JP3595980B2 - Variable steering angle ratio steering device - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のCPUを備える電子装置を制御装置として用いて運転者による車両の運転操作状況に応じて、好適なハンドルの操舵角に対する操舵輪の転舵角の比(以下「舵角比」という)を自動的に設定できる制御を行う可変舵角比操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ドライバの運転を補助する車両用ステアリング装置としては、車両の周辺環境に対応して舵角比を自動的に設定するものが知られている。
【0003】
たとえば、本出願人は、特開平11−78944号公報において、車両の可変舵角比操舵装置を開示している。この車両の可変舵角比操舵装置は、ハンドルに対する操舵輪の回転量を変更可能な可変舵角比装置を有するとともに、この可変舵角比装置を制御するための制御装置を有するものである。また、可変舵角比操舵装置は、舵角比を可変するための電動機を備えている。
【0004】
そして、車速などに応じて、舵角比を自動的に設定するものである。たとえば、カーブが連続する山道などを軽快に走行する際には、舵角比が大きくなるようにする。逆に、高速道路などをほぼ定速で走行する際には、舵角比が小さくなるようにして、それぞれの場合に適した舵角比を設定するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような可変舵角比操舵装置では、制御装置に故障が生じた場合の安全性などを考慮する必要がある。このため、制御装置としては、通常時に使用するメインCPUと、このメインCPUとの間で相互に故障検出を行うサブCPUと、前記メインCPUまたはサブCPUに故障が生じた場合に使用するバックアップCPUとを備えた電子装置を用いることが考えられる。
【0006】
しかし、このような電子装置を制御装置として用いた場合、サブCPUおよびバックアップCPUは、メインCPUと比較してその処理量が非常に少ないものとなる。このように、処理量の少ないCPUをそれぞれ別個に設計して製造することは、無駄を生じることになりかねない。また、その結果として電子装置自体のコストアップを生じることになる。
【0007】
また、電子装置の基板には、メインCPU、サブCPU、およびバックアップCPUが設置されており、それぞれのCPUに対して供給される電流の電圧が規定されている。このとき、たとえばサブCPUを設置する位置に、バックアップCPUを設置してしまい、バックアップCPUを設置する位置にサブCPUを設置したとすると、サブCPUおよびバックアップCPUには適正な電圧が与えられない。このため、サブCPUおよびバックアップCPUが正常に機能しなくなってしまうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明の課題は、CPUの設計・製造の効率を上げるとともに、CPUを設置する際に、その設置位置を取り間違えないようにすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、ハンドルから操舵輪に至るステアリング系に前記ハンドルに対する前記操舵輪の転舵角の比を変更可能な可変舵角比装置を設けるとともに、この可変舵角比装置を制御する制御装置を設けてなる可変舵角比操舵装置において、前記制御装置は、通常時に使用するメインCPUと、このメインCPUとの間で相互に故障監視を行うサブCPUと、前記メインCPUおよび前記サブCPUのうちの少なくとも一方が故障したときに使用するバックアップCPUと、を備えており、前記サブCPUおよび前記バックアップCPUとして、前記サブCPUに対応するプログラムおよび前記バックアップCPUに対応するプログラムの両方が書き込まれているとともに、前記サブCPUおよび前記バックアップCPUを判別するための判別ポートが設けられたCPUが用いられており、前記CPUが基板に設置され、前記基板から前記判別ポートを介して判別電圧が与えられ、この判別電圧に基づいて、前記CPUが前記サブCPUおよび前記バックアップCPUのどちらとして用いられるかを決定することを特徴とする可変舵角比操舵装置である。
【0013】
請求項1に係る発明においては、サブCPUとバックアップCPUがそれぞれサブCPUおよびバックアップCPUのプログラムを有しているので、サブCPUとバックアップCPUを別個に設計、製造する手間を省くことができる。しかも、サブCPUとバックアップCPUはメインCPUと比較して処理量が少ないので、それぞれのCPUにおいて使用しない無駄なプログラムは少なくて済む。また、サブCPUには判別ポートを介してたとえば0Vの電圧が与えられ、バックアップCPUには判別ポートを介して5Vの電圧が与えられる。したがって、サブCPUとバックアップCPUを取り付ける際に間違えることがなくなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら、具体的に説明する。
先ず、可変舵角比操舵装置について全体構成を説明する。
図1は本発明に係る可変舵角比操舵装置の全体構成図である。本発明に係る可変舵角比操舵装置1は、ハンドルであるステアリングホイール2から操舵輪W,Wに至るステアリング系Sに設けられた可変舵角比装置10と、車速に基づいて可変舵角比装置10を制御する制御装置40を備えている。
【0015】
