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JP3515358B2 - 波長分割多重型光伝送システムおよび方法 - Google Patents

波長分割多重型光伝送システムおよび方法

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Publication number
JP3515358B2
JP3515358B2 JP03185398A JP3185398A JP3515358B2 JP 3515358 B2 JP3515358 B2 JP 3515358B2 JP 03185398 A JP03185398 A JP 03185398A JP 3185398 A JP3185398 A JP 3185398A JP 3515358 B2 JP3515358 B2 JP 3515358B2
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JP
Japan
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wavelength
optical
dispersion
signal
division multiplexing
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JP03185398A
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正彦 神野
匡 阪本
茂樹 相澤
誠司 乗松
淳一 可児
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分散シフトファイ
バを用いて波長分割多重光信号を伝送する波長分割多重
型光伝送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】波長分割多重(WDM)伝送技術は、互
いに異なる波長(光周波数)の複数の光信号を多重化
し、1本の光ファイバ伝送路を介して伝送させる技術で
ある。ここで、光信号とは、光源の出力光をデータ信号
で直接変調したもの(直接変調方式)、または光源から
出力される光搬送波を外部変調器を用いてデータ信号で
変調したもの(外部変調方式)であり、その波長は光源
波長により決まる。
【0003】一方、光ファイバ伝送路の途中に光信号を
光のまま増幅する光増幅器を配置し、光ファイバ伝送路
の伝送損失を補償することにより、電気段における識別
再生処理を必要とする再生中継間隔の延長が可能になっ
ている。この光増幅器は、波長分割多重された複数の波
長の光信号を一括して増幅する機能を有しているので送
信側および受信側の装置を波長分割多重用に変更するだ
けで、既設の光ファイバ伝送路の伝送容量を波長数倍に
増加させることができる。例えば、エルビウム添加光フ
ァイバ増幅器(EDFA)の増幅波長帯域は1.53μ
mから1.56μmであり、この波長帯に波長間隔0.
8nmで複数の光信号を多重化することにより、30チ
ャネル前後の光信号を1本の光ファイバで伝送させるこ
とができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、既設の分散
シフトファイバは、設計された零分散波長の光信号を伝
送するようになっている。この分散シフトファイバに波
長分割多重光信号を伝送させると、非線形光学効果の1
つである四光波混合によるクロストークが発生し、その
ために伝送路ファイバへの入力パワーを大きくすること
ができなかった。以下、この問題点について詳しく説明
する。
【0005】石英系光ファイバの伝送損失は1.5μm
から1.6μm付近で最小になる。分散シフトファイバ
は、波長1.55μm付近で波長分散が0となるように
設計され、この波長における波長分散による波形劣化を
抑えることにより伝送距離を拡大させている。また、分
散シフトファイバは、国際標準機関により零分散波長が
1.525μmから1.575μmとなるように規定さ
れているが、実質的には1.550μmを中心におおむ
ね1.535μmから1.565μmに分布しており、
現在までに広く敷設されている。
【0006】一方、波長が異なる複数の光を光ファイバ
に入力すると、光ファイバ中の3次の非線形性に基づい
て、光周波数差に依存した新たな光周波数の光が発生す
る。これは四光波混合と呼ばれ、光周波数f1,f2,f
3の3つの光から例えば光周波数f1+f2−f3の光を発
生させる現象である。この四光波混合は、入力光波長に
おける分散値が小さいほど、また1波長当たりの入力パ
ワーが大きいほど発生しやすい。
【0007】このような光ファイバに入力される波長分
割多重光信号の光周波数間隔が一定であれば、四光波混
合により新たに発生する光の光周波数がもとの光信号の
うちのいずれか1波の光周波数と一致し、互いに干渉し
て強度雑音が発生する。また、波長分割多重光信号の光
周波数間隔が一定でない場合でも、もとの光信号の光パ
ワーが四光波混合の発生に費やされ、これが強度雑音と
なる。四光波混合を要因とする過剰雑音は、波長分割多
重光信号の光周波数間隔が等間隔の場合には1波長当た
りの入力パワーが−5dBm程度から発生し、不等間隔
の場合には1波長当たりの入力パワーが−2dBm程度
から発生する。このため、光ファイバ伝送路に入力可能
な光パワーは、その値を越えることができず、結果的に
伝送距離が制限されることになる。
【0008】本発明は、波長分割多重光信号を伝送する
光伝送路に既設の分散シフトファイバを用い、かつ分散
シフトファイバへの許容光入力パワーを大きくすること
ができる波長分割多重型光伝送システムを提供すること
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のうち請求項1に記載の発明は、零分散波長
が1550nm付近にある分散シフトファイバを伝送路
する波長分割多重型光伝送システムにおいて、波長多重
された複数の信号光のうち、少なくとも2つの信号光の
波長が1450nmから1530nmの間、1570n
mから1650nmの間のいずれかに配置され、前記分
散シフトファイバの分散を0.35 p s /km/nm以
上とすることを特徴とする波長分割多重型光伝送システ
ムである。また、請求項2記載の発明は、請求項1に記
載の波長分割多重型光伝送システムにおいて、前記波長
多重された複数の信号光の波長のうち、少なくとも2つ
の信号光の波長が1450nmから1530nmの間に
配置され、前記分散シフトファイバの分散を0.35p
s/km/nm以上とすることを特徴としている。ま
