JP3591630B2 - レーザ−アーク複合溶接方法および溶接装置 - Google Patents
レーザ−アーク複合溶接方法および溶接装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼やアルミニウム合金などの溶接技術に係わり、さらに詳しくは、レーザとアークとを併用することにより、例えば突合わせ溶接や重ね溶接、隅肉溶接などを高能率に行うことができるレーザ−アーク複合溶接方法と、このようなレーザ−アーク複合溶接を行うための溶接装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アークとレーザとを併用して溶接する工法としては、従来、例えば特開平6−238474号工法に記載されたものが知られている。この公報によれば、予熱用のTIG溶接用トーチをレーザトーチの前方に配置し、TIGアークで予熱した部位にレーザを照射することにより、低出力のレーザ発振器でも厚い材料の加工が可能になると記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者による実験によれば、レーザ照射位置の前方にアーク電極を配した場合には、溶接速度が比較的低速のときには、さほど問題はないものの、溶接速度を高くするとアークが不安定となって、溶接ビードに乱れが生じる傾向があり、高速での溶接性に問題点があることが確認され、このような問題点を解消することが従来のレーザ−アーク複合溶接方法における課題となっていた。
【0004】
【発明の目的】
本発明は、従来のレーザ−アーク複合溶接方法における上記課題に着目してなされたものであって、高速溶接においてもアークが不安定となることがなく、良好な形状の溶接ビードが得られ、溶接作業能率の大幅な向上が可能なレーザ−アーク複合溶接方法、さらにはこのようなレーザ−アーク複合溶接を行うための溶接装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係わるレーザ−アーク複合溶接方法は、アーク電極に対する溶接進行方向の前方と後方とにレーザビームを照射する溶接方法であって、アーク電極前方に配される先導ビームの焦点がアーク電極の軸中心線が被溶接材表面に交わる電極中心点に対して溶接進行方向前方側5mm未満の範囲内に位置し、アーク電極後方に配される後続ビームの焦点が前記電極中心点に対して溶接進行方向後方側3〜10mmの範囲内に位置するように先導ビームおよび後続ビームを照射する構成としたことを特徴としており、レーザ−アーク複合溶接方法におけるこのような構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0006】
本発明の請求項2に係わるレーザ−アーク複合溶接方法においては、アーク電極がTIG電極である構成とし、請求項3に係わるレーザ−アーク複合溶接方法においては、アーク電極がMIG電極である構成としている。
【0007】
また、本発明の請求項4に係わるレーザ−アーク複合溶接方法においては、ビーム焦点の高さが被溶接材表面から表面下1.0mmまでの範囲内となるように後続ビームを照射する構成とし、請求項5に係わるレーザ−アーク複合溶接方法においては、被溶接材がアルミニウム合金材である構成とし、さらに本発明の請求項6に係わるレーザ−アーク複合溶接方法においては、先導ビームのパワー密度が17kW/mm2 以上、後続ビームのパワー密度が21.2kW/mm2 以上である構成としたことをそれぞれ特徴としている。
【0008】
本発明の請求項7に係わるレーザ−アーク複合溶接装置は、アーク電極を保持するアークトーチと、アーク電極の軸中心線が被溶接材表面に交わる電極中心点に対して溶接進行方向前方側5mm未満の範囲内に焦点が位置するように先導ビームを照射する第1のレーザヘッドと、前記電極中心点に対して溶接進行方向後方側3〜10mmの範囲内に焦点が位置するように後続ビームを照射する第2のレーザヘッドと、上記アークトーチのアーク電極と同軸にアルゴン,ヘリウムなどの不活性ガスを供給するガスノズルを備えている構成とし、本発明の請求項8に係わるレーザ−アーク複合溶接装置は、アーク電極を保持するアークトーチと、2本の光ファイバを介して伝送されたYAGレーザを2つのビームスポットにそれぞれ集光する光学系を有し、一方のビームをその焦点がアーク電極の軸中心線が被溶接材表面に交わる電極中心点に対