JP3598308B2 - 自励式電力変換装置用pwm制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自己消弧形素子を用いた自励式電力変換装置のPWM制御装置に関し、特に目的に応じた最適なPWMパルス波形を発生させることができるものに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気学会半導体電力変換方式調査専門委員会編「半導体電力変換回路」第6章に一般的な三角波キャリア信号比較によるPWM(Pulse Width Modulatin) 制御方式が記載されている。この内容に基づいて、単相ブリッジでの三角波キャリア信号比較による電圧パルスの生成方法を図9を用いて簡単に説明する。
【0003】
図9(a)に示す制御整流素子102からなる単相ブリッジの出力端子T1,T2間に発生する電圧は、各パルスの極性,幅,及び位置が図9(c)に示すように変化するパルス列からなるPWMパルス波形(106)となる。この例では、半サイクル中に3パルスを有する波形を示している。このようなPWMパルス波形は、図9(b) に示すように、電圧指令値(電圧指令信号:変調信号)の1サイクル中に3周期を有する三角波キャリア信号(上段用104,下段用105)を考え、これと出力したい正弦波状の電圧指令値103とを比較し、両者の交点にて制御整流素子102のスイッチングを行わせることにより、生成することができる。
【0004】
この三角波キャリア信号比較によるPWM制御方式を用いた従来の自励式電力変換装置の構成及び制御方法を図8を用いて説明する。
図において、1は自励式電力変換装置であり、自己消弧形の制御整流素子を用いた3相ブリッジ等で構成され、該制御整流素子にゲートパルスが入力されると該入力されるゲートパルスに応じて、直流電圧から矩形のパルス列からなる交流電圧を発生する。2は自励式電力変換装置1の交流側と3相交流系統との間に配設された変換装置用変圧器、3は自励式電力変換装置1の直流側の電圧を安定化するための直流コンデンサである。4は変換装置用変圧器2の交流系統側の3相の交流電流を検出してこれを交流電流検出信号として出力する交流電流検出器、5は変換装置用変圧器2の交流系統側の3相の交流電圧を検出してこれを交流電圧検出信号として出力する交流電圧検出器である。6は交流電圧検出器5から出力される3相の交流電圧検出信号のうちのいずれか1相の交流電圧検出信号の位相を同期検出してこれを交流電圧位相検出信号として出力するPLL装置、7はPLL装置6から出力される交流電圧位相検出信号を用いて、交流電流検出器から出力される交流電流検出信号を有効電流成分と無効電流成分の2成分に変換する3相/2相変換器、8,9は、それぞれ、外部から入力される有効電流指令,及び無効電流指令に対する3相/2相変換器から出力される交流電流検出信号の有効電流成分,及び無効電流成分の差分を算出する減算器、10は減算器8の出力を増幅する有効電流制御器、11は減算器9の出力を増幅する無効電流制御器である。12は有効電流制御器10の出力と無効電流制御器11の出力とを、自励式電力変換装置1が実際に発生すべき交流電圧を表す電圧指令値に変換する2相/3相変換器である。13はPLL装置6から出力される交流電圧位相検出信号に同期した三角波キャリア信号を3相分出力するキャリア発生器、14,15,16は2相/3相変換器13から出力される電圧指令値とキャリア発生器14〜16から出力される三角波キャリア信号とを比較して、自励式電力変換装置1の制御整流素子を制御するためのゲートパルスを発生するPWM制御器である。ここで、交流電流検出器4、交流電圧検出器5、PLL装置6、3相/2相変換器7、減算器8,9、有効電流制御器10、無効電流制御器11、2相/3相変換器12、キャリア発生器13、PWM制御器14〜16がPWM制御装置101を構成する。
【0005】
次に、以上のように構成された自励式電力変換装置及びPWM制御装置の動作を説明する。
自励式電力変換装置1は、直流電圧から図9(c) に示すようなPWMパルス波形の交流電圧を3相の各相について発生する。この発生した3相の交流電圧は変換装置用変圧器2を介して交流系統の交流電圧と平衡する。
【0006】
この交流電圧によって流れる交流電流は交流電流検出器4で検出され、この検出された交流電流検出信号(3相分)は、3相/2相変換器7で、PLL装置6から出力される交流電圧位相検出信号を用いて、該交流電圧位相検出信号と同期して回転する座標系(d−q座標系)に変換され、有効電流成分と無効電流成分との2成分に分解される。
【0007】
次いで、減算器8,9で、この分解された交流電流検出信号の有効電流成分,及び無効電流成分と、上位の制御系から指令される有効電流指令値,及び無効電流指令値との差分がそれぞれ算出され、それぞれ、有効電流制御器10,及び無効電流制御器11で増幅される。
【0008】
この増幅された各差分は、2相/3相変換器12で、再びPLL装置6から出力される交流電圧位相検出値を用いて、自励式電力変換装置1が実際に出力すべき3相交流電圧を表す3相の電圧指令値に変換される。この変換された各相の電圧指令値は、PWM制御器14,15,16で、キャリア発生器13から出力される三角波キャリア信号とそれぞれ比較され、それによりゲートパルスが発生される。そして、この発生したゲートパルスが自励式電力変換装置1の制御整流素子に入力され、それにより、直流側の直流電圧から、該入力されたゲートパルスに応じたPWMパルス波形の交流電圧が発生する。このPWMパルス波形生成の詳細は、図9で説明した通りである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような電圧指令値と三角波キャリア信号との比較によるPWM制御方式の場合、以下のような問題点がある。
図10は、自励式電力変換装置の出力電圧波形の一例として、半サイクル中に3パルスを有するPWMパルス波形を一般的な形で表したものである。
