JP3596015B2 - Automatic piano - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、例えば、自動的に鍵盤を駆動して演奏を行う自動ピアノに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動ピアノにおいては、ソレノイドを励磁して鍵を駆動すると、これに応じてハンマが回転して打弦がおこなわれる。そして、ハンマによる打弦の強弱は、鍵の駆動速度に対応し、鍵の駆動速度はソレノイドへの供給電流に対応する。したがって、ソレノイドへの給電量を制御することにより、打弦の強弱、すなわち、発生楽音の大きさを制御することができる。
【0003】
ところで、自動ピアノにおいては、演奏情報を記録する際に、打弦直前のハンマの速度を検出し、これを打弦強度を示すデータ(以下、打弦強度データという)として記録するとともに、ハンマが打弦位置を通過する時刻を打弦時刻データとして記録する。なお、打弦時刻データは、一般的に一つ前の音との間隔を示す時間データ(相対時間データ)として記録されるが、演奏開始時からの絶対時刻が記録されることもある。
そして、記録した演奏情報を再生する際には、演奏情報中の打弦強度データに応じた電流をソレノイドに供給する。また、ソレノイドへの給電量制御は、一般にはパルス幅変調(PWM)によって行われる。
【0004】
この場合、鍵を駆動し始めてからハンマが実際に打弦するまでの時間差を見込んで、打弦時刻データが示す打弦タイミングより少し前にソレノイドへの給電を行う。また、強音と弱音では、押鍵開始から打弦までの時間が異なるので、打弦強度データに応じて、ソレノイドへの給電タイミングを調整するようにした自動ピアノも開発されている。
【0005】
なお、演奏データ記録時において、押鍵速度からハンマ速度を推定するタイプのものもあるが(特開平1−239594号)、この場合には、推定したハンマ速度を打弦強度データとして記録する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の自動ピアノは、打弦時刻データに対応させたタイミングで、打弦強度データに応じた電流をソレノイドに供給するというオープンループの制御を行っており、言い換えれば、押鍵開始時において打弦強度データに応じた力で鍵を押し下げるという単純なものであった。
しかしながら、鍵の軌道(この場合の軌道は、時間経過に対する位置変化をいう)を考慮すると、押鍵開始時の押下力だけを制御しても、演奏時における鍵軌道を再生したことにはならず、このため、記録時の打弦速度を正確に再現することができなかった。
【0007】
また、演奏家による演奏は、単に押鍵時開始時の押下力だけをコントロールしているのではなく、楽曲の微妙なニュアンスを表現すべく、押鍵開始から離鍵に至るまで、楽音の表情に応じた操作を行う。したがって、単に、押鍵開始時の押下力を制御しただけでは、楽音の表情を正確に再現することはできず、機械的な味気ない演奏となってしまう。
【0008】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、打弦速度を正確に再現することができる自動ピアノを提供することを第1の目的としている。また、この発明の他の目的は、演奏の微妙なニュアンスをも表現することができる自動ピアノを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1に記載の発明においては、鍵の押下によってハンマーを回動させ、当該ハンマーによる弦への打撃によって発音を行う自動ピアノであって、ハンマーが打弦するタイミングとしての発音時刻を示す発音時刻情報およびハンマーが打弦する際の強さとしての発音強度を示す発音強度情報を供給する供給手段と、鍵のレスト位置からエンド位置までの範囲内で予め設定された所定点であって、鍵の速度とハンマーの打弦による発音強度とが特定の対応関係を示す所定点での鍵の運動属性を、前記発音強度情報で示される発音強度および前記発音時刻情報で示される発音時刻から前記対応関係を用いて求める運動属性算出手段と、前記鍵を駆動する駆動手段と、前記鍵が、前記所定点において求められた運動属性となるように、前記駆動手段による鍵の駆動を制御する制御手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の発明においては、鍵の押下によってハンマーを回動させ、当該ハンマーによる弦への打撃によって発音を行う自動ピアノであって、ハンマーが打弦するタイミングとしての発音時刻を示す発音時刻情報およびハンマーが打弦する際の強さとしての発音強度を示す発音強度情報を供給する供給手段と、鍵のレスト位置からエンド位置までの範囲内で予め設定された所定点であって、速度とハンマの打弦による発音強度とが特定の対応関係を示す所定点での鍵の通過速度を、前記対応関係を用いて前記発音強度情報で示される発音強度から求めるとともに、前記所定点における鍵の通過時刻を、求めた通過速度および前記発音時刻情報で示される発音時刻から求める運動属性算出手段と、前記運動属性算出手段が求めた通過速度および通過時刻を満たす鍵軌道を、時間に対する鍵位置の関係として算出するとともに、当該鍵軌道における押鍵開始時刻を算出する軌道算出手段と、前記鍵を駆動する駆動手段と、前記鍵が、求められた押鍵開始時刻から押鍵開始するとともに、求められた通過時刻に前記所定点に達し、かつ、前記所定点に達したときに求められた通過速度となるように、前記駆動手段による鍵の駆動を制御する制御手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明においては、鍵の押下によって打弦して発音を行う一方、離鍵に伴ってダンパーが弦を抑止させて消音を行う自動ピアノであって、離鍵時刻を示す離鍵時刻情報および離鍵速度を示す離鍵速度情報を供給する供給手段と、鍵のエンド位置からレスト位置までの範囲内で予め設定され、ダンパーによる弦の抑止開始地点に対応する所定点を鍵が、前記離鍵時刻情報で示される離鍵時刻にて前記離鍵速度情報で示される離鍵速度で通過する鍵軌道を、時間に対する鍵位置の関係として算出するとともに、当該鍵軌道における離鍵開始時刻を求める軌道算出手段と、前記鍵を駆動する駆動手段と、前記鍵が、求められた離鍵開始時刻から離鍵開始するとともに、前記所定点において前記離鍵時刻情報で示される離鍵時刻にて前記離鍵速度情報で示される離鍵速度となるように、前記駆動手段による鍵の駆動を制御する制御手段とを具備することを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明においては、請求項2または3記載の自動ピアノにおいて、前記軌道算出手段は、予め設定された加速度、前記運動属性算出手段が求めた通過時刻および通過速度を満たす鍵の放物線軌道を算出することを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明においては、請求項4記載の自動ピアノにおいて、前記軌道算出手段は、放物線軌道の算出に際し、鍵の初速度に予め設定された値を用いることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明においては、請求項2記載の自動ピアノにおいて、前記発音強度情報と基準値とを比較して弱音を抽出する弱音抽出手段を具備するとともに、前記軌道算出手段は、抽出した弱音については予め設定された加速度、前記運動属性算出手段が求めた通過時刻および通過速度を満たす鍵の放物線軌道を算出し、弱音以外については前記運動属性算出手段が求めた通過時刻および通過速度を満たす鍵の直線軌道を算出することを特徴とする。
【0018】
【作用】
鍵の軌跡の所定点(リファレンスポイント)における運動属性が再現されるように鍵が駆動される。したがって、ハンマの動きとの対応関係が深い点を所定点に選ぶことにより、ハンマの挙動を正確に再現することができる。また、前記所定点を通る直線軌道あるいは放物線軌道に沿って鍵を駆動すると、所定点における鍵の運動属性は確実に再現される。また、放物線軌道を採用した場合は、人間の鍵操作軌道に近いため、演奏のニュアンスをも再現することができる。
【0019】
【実施例】
A:第1実施例
(イ)制御原理
▲1▼リファレンスポイント
図20は、一般的な自動ピアノの要部の構成を示す断面図である。図に示すように、自動ピアノにおいては、鍵1と、鍵1の運動をハンマ2に伝達するアクション3と、ハンマ2によって打弦される弦4と、鍵1を駆動するソレノイド5とを有している。そして、ソレノイド5のプランジャが突出すると、鍵1がバランスピンPを中心に回動し、その演奏者側が下がり(以下、この状態を押鍵状態という)、また、これに連動してアクション3が作動し、ダンパー6が弦4から離れるとともに、ハンマ2が回動して打弦する。
一方、演奏者が弾く場合は、指で鍵1を押下することにより、上述と同様の作用が生じて打弦が行われる。
【0020】
なお、図において、SE1,SE2は、打弦速度を計測するためのセンサであり、ハンマ2がこれらのセンサSE1,SE2の間を通過する時間を計測することにより、ハンマ2の速度、すなわち、打弦速度が計測される。また、ハンマ2がセンサSE1を通過する時刻が打弦時刻として計測される。なお、ハンマ2が実際に打弦する時刻にセンサSE1で検出される打弦時刻をより近づけるために、センサSE1はハンマ2の打弦位置に近接した位置に設けられている。
ところで、鍵1を押し下げる速度に応じてハンマ2の打弦速度が決まるが、鍵1の速度は初め遅くて次第に早くなる場合や、その逆の場合もあり、さらには、ほとんど一定の速さで押される場合もある。この場合、鍵1のレスト位置(鍵1を押してない場合の初期位置)からエンド位置(鍵を押し切った位置)に至るまでの速度と、ハンマ2の打弦速度とがどのような関係になっているのかが重要である。なぜならば、その関係を考察せず、打弦強度データに応じて鍵速度(初期速度など)を制御しても、記録時の打弦速度を再生することはできないからである。
【0021】
実験によれば、鍵1のある位置における速度とハンマ2の打弦速度とが極めて良い対応を示すことが判った。この位置は、ピアノの個体差にもよるが、概ねレスト位置から9.0mm〜9.5mm程度押し下げた位置であった。したがって、鍵1がこの位置に達するときの速度を、打弦強度データに応じて制御すれば、記録時の打弦速度を忠実に再現することができる。なお、以下においては、上述の所定位置をリファレンスポイントXrという。
【0022】
▲2▼リファレンス速度
次に、上述のようにして求めたリファレンスポイントXrにおいて、どのような鍵速度にすれば、打弦速度を忠実に再現することができるかを設定する必要がある。なお、以下においては、リファレンスポイントXrにおける鍵速度をリファレンス速度Vrという。
【0023】
ここで、図2はリファレンスポイントXrを9.5mmに設定したときの鍵速度と打弦速度の関係を示す図である。図中、白点は鍵をエンド位置まで押し切る単打奏法を行った場合の結果を示し、黒点は鍵をエンド位置まで押し切らずに連打する連打奏法を行った場合の結果を示している。また、C1は1次最小自乗法近似による直線、C2は6次最小自乗法による曲線を示している。
【0024】
図2から明らかなように、リファレンス速度Vrは、直線C1あるいは曲線C2のいずれによっても近似できる。したがって、近似性のよい関数を適宜選択すれば、この関数を用いて任意の打弦強度データ(記録時の打弦速度情報)からリファレンス速度Vrを決定することができる。
この実施例においては、計算が簡単で誤差の少ない1次関数近似を採用している。したがって、リファレンス速度vrは、次式によって求められる。
【0025】
【数1】
vr=α・vH+β
数1において、vHは打弦速度(打弦強度データ)であり、αおよびβは定数である。定数αおよびβは、ピアノの機種等に応じ実験等によって決定する。なお、αおよびβは、同一ピアノであっても、リファレンスポイントXrをどこにするかによって変動する。
【0026】
▲3▼リファレンス時間差
さて、演奏情報に含まれる打弦時刻データは、前述したように、相対時刻あるいは絶対時刻で記録されているが、いずれにしても再生側自動ピアノにおいて打弦時刻データを読みとって処理することにより、再生時の各音の打弦絶対時刻が求められる。そこで、このようにして求めた打弦絶対時刻において正確に打弦を行わせるには、鍵が何時リファレンスポイントXrを通過すればよいかを求める必要がある。
【0027】
ここで、鍵1がリファレンスポイントXrを通過する時刻(以下、リファレンス時刻trという)と打弦時刻(正確には、ハンマが打弦位置直前にあるセンサSEを通過した時刻)との時間差をリファレンス時間差Trと定義し、これと打弦速度との関係を実験により求めたものが図3である。図3において、白点は単打奏法による結果、黒点は連打奏法による結果を示している。そして、図3を縮尺2倍にしたものが図4であり、縮尺4倍にしたものが図5である。これらの図から判るように、リファレンス時間差Trと打弦速度との関係は、双曲線により極めて良好に近似される。すなわち、このリファレンス時間差Trは、打弦速度vHを分母にする1変数式で近似することができ、次式によって算出される。
