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JP3522613B2 - 耐ころがり疲労損傷性、耐内部疲労損傷性、溶接継ぎ手特性に優れたベイナイト系レールおよびその製造法 - Google Patents

耐ころがり疲労損傷性、耐内部疲労損傷性、溶接継ぎ手特性に優れたベイナイト系レールおよびその製造法

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JP3522613B2
JP3522613B2 JP33546499A JP33546499A JP3522613B2 JP 3522613 B2 JP3522613 B2 JP 3522613B2 JP 33546499 A JP33546499 A JP 33546499A JP 33546499 A JP33546499 A JP 33546499A JP 3522613 B2 JP3522613 B2 JP 3522613B2
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damage resistance
bainite
resistance
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正治 上田
耕一 内野
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、旅客鉄道および貨
物鉄道用レールに要求される、耐ころがり疲労損傷性、
耐内部疲労損傷性、溶接継ぎ手特性を向上させたベイナ
イト系レールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、旅客鉄道や貨物鉄道では輸送効率
の向上を目的として、列車の高速化や貨車の高積載化が
進められている。これにともない主に直線区間のレール
においては、レール使用環境が苛酷化し、レールと車輪
の繰り返し接触によるダークスポット損傷と呼ばれるレ
ール頭表面のころがり疲労損傷の発生が増加している。
このダークスポット損傷は、従来からのパーライト組織
を呈したレールが使用されている旅客鉄道や貨物鉄道の
直線区間のレールで発生しやすい特徴を有している。
【0003】本発明者らは、このダークスポット損傷の
発生源であると考えられる、車輪との繰り返し接触によ
って生成するレール頭表面の疲労層(疲労ダメージ層、
集合組織)の形成と金属組織の関係を研究した。その結
果、フェライト相とセメンタイト相の層状構造を成して
いるパーライト組織では、疲労ダメージ層が蓄積し易
く、さらに、集合組織が発達し易いの対して、柔らかな
フェライト組織地に粒状の硬い炭化物が分散したベイナ
イト組織は、疲労ダメージ層が蓄積し難く、さらに、表
面疲労損傷の引き金となる集合組織が発達し難く、結果
としてダークスポット損傷が発生しにくいことが明らか
となった。
【0004】そこで、ベイナイト組織を呈したレールと
して下記に示すような製品および製造法が開発された。 低炭素成分でMn、Cr、Moなどの合金元素を多
量に添加して圧延ままでベイナイト組織を呈する高強度
レール(特開平5−271871号公報)。 低炭素成分でMn、Cr、Moなどの合金元素を添
加し、熱間圧延後の高温度の熱を保有するレール、ある
いは高温に加熱されたレールの頭部を加速冷却する高強
度ベイナイトレールの製造法(特開平7−34132号
公報)。
【0005】これらのレールの特徴は、耐ころがり疲労
損傷性に優れたベイナイト組織を安定に生成させるた
め、従来の普通炭素鋼レールと比較して炭素量を低減さ
せると同時に、Mn、Cr、Moなどの合金元素を多く
添加し、さらに、強度を確保するため適切な熱処理を施
したものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】[内部疲労損傷の発
生]これらのレールで用いられているベイナイト組織
は、変態開始温度が冷却速度に大きく依存する特性を有
している。従って、レール頭部のように断面積が大き
く、頭表面と頭部内部での冷却速度が大きく異なる場合
は、比較的冷却速度の早いレール頭表面と比較的冷却速
度の遅い内部では、ベイナイト変態開始温度に必然的に
差が発生し、結果的にレール頭表部と内部に大きな硬度
差が発生し易い。
【0007】図1に、ベイナイトレールの頭部断面硬度
分布の一例を示す。上記のようにベイナイトレールで
は、レール頭表部から内部にかけて硬度が急激に低下す
る特性を有している。このような硬度分布では、レール
頭部断面において材料強度の変化が著しく大きくなり、
これにともない、車輪との接触によりレールに発生する
歪み(塑性変形領域)が、レール頭部内部の低硬度(強
度)部に集中しやすい。この結果、レール使用環境の苛
酷な貨物鉄道などでは、レール頭部内部の低強度部から
疲労き裂が発生しやすくなり、レールの使用寿命が低下
するといった問題が発生した。
【0008】この対策として、Mn、Cr等の合金添加
量を増加させる、熱処理時の冷却速度を増加させるとい
った方法が考えられるが、合金添加量や熱処理時の冷却
速度を過度に増加させると、内部硬度の向上は図れるも
のの、レール頭表部にマルテンサイトなどの異常組織が
生成し、耐摩耗性や靭性が大きく低下するといった問題
があった。
【0009】また、熱処理冷却方法の改善により、レー
ル頭表部の異常組織の生成を防止し、頭部内部の硬さを
向上させる方法もあるが、レール頭表部と頭部内部の特
性を同時に付与する冷却速度の制御が難しく、レール頭
部断面において適正な硬度分布を得るのが困難であっ
た。
【0010】[溶接熱影響部硬度低下の問題]これらの
問題に加えて、ベイナイト組織はパーライト組織と比べ
て熱影響を受けた場合に硬度が低下しやすい特性を有し
ている。この結果、ベイナイト組織のレールをフラッシ
ュバット溶接、ガス圧接、テルミット溶接、エンクロー
ズアーク溶接等の既存の溶接方法で接合すると、Ac1
点以下の温度域に再加熱された熱影響部では、現行のパ
ーライト組織のレールと比べて硬度低下領域が拡大し、
さらに、その硬度低下量が増加する傾向を示す。
【0011】図2は、ベイナイト鋼(0.3%C、Hv
380)と現行のパーライト鋼(0.7%C、Hv39
0)のレールのフラッシュバット溶接継ぎ手部の頭表面
部長手方向硬度分布の一例を示したものである。図2に
示すように、ベイナイト鋼のレール頭表面では、Ac1
点以下の温度域に再加熱された熱影響部の硬度低下領域
が拡大し、さらに、その硬度低下量が増加している。
【0012】このため、ベイナイト組織のレールは、パ
ーライト組織のレールと比べて、溶接継ぎ手部の熱影響
部において、硬度低下領域の拡大、硬度低下量の増加に
より、局部的な摩耗が発生しやすく、結果として列車走
行時の騒音、振動が増加するといった問題が発生した。
【0013】本発明は、上記問題点を解決し、耐ころが
り疲労損傷、貨物鉄道等に要求される耐内部疲労損傷性
を向上させ、同時に、溶接継ぎ手特性を向上させること
を目的としたレールおよびその製造法を提供するもので
ある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するものであって、その要旨とするところは、 (1) 質量%で、C :0.15〜0.45%、
Si:0.10〜2.00%、Mn:0.20〜3.