図10に示すように、本来、3パルスのPWMパルス波形には中央のパルスのパルス幅θ1と、両サイドのパルスのパルス幅θ2と、その位置の位相±γとの3つの自由度(パラメータ)がある。この3つのパラメータをうまく選ぶことにより、目的に応じた最適な電圧を発生できるはずである。例えば、5次、7次の高調波を完全に消去して発生しないようにし、しかも任意の基本波電圧(振幅値Vo)を発生させたければ、周波数解析の結果から下記の式が成立するような3つのパラメータとすればよい。
【0010】
(4Ed / π ){sin(θ1 / 2) +2sin(θ2 / 2)cosγ}=Vo (1)式
sin(5θ1 / 2)+2sin(5θ2 / 2)cos 5γ=0 (2)式
sin(7θ1 / 2)+2sin(7θ2 / 2)cos 7γ=0 (3)式
これらの式からもわかるように、基本波振幅Voからパルスの位相や幅が決定されるわけである。
【0011】
このような関係を持ったパルスを三角波キャリア信号比較によるPWM制御方式で作り出すことは不可能である。三角波キャリア信号比較によるPWM制御方式では、PWMパルス波形は三角波キャリア信号の波形によって制約されるため、θ1、θ2、γの3つのパラメータは独立のパラメータではなく、従って、基本波振幅Voに関連してパルスを作り出すことはできないからである。
【0012】
このように、目的に応じて、パルス波形が本来持つ自由度をうまく使って最適な電圧を発生させようとしても、従来の三角波キャリア信号を利用したPWM制御方式では不可能である。一方、PWMパルス波形の電圧をうまく発生させることにより、高調波低減、変換器損失低減、電圧利用率向上による自励式電力変換装置のコンパクト化、電圧時間積低減による変換装置用変圧器のコンパクト化など、多くの実用的なメリットが生まれる。
【0013】
このように従来の三角波キャリア信号比較によるPWM制御方式では、PWMパルス波形の電圧パルスが本来持っている自由度を生かし切れないので、高調波特性改善、電圧利用率向上、電圧時間積低減、自励式電力変換装置の損失低減、制御性能向上などといった目的に応じた最適なPWMパルス波形の電圧を出力することができないという問題があった。
【0014】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、目的に応じた最適なPWMパルス波形の電圧を出力することができる自励式電力変換装置用PWM制御装置を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明(請求項1)に係る自励式電力変換装置用PWM制御装置は、制御信号に応じてON/OFFして、直流電圧からパルス波形の交流電圧を発生する自励式電力変換装置に用いられ、上記発生する交流電圧の位相と該交流電圧に基づいて流れる交流電流の値とを検出し、該検出した交流電圧の位相及び交流電流の値から該交流電圧の位相と同期した2軸の回転座標系での交流電流の有効分及び無効分を算出し、該算出した交流電流の有効分及び無効分と外部から入力される上記交流電流の有効分及び無効分に対する指令値とに基づいて上記制御信号を出力することにより、上記自励式電力変換装置にPWMパルス波形の交流電圧を発生させて、上記交流電流の有効分及び無効分を制御するPWM制御装置において、上記算出した交流電流の有効分及び無効分と上記外部から入力される交流電流の有効分及び無効分に対する指令値とに基づいて、上記発生させるPWMパルス波形の交流電圧の変調信号たる電圧指令信号の有効分と無効分とを算出し、該算出した電圧指令信号の有効分と無効分とから、該電圧指令信号の振幅値と位相とを算出し、該算出した振幅値に基づいて所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を求め、該求めた所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相と上記算出した電圧指令信号の位相とに基づいて、上記制御信号を出力するようにしたものである。
【0016】
本発明(請求項2)に係る自励式電力変換装置用PWM制御装置は、上記自励式電力変換装置用PWM制御装置(請求項1)が、上記算出した振幅値から所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を演算するパルス発生/終了位相演算器と、該求めた所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相と上記算出した電圧指令信号の位相とに基づいて、上記制御信号を出力するPWM制御器とを有するものとしたものである。
【0017】
本発明(請求項3)に係る自励式電力変換装置用PWM制御装置は、上記自励式電力変換装置用PWM制御装置(請求項1)において、上記電圧指令信号の振幅値に対する所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を表すテーブルを予め記憶し、上記算出した電圧指令信号の振幅値を該記憶しているテーブルと対比して所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を求め、該求めた所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相と上記算出した電圧指令信号の位相とに基づいて、上記制御信号を出力するようにしたものである。
【0018】
本発明(請求項4)に係る自励式電力変換装置用PWM制御装置は、上記自励式電力変換装置用PWM制御装置(請求項1)において、上記自励式電力変換装置は3相の制御信号に応じて3相交流電圧を発生するものであり、上記算出した電圧指令信号の有効分及び無効分を、検出した3相交流電圧の位相を用いて3相交流の電圧指令信号の有効分及び無効分に変換し、該変換した3相交流の電圧指令信号の有効分及び無効分から各相ごとの振幅値と位相とを算出し、該算出した各相ごとの振幅値に基づいて、各相ごとに所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を求め、該求めた所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相と上記算出した電圧指令信号の各相ごとの位相とに基づいて、上記3相の制御信号を出力するようにしたものである。
【0019】