【0028】
【数2】
Tr=−(γ/vH)+δ
なお、数2における定数γおよびδは、ピアノの機種等に応じ実験等によって決定する。なお、γおよびδは、同一ピアノであっても、リファレンスポイントXrをどこにするかによって変動する。これは、数1におけるα、βの場合と同様である。
【0029】
さて、数2によって、リファレンス時間差Trが求まれば、再生側の打弦絶対時刻からリファレンス時間差Trを減算することによって、リファレンス時刻trが求められ、結局、上述した▲1▼、▲2▼、▲3▼の処理により、リファレンスポイントXr、リファレンス速度Vr、およびリファレンス時刻trが求められる。したがって、リファレンス時刻trにリファレンスポイントXrに達し、かつ、その時の速度がリファレンス速度Vrとなるように鍵1を駆動すれば、記録時の打弦状態を忠実に再現することができることが判る。
なお、鍵1がリファレンスポイントXrに達したときに打弦が行われるのであれば、リファレンス時間差Trを求める処理は不要になる。
【0030】
▲4▼制御の概要
以上のようにして、予め設定したリファレンスポイントXrにおけるリファレンス速度Vrが求められれば、鍵1の挙動をこれに応じて制御することにより、記録時の打弦速度を再生することができる。
【0031】
この場合、レスト位置からエンド位置までの鍵の軌道(時間経過に対する鍵の位置)を設定すれば、鍵の押下開始位置からリファレンスポイントXrに至るまでの各位置と時刻の関係(速度と時刻の関係等)が求められるから、これに応じて鍵の位置をフィードバック制御すればよいことが判る。この場合における鍵の軌道は、例えば、リファレンスポイントXrを通る直線軌道(等速運動の場合)や放物線軌道(等加速度運動の場合)の他、任意の軌道を設定することができる。ただし、打弦状態の再現性が良く、また、制御し易い軌道を選択することが好ましい。また、設定する軌道によっては、リファレンス点における加速度等(運動を決定する他の要素)を求める必要が生じるが、これについては軌道の種類に応じて適宜算出すればよい。
以上がこの実施例の制御原理である。
【0032】
(ロ)第1実施例の構成および動作
以下、図面を参照してこの発明の実施例の構成について説明する。図1は、この実施例の構成を示すブロック図である。なお、前述した図20の各部と対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
【0033】
図において、10は再生前処理部であり、記録メディアあるいはリアルタイム通信装置から供給される演奏データに基づいて、鍵の軌道データを作成する回路であり、まず、リファレンス時刻tr、リファレンス速度vrを求め、さらに、加速度の推定が必要な場合はこれを演算する。そして、軌道の種類(直線、放物線、その他任意の軌道)に応じて各音に対する鍵の軌道を示すデータを生成する。
11は、再生前処理部10が作成した軌道データに基づいて、ソレノイド5のプランジャの動きを示すデータを作成するモーションコントローラである。また、12はサーボコントローラであり、モーションコントローラ11から供給されるデータに応じてソレノイド5の励磁電流を制御する。この場合、ソレノイド5には、プランジャの位置を検出する検出機構が設けられており、これにより検出されたプランジャ位置をフィードバック信号としてサーボコントローラ12にフィードバックするようになっている。そして、サーボコントローラ12は、モーションコントローラ11から供給されるデータとソレノイド5からのフィードバック信号とを照合しながら、両者が一致するように励磁電流を制御する。
【0034】
上述した構成によれば、演奏データ中の打弦強度データに応じて、リファレンスポイントXrを通過する鍵軌道が生成され、鍵がこの軌道を再現するようにソレノイド5の励磁電流が制御される。
この結果、鍵1がリファレンスポイントXrに達したときの速度は、記録時の打弦速度に対応した速度(すなわち、リファレンス速度Vr)になり、ハンマ2は記録時と同じ速度で打弦を行う。
以上のように、この実施例においては、リファレンスポイントという制御点を導入し、この点における鍵の運動属性を再現するようにしたので、センサ等を増やすことなく、忠実に打弦速度を再現することができる。
【0035】
B:第2実施例
次に、この発明の第2実施例について説明する。なお、第2実施例における制御原理は、第1実施例と同様であるが、第2実施例においては、鍵の軌道として直線軌道を設定し、また、押鍵時のみでなく離鍵時においても鍵をサーボ駆動している。
【0036】
(イ)第2実施例の構成
図6は、第2実施例の構成を示すブロック図である。なお、図1の各部に対応する部分には同一の符号が付けてある。
図6に示す26は、鍵1の下面に取り付けられた板状のシャッタである。25は、上下方向に所定距離隔て設けられる2組のフォトセンサによって構成されているキーセンサであり、鍵1が押下され始めると、まず上方のフォトセンサが遮光され、次いで、下方のフォトセンサが遮光される。離鍵の際には、下方のフォトセンサが受光状態になり、ついで、上方のセンサが受光状態になる。
【0037】
キーセンサ25の出力信号は、演奏記録部30に供給され、演奏記録部30は、キーセンサ25内の下方のフォトセンサが受光状態になってから上方のフォトセンサが受光状態になるまでの時間を測定し、ここから、離鍵速度を検出する。また、演奏記録部30は上方のフォトセンサが受光状態になった時刻を離鍵時刻として処理する。また、演奏記録部30は、センサSE2が遮光されてからセンサSE1が遮光されるまでの時間を計測し、ここから打弦速度を検出する。また、センサSE1が遮光された時刻を打弦時刻として処理する。
【0038】
すなわち、演奏記録部30は、演奏が開始されると、センサSE1,SE2の出力信号に基づいて、打弦時刻および打弦速度を検出し、かつ、キーセンサ25の出力信号に基づいて離鍵時刻および離鍵速度を検出する。以上のようにして検出された各情報は、記録後処理部31に供給される。
【0039】
記録後処理部31においては、演奏記録部30から供給される各種情報に対し、
正規化処理を施した後に、外部の記録媒体に演奏情報として供給する。ここで、正規化処理とは、ピアノの個体差を吸収するための処理である。すなわち、打弦速度、打弦時刻、離鍵速度、離鍵時刻等は、各ピアノにおけるセンサの位置や、構造上の違い、あるいは機械的誤差によって固有の傾向を持つため、標準となるピアノを想定し、そのピアノにおける打弦速度、打弦時刻等に変換するための処理である。
次に、本実施例における再生前処理部10について説明する。この実施例においては、鍵軌道として直線を想定するので、次のような手法で軌道データの作成を行う。
【0040】
▲1▼押鍵時の軌道データ作成
図7は、鍵の押鍵軌道(直線軌道)を示す図であり、レスト位置X0から等速運動をしてエンド位置Xeに至っている。ここで、鍵の初速度をV0、鍵の位置をX、鍵の駆動開始時点からの時刻をtとすれば、鍵の軌道は、
【0041】
【数3】
X=V0・t+X0
と表される。
また、鍵がリファレンスポイントXrに達する時刻をtr’とすると、
【0042】
【数4】
Xr=V0・tr’+X0
なる式が成り立つから、この数4から時刻tr’を求めることができる。したがって、押鍵を開始する絶対時刻(以下、押鍵開始時刻という)t0は、次式によって求めることができる。
【0043】
【数5】
t0=tr−tr’=tr−(Xr−X0)/V0
なお、リファレンス時刻trは、前述のように、打弦時刻からリファレンス時間差Trを減算することによって求める。上記数5によって押鍵開始時刻t0を求め、この時刻から、数3で示される軌道に従って鍵1を駆動すれば、鍵1は、リファレンス時刻trにおいて正確にリファレンスポイントXrに達し、しかも、その時の速度は、打弦強度データに対応したリファレンス速度Vrとなる。
【0044】
なお、鍵の挙動については、直線軌道(等速運動)を想定しているから、リファレンス速度Vrと初速度V0は等しい。そして、リファレンス速度Vrは、前述の数1によって求められるから、数5で求めた押鍵開始時刻t0から一定速度vrで鍵を駆動するように制御(速度制御)しても上記と同様の結果を得ることができる。
【0045】
▲2▼離鍵時の軌道データ作成
次に、離鍵時の軌道データ作成について説明する。
まず、鍵の位置をXN、離鍵初速度をV0N(<0)、離鍵開始時点からの時刻をtN、エンド位置をXeとすれば、離鍵時の鍵軌道は、次式で表される。
【0046】
【数6】
XN=V0N・tN+Xe
ここで、図8は数6で示される軌道を示す図である。
さて、前述のように、演奏記録部30(図6参照)は、キーセンサ25内の下方のフォトセンサが受光状態になってから上方のフォトセンサが受光状態になるまでの時間を測定して離鍵速度vkNを検出し、また、上方のフォトセンサが受光状態になった時刻を離鍵時刻tkNとして検出する。この場合、離鍵時刻tkNにおけるダンパ6は、弦4に接して音の減衰を開始する状態なっている(そのような状態になるようフォトセンサの位置が調整されている)。そして、このようにして検出された離鍵速度VkNおよび離鍵時刻tkNは、それぞれ演奏情報を構成するデータとして記録され、再生時に読み出される。
【0047】
ここで、ダンパ6が弦4に接するときの鍵の位置を離鍵リファレンスポイントXrNと定義すれば、鍵1が離鍵リファレンスポイントXrNに達したときに、離鍵状態になったということができる。したがって、鍵1が離鍵リファレンスポイントXrNに達する時刻(以下、離鍵リファレンス時刻trNという)と、演奏情報中の離鍵時刻tkNとが一致するように鍵位置を制御すれば、正確な離鍵タイミング制御を行うことができる。
【0048】
また、ダンパ6が弦4に接する速さは、音の減衰状態に影響を与えるから、これを忠実に再現することが望ましい。この速さは、離鍵速度VkNに対応するから、結局、離鍵リファレンスポイントXrNにおける鍵速度(以下、離鍵リファレンス速度VrNという)を正確に離鍵速度VkNに一致させれば、音の減衰状態が正確に再現される。
ここで、鍵の駆動が開始される時刻を基準(=0)にして、鍵がリファレンスポイントXrNに達する時刻をtrN’とすると、
【0049】
【数7】
XrN=V0N・trN’+XeN
(ただし、直線軌道だからV0N=VrN=VkN)
なる関係が成り立ち、この数7より時刻trN’を求めることができる。したがって、次式によって離鍵開始時刻t0Nを求めることができる。
【0050】
【数8】
この数8によって離鍵開始時刻t0Nを求め、この時刻から、数6で示される軌道に従って鍵を駆動すれば、鍵は離鍵時刻tkNにおいて離鍵リファレンスポイントXrNに達し、記録時の離鍵状態を忠実に再現することができる。
なお、時刻t0から速度V0N(=vkN:離鍵速度)で鍵駆動するように制御(速度制御)しても上記と同様の結果を得ることができる。
【0051】
▲3▼交差時の軌道データ作成
押鍵軌道および離鍵軌道は上述のようにして作成されるが、鍵の操作には、離鍵の途中から次の押鍵に移ったり、あるいは、押鍵の途中から離鍵される場合がある。このような場合においては、作成した押鍵軌道と離鍵軌道とが交差する。例えば、図9はこのような軌道の交差状態を示しており、図示の状態では、時刻t0から時刻tcまで押鍵が行われ、時刻tcから時刻t4まで離鍵が行われている。このとき、上述の方法によって生成される押鍵軌道は、時刻t0にレスト位置X0を離れ、時刻t3においてエンド位置Xeに達する軌道であり、また、離鍵軌道は時刻t0Nにエンド位置Xeを離れ、時刻t4においてレスト位置X0に達する軌道である。
【0052】
ここで、交差する時刻tcを求めることができれば、t0〜tcまでは押鍵軌道に基づいて鍵1を制御し、tc〜t4までは離鍵軌道に基づいて鍵を制御すればよい。ここで、図9に示すような、押鍵の後に発生した離鍵の軌道が交差する場合は、交差時刻tcは次のようにして求めることができる。
【0053】
【数9】
なお、数9におけるt3は、次式により算出される。
【0054】
【数10】
t3=t0+(Xe−X0)/V0
また、離鍵の後に発生した押鍵の軌道が交差する場合も、2つの直線軌道の交点を求めればよいので、上記と同様の考え方により交差時刻を求めることができる。
このようにして、交差時刻を求め、押鍵軌道と離鍵軌道を組み合わせることにより、交差時の軌道データを作成する。
以上が、再生前処理部10における軌道データの作成であり、このようにして作成された軌道データは、図6に示すモーションコントローラ11に供給される。モーションコントローラ11においては、作成された軌道データに基づいて、各時刻における鍵1の位置に対応した位置制御データ(X)を作成し、サーボコントローラ12に供給する。
