JP3586929B2 - 携帯無線機器用アンテナおよび携帯無線機器 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、腕時計型の無線放送受信機、トランシーバ、携帯電話、無線呼び出し端末、通信機機等における送受信を行うための携帯無線機器用アンテナおよび携帯無線機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、小型・軽量で携帯性に優れた利便性から、腕時計程度の超小型サイズの携帯無線機器が各種提案されている。この携帯無線機器では、腕時計のように、腕に装着して使用するため、その形状・寸法の大きさの制約から、特に、無線電波を受信、あるいは送信する空中線アンテナ部の小型化が望まれていた。
【0003】
これは、集積回路技術の進歩により、無線回路部分の小型化や低電力化は、急速に進歩し、電源となる小型電池や充電電池も小型、高性能、高容量のものが使用できるようになってきたのに対して、空中線アンテナの小型化は、取り出し得る電力が無線電波が横切った面積で制約されたり、同調検波の性能が電波の波長と密接に関係する空中線アンテナの長さ寸法で制約されるため、実現が困難であったためである。
【0004】
そこで、例えば、限られた寸法の腕時計型の無線機器では、従来、AMラジオ受信機等、中波帯域(MF)の電波用にはバー・アンテナ等をケースに内蔵して用いたり、超短波(VHF)帯のFMラジオや無線呼び出し端末(ページャー)等では、イヤホン兼用のひも型アンテナ、あるいは、腕時計のバンド部を利用したループ型のバンド・アンテナ等を用いている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の携帯無線機器用アンテナでは、バー・アンテナや、ひも型アンテナ、ループ型のバンド・アンテナを用いていたため、以下の問題があった。
(イ)腕時計型の無線機器におけるケース内蔵のバー・アンテナ等では、近年、数百MHz帯、さらには数GHz帯へと高周波化が進む、無線呼び出し端末や携帯電話、無線通信機器付き携帯情報機器において所望の性能が得られない。また、ケース部分に内蔵するためには、ケース材質に金属などの導電性の材質を用いることを避けなければならない等の問題があった。
【0006】
(ロ)また、FMラジオ受信機等のイヤホン兼用のひも型アンテナでは、使用時に取り付けたり、巻き出したりしなければならず、使い勝手や形態上に問題があった。
(ハ)さらに、ループ型のバンド・アンテナでは、ループを構成するために、腕バンドのバックル部でアンテナを接続した時にループが形成されるようにする等、構造や製造が複雑になり、アンテナ部のコストアップにつながるという問題があった。また、このような方法では、腕に装着した時しか使用できないばかりか、腕の寸法により、ループ・アンテナの大きさが変わり、アンテナ長が変化するので、アンテナ特性を一定にするためには、別個の調整回路を設けて、アンテナ長の変化を補う必要があった。
【0007】
(ニ)また、腕時計型の携帯無線機器において、腕に装着するためのバンド部に金属導体を張り付けても、寸法上の制約や、アンテナループ内に導電体、あるいは誘電体に近い物体である人体の腕が入るため、特性が不安定になり、所望の受信感度や安定した受信や通信を行うことができないという問題があった。
(ホ)さらに、また、ループ・アンテナでは、一般に、その入力抵抗に対する放射抵抗の割合が小さく、さらに入力リアクタンスを打ち消して用いる必要があるため、アンテナ系としての効率が極めて悪い状態で使用しなければならないという問題があった。
【0008】
そこで本発明は、超短波帯以上の高周波電波を使用する無線機器にも使用できるとともに、安価に製造でき、かつ、アンテナ特性や無線装置の感度や性能、安定性を向上できる携帯無線機器用アンテナおよびそれを用いた携帯無線機器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため、請求項1記載の発明による携帯無線機器用アンテナは、本体に設けられたバンド部によって、利用者に装着される携帯無線機器の送受信用アンテナとして用いられる携帯無線機器用アンテナにおいて、
前記バンド部の長手方向に、
可塑性を有する半導体であって、導電体の長手方向に流れる電流の分布が中心点に対して対称になるように、電力を供給する給電部により中心点から給電される第1の給電アンテナ素子導線と、
