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JP3587567B2 - カテーテルチューブ - Google Patents

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JP3587567B2
JP3587567B2 JP21450394A JP21450394A JP3587567B2 JP 3587567 B2 JP3587567 B2 JP 3587567B2 JP 21450394 A JP21450394 A JP 21450394A JP 21450394 A JP21450394 A JP 21450394A JP 3587567 B2 JP3587567 B2 JP 3587567B2
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば血管内手術、制ガン剤治療等の超選択的注入や血管造影等に用いられるカテーテルチューブに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、外科手術を行わず、経皮的に血管内にカテーテルを挿入して血管病変の治療を行う血管内手術が盛んとなっている。このような手技においては、カテーテルを複雑に蛇行した分岐の多い細い血管の特定の部位に選択的に挿入することが要求される。
【0003】
例えば、脳血管等に見られる動脈瘤や動静脈奇形腫瘍に対し施される塞栓術と呼ばれる血管内手術では、細いカテーテルの先端を脳内の患部またはその近傍まで選択的に挿入して、カテーテルの先端から、シアノアクリレート、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のジメチルスルホキシド溶液等の液状の塞栓物質や、ポリビニルアルコールの顆粒等の粒状の塞栓物質、またはコイルを注入する。このように細い血管への液状塞栓物質の注入や薬剤の投与、および造影剤の注入には、それに応じた細径のカテーテルが用いられる。
【0004】
したがって、このような小口径カテーテルには、通常のカテーテルに要求される化学的および生物学的安全性に加えて、細く複雑なパターンの血管に迅速かつ確実な選択的をもって挿入し得る操作性が要求される。高い操作性を有するには、以下の点を満足することが必要である。第1は、血管内を挿通させるために術者の押し込む力がカテーテルの基端側から先端側に確実に伝達され得ること、いわゆる押し込み性を有することである。第2は、カテーテルの基端側にて加えられた回転力が先端側に確実に伝達され得ること、いわゆるトルク伝達性を有することである。第3は、曲がった血管内を予め挿入されたガイドワイヤーに沿って円滑にかつ血管内壁を損傷することなく進み得ること、いわゆる追随性(以下、「ガイドワイヤーに対する追随性」または単に「追従性」という)を有することである。第4は、上記でも触れたが、目的とする所までカテーテル先端が到達し、ガイドワイヤーを引き抜いた後でも、血管の湾曲、屈曲した部位でカテーテルに折れ曲がりが生じないこと、いわゆる耐キンク性を有することである。さらに、これらの性能をカテーテルに付与する最大のファクターの1つとして、カテーテルの外表面の潤滑性が必要とされる。
【0005】
このようなカテーテルの要求性能に関して、押し込み性および追従性を付与するための従来技術としては、比較的硬質の内管と、この内管の外面を覆いかつ内管の先端より突出した部分を有する比較的柔軟な外管で構成された、本体部が二重管構造のカテーテルが開発され、提案されている。
【0006】
例えば、実表昭60−500013号公報には、内管にポリアミドを、外管にポリウレタンを用いて、かつ内管の先端部分はその内径は漸増するようにテーパ状に形成されたカテーテルが開示されている。しかしながら、このカテーテルでは、ポリアミドとポリウレタンの二重管部分からポリウレタンの一重管の部分に移行する境界部において、剛性が急激に変化するため、カテーテル本体に折れ曲がりを生じる可能性がある。特に、ポリウレタンの一重管部分においては、外径および内径が一定であり、剛性が先端に向かって漸減していないため、二重管の部分から一重管の部分に移行する境界部に応力が集中して、折れ曲がりの原因となっており、また追従性も劣っている。
【0007】
米国特許第4636346号明細書では、三重管構造の主要部とそれより先端方向に延長された二重管構造の先端部を有するガイディングカテーテルが開示されている。このカテーテルは、主要部の三重管のうち内管と外管の間の管が比較的剛性を有するものであるが、当該剛性のある管が無い先端部において、トルク伝達性と耐キンク性が要求されるレベルまで達していない。
【0008】