【0055】
サーボコントローラ12は、位置制御データ(X)に応じた励磁電流をソレノイド5に供給するとともに、ソレノイド5から供給されるフィードバック信号と制御データ(X)を比較し、両者が一致するようにサーボ制御を行う。
【0056】
(ロ)第2実施例の動作
始めに、記録動作について説明する。まず、演奏者によって演奏が行われると、
演奏記録部30がセンサSE1,SE2の出力信号に基づいて打弦速度および打弦時刻を検出するとともに、センサ25の出力信号に基づいて離鍵時刻および離鍵速度を検出する。これらの情報は、記録後処理部31において正規化処理された後に、演奏情報としてフロッピーディスク等の記録媒体に記録される。
【0057】
次に、再生動作について説明すると、まず、再生前処理部10は、記録媒体から演奏情報を読み出し、その中の打弦時刻データおよび打弦速度データに基づいて、押鍵軌道を作成する。
作成された押鍵軌道データは、モーションコントローラ11に供給され、ここで、位置制御データ(X)に変換される。すなわち、押鍵開始時刻t0になると、数3に示される軌道データがモーションコントローラ11に供給され、モーションコントローラ11は、数3のXを時間経過とともに順次演算し、位置制御データ(X)を作成する。この位置制御データ(X)は、サーボコントローラ12に供給され、これにより、数3のXに対応した励磁電流がソレノイド5に供給される。この場合、サーボコントローラ12は、ソレノイド5のフィードバック信号と位置制御データ(X)とを比較し、両者が一致するように励磁電流を制御するから、ソレノイド5のプランジャの突出量は、数3のXに対応したものとなる。したがって、鍵1は数3で示される直線軌道に従って押下されていき、リファレンスポイントXrにおいてリファレンス速度Vrを有する運動を行う。これにより、記録時の打弦強度を忠実に再現する打弦が行われる。
【0058】
次に、再生前処理部10は、演奏情報の中の離鍵時刻データ、離鍵速度データに応じて、離鍵軌道を作成し、モーションコントローラ11に供給する。モーションコントローラ11は、上述の場合と同様にして、数6のXNを時間の経過に応じて順次演算し、位置制御データ(X)を作成し、サーボコントローラ12に供給する。この結果、サーボコントローラ12は数6に対応した励磁電流制御を行い、鍵1は数6で示される直線軌道に従ってレスト位置X0に戻っていく。これにより、鍵1の運動は、離鍵リファレンスポイントXrNにおいて離鍵リファレンス速度VrNを有するものとなり、記録時の離鍵状態が忠実に再現される。一方、連打等が行われ、押鍵軌道と離鍵軌道が交差するときは、再生前処理部10が数10によって交差時刻tcを演算し、この時刻を境に、押鍵軌道と離鍵軌道を切り換えてモーションコントローラ11に供給する。これにより、鍵1は押鍵軌道の途中から離鍵軌道に、あるいは離鍵軌道の途中から押鍵軌道に切り換えられ、いわゆる、ハーフストロークの奏法に従った運動を行う。
【0059】
C:第3実施例
(イ)第3実施例の構成
次に、この発明の第3の実施例について説明する。この実施例が前述した第2の実施例と異なる点は、演奏記録部30において、打弦速度とともにキーオン速度も検出する点と、再生前処理部10において放物線の軌道データを作成する点である。そこで、説明の簡略化のため、第3実施例の構成については、第2実施例の構成を示す図6を兼用して説明する。
【0060】
この実施例における演奏記録部30は、キーセンサ25内の上方のフォトセンサが遮光されてから下方のフォトセンサが遮光されまでの時間を計測し、ここからキーオン速度Vkを検出する。また、下方のフォトセンサが遮光された時刻をキーオン時刻tk2として検出する。これらのデータは、打弦速度等のデータと共に、記録後処理部31を介して記録媒体に書き込まれる。
また、この実施例における再生前処理部10は、押鍵時の鍵軌道として放物線、離鍵の鍵軌道として直線を想定するので、次のような手法で軌道データの作成を行う。
【0061】
▲1▼押鍵時の軌道データ作成
押鍵軌道を次のように規定する。
【0062】
【数11】
X=a/2・t2+b・t+c
ここで、aは加速度であり、次式によって求める。
【0063】
【数12】
a=(Vr−Vk)/(tr−(tk1+tk2)/2)
数12におけるリファレンス速度Vrは、前述の実施例と同様に、数1を用いて打弦速度から求める。また、tk1は、次式によって求めることができる。
【0064】
【数13】
tk1=tk2−Xd/Vk
ここで、Xdは、キーセンサ25内の2つのセンサの取り付け間隔である。また、図10は、この実施例における放物線軌道を示す図であり、図において、Xk2、Xk1はキーセンサ25内の2つのセンサの取り付け位置である。この図からも判るように、キーオン速度Vkは、シャッタ26がXk1とXk2の間を通過する間の平均速度であり、放物線軌道においては、中間時刻である時刻(tk1+tk2)/2における速度である。
前述した数12は、リファレンス速度Vrとキーオン速度Vkの速度差を、リファレンス時刻trと中間時刻(tk1+tk2)/2の時間差で除したもので、言い替えれば、リファレンスポイントXrとセンサ中間点との間の速度変化から加速度を算出するものである。なお、加速度一定という推定のもとでは、任意の2点間の速度変化を基にして加速度を検出することができる。
【0065】
以上のことから判るように、演奏データ中の打弦時刻と打弦速度から、リファレンス時刻trとリファレンス速度Vrが求められ、さらに、キーオン速度Vkとキーオン時刻tk2を参照して加速度aが求められる。
したがって、あとは押鍵開始時刻と初速度が求められれば、図10に示す放物線軌道に沿ってキーを駆動できることになる。次に、これらの求め方について説明する。
まず、図11に示すように、押鍵開始時刻をt0、初速度をV0とすれば、数11における係数bは、
【0066】
【数14】
b=V0−a・t0
と表され、また、数11における定数cは、
【0067】
【数15】
c=X0−(a/2)・t0 2+b・t0
と表される(ただし、数15におけるX0は前述のようにレスト位置)。
ここで、押鍵開始時刻を基準(=0)にした場合のリファレンス時刻をtr’とし、さらに、数14、数15を用いて、数11をリファレンスポイントXrにおける式に書き直すと次式になる。
【0068】
【数16】
Xr=(a/2)・tr’2+V0・tr’+X0
ここで、リファレンス速度Vrは、
【0069】
【数17】
Vr=a・tr’+V0
と表すことができるから、この関係を数16に代入して整理すると、
【0070】
【数18】
0=(a/2)・tr2−Vr・tr’−(X0−Xr)
となり、ここから、tr’を求めると、
【0071】
【数19】
tr’=(Vr−(Vr2+2a(X0−Xr))1/2)/a
となる。したがって、加速度a、リファレンス速度Vr、リファレンスポイントXr、およびレスト位置X0が既知であれば、鍵が押鍵開始時からリファレンスポイントXrに至るまでの時刻tr’が求められる。また、リファレンス時刻trと押鍵開始時刻t0の関係は、
【0072】
【数20】
tr’=tr−t0
であるから、数20を用いて、押鍵開始時刻t0が求められる。
また、数16に数17を代入して初速度V0について整理して解けば、
【0073】
【数21】
V0=(Vr2+2a(X0−Xr))1/2
となり、これにより初速度V0を求めることができる。
したがって、以上のようにして求めた初速度V0、加速度aを、数11に代入して軌道を求め、押鍵開始時刻t0からその軌道に従って鍵を駆動することにより、打弦時刻と打弦速度とを正確に再現することができる。しかも、人間の鍵操作に近い放物線軌道なので、演奏者の微妙なニュアンスまで表現することが可能になる。
なお、時刻t0から初速度V0で鍵を駆動し、後は、加速度aに対応した速度変化分を用いて速度制御を行っても、上記と同様の効果が奏することができる。
【0074】
▲2▼離鍵時の軌道データ作成
離鍵については、直線軌道を想定するので、前述した第2実施例と同様の離鍵軌道データ作成を行う。
【0075】
▲3▼交差時の軌道データ作成
この実施例における押鍵軌道と離鍵軌道の交差は、放物線軌道と直線軌道との交差であるので、交差時刻tcは、次のようにして求めることができる。
【0076】
【数22】
tc=(−Δb+(Δb2−2・Δa・Δc)1/2)/Δa
ただし、数22におけるΔaは、
【0077】
【数23】
Δa=a−aN
であり、aNは、離鍵時の加速度である。この実施例の場合は、離鍵時の加速度は0であるので、Δa=a(押鍵時の加速度)となる。
また、数22におけるΔbは、
【0078】
【数24】
であり、Δcは、
【0079】
【数25】
である。
このようにして、交差時刻tcを求め、押鍵軌道と離鍵軌道を組み合わせることにより、交差時の軌道データを作成する。
【0080】
以上が、第3実施例における再生前処理部10の軌道データ作成処理である。このようにして作成された軌道データは、図6に示すモーションコントローラ11に供給され、モーションコントローラ11においては、作成された軌道データに基づいて、各時刻における鍵1の位置に対応した位置制御データ(X)を作成し、サーボコントローラ12に供給する。このモーションコントローラ11とサーボコントローラ12の構成は、第2実施例と同様になっている。
【0081】
(ロ)第3実施例の動作
次に、第3実施例の動作について説明するが、概ね、第2実施例の動作と同じであるため、異なる点だけを説明する。
まず、記録動作は、演奏記録部30がセンサ25の出力信号に基づいてキーオン時刻およびキーオン速度をも検出し、記録後処理部31において正規化処理された後に、演奏情報の一つとしてフロッピーディスク等の記録媒体に記録される。
【0082】
次に、再生動作について説明すると、まず、再生前処理部10は、記録媒体から演奏情報を読み出し、その中の打弦時刻データ、打弦速度データ、キーオン速度データおよびキーオン時刻データに基づいて、放物線の押鍵軌道を作成する。作成された放物線の押鍵軌道データは、モーションコントローラ11に供給され、ここで、位置制御データ(X)に変換される。すなわち、押鍵開始時刻t0になると、数11に示される軌道データがモーションコントローラ11に供給され、モーションコントローラ11は、数11のXを時間経過とともに順次演算し、位置制御データ(X)を作成する。この位置制御データ(X)は、サーボコントローラ12に供給され、これにより、数3のXに対応した励磁電流がソレノイド5に供給される。この場合、サーボコントローラ12は、ソレノイド5のフィードバック信号と位置制御データ(X)とを比較し、両者が一致するように励磁電流を制御するから、ソレノイド5のプランジャの突出量は、数11のXに対応したものとなる。したがって、鍵1は数11で示される放物線軌道に従って押下されていき、リファレンスポイントXrにおいてリファレンス速度Vrおよび加速度aを有する運動を行う。この結果、記録時の打弦強度を忠実に再現する打弦が行われる。しかも、人間の演奏状態に近い放物線軌道により、加速度をも再現するので、演奏の微妙なニュアンスも再現される。また、押鍵軌道と離鍵軌道が交差するときは、再生前処理部10が数21によって交差時刻tcを演算し、この時刻を境に、押鍵軌道と離鍵軌道を切り換えてモーションコントローラ11に供給する。これにより、鍵1は放物線の押鍵軌道の途中から直線の離鍵軌道に、あるいは直線の離鍵軌道の途中から放物線の押鍵軌道に切り換えられ、いわゆる、ハーフストロークの奏法に従った運動を行う。
【0083】
ここで、図12に本実施例によって鍵駆動した場合の実験例を示す。この図12に示す3つのグラフは、いずれも横軸が時間であり、縦軸が鍵のレスト位置X0からの移動量を示している。
この図に示す(イ)は、演奏者が実際に演奏を行った場合の鍵の軌道を示しており、図に示す時刻t10、t11の付近はハーフストローク奏法のために、鍵がレスト位置X0に戻る前に次の押鍵動作に入っている。また、時刻t12付近は、鍵は動いているが打弦は行われなかった部分である。
また、図12(イ)に示す演奏から得られる打弦時刻、打弦速度、キーオン時刻、キーオン速度、離鍵時刻および離鍵速度を基にして、本実施例において再現した押鍵軌道および離鍵軌道が同図(ハ)に示す軌道である。また、同図(ロ)は、同図(イ)および(ハ)に示す2つの軌道を重ねたものであり、両者が良く一致していることが判る。例えば、ハーフストロークの部分については、再生軌道もハーフストローク軌道になっており、打弦が行われなかった時刻t12の部分については、再生軌道は鍵を押し切った状態が継続されている。
【0084】