00%、 Cr:0.20〜3.00%、V :
0.01〜0.30%、 Nb:0.01超〜0.
05%未満を含有し、V+10×Nbの和が0.14以
上、0.50以下であり、さらに必要に応じて、Mo:
0.01〜1.00%、 Ti:0.005〜0.
050%、Ni:0.05〜1.00%、 Cu:
0.05〜0.50%、Mg:0.0010〜0.01
00%、Ca:0.0010〜0.0150%、B :
0.0001〜0.0050%の1種または2種以上を
含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるレール
であって、前記レールの頭部コーナー部および頭頂部表
面を起点として少なくとも深さ20mmの範囲がベイナイ
ト組織を呈し、前記範囲のベイナイト組織の硬さがHv
330〜500の範囲であり、かつ、その硬さの差がH
v50以下であるベイナイト組織であることを特徴とす
る耐ころがり疲労損傷性、耐内部疲労損傷性、溶接継ぎ
手特性に優れたベイナイト系レールである。また
【0015】(2) 前記(1)記載の成分を含有し、
残部がFeおよび不可避不純物からなる鋼片をレールの
形状に熱間圧延し、引き続き鋼レールの頭表部を、Ar
1 点以上の温度から1〜20℃/secの冷却速度で加速冷
却し、前記鋼レールの頭表部が500〜300℃に達し
た時点で加速冷却を停止し、その後、引き続き常温域ま
で自然冷却することを特徴とする耐ころがり疲労損傷
性、耐内部疲労損傷性、溶接継ぎ手特性に優れたベイナ
イト系レールの製造法。 (3) 前記(2)記載の加速冷却停止後に、変態発熱
およびレール内部から発生する復熱による、レール頭表
部における温度上昇を、加速冷却停止温度より50℃以
下に抑えることを特徴とする耐ころがり疲労損傷性、耐
内部疲労損傷性、溶接継ぎ手特性に優れたベイナイト系
レールの製造法。および (4) 前記(2)記載の加速冷却停止後、引き続きレ
ール頭表部を常温域まで1〜40℃/minで制御冷却する
ことを特徴とする耐ころがり疲労損傷性、耐内部疲労損
傷性、溶接継ぎ手特性に優れたベイナイト系レールの製
造法である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明者らは、適正な合金の選択及びその添加量
を制御することにより、レール頭表部においてマルテン
サイト等の異常組織の生成を防止し、レール頭部内部の
硬さを向上させ、冷却速度が異なるレール頭表部から頭
部内部において、均一なベイナイト組織を安定的に生成
させ、同時にレール頭表面における溶接熱影響部の硬度
低下領域の拡大を防止し、さらに、硬度低下量の増加を
防止する方法を検討した。
【0017】ここで、図3に本発明の耐ころがり疲労損
傷性、耐内部疲労損傷性、溶接継ぎ手特性に優れたレー
ルの頭部断面表面位置の呼称を示す。レール頭部におい
て1は頭頂部、2は頭部コーナー部であり、頭部コーナ
ー部2の一方は車輪と主に接触するゲージコーナー
(G.C.)部である。ここで、レール頭表部とは、図
3に示すように、主に耐表面損傷性に必要なレール頭頂
部1および頭部コーナー部2の該頭部表面から2〜10
mmの領域を指すものである。また、レール頭部内部とは
主に耐内部疲労損傷性が必要な上記範囲よりさらに深い
10〜30mmの領域を示すものである。
【0018】まず、耐内部疲労損傷性の向上を図るた
め、本発明者らはレール頭部内部の硬度を向上させる合
金元素ついて実験室的に検討した。ベイナイト組織は柔
らかなフェライト地に粒状の硬い炭化物が分散した構造
となっている。そこで、ベイナイト組織のフェライト地
に微細析出し、ベイナイト組織を析出強化する元素を実
験により検討した。実レール(炭素量0.15〜0.4
%)を用いた加速冷却実験を行った結果、V、さらに
はNbをある一定量複合添加したレールでは、レール頭
表部と比較して冷却速度の遅いレール頭部内部におい
て、冷却中にベイナイト組織中のフェライト地にVの炭
化物や窒化物、Nbの炭・窒化物が析出し、両合金の相
乗効果によりレール頭部内部の硬度が安定的に向上する
ことを見出した。
【0019】次に、本発明者らは、レール頭表面におけ
る溶接熱影響部の硬度低下領域の拡大を防ぎ、さらに、
硬度低下量の増加を防止する方法を検討した。まず、溶
接熱影響部の硬度低下を防止するには析出強化が有効と
考え、Ac1点以下の温度域に再加熱された溶接熱影響
部において、ベイナイト組織のフェライト地に微細析出
し、ベイナイト組織を析出強化する元素を実験により検
討した。その結果、レール頭部内部と比べて比較的冷却
速度の早いレール頭表面では、VとNbは冷却途中にベ
イナイト組織のフェライト地に炭化物や窒化物として析
出せず、ベイナイト組織中に固溶することが確認され、
溶接熱影響での再加熱過程においてベイナイト組織のフ
ェライト地に析出し、ベイナイト組織を析出強化できる
可能性が高いことが確認された。
【0020】さらに、本発明者らはVとNbの添加量を
変化させたベイナイト鋼(炭素量0.15〜0.45
%)を用いて、オーステナイト化後、加速冷却、さらに
溶接熱影響を再現した焼戻し実験を行い、V,Nbの析
出強化挙動を確認した。その結果、Nbは低温度域から
高温度域まで安定的に炭化物を析出する効果、Vは比較
的高温度域で炭化物を多量に析出する効果があることが