ステアリング系Sにおいて、ステアリングホイール2に一体的に設けられたステアリング軸3は、自在継ぎ手4A,4Bを有する連結軸4を介して可変舵角比装置10の入力軸へ連結されている。可変舵角比装置10は、入力軸の回転角度αに対する出力軸の回転角度βの比β/αを連続的に可変できるものを用いている。可変舵角比装置10の出力軸にはピニオン5が設けられており、このピニオン5とラック軸6のラック歯とを噛み合わせることによって、出力軸の回転運動をラック軸6の直線運動(L)へ変換し、ラック軸6の直線運動をタイロッド7,7およびナックルアームを介して操舵輪W,Wの転舵運動(T)へ変換する。
【0016】
また、ラック軸6の側方には、補助操舵トルクを発生させるための電動パワーステアリング装置(以下「EPS」という)用の電動機(以下「EPS電動機」という)8が、ラック軸6と同軸上に配設されている。そして、EPS電動機8の回転がラック軸6と同軸に設けられたボールネジ機構9を介して推力に変換され、この推力をラックボールネジ軸9Aに作用させている。
【0017】
次に、図2ないし図4を参照して、本実施形態に係る可変舵角比装置10の一具体例の構造について説明する。
図2に示すように、入力軸11は、玉軸受け12を介して上部ケーシング13aに回動自在に支持された支持部材14の偏心位置に、玉軸受け15を介して回転自在に支持されている。入力軸11の下部ケーシング13b内に突入した端部には、出力軸17に回転力を伝達するカップリング16が一体形成されている。また、入力軸11は、連結軸4(図1参照)に接続されており、ドライバがステアリングホイール2を操舵することによって、連結軸4を介して回転するようになっている。
【0018】
また、出力軸17は、一対の玉軸受け18a,18bを介して下部ケーシング13bに回動自在に支持されている。この出力軸17の下部には、ラック軸6のラック歯6aに噛み合ったピニオン5が一体形成されている。出力軸17の端部は下部ケーシング13b内に突入しており、出力軸17の端部における出力軸17の中心から偏心した位置には中間軸19が突設されている。この中間軸19と入力軸11に一体形成されたカップリング16との間は、平型ニードル軸受け20を介在させたスライダ21と円錐ころ軸受け22とを介して互いに連結されている。さらに、入力軸11と上部ケーシング13aとの間には、可撓性の筒状部を有するシール部材35が設けられている。このシール部材35によって可変舵角比装置10内の気密が保持されている。
【0019】
図3に示すように、カップリング16の下面には、下方が拡開しかつ開放した台形断面の溝23が形成されている。この溝23に対して、一対の平型ニードル軸受け20を介在させたスライダ21が、この溝23の互いに対向する斜面を摺動するように係合している。また、スライダ21の下面の中心部には、円錐ころ軸受け22を介して相対回動可能となるように、中間軸19が係合している。
【0020】
図2に示すように、下部ケーシング13bには、出力軸17の下端を支持する玉軸受け18bのアウタレースに当接するアジャストねじ24が螺着されている。このアジャストねじ24を適宜に締め込むことにより、ピニオン5が軸線方向に押圧され、カップリング16を介した入力軸11と出力軸17との間に適度なプリロードが与えられる。このようにして、カップリング16のがたを除去して連結剛性を向上させることができる。
【0021】
図4に示すように、支持部材14の外周部の一部には、扇型の部分的ウォームホイル25が設けられている。この部分的ウォームホイル25には、ウォーム減速機構26を介して電動機であるモータ27によって駆動されるウォーム28が噛み合っている。そして、モータ27の回転駆動力によって、支持部材14を上部ケーシング13aに対して所定の角度範囲にわたって回転運動を与えることができるようになっている。
【0022】
なお、ウォーム28は、偏心カムを応用したバックラッシュ除去部材29を介して上部ケーシング13aに支持されている。このバックラッシュ除去部材29の端部に形成された六角孔30に六角棒レンチを係合させて、この六角棒レンチを上部ケーシング13aに対して回動させることにより、その軸芯が移動して部分的ウォームホイル25との噛み合いが変化するようになっている。また、ウォーム28の軸芯の移動を許容するために、ウォーム28とウォーム減速機構26との間は、オルダム継ぎ手31を介して連結されている。
【0023】
さらに、上部ケーシング13aには、支持部材14の上面に突設されたピン32に係合する差動トランスなどからなる本発明の舵角比センサである変位センサ33が取り付けられている。この変位センサ33は、支持部材14の変位量を検出している。そして、変位センサ33は、検出した支持部材14の回動量、すなわち、支持部材14に支持された入力軸11の偏心量信号(本発明の「舵角比信号」に相当する)33aを制御装置40に出力している。なお、本実施形態では、可変舵角比操舵装置1は、偏心量に応じて舵角比特性が変わり、この舵角比特性に基づいてステアリングホイールの操舵角に応じて舵角比が連続的に最適な値に可変する。つまり、本実施形態では、偏心量に応じて舵角比が変わる。そこで、本実施形態では、舵角比を直接検出するのではなく、実舵角比に相当する実偏心量を変位センサ33によって検出している。
【0024】
制御装置40は、車速センサVSからの車速信号Vaに基づいて決定した目標偏心量(目標舵角比に相当)と、変位センサ33によって検出した実偏心量(実舵角比に相当)33aとを一致させるように、フィードバック制御によってモータ27の回転駆動を制御している(図7参照)。制御装置40については、後で詳細に説明する。
