)を示す。 (4) 熱安定性および最適温度:基質が存在しない条
件下においては、40℃以下では安定、50℃では約3
%の活性が残存する。 寒天を基質としたとき最適温度
は40℃である。
g2+およびZn2+により阻害される。 また、Ca2+、
Mg2+、Ag+、パラクロロマーキュリー安息香酸(P
CMB)によりやや阻害される。 K+、Na+、エチレ
ンジアミンテトラ酢酸(EDTA)によっては阻害され
ない。
酵素(特開平1−228465号)と比較すると、公知
酵素は、アガロースを加水分解しネオアガロテトラオー
スとネオアガロヘキサオースを産生するのに対し、本発
明酵素はネオアガロビオースのみを産生する点において
明らかに相違し、新規酵素と判断される。
用いて選択的にネオアガロースを調製するためには、当
該酵素をアルカリ性条件とした寒天溶液に加え、反応さ
せればよい。
緩衝溶液(pH7.5)に0.5%濃度になるように寒天
またはアガロースを加え、これに当該寒天分解酵素50
mU/ml以上の濃度になるように添加して、40℃に
て4時間以上作用させる。 この溶液を沸騰水中で5分
間放置することにより反応を停止させ、4℃に冷却す
る。 ここで、特に寒天を基質とした場合には不溶物の
沈澱などが存在するため遠心分離により残渣を除去す
る。 得られた上澄液にネオアガロビオースが含まれる
ので、これからネオアガロビオースを得ることができ
る。
アガロビオースを得ることができ、他のオリゴ糖、例え
ばネオアガロテトラオースやネオアガロヘキサオースは
それぞれネオアガロビオースの量の5%以下しか含まれ
ない。 また、ネオアガロビオースを固体として回収す
るためには、この上澄液をロータリエバポレーターなど
で濃縮したのち、常法によりシリカゲルやセファデック
スG−10(ファルマシア製)などのカラムを通して脱
塩、精製すればよい。
するが、本発明はこれら実施例になんら制約されるもの
ではない。
75g、MgSO4・7H2O 12.4g、CaCl2・
2H2O 1.45g、K2HPO4 0.075g、FeS
O4・7H2O 0.012g、カザミノ酸 1.25gおよ
び酵母エキス 1.25gを10mM トリス−塩酸緩衝
溶液(pH8.0)に溶解し、全量を1リットルとして
寒天培地を得た。 これをオートクレープで120℃、
15分間蒸気滅菌した後に、無菌条件下において20m
lずつシャーレに分注して常温で平板状に固化させて寒
天平板培地を得た。
本各地から収集した土壌試料中の微生物の培養を行って
寒天分解酵素を生産する微生物をスクリーニングした。
まず、土壌試料を滅菌蒸留水に適宜懸濁し、その0.5
mlを寒天平板培地上に接種し、30℃にて3日間静置
培養した。 集落の形成が認められ、さらに寒天に穿孔
が認められたものについて、寒天分解酵素生産微生物の
候補として選択した。 この候補微生物を、常法に従
い、種々の培地を利用して純粋分離した。純粋分離した
候補微生物を、上記の寒天培地上で5日間を周期として
5回以上継代培養し、安定に生育を示すものを寒天培地
上のスラントとして冷蔵庫中(4℃)で保存した。
いて、寒天濃度のみを1g/lに代えた寒天液体培地を
作成し、この50mlを500ml容の坂口フラスコに
分注した。 それぞれの微生物をスラントから1白金耳
を同培地に接種して、30℃で1日間、120rpmに
て振盪培養して前培養液を調製した。 この前培養液1
mlを本培養用寒天液体培地に接種して同一の条件下で
5日間培養した。 1〜5日間の各培養日ごとに寒天分
解酵素活性を調べ、強力な寒天分解活性が検出された微
生物6株を選択した。 この中で、最高の活性を示した
寒天分解酵素生産菌としてアルテロモナス・エスピーE
−1株を取得した。
寒天分解酵素については、菌体を除去した培養濾液また
は無細胞抽出液を粗酵素溶液として、寒天に対する作用
を調べた。 この時、アルテロモナス・エスピーE−1
株の粗酵素溶液のみが寒天からネオアガロビオースのみ
を選択的に生成したため、当該寒天分解酵素が新規なも
のであると判断した。
天液体培地50mlを分注して、アルテロモナス・エス
ピーE−1株を1白金耳接種し、30℃で24時間、1
20rpmにて液内振盪培養した。 培養終了後、菌体
を遠心分離により回収し、10mM トリス−塩酸緩衝
溶液(pH7.5)で菌体を洗浄し、遠心分離して洗浄
菌体を再回収した。 この菌体を同緩衝溶液に懸濁し、
これを適宜希釈してそのまま活性測定に使用した。 こ
のとき、寒天分解酵素は培養液当り0.80U/ml生
産されていた。
S(3-[(3-Cholamidopropyl)-dimethylammonio]-1-prop
anesulfonate)を使用し、菌体から寒天分解酵素を遊離
させた後、これをセファデックスG−25(ファルマシ
ア製)により脱塩した無細胞抽出液(粗酵素溶液)を使
用した場合にもほぼ同等の活性が得られた。
コに、前記の組成の寒天液体培地50mlを分注し、ア