前記第1の給電アンテナ素子導線と平行となるように所定の間隔を離して、誘電体の長手方向に流れる電流の分布が中止点に対して対称になるように前記給電部により中心点から給電され、かつ、前記第1の給電アンテナ素子導線に対して位相の異なるアンテナとして作用する第2の給電アンテナ素子導線とを設けたことを特徴とする。
【0010】
また、好ましい態様として、例えば請求項2記載のように、前記第2の給電アンテナ素子導線と前記給電部の間に位相手段を設けてもよい。
また、好まし態様として、前記第2の給電アンテナ素子導線は、例えば、請求項3記載のように、前記第1の給電アンテナ素子導線と一体成形してもよい。
【0019】
【作用】
本発明では、本体を利用者に装着するためのバンド部の長手方向に、可塑性を有する誘電体で、流れる電流分布の中心点に対して対称となるように、中心点から給電される第1の給電アンテナ素子導線と、前記第1の給電アンテナ素子と平行となるように所定の間隔を離して、誘電体の長手方向に流れる電流の分布が中止点に対して対称になるように前記給電部により中心点から給電され、かつ、前記給電アンテナ素子導線に対して位相の異なるアンテナとして作用する第2の給電アンテナ素子導線とを設け、ダイポールアンテナを構成する。したがって、超短波帯以上高周波電波を使用する無線機器にも使用することが可能であり、ループを構成する必要がないので、構造や製造が容易になるとともに、アンテナ長が変化しないので、アンテナ特性や無線装置の感度や性能、安定性を向上させることが可能となる。
また、バンドの寸法(幅)の制約から第1の給電アンテナ素子導線と、第2の給電アンテナ素子導線の間隔が確保できない場合でも、位相を余計にずらすことにより、適正なアンテナ特性を得ることができる。
【0020】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。なお、本実施例では、携帯無線機器として腕時計型無線機器を例として説明する。
A.第1実施例
A−1.第1実施例の構成
図1(a)は、本発明の第1実施例による携帯無線機器用アンテナを適用した腕時計型無線機器の構成を示す正面図であり、図1(b)は、第1実施例による携帯無線機器用アンテナを適用した腕時計型無線機器の構成を示す断面図である。図において、腕時計型無線機器は、大きく分けて、時計機能、無線機能等の電子部品が格納されている本体部1、該本体部1を腕に固定するためのバンド部2a,2b、バンド部2a,2b同士を止めるために、バンド部2aの一端に設けられたバックル部3から構成されている。本体部1には、上述したように、電子部品が内蔵されており、その上面には、LCD等から構成される表示部1bが配設されている。また、本体部1の両側部には、動作モードや表示切替等のためのスイッチ1c,1cが設けられている。
【0021】
次に、上記バンド部2aには、当該腕時計無線機器を腕に装着し、固定した場合に他方のバンド部2bの一端が挿入される遊環4が設けられている。また、バンド部2bには、バックル部3の構成部品である突棒3aが挿入される複数の止め穴5,5,……が一列に設けられている。バックル部3は、上記突棒3a、該突棒3aを係止するとともに挿入されたバンド部2bを係止する美錠3bから構成されている。
【0022】
上述した本体部1には、特に、本発明に係わる部品として、無線回路部6と、導電性の給電端子7a,7bとが設けられている。無線回路部6は、後述するアンテナ素子導線10a,10bに電力を供給する一方、アンテナ素子導線10a,10bで受信した受信電力を取り出す入出力端子が突出しており、該入出力端子は、導電性の台座11a,11bに半田等で電気的、物理的に固定されている。上記台座11a,11bには、バンド部2a,2bの長手方向に向けて給電端子7a,7bの一端がやはり半田等で電気的、物理的に固定されている。
【0023】
また、上記給電端子7aの他端は、バンド部2aの内部で、その長手方向に延びるアンテナ素子導線10aの一端に導電性ビス7c等によって電気的、物理的に固定されている。一方、上記給電端子7bの他端は、バンド部2bの内部で、その長手方向に延びるアンテナ素子導線10bの一端にビス7dによって電気的、物理的に固定されている。アンテナ素子導線10a,10bは、各々、金属板、金属薄膜、あるいは電線などの可塑性を有する導電体から構成されている。なお、上記給電端子7a,7bは、本体部1と可動するバンド部2a,2cの間に設けられているので、柔軟性のあるフレキシブル基材等で構成される。
