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JP3581402B2 - 皮革の加色方法及び皮革の加色装置 - Google Patents

皮革の加色方法及び皮革の加色装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、鞣製後の革及び毛皮からなる皮革に対して行われる染色や塗装等の加色方法に関するものであって、とくに高精度の画像形成を可能とし、しかも堅牢性や屈曲性、または対摩耗性にも優れた皮革の加色方法、加色装置及びこの加色処理を終えた後に加工される皮革又は皮革製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に皮革は、動物から剥いだ生皮を脱毛し、鞣して得られる革、さらには毛をつけたままで鞣した毛皮の総称として定義されている。この中で原皮から鞣すまでの工程をいう準備工程から鞣製工程は、工業的には次のような工程を経て行われる。まず動物から剥いで得られる原皮に対し、水漬け、裏打ち、脱毛・石灰漬け、分割、垢出し、再石灰漬け、脱灰・酵解、浸酸の各工程(準備工程)を経た後に、皮に柔軟性や耐熱性を付加した革とするための鞣しを施す。また脱毛をせずに鞣しまで行えば毛皮を得る。通常これらの鞣製工程に続いて染色・加脂・味入れ・ステーキング・塗装などの仕上げ工程を経た後に、最終製品たる皮革製品となる。
【0003】
また皮革製品は、その皮革自身が持つ風合いを生かし、多種多様の分野で利用されている。例えば靴などの履物類、衣料、手袋、ベルトなどの服飾類、鞄、トランク、財布などの旅行用具類、ベルト、ガスケットなどの工業用部品、椅子、自動車用座席シートなどの家具類、その他、馬具、楽器、剣道用具など広範囲にわたっており、各分野において、いろいろな動物の原皮、鞣し方法が適用されている。そしてこれら応用範囲が広いということは、用途に応じて求められる耐久性や堅牢性も各種生じてくるものでもある。
【0004】
従来このような点については、鞣し・染色・加脂によって風合いを作り出し、さらにその後に、一般に仕上げ工程と呼ばれる乾燥・塗装などによって耐久性や堅牢性などをより上げていく方法がとられている。ここで塗装工程の基本的な工程は、前処理、下および中塗り、上塗りがある。ただし皮革の用途や美的効果の種類により、これらの工程の手法は種々あるので、すべてがこの順であるとは限らない。
【0005】
従来から行われている革に対する加色(主として染色)には、ドラム染色、ハスペル染色、刷毛染色、スプレー染色などの方法があるが、一般にはドラム染色で行われている。更に表面染色か浸透染色かによって、それぞれに応じた染色助剤を添加する方法も一般的にとられている。これらは、いずれも染めむらを防止するために行われている手法である。表面染色の場合には、あらかじめカチオン系の染着促進剤で処理してから染料を添加し、また浸透染色の場合には、この逆に染浴にアンモニア水を染着促進剤として加えて染色浴のpHを高くする手法がとられている。すなわち、表面染色ではカチオン系染着助剤の存在により、革に染色液が接触した際に、そこで染料を速やかに凝集させて革内部に染料が進行しないように調整するものであり、逆に浸透染色では、鞣した後の革が、一般にpHは3から5程度で低いことを考慮して、多くの染色液が革に引き寄せられるようにpHを高くするものである。
【0006】
しかしながら、従来の染色工程は、いずれも皮革を染浴糟にじゃぶ漬けすることで、皮革が許容できる染着量よりも多くの染料をいったん保持させて、その後水洗い工程などで、余分な染料や皮革に確実に保持されていない染料を洗い流すものである。このため、従来の染色工程は、染料の無駄や工程の複雑化を免れるものではなく、十分な染料固着を達成できるものではない。しかも、従来の染色法は、大量の染色液の中に皮革を漬け、その後、染着し得なかった染料は洗い流しているため、染色液の量に対して染着促進剤の量は相対的に低いものでしかなく、染浴糟中に染着促進剤が混じり、染色液の染料濃度が低下する問題も発生する場合が見られる。
【0007】
【解決すべき技術課題】