さらに、特開昭57−173065号公報では、内側に螺旋巻きワイヤを用いたカテーテルが開示されている。このカテーテルは、ほぼ全長にわたって延びているチューブと、このチューブの途中で終端している螺旋巻きワイヤとからなる。しかし、このカテーテルは螺旋巻きワイヤがカテーテル内腔に露出しているため、塞栓物質の詰まりや引っ掛かり、さらにガイドワイヤーの引っ掛かりを起こす可能性を有しており、使用時には慎重に操作する必要がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、操作性に優れた新規なカテーテルチューブを提供することを目的とする。特に、本発明は、耐キンク性に優れたカテーテルチューブを提供することを目的とする。さらに、本発明は、追従性に優れたカテーテルチューブを提供することを目的とする。さらに、本発明は、押し込み性に優れたカテーテルチューブを提供することを目的とする。さらに、本発明は、トルク伝達性に優れたカテーテルチューブを提供することを目的とする。また、本発明は、小口径カテーテルとして好適なカテーテルチューブを提供することを目的とする。また、本発明は、脳血管治療カテーテルに好適なカテーテルチューブを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、可撓性を有する内層と、該内層の外側に設けられたコイル層と、該コイル層の外側に設けられた可撓性を有する外層とからなるカテーテルチューブであって、該カテーテルチューブは本体部と先端部を有し、前記コイル層は前記本体部から前記先端部にかけて延設し、さらに、前記カテーテルチューブの先端部を除き、前記コイル層のコイルの隙間、前記コイル層と前記内層との間の隙間、前記コイル層と前記外層との間の隙間の少なくともいずれかに接着剤を流入させたことを特徴とするカテーテルチューブにより達成される。前記接着剤は、固化時に弾性を有するものであることが好ましい。また、前記接着剤はホットメルト型接着剤であることが好ましい。また、前記接着剤は極低粘度性のものであることが好ましい。また、前記コイル層は、第1のコイルと、該第1のコイルの外側に設けられ、該第1のコイルと逆方向に巻回する第2のコイルとを有することが好ましい。また、前記コイル層は平板コイルからなることが好ましい。また、前記内層の内表面には親水性潤滑層を形成することが好ましい。また、前記外層は溶媒膨潤性のチューブあるいは熱収縮性チューブであることが好ましい。
【0011】
【作用】
本発明のカテーテルチューブは、内層と外層との間にコイル層が設けられており、耐キンク性に優れている。さらに、カテーテルチューブの先端部を除き、コイル層のコイルの隙間、コイル層と内層との間の隙間、コイル層と外層との間の隙間の少なくともいずれかに接着剤を流入させたため、この接着剤を介してコイル同士、又はコイル層と内層もしくは外層とが接着する。これにより、接着剤が流入した部分のコイル層の自由度が規制され、この部分におけるカテーテルチューブの剛性が先端部よりも高くなり、カテーテルチューブの基端側にて与えた押し込み力や回転力を、カテーテルチューブの先端まで確実に伝達することが可能となる。また、カテーテルチューブの基端側の剛性が高められる反面、コイル層の先端部には接着剤が流入してないため、カテーテルチューブの先端部は柔軟とすることが可能である。したがって、血管やガイドワイヤーへの追従性にも優れたカテーテルチューブが得られる。また、接着剤の流入のみで、カテーテルチューブの径を著しく増大することなく押し込み性やトルク伝達性などの向上が図られるため、小口径カテーテルチューブであってさらに押し込み性やトルク伝達性などに優れたカテーテルチューブが得られる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明を図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明のカテーテルチューブの第1の実施例の全体図、図2は、図1に示すカテーテルチューブの部分破断拡大斜視図、図3は、図1に示すカテーテルチューブの部分拡大断面図である。
【0013】
この実施例のカテーテルチューブ1は、本発明のカテーテルチューブを脳血管塞栓術用カテーテルに応用した実施例であり、本体部21と、先端部22とからなるチューブ本体2とからなっており、さらに、チューブ本体2の基端に接合したハブ11を有している。チューブ本体2の内部には、ルーメン3が形成されており、このルーメン3は、チューブ本体2の先端からチューブ本体2の基端へ向かって形成され、ハブ11の基端11aと連通している。ルーメン3は、ガイドワイヤーの挿通口、および、薬液や塞栓物質等の流入口として機能する。
【0014】
図2に示すように、チューブ本体2は、可撓性を有する内層4と、この内層4の外側に設けられたコイル層5と、コイル層5の外側に設けられた可撓性を有する外層6とを有している。
【0015】
内層4は、可撓性を有するチューブ形状をなし、本体部21から先端部22にかけて延設し、その内部空間が、チューブ本体2のルーメン3を構成している。内層4は、ほぼ均一の内径および外径を備えており、ガイドワイヤーや薬液、塞栓物質等が通ることを可能としている。
【0016】
内層4の構成材料としては、ある程度の可撓性を有するものであればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン、変性ポリエチレン、変性ポリプロピレン等の変性ポリオレフィン、軟質ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレン−ビニル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリウレタン等の各種可撓性を有する樹脂、さらに、フッ素系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、スチレン系エラストマー等のエラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム、天然ゴムのようなゴム材料、および、これらの材料のブレンド物等が挙げられる。このうち、上記樹脂およびエラストマーは、内層4の製造が容易である点から、熱可塑性であることが好ましく、特に、柔軟性、耐薬品性およびカテーテルチューブ1に挿入されるガイドワイヤーや塞栓用コイルの摺動性も考慮して、ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、フッ素系エラストマーおよびフッ素樹脂が好ましい。また、上記ポリオレフィンのうちでは、特に、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)およびポリプロピレンが好ましい。