また、図13は、図12の一部を拡大したものであり、この図からも実際の演奏による鍵軌道と、実施例において再現した鍵軌道との一致性が確認される。なお、実際の演奏による鍵軌道に対して、実施例で再現した鍵軌道は揺らぎが少なく一見単純に見えるが、図12(イ)の軌道に含まれる揺らぎは、演奏者の意図とは違った部分(ミスによる部分、もしくは、アクション機構特性によって生じる演奏に関係しない部分)がほとんどである。したがって、実施例による軌道は、演奏者の意図とは違った部分を除外し、理想に近づいた軌道であると言える。
【0085】
(ハ)第3実施例の変形
▲1▼ダンパー離弦タイミングの再現
鍵を押下していくと、まず、ダンパー6(図6参照)が弦から離れ、次いで、ハンマ2が打弦を行うことは周知の通りである。この場合、ダンパー6が弦から離れても、打弦が行われるまでは音は発生しないから、ダンパー6の離弦を正確に再現しても意味がないという考えもある。しかしながら、複数の鍵を同時あるいは近接したタイミングで押鍵する場合などには、他の弦の振動や共鳴の影響のために、打弦前であっても、ダンパーが離れていれば、その弦が振動することがある。したがって、演奏における他の弦の影響を忠実に再現するために、ダンパーの離弦タイミングを正確に再現することも重要であると言える。
そこで、以下のようにして、ダンパー離弦タイミングを推定する。まず、前述のように、キーオン時刻をtk2、キーオン速度をVkとし、キーオン位置(鍵1に設けられたシャッタ26がキーセンサ25内の下方のフォトセンサを遮光したときの鍵の位置)をXk2とする。次に、図14に示すように、ダンパーの離弦に対応する鍵の位置をX1とし、キーオン速度Vkの傾きに沿って直線を引く。そして、この直線と位置X1との交点の時刻をダンパー離弦時刻t1と推定する。すなわち、ダンパ離弦時刻t1は次式によって求められる。
【0086】
【数26】
t1=tk2−(Xk2−X1)/Vk
以上のようにして、ダンパー離弦時刻t1が求められれば、前述の各実施例と同様にしてリファレンス速度Vrおよびリファレンス時刻trを求め、これらを満たす放物線軌道を求める。この放物線軌道を図15に示す。この軌道は、次のように表される。
【0087】
【数27】
X=(((X1−Xr)−Vr・(t1−tr))/(t1−tr)2)・t2+Vr・t
したがって、数27に示される軌道にしたがって、ソレノイドの励磁電流を制御すれば、ダンパー離弦時刻を正確に再現することができる。なお、励磁電流の制御は、前述した各実施例と同様に行えばよい。
【0088】
▲2▼加速度、初速度の固定
第3実施例においては、押鍵時の加速度aと初速度V0の双方を演算によって求めるようにしたが、いずれか一方を固定値にして、計算を簡略化してもよい。この場合の固定値は、実験等を繰り返すことによって、統計的に適切な値を決めることが望ましい。
例えば、加速度aを固定する場合には、a=2.5m/s2に設定すると、比較的良好な結果が得られることが判った。ここで、a=2.5m/s2にした場合の実験結果を図16に示す。
【0089】
この図に示す(イ)は、演奏者が実際に演奏を行った場合の鍵の軌道を示しており、(ハ)は同図(イ)に示す演奏から得られる打弦時刻、打弦速度を基にするとともに、加速度を固定して再現した押鍵軌道を示す。すなわち、前述した数11に示す軌道における加速度aの値を固定し、数12に示す加速度算出を省略して押鍵軌道を求めたものである。なお、離鍵軌道は、直線軌道であるため、前述の実施例と同様である。
また、同図(ロ)は、同図(イ)および(ハ)に示す2つの軌道を重ねたものであり、両者が良く一致していることが判る。例えば、ハーフストロークの部分についても、良好な一致性が認められる。なお、図17(イ)、(ロ)、(ハ)は、図16(イ)、(ロ)、(ハ)の軌道を一部拡大したものである。
以上のように加速度を固定すると、演算が省略できるため、処理速度が早くなるとともに、キーオン速度Vkおよびキーオン時刻tk2の検出が不要になるため、装置構成としては第2実施例の構成であっても実施することができる。
【0090】
次に、初速度V0を固定した場合について説明する。この場合には、数20の演算を省略し、予め設定した初速度V0を用いて数11に示す軌道を演算すればよい。
ここで、初速度V0を0.1m/sにした場合の実験結果を図18に示す。
この図に示す(イ)は、演奏者が実際に演奏を行った場合の鍵の軌道を示しており、(ハ)は同図(イ)に示す演奏から得られる打弦時刻、打弦速度を基にするとともに、初速度V0を固定して再現した押鍵軌道を示す。すなわち、前述した数20の初速度演算を省略して初速度V0を固定し、この条件の基で数11に示す押鍵軌道を求めたものである。なお、離鍵軌道は、直線軌道であるため、前述の実施例と同様である。そして、同図(ロ)は、同図(イ)および(ハ)に示す2つの軌道を重ねたものであり、両者が良く一致していることが判る。なお、図19(イ)、(ロ)、(ハ)は、図18(イ)、(ロ)、(ハ)の軌道を一部拡大したものである。
【0091】
D:変形例
この発明においては、上述した各実施例に対し、以下に述べる種々の変形が可能である。
▲1▼サーボ制御の変形
上述した各実施例においては、モーションコントローラ11とサーボコントローラ12によって位置サーボ制御を行っていたが、これに代えて、第2実施例では速度を指示する速度サーボ制御を行っても良い。すなわち、モーションコントローラ11が押鍵(あるいは離鍵)開示時刻において初速度を指示し、サーボコントローラ12は鍵1が与えられた速度を保つようにサーボ制御を行うようにしてもよい。また、第3実施例においては、加速度制御を行うようにしてもよい。すなわち、モーションコントローラ11が押鍵開始時刻において初速度を指定し、以後は時間の経過とともに速度の変化分を順次指示する。そして、サーボコントローラ12は、速度変化分を累算して、現時点の速度を算出し、鍵1の速度が累算速度に一致するようにサーボ制御を行う。
【0092】
▲2▼推定した加速度情報の電子楽器への応用
第3実施例において推定した加速度aは、自動ピアノの押鍵制御に限らず、電子楽器等の楽音制御に用いることができる。すなわち、加速度の推定は、押鍵速度情報と打弦速度情報がそれぞれ1以上あれば可能であるから、これらの情報を基に加速度を推定し、それを楽音制御情報として用いることができる。例えば、楽音波形を複数記憶し、これらの波形を音の強さや、高さに応じて選択して読み出す電子楽器があるが、この電子楽器に、さらに加速度情報に応じた波形選択を行わせると、発生楽音の表情がいっそう豊かになるという利点が得られる。
【0093】
さらに、第3実施例においては、キーオン速度Vrとリファレンス速度Vrの偏差に基づいて加速度を推定したが、打弦速度とキーオン速度の差から推定するようにしてもよい。また、打弦速度を2カ所以上で検出するように、これらの速度差から推定してもよく、さらに、押鍵速度を2カ所以上で検出するようにし、これらの速度差から検出してもよい。
【0094】
また、加速度の推定は、記録時に行っても、再生時に行ってもよく、これらの中間において行っても良い。例えば、記録媒体から演奏情報を読み取る際に、加速度推定を行って他の記録媒体に記録するようにしてもよい。
【0095】
▲3▼リファレンスポイントXrにおける運動属性の変形
上述した各実施例においては、リファレンスポイントXrにおける鍵の速度や加速度を再現するようにしたが、鍵の運動を一意的に再現できるのであれば、その他の運動属性を再現するようにしてもよい。例えば、速度、加速度、力のいずれか、あるいは、これらの組み合わせを用いても良い。
【0096】
▲4▼離鍵時の加速度軌道
上述した各実施例においては、離鍵時の軌道は全て直線軌道であったが、これを加速度軌道としてもよい。この場合には、離鍵速度を2カ所以上で測定するようにセンサを追加し、得られた速度の変化から加速度を推定するように構成すればよい。例えば、キーセンサ25内のフォトセンサの数を増やし、演奏記録部30がこれらのセンサの出力信号から2カ所以上の離鍵速度を検出するようにすればよい。
さらに、押鍵時と離鍵時の軌道を直線とするか放物線とするかは、任意に組み合わせることが可能である。
【0097】
▲5▼開平演算態様
第3実施例における初速算出演算(数20)および押鍵開始時刻算出演算(数18、19)は、開平演算が入るが、ソフトウエア上の演算速度が問題になる場合は、例えば、2分探索法を用いて、正数演算をしてもよい。
【0098】
▲6▼弱音の再生
実際の押鍵操作においては、強打よりも弱打において放物線軌道をとる傾向が強く、直線軌道での再現では再現性が悪化してくる。特に、最弱打(pppp)に近い押鍵を直線軌道で再現しようとすると、ピアノのアクション部の構造などの理由から、ハンマへの力伝達が行われず不安定な打弦となることがある。そこで、第2実施例においては、弱音だけを検出して放物線軌道で再現するようにし、その他の音は直線軌道で再現するように構成してもよい。すなわち、再生前処理部10において、打弦速度データを所定のしきい値で振り分け、弱音と判定された音に対しては、予め設定した加速度aを用いて放物線軌道を算出し、これによって鍵を駆動する。
【0099】
▲7▼打弦時刻、打弦速度の代用
例えば、特開平1−239594号では、押鍵速度から打弦速度を推定して記録するようにしているが、このように、打弦速度に代わるデータが記録されている場合は、前述した各実施例において、それを用いることも可能である。したがって、MIDI信号中のキーオン速度(キーベロシティ)のように、打弦速度に対応するデータが記録されている場合においては、これを用いて軌道演算を行うことができる。打弦時刻についても、これに代わるデータがあれば、代用することができる。要は、発音時刻や発音強度に関連したデータ(発音時刻を示す発音時刻情報および発音強度を示す発音強度情報)であれば、用いることができる。
【0100】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、鍵の軌跡の所定点(リファレンスポイント)における運動属性が再現されるように鍵を駆動するので、ハンマの挙動を忠実に再現することができ、打弦速度を正確なものとすることができる。また、前記所定点を通る直線軌道あるいは放物線軌道に沿って鍵を駆動すれば、所定点における鍵の運動属性は確実に再現されるとともに、特に、放物線軌道を採用した場合は、人間の鍵操作軌道に近いため、演奏のニュアンスをも再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】図2はリファレンスポイントを9.5mmに設定したときの鍵速度と打弦速度の関係を示す図である。
【図3】リファレンス時間差Trと打弦速度との関係を示す図である。
【図4】図3を縮尺2倍にした図である。
【図5】図3を縮尺4倍にした図である。
【図6】第2実施例の構成を示すブロック図である。
【図7】鍵の押鍵軌道(直線軌道)を示す図である。
【図8】数6で示される軌道を示す図である。
【図9】押鍵の後に発生した離鍵の軌道が交差する場合を示す図である。
【図10】第3実施例で用いる放物線軌道を示す図である。
【図11】第3実施例における押鍵開始時刻の算出を説明するための図である。
【図12】第3実施例において、鍵駆動した場合の実験例を示す図である。
【図13】図12の一部を拡大した図である。
【図14】ダンパーの離弦時刻推定方法を説明するための図である。
【図15】ダンパー離弦時刻を再現した場合の放物線軌道を示す図である。
【図16】第3実施例において加速度を固定した場合の実験結果を示す図である。
【図17】図16の一部を拡大した図である。
【図18】第3実施例において初速度を固定した場合の実験結果を示す図である。
【図19】図18の一部を拡大した図である。
【図20】一般的な自動ピアノの構成を示す概略図である。
【符号の説明】
5……ソレノイド(鍵駆動手段:サーボ駆動手段)、10……再生前処理部(運動属性算出手段:軌道算出手段:弱音抽出手段)、11……モーションコントローラ(鍵駆動手段:指令値出力手段)、12……サーボコントローラ(鍵駆動手段:サーボ駆動手段)。[0001]
[Industrial applications]
The present invention relates to, for example, an automatic piano for automatically driving a keyboard to perform.ToRelated.
[0002]
[Prior art]
In an automatic piano, when a key is driven by exciting a solenoid, a hammer is rotated and a string is struck accordingly. The strength of the hammer striking corresponds to the driving speed of the key, and the driving speed of the key corresponds to the current supplied to the solenoid. Therefore, by controlling the amount of power supplied to the solenoid, it is possible to control the strength of the string striking, that is, the magnitude of the generated musical sound.