して溶接進行方向前方側5mm未満の範囲内に位置するように照射し、他方のビームをその焦点が前記電極中心点に対して溶接進行方向後方側3〜10mmの範囲内に位置するように照射するレーザヘッドと、上記アークトーチのアーク電極と同軸にアルゴン,ヘリウムなどの不活性ガスを供給するガスノズルを備えている構成とし、さらに本発明の請求項9に係わるレーザ−アーク複合溶接装置は、アーク電極を保持するアークトーチと、1本の光ファイバを介して伝送されたYAGレーザをビームスプリッタによって2つのビームスポットに集光する光学系を有し、一方のビームをその焦点がアーク電極の軸中心線が被溶接材表面に交わる電極中心点に対して溶接進行方向前方側5mm未満の範囲内に位置するように照射し、他方のビームをその焦点が前記電極中心点に対して溶接進行方向後方側3〜10mmの範囲内に位置するように照射するレーザヘッドと、上記アークトーチのアーク電極と同軸にアルゴン,ヘリウムなどの不活性ガスを供給するガスノズルを備えている構成とし、レーザ−アーク複合溶接装置におけるこのような構成を前述した従来の課題を解決するための手段としたことを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に係わるレーザ−アーク複合溶接方法は、溶接進行方向に対して、アーク電極の前方と後方とにレーザビームを照射するようにしたものであり、当該溶接方法においては、アーク電極の前方に位置する先導ビームの照射により誘起されるプラズマによってアーク電極から発生するアークが安定すると共に、先導ビームとアークによって形成された溶融池に後続のレーザビームが効率良く吸収されることから、高速溶接時にも深い溶け込みの溶接ビードが安定して得られることになる。
【0010】
このとき、アーク電極としては、請求項2および請求項3に記載しているように、TIG電極およびMIG電極のいずれをも使用することができる。すなわち非消耗式のタングステン電極と被溶接材との間にアークを発生させるようにしても、連続的に供給されるフィラーワイヤの先端と被溶接材との間にアークを発生させるようにしても実質的に同様の効果が得られる。
【0011】
なお、先導ビームおよび後続ビームの照射位置については、先導ビームを電極中心点(アーク電極の軸中心線が被溶接材表面に交わる点)に対して溶接進行方向前方側5mm未満の範囲内に先導ビームの焦点が位置するように照射し、後続ビームを前記電極中心点に対して溶接進行方向後方側3〜10mmの範囲内に後続ビームの焦点が位置するように照射することによって高速溶接時においてもアークがより安定すると共に、より深い溶け込みが得られることになる。このとき、後続ビームについては、さらに深い溶け込みが得られることから、請求項4に記載しているように、その焦点高さ位置が被溶接材の表面下1.0mmまでの範囲となるように照射することが望ましい。
【0012】
本発明に係わるレーザ−アーク複合溶接方法は、金属材料全般の溶接に適用することができるが、アーク熱を併用していると共に、レーザビームを先導ビームと後続ビームとに分割することにより溶接部に供給されるエネルギー密度の合計を高くすることができるので、請求項5に記載しているように、特にレーザの反射率が高いアルミニウム合金に適用した場合にその効果が大きい。
【0013】
そして、本発明に係わるレーザ−アーク複合溶接方法をこのようなアルミニウム合金に適用した場合、高速溶接において十分な溶け込み深さを得るためには、請求項6に記載しているように、先導ビームのパワー密度を17kW/mm2 以上、後続ビームのパワー密度を21.2kW/mm2 以上とすることが望ましい。すなわち、先導レーザのパワー密度が17kW/mm2 未満の場合にはレーザ照射によるプラズマが十分に形成されず、高速溶接時のアーク安定化の効果が得られなくなる傾向があり、後追レーザのパワー密度が21.2kW/mm2 に満たない場合には、最も使用頻度の高い板厚1.0〜3.0mmのアルミニウム合金の重ね溶接において、高速で十分な溶け込み深さが得られなくなることがあることによる。
【0014】