た、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の波長分
割多重型光伝送システムにおいて、前記波長多重された
複数の信号光の波長のうち、少なくとも2つの信号光の
波長が1570nmから1650nmの間に配置され
前記分散シフトファイバの分散を0.35ps/km/
nm以上とすることを特徴している。
【0010】また、請求項4に記載の発明は、請求項1
に記載の波長分割多重型光伝送システムにおいて、前記
波長多重された複数の信号光のうち、少なくとも2つの
信号光の波長が1450nmから1530nmの間、な
らびに1570nmから1650nmの間に配置され
前記分散シフトファイバの分散を0.35ps/km/
nm以上とすることを特徴としている。また、請求項5
に記載の発明は、請求項4に記載の波長分割多重型光伝
送システムにおいて、前記1450nmから1530n
mの間に波長が配置されている信号光と、前記1570
nmから1650nmの間に配置されている信号光は、
前記分散シフトファイバ伝送路を互いに逆向きに伝搬
し、ウォークオフが信号光の一タイムスロット時間より
小さくなることを特徴としている。
【0011】また、請求項6に記載の発明は、請求項1
に記載の波長分割多重型光伝送システムにおいて、前記
波長多重された複数の信号光の波長は1450nmから
1570nmの間、ならびに1570nmから1650
nmの間に配置され、前記1450nmから1570n
mの同に波長が配置されている信号光と、1570nm
から1650nmの間に配置されている信号光は、前記
分散シフトファイバ伝送路を互いに逆向きに伝搬し、ウ
ォークオフが信号光の一タイムスロット時間より小さく
なり、かつ前記1450nmから1570nmの間にあ
る信号光のうち、波長が1505nm以上1565nm
以下の信号光の光周波数差は、不等間隔に配置されるこ
とを特徴としている。また、請求項7に記載の発明は、
請求項1に記載の波長分割多重型光伝送システムにおい
て、前記波長多重された複数の信号光の波長は1450
nmから1530nmの間、ならびに1530nmから
1650nmの間に配置され、前記1450nmから1
530nmの間に波長が配置される信号光と、前記15
30nmから1650nmの間に配置されている信号光
は、前記分散シフトファイバ伝送路を互いに逆向きに伝
搬し、ウォークオフが信号光の一タイムスロット時間よ
り小さくなり、かつ前記1530nmから1650nm
の間にある信号光のうち少なくとも、波長が1535n
m以上1595nm以下の信号光の光周波数差は、不等
間隔に配置されることを特徴としている。
【0012】次に、請求項8記載の発明は、零分散波長
が1550nm付近にある分散シフトファイバを伝送路
とする波長分割多重型光伝送方法において、波長多重さ
れた複数の信号光のうち、少なくとも2つの信号光の波
長が1450nmから1530nmの間、1570nm
から1650nmの間のいずれかに配置され、前記分散
シフトファイバの分散がほぼ0.35ps/km/nm
以上となることを特徴とする波長分割多重型光伝送方法
である。
【0013】
【発明の実施の形態】零分散波長が1.55μm付近に
設定された分散シフトファイバを光伝送路として用いる
場合において、まず始めに、波長多重される複数の信号
光の波長が1450nmから1510nmの間、157
0nmから1610nmの間いずれかに配置される
(「第1の波長帯制限」と呼ぶ)波長分割多重型光伝送
システムについて説明する。その後に、波長多重される
複数の信号光の波長が1450nmから1530nmの
間、1570nmから1650nmの間のいずれかに配
置される(「第2の波長帯制限)と呼ぶ)波長分割多重
型光伝送システムについて説明する。
【0014】[第1の波長帯制限に関する実施形態]以
下では、波長多重される複数の信号光の波長が1450
nmから1510nmの間、1570nmから1610
nmの間のいずれかに配置される理由およびシステム概
要に付いて始めに述べる。その後、システムについて5
つの実施形態を示し、ぞれぞれについて説明する。
【0015】本発明の波長分割多重型光伝送システム
は、零分散波長が1.55μm付近に設定された分散シ
フトファイバを光伝送路として用い、分散シフトファイ
バを伝搬する際の波長分散の絶対値が0.5ps/nm
/km以上になるように複数の光信号の各波長を設定し
ている。
【0016】文献(福井他、「分散マネジメントを用い
たWDM光多中継伝送におけるファイバ非線形効果の影
響」、1996年電子情報通信学会総合大会講演番号B
一1138)には、四光波混合による伝送可能距離制限
は、分散の絶対値が0.5ps/nm/km以上であれ
ば著しく緩和されるとある。一方、零分散波長が1.5
5μm付近に設定された分散シフトファイバの実際の零
分散波長は、製造上のばらつきを考慮して約1.535
μm〜1.565μmに分布すると考えられるが、波長
1.55μm近傍における波長分散値はほぼ波長の一次
関数になる。そこで、分散スロープを+0.07ps/
nm2/kmとすると、波長分散の絶対値が0.5ps
/nm/km以上になる波長は、1.53μm以下また
は1.57μm以上となる。
【0017】また、本実施形態では、波長分割多重光信
号の波長帯として、この2つの波長域のいずれか一方、
または両方を用いるものである。具体的には、1.57
μm〜1.61μmの波長域を用いる。または、1.4
5μm〜1.51μmの波長域を用いる。または、その
両方の波長域を用いる。これにより、各波長における無
視できない波長分散により、四光波混合発生に必要な位
相整合条件が満たされなくなり、四光波混合発生を抑圧
することができる。その結果、分散シフトファイバへの
許容光入力パワーを大きくすることができ、伝送可能距
離を大幅に延ばすことができる。
【0018】ところで、従来より、光ファイバの低損失
領域を利用する光ファイバ通信では1.55μm帯が利
用されている。これは、光ファイバが開発された当初、
低損失領域が1.55μmであると報告されたことに加
え、近年光通信システムの性能を格段に向上させた光フ
ァイバアンプが、1.55μmに増幅帯域をもつことが
主な理由になっている。したがって、光ファイバ通信で
は、1.55μm帯以外の利用は想定されていなかっ
た。
【0019】しかし、通信用として現場に敷設されてい
る光ファイバは、図8に示すような損失特性を有する。
すなわち、本発明で使用する1.57μm〜1.61μ
mの波長域において、1.55μmよりさらに低損失に
なっていることがわかる。これは、上記の効果に加え
て、従来想定していなかった波長域の使用により、さら
に低損失に伝送できる効果が得られることがわかる。