【0017】
内層4の内表面には、親水性潤滑層8が設けられている。この潤滑層8は、カテーテルチューブ1を血管内に挿入した際に含水し、カテーテルチューブ1とこれに挿入されるガイドワイヤーや塞栓用コイルとの摩擦抵抗を低減する。このような潤滑層8を設けることにより、ガイドワイヤーや塞栓用コイルの摺動性が向上する。
【0018】
親水性潤滑層8の潤滑性物質としては、内層4の構成材料にもよるが、例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーや、ポリグリシジルメタクリレート−ジメチルアクリルアミド(PGMA−DMAA)のブロック共重合体等の親水性化合物ブロックと疎水性化合物ブロックのブロック共重合体が挙げられる。このうち、上記PGMA−DMAAブロック共重合体が好ましい。このブロック共重合体は、水膨潤性化合物であり、潤滑性に優れ、かつ親水性/疎水性のミクロドメイン構造をなしているので抗血栓性も優れている。
【0019】
この潤滑層8は、内層4の内表面に潤滑性物質を直接またはバインダーを介して固定することにより形成することができる。一例としては、上記潤滑性物質を適当な溶媒に溶解した溶液を内層4の内表面に塗布したり、あるいは、外層6中もしくは外層6の外表面に存在または導入された反応性官能基を共有結合させることにより潤滑層8を形成することができる。なお、この固定は、上記潤滑性物質が内層4の内表面から脱落しないように強固に結合するように行うことが好ましいが、実用に耐える程度であれば、カテーテルチューブ1を使用するにつれて上記潤滑性物質が内層4の内表面から徐々に脱落する程度としてもよい。
【0020】
内層4の大きさとしては、内径が0.1〜2mm、より好ましくは0.5〜1mmであり、外径が0.2〜3mm、より好ましくは0.6〜2mmである。
【0021】
コイル層5は、チューブ本体2に耐キンク性を付与するために設けられたものであり、本体部21より先端部22まで延設している。図示の例において、コイル層5は、横断面形状が長方形形状の平板状線材を螺旋状に巻回した平板コイルからなるコイル5aから構成されている。
【0022】
コイル5aの構成材料としては、例えば、SUS304、SUS316、析出硬化ステンレス(PHステンレス)等のステンレス鋼、タングステン、アルミニウム、Ni−Ti合金、真鍮等の金属材料や、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン)、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド等の剛性の高い樹脂材料、PAN系、ピッチ系、ナフタレン系、カーボンファイバーおよびそれらのプリプレグ等の炭素繊維、セラミックス等が使用できるが、医療用として安全性の高い材料が好ましく、特に、形状付けの焼き入れが可能なSUS304、SUS316等のステンレス鋼が好ましい。
【0023】
コイル5aは、密着巻き、疎巻きのいずれにも形成することができるが、密着巻きであることが好ましい。密着巻きにすることにより、カテーテルチューブ1の基端側に与えた回転力および押し込み力を、コイル5aを介してカテーテルチューブ1の先端まで確実に伝えることができる。
【0024】
また、第1のコイル5aの横断面形状は、図示の長方形に限定されず、例えば円形、楕円形、三角形、正方形や平行四辺形、五角形以上の多角形などであってもよい。しかしながら、図示のような横長の長方形の横断面形状を有する平板コイルであれば、コイル層5の薄肉化を効果的に図ることができる。
【0025】
また、コイル5aの厚さは、その構成材料やチューブ本体2の横断面形状、寸法、構成材料等の諸条件により異なるが、例えば平板コイルに用いる線材が図示のような長方形断面のステンレス鋼材である場合、その厚さは0.005〜0.1mm程度、より好ましくは0.01〜0.05mm程度であり、コイル巾は0.05〜0.2mm程度、より好ましくは0.10〜0.18mm程度である。
【0026】
図示のコイル5aは、その全長にわたって一定の柔軟性を有しているが、柔軟性を変えることもできる。コイル5aの柔軟性を変える方法の一例としては、コイル5aのピッチを部分的に変えることが挙げられる。
【0027】
ここで、ピッチとは、コイル巾(線材の断面が円形の場合はその径、横長の長方形の場合は長辺の距離)とコイルの隙間を合わせた距離を指す。このようなピッチの変化は、本体部21におけるピッチと先端部22におけるピッチとが異なるようにしてもよく、あるいは、本体部21の中で部分的にピッチが異なるようにしてもよく、もしくは、先端部22の中で部分的にピッチが異なるようにしてもよい。
【0028】
例えば、本体部21におけるコイル5aのコイルの隙間を、先端部22におけるコイルの隙間よりも小さくすることにより、本体部21の剛性を先端部22よりも高くすることができる。また、本体部21におけるコイル5aのコイル巾を、先端部22におけるコイル巾より大きくすることによっても、本体部21の剛性を先端部22よりも高くすることができる。
