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JP3595220B2 - 合成開口レーダ装置及び目標散乱点検出方法 - Google Patents

合成開口レーダ装置及び目標散乱点検出方法 Download PDF

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JP3595220B2
JP3595220B2 JP29529299A JP29529299A JP3595220B2 JP 3595220 B2 JP3595220 B2 JP 3595220B2 JP 29529299 A JP29529299 A JP 29529299A JP 29529299 A JP29529299 A JP 29529299A JP 3595220 B2 JP3595220 B2 JP 3595220B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は観測対象となる目標に対して搬送波周波数が時間とともに変化するパルスを送信し、反射されたパルスから目標の画像を再生して目標散乱点を検出する合成開口レーダ装置及び目標散乱点検出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の合成開口レーダ装置として例えば、「Airborne Pulsed Doppler Radar」、第2版、Guy Morris及びLinda Harkness、Artech House、(1997年)、に示されたものがあり、図8は上記文献に示された従来の合成開口レーダ装置の一例を示した図である。
【0003】
図8において、1はパルスを出力する送信機、2は後述の制御回路4から入力される周波数制御信号に基づいて時間とともに周波数を変化させた信号を出力する局部発振器、3は送信機1に対してトリガ信号を発生するパルス変調器である。制御回路4は局部発振器2に対する周波数制御信号を出力する。5は送受信を切換える送受切換器、6は送受切換器5を介して送信機1から出力されるパルスを目標に対して送信し、また目標から反射されたパルスを受信するアンテナ、7はアンテナ6により受信されたパルスを入力して、受信信号を出力する受信機である。
【0004】
8は受信機7から入力した受信信号を各パルス毎に圧縮するレンジ圧縮手段、9はレンジ圧縮された各パルスの受信信号をストアするメモリ、10はレンジ圧縮された複数のパルスの受信信号をメモリから読み出し、これらに対してクロスレンジ圧縮を行い、目標の画像を再生するクロスレンジ圧縮手段である。11bは上述のレンジ圧縮手段8とメモリ9とクロスレンジ圧縮手段10からなる信号処理器である。
【0005】
次に従来の合成開口レーダ装置の動作について、図9及び図10を参照して説明する。制御回路4は、図9の(a)、(b)のように時間とともに搬送波周波数がリニアに変化するように、周波数制御信号を制御して、局部発振器2に出力する。局部発振器2は、制御回路4から入力される周波数制御信号に基づいて搬送波周波数を設定した信号を出力する。時間tにおける信号の搬送波周波数f(t)は、周波数初期値をf、周波数変化率をkとして、下記の式(1)に基づいて設定される。
【0006】
【数1】
Figure 0003595220
【0007】
送信機1は、局部発振器2の出力を増幅し、パルス変調器3の送信トリガ信号に同期して、パルスを生成して出力する。送信機1から出力されたパルスは、送受切換器5を介してアンテナ6に給電され、アンテナ6より目標に放射される。次いでアンテナ6は、目標から反射されたパルスを受信し、送受切換器5を介して、受信機7に出力する。パルスは受信機7において、ビデオ信号に周波数変換された後、位相検波及びディジタル変換され、受信信号として信号処理器11bに出力される。
【0008】
信号処理器11bのレンジ圧縮手段8では、各パルス毎に受信機7から入力された受信信号に対して、図9の(c)、(d)のような特性をもつ信号を用いて畳込み演算を行う。これにより受信信号は図9の(e)のように、パルスの搬送周波数変化量Δfの逆数1/Δfに相当するパルス幅にレンジ圧縮される。
【0009】