【0024】
A−2.第1実施例の電気的特性
次に、図2(a)は、上述したアンテナの略構成を示す概念図であり、同図(b)は、アンテナの等価回路を示す回路図である。図において、給電素子7aの長さとアンテナ素子導線10aの長さを足したものが、本第1実施例によるバンド・アンテナの1つのアンテナ長L1となり、該アンテナ長L1を、
【0025】
【数1】
【0026】
とすることにより、いわゆる半波長ダイポールアンテナ(以下、半波長アンテナという)の構成と同等となる。一般に、半波長アンテナでは、アンテナ軸に軸対象で、アンテナと垂直方向に等距離の面では無指向性の指向パターンを描く。また、半波長アンテナの入力インピーダンスは、次式で示される。
【0027】
【数2】
【0028】
但し、2L(=2L1):アンテナ全長、ρ:アンテナの線径(半径)、k=2π/λ、λ:波長、We:波動インピーダンスである。通常、全長2L=λ/2の半波長アンテナの抵抗Rは、ほぼ長さの2乗に比例し、全長2Lが短くなるほど小さくなり、入力リアンクタンスXは、長さの変化に対してほぼ直線的に変化し、全長2Lが短い場合には、線径ρが大きいほど大きくなる。一般に、実際のアンテナに適用するためには、入力インピーダンスは、純抵抗に近い方が便利であり、そのためには、上記数式2より、アンテナ全長2Lを半波長λ/2より少し短くする必要があることが分かる。すなわち、1つのアンテナ長L(=L1)をλ/4の0.9〜0.95程度短くすればよい。
【0029】
また、半波長アンテナにおける放射電力Wrは、次式で示すようになる。
【0030】
【数3】
【0031】
さらに、放射抵抗Rrは、前述した入力インピーダンスZより次式で示すようになる。
【0032】
【数4】
【0033】
また、指向性利得Gdは、
【0034】
【数5】
【0035】
となることは周知である。
【0036】
B.第2実施例
B−1.第2実施例の構成
次に、図3(a)は、本発明の第2実施例によるアンテナの略構成を示す概念図であり、同図(b)は、アンテナの等価回路を示す回路図である。図において、バンド部2a,2bには、各々、その長手方向に延びる2本のアンテナ素子導線12a,12b、13a,13bが間隔dを離して内蔵されており、コ字状の給電端子14a,14bで電気的に接続されている。本第2実施例によるバンド・アンテナの1つのアンテナ長L1は、給電素子14a(14b)の長さとアンテナ素子導線10a(10b)の長さを足したものとなる。このように、本第2実施例では、アンテナを複数の半波長アンテナ素子で構成している。
【0037】
上述した構成において、同一の半波長アンテナを2本、間隔dだけ離して配列したアンテナの入力インピーダンスは、次式で示される。
【0038】
【数6】
【0039】
また、上記相互インピーダンスZ12(=R12+jX12)は次式で表される。
【0040】
【数7】
【0041】
このように、本第2実施例によるアンテナでは、上記相互インピーダンスZ12が入力インピーダンスに直列に付加される。ここで、リアクタンス分X12を「0」とするには、すなわち純抵抗とするには、d/(λ/4)=0.5または2.8、d=λ/8または0.7λとすればよい。すなわち、アンテナ素子導線12a,12bとアンテナ素子導線13a,13bとの間隔dを1/8波長、または1波長の0.7程度にする必要がある。この場合、最大放射方向の利得Ghは、前述した第1実施例による半波長アンテナに比べて、
【0042】
【数8】
【0043】
となるので、間隔dがλ/4の2.5〜3倍程度のとき、利得を4〜5dB上げることができる。
【0044】
C.第2実施例の変形例
また、図4(a)は、上述した第2実施例の変形例によるアンテナの略構成を示す概念図であり、同図(b)は、アンテナの等価回路を示す回路図である。図において、バンド部2a,2bには、各々、その長手方向に延びる略コ字状のアンテナ素子導線15a,15bが内蔵されており、給電端子16a,16bで電気的に接続されている。アンテナ素子導線15a,15bおよび給電端子16a,16bからなるアンテナにおいて、有効に動作するときの素子の長さは、それぞれ長さL1,L2(L1<L2)と異なっており、その間は間隔dだけ離れている。このアンテナの特性は、上述した図3に示すものと同様であるので、説明を省略する。
【0045】
D.第3実施例