本発明(請求項5)に係る自励式電力変換装置用PWM制御装置は、上記自励式電力変換装置用PWM制御装置(請求項1)において、上記自励式電力変換装置を2以上多重化して有し、上記算出された電圧指令信号の位相を上記自励式電力変換装置の多重化の段数に応じて各段ごとに補正し、上記求めた所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相と該各段ごとに補正された電圧指令信号の位相とに基づいて、各段の自励式電力変換装置に上記制御信号を出力するようにしたものである。
【0020】
本発明(請求項6)に係る自励式電力変換装置用PWM制御装置は、上記自励式電力変換装置用PWM制御装置(請求項5)において、上記算出した振幅値から所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を演算により求め、該求めた所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相と上記各段ごとに補正された電圧指令信号の位相とに基づいて、各段の自励式電力変換装置に上記制御信号を出力するようにしたものである。
【0021】
本発明(請求項7)に係る自励式電力変換装置用PWM制御装置は、上記自励式電力変換装置用PWM制御装置(請求項5)において、上記電圧指令信号の振幅値に対する所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を表すテーブルを予め記憶し、上記算出した電圧指令信号の振幅値を該記憶しているテーブルと対比して所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を求め、該求めた所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相と上記各段ごとに補正された電圧指令信号の位相とに基づいて、各段の自励式電力変換装置に上記制御信号を出力するようにしたものである。
【0022】
本発明(請求項8)に係る自励式電力変換装置用PWM制御装置は、上記自励式電力変換装置用PWM制御装置(請求項5)において、上記多重化された自励式電力変換装置は3相の制御信号に応じて3相交流電圧を発生するものであり、上記算出した電圧指令信号の有効分及び無効分を、検出した3相交流電圧の位相を用いて3相交流の電圧指令信号の有効分及び無効分に変換し、該変換した3相交流の電圧指令信号の有効分及び無効分から各相ごとの振幅値と位相とを算出するとともに、該算出された電圧指令信号の位相を上記自励式電力変換装置の多重化の段数に応じて各段ごとに補正し、上記算出した各相ごとの振幅値に基づいて、各相ごとに所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を求め、該求めた所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相と上記各段ごとに補正された電圧指令信号の各相ごとの位相とに基づいて、各段の自励式電力変換装置に上記3相の制御信号を出力するようにしたものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1によるPMW制御装置を用いた自励式電力変換装置の構成を示すブロック図である。
図において、1は自励式電力変換装置であり、自己消弧形の制御整流素子を用いた3相ブリッジ等で構成され、該制御整流素子にゲートパルスが入力されると該入力されるゲートパルスに応じて、直流電圧から矩形のパルス列からなる交流電圧を発生する。2は自励式電力変換装置1の交流側と3相交流系統との間に配設された変換装置用変圧器、3は自励式電力変換装置1の直流側の電圧を安定化するための直流コンデンサである。4は変換装置用変圧器2の交流系統側の3相の交流電流を検出してこれを交流電流検出信号として出力する交流電流検出器、5は変換装置用変圧器2の交流系統側の3相の交流電圧を検出してこれを交流電圧検出信号として出力する交流電圧検出器である。6は交流電圧検出器5から出力される3相の交流電圧検出信号のうちのいずれか1相の交流電圧検出信号の位相を同期検出してこれを交流電圧位相検出信号として出力するPLL装置、7はPLL装置6から出力される交流電圧位相検出信号を用いて、交流電流検出器4から出力される交流電流検出信号を有効電流成分(有効分)と無効電流成分(無効分)との2成分に変換する3相/2相変換器、8,9は、それぞれ、外部から入力される有効電流指令,及び無効電流指令に対する3相/2相変換器7から出力される交流電流検出信号の有効電流成分,及び無効電流成分の差分を算出する減算器、10は減算器8の出力を増幅する有効電流制御器、11は減算器9の出力を増幅する無効電流制御器である。17は有効電流制御器10の出力と無効電流制御器11の出力とから、自励式電力変換装置1が実際に発生すべき交流電圧を表す電圧指令値(電圧指令信号)の振幅を算出する電圧指令値振幅演算器、18は有効電流制御器10の出力と、無効電流制御器11の出力と、PLL装置6の出力とから交流電圧検出信号に対する交流電流検出信号の位相差(以下、交流電圧位相との位相ずれという)を算出する電圧指令値位相ずれ演算器である。19は電圧指令値位相ずれ演算器18で算出された位相ずれをPLL装置6から出力される交流電圧位相検出信号に加算して電圧指令値の絶対位相を算出する加算器、20は加算器19から出力される電圧指令値の絶対位相から3相の各相の電圧指令値の位相を算出して出力する位相3相配分器、21は電圧指令値振幅演算器17から出力される電圧指令値の振幅から従来の技術で述べた3つのパラメータ、すなわち、中央のパルスのパルス幅θ1、両サイドのパルスのパルス幅θ2、及びその位置の位相±γを算出し、これをパルスの発生(始端)/終了(終端)位相で表すようにして出力するパルス発生/終了位相演算器である。22,23,24は、パルス発生/終了位相演算器21から出力されるパルス発生/終了位相と位相3相配分器20から出力される各相の電圧指令値の位相とに基づいてゲートパルスを生成し、これを自励式電力変換器1の各相の制御整流素子のゲートに出力するPWM制御器である。ここで、交流電流検出器4、交流電圧検出器5、PLL装置6、3相/2相変換器7、減算器8,9、有効電流制御器10、無効電流制御器11、電圧指令値振幅演算器17、電圧指令値位相ずれ演算器18、加算器19、位相3相配分器、パルス発生/終了位相演算器21、PWM制御器22〜24がPWM制御装置101を構成する。