レンジ圧縮手段8によりレンジ圧縮された各パルスの受信信号は、メモリ9にストアされる。クロスレンジ圧縮手段10は、レンジ圧縮された複数のパルスの受信信号をメモリ9から読み出し、図10のようにこれらの受信信号を2次元に配置する。次にクロスレンジ圧縮手段10は、レンジ方向に下記の式(2)で間隔ΔRが与えられるセル毎に、複数のパルスの受信信号に対して、図9の(c)、(d)のような特性をもつ信号を用いて畳込み演算を行う。ここでcは光速を表す。これにより受信信号はクロスレンジ方向に圧縮されて、目標の画像が再生される。
【0010】
【数2】
Figure 0003595220
【0011】
このとき目標散乱点の検出は、再生された目標の画像上で、レンジ方向のセル間隔ΔR毎に得られる振幅値のピークを検出することにより行われる。
【0012】
以上のようにして、観測対象となる目標に対して搬送波周波数が時間とともに変化するパルスを送信し、反射されたパルスから目標の画像を再生して目標散乱点を検出することができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従来の合成開口レーダ装置は、以上のように構成されているので、上記の式(2)により与えられる間隔ΔR以下でレンジ方向に近接した目標散乱点を分離して検出すること、すなわち分解能ΔR以上の解像度で、目標散乱点の検出ができないという課題があった。
【0014】
この発明は上記の課題を解消するためになされたものであり、パルスの搬送周波数変化量Δfによって決まる分解能以上の解像度で、目標散乱点の検出が可能な合成開口レーダ装置及び目標散乱点検出方法を得ることを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的に鑑み、この発明の請求項1に係わる発明は、観測対象となる目標に対して搬送波周波数が時間とともに変化するパルスを送信し、上記目標から反射されたパルスを受信し、この受信パルスをビデオ信号に周波数変換した後、ディジタル変換した受信信号から上記目標のパルスの送信方向に対応したレンジ成分と上記レンジに直行するクロスレンジ成分からなる画像を再生する合成開口レーダ装置において、上記画像のクロスレンジ方向の各成分について、レンジ方向に高速フーリエ変換処理を行う周波数変換手段と、この周波数変換手段により得られた周波数データを線形予測法を用いて外挿した周波数拡張データを生成する帯域幅拡張手段と、上記周波数拡張データに対して超解像処理を行い、目標散乱点のレンジと反射強度を算出する超解像処理手段と、を備えたものである。
【0016】
また請求項2の発明に係わる合成開口レーダ装置は、上記帯域幅拡張手段が、周波数データを用いて自己回帰係数の算出を行う線形予測手段と、周波数データと自己回帰係数を用いて、上記周波数データを外挿した周波数拡張データを生成する周波数拡張手段とを有し、上記超解像処理手段が、周波数拡張データの共分散行列を計算する共分散行列算出手段と、周波数拡張データの共分散行列の一部から小行列を構成し、これらの小行列の移動平均から平均共分散行列を算出する移動平均算出手段と、上記平均共分散行列の固有値解析を行い最小固有値を求める固有値解析手段と、上記最小固有値から算出した固有ベクトルを用いて評価関数を計算する評価関数算出手段と、上記評価関数の振幅値のピークを検索して、このピークを与えるレンジ値より目標散乱点のレンジを推定するレンジ推定手段と、上記レンジの推定値と最小固有値を用いて、目標散乱点の反射強度を推定する反射強度推定手段とを有するものである。
【0017】
また請求項3の発明に係わる合成開口レーダ装置は、上記超解像処理手段に、線形予測手段により得られた自己回帰係数を用いてスペクトラムを計算するスペクトラム推定手段と、固有値解析手段の固有値解析に基づいてスペクトラムの振幅値のピーク数を特定して、このピークを与えるレンジ値を検索して目標散乱点のレンジを推定するピーク検索手段と、ピーク検索手段から入力したレンジと固有値解析手段から入力した最小固有値を用いて目標散乱点の反射強度を推定する振幅推定手段と、上記レンジ推定手段により推定した目標散乱点のレンジと反射強度推定手段により推定した目標散乱点の反射強度を、上記ピーク検索手段により推定した目標散乱点のレンジと振幅推定手段により推定した目標散乱点の反射強度とをそれぞれ比較して、目標散乱点のレンジと反射強度の推定値を決定する判定手段とをさらに備えたものである。
【0018】
