JP3526602B2 - 新規抗真菌化合物 - Google Patents
新規抗真菌化合物Info
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Description
K−2およびその製造方法に関する。
核生物である細菌に対して真菌と称されている。これら
の真菌のうちある種のものはヒトに対して病原性を示
し、真菌感染症の起因菌とされている。これら真菌の病
原性は概ね弱いものであるが、何らかの原因で抵抗力の
低下した状態の患者には、重篤な症状を来すことがあ
り、その治療に有用な薬剤の開発が待たれている。
られており、植物病防御の面でも、新たな農園芸用防黴
剤の開発が待たれている。さらに、最近の住宅事情を反
映した結露等による住宅への糸状菌の侵入は、ヒトにア
レルギー等の症状をもたらすので、この有効な対策が待
たれている。
の抗真菌抗生物質や抗真菌剤が開発されており、一応の
成果が得られてはいるが、前述のように真菌はヒトと同
様に真核生物であり、強い抗真菌作用を示す物質はヒト
に対しても毒性を示す場合が多く、実用面で多くの解決
すべき課題が残されている。
を示し、かつ、安全性の高い物質を得ることが、本発明
が解決すべき課題である。
背景のもと、より安全性に優れた抗真菌剤の開発を目指
し、抗真菌活性と培養細胞(マウス白血病P388)に
対する細胞毒性を指標に、広く土壌分離菌からの有用化
合物のスクリーニングを実施し、ストレプトバーティシ
リウムに属する菌株が、強い抗真菌作用を示し、かつ、
培養細胞に対する細胞毒性が低い物質を産生することを
見いだし、この抗真菌化合物の単離・精製およびその構
造決定を試みた結果、この化合物が、式(1):
族アシル基または直鎖もしくは分岐の不飽和脂肪族アシ
ル基を示す)で表される新規の構造を有する抗真菌化合
物であることを見いだし、この化合物をUK−2と命名
した。
状菌および酵母を始めとする種々の真菌に対して抗真菌
活性を有し、医療用抗真菌剤、農園芸用防黴剤および工
業用防黴剤の有効成分として有用であることを見いだ
し、本発明を完成した。すなわち、本発明によれば、前
記式(1)で表される新規な抗真菌物質UK−2とその
製造法を提供することができる。
式(1)で示されるUK−2を生産することができるス
トレプトバーティシリウムに属する微生物であれば、い
ずれも使用することができる。この様な微生物は、土壌
等の微生物分離源から常法に従って放線菌を分離し、次
にこれらの菌株からUK−2を生産する菌株を選択する
ことにより得られる。このようなUK−2生産菌の一例
としては、本発明者らが京都府の土壌より分離し、その
菌学的性質からストレプトバーティシリウム・エス・ピ
ー・SAM2084株(Streptoverticillium sp. SAM2
084)と命名して、平成6年2月17日に受託番号FE
RM P−14154として工業技術院生命工学工業技術研
究所に寄託した放線菌(この放線菌はこの原寄託に基い
て平成10年8月3日に国際寄託へ移管請求し、FER
M BP−6446として受託された)を挙げることができ
る。この微生物は、放線菌の保存のための常法に従って
保存することができる。この微生物SAM2084株は
次のような菌学的性質を有する。
く分岐し、通常の条件下では分断しない。気菌糸はスタ
ーチ寒天、グリセロール・アスパラギン寒天、イースト
・麦芽寒天で豊富に着生し、胞子形成も良好である。気
菌糸の分岐は典型的な車軸分岐である。分岐枝の先端は
トックリ様を呈し、10〜20本の直線状の胞子連鎖を
着生する。電子顕微鏡による観察では、胞子は円筒型、
0.5〜0.6×1.5〜2.0μmの大きさで、表面
は平滑、通常10〜20個程度連鎖する。胞子嚢、運動
性胞子および菌核は観察されない。
上の生育状態は〔表1〕に示す通りである。色の記載に
ついて、(括弧内)に示す標準は、コンテナー・コーポ
レーション・オブ・アメリカ(Container Corporation o
f America)社製の「カラー・ハーモニー・マニュアル(C