【0025】
車速センサVSは、図示しないスピードメータ内に配設され、車両の速度を検出する。そして、車速センサVSは、検出した車速に対応したアナログ電気信号の車速信号Vaを制御装置40に送信する。なお、車速センサVSは、可変舵角比操舵装置1の専用のセンサでも、他のシステムと共用するセンサでもよい。
【0026】
続いて、可変舵角比装置の作動原理について説明する。
図5は可変舵角比装置の作動原理を示す説明図、図6は可変舵角比装置の舵角比特性を示す入出力角特性図である。
【0027】
図5に示すように、入力軸11の回転中心をA、出力軸17の回転中心をB、中間軸19の作用点をCとする。また、BC間寸法をb、入力軸11と出力軸17との間の偏心量(AB間寸法)をaとし、入力軸11の回転角度(ハンドル操舵角)をα、出力軸17の回転角度(ピニオン回転角)をβとする。このとき、b・sinβ=(b・cosβ−a)tanα
であるから、
α=tan−1(b・sinβ/(b・cosβ−a))
で表わされる。
【0028】
ドライバがステアリングホイール2を操作することによって入力軸11を回転させると、中間軸19は、入力軸11のカップリング16のスライダ21との係合により、出力軸17の軸心回りでクランク回転する。たとえば、図5に示すように、入力軸11の回転角度α1を90度とした場合には、出力軸17の回転角度β1は、図5に示すようになる。
【0029】
ここで、支持部材14を回動させると、支持部材14の偏心カム作用により、図3および図4で符号A0〜A2で示した範囲で入力軸11の軸心が変化する。入力軸11の軸心の変化によって、入出力軸間の偏心量aを適宜に定めて入力軸11と出力軸17との軸心同士を互いに偏心させると、入力軸11と出力軸17との回転角が不一致となる。しかも、入力軸11を等角度ずつ回転させた際の出力軸17の角度変化が漸進的に増大することになる(図6の実線a1,a2参照)。
【0030】
そして、入力軸11と出力軸17との軸心の偏心量aを、a2〜a0(a2>a1>a0=0)の範囲で連続的に変化させると、入力軸11の回転角度に対する出力軸17の回転角度の割合β/α、すなわち実用上の舵角比を連続的に変化させることができる。いま、入出力軸間の偏心量aを大きくすると、入力角αに対する出力角βの変化率漸進性が高まり、入出力軸間の偏心量aを0にすれば、図6に一点鎖線(a0)で示すように、入力角αと出力角βとは等しくなる。
【0031】
この舵角比の変化を、たとえば低速走行域ではa0側に、高速走行域ではa2側になるように制御すると、低速走行域ではハンドルの操舵角度αに対するラックストロークを在来の操舵装置に比して大きく設定して、より一層敏感(クイック)な特性を実現できる。また、高速走行域ではハンドルの操舵角度αに対するラックストロークを在来の操舵装置に比して小さく設定して、より一層鈍感(ダル)な特性を実現できる。したがって、実用上のハンドル操舵角と走行速度との関係を、フラットな特性とすることができる。
【0032】
続いて、図7を参照して、制御装置40について説明する。
図7に示すように、制御装置40は、通常時に使用するメインCPU41と、メインCPU41との間で相互に故障検出を行うサブCPU42を有しており、さらには、メインCPU41またはサブCPU42が故障したときに使用するバックアップCPU43を有している。これらメインCPU41、サブCPU42およびバックアップCPU43はそれぞれ切替回路44に接続されている。
【0033】
また、切替回路44は、電動機駆動回路45に接続されているとともに図示しない切替スイッチを有しており、メインCPU41から出力される電動機駆動信号41aとバックアップCPU43から出力される電動機駆動信号43aのいずれを電動機駆動回路45に出力するかを切り替えている。電動機駆動回路45は、4個のFETのスイッチング素子からなるブリッジ回路で構成され、図示しないバッテリ電源に接続されており、切替回路44からの信号に基づいて、モータ27に電流を供給してモータ27を駆動するものである。
【0034】
メインCPU41およびサブCPU42は、EPS電動機8を駆動するためのゲート駆動回路46を介してEPS電動機駆動回路47に接続されている。EPS電動機駆動回路47は、4個のFETのスイッチング素子からなるブリッジ回路で構成され、図示しないバッテリに接続されており、メインCPU41からのEPS駆動信号41bに基づいて、EPS電動機8に電流を供給してEPS電動機8を駆動するものである。さらに、EPS電動機駆動回路47とEPS電動機8の間には、EPS電動機8に供給される電流を検出する電動機電流検出手段71が設けられている。この電動機電流検出手段71によって検出されたEPS電動機8の電流は、メインCPU41に出力され、フィードバック制御に用いられる。
【0035】
また、制御装置40には、実舵角比入力回路48が設けられている。実舵角比入力回路48は、変位センサ33によって検出された入力軸11(図2)の実偏心量をメインCPU41、サブCPU42、およびバックアップCPU43に出力するものである。他方、制御装置40は、操舵トルク入力回路49および車速入力回路50を備えている。操舵トルク入力回路49は、操舵トルクセンサTSからの操舵トルク信号TaをメインCPU41およびサブCPU42に出力している。また、車速入力回路50は、車速センサVSからの車速信号VaをメインCPU41、サブCPU42、およびバックアップCPU43にそれぞれ出力している。