ルテロモナス・エスピーE−1株を1白金耳接種して、
30℃で24時間、120rpmにて液内振盪培養し
た。 培養終了後、菌体を遠心分離により回収し、0.5
M KClを含む10mM トリス−塩酸緩衝溶液(pH
7.8)で菌体を洗浄し、遠心分離して洗浄菌体を再回
収した。 この菌体を同緩衝溶液5mlに再懸濁し、終
濃度0.5%となるようにCHAPSを添加して菌体か
ら寒天分解酵素を遊離させた。 遠心分離して上澄液を
取得し、これをセファデックスG−25(ファルマシア
製)を充填したカラムを通過させて脱塩処理した。
0M(東ソー製)に吸着させ、20mMトリス−塩酸緩
衝溶液(pH7.8)にKClを0〜0.5Mの濃度勾配
的に添加したものを流下させ、イオン交換クロマトグラ
フィーにより寒天分解活性のある分画を得た。 これを
20mM トリス−塩酸緩衝溶液(pH7.8)で平衡化
したセファクリルS−300(ファルマシア製)を充填
したカラムを通過させて、ゲル濾過により活性のある分
画を得た。 さらに、この分画をブチル−トヨパール6
50M(東ソー製)に吸着させ、20mM トリス−塩
酸緩衝溶液(pH7.8)に30%、20%、0%の濃
度で硫安を添加した溶液を順次流下させて、疎水クロマ
トグラフィーにより寒天分解酵素活性のある分画を得
た。 得られた精製標品の活性は、15U/mgタンパ
ク質であった。 また、活性回収率は9.6%であった。
純薬製)およびアガロース(ニッポンジーン製)は、
0.5%濃度となるように10mM トリス−塩酸緩衝溶
液(pH7.5)に加熱溶解した後に40℃に保温し、
また、ネオアガロヘキサオース(シグマ製)およびネオ
アガロオテトラオース(シグマ製)は0.5%の濃度と
なるように10mM トリス−塩酸緩衝溶液(pH7.
5)に常温で溶解して試験液を調製した。 各試験液に
上記(1)で得られた精製酵素を50mU/ml以上に
なるように添加して、40℃で4時間攪拌しながら反応
させたところ、いずれの試験液においてもネオアガロビ
オースのみが得られ、他のオリゴ糖や単糖は検出されな
かった。
リン酸緩衝溶液および20mM トリス−塩酸緩衝溶液
を用い、pH5.0〜9.5の範囲における精製酵素の安
定性を調べた。 この結果を図1および図2に示す。
このうち、図1は基質としての寒天が存在する場合、図
2は基質が存在しない場合を示す。 この結果より、基
質が存在しない条件下においては、pH6.0〜9.0の
範囲で安定であることが示された。 また寒天を基質と
したとき最適pHは7.5であり、pH8.0においても
高い活性(最高活性の95%)を有することが示され
た。
0℃〜70℃の範囲での精製酵素の安定性を調べた。こ
の結果を図3および図4に示す。 このうち、図3は寒
天を基質として用いたものであり、最適温度は40℃で
ある。 また、図4は基質が存在しない条件下における
もので、40℃以下では安定、50℃では約3%の活性
が残存する。
た精製酵素をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
法に供したところ、単一なバンドが1本のみ検出され、
分子量は約84,000であった。 さらに、この精製酵
素について、ゲル濾過法による分子量を測定したとこ
ろ、約180,000であった。
℃、2mMの濃度での各種金属塩の存在下、3時間の処
理での酵素活性を調べた。 この結果、Cu2+、M
n2+、Fe2+、Hg2+の存在下では酵素活性が0%、ま
た、Zn2+の存在下では3%であり、これら金属により
阻害されることが示された。 一方、Ca2+、Mg2+、
Ag+、パラクロロマーキュリー安息香酸(PCMB)
の存在下での酵素活性は74〜89%であり、これらに
よりやや阻害されることが示された。 更に、K+、Na
+、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)では10
6%の酵素活性が認められ、これらによる酵素阻害は認
められなかった。
造方法(1):0.5%アガロース(ニッポンジーン
製)を加熱溶解させた10mMトリス−塩酸緩衝溶液
(pH7.8)50mlに対して、50mU/ml以上
になるように酵素を添加した。 40℃にて4時間以上
撹拌しながら反応させた。 この溶液を沸騰水中で3分
間放置することにより反応を停止させ、4℃に冷却す
る。 ここで、寒天分解酵素自体はタンパク質であるた
め変性して沈澱となり、とくに寒天を基質とした場合に
は不溶物の沈澱などが存在するため遠心分離により残渣
を除去する。得られた上澄液にネオアガロビオースが回
収される。
の0.2mlを分取してシリカゲルの薄層クロマトグラ
フィーに供することにより酵素反応の進行を確認した。
薄層クロマトグラフィーの展開液組成は、n−ブタノー
ル/酢酸/水(2:1:1)とし、検出はナフトレゾル
シンのエタノール溶液の噴霧により行った。