[0003]
By the way, in an automatic piano, when recording performance information, the speed of a hammer immediately before striking is detected, and this is recorded as data indicating the striking strength (hereinafter referred to as striking strength data). The time of passing the string striking position is recorded as string striking time data. Note that the string striking time data is generally recorded as time data (relative time data) indicating an interval from the immediately preceding sound, but an absolute time from the start of the performance may be recorded.
When reproducing the recorded performance information, a current corresponding to the stringing strength data in the performance information is supplied to the solenoid. Further, the power supply amount control to the solenoid is generally performed by pulse width modulation (PWM).
[0004]
In this case, power is supplied to the solenoid a little before the stringing timing indicated by the stringing time data, in anticipation of the time difference from the start of driving the key to the actual stringing of the hammer. Also, since the time from the start of key depression to the striking of a strong sound differs from that of a weak sound, an automatic piano has been developed in which the power supply timing to the solenoid is adjusted in accordance with the string striking strength data.
[0005]
It should be noted that there is a type in which the hammer speed is estimated from the key pressing speed when recording the performance data (Japanese Patent Laid-Open No. 1-239594). In this case, the estimated hammer speed is recorded as stringing strength data.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
By the way, the above-described conventional automatic piano performs an open loop control in which a current corresponding to the stringing strength data is supplied to the solenoid at a timing corresponding to the stringing time data. At times, it was as simple as depressing a key with a force corresponding to the stringing strength data.
However, the keyOrbit(In this caseOrbitConsidering the position change with the passage of time), controlling only the pressing force at the start of key pressing does not mean that the key trajectory at the time of performance is reproduced, and therefore, the string striking at the time of recording is performed. The speed could not be accurately reproduced.
[0007]
In addition, the performance by the performer does not merely control the pressing force at the start of key pressing, but also expresses the musical tone from the start of key pressing to key release to express the subtle nuance of the music. Perform the operation according to. Therefore, simply controlling the pressing force at the start of key depression cannot accurately reproduce the expression of the musical tone, resulting in a mechanically dull performance.
[0008]
The present invention has been made in view of the above-described circumstances, and has as its first object to provide an automatic piano that can accurately reproduce a string striking speed. Another object of the present invention is to provide an automatic piano capable of expressing a subtle nuance of performance..
[0009]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above-mentioned problem, in the invention described in
[0010]
In the invention described in
[0011]
In the invention according to
[0014]
Claim4In the automatic piano according to the present invention, in the automatic piano according to the second or third aspect, the trajectory calculating means calculates a parabolic trajectory of a key that satisfies a predetermined acceleration, a passing time and a passing speed calculated by the motion attribute calculating means. It is characterized in that it is calculated.
[0015]
Claim5In the invention described in the above, the claim4In the automatic piano described above, the trajectory calculating means calculates the initial velocity of the key when calculating the parabolic trajectory.ToIt is characterized in that a preset value is used.
[0016]
Claim6In the automatic piano according to the second aspect, the automatic piano according to the second aspect further includes a weak sound extracting unit configured to compare the pronunciation intensity information with a reference value to extract a weak sound, and the trajectory calculating unit performs processing on the extracted weak sound. Calculates a parabolic trajectory of a key that satisfies a preset acceleration, the passing time and the passing speed determined by the motion attribute calculating means, and a key that satisfies the passing time and the passing speed determined by the motion attribute calculating means except for a weak sound. Is calculated.
[0018]
[Action]
Predetermined point of key locus (ReThe key is driven so that the motion attribute at the reference point is reproduced. Therefore, the behavior of the hammer can be accurately reproduced by selecting, as a predetermined point, a point having a deep correspondence with the movement of the hammer. In addition, when the key is driven along a straight orbit line or a parabola orbit passing through the predetermined point, the motion attribute of the key at the predetermined point is reliably reproduced..In addition, when a parabolic trajectory is adopted, the nuance of the performance can be reproduced because it is close to the key operation trajectory of a human..