【0020】なお、光伝送路内に線形光中継器が配置さ
れた波長分割多重型光伝送システムでは、両方の波長域
の光信号を1つの光増幅器で一括して増幅するか、それ
ぞれの波長域の光信号を分離して別々の光増幅器で増幅
するようにしてもよい。
【0021】次に、波長多重される複数の信号光の波長
が1450nmから1510nmの間、1570nmか
ら1610nmの間のいずれかに配置される波長分割多
重型光伝送システム(波長分割多重型光伝送システム)
について5つの実施形態を示し、ぞれぞれについて説明
する。
【0022】(第1の実施形態)図1は、本発明の第1
の実施形態の構成を示す。本実施形態は、対向する光送
信部と光受信部を中継器なしで接続する無中継ポイント
・ツー・ポイント伝送システムの例を示す。
【0023】図において、本システムは、光送信部1
0、光伝送路20、光受信部30により構成される。な
お、光源のバイアス等を直接変調する方式も光送信部1
0に適応可能である。光送信部10は、ここでは外部変
調方式によるものであり、互いに異なる波長に設定され
た複数の光源11、光源から出力される光搬送波をデー
タ信号で変調する複数の変調器12、各変調器12から
出力される光信号を合波する光合波器13、光合波器1
3から出力される波長分割多重光信号を一括増幅する光
ポストアンプ14により構成される。なお、光ポストア
ンプ14は、必要に応じて設置される。
【0024】光伝送路20は、零分散波長が1.55μ
m付近に設定された分散シフトファイバ21により構成
される。光受信部30は、分散シフトファイバ21を伝
搬した波長分割多重光信号を一括増幅する光プリアンプ
31、波長分割多重光信号を各波長の光信号に分波する
光分波器32、各波長の光信号を電気信号に変換する複
数の光電気変換器(0/E)33、各電気信号からデー
タ信号を復調する電気受信回路34により構成される。
なお、光電気変換器33の前に光プリアンプを設置すれ
ば、受信感度を向上させることができる。この光プリア
ンプや光分波器32の前の光プリアンプ31は必要に応
じて設置される。
【0025】光源11の波長は、分散シフトファイバ2
1を伝搬する際に波長分散の絶対値が0.5ps/nm
/km以上になるように設定される。ただし、分散シフ
トファイバ21の零分散波長は、製造上のばらつきから
約1.535μm〜1.565μmに分布すると考えら
れるが、分散スロープを+0.07ps/nm2/km
とすると、波長分散の絶対値が0.5ps/nm/km
以上になる波長は、1.53μm以下または1.57μ
m以上となる。したがって、使用する波長帯は、1.5
3μm以下の波長帯(例えば、1.45μm〜1.51
μm)、または1.57μm以上の波長帯(例えば、
1.571μm〜1.61μm)、またはその両方の波
長帯となる。
【0026】(第2の実施形態)図2は、本発明の第2
の実施形態の構成を示す。本実施形態の特徴は、第1の
実施形態において、分散シフトファイバ21の伝送損失
を補償するために、光伝送路の途中に光増幅器を主要構
成要素とする線形光中継器22を配置したところにあ
る。すなわち、多中継ポイント・ツー・ポイント伝送シ
ステムの例である。これにより、伝送距離を飛躍的に延
ばすことができる。分散シフトファイバ21の特性およ
び使用する波長帯は第1の実施形態と同様である。本実
施形態のように伝送距離が長く、線形光中継器22によ
り光パワーが高いレベルに維持される場合には、従来構
成では四光波混合による伝送品質の劣化が大きくなる
が、本発明による使用波長帯を制限する構成ではその影
響が小さく、効果が顕著である。
【0027】第1および第2の実施形態では、光増幅器
として、光ファイバ増幅器または半導体レレーザ増幅器
を用いることができるが、それぞれ使用する波長帯に応
じて最適な構造のものが選択される。1.45μm〜
1.51μm帯用の光増幅器としては、Tm添加型光フ
ァイバ増幅器(TDFA)がある。その利得特性は、図
3に示すように特に1.45μm〜1.48μm帯が高
利得領域となる。このTDFAの励起には、1.0μm
〜1.2μm帯の光源を用いる。この波長帯の励起光源
として、現在、Nd:YAGレーザやNd:YLFレー
ザがある。また、増幅用光ファイバをアイソレータや光
バンドパスフィルタを介してカスケード接続する構成を
とることにより、さらに高利得の増幅器が得られる。
【0028】1.57μm〜1.61μm帯用の光増幅
器としては、Er添加型利得シフト光ファイバ増幅器
(GS−EDFA)がある。これは、増幅用光ファイバ
のEr濃度その他を最適化することにより、通常のED
FAの利得帯域(1.53μm〜1.56μm)をシフ
トさせたものである。その利得特性を図4に示す。この
GS−EDFAの励起には、0.98μm帯近傍、また
は1.48μm帯近傍の光源を用いる。
【0029】1.53μm以下の波長帯と1.57μm
以上の波長帯を同時に使用する場合には、利得帯域の広
い半導体レーザ増幅器を用いることにより、両波長帯の
光信号を一括して増幅することができる。また、両波長
帯の光信号を一括増幅できる光ファイバ増幅器の開発も
進められている。また、それぞれの波長帯の光信号を個
別に増幅した後に合波するようにしてもよい。その構成
例を第3の実施形態として以下に説明する。
【0030】(第3の実施形態)図5は、本発明の第3
の実施形態の構成を示す。本実施形態は、図2に示す第
2の実施形態と同様に多中継ポイント・ツー・ポイント
伝送システムの例である。図2と同じ機能のものは同一
符号を付す。光送信部10では、1.45μm〜1.5
1μm帯の光信号は、例えば図3に示すTDFAを用い
た光ポストアンプ14Aにより増幅され、1.57μm
〜1.61μm帯の光信号は、例えば図4に示すGS−
EDFAを用いた光ポストアンプ14Bにより増幅され
る。そして、両帯域の光信号は帯域合波用WDMフィル
タ41で合波され、分散シフトファイバ21に送出され
る。
【0031】線形光中継器22では、両帯域の光信号が
帯域分波用WDMフィルタ42で分波され、1.45μ
m〜1.51μm帯の光信号が例えば図3に示すTDF
Aを用いた光増幅器43Aで増幅され、1.57μm〜
1.61μm帯の光信号が例えば図4に示すGS−ED
FAを用いた光増幅器43Bで増幅され、再び帯域合波
用WDMフィル夕41で両帯域の光信号が合波される。
【0032】光受信部30では、両帯域の光信号が帯域
分波用WDMフィルタ42で分波され、1.45μm〜
1.51μm帯の光信号は、例えば図3に示すTDFA
を用いた光プリアンプ31Aにより増幅され、1.57
μm〜1.61μm帯の光信号は、例えば図4に示すG
S一EDFAを用いた光プリアンプ31Bにより増幅さ