【0029】
また、先端部22において、先端方向に向かってコイル5aのコイルの隙間を大きくするか、コイル巾を小さくすることにより、本体部21から先端部22におけるカテーテルチューブ1の柔軟性を段階的または連続的に変化させることができ、剛性が急激に変化することに起因するカテーテルチューブ1のキンクの発生を有効に防止することができる。さらに、先端部22のみならず、本体部21の先端付近で、コイル5a、コイル5bのコイルの隙間を大きくするか、コイル巾を小さくすれば、本体部21と先端部22との境界部での剛性の変化が段階的または連続的となり、カテーテルチューブ1のキンクの発生を有効に防止することができる。
【0030】
さらに、コイル5aの柔軟性を変える他の方法として、例えば、コイル5aの厚さを変えることや、コイル5aの材質を変えることが挙げられる。
【0031】
コイル層5の外側に被着する外層6は、可撓性を有するチューブ形状をなし、本体部21から先端部22にかけて延設している。外層6は、内層4およびコイル層5とほぼ同心的に配置され、ほぼ均一の内径および外径を備えている。外層6の先端はコイル層5の先端よりも先端側へ延びており、このコイル層5がない部分において、外層6と内層4とが接着、融着等により接合し、後述する最先端部23を構成している。また、外層6の基端はコイル層5の基端よりも基端側へ延びており(図示せず)、この部分においても、外層6と内層4とが接着、融着等により接合している。
【0032】
外層6の構成材料としては、ある程度の可撓性を有するものであればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン、変性ポリエチレン、変性ポリプロピレン等の変性ポリオレフィン、軟質ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレン−ビニル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリウレタン等の各種可撓性を有する樹脂、さらに、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、スチレン系エラストマー等のエラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム、天然ゴムのようなゴム材料、および、これらの材料のブレンド物等が挙げられる。このうち、上記樹脂およびエラストマーは、外層6の製造が容易である点から、熱可塑性であることが好ましい。
【0033】
特に、外層22は、コイル層5への被覆を行い易いため、溶媒膨潤性の樹脂チューブや熱収縮性の樹脂チューブで構成するのが好ましい。
【0034】
上記溶媒膨潤性の樹脂としては、例えば上記変性ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド系エラストマー、エステル系エラストマー、ポリウレタン等が挙げられる。特に、内層4との接着や融着の観点から、変性ポリオレフィンが好ましく、変性ポリオレフィンの中でもポリエチレンを主成分とした変性ポリエチレンが好ましい。この変性ポリエチレンとしては、エチレンと、例えばアクリル酸エチルエステル、無水マレイン酸等を原料とした共重合体からなる接着性樹脂が特に好ましい性質を有する。この樹脂で構成したチューブは、THF等の溶媒ですばやく膨潤してチューブの内外径が拡大し、風乾等で溶媒を除去することにより確実に元の形状に回復するので、この樹脂で外層6を構成すれば、コイル層5に容易かつ確実に被覆かつ密着させることができる。
【0035】
また、上記熱収縮性の樹脂としては、電子線架橋したポリオレフィンや架橋シリコン、形状記憶樹脂等の樹脂チューブが好適に使用できる。これらのチューブは熱により収縮させることができるので、これらのチューブで外層6を構成することにより、後述するコイル層3の挿入および密着が容易となる。
なお、内層4と外層6は、必ずしも同一の材料で構成される必要はなく、さらに、これらの材料にX線不透過物質や可塑剤、顔料等を混合しても何ら差し支えない。
【0036】
外層6の大きさとしては、内径が0.5〜2mm、より好ましくは0.6〜1mmであり、外径が0.6〜3mm、より好ましくは0.7〜2mmである。
内層4と外層6とを接合する長さとしては、内層4と外層6の剥離等を生じない程度となるように考慮して、例えば0.5〜100mm、より好ましくは5〜30mmである。
【0037】
また、外層6の外表面には、親水性潤滑層9が設けられている。この潤滑層9は、カテーテルチューブ1を血管内に挿入した際に含水し、カテーテルチューブ1と血管内壁との摩擦抵抗を低減する。このような潤滑層9を設けることにより、曲がりくねった末梢血管にまでカテーテルチューブ1を容易に挿入することが可能となる。この潤滑層9は、外層6の表面に潤滑性物質を固定することにより形成することができる。
【0038】
親水性潤滑層9の潤滑性物質としては、外層6の構成材料にもよるが、例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーや、ポリグリシジルメタクリレート−ジメチルアクリルアミド(PGMA−DMAA)のブロック共重合体等の親水性化合物ブロックと疎水性化合物ブロックのブロック共重合体が挙げられる。このうち、上記PGMA−DMAAブロック共重合体が好ましい。このブロック共重合体は、水膨潤性化合物であり、潤滑性に優れ、かつ親水性/疎水性のミクロドメイン構造をなしているので抗血栓性も優れている。