【0036】
メインCPU41は、図8に示すように、可変舵角比装置10の制御を行うために、目標偏心量決定部51、偏差演算部52、PID制御部53、PWM信号生成部54、およびゲート駆動回路55を備えている。また、EPS制御を行うために、目標電流設定部56、偏差演算部57、PID制御部58、PWM信号生成部59を備えている。さらに、サブCPU42との間で相互に故障検出を行うためのサブCPU相互監視部60およびバックアップCPU43の故障を検出するためのバックアップCPU故障検出部61を備えている。
【0037】
まず、可変舵角比装置10の制御について説明すると、目標偏心量決定部51は、ROM等の記憶手段を備え、あらかじめ実験値または設計値に基づいて設定した車速信号Vaと目標偏心量の対応するデータ(変換テーブル)を記憶している。そして、目標偏心量決定部51は、車速信号Vaをアドレスとして対応する目標偏心量を読み出し、目標偏心量信号51aを偏差演算部52に出力する。ここで、目標偏心量は、車速信号Vaに対して、路面反力の大きい低速の場合には小さい値が対応づけられ、走行時の安定性を確保するために高速の場合には大きい値が対応づけられている。また、目標偏心量決定部51に入力される車速信号Vaは、図示しないF−Vコンバータを介して車速センサVSから入力された車速信号Vaをアナログ信号からディジタル信号に変換されたものである。
【0038】
偏差演算部52は、目標偏心量信号51aと変位センサ33によって検出された実偏心量(実舵角比に相当)を示す偏心量信号33aとの偏差を求め、偏差信号52aを出力する。偏心量信号33aは、実舵角比入力回路48を経て偏差演算部52に出力される。PID制御部53は、偏差信号52aに対して比例、積分、微分等の処理を施し、偏差をゼロに近づけるためにモータ27に供給する電流の向きと電流値とを示す駆動制御信号53aを生成して出力する。
【0039】
PWM信号生成部54は、駆動制御信号53aに基づいてモータ27をPWM運転するためのPWM(パルス幅変調)信号54aをゲート駆動回路55に出力する。ゲート駆動回路55は、PWM信号54aに基づいて電動機駆動回路45の各FETのゲートを駆動して各FETをスイッチング駆動するための電動機駆動信号55aを切替回路44に出力する。
【0040】
続いてEPSの制御の工程を説明すると、目標電流設定部56は、ROM等の記憶手段を備え、あらかじめ実験値または設計値に基づいて設定した操舵トルク信号Taと目標偏心量の対応するデータ(変換テーブル)を記憶している。そして、目標電流設定部56は、操舵トルク信号Taをアドレスとして対応する目標電流値を読み出し、目標電流信号56aを偏差演算部57に出力する。
【0041】
偏差演算部57は、目標電流信号56aと電動機電流検出手段71によってEPS電動機8に供給されている電流信号71aとの偏差を求め、偏差信号57aをPID制御部58に出力する。PID制御部58は、偏差信号57aに対して比例、積分、微分等の処理を施し、偏差をゼロに近づけるためにEPS電動機8に供給する電流の向きと電流値とを示す駆動制御信号58aを生成してPWM信号生成部59に出力する。
【0042】
PWM信号生成部59は、駆動制御信号58aに基づいてEPS電動機8をPWM運転するためのPWM(パルス幅変調)信号59aをゲート駆動回路46に出力する。ゲート駆動回路46は、PWM信号59aに基づいてEPS電動機駆動回路47の各FETのゲートを駆動して各FETをスイッチング駆動するための電動機駆動信号46aをEPS電動機駆動回路47に出力する。
【0043】
加えて、メインCPU41では、サブCPU相互監視部60において、サブCPU42との間で相互に故障検出を行っている。また、バックアップCPU故障検出部61においてバックアップCPU43の故障を検出している。このように、メインCPU41では、非常に多くの処理がなされている。
【0044】
また、サブCPU42およびバックアップCPU43としては、同一構造のCPUを用いており、それぞれサブプログラム制御部65と、バックアッププログラム制御部66と、判別ポート67とを有している。なお、サブプログラム制御部65には、本発明の「サブCPUに対応するプログラム」が書き込まれており、バックアッププログラム制御部66には本発明の「バックアップCPUに対応するプログラム」が書き込まれている。
【0045】
サブCPU42におけるサブプログラム制御部65では、メインCPU41におけるサブCPU相互監視部60との間で相互に故障検出信号42aを交換し、互いの故障検出を行っている。そして、メインCPU41に故障が検出されたら、切替回路44に対して故障信号42bを出力する。切替回路44では故障信号42bを受けて、電動機駆動回路45に出力されていた電動機駆動信号41aの出力を停止させる。それに代わって、バックアップCPU43の電動機駆動信号43aを電動機駆動回路45に出力する。なお、サブCPU42においては、バックアッププログラム制御部66は作業を行っていない。
【0046】