また請求項4の発明に係わる目標散乱点検出方法は、観測対象となる目標に対して搬送波周波数が時間とともに変化するパルスを送信し、上記目標から反射されたパルスを受信し、この受信パルスをビデオ信号に周波数変換した後、ディジタル変換した受信信号から上記目標のパルスの送信方向に対応したレンジ成分と上記レンジに直行するクロスレンジ成分からなる画像を再生する目標散乱点検出方法において、上記画像のクロスレンジ方向の各成分について、レンジ方向に高速フーリエ変換処理を行う第1のステップと、周波数データを用いて自己回帰係数の算出を行う第2のステップと、周波数データと自己回帰係数を用いて、上記周波数データを外挿した周波数拡張データを生成する第3のステップと、周波数拡張データの共分散行列を計算する第4のステップと、周波数拡張データの共分散行列の一部から小行列を構成し、これらの小行列の移動平均から平均共分散行列を算出する第5のステップと、上記平均共分散行列の固有値解析を行い最小固有値を求める第6のステップと、上記最小固有値から算出した固有ベクトルを用いて評価関数を計算する第7のステップと、上記評価関数の振幅値のピークを検索して、このピークを与えるレンジ値より目標散乱点のレンジを推定する第8のステップと、上記レンジの推定値と最小固有値を用いて、目標散乱点の反射強度を推定する第9のステップと、を含むものである。
【0019】
また請求項5に係わる目標散乱点検出方法は、上記第2のステップにより得られた自己回帰係数を用いてスペクトラムを計算する第10のステップと、上記第6のステップの固有値解析に基づいてスペクトラムの振幅値のピーク数を特定して、このピークを与えるレンジ値を検索して目標散乱点のレンジを推定する第11のステップと、この第11のステップから入力したレンジと上記第6のステップから入力した最小固有値を用いて目標散乱点の反射強度を推定する第12のステップと、上記第8のステップにより推定した目標散乱点のレンジと上記第9のステップにより推定した目標散乱点の反射強度を、上記第11のステップにより推定した目標散乱点のレンジと上記第12のステップにより推定した目標散乱点の反射強度と比較して、目標散乱点のレンジと反射強度の推定値を決定する第13のステップと、を追加したものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の合成開口レーダ装置及び目標散乱点検出方法を実施の形態に従って図を参照しながら説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の一実施の形態による合成開口レーダ装置の構成図である。図において、図8と同一もしくは相当部分は同一符号を付し、その詳細説明を省略する。11aは本実施の形態による信号処理器であり、上述のレンジ圧縮手段8、メモリ9、クロスレンジ圧縮手段10のほかに周波数変換手段12、帯域幅拡張手段13及び超解像処理手段14aを含む。
【0021】
図2は、帯域幅拡張手段13と超解像処理手段14aの具体的回路構成の一例を示すブロック図である。図において、15は周波数データから自己回帰係数の算出を行う線形予測手段、16は周波数データと自己回帰係数を用いて、周波数データを外挿した周波数拡張データを生成する周波数拡張手段、17は周波数拡張データの共分散行列の計算を行う共分散行列算出手段、18は周波数拡張データの共分散行列の一部から小行列を構成し、これらの小行列の移動平均から平均共分散行列を算出する移動平均算出手段、19は移動平均算出手段18で算出された平均共分散行列の固有値解析を行い最小固有値を求める固有値解析手段である。
【0022】
20は固有値解析手段19で得られた最小固有値から算出した固有ベクトルを用いて評価関数を計算する評価関数算出手段、21は評価関数算出手段20で算出された評価関数の振幅値のピークを検索して、このピークを与えるレンジ値より目標散乱点のレンジを推定するレンジ推定手段、22は共分散行列算出手段17から入力した共分散行列、固有値解析手段19から入力した最小固有値及びレンジ推定手段21から入力した目標散乱点のレンジに基づいて、目標散乱点の反射強度を計算する反射強度推定手段である。
【0023】