れる。以下、第2の実施形態と同様に各光信号が復調さ
れる。
【0033】以上示した第1,第2,第3の実施形態は
ポイント・ツー・ポイント伝送システムの例であり、そ
れぞれ四光波混合による伝送品質の劣化を回避し、分散
シフトファイバを用いたシステムの伝送距離を飛躍的に
向上できることを説明した。しかし、本発明はポイント
・ツー・ポイント伝送システムに限らず、あらゆるネッ
トワーク形態の波長分割多重型光伝送システムに適用可
能である。例えば、第2の実施形態の光受信部30で分
波された後に電気信号に変換された信号をディジタル再
生し、必要であれば電気的にルーティング処理を施した
後に、再び光信号に変換して波長分割多重して光伝送路
に送出する、あるいはこの手順を複数回繰り返す多中継
光伝送システムにも適用可能である。
【0034】さらに、光伝送路の途中に特定の波長の1
つまたは複数の光信号を分岐/挿入する光ノードを配置
する波長分割多重型光伝送システムにも適用可能であ
る。その構成例を第4および第5の実施形態として以下
に説明する。 (第4の実施形態)図6は、本発明の第4の実施形態の
構成を示す。
【0035】図において、本システムは、センタノード
50、複数のリモートノード60、これらをリング状に
結合する分散シフトファイバ21から構成される。各リ
モートノード60は、互いに異なる少なくとも1つの波
長が割り当てられ、各波長を用いてセンタノード50と
の間で通信を行う。リモートノード60は、必要に応じ
て設置される光プリアンプ61、波長分割多重光信号か
ら割り当てられた波長の光信号を分岐し、その波長の光
信号を波長分割多重光信号に挿入する光分岐挿入回路6
2、必要に応じて設置される光ポストアンプ63から構
成される。
【0036】センタノード50は、各リモートノードに
割り当てた各波長対応の光送信器51、各波長の光信号
を合彼する光合波器52、必要に応じて設置される光ポ
ストアンプ53からなる送信系と、必要に応じて設置さ
れる光プリアンプ54、波長分割多重光信号を各波長の
光信号に分波する光分波器55、各波長対応の光受信器
56からなる受信系により構成される。
【0037】センタノード50で多重化された波長分割
多重光信号は分散シフトファイバ21を伝搬してリモー
トノード60に到達する。リモートノード60では、波
長分割多重光信号から割り当てられた波長の光信号のみ
を分岐し、またその波長の光信号を波長分割多重光信号
に挿入する。各リモートノード60を経由した光信号は
センタノード50に到達し、ここで各波長ごとに分波さ
れる。このように、本実施形態の構成は物理的にはリン
グ網構成であるが、論理的には波長により識別されたパ
スにより、センタノード50と複数のリモートノード6
0がスター状に結合れたスター網構成となっている。分
散シフトファイバ21の途中には、必要に応じて伝送損
失を補償する線形光中継器を挿入してもよい。
【0038】(第5の実施形態)図7は、本発明の第5
の実施形態の構成を示す。本実施形態の特徴は、第4の
実施形態の構成から情報を集約するセンタノードを取り
除き、各リモートノード間に専用の波長を割り当てたパ
スが形成され、各リモートノード間がメッシュ状に結合
されているところにある。
【0039】リモートノード60は、必要に応じて設置
される光プリアンプ61、波長分割多重光信号から割り
当てられた波長の光信号を分岐し、その波長の光信号を
波長分割多重光信号に挿入する光分岐挿入回路62、必
要に応じて設置される光ポストアンプ63から構成され
る。各リモートノード間の通信にはそれぞれ波長が割り
当てられており、例えばリモートノード総数をNとする
と、リモートノード♯1は波長λ12,λ13,…:λ
1Nの光を用いてリモートノード#2,#3,…,♯N
と通信を行う。1本の光ファイバで伝送する場合には、
N(N−1)/2の波長数が必要になる。2本の光ファ
イバを用いれば、約N(N−1)/8の波長数に削滅で
きる。分散シフトファイバ21の途中には、必要に応じ
て伝送損失を補償する線形光中継器を挿入してもよい。
【0040】第4の実施形態または第5の実施形態に示
したような分散シフトファイバで構成された波長分割多
重型リング網に本発明を適用すれば、四光波混合の影響
を避けることができ、ノード聞伝送距離の拡大、チャネ
ル間隔の狭窄化、チャネル数の増大等が容易になり、大
きな効果が期待できる。使用する波長帯域は、例えば
1.45μm〜1.51μm帯、または1.57μm〜
1.61μm帯、またはその両方を用いる。両方の波長
帯を用いる場合の線形光中継器は、第3の実施形態と同
様の構成をとればよい。
【0041】以上説明したように、本発明の波長分割多
重型光伝送システムは、使用する波長帯域を制限するこ
とにより、分散シフトファイバにおける四光波混合の影
響を回避できる。これにより、分散シフトファイバヘの
許容光入力パワーを大きくすることができ、伝送可能距
離を大幅に延ばすことができる。また、1.57μm〜
1.61μmの波長域を使用した場合には、1.55μ
m帯よりもさらに伝送損失を低減できるので、従来の
1.55μm帯伝送より伝送可能距離を延ばすことがで
きる。
【0042】[第2の波長帯制限に関する実施形態]以
下では、波長多重される複数の信号光の波長が1450
nmから1530nmの間、1570nmから1650
nmの間のいずれかに配置される波長分割多重型光伝送
システムについて説明する。
【0043】まず、波長多重される信号光の波長を14
50nmから1530nmの間、1570nmから16
50nmの間とする理由に付いて詳細に説明する。始め
に、信号光の波長分散と四光波混合光強度の関係に付い
て説明する。ここで「四光波混合」とは、前述のように
光周波数f1、f2、f3を持つ3つの光が伝搬媒体との
非線形相互作用により光周波数fFWM=fi+fj−fk
四光波混合光を発生する現象である。ここで、i,j,
kは1から3のいずれかの値をとり、かつ、j≠kであ
るものとする。四光波混合光は、fiとfjが一致した場
合、つまり2つの光でも発生する。分散の小さい波長領
域を用いた波長分割多重型光通信においては、四光波混
合光の発生効率は、位相整合量Δβが小さいほど大き
い。ここで、位相整合量Δβは、 Δβ=(−λ4π/c2)・(dD/dλ)・{(fi−f
0)+(fj−f0)}・(fi−fk)・(fj−fk) で表わされることが、K.Inoue の論文 "Fiber four-wav
e mixing in the zero-dispersion wavelength regio
n", J.Lightwave Technol., Vol.10, pp.1553-1561, 19
92. に述べられている。ここで、f0は零分散波長を周