このようなレーザ−アーク複合溶接を行うための装置としては、請求項7に記載しているように、先導ビームを所定の位置、すなわちその焦点が電極中心点に対して溶接進行方向前方側5mm未満の範囲内に位置するように照射するためのレーザヘッドと、後続ビームを所定の位置、すなわちその焦点が電極中心点に対して溶接進行方向後方側3〜10mmの範囲内に位置するように照射するためのレーザヘッドとをそれぞれアークトーチの前後に設けたものや、請求項8に記載しているように、2本の光ファイバから伝送されたレーザビームをレーザヘッド部で平行に束ね、2つのビームスポットに集光させ、一方のビームをアーク電極の上記前方位置へ、他方のビームをアーク電極の上記後方位置へそれぞれ照射するようにしたもの、さらには請求項9に記載しているように、1本の光ファイバから伝送されたレーザビームをレーザヘッド部でビームスプリッタによって2つのビームスポットに集光させ、一方のビームをアーク電極の上記前方位置へ、他方のビームをアーク電極の上記後方位置へそれぞれ照射するようにしたものを用いることができる。
【0015】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係わるレーザ−アーク複合溶接方法は、上記構成、すなわち溶接進行方向に対して、アーク電極の前方と後方、すなわち先導ビームの焦点が電極中心点に対して溶接進行方向前方側5mm未満の範囲内に位置し、後続ビームの焦点が同じく電極中心点に対して溶接進行方向後方側3〜10mmの範囲内に位置するように、レーザビームをそれぞれ照射するようにしたものであるから、アーク電極に先行する先導ビームの照射によって発生するプラズマがアークを安定化すると共に、後続するレーザビームが先導ビームとアークによって形成された溶融池に効率良く吸収されるので、高速溶接時においても深い溶け込みの溶接ビードが極めて安定して得られるようになるという極めて優れた効果をもたらすものである。
【0016】
本発明の請求項2および請求項3に係わるレーザ−アーク複合溶接方法においては、アーク電極としてTIG電極あるいはMIG電極を用いるようにしているので、安定なアークを得ることができ、欠陥のない良好な溶接部を得ることができ、請求項4に係わるレーザ−アーク複合溶接方法においては、後続ビームをその焦点高さが被溶接材表面から表面下1.0mmまでの範囲内となるように照射するようにしているので、さらに深い溶け込みを得ることができる。
【0017】
また、本発明の請求項5に係わるレーザ−アーク複合溶接方法においては、当該溶接方法をアルミニウム合金材に適用するようにしているので、レーザビームの反射率が高いアルミニウム合金材の溶接にも、通常のレーザ溶接法に較べてより広く対応することができ、本発明の請求項6に係わるレーザ−アーク複合溶接方法においては、このようなアルミニウム合金材の溶接に際して、先導ビームのパワー密度を17kW/mm2 以上、後続ビームのパワー密度を21.2kW/mm2 以上として溶接するようにしているので、最も使用頻度の高い板厚のアルミニウム合金の高速重ね溶接においても、プラズマによるアークの安定化作用を十分なものとして溶け込みの深い健全な溶接部を確実に得ることができるという優れた効果がもたらされる。
【0018】
一方、本発明の請求項7に係わるレーザ−アーク複合溶接装置は、アーク電極を有するアークトーチと、不活性ガスを供給するガスノズルと、第1のレーザヘッドと、第2のレーザヘッドを備え、第1および第2のレーザヘッドによって先導ビームおよび後続ビームをアークトーチの前方および後方側の所定位置にそれぞれ照射するようにしたものであり、本発明の請求項8に係わるレーザ−アーク複合溶接装置は、同じくアークトーチと、ガスノズルと、レーザヘッドを備え、レーザヘッドが2本の光ファイバを介して伝送されたYAGレーザを2つのビームスポットに集光する光学系を有し、集光された両ビームをアーク電極の前方および後方側の所定位置にそれぞれ照射するようにしたものであり、本発明の請求項9に係わるレーザ−アーク複合溶接装置は、同じくアークトーチと、ガスノズルと、レーザヘッドを備え、レーザヘッドが1本の光ファイバを介して伝送されたYAGレーザをビームスプリッタによって2つのビームスポットに集光する光学系を有し、集光された両ビームをアーク電極の前方および後方側の所定位置にそれぞれ照射するようにしたものであるから、いずれも本発明に係わるレーザ−アーク複合溶接方法を実施するのに好適な構造を備え、当該装置を使用することにより、本発明に係わるレーザ−アーク複合溶接方法を容易に実施することができる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。
【0020】