ースの生成が顕著に確認されたがこの時点ではネオアガ
ロヘキサオースやネオアガロテトラオースの存在も認め
られた。 しかし、2時間の酵素反応では、ほとんどネ
オアガロヘキサオースやネオアガロテトラオースは認め
られず、ネオアガロビオースの量が選択的に増大してい
た。 4時間以上の反応ではネオアガロビオースのみが
生成しており、他のオリゴ糖は検出されなかった。ま
た、以上のどの反応時間においても単糖は検出されなか
った。
から生成したネオアガロビオースと市販の標品(シグマ
製)と比較した。 この結果、両者は、薄層クロマトグ
ラフィー上では同一の展開位置に同一の発色を示し、高
速液体クロマトグラフィーLC−6A(島津製)による
分析においても同一の保持時間の位置に検出されたた
め、同一構造を有することが確認された。
造方法(2):0.5%アガロースに代えて寒天を使用
する以外は実施例4と同様にしてネオアガロビオースを
製造した。この製法によってもネオアガロビオースが選
択的に得られた。
にネオアガロビオースに分解する。従って、糖の単離・
精製工程なしに、デンプン老化防止作用、非消化、静菌
作用などの機能が認められる寒天オリゴ糖であるネオア
ガロビオースを得ることができ、単一の寒天オリゴ糖を
有利に大量生産することができるものである。
酵素活性を示す図面。 図中、白丸は20mM クエン酸
−リン酸緩衝液を示し、黒丸は20mM トリス−塩酸
緩衝溶液を示す。図2〜図4も同じ。
を示す図面。
酵素活性を示す図面。
を示す図面。 以 上
Claims (5)
- 【請求項1】 アルテロモナス属に属する微生物が産
生し、アガロースを分解して選択的にネオアガロビオー
スを産生する寒天分解酵素であって、次の性質を有する
寒天分解酵素。 (1) 作用: アガロースのβ−1 , 4結合を加水分解してアガロース
溶液の粘度を低下させ、ネオアガロビオースを生成す
る。 (2) 基質特異性: アガロース、ネオアガロヘキサオース、ネオアガロテト
ラオースに作用し、速やかにネオアガロビオースに分解
する。しかし、ネオアガロビオースやラクトース(乳
糖)には作用しない。 (3) pH安定性および最適pH: 基質が存在しない条件下においては、pH6 . 0〜9 . 0
の範囲で安定である。寒天を基質としたとき最適pHは
7 . 5であり、pH8 . 0においても高い活性(最高活性
の95%)を示す。 (4) 熱安定性および最適温度: 基質が存在しない条件下においては、40℃以下では安
定、50℃では約3%の活性が残存する。 寒天を基質
としたとき最適温度は40℃である。 (5) 分子量: 約 84 , 000(電気泳動法) 約180 , 000(ゲル濾過法) (6) 金属塩等の影響: Cu 2+ 、Mn 2+ 、Fe 2+ 、Hg 2+ およびZn 2+ により阻
害される。 また、Ca 2+ 、Mg 2+ 、Ag + 、パラクロロ
マーキュリー安息香酸(PCMB)によりやや阻害され
る。K + 、Na + 、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDT
A)によっては阻害されない。 - 【請求項2】 工業技術院生命工学工業技術研究所に
FERM.P−14664号として寄託された微生物よ
り得たものである請求項第1項記載の新規な寒天分解酵
素。 - 【請求項3】 請求項第1項または第2項記載の寒天
分解酵素と寒天とを接触させ、ネオアガロビオースを得
ることを特徴とするネオアガロビオースの製造法。 - 【請求項4】 寒天のβ−1,4結合を加水分解し、選
択的にネオアガロビオースを得るものである請求項第3
項記載のネオアガロビオースの製造法。 - 【請求項5】 アガロースを分解し、選択的にネオア
ガロビオースを産生する寒天分解酵素を保有するアルテ
ロモナス・エスピー E−1(FERM . P−1466
4号)。
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-
1994
- 1994-11-28 JP JP31605794A patent/JP3529173B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (2)
Title |
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Appl. Environ. Microbiol., 1992, Vol.58, No.12, pages 4060−3 |
Eur. J. Biochem., 1993, Vol.214, No.2, pages 599−607 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08149979A (ja) | 1996-06-11 |
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