波数に換算したものである。また、λは光の波長を、c
は光の速度を、Dは波長分散を表わしている。この式か
ら、波長多重化された複数の信号光のうち、1つの信号
光の光周波数がf0に一致した場合(fi=fj=f0)、
または、2つの信号光の光周波数がが周波数空間でf0
を挟む場合(fi−f0=f0−fj)にはΔβがゼロとな
り、四光波混合の発生効率が最大となることが分かる。
発生した四光波混合光の周波数といずれかの信号光の光
周波数の差が受信機の受信帯域以内の大きさとなる場合
には、四光波混合光は信号光に対して干渉雑音となる。
等間隔に配置された光周波数グリッド上に信号光の光周
波数が配置されている場合、すなわち等間隔光周波数配
置の場合、発生する四光波混合光の光周波数は、必ずこ
のグリッド上に位置することになる。このため、等間隔
光周波数配置の場合には、四光波混合光による干渉雑音
の影響が深刻になる。
【0044】図9は、信号光の波長分散と四光波混合光
強度の関係のシミュレーション結果である。シミュレー
ションの条件は図9の右上に記載した通りである。な
お、このシミュレーションにおける四光波混合光のパワ
ーは、K.Inoue,H.Tobaによる論文″Fiber four-wave mi
xing in multi-repeater systems with nonuniform chr
omatic dispersion″,J.Lightwave Technol.,13,pp.88-
93,1995.に示された方法によって見積った。図9におい
て、200GHz間隔16波の信号光のうち、最も波長
分散の小さいチャネルの信号光が持つ波長分散を横軸に
とり、これらの信号光が光ファイバを伝搬する際に、あ
る信号光の波長に一致して発生する四光波混合光強度の
信号光強度に対する比率(dB)を縦軸に示したもので
ある。四光波混合光強度の信号光強度に対する比率が−
30dB以上になると信号光に劣化が生じることが知ら
れており、図9から、最も波長分散がゼロに近い信号光
の波長分散が0.35ps/km/nm以下にあると劣
化が大きくなることが読みとれる。光ファイバの分散ス
ロープは前述したように一般に0.07ps/nm2
km程度であるため、最もゼロ分散波長に近い信号光の
ゼロ分散波長からの波長距離が5nm(=0.35/
0.07)を下回ると劣化が生じる、ということにな
る。言い換えると、最もゼロ分散波長に近い信号光のゼ
ロ分散波長からの波長距離が5nm以上であれば四光波
混合光による問題を回避できる、ということになる。
【0045】また、現在広く製造・敷設されている分散
シフトファイバの零分散波長の零分散波長は、製造上の
ばらつきから1550nmを中心にして概ね1535n
mから1565nmに分布している。よって、現在製造
・敷設されている分散シフトファイバを光伝送路とした
場合において、信号光の波長を1530nm(1535
−5)以下、もしくは、1570nm以上(1535+
5)とすることにより四光波混合光による劣化による問
題を回避できることになる。
【0046】次に、信号光の波長を1450nmから1
650nmの範囲とする理由に付いて説明する。図10
は分散シフトファイバの損失−波長特性の典型例を示し
た図である。光伝送路として分散シフトファイバを用い
る場合、そのスパンは一般に100kmである。また、
中継器を構成する光増幅器の利得は一般に30[dB]
である。そこで、ファイバ損失を0.3dB/km(=
30/100)とすると、波長1450nmから165
0nmを利用すれば良いことが分かる。以上より、現在
製造、敷設されている分散シフトファイバを光伝送路と
する際には、信号光の波長として図11の符号112に
示す1450nmから1530nmの間、または、符号
111に示す1570nmから1650nmの間の波長
を使用すれば、四光波混合による伝送特性劣化を被るこ
となく、長距離波長多重伝送が実現できることがわか
る。なお、符号110は、光伝送路となる分散シフトフ
ァイバの零分散波長分布を表わしている。
【0047】次に、図11に示す光信号の波長帯11
1、112の妥当性を実験により証明する。図12は、
チャネルあたりの平均送出強度とパワーペナルティの関
係を表わした実験結果である。図において、横軸は、チ
ャネル当たりの平均送出光強度、縦軸は四光波混合によ
るパワーペナルティである。使用した分散シフトファイ
バ長さは40km、送信光信号のビットレートは10G
b/s、波長数は8波長、光周波数間隔は200GHz
である。ここで、実験した信号光の波長は、従来用いら
れてきた波長帯1543〜1556nmと、本実施形態
に係る波長帯1581〜1589nmの2つである。こ
こで用いるパワーペナルティは以下のように定義してい
る。 パワーペナルティ[dB]=10×log(Pt/P
b) なお、Pbは光伝送路用分散シフトファイバを伝送させ
ず、送信器を直接受信器に接続した場合に、ビット誤り
率が10-9を達成するのに必要な平均受光電力である。
また、Ptは分散シフトファイバを40km伝搬後に、
ビット誤り率が10-9を達成するのに必要な平均受光電
力である。同図から明らかなように、信号光の波長とし
て従来用いられてきた1543〜1556nmを使用し
た場合、チャネルあたりの送出光強度を増加すると四光
波混合の影響によりパワーペナルティが増加する。
【0048】一方、本実施形態に係る波長帯1581〜
1593nmを使用すると、四光波混合の影響が問題と
ならないことからパワーペナルティが増加しない。ま
た、チャネル当たりの送出強度を増加できるということ
は、線形中継器の入力パワーを増加できることを意味
し、これにより光増幅器の雑音の影響を低減して伝送距
離、すなわち中継器の間隔を長くすることができるよう
になる。
【0049】次に、信号光の波長を1450nmから1
530nmの間、1570nmから1650nmの間の
いずれかとする場合の波長帯の利用形態について説明す
る。 (第1の利用形態)四光波混合による問題を回避できる
長波長側に信号光の波長を配置する、すなわち、図11
の符号111に示す1570nm〜1650nmの間に
配置するという波長帯の使用形態がある。また、四光波
混合による問題を回避できる短波長側に信号光の波長を
配置する、すなわち、図11の符号112に示す145
0nm〜1530nmの間に配置するという波長帯の使
用形態がある。さらに、信号光の波長として1450n
mから1530nmの間、ならびに1570nmから1
650nmの間の波長を同時に利用することも可能であ
る。この場合ファイバの伝送容量を倍増することができ
る。なお、上記の利用形態において、光信号の伝搬方向
の限定はしない。よって、すべての信号光が同方向に伝
搬するのであっても、一部の光信号と他の光信号との伝