【0039】
この潤滑層9は、外層6の外表面に上記潤滑性物質を直接またはバインダーを介して固定することにより形成することができる。一例としては、上記潤滑性物質を適当な溶媒に溶解した溶液を外層6の外表面に塗布したり、あるいは、外層6中もしくは外層6の外表面に存在または導入された反応性官能基を共有結合させることにより潤滑層8を形成できる。なお、この固定は、上記潤滑性物質が外層6の内表面から脱落しないように強固に結合するように行うことが好ましいが、実用に耐える程度であれば、カテーテルチューブ1を使用するにつれて上記潤滑性物質が外層6の内表面から徐々に脱落する程度であってもよい。
【0040】
そして、本実施例では、本体部21において、コイル層5のコイルの隙間、コイル層5と内層4との間の隙間、コイル層5と外層6との間の隙間に、接着剤7が流入している。これにより、コイル層5のコイル同士、コイル層5と内層4およびコイル層5と外層6とが、接着剤7を介して接着している。
【0041】
このように構成されたカテーテルチューブ1は、接着剤7が流入した本体部21におけるコイル層5の自由度が規制され、本体部21におけるカテーテルチューブ1の剛性が先端部22よりも高くなっており、したがって、カテーテルチューブの基端側にて与えた押し込み力や回転力を、カテーテルチューブの先端まで確実に伝達することが可能となる。また、先端部22ではコイル層5が規制されず柔軟に湾曲できるため、先端部22は柔軟性に富んでおり、したがって、カテーテルチューブ1は血管やガイドワイヤーへの追従性にも優れている。また、このような構成によれば、接着剤7の流入のみで、カテーテルチューブ1の径を著しく増大することなく押し込み性やトルク伝達性を向上でき、カテーテルチューブの細径化も良好に図ることができる。
【0042】
接着剤7としては、例えば、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体系接着剤、フェノール系接着剤等の各種接着剤や、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂等の各種樹脂材料が挙げられる。
【0043】
このうち、接着剤7としては、例えば上記シリコーン系接着剤、エポキシ系弾性接着剤、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂などの、固化時に弾性を有するものを用いることが好ましい。そのようにすれば、上記隙間の全体が完全に埋まるように接着剤7を多量に用いても、カテーテルチューブとして好適に用いられるために必要とされる本体部21の柔軟性を損ねることがない。
【0044】
また、接着剤7が、流動状態時の粘度が低い極低粘度性のものであれば、コイル層5のコイルの隙間、コイル層5と内層4もしくは外層6との隙間に接着剤7が良好に浸透でき、好ましい。
【0045】
なお、接着剤7は、コイル層5のコイルの隙間、コイル層5と内層4との隙間、コイル層5と外層6との隙間にすべてに流入していなくともよい。例えば、図4に示すように、内層4とコイル層5との隙間にのみ流入していてもよく、図5に示すように、コイル層5と外層6との隙間にのみ流入していてもよい。また、図6に示すように、コイル層5のコイルの隙間にのみ流入していてもよい。このようにしても、接着剤7が流入した本体部21におけるコイル層5の自由度が規制され、本体部21におけるカテーテルチューブの剛性が先端部22よりも高くなり、したがって、カテーテルチューブの基端側にて与えた押し込み力や回転力を、カテーテルチューブの先端まで確実に伝達することが可能となる。また、このように形成されたカテーテルチューブは、本体部21が高い剛性を備えながらも、先端部22は柔軟性に富んでおり、血管やガイドワイヤーへの追従性にも優れている。
【0046】
さらに、接着剤7は、図7に示すように、場所によって、コイル層5のコイルの隙間、コイル層5と内層4もしくは外層6との隙間のうち異なる隙間に流入していてもよい。なお、図7に示す例では、接着剤7はコイル層5のコイルの隙間と、コイル層5と内層4との隙間のいずれかに流入しているが、本発明はこれに限定されず、例えば、部分的に、接着剤7がコイル層5と外層6の隙間にも流入した構造としてもよい。
【0047】
しかしながら、図2ないし図3に示すように、接着剤7をコイル層5のコイルの隙間、コイル層5と内層4の隙間およびコイル層5と外層6の隙間に流入させれば、コイル層5の自由度が最大限小さくなり、本体部21の剛性が最大限高くなる。さらに、このようにすれば、内層4、コイル層5および外層6とが接着剤7を介して強固に固着し、カテーテルチューブ1の機械的特性も高くなる。
【0048】
カテーテルチューブ1の先端付近には、カテーテルチューブ1全体で最も柔軟な最先端部23が設けられている。これにより、カテーテルチューブ1を血管内に挿入した際にその血管に与える刺激を低減できる。図示の最先端部23は、互いに接合する内層4および外層5とからなっている。このようにすれば、カテーテルチューブ1の外表面に段差を形成することなく柔軟な最先端部23を簡単に形成できる。また、図示の最先端部23は、外径が減少したくびれ部となっており、このようにすれば、最先端部23がより柔軟となる。
【0049】