次に動作について、図3〜図6を用いて説明する。周波数変換手段12は、図3のようにクロスレンジ圧縮手段10により得られた目標の画像のクロスレンジ方向の各成分(x,x,…,x)に対して、それぞれレンジ方向のデータ列を構成し、これらのデータに対して高速フーリエ変換を実行して周波数データ(z,z,…,z,…z)に変換して、帯域幅拡張手段13に出力する。
【0024】
帯域幅拡張手段13では、周波数データzに対して下記の式(3)で定義される次数hの自己回帰モデルを仮定して、図4に示すように線形予測法により周波数データを外挿して、周波数拡張データを生成する。ここで、aは自己回帰係数と呼ばれ、例えば公知文献「A New Autoregressive Spectrum Analysis Algorith」、Larry Marple著、IEEE Trans.ASSP−28、pp.441−454、(1980年)に示されているアルゴリズム(Burg法)を用いて求められる。
【0025】
【数3】
Figure 0003595220
【0026】
次に共分散行列算出手段17は、図5に示すように周波数拡張手段16より入力された周波数拡張データに対して、下記の式(4)で定義される共分散行列Rを算出する。ここで、*は共役複素数を表わす。
【0027】
【数4】
Figure 0003595220
【0028】
移動平均算出手段18は、図5に示すように、共分散行列算出手段17から出力された共分散行列23の一部から、次数Mの小行列24を構成する。更に移動平均算出手段18は、共分散行列から構成したLL個の小行列Rを平均化して、下記の式(5)で定義される平均相関行列R(バー)を算出する。
【0029】
【数5】
Figure 0003595220
【0030】
次いで固有値解析手段19は、平均共分散行列R(バー)の固有値解析を実行する。この時、求められるM個の固有値λ(m=1,2,…,M)に対して、下記の式(6)に示す関係式が成り立つ。
【0031】
【数6】
Figure 0003595220
【0032】
ここで固有値解析手段19は、最小固有値λmin(=λk+1=λk+2=…=λM0)よりも大きい固有値の数を、目標散乱点の数Kと推定する。次に、評価関数算出手段20は、固有値解析手段19により求めた最小固有値λ(m=k+1、…、M)に対応する固有ベクトルe=[e+1、…、eM0]と下記の式(7)で与えられるモードベクトルa(バー)(r)とから、式(8)で定義される評価関数P(r)を算出する。ここで、rはレンジ、Fはパルスの搬送波周波数の中心値をfとして、式(9)で与えられる初期値、ΔFは目標の画像のレンジ方向のセル数をMとして、式(10)で与えられるステップ値、Hは複素共役転置、Tはベクトルの転置をそれぞれ表わす。
【0033】
【数7】
Figure 0003595220
【0034】
次いでレンジ推定手段21は、図6に示すように評価関数25の振幅値のピークを、原点より検索し、ピークを与えるレンジ値rを求める。
【0035】
反射強度推定手段22は、下記の式(11)で定義されるモードベクトルa(r)、式(12)で定義される行列Aを、 それぞれレンジ推定手段21より入力した目標散乱点のレンジrを代入して計算する。
【0036】
【数8】
Figure 0003595220
【0037】
更に反射強度推定手段22は、行列A、相関行列R、最小固有値λmin、M×Mの単位行列Iから、下記の式(13)により行列Sを算出する。
【0038】
【数9】
Figure 0003595220
【0039】
反射強度推定手段22は、算出した行列Sの対角項から、目標散乱点の反射強度を推定する。このようにして超解像処理手段14aは、レンジ推定手段21により推定した目標散乱点のレンジと、反射強度推定手段22により算出した目標散乱点の反射強度をもとに目標散乱点を検出する。このような方法で目標散乱点を検出した場合、式(2)で規定される分解能以上の解像度で、目標の散乱点を検出できる。これは例えば、公知文献「Multiple Emitter Location and Signal Parameter Estimation」、R.O.Schmidt著、IEEE Trans、AP−34、3、pp.276−280、(1986年)から明らかである。
【0040】
以上説明したように、本発明による合成開口レーダ装置では、パルスの搬送周波数変化量Δfによって決まる分解能以上の解像度で、目標散乱点を検出することができる。
【0041】
実施の形態2.