確認された。したがって、NbとVを組み合わせること
により、レール溶接継ぎ手部の熱影響部において、再加
熱温度が低く、硬度低下が少ない部位から、再加熱温度
が高く、硬度低下が大きい部位まで、それぞれの硬度低
下量に応じて析出物の量を制御することが可能となり、
硬度低下領域の拡大、硬度低下量の増加を防止できるこ
とを見出した。
【0021】これらの知見に基づき、さらに本発明者ら
は、V,Nbの添加量とレール頭表部の溶接熱影響部で
の硬度上昇の関係について調査し、VとNbの添加量バ
ランスおよび最適成分範囲について詳細に検討した。そ
の結果、同一添加量(wt%)で比較すると、Nbの溶接
熱影響部での硬度上昇量(析出強化)はVと比較して約
10倍の効果があることが明らかとなり、NbとVを組
み合わた硬度上昇効果は、V(wt%)+10×Nb(wt
%)の和で表わすことが可能であることを知見した。さ
らに、溶接熱影響部の硬度低下を安定的に改善するに
は、Nb、Vのそれぞれの添加成分範囲に加えて、V
(wt%)+10×Nb(wt%)の和に一定の範囲が存在
することを見出した。
【0022】以下に本発明の限定理由について詳細に説
明する。 (1)レール鋼の化学成分 まず、本発明において、レールの化学成分を上記のよう
に限定した理由について説明する。Cは、ベイナイト組
織の強度と耐摩耗性を確保するための必須元素である
が、0.15%未満では、ベイナイト組織中にフェライ
ト組織が生成し、ベイナイトレールに必要とされる強度
や耐摩耗性を確保することが難しくなる。また0.45
%を超えると、ベイナイト組織中にころがり疲労損傷の
発生に有害なパーライト組織が多く生成しやすくなるこ
とや、ベイナイト変態速度が著しく低下し、レールの靭
性に有害なマルテンサイト組織が生成しやすくなるた
め、C量を0.15〜0.45%に限定した。
【0023】Siは、ベイナイト組織中のフェライト素
地への固溶体硬化により強度を向上させる元素である
が、0.10%未満ではその効果が期待できない。また
2.00%を超えると、レール熱間圧延時に表面疵が発
生し易くなることや、ベイナイト組織中にマルテンサイ
ト組織が生成し、レールの耐摩耗性および靱性を低下さ
せるため、Si量を0.10〜2.00%に限定した。
【0024】Mnは、C同様に鋼の焼入性を高め、ベイ
ナイト組織を安定的に生成させるためには欠かせない元
素である。本成分系においては、Mn量が0.20%未
満ではその効果が微弱であり、添加元素の組み合わせに
よっては、ベイナイト組織中に耐摩耗性に有害なフェラ
イト組織や耐表面損傷性に有害なパーライト組織が生成
しやすくなる。また3.00%を超えると、ベイナイト
組織の変態速度が低下し、レールの耐摩耗性および靱性
に有害なマルテンサイト組織が生成し易くなるため、M
n量を0.20〜3.00%に限定した。
【0025】Crは、ベイナイト組織中の炭化物を微細
に分散させ、強度を確保するために重要な元素である
が、0.20%未満ではその効果が微弱であり、添加元
素の組み合わせによっては、ベイナイト組織を安定的に
得ることが困難となる。また3.00%を超えると、ベ
イナイト組織中にマルテサイト組織が生成しやすく、レ
ールの靱性や耐摩耗性を低下させることから、Cr量を
0.20〜3.00%に限定した。
【0026】Vは、CまたはNと結合して、圧延後の冷
却中にV炭化物、V窒化物を形成し、ベイナイト組織中
のフェライト地に析出することにより、冷却速度の比較
的遅いレール頭部内部の硬度を向上させる元素であると
同時に、Ac1 点以下の温度域に再加熱された熱影響部
において、V炭化物を比較的高温度域で生成させ、溶接
継ぎ手部熱影響部のベイナイト組織の硬度低下を防止す
るのに有効な成分であるが、0.01%未満ではその効
果が十分に期待できず、0.30%を超えて添加しても
それ以上の効果が期待できないことから、V量を0.0
1〜0.30%に限定した。
【0027】NbはVと同様に、熱間圧延後の冷却
で生成したNb炭・窒化物による析出硬化でベイナイト
組織の強度を高めると同時に、Ac1点以下の温度域に
再加熱された熱影響部において、Nb炭化物を低温度域
から高温度域まで安定的に生成させ、溶接継ぎ手部熱影
響部のベイナイト組織の硬度低下を防止するのに有効な
成分である。その効果は、0.01%以下では十分に期
待できず、また0.05%以上の過剰な添加を行うと、
Nbの金属間化合物や粗大析出物が生成してレールの靭
性を低下させることから、Nb量を0.01超〜0.0
5%未満に限定した。
【0028】なお、VとNbを複合添加する目的として
は、レール頭表部と比較して冷却速度の遅いレール頭部
内部において、圧延後の冷却中にベイナイト組織中のフ
ェライト地にVの炭化物や窒化物、Nbの炭・窒化物が
析出し、両合金の相乗効果により、レール頭部内部の硬
度が安定的に向上することや、溶接熱影響を受けたベイ
ナイト組織においては、Nbは低温度域から高温度域ま
で安定的に炭化物を析出する効果、Vは比較的高温度域
で炭化物を多量に析出する効果を有し、NbとVを組み
合わせることにより、レール溶接継ぎ手部の熱影響部に
おいて、硬度低下量に応じて析出物の量を制御すること
が可能になるからである。
【0029】また、上記の成分組成で製造されるレール
は強度、延性、靭性、さらには溶接時の材料劣化を防止