[0019]
【Example】
A: First embodiment
(B) Control principle
(1) Reference point
FIG. 20 is a cross-sectional view showing a configuration of a main part of a general automatic piano. As shown in the figure, an automatic piano has a
On the other hand, when the player plays the string, pressing the key 1 with a finger causes the same operation as described above to be performed and the string is struck.
[0020]
In the figure, SE1 and SE2 are sensors for measuring the string striking speed. By measuring the time when the
By the way, the striking speed of the
[0021]
According to an experiment, it was found that the velocity at a certain position of the
[0022]
(2) Reference speed
Next, at the reference point Xr obtained as described above, it is necessary to set what key speed should be used to reproduce the string striking speed faithfully. In the following, the key speed at the reference point Xr is referred to as a reference speed Vr.
[0023]
Here, FIG. 2 is a diagram showing the relationship between the key speed and the string striking speed when the reference point Xr is set to 9.5 mm. In the figure, the white dots indicate the results in the case of performing the single-stroke playing method in which the key is pushed to the end position, and the black dots indicate the results in the case of performing the continuous striking method in which the key is struck without pushing the key to the end position. C1 indicates a straight line based on the first-order least squares approximation, and C2 indicates a curve based on the sixth-order least squares method.
[0024]
As is apparent from FIG. 2, the reference speed Vr can be approximated by either the straight line C1 or the curve C2. Therefore, if a function with good approximation is appropriately selected, the reference speed Vr can be determined from arbitrary stringing strength data (stringing speed information at the time of recording) using this function.
In this embodiment, a linear function approximation which is simple in calculation and has few errors is adopted. Therefore, the reference speed vr is obtained by the following equation.
[0025]
(Equation 1)
vr = α · vH + β
In
[0026]
(3) Reference time difference
Now, the stringing time data included in the performance information is recorded as a relative time or an absolute time, as described above. The absolute string striking time of each sound at the time of reproduction is obtained. Therefore, in order to accurately perform string striking at the absolute string striking time obtained in this manner, it is necessary to determine when the key should pass through the reference point Xr.
[0027]
Here, the time difference between the time when the key 1 passes through the reference point Xr (hereinafter referred to as reference time tr) and the string striking time (more precisely, the time when the hammer passes the sensor SE immediately before the string striking position) is referred to. FIG. 3 shows the relationship between the time difference Tr and the string striking speed obtained by experiments. In FIG. 3, the white dots indicate the results obtained by the single hitting technique, and the black dots indicate the results obtained by the continuous playing technique. FIG. 4 is a diagram in which FIG. 3 is doubled in scale, and FIG. 5 is a diagram in which the scale is quadrupled. As can be seen from these figures, the relationship between the reference time difference Tr and the string striking speed is very well approximated by a hyperbola. In other words, the reference time difference Tr can be approximated by a one-variable equation using the stringing speed vH as a denominator, and is calculated by the following equation.
[0028]
(Equation 2)
Tr = − (γ / vH) + δ
Note that the constants γ and δ in
[0029]
By the way, if the reference time difference Tr is obtained by the
If the string is hit when the
[0030]
(4) Outline of control
As described above, if the reference speed Vr at the preset reference point Xr is obtained, the string striking speed at the time of recording can be reproduced by controlling the behavior of the key 1 accordingly.
[0031]
In this case, if the trajectory of the key from the rest position to the end position (key position with respect to the passage of time) is set, the relationship between each position and the time from the key press start position to the reference point Xr (the speed and the time) Relationship, etc.), it is understood that the position of the key may be feedback-controlled in accordance with this. In this case, for the key trajectory, for example, an arbitrary trajectory other than a linear trajectory (in the case of constant velocity motion) or a parabolic trajectory (in the case of constant acceleration motion) passing through the reference point Xr can be set. However, it is preferable to select a trajectory that has good reproducibility of the string striking state and is easy to control. In addition, depending on the trajectory to be set, it is necessary to obtain the acceleration or the like (other elements that determine the motion) at the reference point, but this may be calculated as appropriate according to the type of the trajectory.
The above is the control principle of this embodiment.
[0032]
(B) Configuration and operation of the first embodiment
Hereinafter, a configuration of an embodiment of the present invention will be described with reference to the drawings. FIG. 1 is a block diagram showing the configuration of this embodiment. The same reference numerals are given to the portions corresponding to the respective portions in FIG. 20 described above, and description thereof will be omitted.
[0033]
In FIG. 1,
Reference numeral 11 denotes a motion controller that creates data indicating the movement of the plunger of the
[0034]
According to the above-described configuration, a key trajectory passing through the reference point Xr is generated according to the string striking strength data in the performance data, and the exciting current of the
As a result, the speed when the
As described above, in this embodiment, a control point called a reference point is introduced, and the motion attribute of the key at this point is reproduced. Therefore, the string striking speed is faithfully reproduced without increasing the number of sensors and the like. be able to.
[0035]
B: Second embodiment
Next, a second embodiment of the present invention will be described. The control principle in the second embodiment is the same as that in the first embodiment. However, in the second embodiment, a linear trajectory is set as the key trajectory, and not only when the key is pressed but also when the key is released. Even the key is servo driven.
[0036]
(A) Configuration of the second embodiment
FIG. 6 is a block diagram showing the configuration of the second embodiment. Parts corresponding to the respective parts in FIG. 1 are denoted by the same reference numerals.
[0037]
The output signal of the
[0038]
That is, when the performance is started, the
[0039]
In the
After performing the normalization processing, it is supplied as performance information to an external recording medium. Here, the normalization process is a process for absorbing individual differences between pianos. In other words, the stringing speed, the stringing time, the key release speed, the key release time, and the like have a unique tendency due to the position of the sensor in each piano, a structural difference, or a mechanical error. This is processing for assuming and converting the string striking speed, string striking time, and the like in the piano.
Next, the
[0040]
(1) Creating trajectory data when key is pressed
FIG. 7 is a view showing a key pressing trajectory (linear trajectory) of the key, and the rest position X0, And reaches the end position Xe. Here, the initial velocity of the key is V0If the position of the key is X and the time from the start of driving the key is t, the trajectory of the key is
[0041]
(Equation 3)
X = V0・ T + X0
It is expressed as
Also, assuming that the time when the key reaches the reference point Xr is tr ',
[0042]
(Equation 4)
Xr = V0・ Tr '+ X0
Since the following expression holds, the time tr 'can be obtained from the equation (4). Therefore, an absolute time at which key pressing is started (hereinafter referred to as a key pressing start time) t0Can be obtained by the following equation.
[0043]
(Equation 5)
t0= Tr-tr '= tr- (Xr-X0) / V0
Note that the reference time tr is obtained by subtracting the reference time difference Tr from the string striking time as described above. The key pressing start time t is calculated by the above equation (5).0From this time, if the
[0044]
Since the key behavior is assumed to be a linear trajectory (constant velocity motion), the reference velocity Vr and the initial velocity V0Are equal. Then, since the reference speed Vr is obtained by the
[0045]
(2) Creation of orbit data at key release
Next, creation of orbit data at the time of key release will be described.
First, the key position is XN and the initial key release speed is V0If N (<0), the time from the key release start time is tN, and the end position is Xe, the key trajectory at the time of key release is expressed by the following equation.
[0046]
(Equation 6)
XN = V0N ・ tN + Xe
Here, FIG. 8 is a diagram showing a trajectory represented by Expression 6.
As described above, the performance recording unit 30 (see FIG. 6) measures the time from when the lower photo sensor in the
[0047]
Here, if the position of the key when the damper 6 contacts the
[0048]
Since the speed at which the damper 6 contacts the
Here, assuming that the time at which the driving of the key starts is a reference (= 0) and the time at which the key reaches the reference point XrN is trN ',
[0049]
(Equation 7)
XrN = V0N · trN '+ XeN
(However, V0N = VrN = VkN)
The following relationship holds, and the time trN 'can be obtained from the equation (7). Therefore, the key release start time t is given by the following equation.0N can be determined.
[0050]
(Equation 8)
The key release start time t is calculated by the equation (8).0If N is obtained and the key is driven from this time according to the trajectory shown in Equation 6, the key reaches the key release reference point XrN at the key release time tkN, and the key release state at the time of recording can be faithfully reproduced. .
Note that time t0To speed V0Even if control (speed control) is performed so that the key is driven at N (= vkN: key release speed), the same result as described above can be obtained.
[0051]
(3) Creating orbit data at the time of intersection
The key press trajectory and the key release trajectory are created as described above.However, in key operation, there are cases where the key is moved from the middle of the key release to the next key press or the key is released from the middle of the key press. is there. In such a case, the created key press trajectory and the key release trajectory intersect. For example, FIG. 9 shows such a crossing state of the trajectories.0From the time tc to the time tc.4Until the key is released. At this time, the key depression trajectory generated by the above-described method is the time t0At rest position X0At time t3At the end position Xe, and the key release trajectory is the time t0N leaves the end position Xe at time t4At rest position X0The orbit that reaches.
[0052]
Here, if the intersection time tc can be obtained, t0Up to tc, the
[0053]
(Equation 9)
Note that t in Equation 9 is3Is calculated by the following equation.
[0054]
(Equation 10)
t3= T0+ (Xe-X0) / V0
Also, when the trajectory of a key press generated after a key release intersects, the intersection of the two linear trajectories may be obtained, so that the intersection time can be obtained in the same way as described above.
In this way, the intersection time is determined, and the key depression trajectory and the key release trajectory are combined to create the trajectory data at the time of the intersection.
The above is the creation of the trajectory data in the
[0055]
The
[0056]
(B) Operation of the second embodiment
First, the recording operation will be described. First, when a performance is performed by a performer,
The
[0057]
Next, the reproduction operation will be described. First, the
The created key depression path data is supplied to the motion controller 11, where it is converted into position control data (X). That is, the key press start time t0Then, the trajectory data shown in
[0058]
Next, the
[0059]
C: Third embodiment
(A) Configuration of the third embodiment
Next, a third embodiment of the present invention will be described. This embodiment differs from the above-described second embodiment in that the
[0060]
The
In addition, since the
[0061]
(1) Creating trajectory data when key is pressed
The key press trajectory is defined as follows.
[0062]
[Equation 11]
X = a / 2 · t2+ B · t + c
Here, a is an acceleration, which is obtained by the following equation.
[0063]
(Equation 12)
a = (Vr-Vk) / (tr- (tk1+ Tk2) / 2)
The reference speed Vr in
[0064]
(Equation 13)
tk1= Tk2-Xd / Vk
Here, Xd is an attachment interval between two sensors in the
The above-described equation (12) is obtained by calculating the speed difference between the reference speed Vr and the key-on speed Vk by using the reference time tr and the intermediate time (tk).1+ Tk2) / 2, in other words, the acceleration is calculated from the speed change between the reference point Xr and the sensor middle point. In addition, under the assumption that the acceleration is constant, the acceleration can be detected based on the speed change between any two points.