一方、バックアップCPU43におけるバックアッププログラム制御部66では、メインCPU41およびサブCPU42のうちの少なくとも一方が故障したときに、モータ27を駆動するための電動機駆動信号43aを生成して切替回路44に出力している。通常時、すなわちメインCPU41およびサブCPU42が正常に機能しているときは、バックアップCPU43で生成された電動機駆動信号43aが電動機駆動回路45に出力されることはない。メインCPU41およびサブCPU42のうちの少なくとも一方に故障が生じたときには、切替回路44が切り替わり、メインCPU41からの電動機駆動信号41aに代わって、バックアップCPU43からの電動機駆動信号43aが電動機駆動回路45に出力される。バックアップCPU43は、メインCPU41に故障が生じたときに使用されるものであり、メインCPU41およびサブCPU42のうちの少なくとも一方が故障したときには、メインCPU41による可変舵角比装置10の制御が不能となる。したがって、バックアップCPU43におけるバックアッププログラム制御部66では、フェールセーフの観点から、可変舵角比装置10をダル側(最大偏心量側)に移行させるための電動機駆動信号43aを生成して、切替回路44に出力している。電動機駆動信号43aを生成するにあたり、実舵角比入力回路48から出力される偏心量信号33aを用いたフィードバック制御がなされている。なお、バックアップCPU43においては、サブプログラム制御部65は作業を行っていない。
【0047】
このように、サブCPU42およびバックアップCPU43における処理量は少ないものである。したがって、これらを同一構造のCPUとして製造し、それぞれ処理のために使用しないプログラムが書き込まれていても、大きな無駄とはならないものである。
【0048】
さらに、サブCPU42およびバックアップCPU43における判別ポート67,67には、図示しない基板から判別電圧が与えられる。この基板から与えられる判別電圧によって、サブCPU42およびバックアップCPU43のどちらとして用いられるかを決定する。いま、サブCPU42における判別ポート67には0Vの電圧が与えられ、換言すればアースされており、バックアップCPU43における判別ポート67には5Vの電圧が与えられている。すなわち、基板にCPUを設置した際、サブCPU42を設置すべき位置に設置したCPUの判別ポート67には、0Vの電圧が自動的に与えられる。一方、バックアップCPU43を設置すべき位置に設置されたCPUの判別ポート67には、5Vの電圧が自動的に与えられる。
【0049】
これらの各CPUにおける判別処理手順について、図9に示すフローチャートを用いて説明すると、所定の位置にCPUが設置されて処理が開始される(S1)。処理が開始されると、判別ポート67に与えられる判別電圧を検出する(S2)。その結果、判別電圧が0Vであれば、サブCPU42として用いられるので、サブプログラムが実行される(S3)。一方、判別電圧が5Vであれば、バックアップCPU43として用いられるので、バックアッププログラムが実行される(S4)。サブプログラムが開始され、またはバックアッププログラムが実行された後は、制御等が終了したか否かを判断する(S5)。その結果、制御等が終了していなければ、ステップS2に戻って判別ポート67に与えられる判別電圧を検出する。一方、制御等が終了していれば、判別処理が終了する(S6)。
このようにして、同一のCPUをそれぞれの位置に設置するのみで、自動的にサブCPU42およびバックアップCPU43を判別するので、サブCPU42およびバックアップCPU43を付け間違えることがなくなる。また、同一のCPUを製造するので、製造時にサブCPU42とバックアップCPU43との作り間違えや、プログラムの書き込み違いなどを防止することができる。
【0050】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態ではサブCPUおよびバックアップCPUに用いたCPUは同一構造のものとしたが、サブプログラム制御部およびバックアッププログラム制御部の両方を有していれば、同一構造でなくともよい。さらには、サブプログラムとバックアッププログラムの間で共通したルーチンがある場合には、これを一方のプログラムに書き込んで、両方で共用することもできる。このような共通ルーチンが多いプログラムが書き込まれている場合にも、同一構造のCPUを用いるのが効果的である。他方、サブCPUおよびバックアップCPUは、サブプログラム制御部およびバックアッププログラム制御部の他のプログラム制御部などを有していてもよい。
【0051】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の請求項1に係る発明によれば、メインCPU、サブCPU、およびバックアップCPUを有する可変舵角比操舵装置において、サブCPUおよびバックアップCPUを別個に設計、製造する必要がなくなる。また、サブCPUおよびバックアップCPUを取り付ける際に間違えることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る可変舵角比操舵装置の全体構成図である。
【図2】本実施の形態に係る可変舵角比装置の正断面図である。
【図3】本実施の形態に係る可変舵角比装置の軸部の分解斜視図である。
【図4】図2のA−A線断面図である。
【図5】本実施の形態に係る可変舵角比操舵装置の作動原理を示す説明図である。
【図6】本実施の形態に係る可変舵角比操舵装置の舵角比特性を示す入出力角特性図である。
【図7】本実施の形態に係る可変舵角比操舵装置の制御装置のブロック構成図である。
【図8】本実施の形態に係る可変舵角比操舵装置のメインCPU周辺のブロック構成図である。