olor Harmony Manual)」に記載のものを用い、観察は2
8℃で14〜21日培養後に行った。
5〜41℃の温度範囲で生育し、30℃付近で良好に生
育する。 (2).ゼラチンの液化:陽性 (3).スターチの加水分解:陽性 (4).硝酸塩の還元:陽性 (5).脱脂乳のペプトン化:陽性 脱脂乳の凝固:陰性 (6).耐塩性:1.5%NaCl含有培地では生育する
が、NaCl3%以上では強く生育阻害を受ける。 (7).メラニン様色素の生成:陰性
用) (1).利用する炭素源:D−グルコース,D−フルクトー
ス,グリセロール,キシロース,D−マンニトール,m
yo−イノシトール,シュクロース,L−アラビノース (2).利用しない炭素源:L−ラムノース,ラフィノース
(Appl.Microbiol.13:236,1965)により分析した結果、全
菌体加水分解物中のジアミノピメリン酸はLL型であっ
た。
菌の中でストレプトバーティシリウム属(Genus Strepto
verticillium) に所属し、気菌糸色調は "Yellow to Gr
een"シリーズ、気菌糸の分岐は車軸型で胞子連鎖は直線
状、胞子表面は平滑状、生育裏面の色調は淡褐色〜黒褐
色で、褐色系の可溶性色素を生産する菌株と要約され
る。このような菌学的性質を持つ菌株を、ストレプトバ
ーティシリウム属の種の記載と比較すると、ストレプト
バーティシリウム・モロオカエンス(Streptoverticilli
um morookaense) に近縁と考えられる。しかし、生理的
性質で相違する点も幾つか存在しており、本菌株をスト
レプトバーティシリウム・エス・ピー・SAM2084
株(Streptoverticillium sp. SAM2084) と呼称する。
岐の飽和脂肪族アシル基の例としては、アセチル基、プ
ロピオニル基(プロパノイル基)、ブチリル基(ブタノ
イル基)、イソブチリル基(2−メチルプロパノイル
基)、バレリル基(ペンタノイル基)、イソバレリル基
(3−メチルブタノイル基)、ヘキサノイル基、ヘプタ
ノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル
基、ラウロイル基(ドデカノイル基)、ミリストイル基
(テトラデカノイル基)、パルミトイル基(ヘキサデカ
ノイル基)、ステアロイル基(オクタデカノイル基)
(注:カッコ内は一般に使用される慣用名とは異なるI
UPAC名を有する基の場合のそのIUPAC名を示
す。以下同じ)等が例示され、式(1)のRで示される
直鎖または分岐の不飽和脂肪族アシル基の例としては、
アクリロイル基(プロペノイル基)、メタクリロイル基
(2−メチルプロペノイル基)、クロトノイル基(tran
s-2-ブテノイル基)、イソクロトノイル基(cis-2-ブテ
ノイル基)、チグロイル基(trans-2−メチル−2−ブ
テノイル基)、アンゲロイル基(cis-2−メチル−2−
ブテノイル基)、オレオイル基(cis-9−オクタデセノ
イル基)、エライドイル基(trans-9−オクタデセノイ
ル基)等が例示される。また、かかるUK−2化合物の
好ましい具体的な例としては、Rがイソブチリル基(2
−メチルプロパノイル基)であるUK−2A、チグロイ
ル基(trans-2-メチル−2−ブテノイル基)であるUK
−2B、イソバレリル基(3−メチルブタノイル基)で
あるUK−2Cおよび2−メチルブタノイル基であるU
K−2D等が例示できる。
ーティシリウム属に属するUK−2生産菌、例えば、前
述のストレプトバーティシリウム・エス・ピー・SAM
2084を培養して該物質を生産蓄積させ、その培養液
および/または培養菌体から通常の精製手段を用いて精
製することにより製造することができる。通常の培養で
は、UK−2化合物は、Rに種々のアシル基が導入され
た類縁体の混合物として産生され、主な生産物はUK−
2AおよびUK−2Dであり、UK−2B、UK−2C
およびその他のUK−2化合物は微量しか産生されな
い。この培養において、培地に所望の脂肪族アシル基R