図7はこの発明の別の実施の形態による合成開口レーダ装置の構成図である。図において、図2と同一もしくは相当部分は同一符号を付し、その詳細説明を省略する。この実施の形態の超解像処理手段14bでは、図2の超解像処理手段14aにスペクトラム推定手段26、ピーク検索手段27、振幅推定手段28、判定手段29を追加したものである。
【0042】
次に動作について説明する。スペクトラム推定手段26は線形予測手段15により得られた自己回帰係数を用いて、下記の式(14)に基づいてスペクトラムP’(r)を計算する。
【0043】
【数10】
Figure 0003595220
【0044】
ピーク検索手段27は固有値解析手段19の固有値解析を式(6)に基づいて行い、スペクトラムの振幅値のピーク数を特定して、このピークを与えるレンジ値を検索して目標散乱点のレンジを推定する。振幅推定手段28はピーク検索手段27から入力したレンジと固有値解析手段19から入力した最小固有値を用いて目標散乱点の反射強度を推定する。
【0045】
判定手段29はレンジ推定手段21により推定した目標散乱点のレンジと反射強度推定手段22により推定した目標散乱点の反射強度を、ピーク検索手段27が推定した目標散乱点のレンジと振幅推定手段28が推定した目標散乱点の反射強度とをそれぞれ比較して、目標散乱点のレンジと反射強度の推定値を決定する。これにより、目標散乱点の検出精度を向上させることができる。
【0046】
【発明の効果】
以上のように請求項1に係わる発明によれば、受信信号から得られた周波数データを、線形予測法により外挿した周波数拡張データを生成する帯域幅拡張手段と、この周波数拡張データに対して超解像処理を行い、目標散乱点のレンジと反射強度を算出する超解像処理手段を備え、パルスの搬送周波数変化量によって決まる分解能、即ち式(2)で規定される分解能以上の解像度で目標散乱点を検出できるという効果がある。
【0047】
また、請求項2に係わる発明によれば、帯域幅拡張手段が、周波数データを用いて自己回帰係数の算出を行う線形予測手段と、周波数データと自己回帰係数を用いて、周波数データを外挿した周波数拡張データを生成する周波数拡張手段とを有し、また超解像処理手段が、周波数拡張データの共分散行列を計算する共分散行列算出手段と、周波数拡張データの共分散行列の一部から小行列を構成し、これらの小行列の移動平均から平均共分散行列を算出する移動平均算出手段と、平均共分散行列の固有値解析を行い最小固有値を求める固有値解析手段と、最小固有値から算出した固有ベクトルを用いて評価関数を計算する評価関数算出手段と、評価関数の振幅値のピークを検索して、このピークを与えるレンジ値より目標散乱点のレンジを推定するレンジ推定手段と、レンジの推定値と最小固有値を用いて、目標散乱点の反射強度を推定する反射強度推定手段とを有し、パルスの搬送周波数変化量によって決まる分解能、即ち式(2)で規定される分解能以上の解像度で目標散乱点の検出を高い精度で行うことができるという効果がある。
【0048】
また、請求項3に係わる発明によれば、超解像処理手段に、線形予測手段により得られた自己回帰係数を用いてスペクトラムを計算するスペクトラム推定手段と、固有値解析手段の固有値解析に基づいてスペクトラムの振幅値のピーク数を特定して、このピークを与えるレンジ値を検索して目標散乱点のレンジを推定するピーク検索手段と、ピーク検索手段から入力したレンジと固有値解析手段から入力した最小固有値を用いて目標散乱点の反射強度を推定する振幅推定手段と、レンジ推定手段により推定した目標散乱点のレンジと反射強度推定手段により推定した目標散乱点の反射強度を、ピーク検索手段により推定した目標散乱点のレンジと振幅推定手段により推定した目標散乱点の反射強度と比較して、目標散乱点のレンジと反射強度の推定値を決定する判定手段とを追加するように構成したので、請求項2の発明の効果に加えて目標散乱点の検出精度を改善することができるという効果がある。
【0049】