搬方向が異なるものであっても良い。
【0050】(第2の利用形態)第2の利用形態とし
て、図13の符号112に示す1450nmから153
0nmの間に波長が配置されている信号光の光伝送路の
伝搬方向と、符号111に示す1570nmから165
0nmの間に配置されている信号光の光伝送路の伝搬方
向互いに逆向きする、という利用形態がある。以下で
は、このようにする理由を説明する。第1の利用形態に
おいて、信号光の波長として1450nmから1530
nmの間、ならびに1570nmから1650nmの間
の波長を同時に利用し、かつ、すべての信号光の伝搬方
向が同じであると仮定する。この場合、一波長当たりの
ビットレートが比較的小さいときには、波長が1450
nmから1530nmの間にある信号光と、1570n
mから1650nmの間にある信号光の間のウォークオ
フが一タイムスロットの時間と同じオーダとなる。その
結果、誘導ラマン散乱によるクロストークが生じ、伝送
品質の劣化が無視できなくなるという問題が起こる。な
お、「ウォークオフ」とは、群遅延時間の差に起因し
て、波長の異なる2つの光信号がファイバ伝搬に従って
相対的な時間位置がずれていくことをいう。また、「誘
導ラマン散乱」とは、短波長側にある信号光のエネルギ
ーがファイバを構成する分子の振動を介して長波長側に
ある信号光に移行する現象のことをいう。
【0051】誘導ラマン散乱は、短波長側にある信号光
と長波長側にある信号光がともに存在するときのみ発生
するため、短波長側にある信号光のパワーの減少は、両
者の符号の組み合わせ、ならびに相対時間位置に依存し
て変化し、これがクロストークとなって伝送特性が劣化
する。この問題を回避するには、信号光の内、波長が1
450nmから1530nmの間にあるものと、157
0nmから1650nmの間にあるものを逆方向に伝搬
させることが有効である。これにより、短波長側にある
信号光と長波長側にある信号光のウォークオフを増加さ
せ、誘導ラマン散乱による短波長側信号のパワーの減衰
を平均化することができるからである。このような双方
向伝送は、波長が1450nmから1530nmの間に
ある信号光と、1570nmから1650nmの間にあ
る信号光の間で発生する非縮退四光波混合によるクロス
トーク、ならびに相互位相変調による波形劣化を回避す
る点からも有用である。これは双方向伝送によりウォー
クオフが増加し、非縮退四光波混合の位相整合条件が満
足されなくなること、ならびに相互位相変調が平均化さ
れるためである。なお、「相互位相変調」とは、光パル
ス波により伝送ファイバの局所的な屈折率が変化し、他
の光パルス波の瞬時周波数が変えられ光信号の位相が変
化することをいう。以上の理由から、1450nmから
1530nmの間に波長が配置されている信号光の光伝
送路の伝搬方向と、1570nmから1650nmの間
に配置されている信号光の光伝送路の伝搬方向互いに逆
向きするとよい。
【0052】(第3の利用形態)以上、1450nmか
ら1530nmの間、ならびに1570nmから165
0nmの間において光信号の波長を配置することを述べ
てきた。ここで、1530nmから1570nmの波長
帯を利用しないのは、上述した通り四光波混合による信
号劣化を避けるためであった。四光波混合による信号劣
化は、らの論文に詳述されているように、不等間隔波長
配置によって抑圧できる。ここで、「不等間隔波長配
置」とは光周波数f1、f2、f3の任意の3波から発生
した四光波混合光の周波数fFWM=fi+fj−fkが、多
重化されたどの信号光の光周波数とも受信機の受信帯域
以上の差を持つように、各信号光の光周波数差が不等間
隔となるような配置とするものである。ここで、i,
j,kは1から3のいずれかの値をとり、かつ、j≠k
であるものとする。例えば、周波数間隔が順に125,
300,200,375,150、175、350、2
50、150、325、225GHzとなるように配置
された12波の波長多重信号光の中の任意の3波が発生
した四光波混合光は、どの信号光からも最低25GHz
離れた周波数位置に生じることになり、干渉雑音となら
ない。
【0053】そこで、光伝送路となる分散シフトファイ
バの零分散波長に近い波長となる光信号において、不等
間隔周波数配置を一部利用することで利用可能な波長範
囲を拡大することができる。この利用形態の一例を図1
4に示す。波長多重される複数の信号光の波長は符号1
20に示す1450nmから1570nmの間、ならび
に符号111に示す1570nmから1650nmの間
に配置される。そして、1450nmから1570mm
の間に波長が配置されている信号光と、1570nmか
ら1650nmの間に配置されている信号光は、分散シ
フトファイバ伝送路を互いに逆向きに伝搬させる。ファ
イバの零分散波長が1535nmにある最悪の場合にお
いても、四光波混合による劣化を回避するために、少な
くとも、符号130に示す波長が1505nm(=15
35−(1565−1535))以上1565nm以下
の信号光の光周波数差は、不等間隔に配置する。なお、
符号120に示す1450nmから1570nmの間に
配置される信号光で、その中のある信号光の波長が15
70nmに近い場合、1500nm(=1535−(1
570−1535))以上1570nm以下の信号光の
光周波数差は、不等間隔に配置するとよい。
【0054】同様にして、図15の符号112に示す1
450nmから1530nmの間と、符号121に示す
1530nmから1650nmの間に分ける場合には、
1450nmから1530nmの間に波長が配置されて
いる信号光と、1530nmから1650nmの間に配
置されている信号光を、分散シフトファイバ伝送路を互
いに逆向きに伝搬させる。そして、ファイバの零分散波
長が1565nmにある最悪の場合においても、四光波
混合による劣化を回避するために、少なくとも、符号1
31に示す波長が1535nm以上1595nm(=1
565+(1565−1535))以下の信号光の光周
波数差は、不等間隔に配置する。なお、符号121に示
す1530nmから1650nmの間に配置される信号
光で、その中である信号光の波長が1530nmに近い
場合、1530以上1600nm(=1565+(15
65−1530))以下の信号光の光周波数差は、不等
間隔に配置するとよい。
【0055】次に、上記第1から第3の利用形態で説明
した信号光における使用する波長帯域を制限する波長分
割多重型光伝送システム例にについて、図16から図2
0を参照し説明する。図16は、第1の波長分割多重型
光伝送システムのブロック構成図である。図16よりこ
のシステムは、送信回路210と受信回路211からな
る光送受信装置212、213と、2つの光送受信装置