に対応する脂肪酸又はそのナトリウム塩、カリウム塩、
アンモニウム塩等の可溶性塩を好ましくは1〜100p
pm、更に好ましくは1〜10ppm添加することによ
り、Rに所望の脂肪族アシル基を導入した化合物を得る
ことができる。例えば、上記培養において、培地に10
ppmのイソ吉草酸を添加して培養すれば、対応するア
シル基を有するUK−2化合物であるUK−2Cの生産
量を増加させることができる。
培養に使用される培地は、液状でも固体でもよいが、通
常は液体培地による振蘯培養または通気攪拌培養が有利
である。使用する培地は、本発明物質生産菌が生育して
本発明物質を蓄積するものであれば、特に限定されるも
のではないが、炭素源としては、生産菌が資化する糖
類、例えばグルコース、ラクトース、グリセリン、デン
プン、シュクロース、デキストリン、糖蜜等が用いら
れ、また窒素源としては、例えばポリペプトン、カザミ
ノ酸等の蛋白質加水分解物、肉エキス、酵母エキス、大
豆粕、コーンスティープリカー、アミノ酸類等の有機窒
素源やアンモニウム塩や硝酸塩等の無機窒素源が用いら
れる。その他、浸透圧調整、pH調整、微量成分の補給
等のために、各種燐酸塩、硝酸マグネシウム、塩化ナト
リウム、炭酸カルシウム等の無機塩類を添加することも
可能である。さらに菌の生育を促進する目的で、各種ビ
タミン類、核酸関連化合物等を添加しても良い。なお、
培養期間中に、シリコン、ポリプロピレングリコール誘
導体、大豆油等の消泡剤を添加することも可能である。
規模で前培養を行って得られる培養物を用いて、本培養
を行うことが望ましい。本培養の培養温度、培養期間、
培養液のpH、通気量等の培養条件は、本発明の物質の
蓄積が最大になるように、適当に選択、調節されるが、
多くの場合、好ましくは0.5〜2vvm、更に好まし
くは0.5〜1vvm程度の通気条件下に、一般には1
5〜41℃、好ましくは20〜37℃、更に好ましくは
25〜30℃の温度で2〜3日間、中性pH付近で培養
することが好ましい。
養液および菌体の両方に蓄積されるので、培養液から
は、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン等の水
とは任意に混合せず、しかも本発明の化合物を有効に抽
出し得る有機溶媒を用いて抽出することができる。ま
た、培養菌体からは、濾過もしくは遠心分離等の手段で
集菌した菌体を、アセトン等の細胞壁を破壊する作用を
有する溶媒を用いて、直接抽出することができる。さら
に、培養菌体をガラスビーズ等を用いて破砕した後に、
培養液からの抽出と同様にして抽出することもできる。
化合物を単離・精製するには、通常の精製法を用いるこ
とができる。即ち、溶媒転溶、順相および逆相カラムク
ロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、結晶
化等の精製手段を組み合わせることにより、単離・精製
することができる。また、本発明のUK−2化合物は、
Rに種々のアシル基が導入された類縁体の混合物として
産生されるので、その類縁体の単離・精製には、順相お
よび逆相の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が
特に有用である。例えば、通常の培養から得られた粗抽
出物を減圧濃縮し、これをクロロホルムに転溶してシリ
カゲルカラムクロマトグラフィーに付し、これをクロロ
ホルム/メタノールのステップワイズで溶出すれば、U
K−2AおよびUK−2Dを約3:1の割合で含有し、
ここに微量のUK−2BおよびUK−2Cが混入したフ
ラクションを得ることができる。さらにこれをC−18
カラムを用いる逆相HPLCで処理することにより、こ
れらの類縁体UK−2A、UK−2B、UK−2Cおよ
びUK−2Dを単離することができる。
離して用いても良いが、それぞれの類縁体が同様の抗真
菌活性を示すので、本発明の効果を損なわない限り、こ
れらのUK−2化合物を単離することなく、混合物とし
て用いることも可能である。