また、この構成においては、最先端部23と本体部21との間に、コイル層5が柔軟に湾曲できる状態で配置されているため、カテーテルチューブ1の本体部21と最先端部23の剛性の落差がこのコイル層5により補強され、キンクを生じ難い構造となっている。
【0050】
なお、最先端部23としては、上記の他に、例えばポリウレタン等の柔軟性(可撓性)の高い材料からなる先端部材を別に用意し、この先端部材を融着、接着等により固定してもよい。また、例えば外層6を内層4の先端よりも先端側に延設し、この外層6のみで最先端部23を構成してもよい。
最先端部23の長さは、10mm以下程度、より好ましくは0.5〜5mm程度である。
【0051】
また、最先端部23には、X線不透過性材料(例えば、白金、金、白金−イリジウム合金等)からなるX線造影用マーカー15が設けられ、X線透視下でカテーテルチューブ1の先端部の位置を確認可能となっている。図示のマーカー15は、内層4の外側にコイル状に巻き付けられ、内層4と外層6の間に挟まれて設けられている。なお、X線造影用マーカーとしては、図示のようなコイル状のもののみならず、例えば筒状のリングを内層4の外側にかしめた形状でもよい。
【0052】
カテーテルチューブ1の全長は50〜200cm程度、より好ましくは100〜180m程度である。また、本体部21の長さは、カテーテルチューブ1の寸法や構成材料等によっても異なるが、例えばカテーテルチューブ1の全長の60〜90%程度、好ましくは70〜90%程度である。
【0053】
このようなカテーテルチューブ1の製造は、例えば下記のようにして行うことができる。
【0054】
(1) まず、内層4を形成し、次に、内層4の外側にコイル層5を形成する。続いて、このコイル層5の外面に、流動状態の接着剤7を塗布し、コイル層5のコイルの隙間、コイル層5と内層4との隙間に接着剤7を流入させる。その後、接着剤7の固化前、あるいは固化後に、予め形成した外層6をコイル層5の外側に被せる。この際、接着剤7の固化前に外層6を被せれば、接着剤7を介して外層6を内層4およびコイル層5に固着でき、好ましい。
【0055】
なお、内層4、外層6の形成は、それぞれ、上記した内層4、外層6の構成材料を押出成形したものを所定の長さに切断する方法、または、射出成形法などにより行うことができる。
【0056】
コイル層5を内層4の外側に配置する方法としては、例えば、内層4を予めコイル層5の内径よりわずかに小さく形成し、コイル層5に挿入した後、内層4を加熱し膨張させてコイル層5の内面に密着させる方法や、コイル層をコイルの隙間が開くように捩り、コイル層5の内径を拡大しながら内層5に被せる方法などが挙げられる。
【0057】
また、外層6をコイル層5の外側に配置する方法としては、例えば、外層6を溶媒で膨潤させ、外層6の内径を拡大してからコイル層5に挿入し、その後、溶媒を揮発させて外層6の内径を復元する方法や、外層6を熱収縮チューブとし、この外層6をコイル層5に被せたあと、加熱して外層6を収縮させる方法などが挙げられる。
【0058】
接着剤7としてホットメルト型接着剤を使用する場合は、内層4の外側にコイル層5を形成し、その後、ホットメルト型接着剤を溶融しながら、コイル層5の外面に塗布することにより、コイル層5のコイルの隙間、コイル層5と内層4との隙間に接着剤7を流入させることができる。
【0059】
(2) また、接着剤7としてホットメルト型接着剤を用いる場合は、次のようにすることもできる。
【0060】
まず、内層4を形成し、次に、内層4の外側にコイル層5を形成する。他方、外層6を形成し、かつ、この外層6の内面に、接着剤7を塗布しておく。
【0061】
続いて、この外層6を加熱し、接着剤7を流動状態としてから、コイル層5の外側に被せる。これにより、コイル層5のコイルの隙間、コイル層5と内層4もしくは外層6との隙間に接着剤7が流入する。その後、外層6の加熱を止め、接着剤7を冷却、固化させる。
【0062】
このようにすれば、接着剤7の流入と外層6の設置を1つの工程で簡単に行うことができる。
【0063】
なお、コイル層5を内層4の外側に配置する方法や、外層6をコイル層5の外側に配置する方法としては、例えば上記(1)に記載したように行うことができる。
【0064】
また、この場合、外層6の加熱は、外層6をコイル層5に被せてから行ってもよい。そのようにしても、接着剤7が加熱につれて徐々に流動状態となり、コイル層5のコイルの隙間、コイル層5と内層4もしくは外層6との隙間に浸透する。また、接着剤が固化し始める前に外層6をコイル層5に被せるようにすれば、外層6をコイル層5に被せる前に外層6の加熱を止めてもよい。
【0065】
(3) さらに、接着剤7として極低粘度性の接着剤を用いる場合は、次のようにすることもできる。
【0066】
まず、内層4を形成し、次に、内層4の外側にコイル層5を形成する。続いて、コイル層5に外層6を被せ、内層4、コイル層5および外層6の組立体を形成する。なお、コイル層5を内層4の外側に配置する方法や、外層6をコイル層5の外側に配置する方法としては、例えば上記(1)に記載したように行うことができる。
【0067】
その後、極低粘度性の接着剤7を、内層4、コイル層5および外層6の基端より、コイル層5のコイルの隙間、コイル層5と内層4もしくは外層6との隙間に流し入れる。これにより、接着剤7は徐々に上記隙間の先端側へと浸透する。そして、接着剤7を十分に流し入れたあと、接着剤7を固化させる。
【0068】