する目的で、Mo、Ti、Ni、Cu、Mg、Ca、B
の元素を必要に応じて1種類または2種以上を以下の成
分範囲で添加する。 Mo:0.01〜1.00%、 Ti:0.005〜0.050%、 Ni:0.05〜1.00%、 Cu:0.05〜0.50%、 Mg:0.0010〜0.0100%、 Ca:0.0010〜0.0150%、 B :0.0001〜0.0050% ここで、Moはベイナイト組織の安定化と強度向上、T
i、Niは延性や靭性の向上、Cuは強度向上、Mg、
Caは延性及び靭性の向上、Bはベイナイト組織の安定
化を図ることを目的として添加する。
【0030】Moは、MnあるいはCrと同様に、ベイ
ナイト変態温度を下げ、ベイナイト変態の安定化及びベ
イナイト組織の強化に寄与する元素であるが、0.01
%未満では効果が十分でなく、1.00%を超えるとベ
イナイト組織の変態速度が著しく低下し、Mn、Crと
同様に、レールの耐摩耗性及び靱性に有害なマルテンサ
イト組織が生成し易くなるため、Mo量を0.01〜
1.00%に限定した。
【0031】Tiは、溶解・凝固時に析出したTi炭化
物、Ti窒化物がレール圧延時加熱の高温でも溶解しな
いことを利用して、レール圧延加熱時のオーステナイト
結晶粒の微細化を図り、ベイナイト組織の延性や靱性の
改善に寄与する元素であるが、0.005%未満ではこ
れらの効果が十分に発揮されず、また0.050%を超
えて添加すると、粗大な窒化物(TiN)や炭化物(T
iC)が生成し、レールの延性や靱性が低下すると同時
に、レール使用中の疲労損傷の起点となりやすいため、
Ti量を0.005〜0.050%に限定した。
【0032】Niは、オーステナイトを安定化させる元
素であり、ベイナイト変態温度を下げ、ベイナイト組織
を微細化し、延性や靭性を向上させる効果を有するが、
0.05%未満ではその効果が著しく小さく、また1.
00%を超えて添加するとベイナイト変態速度が大きく
低下し、レールの耐摩耗性、靭性に有害なマルテンサイ
ト組織を生成しやすくするため、Ni量を0.05〜
1.00%に限定した。
【0033】Cuは、鋼の靭性を損なわず強度を向上さ
せる元素であり、その効果は0.05〜0.50%の範
囲で最も大きく、また0.50%を超えると赤熱脆化を
生じやすくなることから、Cu量を0.05〜0.50
%に限定した。
【0034】Mgは、O、またはSやAl等と結合して
微細な酸化物を形成し、レール圧延時の再加熱におい
て、結晶粒の粒成長を抑制し、オーステナイト粒の微細
化を図り、ベイナイト組織の延性や靭性を向上させるの
に有効な元素である。さらに、MgO,MgSがMnS
を微細に分散させ、MnSの周囲にMnの希薄帯を形成
し、ベイナイト変態を促進させ、その結果ベイナイト組
織を微細化することにより、延性や靭性を向上させるの
に有効な元素である。しかし0.0010%未満ではそ
の効果は弱く、0.0100%を超えて添加すると、M
gの粗大酸化物が生成してレール延性や靭性を劣化させ
るため、Mg量を0.0010〜0.0100%に限定
した。
【0035】Caは、Sとの結合力が強く、CaSとし
て硫化物を形成し、さらにCaSがMnSを微細に分散
させ、MnSの周囲にMnの希薄帯を形成し、ベイナイ
ト変態を促進させ、その結果ベイナイト組織を微細化す
ることにより、延性や靭性を向上させるのに有効な元素
である。しかし、0.0010%未満ではその効果は弱
く、0.0150%を超えて添加するとCaの粗大酸化
物が生成してレール延性や靭性を劣化させるため、Ca
量を0.0010〜0.0150%に限定した。
【0036】Bは、旧オーステナイト粒界から生成する
初析フェライト組織や、これに伴い変態するパーライト
組織の生成を抑制し、ベイナイト組織を安定的に生成さ
せる元素である。しかし0.0001%未満ではその効
果は弱く、0.0050%を超えて添加すると、オース
テナイト粒界にBの窒化物や炭化物が生成し、逆に焼入
れ性を低下させる初析フェライト組織やパーライト組織
を生成しやすくするため、B量を0.0001〜0.0
050%に限定した。
【0037】(2)V,Nbの和の式及びその範囲 次に、本発明においてレールの溶接熱影響部の硬さを示
す指標として、V(wt%)+10×Nb(wt%)式
及びその範囲を限定した理由を説明する。ベイナイト組
織のレールにおいて、V、Nbの添加量とレール頭表部
の溶接熱影響部での硬度上昇量の関係について調査した
結果、同一添加量(wt%)で比較すると、Nbの溶接
熱影響部での硬度上昇量(析出強化)はVと比較して約
10倍の効果があることが明らかとなった。したがっ
て、レール頭表部の溶接熱影響部での硬度上昇量を示す
指標として、上記の式を限定した。
【0038】さらに、上記式の値の範囲を限定した理由
について説明する。上記式の値が0.14未満になる
と、溶接熱影響部での硬度上昇量が極端に低下し、溶接
熱影響部の硬度低下領域やその低下量の増加を防止する
ことが困難となり、局部的な摩耗が発生し、結果として
列車走行時の騒音、振動が増加する。また上記式の値が
0.50以上になると、V、Nbの偏析により、溶接熱
影響部での硬度上昇量にばらつきが発生し、結果的に溶
接熱影響部の硬度分布が安定せず、局部的な摩耗の発生
により列車走行時の騒音、振動が増加するため、V(w
t%)+10×Nb(wt%)の総和を0.14〜0.