図1は、本発明に係わるレーザ−アーク複合溶接を行うための装置の一実施例を示すものであって、図に示すレーザ−アーク複合溶接装置1は、アークトーチとしてのMIGトーチ2と、図中に矢印で示す溶接進行方向に対して、MIGトーチ2の前方側に位置する第1のレーザヘッド3aと、MIGトーチ2の後方側に位置する第2のレーザヘッド3bを備えている。
【0021】
MIGトーチ2は、コンジットケーブル4を介して図示しないMIG溶接装置に連結されており、消耗電極(アーク電極)となるフィラーワイヤ5が送給されると共に、MIGトーチ2はフィラーワイヤ5の周囲に開口するガスノズル2aを備え、アルゴンなどの不活性ガスからなるシールドガスをフィラーワイヤWと同軸に供給するようになっている。一方、第1および第2のレーザヘッド3aおよび3bは、光ファイバー6aおよび6bを介して図示しないYAGレーザ発振器に接続され、前記フィラーワイヤ5が被溶接材Wに交わる点(以後、電極中心点と称する)の前後位置にレーザビームB1 (先導ビーム)およびB2 (後続ビーム)をそれぞれ照射するようになっている。
【0022】
このようなレーザ−アーク複合溶接装置1を用いて、MIGトーチ2によるアーク電圧を22V、電流を180Aとすると共に、先導レーザビームB1 の出力を1.2kW、後続レーザビームB2 の出力を2.8kWとし、図2(a)に拡大して示すように、フィラーワイヤ5が被溶接材Wに交わる電極中心点と先導ビームB1 の焦点との距離d1 を2mm、電極中心点と後続ビームB2 の焦点との距離d2 を5mmとして、板厚2mmのアルミニウム合金材W1 ,W2 を2枚重ねて、上方の合金材W1 の側から重ね溶接を行った。
【0023】
図3は、このようにして得た重ね溶接継手の引張り強さと溶接速度との関係を、図2(b)および(c)に示すように、先導ビームB1 のみの場合、および後続ビームB2 のみの場合と比較して示す図である。なお、先導ビームB1 、あるいは後続ビームB2 のみの場合には、上記した本発明方法の場合のトータルレーザ出力に合わせて、これらレーザビームの出力を4kWとした。
【0024】
この結果、図2(b)に示ように、後続ビームB2 を照射することなく先導ビームB1 のみを照射した場合には、溶接速度が4m/minを超えると、十分な溶け込みが得られなくなって引張り強さが低下し始めた。また、先導ビームB1 を照射することなく後続ビームB2 のみを照射した場合には、溶接速度が5m/minを超えるまで引張り強さが確保されるが、5m/minを超えると急激に低下する傾向が認められた。これに対し、アークの前後に先導ビームB1 および後続ビームB2 を照射するようにした本発明に係わる溶接方法の場合には、溶接速度7m/minまで強度低下なく溶接ができることが確認された。
【0025】
また、溶接ビードを観察すると、後続ビームB2 のみの場合には溶接速度が6m/minとなると、十分にアークが形成されず、極めて不安定なビード外観となっていた。一方、先導ビームB1 のみの場合には外観上は高速域まで問題のない溶接ビードが得られるものの、溶け込み深さが浅いために十分な溶接強度が得られない結果となった。これに対し、本発明に係わる溶接方法の場合には、先導ビームB1 によって安定なアークが得られ、先導ビームB1 とアークによって形成された溶融池に後続ビームB2 が照射されて効率良くエネルギーが吸収されたため、高速での溶接が可能になったものと考えられる。
【0026】
図4は、後続ビームB2 の焦点をフィラーワイヤ5の先端部、すなわち電極中心点から5mm後方の位置(d2 =5mm)に固定し、先導ビームB1 の位置を変えて、溶接速度7m/minで同様に溶接したときの溶け込み深さの変化を示すものであって、これによれば、先導ビームB1 の焦点位置が電極中心点から5mmを超えて離れると、溶け込み深さが浅くなる傾向が認められた。これは先導ビームB1 がアークから離れ過ぎると、プラズマによる高速溶接時のアークを安定させる効果が小さくなったことによると考えられる。
【0027】
また、図5は、先導ビームB1 の焦点位置を電極中心点から2mm前方(d1 =2mm)に固定し、後続ビームB2 の位置を変えて、溶接速度7m/minで同様に溶接したときの溶け込み深さの変化を示すものであって、この結果によれば、後続ビームB2 の焦点位置が電極中心点から3〜10mmの範囲にある場合に深い溶け込みが得られることが確認された。
【0028】