上記(1)ないし(3)のようにしたあと、内層4と外層6とを接着、融着等により接合してチューブ本体2を形成し、このチューブ本体2の基端にハブ11を取り付けることにより、図1に示すカテーテルチューブ1が得られる。
【0069】
図8は、本発明の他の実施例のカテーテルチューブを示す部分破断拡大斜視図、図9は、図8に示すカテーテルチューブの部分拡大断面図である。以下、この実施例のカテーテルチューブについて説明するが、図1ないし図3に示す実施例と同様の構成については同一の符号を付して説明は省略する。
【0070】
図8ないし図9に示すカテーテルチューブ10は、コイル層50が、第1のコイル50aと、第1のコイル50aの外側に設けられ、第1のコイル50aと逆方向に巻回する第2のコイル50bとを備えている点で相違する。
【0071】
第1のコイル50aおよび第2のコイル50bは、それぞれ、本体部21より先端部22まで延設しており、かつ、横断面形状が横長の長方形形状を有する平板状線材を螺旋状に巻回した平板コイルから構成されている。
【0072】
このように、コイル層50が互いに逆方向に巻回する第1および第2のコイルとを備えるため、カテーテルチューブ10を右回り、左回りのいずれの方向に回転しても、第1のコイル50a、第2のコイル50bのうち一方は、コイルの隙間が開くように捩れず、カテーテルチューブ10の基端に与えた回転力がそのような捩れによって相殺されない。したがって、コイル層が1層のコイルのみからなる構成に比べて、カテーテルチューブ10のトルク伝達性が向上する。
【0073】
第1のコイル50aおよび第2のコイル50bは、それぞれ、密着巻き、疎巻きのいずれにも形成することができるが、密着巻きであることが好ましい。密着巻きにすることにより、カテーテルチューブ1の基端側に与えた回転力および押し込み力を、第1のコイル50a、第2のコイル50bを介してカテーテルチューブ10の先端まで確実に伝えることができる。
【0074】
また、第1のコイル50aと第2のコイル50bは、密着していることが好ましい。密着させることにより、カテーテルチューブ1の基端側に回転力や押し込み力を与えると、第1のコイル50a、第2のコイル50bが一体となって挙動するため、上記回転力や押し込み力を、第1のコイル50a、第2のコイル50bを介してカテーテルチューブ1の先端まで確実に伝えることができる。
【0075】
第1のコイル50a、第2のコイル50bの構成材料については、それぞれ、図1ないし図3に示す実施例のコイル5aと同様である。
【0076】
また、第1のコイル50a、第2のコイル50bの厚さは、それぞれ、その構成材料やチューブ本体2の横断面形状、寸法、構成材料等の諸条件により異なるが、例えば平板コイルに用いる線材が図示のような長方形断面のステンレス鋼材である場合、その厚さはそれぞれ0.005〜0.1mm程度、より好ましくは0.01〜0.05mm程度であり、コイル巾は0.05〜0.2mm程度、より好ましくは0.10〜0.18mm程度である。
【0077】
また、図示の第1のコイル50a、第2のコイル50bは、その全長にわたって一定の柔軟性を有しているが、柔軟性を変えることもできる。コイル5aの柔軟性を変える方法の一例としては、コイル50aの、コイル50bのピッチを部分的に変えることが挙げられる。なお、このようなピッチの変化は、本体部21におけるピッチと先端部22におけるピッチとが異なるようにしてもよく、あるいは、本体部21の中で部分的にピッチが異なるようにしてもよく、もしくは、先端部22の中で部分的にピッチが異なるようにしてもよい。
【0078】
例えば、本体部21におけるコイル50a、コイル50bの一方あるいは両方のコイルの隙間を、先端部22におけるコイルの隙間よりも小さくすることにより、本体部21の剛性を先端部22よりも高くすることができる。また、本体部21におけるコイル50a、コイル50bの一方あるいは両方のコイル巾を、先端部22におけるコイル巾より大きくすることによっても、本体部21の剛性を先端部22よりも高くすることができる。
【0079】
また、先端部22において、先端方向に向かってコイル50a、コイル50bの一方あるいは両方のコイルの隙間を大きくするか、コイル巾を小さくすることにより、本体部21から先端部22におけるカテーテルチューブ10の柔軟性を段階的または連続的に変化させることができ、剛性が急激に変化することに起因するカテーテルチューブ10のキンクの発生を有効に防止することができる。さらに、先端部22のみならず、本体部21の先端付近で、コイル50a、コイル50bの一方あるいは両方のコイルの隙間を大きくするか、コイル巾を小さくすれば、本体部21と先端部22との境界部での剛性の変化が段階的または連続的となり、カテーテルチューブ10のキンクの発生を有効に防止できる。
【0080】
また、第1のコイル50a、第2のコイル50bの一方あるいは両方の柔軟性を変える他の方法としては、例えば、コイル50a、コイル50bの厚さを変えることや、コイル50a、コイル50bの材質を変えることが挙げられる。さらに、カテーテルチューブ10の本体部21ではコイル層50を2層構造とし、先端部22ではコイル50aとコイル50bの一方を他方の途中で終端させれば、カテーテルチューブ10の柔軟性をより多段階で変化させることができる。
【0081】