そこで本発明者は、従来の皮革に対する加色技術の問題を解決できる構成としてインクジェット加色技術に着目したところ、特公平6−2991号公報に、毛皮の毛に対するインクの噴射方向を規定した技術を見いだすことができたものの、詳細な技術内容について記載した文献等を見いだすことができなかった。また、従来の皮革に対する加色工程を改善すべく、他分野である布帛への染色分野を見ると、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウム、酢酸カルシウム等によりあらかじめアルカリ処理を施した布帛に反応性染料を含有するインクを用いてインクジェット方式で着色し、その後100℃付近の蒸気の存在下で、反応性染料の分子と布帛中のセルロース分子との間で、それぞれの官能基を反応させ、共有結合を起こすことで染料を固着させ、この結果、堅牢性を発現させる方法が、通常の方法として知られている。しかし、この技術を皮革に応用すると、皮革自身が高熱には弱いため、このような処理を行うと風合いを損なうという致命的な問題を生じることが判明した。
【0008】
いずれにしても、本発明者は、インクジェット技術を皮革の加色に応用することは、高精細の画像を作り出すことができ、しかもカラー色を所望の部分に確実に形成できる利点があることは、皮革産業界、ファッション界にとって皮革の販売を拡張できる大きな市場拡大に好転できる利点があるものと判断して研究を重ねたが、任意の画像を各種の皮革上に、鮮明に、しかも高精度に描き出すことができたものの、以下の課題に直面した。
【0009】
つまり、皮革の表面を保護するとともに、その美観を高めることを目的とした、皮革の仕上げ工程、特に塗装における前処理、下および中塗りには、水系の含浸および皮膜形成をなす材料がよく利用されており、インクジェットによってプリントを行った後には、加脂を経るとしても、プリント画像に水が直接に接触する機会は多い。これに対し、インクジェット用のインクとしては水溶性の染料を利用したものが多く、通常はそのプリント画像は水に強いとは言い難い。したがって上記のような仕上げ工程を実施する場合、インクジェットプリントが終了したのみでは、仕上げ作業時に画像中の染料が仕上げ処理剤の中の水に溶け出し、濃度低下や滲みなどによる画像劣化が発生してしまう。
【0010】
従って、本発明は、上記皮革に対するインクジェット加色を行う場合の、皮革特有の問題を解決し、高画質、高精細、高水準耐水性を達成しつつ、加色剤の無駄や固着剤の無駄をなくした皮革の加色方法及び装置を得供することを主たる目的とするものである。
【0011】
本発明者は、皮革の高水準耐水性を達成できる現象を追求したところ、従来には検討されていない、色材固着剤に必要な皮革特有の特性を見出したことに重要な意義があり、本発明はこれを基本として、更に好ましい条件を持つ皮革の加色方法及び装置を得供することを他の目的とするものである。
【0012】
尚、皮革を作る際に、風合いを出すために重要である鞣し工程で、現在最も多く行われている方法としてはクロム鞣しがあるが、このクロム鞣しを行った皮革は一般に青色がかった色となりやすい。インクジェットで高精細画像のプリントを行う場合には、従来の太鼓による染色とは異なり、多量の染料で画像形成させるということは、滲みなどの画像劣化を引き起こし好ましくない。したがってプリントする画像の種類によっては、皮革生地の色の影響を受けやすいという課題も生ずる。本発明は、この課題をも解決できる皮革の加色方法及び装置発明を提供するものである。
【0013】
さらには、従来の染色方法は、染色後の色合いが薄い場合には再度染浴に漬けることもできたが、インクジェットを利用する場合には絵柄が多くなるので再加色するようなことは、絵柄の位置合わせが困難であってあまり行えない。この点からも噴射して皮革に与えた色材はすべて固着させる必要が生ずる。従って、本発明は、従来とは全く異なる点に解決法を見出したものであって、公知技術の延長上にはない、新規な皮革の加色方法及び装置発明を提供するものである。
また、本発明は、今までにない新しいデザインが施された皮革や皮革製品を提供することをさらに他の目的とするものである。
【0014】
【本発明の概要】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は従来困難とされていた皮革に対する高精細画像の加色を可能とし、しかもその加色画像自身に十分な耐久性、特に耐水性を付加することで、従来から行われている仕上げ処理に対しても何等制約を加えることなしに、皮革製品まで作製できることを達成したものである。これによって、今までにない新しいデザインの皮革製品を創出し、新たな皮革の応用・展開の分野をより拡大するものである。
【0015】