次に、図5(a)は、本発明の第3実施例によるアンテナの略構成を示す概念図である。また、図5(b)は、アンテナの等価回路を示す回路図であり、同図(c)は、上記等価回路を模式的に示す概念図である。図において、バンド部2a,2bには、各々、その長手方向に延びる2本のアンテナ素子導線17a,18a、17b,18bが間隔dを離して内蔵されており、それぞれが給電端子20a〜20dを介して給電部である無線回路部6に電気的に接続されている。また、上記アンテナ素子導線18aに接続された給電端子20bと給電部6の間には、移相器21が介挿されており、該移相器21を用いて、同相の半波長アンテナの代わりに、位相の異なる半波長アンテナとして作用させている。
【0046】
本第3実施例では、前述した図3,図4に示すアンテナにおいて、バンド部2a,2bの寸法(幅)の制約から間隔dが確保できない場合、図5(c)に示すように、位相を余計にずらした波形をアンテナ素子導線18a,18bに印加することで、間隔dを短くしても、適当なアンテナ特性(例えば、間隔dを利得が大きい5λ/8〜3λ/4)を得ることができるので、第1および第2実施例と等価のアンテナを構成できる。
【0047】
E.第4実施例
次に、図6(a)は、本発明の第4実施例によるアンテナの略構成を示す概念図であり、同図(b)は、アンテナの等価回路を示す回路図である。図において、バンド部2a,2bには、各々、その長手方向に延びる2本のアンテナ素子導線21a,22a、21b,22bが間隔dを離して内蔵されており、一対のアンテナ素子導線21a,21bのみが給電端子23a,23bを介して給電部である無線回路部6に電気的に接続されている。他のアンテナ素子導線22a,22bは、負荷ZLを介して直列接続され、給電されているアンテナ素子導線21a,21bの近傍に(間隔dで)配設されている。給電されているアンテナ素子導線21a,21bの近傍には、強い電磁界が生じるので、その近くにアンテナ素子導線22a,22bを配設すれば、直接給電しなくても、電流が流れ、アンテナ素子として作用する。すなわち、上記給電されないアンテナ素子導線22a,22bは、「反射器(reflector)」、または「導波器(director)」として作用する。
【0048】
上述したアンテナ全体の入力インピーダンス、すなわちアンテナ素子導線21a,21bの端子から見た入力インピーダンスは、次式で示される。
【0049】
【数9】
【0050】
また、アンテナ素子導線21a,21bからなる半波長アンテナに対する利得Gh(θ,φ)は、次式で示される。
【0051】
【数10】
【0052】
したがって、無給電のアンテナ素子導線22a,22bの間に介挿されている負荷ZLの値を変えることにより、半波長アンテナの入力インピーダンスや利得を変えることができる。φ=0の方向で利得を上げるように負荷ZLを調節すれば、アンテナ素子導線22a,22bは「導波器」として作用し、また、φ=80の方向で利得を上げるように負荷ZLを調整すれば、素子導線22a,22bは、「反射器」として作用する。
【0053】
F.第4実施例の変形例
次に、図7(a)は、上述した第4実施例の変形例によるアンテナの略構成を示す概念図であり、同図(b)は、アンテナの等価回路を示す回路図である。本変形例では、図示するように、上記負荷ZLを「0」として無給電のアンテナ素子導線22a,22bを短絡し、いわゆる「八木・宇田アンテナ」の「反射器」を配設している。この場合には、よく知られているように、負荷ZLの代わりに、無給電のアンテナ素子導線22a,22bの長さを変えることで、負荷ZLを変えるのと同様に作用する。すなわち、無給電のアンテナ素子導線22a,22bの長さL2を、アンテナ素子導線21a,21bからなる半波長アンテナ(2L1=λ/2,L1=λ/4)に対して、長くしたり短くしたりして変えてみると、長さの変化に対して、全長が半波長に近い1本の導線の自己インピーダンスにおける抵抗分の変化は少ない一方、リアクタンス分の変化は大きい。また、相互インピーダンスZ21は、無給電のアンテナ素子導線22a,22bの長さL2の違いによって、あまり変化しないため、結局、長さL2を変えると、リアクタンスX22だけが変わるのと同等となる。
【0054】
すなわち、無給電のアンテナ素子導線22a,22bの長さL2がλ/4(すなわち、全長2L2がλ/2)の半波長アンテナに比べ、1倍以上では「反射器」として作用し、正面利得が6dBほど低下し、一方、長さL2がλ/4(すなわち、全長2Lが半波長)に比べ、0.8〜0.9程度と短いときには、正面利得が2〜3dB上がり、「導波器」として作用する。また、アンテナ素子導線が太いほど、短い長さで導波器となる。