【0024】
次に、以上のように構成された自励式電力変換装置1及びPWM制御装置101の動作を図1,図2を用いて説明する。
図2はPWMパルス波形を示す図であって、図2(a) は従来例によるPWMパルス波形を示す図、図2(b) は本実施の形態1によるPWMパルス波形を示す図である。
【0025】
図1において、自励式電力変換装置1は、直流系統の直流電圧からPWMパルス波形の交流電圧を3相の各相について発生する。この発生した3相の交流電圧は変換装置用変圧器2を介して交流系統の交流電圧と平衡する。
【0026】
この3相の交流電圧を交流電圧検出器5が検出して、これを3相の交流電圧検出信号として出力する一方、該交流電圧によって流れる交流電流を交流電流検出器4が検出して、これを3相の交流電流検出信号として出力する。
【0027】
上記出力される3相の交流電圧検出信号を受け、PLL装置6が3相の交流電圧検出信号のうちのいずれか1相についての交流電圧位相検出信号を出力する。
【0028】
この出力された交流電圧検出信号と上記出力された交流電流検出信号とを受け、3相/2相変換器7が、交流電流検出信号(3相分)を、交流電圧位相検出信号を用いて該交流電圧位相検出信号と同期して回転するd−q座標系に変換し、有効電流成分と無効電流成分との2成分に分解して、これらを出力する。
【0029】
これらの出力を受け、減算器8,9が、交流電流検出信号の有効電流成分,及び無効電流成分と、上位の制御系から指令される有効電流指令値,及び無効電流指令値との差分をそれぞれ算出し、これら算出された各差分を、それぞれ、有効電流制御器10,及び無効電流制御器11が増幅して出力する。
【0030】
これらの出力を受け、電圧指令値振幅演算器17が次の演算を行う。すなわち、有効電流制御器10の出力をVd、無効電流制御器11の出力をVqとした場合において、√(Vd2 +Vq2 )=Voを演算する。そして、この演算結果Voを電圧指令値の振幅として出力する。
一方、上記出力を受け、電圧指令値位相ずれ演算器18が、tan−1(Vq/Vd)=△αを演算し、この演算結果△αを交流電圧の位相との位相ずれとして出力する。ここで、位相ずれ△αはPLL装置6から出力されている交流電圧位相検出信号の位相θとの位相ずれを表す。
上記出力と上記PLL装置6の出力とを受け、加算器19が、交流電圧の位相θと△αとを加算し、これを電圧指令値の絶対位相として出力する。
【0031】
この出力を受け、位相3相配分器20が以下の演算を行う。すなわち、加算器19の出力である電圧指令値の絶対位相は3相のうちのいずれか1相のものであるので、該電圧指令値の絶対位相と同じ位相のものと、これを120度進めた位相のものと、これを120度遅らせた位相のものとを生成し、該生成したものを3相の各相の電圧指令値の位相として出力する。
【0032】
一方、上記電圧指令値振幅演算器17の出力を受け、パルス発生/終了位相演算器21は、電圧指令値の振幅Voを用いて、例えば、従来の技術で述べた(1),(2),(3)式を演算し、図2(b) に示すように、中央のパルスのパルス幅θ1、両サイドのパルスのパルス幅θ2、及びその位置の位相±γを算出し、パルス発生位相として、−γ−(θ2 / 2)、−θ1 / 2、γ−(θ2 / 2)を出力し、また、パルス終了位相として、−γ+(θ2 / 2)、θ1 / 2、γ+(θ2 / 2)を出力する。
【0033】
この出力と、上記位相3相配分器20の出力とを受け、PWM制御器22,23,24は、それぞれ、パルス発生/終了位相と、電圧指令値の位相とを比較し、それぞれの電圧指令値の位相においてパルスを発生/終了すべき位相に至るとゲートパルスを出力する。
この出力されたゲートパルスを受け、自励式電力変換装置1の各相の制御整流素子がON/OFFし、それにより、直流側の直流電圧から、図2(b) に示すようなPWMパルス波形の交流電圧が各相ごとに生成され、交流側に3相のPWMパルス波形からなる交流電圧が発生する。また、ゲートパルスの出力タイミングは、交流電流の有効分及び無効分について、外部から入力される指令値に対する出力値の偏差に基づいて決定されるので、交流電流の有効分及び無効分は、指令値に応じてフィードバック制御される。
【0034】
次に、本実施の形態1による効果を図2を用いて説明する。図2において、従来の三角波キャリア信号比較PWM制御方式による3パルス電圧波形では、各パルスのパルス幅,及び位置の位相は、図2(a) に示すようなものとなり、5次、及び7次の高調波を含んだものとなっている。一方、本実施の形態1による3パルス電圧波形では、各パルスのパルス幅,及び位置の位相は、図2(b) に示すようなものとなり、5次、及び7次の高調波を含まないものとなっている。また、従来の三角波キャリア信号比較PWM制御方式による3パルス電圧波形では電圧時間積が1.0puであるのに対し、本実施の形態1による3パルス電圧波形では、電圧時間積が0.93puとなっている。従って、従来の三角波キャリア信号比較PWM制御方式よりも、本実施の形態1によるPWM制御方式の方が、高調波特性、電圧時間積特性ともに優れていることが分かる。
【0035】
なお、上記の説明では、5次、及び7次の高調波を含まないようなPWMパルス波形を発生させるようにしたが、目的に応じて他のPWMパルス波形を発生させるようにしても構わない。
【0036】
以上のように、本実施の形態1においては、電圧指令値の有効分と無効分とから電圧指令値の振幅値と位相とを算出し、その算出した振幅値と位相とに基づいて交流電圧のPWMパルス波形の各パルスの発生/終了位相を制御するようにしたので、パルス波形が本来持つ自由度を生かして目的に応じた最適なPWMパルス波形を発生させることができるため、高調波特性改善、電圧利用率向上、電圧時間積低減、変換器損失低減、制御性能向上などを図ることができ、その結果、自励式電力変換装置のコンパクト化、電圧時間積低減による変換装置用変圧器のコンパクト化等を実現することができる。
【0037】
実施の形態2.