また、請求項4に係わる発明によれば、目標の画像のクロスレンジ方向の各成分について、レンジ方向に高速フーリエ変換処理を行う第1のステップと、周波数データを用いて自己回帰係数の算出を行う第2のステップと、周波数データと自己回帰係数を用いて、周波数データを外挿した周波数拡張データを生成する第3のステップと、周波数拡張データの共分散行列を計算する第4のステップと、周波数拡張データの共分散行列の一部から小行列を構成し、これらの小行列の移動平均から平均共分散行列を算出する第5のステップと、平均共分散行列の固有値解析を行い最小固有値を求める第6のステップと、最小固有値から算出した固有ベクトルを用いて評価関数を計算する第7のステップと、評価関数の振幅値のピークを検索して、このピークを与えるレンジ値より目標散乱点のレンジを推定する第8のステップと、レンジの推定値と最小固有値を用いて、目標散乱点の反射強度を推定する第9のステップとを含むので、パルスの搬送周波数変化量によって決まる分解能、即ち式(2)で規定される分解能以上の解像度で目標散乱点を検出できるという効果がある。
【0050】
また、請求項5に係わる発明によれば、第2のステップにより得られた自己回帰係数を用いてスペクトラムを計算する第10のステップと、第6のステップの固有値解析に基づいてスペクトラムの振幅値のピーク数を特定して、このピークを与えるレンジ値を検索して目標散乱点のレンジを推定する第11のステップと、第11のステップから入力したレンジと第6のステップから入力した最小固有値を用いて目標散乱点の反射強度を推定する第12のステップと、第8のステップにより推定した目標散乱点のレンジと第9のステップにより推定した目標散乱点の反射強度を、第11のステップにより推定した目標散乱点のレンジと第12のステップにより推定した目標散乱点の反射強度と比較して、目標散乱点のレンジと反射強度の推定値を決定する第13のステップを追加したので、請求項4の発明の効果に加えて、目標散乱点の検出精度を改善することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態による合成開口レーダ装置の構成図である。
【図2】図1の合成開口レーダ装置の帯域幅拡張手段と超解像処理手段の詳細を示す構成図である。
【図3】この発明による目標の画像と周波数変換手段がy軸方向に構成するデータ列の説明図である。
【図4】この発明による帯域幅拡張手段により生成される周波数拡張データの説明図である。
【図5】この発明における共分散行列と小行列の関係を示す説明図である。
【図6】この発明における評価関数のピーク検索の説明図である。
【図7】この発明の別の実施の形態による帯域幅拡張手段と超解像処理手段の詳細を示す構成図である。
【図8】従来の合成開口レーダ装置の構成図である。
【図9】従来の合成開口レーダ装置のレンジ圧縮とクロスレンジ圧縮の説明図である。
【図10】従来の合成開口レーダ装置のクロスレンジ圧縮手段が構成する受信信号の2次元配置を示す説明図である。
【符号の説明】
1 送信機、2 局部発振器、3 パルス変調器、4 制御回路、5 送受切換器、6 アンテナ、7 受信機、8 レンジ圧縮手段、9 メモリ、10 クロスレンジ圧縮手段、11a 信号処理器、12 周波数変換手段、13 帯域幅拡張手段、14a,14b 超解像処理手段、15 線形予測手段、16 周波数拡張手段、17 共分散行列算出手段、18 移動平均算出手段、19 固有値解析手段、20 評価関数算出手段、21 レンジ推定手段、22 反射強度推定手段、23 共分散行列、24 小行列、25 評価関数、26 スペクトラム推定手段、27 ピーク検索手段、28 振幅推定手段、29 判定手段。

Claims (5)

  1. 観測対象となる目標に対して搬送波周波数が時間とともに変化するパルスを送信し、上記目標から反射されたパルスを受信し、この受信パルスをビデオ信号に周波数変換した後、ディジタル変換した受信信号から上記目標のパルスの送信方向に対応したレンジ成分と上記レンジに直行するクロスレンジ成分からなる画像を再生する合成開口レーダ装置において、
    上記画像のクロスレンジ方向の各成分について、レンジ方向に高速フーリエ変換処理を行う周波数変換手段と、
    この周波数変換手段により得られた周波数データを線形予測法を用いて外挿した周波数拡張データを生成する帯域幅拡張手段と、
    上記周波数拡張データに対して超解像処理を行い、目標散乱点のレンジと反射強度を算出する超解像処理手段と、
    を備えたことを特徴とする合成開口レーダ装置。
  2. 上記帯域幅拡張手段が、周波数データを用いて自己回帰係数の算出を行う線形予測手段と、周波数データと自己回帰係数を用いて、上記周波数データを外挿した周波数拡張データを生成する周波数拡張手段とを有し、