そして、本実施例では、本体部21において、コイル層50のコイルの隙間、コイル層50と内層4との間の隙間、コイル層50と外層6との間の隙間に、接着層70が流入している。そして、コイル層50の第1のコイル50aと第2のコイル50b同士、コイル層50と内層4およびコイル層50と外層6とが、接着剤70を介して接着している。このため、図1ないし図3に示す実施例と同様に、本体部21におけるコイル層50の自由度が規制され、本体部21におけるカテーテルチューブ10の剛性が先端部22よりも高くなり、カテーテルチューブ10が優れた押し込み性やトルク伝達性、血管やガイドワイヤーへの追従性を得ることができる。さらに、このような構成によれば、カテーテルチューブ10の径を著しく増大することなく押し込み性やトルク伝達性などを向上でき、カテーテルチューブの細径化も良好に図ることができる。
【0082】
なお、接着剤70は、図10に示すように、本体部21において、第1のコイル50aと第2のコイル50bの間の隙間にのみ流入していてもよい。このようにしても、接着剤70が流入した本体部21におけるコイル層50の自由度が規制され、本体部21におけるカテーテルチューブの剛性が先端部22よりも高くなり、したがって、カテーテルチューブの基端側にて与えた押し込み力や回転力を、カテーテルチューブの先端まで確実に伝達することが可能となる。また、血管やガイドワイヤーへの追従性も優れる。
【0083】
また、接着剤70は、本体部21において、第1のコイル50a、あるいは第2のコイル50bのコイルの隙間にのみ流入していてもよい(図示せず)。また、接着剤70は、図4に示す例と同様に、内層4とコイル層50との隙間にのみ流入していてもよく、図5に示す例と同様に、コイル層50と外層6との隙間にのみ流入していてもよい。また、接着剤70は、図7に示す例と同様に、場所によって、コイル層50のコイルの隙間、コイル層50と内層4もしくは外層6との隙間のうち異なる隙間に流入していてもよい。
【0084】
以上、本発明を図面に示す実施例に基づき説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、コイル層5が、3以上のコイルから形成されていてもよく、また、複数条巻きであってもよい。また、コイル層5が、カテーテルチューブ1の先端部を除いて配置されていてもよい。
【0085】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明のカテーテルチューブは、可撓性を有する内層と、該内層の外側に設けられたコイル層と、該コイル層の外側に設けられた可撓性を有する外層とからなるカテーテルチューブであって、該カテーテルチューブは本体部と先端部を有し、前記コイル層は前記本体部から前記先端部にかけて延設し、さらに、前記カテーテルチューブの先端部を除き、前記コイル層のコイルの隙間、前記コイル層と前記内層との間の隙間、前記コイル層と前記外層との間の隙間の少なくともいずれかに接着剤を流入させたことを特徴とするため、操作性に優れ、特に、耐キンク性、押し込み性、追従性およびトルク伝達性に優れている。特に、脳血管治療用カテーテル等の小口径カテーテルとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカテーテルチューブの第1の実施例の全体図である。
【図2】図1に示すカテーテルチューブの部分破断拡大斜視図である。
【図3】図1に示すカテーテルチューブの部分拡大断面図である。
【図4】本発明のカテーテルチューブの他の実施例の部分拡大断面図である。
【図5】本発明のカテーテルチューブの他の実施例の部分拡大断面図である。
【図6】本発明のカテーテルチューブの他の実施例の部分拡大断面図である。
【図7】本発明のカテーテルチューブの他の実施例の部分拡大断面図である。
【図8】本発明のカテーテルチューブの他の実施例の部分破断拡大斜視図である。
【図9】図7に示すカテーテルチューブの部分拡大断面図である。
【図10】本発明のカテーテルチューブの他の実施例の部分拡大断面図である。
【符号の説明】
1、10 カテーテルチューブ
21 本体部
22 先端部
4 内層
5、50 コイル層
6 外層
7、70 接着剤

Claims (7)

  1. 可撓性を有する内層と、該内層の外側に設けられたコイル層と、該コイル層の外側に設けられた可撓性を有する外層とからなるカテーテルチューブであって、該カテーテルチューブは本体部と先端部を有し、前記コイル層は前記本体部から前記先端部にかけて延設し、さらに、前記カテーテルチューブの先端部を除き、前記コイル層のコイルの隙間、前記コイル層と前記内層との間の隙間、前記コイル層と前記外層との間の隙間の少なくともいずれかに接着剤を流入させたことを特徴とするカテーテルチューブ。
  2. 前記接着剤は、固化時に弾性を有するものである請求項1に記載のカテーテルチューブ。
  3. 前記接着剤はホットメルト型接着剤である請求項1に記載のカテーテルチューブ。
  4. 前記接着剤は極低粘度性接着剤である請求項1に記載のカテーテルチューブ。
  5. 前記コイル層は、第1のコイルと、該第1のコイルの外側に設けられ、該第1のコイルと逆方向に巻回する第2のコイルとを有する請求項1ないし4のいずれかに記載のカテーテルチューブ。
  6. 前記内層の内表面には親水性潤滑層が形成されている請求項1ないし5のいずれかに記載のカテーテルチューブ。
  7. 前記外層は溶媒膨潤性のチューブあるいは熱収縮性チューブである請求項1ないし のいずれかに記載のカテーテルチューブ。
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