図3は本発明の実施の形態2によるPWM制御装置を用いた自励式電力変換装置の構成を示すブロック図である。
図において、図1と同一符号は同一又は相当する部分を示し、本実施の形態2は、図1のパルス発生/終了位相演算器21を省略し、図1のゲートパルスを生成するだけのPWM制御器22〜24に代えて、図1のパルス発生/終了位相演算器21の演算内容を予め計算したテーブルを記憶する記憶手段(図示せず)を備えたPWM制御器25〜27を有する点が実施の形態1と異なるものである。
【0038】
すなわち、PWM制御器25〜27は、それぞれ、記憶手段を備え、該記憶手段に、電圧指令値の振幅値Voに対する3パルス電圧波形の各パルスの発生位相及び終了位相を表すテーブルを予め記憶しており、電圧指令値振幅演算器17から電圧指令値の振幅値が入力され、位相3相配分器20から電圧指令値の位相が入力されると、該入力された電圧指令値の振幅値Voを、該記憶しているテーブルと対比して、該算出した電圧指令値の振幅値Voに対応する3パルス電圧波形の各パルスの発生位相及び終了位相を求め、その求めた各パルスの発生位相及び終了位相と、上記入力された電圧指令値の位相とを比較し、それぞれの電圧指令値の位相においてパルスを発生/終了すべき位相に至るとゲートパルスを出力するように構成されている。
【0039】
このように、本実施の形態2においては、電圧指令値の振幅値Voに対する3パルス電圧波形の各パルスの発生位相及び終了位相を表すテーブルを予め記憶するようにしたので、PWMパルス波形の制御信号の生成処理の高速化を図ることができる。
【0040】
実施の形態3.
図4は本発明の実施の形態3によるPWM制御装置を用いた自励式電力変換装置の構成を示すブロック図である。
図において、図1と同一符号は同一又は相当する部分を示し、本実施の形態3は、図1の電圧指令値振幅演算器17、電圧指令値位相ずれ演算器18、加算器19、位相3相配分器20、パルス発生/終了位相演算器21、及びPWM制御器22〜24に代えて、2相/3相変換器12、各相電圧指令値振幅演算器28〜30、各相パルス発生/終了位相演算器31〜33、及びPWM制御器34〜36を有する点が実施の形態1と異なるものである。
【0041】
2相/3相変換器12は、有効電流制御器10の出力と無効電流制御器11の出力とを、自励式電力変換装置1が実際に発生すべき交流電圧を表す電圧指令値に変換する。
【0042】
各相電圧指令値振幅位相演算器28〜30は、2相/3相変換器12によって変換された各相ごとの電圧指令値から、各相ごとの振幅値と位相とを算出する。
【0043】
例えば、電圧指令値を正弦波と仮定すれば、2点のサンプリングデータから振幅値や位相を計算できる。
【0044】
各相パルス発生/終了位相演算器31〜33は、各相電圧指令値振幅位相演算器28〜30で各相ごとに計算された振幅値から、例えば、従来の技術で述べた(1),(2),(3)式のような計算をして、パルスの発生/終了位相を算出する。
【0045】
PWM制御器34〜36は、各相電圧指令値振幅位相演算器28〜30で算出された各相ごとの電圧指令位相値と、各相パルス発生/終了位相演算器31〜33で算出された各相ごとのパルス発生/終了位相との比較により、各相ごとにゲートパルスを生成して、これを自励式電力変換装置1の制御整流素子に出力する。
【0046】
以上のように、本実施の形態3においては、各相ごとに独立にPWMパルス波形を計算/制御するので、各相ごとに独立にPWMパルス波形を制御することができるため、例えば、交流系統の事故で3相不平衡状態になっても、最適に対応することができる。
【0047】
実施の形態4.
図5は本発明の実施の形態4によるPWM制御装置を用いた自励式電力変換装置の構成を示すブロック図である。
図において、図1と同一符号は同一又は相当する部分を示し、本実施の形態4は、図1の単独の自励式電力変換装置1に代えて、多重化された自励式電力変換装置37,38を備えるようにした点が実施の形態1と異なるものである。
【0048】
すなわち、第1段の自励式電力変換装置37と、第2段の自励式電力変換装置38とが、その交流側を変換装置用多重変圧器39を介して並列に交流系統に接続されるとともに、その直流側を直接直流系統に接続され、それにより、多重化されている。
【0049】
40,41,42は、位相3相配分器20から出力される各相の電圧指令値の位相を、多重化の段数(本実施の形態4では2段)に応じて、段ごとに電圧指令値の位相をシフトさせる多重化用段間位相シフト器である。
【0050】
43,44,45,46,47,48は、パルス発生/終了位相演算器21から出力されるパルス発生/終了位相と多重化用段間位相シフト器40〜42から出力される段ごとの電圧指令値の位相とを比較して、段ごとに各相のゲートパルスを生成して出力するPWM制御器である。
【0051】
自励式電力変換装置を多重化して、高調波低減などを図るために、段間の位相をずらすことは従来のPWM制御方式でもキャリア信号の位相をシフトさせるなどして行われているが、本実施の形態4においても、上記多重化用段間位相シフト器40〜42により、各段への電圧指令値の位相をずらすことにより、高調波低減や制御応答の高速化等の多重化メリットを出そうとするものである。
【0052】
なお、上記の説明では、多重化の段数を2段として説明したが、3段、4段と段数が増えればそれに応じて、各段に多重化用段間位相シフト器を設け、段ごとにPWM制御器を追加していけばよく、それにより、上記した2段の場合と同じ効果が得られることは明らかである。
【0053】
以上のように、本実施の形態4においては、自励式電力変換装置を多重化したので、高調波低減や制御応答の高速化などの多重化によるメリット得ることができる。
【0054】
実施の形態5.