    上記超解像処理手段が、周波数拡張データの共分散行列を計算する共分散行列算出手段と、周波数拡張データの共分散行列の一部から小行列を構成し、これらの小行列の移動平均から平均共分散行列を算出する移動平均算出手段と、上記平均共分散行列の固有値解析を行い最小固有値を求める固有値解析手段と、上記最小固有値から算出した固有ベクトルを用いて評価関数を計算する評価関数算出手段と、上記評価関数の振幅値のピークを検索して、このピークを与えるレンジ値より目標散乱点のレンジを推定するレンジ推定手段と、上記レンジの推定値と最小固有値を用いて、目標散乱点の反射強度を推定する反射強度推定手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の合成開口レーダ装置。
  3. 上記超解像処理手段に、線形予測手段により得られた自己回帰係数を用いてスペクトラムを計算するスペクトラム推定手段と、固有値解析手段の固有値解析に基づいてスペクトラムの振幅値のピーク数を特定して、このピークを与えるレンジ値を検索して目標散乱点のレンジを推定するピーク検索手段と、ピーク検索手段から入力したレンジと固有値解析手段から入力した最小固有値を用いて目標散乱点の反射強度を推定する振幅推定手段と、上記レンジ推定手段により推定した目標散乱点のレンジと反射強度推定手段により推定した目標散乱点の反射強度を、上記ピーク検索手段により推定した目標散乱点のレンジと振幅推定手段により推定した目標散乱点の反射強度とをそれぞれ比較して、目標散乱点のレンジと反射強度の推定値を決定する判定手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の合成開口レーダ装置。
  4. 観測対象となる目標に対して搬送波周波数が時間とともに変化するパルスを送信し、上記目標から反射されたパルスを受信し、この受信パルスをビデオ信号に周波数変換した後、ディジタル変換した受信信号から上記目標のパルスの送信方向に対応したレンジ成分と上記レンジに直行するクロスレンジ成分からなる画像を再生する目標散乱点検出方法において、
    上記画像のクロスレンジ方向の各成分について、レンジ方向に高速フーリエ変換処理を行う第1のステップと、
    周波数データを用いて自己回帰係数の算出を行う第2のステップと、
    周波数データと自己回帰係数を用いて、上記周波数データを外挿した周波数拡張データを生成する第3のステップと、
    周波数拡張データの共分散行列を計算する第4のステップと、
    周波数拡張データの共分散行列の一部から小行列を構成し、これらの小行列の移動平均から平均共分散行列を算出する第5のステップと、
    上記平均共分散行列の固有値解析を行い最小固有値を求める第6のステップと、
    上記最小固有値から算出した固有ベクトルを用いて評価関数を計算する第7のステップと、
    上記評価関数の振幅値のピークを検索して、このピークを与えるレンジ値より目標散乱点のレンジを推定する第8のステップと、
    上記レンジの推定値と最小固有値を用いて、目標散乱点の反射強度を推定する第9のステップと、
    を含むことを特徴とする目標散乱点検出方法。
  5. 上記第2のステップにより得られた自己回帰係数を用いてスペクトラムを計算する第10のステップと、
    上記第6のステップの固有値解析に基づいてスペクトラムの振幅値のピーク数を特定して、このピークを与えるレンジ値を検索して目標散乱点のレンジを推定する第11のステップと、
    この第11のステップから入力したレンジと上記第6のステップから入力した最小固有値を用いて目標散乱点の反射強度を推定する第12のステップと、
    上記第8のステップにより推定した目標散乱点のレンジと上記第9のステップにより推定した目標散乱点の反射強度を、上記第11のステップにより推定した目標散乱点のレンジと上記第12のステップにより推定した目標散乱点の反射強度と比較して、目標散乱点のレンジと反射強度の推定値を決定する第13のステップと、
    を追加したことを特徴とする請求項4に記載の目標散乱点検出方法。
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