212、213を結ぶ一本の光ファイバ伝送路224と
によって構成される。送信回路210は、互いに波長の
異なる信号光を発生する複数の送信機220および複数
の信号光を波長多重化する合波器221からなり、受信
回路211は、複数の信号光を分離する分波器222お
よび分波された信号光から電気信号を復調する複数の受
信機223からなる。また、光送受信装置212および
213は、この送信回路211、受信回路212、およ
び、フィルタまたはサーキュレータ225からなる。な
お、送信機220は図1の互いに異なる波長に設定され
た光源11、光源から出力される光搬送波をデータ信号
で変調する変調器12等により構成され、受信機223
は図1の光電気変換器(0/E)33、各電気信号から
データ信号を復調する電気受信回路34等により構成さ
れる。
【0056】図17は、第2の波長分割多重型光伝送シ
ステムのブロック構成図である。図16のシステムと比
較して、すべての信号光が、送受信時または中継時に、
少なくとも1つの双方向光増幅器270によって一括増
幅されることを特徴とする無中継または多中継のポイン
ト・ツー・ポイント光波長分割多重双方向伝送システム
となっている。なお、この図を含む図17から図20に
おいて、図16の各部に対応する部分には同一の符号を
付け、その説明を省略する。このように、双方向光増幅
器270を用いて高いパワ−で信号光を光ファイバ伝送
路224に送出するシステムにおいては、光信号が配置
される従来の波長帯域では四光波混合またはラマンクロ
ストークによる劣化が大きくなる。しかし、上述した光
信号の波長の利用形態とすることで、それらが回避でき
る。
【0057】図18は、第3の波長分割多重型光伝送シ
ステムのブロック構成図である。本システムでは、信号
光が送受信時または中継時にフィルタまたはサーキュレ
ータ225によってその伝搬方向の別に分離される際、
その伝搬方向の別によって異なる光増幅器280および
281によって増幅されることを特徴としている。本シ
ステムは、図17に示すシステムと同じく、光増幅器を
用いて高いパフ−で信号光を光ファイバ伝送路に送出す
るシステムであり、上述した光信号の波長の利用形態に
よる効果が大きい。
【0058】図19は、第4の波長分割多重型光伝送シ
ステムのブロック構成図である。本システムは、図17
または図18のシステムと比較して、すべての信号光が
光ファイバ伝送路224を伝搬する前、または、伝搬し
た後に、この光ファイバ伝送路224と逆符号の分散ス
ロープを持ち零分散波長がほぼ等しい分散補償ファイバ
290によって、一括に分散補償されることを特徴とし
ている。
【0059】図20は、第5の波長分割多重型光伝送シ
ステムのブロック構成図である。本システムは、図17
または図18のシステムと比較して、信号光が送受信時
または中継時にフィルタまたはサーキュレータ225に
よってその伝搬方向の別に分離される際、それぞれの伝
搬方向における複数の信号光の平均分散とほぼ等しく、
逆符号の分散を持つ分散補償ファイバ2100および2
101によって、それぞれ分散補償されることを特徴と
している。
【0060】なお、上述した波長帯の第1の利用形態の
おいて、すべての光信号の伝搬方向が等しい場合には、
第1の波長帯制限で説明した第1から第5の実施形態の
システムであってもよい。また、上述の光信号の波長配
置における3つの利用形態は、ポイント・ツー・ポイン
ト伝送システムに限らず、あらゆるネットワーク形態の
波長分割多重型光伝送システムに適用可能である。
【0061】なお、本実施例では、現在広く製造・敷設
されている分散シフトファイバを光伝送路として利用す
ることを前提としていることから、光信号の波長配置を
上記3つの利用形態にするとよい、ということになる。
この技術思想は上述した分散シフトファイバと特性の異
なる光伝送路にも応用できることはいうまでもない。例
えば、光伝送路となる分散シフトファイバの零分散波長
が例えば1550nmであれば、図21に示すように光
信号の配置される波長を1450nmから1545nm
(1550−5)の間、または1555nm(1550
+5)から1650nmの間のいずれかとすればよい。
すなわち、光伝送路の特性に応じて上述した技術思想の
もと信号光の配置される波長帯を定めれば良い。
【0062】以上のように、波長多重される複数の信号
光における使用する波長帯域を制限することにより、す
でに設置されている分散シフトファイバにおいて、四光
波混合の影響を回避できる。よって、分散シフトファイ
バヘの許容光入力パワーを大きくすることができ、伝送
可能距離を大幅に延すことができるようになる。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の波長分割
多重型光通信ネットワークは、使用する波長帯域を制限
することにより、分散シフトファイバにおける四光波混
合の影響を回避できる。これにより、分散シフトファイ
バヘの許容光入力パワーを大きくすることができ、伝送
可能距離を大幅に延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の波長帯制限における第1の実施形態の
構成を示すブロック図である。
【図2】 第1の波長帯制限における第2の実施形態の
構成を示すブロック図である。
【図3】 Tm添加型光ファイバ増幅器(TDFA)の
利得特性を示す図である。
【図4】 Er添加型利得シフト光ファイバ増幅器(G
S−EDFA)の利得特性を示す図である。
【図5】 第1の波長帯制限における第3の実施形態の
構成を示すブロック図である。
【図6】 第1の波長帯制限における第4の実施形態の
構成を示すブロック図である。
【図7】 第1の波長帯制限における第5の実施形態の
構成を示すブロック図である。
【図8】 通信用として現場に敷設されている光ファイ
バの損失特性を示す図である。
【図9】 信号光の波長分散と四光波混合光強度の関係
のシミュレーション結果を表した図である。
【図10】 分散シフトファイバの損失−波長特性の典
型例を示した図である。
【図11】 第2の波長帯制限を示した図である。
【図12】 チャネルあたりの平均送出パワーとパワー
ペナルティの関係の実験結果を示す図である。
【図13】 第2の波長帯制限における第2の利用形態
を示した図である。
【図14】 第2の波長帯制限における第3の利用形態
を示した図である。
【図15】 第2の波長帯制限での第3の利用形態にお
ける別の例を示した図である。
【図16】 第2の波長帯制限における第1の波長分割
多重型光伝送システムのブロック構成図である。
【図17】 第2の波長帯制限における第2の波長分割
多重型光伝送システムのブロック構成図である。