図6は本発明の実施の形態5によるPWM制御装置を用いた自励式電力変換装置の構成を示すブロック図である。
図において、図5と同一符号は同一又は相当する部分を示し、本実施の形態5は、図5のパルス発生/終了位相演算器21を省略し、図5のゲートパルスを生成するだけのPWM制御器43〜48に代えて、図5のパルス発生/終了位相演算器21の演算内容を予め計算したテーブルを記憶する記憶手段(図示せず)を備えたPWM制御器49〜54を有する点が実施の形態4と異なるものである。また、PWM制御器49〜54の動作は、テーブルの利用に関しては実施の形態2のPWM制御器25〜27と同様であり、ゲートパルスの生成に関しては実施の形態4のPWM制御器43〜48と同様であるので、その説明を省略する。
【0055】
以上のように、本実施の形態5においては、多重化された自励式電力変換装置において、電圧指令値の振幅値Voに対する3パルス電圧波形の各パルスの発生位相及び終了位相を表すテーブルを予め記憶するようにしたので、多重化によるメリットを得ると同時に、PWMパルス波形の制御信号の生成処理の高速化を図ることができる。
【0056】
実施の形態6.
図7は本発明の実施の形態6によるPWM制御装置を用いた自励式電力変換装置の構成を示すブロック図である。
図において、図4と同一符号は同一又は相当する部分を示し、本実施の形態6は、図4の単独の自励式電力変換装置1に代えて、多重化された自励式電力変換装置37,38を備えるようにした点が実施の形態3と異なるものである。
【0057】
すなわち、第1段の自励式電力変換装置37と、第2段の自励式電力変換装置38とが、その交流側を変換装置用多重変圧器39を介して並列に交流系統に接続されるとともに、その直流側を直接直流系統に接続され、それにより、多重化されている。
【0058】
55,56,57は、各相電圧指令値振幅位相演算器28〜30から出力される各相の電圧指令値の位相を、多重化の段数(本実施の形態6では2段)に応じて、段ごとに電圧指令値の位相をシフトさせる多重化用段間位相シフト器である。
【0059】
58、59は、U相用の各相パルス発生/終了位相演算器31から出力されるU相用のパルス発生/終了位相と、U相用の多重化用段間位相シフト器55から出力される段ごとの電圧指令値の位相との比較によって、段ごとのゲートパルスを生成するPWM制御器である。
【0060】
60、61は、V相用の各相パルス発生/終了位相演算器32から出力されるV相用のパルス発生/終了位相と、V相用の多重化用段間位相シフト器56から出力される段ごとの電圧指令値の位相との比較によって、段ごとのゲートパルスを生成するPWM制御器である。
【0061】
62、63は、W相用の各相パルス発生/終了位相演算器33から出力されるW相用のパルス発生/終了位相と、W相用の多重化用段間位相シフト器57から出力される段ごとの電圧指令値の位相との比較によって、段ごとのゲートパルスを生成するPWM制御器である。
【0062】
以上のように、本発明の実施の形態6においては、多重化された自励式電力変換装置において、各相ごとに独立にPWMパルス波形を計算/制御するようにしたので、多重化によるメリットを得ると同時に、交流系統の事故で3相不平衡状態になっても、最適に対応することができる。
【0063】
なお、上記実施の形態5〜7では、多重化の段数を2段として説明したが、3段、4段と段数が増えればそれに応じて、各段に多重化用段間位相シフト器を設け、段ごとにPWM制御器を追加していけばよく、それにより、上記実施の形態5〜7で2段にした場合と同じ効果が得られることは明らかである。
【0064】
また、上記実施の形態1〜7では、自励式電力変換装置の交流側が3相である場合を説明したが、3相以外であってもよく、例えば、単相の場合には3相の場合と同様にして本発明を適用することができる。
【0065】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に係る発明によれば、PWMパルス波形の変調信号たる電圧指令信号の有効分と無効分とから、電圧指令信号の振幅値と位相とを算出し、その算出した振幅値に基づいて所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を求め、その求めた所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相と上記算出した電圧指令信号の位相とに基づいて、自励式電力変換装置におけるPWMパルス波形の交流電圧を発生させるようにしたので、パルス波形が本来持つ自由度を生かして目的に応じた最適なPWMパルス波形を発生させることができるため、高調波特性改善、電圧利用率向上、電圧時間積低減、変換器損失低減、制御性能向上などを図ることができる。
【0066】
また、請求項2に係る発明によれば、請求項1の自励式電力変換装置用PWM制御装置が、算出した振幅値から所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を演算するパルス発生/終了位相演算器と、該求めた所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相と上記算出した電圧指令信号の位相とに基づいて、制御信号を出力するPWM制御器とを有するものとしたので、構成を簡素化することができる。
【0067】
また、請求項3に係る発明によれば、請求項1の発明において、電圧指令信号の振幅値に対する所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を表すテーブルを予め記憶し、算出した電圧指令信号の振幅値をその記憶しているテーブルと対比して所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を求め、その求めた所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相と算出した電圧指令信号の位相とに基づいて、自励式電力変換装置におけるPWMパルス波形の交流電圧を発生させるようにしたので、PWMパルス波形の制御信号の生成処理の高速化を図ることができる。
【0068】