50の範囲に限定した。
【0039】なお、上記式中のV、Nbの値は全て質量
%である。また、V、Nbのいずれかの添加量が上記成
分の限定範囲を満たさないない場合は、上記式の値が範
囲を満たしても、溶接熱影響部の硬度特性が十分に改善
させないため、本発明では限定範囲外とする。
【0040】(3)ベイナイト組織の硬さ及びその範囲 次に、ベイナイト組織の硬さをHv330〜500の範
囲に限定した理由について説明する。硬さがHv330
未満になると、直線区間に準じた曲率半径の緩い曲線区
間では、G.C.部にレールと車輪の強い接触によるメ
タルフローが生成しやすく、これに伴いきしみ割れやフ
レーキング損傷などの表面損傷が発生する。さらに、使
用環境の苛酷な貨物鉄道などでは、レール頭部内部の低
強度部から疲労き裂が発生しやすくなり、レールの使用
寿命が低下する。また、硬さがHv500を超えると、
摩耗が極度に抑制され、耐表面損傷が発生しやすくなる
ことや、延性や靭性が極度に低下し、レールに必要とさ
れる延靭性を確保することができないことから、ベイナ
イト組織の硬さをHv330〜500の範囲に限定し
た。
【0041】次に、ベイナイト組織を有する範囲を、頭
部コーナー部および頭頂部の該頭部表面を起点として少
なくとも深さ20mmの範囲に限定した理由を説明する。
20mm未満では、レール頭部に必要とされている耐ころ
がり疲労損傷性領域としては小さく、十分な寿命改善効
果が得られないためである。また、前記ベイナイト組織
を呈する範囲が、頭部コーナー部および頭頂部の該頭部
表面を起点として深さ30mm以上であれば、寿命改善効
果がさらに増し、より望ましい。
【0042】なお、硬さの差の最大値がHv50を超え
ると、上記のような内部疲労損傷が発生する懸念があ
る。しかし、硬さの差の最大値がHv50以内であれ
ば、発生するき裂も軽微であり、実用上大きな問題とは
ならない。したがって、硬さの差の最大値がHv50以
内であれば、実用レールとして十分な特性を有する。さ
らに、硬さの差の最大値をHv40以内とすれば、上記
のような軽微なき裂損傷もほとんど発生せず、十分な耐
内部疲労損傷性を有するのでより好ましい。
【0043】本発明レールの金属組織はベイナイト組織
であることが望ましが、その製造方法によっては、ベイ
ナイト組織中に微量なマルテンサイト組織やフェライト
組織、パーライト組織が混入することがある。しかし、
ベイナイト組織中に微量なマルテンサイト組織やフェラ
イト組織、パーライト組織が混入してもレールの耐ころ
がり疲労損傷性、耐内部疲労損傷性、溶接継ぎ手特性に
は大きな影響をおよぼさないため、本ベイナイト系レー
ルの組織としては若干の上記記述の組織の混在も含んで
いる。
【0044】(4)レールの熱処理製造法 上記のような成分組成で構成されるレール鋼は、転炉、
電気炉などの通常使用される溶解炉で溶製を行い、この
溶鋼を造塊・分塊法あるいは連続鋳造法により鋼片と
し、さらに熱間圧延を経てレールとして製造される。次
に、この熱間圧延されたレールの頭表部を、Ar1点以
上の温度から1〜20℃/secの冷却速度で加速冷却し、
前記鋼レールの頭表部が500〜300℃に達した時点
で加速冷却を停止し、その後引き続き常温域まで自然冷
却するか、または、加速冷却停止後に変態発熱およびレ
ール内部から発生する復熱による温度上昇を抑える冷却
を行う。またはさらに、加速冷却停止後に制御冷却を行
う。
【0045】このようにして製造されるレールは、まず
加速冷却することにより、高温度域でのベイナイト変態
を抑制し、その後引き続き、常温域まで冷却することに
より、低温度域でベイナイト変態を安定的に完遂させ、
ある一定範囲の硬さを持ったベイナイト組織を得ること
が可能となる。そして、レール頭部の硬さをより一層安
定化させ、さらに硬さを上昇させる目的のため、加速冷
却後のレール頭表部において、変態発熱およびレール内
部から発生する復熱による温度上昇を抑える冷却、さら
には制御冷却速度を実施する。
【0046】次に、レール製造時の加速冷却前の温度条
件、加速冷却条件、その後の冷却条件を上記のように限
定した理由について詳細に説明する。まず、レール頭表
部を加速冷却する前の温度条件について説明する。ベイ
ナイト組織を安定的に得るためには、少なくともレール
頭部全体をオーステナイト化する必要があることから、
加速冷却開始温度をAr1 点以上と規定した。ここで、
上記の「レール頭部」とは、図3に示す頭頂部(符号:
1)、頭部コーナー部(符号:2)を含む頭部全体の領
域を指すものである。
【0047】通常、熱間圧延はAr1 点より高い温度で
終了するため、これに引き続き加速冷却を行えばよい
が、設備構成などの理由がある場合は再加熱を行っても
良い。この場合は、レール頭部をAc1点+30℃以上
まで加熱するのが、オーステナイト化を確実に行う上で
好ましい。なお温度の上限は特に規定しないが、あまり
高温度にすると液相が現れ、オーステナイト相が不安定
になるため、実質1450℃が上限となる。
【0048】次に、加速冷却停止温度までの加速冷却速
度を1〜20℃/sec の範囲に限定した理由について説
明する。上記成分系において1℃/sec 未満で加速冷却
すると、成分系によってはフェライト組織やパーライト
組織が生成し、ダークスポット損傷などの表面損傷が発
生する。さらに、高温度域で硬さの低いベイナイト組織
が多く生成し、強度低下により塑性変形起因のフレーキ
ング損傷等が発生する。また20℃/sec を超えて加速
冷却すると、加速冷却後の自然冷却においてレール内部
から制御不可能な大きな復熱が発生する。このため、レ
ール頭部内部では復熱中の高温度域でベイナイト変態が