およびアスペルギルス、ペニシリウム、ムコール、クラ
ドスポリウム、リゾプス、スクレロチナ、トリコデルマ
等の糸状菌を含む真菌に対して強い抗菌作用を示すが、
細菌に対する抗菌作用を示さない。また、培養細胞(マ
ウス白血病P388)に対する細胞毒性が低いことか
ら、本化合物に感受性を有する真菌が原因である真菌感
染症治療用の抗真菌剤をはじめ、農園芸用抗真菌剤また
は工業用抗真菌剤として使用することが可能である。
用の抗真菌剤として使用するには、種々の投与形態に合
わせて、UK−2を公知の医薬品用担体とを組み合わせ
て製剤化すれば良い。このような投与形態としては皮下
注射、静脈内注射、筋肉内注射、坐薬等による非経口投
与あるいは錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等による経
口投与の全身投与の他、軟膏剤、ローション剤、膣坐薬
等の局所投与の形態を例示することができる。
剤として使用するには、種々の使用形態に合わせて、公
知の担体および必要に応じて公知の補助剤とを組み合わ
せて製剤化すれば良い。このような製剤形態の例として
は、粉剤、顆粒剤などの固形剤、溶液、乳剤、懸濁液、
エアゾール剤等の液剤を例示することができる。このよ
うな農園芸用抗真菌剤は、本化合物に感受性を有する植
物病原菌が原因である病害の防除に使用することができ
る。
として使用するには、種々の使用形態に合わせて、公知
の担体および必要に応じて公知の補助剤とを組み合わせ
て製剤化すれば良い。このような工業用抗真菌剤は、一
般産業用製品およびこれらの製品の製造工程中で問題と
なる有害真菌の繁殖を防御し、有害真菌の汚染を防止す
るために使用されるものであり、具体的には木材の表面
汚染を防止する防黴剤、木材製品等の腐朽菌対策剤、塗
料に添加する防腐・防黴剤、壁装剤、高分子加工時に添
加する防黴剤、皮革、繊維および織物の加工に用いる防
黴剤等を例示することができる。
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定される
ものではない。なお、以下の例において「%」は特にこ
とわらない限り「W/V%」である。
て、Rがイソブチリル基(2−メチルプロパノイル基)
である化合物}の製造。 ステップa:ストレプトバーティシリウム・エス・ピー
・SAM2084の培養 グルコース1%、可溶性デンプン1%、小麦胚芽0.6
%、ポリペプトン0.5%、乾燥酵母エキス0.3%、
大豆粉0.2%、炭酸カルシウム0.2%を含み、pH
7.0に調整した培地(以下、培地1と称する)を50
0ml容培養三角フラスコに100ml分注して、オー
トクレーブで滅菌した。これに斜面培養からストレプト
バーティシリウム・エス・ピー・SAM2084を1白
金耳接種し、30℃で2日間ロータリーシェーカーで培
養して種培養を得た。
ットルの培地1を仕込み、加熱殺菌の後、上記の種培養
を30ml添加して、30℃で、回転数500rpm、
通気量1vvmの条件で48時間通気攪拌培養して、前
培養とした。
ス3%、麦芽エキス0.5%、乾燥酵母エキス0.5
%、炭酸カルシウム0.2%を含み、pH7.0に調整
した培地(以下、培地2と称する)を300リットル仕
込み、加熱殺菌の後、上記の前培養を3リットル添加し
て、30℃で、回転数250rpm、通気量1vvmの
条件で48時間通気攪拌培養した。
トを用いて濾過・集菌し、菌体に110リットルのアセ
トンを加えて抽出した。抽出液を減圧下に濃縮し、溶媒
を留去した。これに25リットルのクロロホルムを加え
てUK−2を抽出した。得られた抽出液を減圧下に濃縮
し、溶媒を留去して油状物質150gを得た。
ロホルムに溶解し、シリカゲル(ワコーゲルC−200
・和光純薬工業製)を用いるカラムクロマトグラフィー
(φ12×44cm,Vt=5リットル)に付し、5リ
ットルづつの、クロロホルム、クロロホルム/メタノー
ル99:1(容積比、以下同じ)混液、クロロホルム/
メタノール97:3混液、クロロホルム/メタノール9