【図9】サブCPUおよびバックアップCPUにおける判別処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 可変舵角比操舵装置
2 ステアリングホイール(ハンドル)
10 可変舵角比装置
40 制御装置
41 メインCPU
42 サブCPU(第1CPU)
43 バックアップCPU(第2CPU)
65 サブプログラム制御部(第1プログラム)
66 バックアッププログラム制御部(第2プログラム)
67 判別ポート
W 操舵輪[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention uses an electronic device having a plurality of CPUs as a control device and controls a ratio of a steering angle of a steered wheel to a preferable steering angle of a steering wheel (hereinafter referred to as a “steering angle ratio”) in accordance with a driving operation situation of a vehicle by a driver. ) Is automatically and automatically controlled.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art Conventionally, as a vehicular steering device that assists a driver in driving, a vehicular steering device that automatically sets a steering angle ratio according to a surrounding environment of a vehicle is known.
[0003]
For example, the present applicant discloses a variable steering angle ratio steering apparatus for a vehicle in Japanese Patent Application Laid-Open No. H11-78944. The variable steering angle ratio steering device for a vehicle includes a variable steering angle ratio device capable of changing the amount of rotation of a steered wheel with respect to a steering wheel, and a control device for controlling the variable steering angle ratio device. Further, the variable steering angle ratio steering device includes an electric motor for varying the steering angle ratio.
[0004]
Then, the steering angle ratio is automatically set according to the vehicle speed and the like. For example, when the vehicle runs lightly on a mountain road with continuous curves, the steering angle ratio is increased. Conversely, when traveling on a highway or the like at a substantially constant speed, the steering angle ratio is set to be small, and a steering angle ratio suitable for each case is set.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
In such a variable steering angle ratio steering device, it is necessary to consider safety and the like when a failure occurs in the control device . For this reason, the control device includes a main CPU that is normally used, a sub CPU that mutually detects a failure between the main CPU, and a backup CPU that is used when a failure occurs in the main CPU or the sub CPU. It is conceivable to use an electronic device having the following.