[0065]
As can be seen from the above description, the reference time tr and the reference speed Vr are obtained from the string striking time and the string striking speed in the performance data, and further, the key-on speed Vk and the key-on time tk are obtained.2, The acceleration a is obtained.
Therefore, if the key press start time and the initial velocity are obtained, the key can be driven along the parabolic trajectory shown in FIG. Next, how to obtain these will be described.
First, as shown in FIG.0, The initial speed is V0Then, the coefficient b in Equation 11 is
[0066]
[Equation 14]
b = V0-At0
And the constant c in Equation 11 is
[0067]
(Equation 15)
c = X0− (A / 2) · t0 2+ Bt0
(Where X in Equation 15 is0Is the rest position as described above).
Here, the reference time when the key depressing start time is set as a reference (= 0) is tr ′, and the equation 11 is rewritten into the equation at the reference point Xr using the
[0068]
(Equation 16)
Xr = (a / 2) · tr ′2+ V0・ Tr '+ X0
Here, the reference speed Vr is
[0069]
[Equation 17]
Vr = a · tr ′ + V0
Substituting this relationship into Equation 16 and rearranging it gives:
[0070]
(Equation 18)
0 = (a / 2) · tr2−Vr · tr ′-(X0-Xr)
From here, when tr 'is obtained,
[0071]
[Equation 19]
tr ′ = (Vr− (Vr2+ 2a (X0-Xr))1/2) / A
It becomes. Therefore, the acceleration a, the reference speed Vr, the reference point Xr, and the rest position X0Is known, the time tr 'from the start of key depression to the reference point Xr is obtained. The reference time tr and the key press start time t0The relationship is
[0072]
(Equation 20)
tr '= tr-t0
Therefore, the key pressing start time t is calculated by using Equation 20.0Is required.
Also, by substituting equation 17 into equation 16, the initial velocity V0If you sort out and solve
[0073]
(Equation 21)
V0= (Vr2+ 2a (X0-Xr))1/2
And the initial speed V0Can be requested.
Therefore, the initial speed V obtained as described above0, Acceleration a into Equation 11 to determine the trajectory, and key press start time t0By driving the key according to the trajectory from the, the string striking time and the string striking speed can be accurately reproduced. Moreover, since it is a parabolic trajectory similar to a human key operation, it is possible to express even a subtle nuance of a player.
Note that time t0From initial velocity V0The same effect as described above can be obtained even if the key is driven by and the speed control is performed using the speed change corresponding to the acceleration a.
[0074]
(2) Creation of orbit data at key release
Since a linear trajectory is assumed for key release, key release trajectory data creation similar to that of the above-described second embodiment is performed.
[0075]
(3) Creating orbit data at the time of intersection
Since the intersection between the key press trajectory and the key release trajectory in this embodiment is the intersection between the parabolic trajectory and the linear trajectory, the intersection time tc can be obtained as follows.
[0076]
(Equation 22)
tc = (− Δb + (Δb2-2 · Δa · Δc)1/2) / Δa
Where Δa in Equation 22 is
[0077]
(Equation 23)
Δa = a−aN
Where aN is the acceleration at key release. In the case of this embodiment, since the acceleration when the key is released is 0, Δa = a (the acceleration when the key is pressed).
Δb in Equation 22 is
[0078]
[Equation 24]
Where Δc is
[0079]
(Equation 25)
It is.
In this way, the intersection time tc is obtained, and the trajectory data at the time of intersection is created by combining the key press trajectory and the key release trajectory.
[0080]
The above is the trajectory data creation processing of the
[0081]
(B) Operation of the third embodiment
Next, the operation of the third embodiment will be described. However, since the operation is substantially the same as that of the second embodiment, only different points will be described.
First, in the recording operation, the
[0082]
Next, the reproduction operation will be described. First, the
[0083]
Here, FIG. 12 shows an experimental example in the case where the key is driven according to the present embodiment. In each of the three graphs shown in FIG. 12, the horizontal axis represents time, and the vertical axis represents the key rest position X.0It shows the amount of movement from.
(A) shown in this figure shows the trajectory of the key when the performer actually performed, and the time t shown in the figure.10, T11Key is in the rest position X for half-stroke playing0Before returning to, the next key pressing operation is started. Time t12The vicinity is where the keys are moving but no strings are struck.
Also, based on the stringing time, stringing speed, key-on time, key-on speed, key-release time and key-release speed obtained from the performance shown in FIG. The key trajectory is the trajectory shown in FIG. Also, FIG. 2B shows the two orbits shown in FIGS. 1A and 1C overlapped, and it can be seen that the two orbits match well. For example, for the half-stroke portion, the reproduction trajectory is also a half-stroke trajectory, and the time t when the string is not struck is obtained.12As for the part, the key has been fully depressed in the reproduction trajectory.
[0084]
FIG. 13 is an enlarged view of a part of FIG. 12, and it is confirmed from this figure that the key trajectory obtained by the actual performance matches the key trajectory reproduced in the embodiment. Although the key trajectory reproduced in the embodiment has little fluctuation with respect to the key trajectory of the actual performance, it looks simple at first glance, but the fluctuation included in the trajectory shown in FIG. 12A is different from the intention of the player. Most of the parts (parts due to mistakes or parts not related to the performance caused by the action mechanism characteristics). Therefore, it can be said that the trajectory according to the embodiment is a trajectory closer to the ideal, excluding a part different from the intention of the player.
[0085]
(C) Modification of the third embodiment
(1) Reproduction of damper string release timing
It is well known that when the key is pressed, first, the damper 6 (see FIG. 6) separates from the string, and then the
Therefore, the damper separation timing is estimated as follows. First, as described above, the key-on time is set to tk.2And the key-on speed is Vk, and the key-on position (the position of the key when the
[0086]
(Equation 26)
t1= Tk2− (Xk2-X1) / Vk
As described above, the damper separation time t1Is obtained, the reference speed Vr and the reference time tr are obtained in the same manner as in the above-described embodiments, and a parabolic trajectory satisfying these is obtained. This parabolic trajectory is shown in FIG. This trajectory is expressed as follows.
[0087]
[Equation 27]
X = (((X1−Xr) −Vr · (t1-Tr)) / (t1-Tr)2) ・ T2+ Vr · t
Therefore, if the exciting current of the solenoid is controlled in accordance with the trajectory shown in Expression 27, the damper separation time can be accurately reproduced. The control of the excitation current may be performed in the same manner as in the above-described embodiments.
[0088]
(2) Fixed acceleration and initial speed
In the third embodiment, the acceleration a at the time of key depression and the initial velocity V0Are calculated by calculation, but one of them may be fixed to simplify the calculation. The fixed value in this case is desirably determined statistically by repeating experiments and the like.
For example, accelerationaIs fixed, a = 2.5 m / s2, It was found that relatively good results could be obtained. Here, a = 2.5 m / s2FIG. 16 shows the experimental results in the case of.
[0089]
(A) shown in this figure shows the trajectory of the key when the player actually performed, and (C) shows the string striking time and string striking speed obtained from the performance shown in FIG. And a key depression trajectory reproduced with the acceleration fixed. That is, the value of the acceleration a in the trajectory shown in Equation 11 is fixed, and the key-depression trajectory is obtained by omitting the acceleration calculation shown in
Also, FIG. 2B shows the two orbits shown in FIGS. 1A and 1C overlapped, and it can be seen that the two orbits match well. For example, good consistency is also observed for the half-stroke portion. 17 (a), (b) and (c) are partially enlarged trajectories of FIGS. 16 (a), (b) and (c).
When the acceleration is fixed as described above, the calculation can be omitted, so that the processing speed is increased and the detection of the key-on speed Vk and the key-on time tk2 becomes unnecessary, so that the apparatus configuration is the same as that of the second embodiment. Can also be implemented.
[0090]
Next, the initial speed V0Is fixed. In this case, the calculation of Equation 20 is omitted, and the preset initial speed V0May be used to calculate the trajectory shown in Equation 11.
Here, the initial speed V0FIG. 18 shows the experimental results in the case where is set to 0.1 m / s.
(A) shown in this figure shows the trajectory of the key when the player actually performed, and (C) shows the string striking time and string striking speed obtained from the performance shown in FIG. And the initial speed V0Shows the key depression trajectory reproduced by fixing. In other words, the initial velocity calculation of the above-described equation 20 is omitted, and the initial velocity V0Is fixed, and the key press trajectory shown in Expression 11 is obtained under this condition. Since the key release trajectory is a straight trajectory, it is the same as in the above-described embodiment. FIG. 2 (b) shows the two orbits shown in FIGS. 1 (a) and 1 (c) which are superimposed, and it can be seen that they are well matched. 19 (a), (b) and (c) are partially enlarged trajectories of FIGS. 18 (a), (b) and (c).
[0091]
D: Modified example
In the present invention, various modifications described below can be made to the above-described embodiments.
(1) Deformation of servo control
In each of the above-described embodiments, the position servo control is performed by the motion controller 11 and the
[0092]
(2) Application of estimated acceleration information to electronic musical instruments
The acceleration a estimated in the third embodiment can be used not only for the key depression control of the automatic piano but also for the tone control of an electronic musical instrument or the like. That is, the acceleration can be estimated if there is at least one key pressing speed information and one or more string striking speed information. Therefore, the acceleration can be estimated based on these information and can be used as the musical tone control information. For example, there is an electronic musical instrument that stores a plurality of musical sound waveforms and selects and reads out these waveforms according to the intensity and height of the sound. If this electronic musical instrument is further made to perform waveform selection according to acceleration information, This has the advantage that the expression of the generated musical tone is further enhanced.
[0093]
Further, in the third embodiment, the acceleration is estimated based on the deviation between the key-on speed Vr and the reference speed Vr, but may be estimated from the difference between the string striking speed and the key-on speed. Also, the stringing speed may be estimated from these speed differences so as to be detected at two or more places. Further, the key pressing speed may be detected at two or more places and detected from these speed differences. Good.
[0094]
Further, the estimation of the acceleration may be performed at the time of recording, at the time of reproduction, or in the middle of these. For example, when performance information is read from a recording medium, the acceleration may be estimated and recorded on another recording medium.
[0095]
(3) Deformation of motion attribute at reference point Xr
In each of the embodiments described above, the speed and acceleration of the key at the reference point Xr are reproduced. However, if the motion of the key can be reproduced uniquely, other motion attributes may be reproduced. . For example, any of speed, acceleration, and force, or a combination thereof may be used.
[0096]
(4) Acceleration trajectory at key release
In each of the embodiments described above, the trajectories at the time of key release are all linear trajectories, but these may be used as acceleration trajectories. In this case, a sensor may be added to measure the key release speed at two or more locations, and the acceleration may be estimated from the obtained change in the speed. For example, the number of photo sensors in the
Furthermore, it is possible to arbitrarily combine whether the trajectory at the time of key depression and the key release is a straight line or a parabola.