さらに、図6は、先導ビームB1 の焦点を電極中心点から2mm前方(d1 =2mm)に、後続ビームB2 の焦点を電極中心点から5mm後方(d2 =5mm)の位置にそれぞれ固定し、後続ビームB2 の焦点高さ位置を変えて、溶接速度7m/minで同様に溶接したときの溶け込み深さの変化を示すものであって、これによると、後続ビームB2 の焦点高さが被溶接材Wの表面から被溶接材Wの内部方向に1.0mmまでの範囲内の位置にある場合に深い溶け込みが得られることが判明した。
【0029】
加えて、先導ビームB1 の出力については、ビーム径0.3mmにおいて、出力が1.2kWよりも低い場合、すなわちパワー密度が17kW/mm2に満たない場合には、アークが不安定な傾向となる現象が観察された。これは、先導ビームB1 のパワー密度が低すぎると被溶接材Wの表面におけるビームの反射が大きくなるためと考えられる。後続ビームB2 の出力については、低くても溶接は可能であるが、例えば自動車などに一般的に使用される板厚0.6〜3.0mm程度の鋼板やアルミニウム合金を高速で溶接するには、パワー密度が21.2kW/mm2に満たない場合には、不十分な溶け込みによる強度不足が生じ易くなる傾向が認められた。
【0030】
図7は、本発明に係わるレーザ−アーク複合溶接を行うための装置の他の実施例を示すものであって、図に示すレーザ−アーク複合溶接装置11は、アークトーチとしてのMIGトーチ2と、レーザヘッド13から主に構成されており、当該レーザヘッド13は、その内部にコリメーションレンズ13aおよびフォーカシングレンズ13bからなる光学系を備えており、図外のYAGレーザ発振器から2本の光ファイバー6aおよび6bを介して伝送されたレーザを2つのビームスポットにそれぞれ集光し、先導ビームB1 および後続ビームB2 としてMIGトーチ2から供給されるフィラーワイヤ5の前方および後方側にそれぞれ照射するようになっている。
【0031】
図8は、本発明に係わるレーザ−アーク複合溶接を行うための装置のさらに他の実施例を示すものであって、図に示すレーザ−アーク複合溶接装置21は、上記実施例に係わるレーザ−アーク複合溶接装置11と同様に、アークトーチとしてのMIGトーチ2と、レーザヘッド23から主に構成され、当該レーザヘッド23は、その内部にコリメーションレンズ23a,フォーカシングレンズ23bおよびビームスプリッタ23cからなる光学系を備えており、光ファイバー6を介して図外のYAGレーザ発振器から伝送されたレーザビームをビームスプリッタ23cによって分割して2つのビームスポットに集光し、先導ビームB1 および後続ビームB2 としてMIGトーチ2から供給されるフィラーワイヤ5の前方および後方側にそれぞれ照射するようになっており、上記各実施例に係わるレーザ−アーク複合溶接装置1および11と同様の機能を有している。
【0032】
なお、上記実施例においては、いずれもアーク電極としてMIG電極を用いた例を示したが、TIG電極によっても基本的に同様の作用効果が得られることが確認されている。また、このとき、必要に応じてフィラーワイヤのような溶加材を溶融池に供給することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるレーザ−アーク複合溶接装置の一実施例を示す説明図である。
【図2】(a) 図1に示したレーザ−アーク複合溶接装置におけるアーク電極、先導ビームおよび後続ビームの配置を示す概略説明図である。
(b) 先導ビームのみを用いた比較例におけるアーク電極とビームの配置を示す概略説明図である。
(c) 後続ビームのみを用いた比較例におけるアーク電極とビームの配置を示す概略説明図である。
【図3】本発明に係わるレーザ−アーク複合溶接における溶接速度を先導ビームあるいは後続ビームのみを用いた比較例に係わるレーザ−アーク複合溶接の場合と比較して示すグラフである。
【図4】本発明に係わるレーザ−アーク複合溶接における溶け込み深さと先導ビームの焦点位置の関係を示すグラフである。
【図5】本発明に係わるレーザ−アーク複合溶接における溶け込み深さと後続ビームの焦点位置の関係を示すグラフである。
【図6】本発明に係わるレーザ−アーク複合溶接における溶け込み深さと後続ビームの焦点高さ位置の関係を示すグラフである。
【図7】(a) 本発明に係わるレーザ−アーク複合溶接装置の他の実施例を示す説明図である。
(b) 図7(a)に示したレーザ−アーク複合溶接装置の上方からの矢視図である。