[0006]
However, when such an electronic device is used as a control device, the processing amount of the sub CPU and the backup CPU is very small as compared with the main CPU. As described above, designing and manufacturing CPUs each having a small processing amount separately may be wasteful. As a result, the cost of the electronic device itself increases.
[0007]
In addition, a main CPU, a sub CPU, and a backup CPU are provided on a board of the electronic device , and a voltage of a current supplied to each CPU is specified. At this time, for example, if the backup CPU is installed at the position where the sub CPU is installed and the sub CPU is installed at the position where the backup CPU is installed, an appropriate voltage is not applied to the sub CPU and the backup CPU. Therefore, there is a problem that the sub CPU and the backup CPU do not function properly.
[0008]
Therefore, an object of the present invention is to improve the efficiency of designing and manufacturing a CPU and not to mistake the installation position when installing a CPU.
[0012]
[Means for Solving the Problems]
The invention according to
[0013]
In the invention according to
[0014]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be specifically described with reference to the drawings.
First, the overall configuration of the variable steering angle ratio steering device will be described.
FIG. 1 is an overall configuration diagram of a variable steering angle ratio steering device according to the present invention. A variable steering angle
[0015]
In the steering system S, a
[0016]
On the side of the rack shaft 6, an electric motor (hereinafter, referred to as "EPS motor") 8 for an electric power steering device (hereinafter, referred to as "EPS") for generating an auxiliary steering torque is coaxial with the rack shaft 6. It is arranged in. Then, the rotation of the
[0017]
Next, the structure of a specific example of the variable steering
As shown in FIG. 2, the input shaft 11 is rotatably supported via a ball bearing 15 at an eccentric position of a support member 14 rotatably supported by an upper casing 13 a via a ball bearing 12. . At the end of the input shaft 11 protruding into the lower casing 13b, a
[0018]
The
[0019]
As shown in FIG. 3, a groove 23 having a trapezoidal cross section is formed on the lower surface of the
[0020]
As shown in FIG. 2, an adjusting screw 24 that is in contact with an outer race of a ball bearing 18 b that supports a lower end of the
[0021]
As shown in FIG. 4, a fan-shaped
[0022]
The worm 28 is supported by the upper casing 13a via a
[0023]
Further, a
[0024]
The
[0025]
The vehicle speed sensor VS is provided in a speedometer (not shown) and detects the speed of the vehicle. Then, the vehicle speed sensor VS transmits to the control device 40 a vehicle speed signal Va of an analog electric signal corresponding to the detected vehicle speed. The vehicle speed sensor VS may be a dedicated sensor of the variable steering angle
[0026]
Next, the operation principle of the variable steering angle ratio device will be described.
FIG. 5 is an explanatory diagram showing the operation principle of the variable steering angle ratio device, and FIG. 6 is an input / output angle characteristic diagram showing the steering angle ratio characteristics of the variable steering angle ratio device.
[0027]
As shown in FIG. 5, the rotation center of the input shaft 11 is A, the rotation center of the
Because
α = tan −1 (b · sin β / (b · cos β-a))
Is represented by
[0028]
When the driver rotates the input shaft 11 by operating the
[0029]
Here, when the support member 14 is rotated, the axis of the input shaft 11 changes within the range indicated by reference numerals A0 to A2 in FIGS. 3 and 4 due to the eccentric cam action of the support member 14. When the amount of eccentricity a between the input and output shafts is appropriately determined by changing the axis of the input shaft 11 and the axes of the input shaft 11 and the
[0030]
When the eccentricity a of the axis between the input shaft 11 and the
[0031]
If this change in the steering angle ratio is controlled to be, for example, the a0 side in a low-speed running range and the a2 side in a high-speed running range, the rack stroke with respect to the steering angle α of the steering wheel in the low-speed running range is smaller than that of the conventional steering device. , The sensitivity can be further increased (quick). Further, in the high-speed running range, the rack stroke with respect to the steering angle α of the steering wheel is set smaller than that of the conventional steering device, so that a more insensitive (dull) characteristic can be realized. Therefore, the relationship between the practical steering wheel angle and the traveling speed can be made flat characteristics.