また、請求項4に係る発明によれば、請求項1の発明において、交流電力が3相交流電力であり、算出した電圧指令信号の有効分及び無効分を、検出した3相交流電圧の位相を用いて3相交流の電圧指令信号の有効分及び無効分に変換し、その変換した3相交流の電圧指令信号の有効分及び無効分から各相ごとの振幅値と位相とを算出し、その算出した各相ごとの振幅値に基づいて、各相ごとに所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を求め、その求めた所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相と算出した電圧指令信号の各相ごとの位相とに基づいて、自励式電力変換装置におけるPWMパルス波形の3相の交流電圧を発生させるようにしたので、各相ごとに独立にPWMパルス波形を制御することができるため、例えば交流系統の事故で3相不平衡状態になっても、最適に対応することができる。
【0069】
また、請求項5に係る発明によれば、請求項1の発明において、多重化された自励式電力変換装置を有し、算出された電圧指令信号の位相を自励式電力変換装置の多重化の段数に応じて各段ごとに補正し、求めた所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相と該各段ごとに補正された電圧指令信号の位相とに基づいて、各段の自励式電力変換装置におけるPWMパルス波形の交流電圧を発生させるようにしたので、高調波の低減や制御応答の高速化等を図ることができる。
【0070】
また、請求項6に係る発明によれば、請求項5の発明において、電圧指令信号の振幅値から所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を演算により求め、その求めた所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相と上記各段ごとに補正された電圧指令信号の位相とに基づいて、各段の自励式電力変換装置におけるPWMパルス波形の交流電圧を発生させるようにしたので、高調波の低減や制御応答の高速化等を図ることができるとともに、構成を簡素化することができる。
【0071】
また、請求項7に係る発明によれば、請求項5の発明において、電圧指令信号の振幅値に対する所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を表すテーブルを予め記憶し、算出した電圧指令信号の振幅値をその記憶しているテーブルと対比して所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を求め、その求めた所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相と各段ごとに補正された電圧指令信号の位相とに基づいて、各段の自励式電力変換装置におけるPWMパルス波形の交流電圧を発生させるようにしたので、高調波の低減や制御応答の高速化等を図ることができるとともに、PWMパルス波形の制御信号の生成処理の高速化を図ることができる。
【0072】
また、請求項8に係る発明によれば、請求項5の発明において、多重化された自励式電力変換装置の交流電力が3相交流電力であり、算出した電圧指令信号の有効分及び無効分を、検出した3相交流電圧の位相を用いて3相交流の電圧指令信号の有効分及び無効分に変換し、その変換した3相交流の電圧指令信号の有効分及び無効分から各相ごとの振幅値と位相とを算出するとともに、その算出された電圧指令信号の位相を自励式電力変換装置の多重化の段数に応じて各段ごとに補正し、算出した各相ごとの振幅値に基づいて、各相ごとに所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を求め、その求めた所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相と上記各段ごとに補正された電圧指令信号の各相ごとの位相とに基づいて、各段の自励式電力変換装置におけるPWMパルス波形の3相の交流電圧を発生させるようにしたので、高調波の低減や制御応答の高速化等を図ることができるとともに、交流系統の事故で3相不平衡状態になっても、最適に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1によるPWM制御装置を用いた自励式電力変換装置の構成を示すブロック図である。
【図2】PWMパルス波形を示す図であって、従来例によるPWMパルス波形を示す図(a) 、及び本実施の形態1によるPWMパルス波形を示す図(b) である。
【図3】本発明の実施の形態2によるPWM制御装置を用いた自励式電力変換装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態3によるPWM制御装置を用いた自励式電力変換装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態4によるPWM制御装置を用いた自励式電力変換装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態5によるPWM制御装置を用いた自励式電力変換装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態6によるPWM制御装置を用いた自励式電力変換装置の構成を示すブロック図である。
【図8】従来の自励式電力変換装置の構成を示すブロック図である。
【図9】従来の三角波キャリア信号比較PWM制御方式を示す図であって、制御整流素子からなる単相ブリッジを示す回路図(a)、三角波キャリア信号及び電圧指令値を示すグラフ図(b) 、及びPWMパルス波形を示すグラフ図(c)である。
【図10】半サイクル中に3パルスを有するPWMパルス波形を一般的な形で表したグラフ図である。
【符号の説明】
1 自励式電力変換装置、2 変換装置用変圧器、3 直流コンデンサ、
4 交流電流検出器、5 交流電圧検出器、6 PLL装置、7 3相/2相変換器、8,9 減算器、10 有効電流制御器、11 無効電流制御器、
12 2相/3相変換器、13 キャリア発生器、14〜16 PWM制御器、
17 電圧指令値振幅演算器、18 電圧指令値位相ずれ演算器、19 加算器、20 位相3相配分器、21 パルス発生/終了位相演算器、22〜27 PWM制御器、28〜30 各相電圧指令値振幅位相演算器、31〜33 各相パルス発生/終了位相演算器、34〜36 PWM制御器、37 第1段の自励式電力変換装置、38 第2段の自励式電力変換装置、39 変換装置用多重変圧器、40〜42 多重化用段間位相シフト器、43〜54 PWM制御器、
55〜57 多重化用段間位相シフト器、58〜63 PWM制御器、
101 PWM制御装置、102 制御整流素子、103 電圧指令値、
104 上段用3パルスキャリア信号、105 下段用3パルスキャリア信号、
106 PWMパルス波形の交流電圧、T1,T2 出力端子。
Claims (8)
- 制御信号に応じてON/OFFして、直流電圧からパルス波形の交流電圧を発生する自励式電力変換装置に用いられ、