【0055】
F.第4実施例の他の変形例
次に、図8(a)は、上述した第4実施例の他の変形例によるアンテナの略構成を示す概念図であり、同図(b)は、アンテナの等価回路を示す回路図である。当該変形例では、図7に示す無給電のアンテナ素子導線22a,22bに代えて、図8に示すように、半波長アンテナを構成するアンテナ素子導線21a,21bの長さより、0.8〜0.9程度短い長さを有する、無給電のアンテナ素子導線24a,24bを間隔d3だけ離して設けている。この無給電のアンテナ素子導線24a,24bは「導波器」として作用する。
【0056】
F.第4実施例の他の変形例
また、図9(a)は、上述した第4実施例の他の変形例によるアンテナの略構成を示す概念図であり、同図(b)は、アンテナの等価回路を示す回路図である。図において、バンド部2c,2dは、前述したバンド部2a,2bに対して、幅広のバンドであり、2列の穴が設けられている。該バンド部2c,2dには、それぞれ3本のアンテナ素子導線25a,26a,27a、25b,26b,27bが間隔d3だけ離れて内蔵されており、そのうち1対のアンテナ素子導線25a,25bは、給電部である無線回路部6に接続され、前述した半波長アンテナを構成しており、他の2対のアンテナ素子導線26a,26b、27a,27bは、無給電で、「導波器」を構成している。この場合、上記アンテナ素子導線26a,26b、27a,27bが「導波器」として作用する際に、電波の送信(あるいは受信)の方向に逆の指向性を持たせるには、アンテナ素子導線25a,25b(給電部も含む)とアンテナ素子導線26a,26bとの位置を入れ替えればよい。
【0057】
F.第4実施例の他の変形例
次に、図10(a)は、上述した第4実施例の他の変形例によるアンテナの略構成を示す概念図であり、同図(b)は、アンテナの等価回路を示す回路図である。図において、バンド部2c,2dには、それぞれ3本のアンテナ素子導線30a,31a,32a、30b,31b,32bが内蔵されており、そのうち略中央のアンテナ素子導線31a,31bは、給電部である無線回路部6に接続され、前述した長さL1の半波長アンテナを構成しており、アンテナ素子導線30a,30bは、アンテナ素子導線31a,31bの近傍に間隔d2だけ離して配設され、アンテナ素子導線32a,32bは、アンテナ素子導線31a,31bの近傍に間隔d3だけ離して配設されている。
【0058】
また、アンテナ素子導線30a,30bによる有効長は、半波長アンテナの長さL1より長く、長さL2となっており、アンテナ素子導線32a,32bは、半波長アンテナの長さL1より短く、長さL3となっている。アンテナ素子導線30a,30bは、1本の反射器として作用し、アンテナ素子導線32a,32bは、1本の導波器として作用する。言い換えると、本変形例では、3素子の一般的な「八木・宇田アンテナ」をバンド・アンテナとして構成したものである。本変形例では、半波長アンテナに対して、アンテナ素子導線32a,32bの間隔d3や長さL3を変えることにより、入力インピーダンスや利得を変えることができる。また、導波器の本数を増やすことで、利得を上げることができる。本変形例によれば、上記3素子(反射器+導波器+アンテナ)で、通常の半波長アンテナに比べ、利得を4〜6dB程度上げることができる。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、本体を利用者に装着するためのバンド部の長手方向に、可塑性を有する導電体で、長手方向に流れる電流の分布が中心点に対して対称になるように、中心点から給電される給電アンテナ素子導線を設け、ダイポールアンテナを構成するようにしたので、以下の効果が得られる。
(1)バー・アンテナを用いないので、超短波帯以上の高周波電波を使用する無線機器にも使用できる。
(2)また、イヤホン兼用のひも型アンテナのように、使用時に取り付けたり、巻き出したりする必要がなく、使い勝手が向上する。
(3)また、ループを構成しないので、バックル部の構造や製造が簡単になり、容易に製造できる。
(4)また、利用者の腕の太さ等に影響を受けないので、アンテナ長が変化せず、一定の長さにできるので、アンテナ特性や無線装置の感度や性能、安定性を向上できる。
