JP3591736B2 - 摩擦材 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車又は産業機械等のブレ−キパッド、ブレ−キライニング,クラッチフェ−シング等として使用されている摩擦材であって、ブレ−キ制動時の鳴きの原因となるブレ−キ振動を緩和した摩擦材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車のブレ−キパッド、ブレ−キライニング、クラッチフェ−シング等に使用される摩擦材は、その基材として石綿が多く使用されていたが、石綿はその粉塵が人体への有害性を指摘された結果、その使用を規制されつつあり、石綿を使用しない摩擦材に対する要求が強くなっている。
そこで石綿を使用しない非石綿系摩擦材が多く提案されているが、それらのほとんどは繊維成分として耐熱性有機繊維、無機繊維、金属繊維等を用い、結合材としてフェノ−ル樹脂等の熱硬化性樹脂を、充填材として黒鉛、硫酸バリウム、アルミナ等を用いたものである。このような石綿を使用しない摩擦材においては、一般に複数の繊維を組合せて使用することにより、適度な摩擦係数及び強度を保持するように設計されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、補強繊維として上記耐熱性有機繊維、無機繊維、金属繊維等を使用した摩擦材は石綿を使用した摩擦材に比べて優れた耐熱性、耐摩耗性を示すものが多いが、反面、石綿を使用したときよりも補強効果を得にくく、充分な強度を得るには結合材としてのフェノ−ル樹脂等の熱硬化性樹脂を多量に用いる必要がある。しかし、熱硬化性樹脂の使用量が多くなると摩擦材の硬度が高くなる傾向があり、ブレ−キ制動時の振動吸収性が悪く、鳴きと呼ばれる不快な音が発生しやすくなる。
【0004】
一般にこれまでのブレ−キパッド等に使用される摩擦材は鳴きの発生要因となる各種振動を抑制し、また、発生した振動を減衰させるためブレ−キシステムの改善や摩擦材構成の改良が行なわれ、摩擦材構成の簡便な改良方法としては構成を粗にすべく気孔率を大きくしたり低硬度の摩擦材料を多く使用することにより対応されてきた。
しかし、上記のような摩擦材構成の改良方法等鳴きの発生を抑制する対応の多くは、摩擦材の強度、耐摩耗性が悪化する傾向がある。そこで本発明が解決しようとする課題は極めて簡単な方法で、しかも他の性能をほとんど損なうことなく鳴きの原因となるブレ−キ振動を緩和した摩擦材を提供することである。
【0005】
【問題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決することを目的としてなされたもので、その構成は繊維成分と熱硬化性樹脂成分と充填材成分とを含有する摩擦材において、ふるい目開き106μmオン1mmパスの粒子状のアクリルゴムが摩擦材全体の5〜20体積%含まれ、かつ摩擦材の平均気孔率が5%以下であることを特徴とするものである。
【0006】
従来の摩擦材は平均気孔率が10〜20%のものが多く、10%以下では摩擦材の強度、耐摩耗性は良好になるが鳴き発生の可能性が大きく、また、20%以上では逆に鳴き発生の恐れは少ないが摩擦材の強度、耐摩耗性は悪化する。また、合成ゴム等弾性があり摩擦材の鳴きに対して良好な充填材の使用は、摩擦材の強度、耐摩耗性を悪化させる傾向があり、摩擦材全体の3体積%以下が妥当な範囲であった。
しかし、一定以上の合成ゴムを充填材として用いた場合は状況が異なり、成型工程において摩擦材の気孔率が小さくなるように加圧を調整すると、鳴き発生及び摩擦材の強度、耐摩耗性が同時に良好になる。
【0007】
即ち、本発明の発明者らは、5体積%以上の合成ゴムを充填材として用いた場合、摩擦材の気孔率を小さくする方がゴムの特性である弾性、圧縮特性及びそれに起因する制振作用がより反映され、鳴き等の不快な音の発生を抑制できることを知得し本発明を成し遂げたのである。また、本発明は合成ゴムを多量に使用するが、気孔率が従来の摩擦材に比べて小さいため摩擦材の強度、耐摩耗性は低下しないのである。
合成ゴムを5体積%以上用い、摩擦材の平均気孔率を5%以上に調整した場合は、鳴き発生が本発明摩擦材より増加し摩擦材の強度が低下する恐れがあり、合成ゴムを5体積%以下用い、摩擦材の平均気孔率を5%以下に調整した場合は、摩擦材の強度は良好であるが鳴き発生が多くなる恐れがある。また、合成ゴムの含有量は摩擦材全体の5〜20体積%が望ましい。
【0008】
本発明に使用できる合成ゴムにはアクリルゴム,シリコ−ンゴム,ニトリルゴム,フッ素ゴム等が挙げられるがアクリルゴムを用いた場合が特に効果がある。
また、合成ゴムは、ふるい目開き45μmオン,3.35mmパス程度の粒子状のものを用いることができるが、ふるい目開き106μmオン,1mmパスの大きさのものが望ましく、この範囲より小さなものは効果が少なく、大きなものは摩擦材料の混合工程において均一性が悪化する恐れがある。
【0009】
而して本発明において繊維成分として使用されるものにはアラミド繊維等の有機繊維、ガラス繊維,ロックウ−ル,セラミックス繊維等の無機繊維、銅,青銅,アルミニウム,黄銅等の金属繊維が挙げられ、結合材としてはフェノ−ル樹脂,尿素樹脂,メラミン樹脂,またはそれらの変性樹脂のような熱硬化性樹脂が挙げられ、充填材としては上記合成ゴムの他、黒鉛,金属粉,カシュ−ダストのような潤滑性のあるものや硫酸バリウム,炭酸カルシウム等が挙げられる。
摩擦材組成物の予備成型、熱処理の条件については特に制限はなく従来の方法で行なうことができるが、加熱加圧成型は摩擦材の気孔率が5%以下になるように条件を設定する必要がある。