始まり、ベイナイト組織の硬さが低下し、レール頭表部
と内部の硬度差が大きくなり、内部疲労損傷が発生す
る。また、加速冷却後に引き続き制御冷却を行う場合に
は、この制御冷却中にベイナイト変態が完遂せず、マル
テンサイト組織が多く生成し、レールの耐摩耗性や靭性
が大きく低下することから、加速冷却速度範囲を1〜2
0℃/sec の範囲に限定した。
【0049】次に、オーステナイト域温度からの加速冷
却停止温度を500〜300℃の範囲に限定した理由に
ついて説明する。本成分系において500℃を超えて冷
却を停止すると、加速冷却直後の高温度域でベイナイト
変態が始まり、硬さの低いベイナイト組織が多く生成
し、強度低下により塑性変形起因のフレーキング損傷等
が発生する。また300℃未満まで冷却すると、加速冷
却後の自然冷却において、レール内部からの復熱量が十
分でなく、復熱中にベイナイト変態が完全に終了せず、
マルテンサイト組織が多く生成し、レールの靭性が著し
く低下する。また加速冷却後に引き続き制御冷却を行う
場合には、この制御冷却中にベイナイト変態が完遂せ
ず、マルテンサイト組織が多く生成し、レールの耐摩耗
性や靭性が大きく低下することから、加速冷却停止温度
を500〜300℃の範囲に限定した。
【0050】次に、加速冷却後のレール頭表部におい
て、変態発熱やレール内部から発生する復熱による温度
上昇を50℃以下に限定した理由について説明する。本
成分系レールの頭表部をオーステナイト域温度から加速
冷却し、500〜300℃の温度範囲で加速冷却を停止
した場合、加速冷却速度の選び方によってはレール頭表
部において最高150℃の温度上昇が実験により確認さ
れている。この程度の温度上昇では、請求項1に規定し
た範囲での一定範囲の硬さを持ったベイナイト組織は安
定的に生成し、大きな問題はない。しかしながらこの温
度上昇は加速冷却速度、加速冷却停止温度に大きく影響
されるため、部位により温度上昇量にばらつきが生じ、
それに伴いベイナイト変態温度が変化して、硬さに若干
のばらつきや低下が発生しやすい。
【0051】このため、レール頭部の硬さをより一層安
定化させ、さらに、硬さを上昇させる目的のため、加速
冷却停止後のレール頭表面の変態発熱やレール内部から
発生する復熱による温度上昇を50℃以下と規定した。
なおこの冷却においては、温度上昇0〜50℃の範囲で
の恒温変態的な温度変化や不規則な温度変化も含んでい
る。
【0052】次に、加速冷却後のレール頭表部の制御冷
却速度を1〜40℃/min の範囲に限定した理由につい
て説明する。1℃/min 未満で冷却すると、加速冷却停
止温度によっては加速冷却直後の高温度域でベイナイト
変態が始まり、硬さの低いベイナイト組織が多く生成
し、強度低下により塑性変形起因のフレーキング損傷等
が発生する。また、40℃/min を超えて冷却すると、
加速冷却後の制御冷却中にベイナイト変態を完全に終了
せず、マルテンサイト組織が生成し、レールの耐摩耗性
や靭性が著しく低下する。このため冷却速度を1〜40
℃/min の範囲に限定した。
【0053】加速冷却時の冷却媒体としては、所定の冷
却速度を得るため、空気、ミスト、水・空気混合冷媒、
あるいはこれらの組合わせ、および、油、熱湯、ポリマ
ー+水、ソルトバスへのレール頭部あるいは全体を浸漬
等を用いることが望ましい。また、加速冷却後の変態発
熱およびレール内部から発生する復熱による温度上昇を
抑える冷却、制御冷却時の冷却媒体としては空気あるい
は空気を主としたミストなどを用いことが望ましい。
【0054】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。 レールに関する実施例 表1に、本発明レール鋼の化学成分、頭頂部硬さ及び頭
部ミクロ組織を示す。また表1には、図4に示すころが
り疲労損傷試験機による水潤滑ころがり疲労試験結果、
図5に示す転動疲労試験結果も併記した。表2に、比較
レール鋼の化学成分、頭頂部硬さおよび頭部ミクロ組織
を示す。また表2には、図4に示すころがり疲労損傷試
験機による水潤滑ころがり疲労試験結果、図5に示す転
動疲労試験結果も併記した。なお図4において、3は車
輪試験片、4はレール円盤試験片、5は車輪側モータ
ー、6はレール側モーターである。また図5において、
7は水潤滑装置、8はレール移動用スライダー、9はレ
ール、10は車輪、11はモーター、12は荷重負荷装
置を示す。
【0055】図6,図7は本発明レール鋼(符号:F、
I)の頭部断面硬度分布の一例である。また図8,図9
は比較レール鋼(符号:R、S)の頭部断面硬度分布の
一例である。図10は、本発明レール鋼(符号:F)と
比較レール鋼(符号:U)のフラッシュバット溶接継ぎ
手部のレール頭表部長手方向硬度分布の一例である。ま
た図11は、本発明レール鋼(符号:I)と比較レール
鋼(符号:V)のフラッシュバット溶接継ぎ手部のレー
ル頭表部長手方向硬度分布の一例である。
【0056】レールの製造法に関する実施例 表3に、本発明レール鋼の頭部熱処理条件、頭頂部硬さ
および頭部ミクロ組織を示す。また表3には、図4に示
すころがり疲労損傷試験機による水潤滑ころがり疲労試
験結果、図5に示す転動疲労試験結果も併記した。表4
に、比較レール鋼の頭部熱処理条件、頭頂部硬さおよび
頭部ミクロ組織を示す。また表4には、図4に示すころ
がり疲労損傷試験機による水潤滑ころがり疲労試験結
果、図5に示す転動疲労試験結果も併記した。
【0057】レールの構成は以下のとおりである。(1) レールに関する実施例 ・本発明レール鋼(10本) 表1符号:A〜 化学成分が上記限定範囲内であり、レールの頭部コーナ
ー部および頭頂部表面を起点として少なくとも深さ20