【図18】 第2の波長帯制限における第3の波長分割
多重型光伝送システムのブロック構成図である。
【図19】 第2の波長帯制限における第4の波長分割
多重型光伝送システムのブロック構成図である。
【図20】 第2の波長帯制限における第5の波長分割
多重型光伝送システムのブロック構成図である。
【図21】 分散シストファイバの零分散波長が155
0nmの場合における光信号の波長帯制限を説明するた
めの図である。
【符号の説明】
10 光送信部 11 光源 12 変調器 13 光合波器 14 光ポストアンプ 20 光伝送路 21 分散シフトファイバ 22 線形光中継器 30 光受信部 31 光プリアンプ 32 光分波器 33 光電気変換器 34 電気受信回路 41 帯域合波用WDMフィルタ 42 帯域分波用WDMフィルタ 43A、43B 光増幅器 50 センタノード 51 光送信器 52 光合波器 53 光ポストアンプ 54 光プリアンプ 55 光分波器 56 光受信器 60 リモートノード 61 光プリアンプ 62 光分岐挿入回路 63 光ポストアンプ 210 送信回路 211 受信回路 212、213 光送受信装置 220 送信機 221 合波器 222 分波器 223 受信機 224 光ファイバ伝送路 225 フィルタまたはサーキュレータ 270 光増幅器 280、281 光増幅器 290 分散補償ファイバ 2100、2101 分散補償ファイバ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 乗松 誠司 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 可児 淳一 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日 本電信電話株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−110517(JP,A) 特開 平8−288930(JP,A) 特開 平7−38531(JP,A) 特開 平7−66779(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04J 14/00 - 14/08 H04B 10/00 - 10/28

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 零分散波長が1550nm付近にある分
    散シフトファイバを伝送路する波長分割多重型光伝送シ
    ステムにおいて、波長多重された複数の信号光のうち、
    少なくとも2つの信号光の波長が1450nmから15
    30nmの間、1570nmから1650nmの間のい
    ずれかに配置され、前記分散シフトファイバの分散を
    0.35 p s /km/nm以上とすることを特徴とする
    波長分割多重型光伝送システム。
  2. 【請求項2】 前記波長多重された複数の信号光の波長
    のうち、少なくとも2つの信号光の波長が1450nm
    から1530nmの間に配置され、前記分散シフトファ
    イバの分散を0.35ps/km/nm以上とすること
    特徴とする請求項1記載の波長分割多重型光伝送シス
    テム。
  3. 【請求項3】 前記波長多重された複数の信号光の波長
    のうち、少なくとも2つの信号光の波長が1570nm
    から1650nmの間に配置され、前記分散シフトファ
    イバの分散を0.35ps/km/nm以上とすること
    特徴とする請求項1記載の波長分割多重型光伝送シス
    テム。
  4. 【請求項4】 前記波長多重された複数の信号光のう
    ち、少なくとも2つの信号光の波長が1450nmから
    1530nmの間、ならびに1570nmから1650
    nmの間に配置され、前記分散シフトファイバの分散を
    0.35ps/km/nm以上とすることを特徴とする
    請求項1記載の波長分割多重型光伝送システム。
  5. 【請求項5】 前記1450nmから1530nmの間
    に波長が配置されている信号光と、前記1570nmか
    ら1650nmの間に配置されている信号光は、前記分
    散シフトファイバ伝送路を互いに逆向きに伝搬し、ウォ
    ークオフが信号光の一タイムスロット時間より小さくな
    ことを特徴とする請求項4記載の波長分割多重型光伝
    送システム。
  6. 【請求項6】 前記波長多重された複数の信号光の波長
    は1450nmから1570nmの間、ならびに157
    0nmから1650nmの間に配置され、 前記1450nmから1570nmの同に波長が配置さ
    れている信号光と、1570nmから1650nmの間
    に配置されている信号光は、前記分散シフトファイバ伝
    送路を互いに逆向きに伝搬し、ウォークオフが信号光の
    一タイムスロット時間より小さくなり、 かつ前記1450nmから1570nmの間にある信号
    光のうち、 波長が1505nm以上1565nm以下の
    信号光の光周波数差は、不等間隔に配置されることを特
    徴とする請求項1記載の波長分割多重型光伝送システ
    ム。
  7. 【請求項7】 前記波長多重された複数の信号光の波長
    は1450nmから1530nmの間、ならびに153
    0nmから1650nmの間に配置され、 前記1450nmから1530nmの間に波長が配置さ
    れる信号光と、前記1530nmから1650nmの間
    に配置されている信号光は、前記分散シフトファイバ伝
    送路を互いに逆向きに伝搬し、ウォークオフが信号光の
    一タイムスロット時間より小さくなり、 かつ前記1530nmから1650nmの間にある信号
    光のうち 少なくとも、 波長が1535nm以上1595nm以下の信号光の光
    周波数差は、不等間隔に配置されることを特徴とする請
    求項1記載の波長分割多重型光伝送システム。
  8. 【請求項8】 零分散波長が1550nm付近にある分
    散シフトファイバを伝送路とする波長分割多重型光伝送
    方法において、 波長多重された複数の信号光のうち、少なくとも2つの
    信号光の波長が1450nmから1530nmの間、1
    570nmから1650nmの間のいずれかに配置さ
    、前記分散シフトファイバの分散がほぼ0.35ps
    /km/nm以上となることを特徴とする波長分割多重
    型光伝送方法。
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