(5)また、アンテナのパラメータを容易に調整できるので、使用状況に応じて、所望の受信感度や安定した受信や通信を行うことができる。
(6)また、バンドの寸法(幅)の制約から第1の給電アンテナ素子導線と、第2の給電アンテナ素子導線の間隔が確保できない場合でも、位相を余計にずらすことにより、適正なアンテナ特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による携帯無線機器用アンテナを適用した腕時計型無線機器の構成を示す正面図および断面図である。
【図2】本第1実施例によるアンテナの略構成を示す概念図および等価回路を示す回路図である。
【図3】本発明の第2実施例によるアンテナの略構成を示す概念図および等価回路を示す回路図である。
【図4】本第2実施例の変形例によるアンテナの略構成を示す概念図およびアンテナの等価回路を示す回路図である。
【図5】本発明の第3実施例によるアンテナの略構成を示す概念図、等価回路および概念図である。
【図6】本発明の第4実施例によるアンテナの略構成を示す概念図および等価回路を示す回路図である。
【図7】本第4実施例の変形例によるアンテナの略構成を示す概念図および等価回路を示す回路図である。
【図8】本第4実施例の他の変形例によるアンテナの略構成を示す概念図および等価回路を示す回路図である。
【図9】本第4実施例の他の変形例によるアンテナの略構成を示す概念図および等価回路を示す回路図である。
【図10】本第4実施例の他の変形例によるアンテナの略構成を示す概念図および等価回路を示す回路図である。
【符号の説明】
1 本体部
2a,2b バンド部
3 バックル部
1b 表示部
1c,1c スイッチ
4 遊環
3a 突棒
5 穴
6 無線回路部
7a,7b 給電端子
10a,10b アンテナ素子導線(給電アンテナ素子導線)
11a,11b 台座
12a,12b アンテナ素子導線(給電アンテナ素子導線)
13a,13b アンテナ素子導線(第2の給電アンテナ素子導線)
14a,14b 給電端子
15a,15b アンテナ素子導線(給電アンテナ素子導線、第2の給電アンテナ素子導線)
16a,16b 給電端子
17a,17b アンテナ素子導線(給電アンテナ素子導線)
18a,18b アンテナ素子導線(第2の給電アンテナ素子導線)
20a〜20d 給電端子
21 移相器(移相手段)
21a,21b アンテナ素子導線(給電アンテナ素子導線)
22a,22b アンテナ素子導線(無給電アンテナ素子導線、反射器)
23a,23b 給電端子
ZL 負荷
24a,24b アンテナ素子導線(無給電アンテナ素子導線、導波器)
2c,2d バンド部
25a,25b アンテナ素子導線(給電アンテナ素子導線)
26a,,26b アンテナ素子導線(複数の無給電アンテナ素子導線、導波器)
27a,27b アンテナ素子導線(複数の無給電アンテナ素子導線、導波器)
30a,30b アンテナ素子導線(複数の無給電アンテナ素子導線、第2の無給電アンテナ素子導線)
31a,31b アンテナ素子導線(給電アンテナ素子導線)
32a,32b アンテナ素子導線(複数の無給電アンテナ素子導線、第1の無給電アンテナ素子導線)
Claims (3)
- 本体に設けられたバンド部によって、利用者に装着される携帯無線機器の送受信用アンテナとして用いられる携帯無線機器用アンテナにおいて、
前記バンド部の長手方向に、
可塑性を有する半導体であって、導電体の長手方向に流れる電流の分布が中心点に対して対称になるように、電力を供給する給電部により中心点から給電される第1の給電アンテナ素子導線と、
前記第1の給電アンテナ素子導線と平行となるように所定の間隔を離して、誘電体の長手方向に流れる電流の分布が中止点に対して対称になるように前記給電部により中心点から給電され、かつ、前記第1の給電アンテナ素子導線に対して位相の異なるアンテナとして作用する第2の給電アンテナ素子導線とを設けたことを特徴とする携帯用無線機器用アンテナ。 - 前記第2の給電アンテナ素子導線と前記給電部の間に位相手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の携帯無線機器用アンテナ。
- 前記第2の給電アンテナ素子導線は、前記第1の給電アンテナ素子導線と一体成形されていることを特徴とする請求項1又は2記載の携帯無線機器用アンテナ。
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