mmの範囲がベイナイト組織を呈し、前記範囲のベイナイ
ト組織の硬さがHv330〜500の範囲であり、か
つ、その硬さの差がHv40またはHv50以下である
ベイナイト組織である耐ころがり疲労損傷性、耐内部疲
労損傷性、溶接継ぎ手特性に優れたベイナイト系レール
である。
【0058】・比較レール鋼(11本) 表2符号:L
〜V 符号L〜M:現在旅客鉄道で使用されているパーライト
組織の比較レール鋼。 符号N〜S:化学成分が上記限定範囲外である比較レー
ル鋼。 符号T :化学成分は上記限定範囲内であるが、硬さ
が上記限定範囲外である比較レール鋼。 符号U、V:V(wt%)+10×Nb(wt%)の値
が上記限定範囲外である比較レール鋼である。
【0059】(2) レールの製造法に関する実施例 ・本発明レール鋼(7本) 符号:1〜7 化学成分、頭表部熱処理条件が上記限定範囲内であり、
レールの頭部コーナー部および頭頂部表面を起点として
少なくとも深さ20mmの範囲がベイナイト組織を呈し、
前記範囲のベイナイト組織の硬さがHv330〜500
の範囲であり、かつ、その硬さの差がHv40またはH
v50以下であるベイナイト組織である耐ころがり疲労
損傷性、耐内部疲労損傷性、溶接継ぎ手特性に優れたベ
イナイト系レールである。
【0060】・比較レール鋼(7本) 符号:8〜14 化学成分は上記限定範囲内であるが、頭表部熱処理条件
が上記限定範囲外である比較レール鋼である。
【0061】ころがり疲労試験は下記条件で実施した。 ・試験機 :ころがり疲労試験機(図4参照) ・試験片形状:円盤状試験片 (レール 外径:200mm、レール材断面形状:60
Kレールの1/4モデル) (車輪 外径:200mm、車輪材断面形状:円弧踏
面車輪の1/4モデル) ・試験荷重 :1.0トン(ラジアル荷重) ・雰囲気 :乾燥+水潤滑(60cc/min) ・回転数 :乾燥:100rpm、水潤滑:300r
pm ・繰返し回数:0〜5000回まで乾燥状態、その後、
水潤滑により損傷発生および摩耗限界まで(損傷が発生
しない場合は200万回で試験を中止)。
【0062】転動疲労試験の条件は次のとおりとした。 ・試験機:転動疲労試験機(図5参照) ・試験片形状 レール:136ポンドレール×2m 車 輪:AARタイプ(直径920mm) ・ラジアル荷重:147000N ・スラスト荷重: 9800N ・潤滑 :ドライ+油(間欠給油) ・繰返し回数 :損傷発生まで(損傷が発生しない場合
は1000万回で試験を中止)。
【0063】フラッシュバット溶接条件は次のとおりと
した。 ・溶接機 :K−355(ソ連製) ・容量 :150KVA ・二次電流 :最大20000Amp. ・クランプ力 :最大125ton ・余熱時間 :90sec ・フラッシング時間:150sec ・アップセット量 :15mm
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
【発明の効果】表1、2に示したように、本発明レール
鋼は比較レール鋼と比べて、Mn、Cr等の合金元素の
適切な選択によりベイナイト組織とし、さらに、図6〜
図9に示したように、本発明レール鋼はV、Nb複合添
加およびその添加量の調整を行い、比較レール鋼と比べ
てレール頭部内部の硬さを上昇させることより、現行の
パーライト組織レール鋼で問題となっていたダークスポ
ット損傷などのころがり疲労損傷を防止し、同時に、レ
ール頭部の内部疲労損傷の発生を抑制することができ
る。
【0069】また、V(wt%)+10×Nb(wt%)の
和を上記請求範囲内に制御することにより、図10,図
11に示したように、溶接継ぎ手熱影響部の硬度低下量
およびその領域が軽減され、レール頭表部の局部的な摩
耗を抑制することが可能となる。本発明によって、鉄道
用レールに要求される、耐ころがり疲労損傷性、耐内部
疲労損傷性、溶接継ぎ手特性を兼ね備えたレールの提供
が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】ベイナイトレール頭部断面硬度分布の一例を示
す図。
【図2】ベイナイト組織とパーライト組織のレールのフ
ラッシュバット溶接継ぎ手部の頭表部長手方向硬度分布
を示す図。
【図3】レール頭部断面表面位置の呼称およびベイナイ
ト組織の必要範囲を示す図。
【図4】ころがり疲労損傷試験機の概略図。
【図5】転動疲労試験機の概要図。
【図6】本発明レール鋼(符号:F)の頭部断面硬度分
布を示す図。
【図7】本発明レール鋼(符号:I)の頭部断面硬度分
布を示す図。
【図8】比較レール鋼(符号:R)の頭部断面硬度分布
を示す図。
【図9】比較レール鋼(符号:S)の頭部断面硬度分布
を示す図。
【図10】本発明レール鋼(符号:F)、および比較レ
ール鋼(符号:U)のフラッシュバット溶接継ぎ手部の
レール頭表部長手方向硬度分布を示す図。
【図11】本発明レール鋼(符号:I)、および比較レ
ール鋼(符号:V)のフラッシュバット溶接継ぎ手部の
レール頭表部長手方向硬度分布を示す図。
【符号の説明】
1:頭頂部 2:頭部コーナー部 3:車輪試験片 4:レール円盤試験片 5:モーター(車輪側) 6:モーター(レール側) 7:水潤滑装置 8:レール移動用スライダー、 9:レール、 10:車輪、 11:モーター、 12:荷重負荷装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 301 C21D 9/04 C22C 38/38 C22C 38/58