[0032]
Subsequently, the
As shown in FIG. 7, the
[0033]
The switching
[0034]
The
[0035]
Further, the
[0036]
As shown in FIG. 8, the
[0037]
First, the control of the variable steering
[0038]
The deviation calculator 52 calculates the deviation between the
[0039]
The PWM
[0040]
Next, the steps of the EPS control will be described. The target
[0041]
The
[0042]
The PWM
[0043]
In addition, in the
[0044]
Further, CPUs having the same structure are used as the
[0045]
The
[0046]
On the other hand, when at least one of the
[0047]
Thus, the processing amounts of the
[0048]
Further, a discrimination voltage is applied to the
[0049]
The determination processing procedure in each of these CPUs will be described with reference to the flowchart shown in FIG. 9. The CPU is installed at a predetermined position and the processing is started (S1). When the process is started, a determination voltage applied to the
In this way, the
[0050]
The preferred embodiment of the present invention has been described above, but the present invention is not limited to the above embodiment . For example, in the above-described embodiment, the CPUs used for the sub CPU and the backup CPU have the same structure. However, the CPUs may not have the same structure as long as they have both the sub program control unit and the backup program control unit. Furthermore, if there is a common routine between the subprogram and the backup program, this can be written in one program and shared by both. Even when a program having many such common routines is written, it is effective to use a CPU having the same structure. On the other hand, the sub CPU and the backup CPU may have another program control unit other than the sub program control unit and the backup program control unit.
[0051]
【The invention's effect】
As described above, according to the first aspect of the present invention, in a variable steering angle ratio steering device having a main CPU, a sub CPU, and a backup CPU, it is necessary to design and manufacture the sub CPU and the backup CPU separately. Disappears. Also, there is no mistake in attaching the sub CPU and the backup CPU.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is an overall configuration diagram of a variable steering angle ratio steering device according to the present embodiment.
FIG. 2 is a front sectional view of the variable steering angle ratio device according to the embodiment.
FIG. 3 is an exploded perspective view of a shaft portion of the variable steering angle ratio device according to the present embodiment.
FIG. 4 is a sectional view taken along line AA of FIG. 2;
FIG. 5 is an explanatory diagram illustrating an operation principle of the variable steering angle ratio steering device according to the present embodiment.
FIG. 6 is an input / output angle characteristic diagram showing a steering angle ratio characteristic of the variable steering angle ratio steering device according to the present embodiment.
FIG. 7 is a block diagram of a control device of the variable steering angle ratio steering device according to the present embodiment.
FIG. 8 is a block diagram of the periphery of a main CPU of the variable steering angle ratio steering device according to the present embodiment.
FIG. 9 is a flowchart illustrating a determination processing procedure in a sub CPU and a backup CPU;
[Explanation of symbols]
1 Variable steering angle
10 Variable steering
42 Sub CPU (first CPU)
43 Backup CPU (second CPU)
65 Subprogram control unit (first program)
66 Backup program control unit (second program)
67 Discrimination port W Steering wheel
Claims (1)
前記制御装置は、通常時に使用するメインCPUと、このメインCPUとの間で相互に故障監視を行うサブCPUと、前記メインCPUおよび前記サブCPUのうちの少なくとも一方が故障したときに使用するバックアップCPUと、を備えており、
前記サブCPUおよび前記バックアップCPUとして、前記サブCPUに対応するプログラムおよび前記バックアップCPUに対応するプログラムの両方が書き込まれているとともに、前記サブCPUおよび前記バックアップCPUを判別するための判別ポートが設けられたCPUが用いられており、
前記CPUが基板に設置され、前記基板から前記判別ポートを介して判別電圧が与えられ、この判別電圧に基づいて、前記CPUが前記サブCPUおよび前記バックアップCPUのどちらとして用いられるかを決定することを特徴とする可変舵角比操舵装置。A variable steering system in which a variable steering angle ratio device capable of changing the ratio of the steering angle of the steered wheel to the steering wheel is provided in a steering system from the steering wheel to the steered wheels, and a control device that controls the variable steering angle ratio device is provided. In the steering angle ratio steering device,
The control device includes a main CPU that is normally used, a sub CPU that monitors failures between the main CPU and a backup CPU that is used when at least one of the main CPU and the sub CPU fails. And a CPU.
As the sub CPU and the backup CPU, both a program corresponding to the sub CPU and a program corresponding to the backup CPU are written, and a determination port for determining the sub CPU and the backup CPU is provided. CPU is used,
The CPU is mounted on a board, and a discrimination voltage is given from the board through the discrimination port, and based on the discrimination voltage, it is determined whether the CPU is used as the sub CPU or the backup CPU. A variable steering angle ratio steering device, characterized in that:
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