[0097]
(5) Square root calculation mode
The initial velocity calculation operation (Equation 20) and the key press start time calculation operation (Equations 18 and 19) in the third embodiment include square root extraction, but if the operation speed on software is a problem, for example, two minutes A positive number operation may be performed using a search method.
[0098]
▲ 6 ▼ Reproduction of weak sound
In an actual key pressing operation, the tendency to take a parabolic trajectory is smaller in a weak hit than in a strong hit, and the reproducibility deteriorates in a reproduction in a straight trajectory. In particular, when trying to reproduce a key depressed close to the weakest hit (pppp) in a linear trajectory, the power may not be transmitted to the hammer and the string may be unstable due to the structure of the action portion of the piano. . Therefore, in the second embodiment, only weak sounds may be detected and reproduced on a parabolic trajectory, and other sounds may be reproduced on a straight trajectory. That is, the playback pre-processing unit10In the above, the string striking speed data is sorted by a predetermined threshold value, and for a sound determined to be a weak sound, a parabolic trajectory is calculated using a preset acceleration a, and the key is thereby driven.
[0099]
(7) Substitution of string striking time and string striking speed
For example, in Japanese Unexamined Patent Publication No. 1-239594, the stringing speed is estimated and recorded from the key-pressing speed. In this way, when data replacing the stringing speed is recorded, each of the above-described data is recorded. In embodiments, it is also possible to use it. Therefore, when data corresponding to the string striking speed is recorded, such as the key-on speed (key velocity) in the MIDI signal, the trajectory calculation can be performed using this. The string striking time can also be substituted if there is data alternative to this. In short, any data related to the sounding time and the sounding intensity (sounding time information indicating the sounding time and sounding intensity information indicating the sounding intensity) can be used.
[0100]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, the key is driven so that the motion attribute at the predetermined point (reference point) of the key trajectory is reproduced, so that the behavior of the hammer can be faithfully reproduced. String speed can be accurate. In addition, if the key is driven along a straight orbit or a parabola orbit passing through the predetermined point, the motion attribute of the key at the predetermined point is surely reproduced.ToIn particular, when a parabolic trajectory is adopted, the nuance of the performance can be reproduced because the trajectory is close to the key operation trajectory of a human.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a block diagram showing a configuration of a first embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a diagram showing a relationship between a key speed and a string striking speed when a reference point is set to 9.5 mm.
FIG. 3 is a diagram showing a relationship between a reference time difference Tr and a string striking speed.
FIG. 4 is a diagram of FIG. 3 on a double scale.
FIG. 5 is a diagram in which FIG. 3 is quadrupled in scale.
FIG. 6 is a block diagram showing a configuration of a second embodiment.
FIG. 7 is a diagram illustrating a key pressing trajectory (linear trajectory) of a key.
FIG. 8 is a diagram illustrating a trajectory represented by Expression 6.
FIG. 9 is a diagram illustrating a case where trajectories of a key release that occurs after a key is pressed intersect.
FIG. 10 is a diagram showing a parabolic trajectory used in the third embodiment.
FIG. 11 is a diagram for explaining calculation of a key pressing start time in a third embodiment.
FIG. 12 is a diagram showing an experimental example when a key is driven in the third embodiment.
FIG. 13 is an enlarged view of a part of FIG.
FIG. 14 is a diagram for explaining a method of estimating a string separation time of a damper.
FIG. 15 is a diagram illustrating a parabolic trajectory in a case where a damper string separation time is reproduced.
FIG. 16 is a diagram showing experimental results when acceleration is fixed in the third embodiment.
FIG. 17 is an enlarged view of a part of FIG. 16;
FIG. 18 is a diagram showing experimental results when the initial speed is fixed in the third embodiment.
FIG. 19 is an enlarged view of a part of FIG. 18;
FIG. 20 is a schematic view showing a configuration of a general automatic piano.
[Explanation of symbols]
5 ... solenoid (key driving means: servo driving means), 10 ... reproduction preprocessing section (motion attribute calculating means: trajectory calculating means: weak sound extracting means), 11 ... motion controller (key driving means: command value outputting means) ), 12... Servo controller (key driving means: servo driving means).
Claims (6)
ハンマーが打弦するタイミングとしての発音時刻を示す発音時刻情報およびハンマーが打弦する際の強さとしての発音強度を示す発音強度情報を供給する供給手段と、
鍵のレスト位置からエンド位置までの範囲内で予め設定された所定点であって、鍵の速度とハンマーの打弦による発音強度とが特定の対応関係を示す所定点での鍵の運動属性を、前記発音強度情報で示される発音強度および前記発音時刻情報で示される発音時刻から前記対応関係を用いて求める運動属性算出手段と、
前記鍵を駆動する駆動手段と、
前記鍵が、前記所定点において求められた運動属性となるように、前記駆動手段による鍵の駆動を制御する制御手段と
を具備することを特徴とする自動ピアノ。 An automatic piano that rotates a hammer by pressing a key and generates sound by striking a string with the hammer,
Supply means for supplying sounding time information indicating a sounding time as a timing at which the hammer hits a string and sounding intensity information indicating a sounding intensity as a strength at which the hammer hits a string ;
The motion attribute of the key at a predetermined point within a range from the key rest position to the end position, where the key speed and the sounding intensity of the hammer striking a string indicate a specific correspondence. An exercise attribute calculating means for obtaining from the pronunciation intensity indicated by the pronunciation intensity information and the pronunciation time indicated by the pronunciation time information using the correspondence ,
Driving means for driving said key,
An automatic piano, comprising: control means for controlling driving of the key by the driving means so that the key has the motion attribute obtained at the predetermined point .
ハンマーが打弦するタイミングとしての発音時刻を示す発音時刻情報およびハンマーが打弦する際の強さとしての発音強度を示す発音強度情報を供給する供給手段と、
鍵のレスト位置からエンド位置までの範囲内で予め設定された所定点であって、速度とハンマの打弦による発音強度とが特定の対応関係を示す所定点での鍵の通過速度を、前記対応関係を用いて前記発音強度情報で示される発音強度から求めるとともに、前記所定点における鍵の通過時刻を、求めた通過速度および前記発音時刻情報で示される発音時刻から求める運動属性算出手段と、
前記運動属性算出手段が求めた通過速度および通過時刻を満たす鍵軌道を、時間に対する鍵位置の関係として算出するとともに、当該鍵軌道における押鍵開始時刻を算出する軌道算出手段と、
前記鍵を駆動する駆動手段と、
前記鍵が、求められた押鍵開始時刻から押鍵開始するとともに、求められた通過時刻に前記所定点に達し、かつ、前記所定点に達したときに求められた通過速度となるように、前記駆動手段による鍵の駆動を制御する制御手段と
を具備することを特徴とする自動ピアノ。 An automatic piano that rotates a hammer by pressing a key and generates sound by striking a string with the hammer,
Supply means for supplying sounding time information indicating a sounding time as a timing at which the hammer hits a string and sounding intensity information indicating a sounding intensity as a strength at which the hammer hits a string ;
The passing speed of the key at a predetermined point within a range from the key rest position to the end position, where the speed and the sounding intensity of the hammer striking the string show a specific correspondence, Exercise attribute calculating means for obtaining from the sounding intensity indicated by the sounding intensity information using the correspondence relationship, and obtaining the key passing time at the predetermined point from the obtained passing speed and the sounding time indicated by the sounding time information ,
A trajectory calculation unit that calculates a key trajectory satisfying the passage speed and the passage time obtained by the motion attribute calculation unit as a relationship of a key position with respect to time, and calculates a key pressing start time in the key trajectory ;
Driving means for driving said key,
The key starts key depression from the determined key depression start time, reaches the predetermined point at the determined passage time, and has a passage speed determined when the key reaches the predetermined point. An automatic piano, comprising: control means for controlling driving of a key by the driving means .
離鍵時刻を示す離鍵時刻情報および離鍵速度を示す離鍵速度情報を供給する供給手段と、
鍵のエンド位置からレスト位置までの範囲内で予め設定され、ダンパーによる弦の抑止開始地点に対応する所定点を鍵が、前記離鍵時刻情報で示される離鍵時刻にて前記離鍵速度情報で示される離鍵速度で通過する鍵軌道を、時間に対する鍵位置の関係として算出するとともに、当該鍵軌道における離鍵開始時刻を求める軌道算出手段と、
前記鍵を駆動する駆動手段と、
前記鍵が、求められた離鍵開始時刻から離鍵開始するとともに、前記所定点において前記離鍵時刻情報で示される離鍵時刻にて前記離鍵速度情報で示される離鍵速度となるように、前記駆動手段による鍵の駆動を制御する制御手段と
を具備することを特徴とする自動ピアノ。 An automatic piano in which a key is pressed to produce a sound by striking a string, while a key is released by a damper to suppress the string and mute the sound.
Supply means for supplying key release time information indicating key release time and key release speed information indicating key release speed;
The key is set in advance within a range from the key end position to the rest position, and the key is set at a predetermined point corresponding to the string suppression start point by the damper at the key release time indicated by the key release time information. A trajectory calculating means for calculating a key trajectory passing at a key release speed represented by the following as a relationship of a key position with respect to time, and obtaining a key release start time in the key trajectory ;
Driving means for driving said key,
The key is started to be released from the obtained key release start time, and at the predetermined point, at the key release time indicated by the key release time information, the key release speed is indicated by the key release speed information. And a control means for controlling driving of the key by the driving means .
ことを特徴とする請求項2または3記載の自動ピアノ。4. The automatic piano according to claim 2, wherein said trajectory calculating means calculates a parabolic trajectory of a key satisfying a preset acceleration, a passing time and a passing speed obtained by said motion attribute calculating means.
ことを特徴とする請求項4記載の自動ピアノ。5. The automatic piano according to claim 4, wherein the trajectory calculating means uses a value set in advance for the initial velocity of the key when calculating the parabolic trajectory.
前記軌道算出手段は、抽出した弱音については予め設定された加速度、前記運動属性算出手段が求めた通過時刻および通過速度を満たす鍵の放物線軌道を算出し、弱音以外については前記運動属性算出手段が求めた通過時刻および通過速度を満たす鍵の直線軌道を算出する
ことを特徴とする請求項2記載の自動ピアノ。Comprising a weak sound extraction means for comparing the pronunciation intensity information and a reference value to extract a weak sound,
The trajectory calculation means calculates a preset acceleration for the extracted weak sound, a parabolic trajectory of a key that satisfies the passage time and the passage speed determined by the movement attribute calculation means, and the movement attribute calculation means for other than the weak sound. 3. The automatic piano according to claim 2, wherein a straight trajectory of a key satisfying the determined passing time and passing speed is calculated.
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