4:6混液、クロロホルム/メタノール90:10混液
の展開溶媒を用いてステップワイズで溶出した。活性物
質はクロロホルム/メタノール97:3混液で溶出され
たので、これを集めて減圧下に溶媒を留去し、粗精製物
900mgを得た。この粗精製物は、UK−2A(Rが
イソブチリル基の化合物)およびUK−2D(Rが2−
メチルブタノイル基の化合物)を約3:1の割合で含有
する他、微量のUK−2B(Rがtrans-2−メチル−2
−ブテノイル基)およびUK−2C(Rが3−メチルブ
タノイル基の化合物)を含有していた。同様の操作をス
テップbで得られた抽出物について繰り返すことによ
り、合計約9gの粗精製物を得た。
ODSカラム(φ20×250mm,野村化学社製)を
用いる逆相高速カラムクロマトグラフィー(HPLC)
に付し、210nmの紫外吸収でモニターしながら、6
0%(容積比)アセトニトリル/水で流速5ml/mi
nで展開した。UK−2Aはこの条件で保持時間60分
の箇所にシングルピークとして溶出された。同様の条件
でHPLCの分取を繰り返し、ステップcの粗精製物2
00mgから合計120mgのUK−2Aを得た。この
化合物の物性値を〔表2〕に示す。UK−2Aは、これ
らのデータから、式(1)においてRがイソブチリル基
(2−メチルプロパノイル基)である化合物と構造決定
された。
て、Rがチグロイル基(trans−2−メチル−2−
ブテノイル基)である化合物}の製造。 実施例1のステップcで得られた粗精製物をDevel
osil−ODSカラム(φ20×250mm,野村化
学社製)を用いる逆相高速カラムクロマトグラフィー
(HPLC)に付し、210nmの紫外吸収でモニター
しながら、60%アセトニトリル/水で流速5ml/m
inで展開した。UK−2Bはこの条件で保持時間69
分の箇所にシングルピークとして溶出された。同様の条
件でHPLCの分取を繰り返し、ステップcの粗精製物
200mgから合計2mgのUK−2Bを得た。この化
合物の物性値を〔表3〕に示す。UK−2Bは、これら
のデータから、式(1)においてRがチグロイル基(tr
ans-2−メチル−2−ブテノイル基)である化合物と構
造決定された。
て、Rがイソバレリル基(3−メチルブタノイル基)で
ある化合物}の製造。 実施例1のステップcで得られた粗精製物をDevel
osil−ODSカラム(φ20×250mm,野村化
学社製)を用いる逆相高速カラムクロマトグラフィー
(HPLC)に付し、210nmの紫外吸収でモニター
しながら、60%アセトニトリル/水で流速5ml/m
inで展開した。UK−2Cはこの条件で保持時間8
1.5分の箇所にショルダーピークとして溶出された。
UK−2Cは、このショルダーピークを分取し、同様の
条件でHPLCを繰り返してシングルピークを示すまで
精製することにより得られた。このようにして、ステッ
プcの粗精製物200mgから合計1mgのUK−2C
を得た。この化合物の物性値を〔表4〕に示す。UK−
2Cは、これらのデータから、式(1)においてRがイ
ソバレリル基(3−メチルブタノイル基)である化合物
と構造決定された。
て、Rが2−メチルブタノイル基である化合物}の製
造。 実施例1のステップcで得られた粗精製物をDevel
osil−ODSカラム(φ20×250mm,野村化
学社製)を用いる逆相高速カラムクロマトグラフィー
(HPLC)に付し、210nmの紫外吸収でモニター
しながら、60%アセトニトリル/水で流速5ml/m
inで展開した。UK−2Dはこの条件で保持時間82
分の箇所に、UK−2Cのショルダーピークを伴って溶
出された。UK−2Dは、このメインピークを分取し、
同様の条件でHPLCを繰り返し、シングルピークを示
すまで精製することにより得られた。このようにして、
ステップcの粗精製物200mgから合計20mgのU
K−2Dを得た。この化合物の物性値を〔表5〕に示
す。UK−2Dは、これらのデータから、式(1)にお
いてRが2−メチルブタノイル基である化合物と構造決
定された。