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、 C :0.15〜0.45%、 Si:0.10〜2.00%、 Mn:0.20〜3.00%、 Cr:0.20〜3.00%、 V :0.01〜0.30%、 Nb:0.01超〜0.05%未満を含有し、V+10
    ×Nbの和が0.14以上、0.50以下であり、残部
    がFeおよび不可避不純物からなるレールであって、前
    記レールの頭部コーナー部および頭頂部表面を起点とし
    て少なくとも深さ20mmの範囲がベイナイト組織を呈
    し、前記範囲のベイナイト組織の硬さがHv330〜5
    00の範囲であり、かつ、その硬さの差がHv50以下
    であるベイナイト組織であることを特徴とする耐ころが
    り疲労損傷性、耐内部疲労損傷性、溶接継ぎ手特性に優
    れたベイナイト系レール。
  2. 【請求項2】 質量%で、さらに、 Mo:0.01〜1.00%、を含有することを特徴と
    する請求項1記載の耐ころがり疲労損傷性、耐内部疲労
    損傷性、溶接継ぎ手特性に優れたベイナイト系レール。
  3. 【請求項3】 質量%で、さらに、 Ti:0.005〜0.050%、 Ni:0.05〜1.00%の1種または2種を含有す
    ることを特徴とする請求項1もしくは2記載の耐ころが
    り疲労損傷性、耐内部疲労損傷性、溶接継ぎ手特性に優
    れたベイナイト系レール。
  4. 【請求項4】 質量%で、さらに、 Cu:0.05〜0.50%を含有することを特徴とす
    る請求項1ないし3のいずれかに記載の耐ころがり疲労
    損傷性、耐内部疲労損傷性、溶接継ぎ手特性に優れたベ
    イナイト系レール。
  5. 【請求項5】 質量%で、さらに、 Mg:0.0010〜0.0100%、 Ca:0.0010〜0.0150%の1種または2種
    を含有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれ
    かに記載の耐ころがり疲労損傷性、耐内部疲労損傷性、
    溶接継ぎ手特性に優れたベイナイト系レール。
  6. 【請求項6】 質量%で、さらに、 B :0.0001〜0.0050%を含有することを
    特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の耐ころ
    がり疲労損傷性、耐内部疲労損傷性、溶接継ぎ手特性に
    優れたベイナイト系レール。
  7. 【請求項7】 質量%で、 C :0.15〜0.45%、 Si:0.10〜2.00%、 Mn:0.20〜3.00%、 Cr:0.20〜3.00%、 V :0.01〜0.30%、 Nb:0.01超〜0.05%未満を含有し、V+10
    ×Nbの和が0.14以上、0.50以下であり、残部
    がFeおよび不可避不純物からなる鋼片をレールの形状
    に熱間圧延し、引き続き鋼レールの頭表部を、Ar1点
    以上の温度から1〜20℃/secの冷却速度で加速冷却
    し、前記鋼レールの頭表部が500〜300℃に達した
    時点で加速冷却を停止し、その後、引き続き常温域まで
    自然冷却することを特徴とする耐ころがり疲労損傷性、
    耐内部疲労損傷性、溶接継ぎ手特性に優れたベイナイト
    系レールの製造法。
  8. 【請求項8】 加速冷却停止後に、変態発熱およびレー
    ル内部から発生する復熱による、レール頭表部における
    温度上昇を、加速冷却停止温度より50℃以下に抑える
    ことを特徴とする請求項7に記載の耐ころがり疲労損傷
    性、耐内部疲労損傷性、溶接継ぎ手特性に優れたベイナ
    イト系レールの製造法。
  9. 【請求項9】 加速冷却停止後、引き続きレール頭表部
    を常温域まで1〜40℃/minで制御冷却することを特徴
    とする請求項7もしくは8に記載の耐ころがり疲労損傷
    性、耐内部疲労損傷性、溶接継ぎ手特性に優れたベイナ
    イト系レールの製造法。
  10. 【請求項10】 質量%で、さらに、 Mo:0.01〜1.00%を含有することを特徴とす
    る請求項7ないし9のいずれかに記載の耐ころがり疲労
    損傷性、耐内部疲労損傷性、溶接継ぎ手特性に優れたベ
    イナイト系レールの製造法。
  11. 【請求項11】 質量%で、さらに、 Ti:0.005〜0.050%、 Ni:0.05〜1.00%の1種または2種を含有す
    ることを特徴とする請求項7ないし10のいずれかに記
    載の耐ころがり疲労損傷性、耐内部疲労損傷性、溶接継
    ぎ手特性に優れたベイナイト系レールの製造法。
  12. 【請求項12】 質量%で、さらに、 Cu:0.05〜0.50%を含有することを特徴とす
    る請求項1ないし11のいずれかに記載の耐ころがり疲
    労損傷性、耐内部疲労損傷性、溶接継ぎ手特性に優れた
    ベイナイト系レールの製造法。
  13. 【請求項13】 質量%で、さらに、 Mg:0.0010〜0.0100%、 Ca:0.0010〜0.0150%の1種または2種
    を含有することを特徴とする請求項7ないし12のいず
    れかに記載の耐ころがり疲労損傷性、耐内部疲労損傷
    性、溶接継ぎ手特性に優れたベイナイト系レールの製造
    法。
  14. 【請求項14】 質量%で、さらに、 B :0.0001〜0.0050%を含有することを
    特徴とする請求項7ないし13のいずれかに記載の耐こ
    ろがり疲労損傷性、耐内部疲労損傷性、溶接継ぎ手特性
    に優れたベイナイト系レールの製造法。
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