上記発生する交流電圧の位相と該交流電圧に基づいて流れる交流電流の値とを検出し、該検出した交流電圧の位相及び交流電流の値から該交流電圧の位相と同期した2軸の回転座標系での交流電流の有効分及び無効分を算出し、該算出した交流電流の有効分及び無効分と外部から入力される上記交流電流の有効分及び無効分に対する指令値とに基づいて上記制御信号を出力することにより、上記自励式電力変換装置にPWMパルス波形の交流電圧を発生させて、上記交流電流の有効分及び無効分を制御するPWM制御装置において、
上記算出した交流電流の有効分及び無効分と上記外部から入力される交流電流の有効分及び無効分に対する指令値とに基づいて、上記発生させるPWMパルス波形の交流電圧の変調信号たる電圧指令信号の有効分と無効分とを算出し、該算出した電圧指令信号の有効分と無効分とから、該電圧指令信号の振幅値と位相とを算出し、該算出した振幅値に基づいて所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を求め、該求めた所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相と上記算出した電圧指令信号の位相とに基づいて、上記制御信号を出力するようにしたことを特徴とする自励式電力変換装置用PWM制御装置。 - 請求項1に記載の自励式電力変換装置用PWM制御装置は、
上記算出した振幅値から所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を演算するパルス発生/終了位相演算器と、該求めた所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相と上記算出した電圧指令信号の位相とに基づいて、上記制御信号を出力するPWM制御器とを有するものであることを特徴とする自励式電力変換装置用PWM制御装置。 - 請求項1に記載の自励式電力変換装置用PWM制御装置において、
上記電圧指令信号の振幅値に対する所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を表すテーブルを予め記憶し、上記算出した電圧指令信号の振幅値を該記憶したテーブルと対比して所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を求め、該求めた所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相と上記算出した電圧指令信号の位相とに基づいて、上記制御信号を出力するようにしたことを特徴とする自励式電力変換装置用PWM制御装置。 - 請求項1に記載の自励式電力変換装置用PWM制御装置において、
上記自励式電力変換装置は3相の制御信号に応じて3相交流電圧を発生するものであり、
上記算出した電圧指令信号の有効分及び無効分を、検出した3相交流電圧の位相を用いて3相交流の電圧指令信号の有効分及び無効分に変換し、
該変換した3相交流の電圧指令信号の有効分及び無効分から各相ごとの振幅値と位相とを算出し、該算出した各相ごとの振幅値に基づいて、各相ごとに所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を求め、該求めた所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相と上記算出した電圧指令信号の各相ごとの位相とに基づいて、上記3相の制御信号を出力するようにしたことを特徴とする自励式電力変換装置用PWM制御装置。 - 請求項1に記載の自励式電力変換装置用PWM制御装置において、
上記自励式電力変換装置を2以上多重化して有し、
上記算出された電圧指令信号の位相を上記自励式電力変換装置の多重化の段数に応じて各段ごとに補正し、上記求めた所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相と該各段ごとに補正された電圧指令信号の位相とに基づいて、各段の自励式電力変換装置に上記制御信号を出力するようにしたことを特徴とする自励式電力変換装置用PWM制御装置。 - 請求項5に記載の自励式電力変換装置用PWM制御装置において、
上記算出した振幅値から所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を演算により求め、該求めた所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相と上記各段ごとに補正された電圧指令信号の位相とに基づいて、各段の自励式電力変換装置に上記制御信号を出力するようにしたことを特徴とする自励式電力変換装置用PWM制御装置。 - 請求項5に記載の自励式電力変換装置用PWM制御装置において、
上記電圧指令信号の振幅値に対する所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を表すテーブルを予め記憶し、上記算出した電圧指令信号の振幅値を該記憶しているテーブルと対比して所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を求め、該求めた所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相と上記各段ごとに補正された電圧指令信号の位相とに基づいて、各段の自励式電力変換装置に上記制御信号を出力するようにしたことを特徴とする自励式電力変換装置用PWM制御装置。 - 請求項5に記載の自励式電力変換装置用PWM制御装置において、
上記多重化された自励式電力変換装置は3相の制御信号に応じて3相交流電圧を発生するものであり、
上記算出した電圧指令信号の有効分及び無効分を、検出した3相交流電圧の位相を用いて3相交流の電圧指令信号の有効分及び無効分に変換し、
該変換した3相交流の電圧指令信号の有効分及び無効分から各相ごとの振幅値と位相とを算出するとともに、該算出された電圧指令信号の位相を上記自励式電力変換装置の多重化の段数に応じて各段ごとに補正し、上記算出した各相ごとの振幅値に基づいて、各相ごとに所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相を求め、該求めた所定のPWMパルス波形の各パルスの始端及び終端の位相と上記各段ごとに補正された電圧指令信号の各相ごとの位相とに基づいて、各段の自励式電力変換装置に上記3相の制御信号を出力するようにしたことを特徴とする自励式電力変換装置用PWM制御装置。
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