の測定 本発明の化合物の一つであるUK−2Aの抗菌スペクト
ラムを液体希釈法(山口英世著「今日の抗生物質」16
2−189頁・1984年・東京・南山堂)を用いて評
価した。その結果を〔表6〕に示す。
ンジダ等の酵母およびアスペルギルス、ペニシリウム、
ムコール、クラドスポリウム、リゾプス、スクレロチ
ナ、トリコデルマ等の糸状菌を含む真菌に対して強い抗
菌作用を示したが、細菌に対しては抗菌作用を示さなか
った。また、UK−2B、UK−2CおよびUK−2D
もUK−2Aと同様の抗菌スペクトラムを示した。さら
に、本発明のUK−2化合物はいずれも、マウス白血病
細胞であるP388に対して、100μg/mlの濃度
で増殖抑制作用を殆ど示さなかった。
るUK−2およびストレプトバーティシリウムに属する
UK−2生産菌を培養して、その培養液および/または
培養菌体からUK−2を製造する方法を提供することが
できる。本発明のUK−2は、9員環のジラクトン構造
を有する新規な抗真菌物質であり、Rに種々のアシル基
が導入されたエステル体の混合物として得られるが、こ
れらの類縁体は同様の抗菌活性を有するため、これらの
類縁体を単離しては勿論、その用途に応じてこれらの類
縁体の混合物のまま、抗真菌剤の有効成分として使用す
ることができる。本発明のUK−2化合物は、培養細胞
に対して細胞毒性が低いので、ヒトおよび哺乳類、魚類
に対しても毒性が低いことが予想され、医薬および動物
薬、農園芸用抗真菌剤および工業用抗真菌剤として応用
することが可能である。
Claims (10)
- 【請求項1】 式(1): 【化1】 (式中、Rは直鎖もしくは分岐の飽和脂肪族アシル基ま
たは直鎖もしくは分岐の不飽和脂肪族アシル基を示す)
で表される抗真菌化合物。 - 【請求項2】 Rで示される脂肪族アシル基が、イソブ
チリル基、チグロイル基、イソバレリル基または2−メ
チルブタノイル基である請求項1に記載の化合物。 - 【請求項3】 ストレプトバーティシリウムに属する、
請求項1に記載の化合物生産菌を培養して、その培養液
および/または培養菌体から請求項1に記載の抗真菌化
合物を製造する方法。 - 【請求項4】 前記抗真菌化合物生産菌がストレプトバ
ーティシリウム・エス・ピー・SAM2084(Strepto
verticillium sp. SAM2084, 工業技術院生命工学工業技
術研究所受託番号FERM BP -6446)である請求項
3に記載の抗真菌化合物を製造する方法。 - 【請求項5】 請求項1または2に記載の化合物を有効
成分として含有する抗真菌剤。 - 【請求項6】 請求項1または2に記載の化合物を有効
成分として含有する農園芸用抗真菌剤。 - 【請求項7】 請求項1または2に記載の化合物を使用
することを特徴とする、当該化合物に感受性を有する植
物病原菌が原因である病害の防除方法。 - 【請求項8】 請求項1または2に記載の化合物を有効
成分として含有する工業用抗真菌剤。 - 【請求項9】 請求項1または2に記載の化合物を使用
することを特徴とする、工業製品またはその製造工程に
おける、有害真菌の繁殖防御方法もしくは汚染防止方
法。 - 【請求項10】 請求項1または2に記載の化合物を産
生するストレプトバーティシリウム・エス・ピー・SA
M2084(Streptoverticillium sp. SAM2084, 工業技
術院生命工学工業技術研究所受託番号FERM BP-6
446)の放線菌。
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JP02688494A JP3526602B2 (ja) | 1994-02-24 | 1994-02-24 | 新規抗真菌化合物 |
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JPH07233165A JPH07233165A (ja) | 1995-09-05 |
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