【0010】
【発明の作用】
本発明摩擦材は充填材成分に5体積%以上の合成ゴムを含むので、ブレ−キ制動時の振動減衰性能が優れており、また摩擦材表面の硬度が低下することより、制動時の面圧分布が均一になり、対面であるロ−タとの当たりに偏りがなく振動自体の発生が起こりにくい。また、摩擦材の強度、耐摩耗性には不利な合成ゴムを使用しているが、従来10〜20%程度の摩擦材の平均気孔率を5%以下に調整してあるので、これらの性能に悪影響を及ぼさない。
【0011】
【実施例】
次に本発明の実施例について説明する。
実施例A〜C
繊維成分としてアラミド繊維、ロックウ−ル、銅繊維を、結合材としてフェノ−ル樹脂を用い、充填材として合成ゴムの他、黒鉛、硫酸バリウム、ジルコニウム、カシュ−ダストを用いて撹拌機によりこれらを均一に混合し実施例用の摩擦材料混合品を得た。
続いて摩擦材料混合品を室温、圧力400kg/cm2 で予備成型した後、温度160℃、圧力400kg/cm2 で8分間加熱加圧成型し、次いで温度180℃で5時間熱処理して表1に示す組成の実施例A〜Cのブレ−キライニングを作製した。尚、表1の組成の数値は体積%を示す。
【0012】
比較例a
実施例Bにおいて、予備成型及び加熱加圧成型の圧力を250kg/cm2 に変えて摩擦材の平均気孔率が6.5であるブレ−キライニングを作製した。
比較例b
合成ゴムを含まず、予備成型及び加熱加圧成型の圧力を600kg/cm2 に変えて摩擦材の平均気孔率が4.5であるブレ−キライニングを作製した。
比較例c
合成ゴムを含まない他は、実施例と同様な方法でブレ−キライニングを作製した。摩擦材の平均気孔率は9.0である。
比較例aは合成ゴムを5体積%以上含んでいるが気孔率が5%以下ではない摩擦材、比較例bは気孔率が5%以下であるが合成ゴムを含まない摩擦材、比較例cは合成ゴムを含まず、気孔率が5%以下ではない摩擦材である。
【0013】
上記の方法により作製した実施例A〜C及び比較例a〜cのブレ−キライニングについて、摩擦材表面硬度、振動減衰性、強度の物性測定及び実車鳴き試験、実車異音試験を行なった結果を表2に示す。
摩擦材表面硬度は対面との摩擦面における平均の硬度であり、測定値が高い程硬い材質であることを示す。振動減衰性は測定値が高い程振動が速く吸収されることを示す。強度はJASO(C437−84)に基づいて、各々のブレ−キライニングからテストピ−スを作成し剪断強度を測定したものである。
【0014】
実車鳴き試験、実車異音試験はブレ−キライニングを実車に取付け、表3に示す通り、所定のすり合わせを行なった後実施した。鳴き試験は初速30km/h,50km/h,減速度0.05〜0.2G、制動開始時温度50〜200℃の各組合せを各々2回ずつ行ない評価した。また異音試験は初速を一定(40km/h)の条件にして減速度0.2〜0.6G、制動開始時温度50〜200℃の各組合せを各々2回ずつ行ない評価した。テストコ−ドNo.4のフェ−ド&リカバリ−は試験には直接関係ないが、No.5,No.6において熱履歴後の試験を行なうためのものである。
尚、表2において、◎は非常に良好、○は良好、△はやや不良、×は不良を表わす。
【0015】
【発明の作用】
以上のように本発明摩擦材は、アラミド繊維等の有機繊維、ロックウ−ル等の無機繊維、銅繊維等の金属繊維、フェノ−ル樹脂等の結合材及び黒鉛、硫酸バリウム等の充填材から成るもので、充填材成分の一部に5体積%以上の合成ゴムを含ませ、かつ摩擦材の平均気孔率を5%以下にした結果、鳴きや不快音の原因となるブレ−キ振動を緩和することができるので、自動車又は産業機械等のブレ−キパッド、ブレーキライニング,クラッチフェ−シング等に使用する摩擦材として好適である。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
Claims (1)
- 繊維成分と熱硬化性樹脂成分と充填材成分とを含有する摩擦材において、ふるい目開き106μmオン1mmパスの粒子状のアクリルゴムが摩擦材全体の5〜20体積%含まれ、かつ摩擦材の平均気孔率が5%以下であることを特徴とする摩擦材。
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JP19386394A JP3591736B2 (ja) | 1994-07-27 | 1994-07-27 | 摩擦材 |
Publications (2)
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JPH0842615A JPH0842615A (ja) | 1996-02-16 |
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ID=16315011
Family Applications (1)
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JP19386394A Expired - Lifetime JP3591736B2 (ja) | 1994-07-27 | 1994-07-27 | 摩擦材 |
Country Status (1)
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-
1994
- 1994-07-27 JP JP19386394A patent/JP3591736B2/ja not_active Expired - Lifetime
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