【図8】本発明に係わるレーザ−アーク複合溶接装置のさらに別の実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
1,11,21 レーザ−アーク複合溶接装置
2 MIGトーチ(アークトーチ)
2a ガスノズル
3a 第1のレーザヘッド
3b 第2のレーザヘッド
5 フィラーワイヤ(アーク電極)
6,6a,6b 光ファイバー
13,23 レーザヘッド
13a,23a コリメーションレンズ(光学系)
13b,23b フォーカシングレンズ(光学系)
23c ビームスプリッタ(光学系)
B1 先導ビーム(レーザビーム)
B2 後続ビーム(レーザビーム)
W,W1 ,W2 被溶接材
Claims (9)
- アーク電極に対する溶接進行方向の前方と後方とにレーザビームを照射する溶接方法であって、アーク電極前方に配される先導ビームの焦点がアーク電極の軸中心線が被溶接材表面に交わる電極中心点に対して溶接進行方向前方側5mm未満の範囲内に位置し、アーク電極後方に配される後続ビームの焦点が前記電極中心点に対して溶接進行方向後方側3〜10mmの範囲内に位置するように先導ビームおよび後続ビームを照射することを特徴とするレーザ−アーク複合溶接方法。
- アーク電極がTIG電極であることを特徴とする請求項1記載のレーザ−アーク複合溶接方法。
- アーク電極がMIG電極であることを特徴とする請求項1記載のレーザ−アーク複合溶接方法。
- ビーム焦点の高さが被溶接材表面から表面下1.0mmまでの範囲内となるように後続ビームを照射することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載のレーザ−アーク複合溶接方法。
- 被溶接材がアルミニウム合金材であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載のレーザ−アーク複合溶接方法。
- 先導ビームのパワー密度が17kW/mm2 以上、後続ビームのパワー密度が21.2kW/mm2 以上であることを特徴とする請求項5記載のレーザ−アーク複合溶接方法。
- アーク電極に対する溶接進行方向の前方と後方とにレーザビームを照射する溶接装置であって、アーク電極を保持するアークトーチと、アーク電極の軸中心線が被溶接材表面に交わる電極中心点に対して溶接進行方向前方側5mm未満の範囲内に焦点が位置するように先導ビームを照射する第1のレーザヘッドと、前記電極中心点に対して溶接進行方向後方側3〜10mmの範囲内に焦点が位置するように後続ビームを照射する第2のレーザヘッドと、上記アークトーチのアーク電極と同軸にアルゴン,ヘリウムなどの不活性ガスを供給するガスノズルを備えていることを特徴とするレーザ−アーク複合溶接装置。
- アーク電極に対する溶接進行方向の前方と後方とにレーザビームを照射する溶接装置であって、アーク電極を保持するアークトーチと、2本の光ファイバを介して伝送されたYAGレーザを2つのビームスポットにそれぞれ集光する光学系を有し、一方のビームをその焦点がアーク電極の軸中心線が被溶接材表面に交わる電極中心点に対して溶接進行方向前方側5mm未満の範囲内に位置するように照射し、他方のビームをその焦点が前記電極中心点に対して溶接進行方向後方側3〜10mmの範囲内に位置するように照射するレーザヘッドと、上記アークトーチのアーク電極と同軸にアルゴン,ヘリウムなどの不活性ガスを供給するガスノズルを備えていることを特徴とするレーザ−アーク複合溶接装置。
- アーク電極に対する溶接進行方向の前方と後方とにレーザビームを照射する溶接装置であって、アーク電極を保持するアークトーチと、1本の光ファイバを介して伝送されたYAGレーザをビームスプリッタによって2つのビームスポットに集光する光学系を有し、一方のビームをその焦点がアーク電極の軸中心線が被溶接材表面に交わる電極中心点に対して溶接進行方向前方側5mm未満の範囲内に位置するように照射し、他方のビームをその焦点が前記電極中心点に対して溶接進行方向後方側3〜10mmの範囲内に位置するように照射するレーザヘッドと、上記アークトーチのアーク電極と同軸にアルゴン,ヘリウムなどの不活性ガスを供給するガスノズルを備えていることを特徴とするレーザ−アーク複合溶接装置。
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