すなわち本発明の主な特徴としては、鞣製工程を経た皮革に対し加色を行う工程を有する皮革の加色方法において、上記加色工程として、色材を含有する液状インクを所定情報に応じた液滴にして微細なノズルを有するインクジェットヘッドより噴射することにより300dpi以上の密度で分割されたドットで画像形成することにより上記皮革に加色を行う噴射加色工程と液滴噴射される液状インクの色材と反応し且つ皮革に対して浸透できる色材固着剤を上記皮革に付与して浸透させる浸透工程を有することである。
【0016】
そして、本発明は好ましい条件として、上記液状インクの色材はアニオン性色材を有し、上記浸透工程の色材固着剤はカチオン性物質を含む液体であること、または上記液状インクの色材はアニオン性色材で、上記浸透工程の色材固着剤はカチオン性物質を含む液体であり、上記浸透工程では該液体に更にカチオン性の高分子物質を含んでいることを挙げることができる。
【0017】
また、本発明の別の好ましい条件として、上記鞣製工程を経た皮革は、加色工程の前において、液状インクの浸透を調整するインク受容層が前記皮革の加色面に設けられているもの、あるいは、上記浸透工程は、上記噴射加色工程と同時期の工程、または上記噴射加色工程の後続工程であることを挙げることができる。
【0018】
なお、本発明で言う皮革は、主に天然皮革を指し、一般に定義されている脱毛後に鞣した革、及び脱毛を伴わない毛皮との総称で示すこととする。また加色とは、従来から一般的な技術用語として使用されている、単色あるいは複色の、染色、塗装、着色等を含んだ総称である。したがって、加色の操作の後、色の素となる色材は、皮革の内部に浸透した形態、皮革の表層部付近にのみ付着あるいは一部浸透した形態、皮革の表面上に積層された形態など、いずれの形態も含むものである。さらに皮革の加色される面は、銀面、肉面のいずれかに限定されるものではなく、どちらの面においても本発明は同様に適用されるものである。なお、本発明でいう加色工程は、色材を含有する液状インクを所定情報に応じた液滴にして噴射することにより行うが、これを実現するには、インクジェット方式を利用すことがもっとも好ましく、またインクジェット方式により、主に多色画像を皮革上に表現することをいう。
【0019】
そして本発明によれば、画像形成のために液状インクを所定情報に応じた液滴にして、皮革上に噴射して行う噴射加色工程と、その液滴で噴射される液状インクの色材と反応し且つ皮革に対して浸透できる色材固着剤を、上記皮革に付与して浸透させる浸透工程を有することにより、次のような効果が得られる。
【0020】
すなわちこの液状インクが皮革に接触し、付着又は浸透していく間、あるいはそれらが完了して染着した際、またはその後に、この液状インク中に含有されている色材と、皮革中に浸透して存在する色材固着剤とが接触し、その瞬間に色材を不溶化、すなわち色材の固着がなされる。このため、その後は、この皮革に水等が付着して色材を再溶解あるいは移動させ得る事態が生じても、濃度低下や滲みの変化などによって画像を乱すことが起こらないものである。このような作用から、色材固着剤は、噴射加色すべき皮革中にあらかじめ付与して浸透させる場合、噴射加色操作中に皮革へのインク噴射と同時に付与して浸透させる場合、あるいは噴射加色が終了した後に付与して浸透させる場合、いずれでも効果を発現させることが可能である。したがって、上記の液状インクによる噴射加色工程及び色材固着剤の浸透工程それぞれの実施順序としては、どちらが先でもかまわないし、同時でもよい。さらにこの2種の工程の間における時間の差についても、特に限定するものではない。すべてにおいて同等の効果を発現させることが可能である。
【0021】
なお前述したように、噴射加色工程、すなわち液状インクを液滴噴射する際にはインクジェット方式で行うことが好ましいが、通常インクジェット方式で使用し得る色材には、各種の染料や顔料がある。これらは程度に差はありながらもアニオン性を呈するものが多いので、上記本発明の浸透工程で用いる色材固着剤に、この色材とは極性が逆であるもの、すなわちカチオン性であるものを用いることにより、これら色材と色材固着剤が電気的な引力で接触し、この両者の間でイオン結合による反応が起こり、その結果色材をより強固に固着し、不溶性とすることができる。このアニオン性を有する色材としては、酸性染料、直接染料、金属錯塩染料、反応染料等、または一部の顔料等がある。染料の場合は水やアルコールに溶けやすいものが多く、使用も容易である。一方、顔料の場合は通常溶剤に不溶で皮革そのものには染着性を示さないため、合成樹脂によるエマルジョン形態で分散状態にして通常使用する。また、これら染料と顔料とを混合して用いることも可能である。
【0022】
一方皮革は、その元となる皮状態の際に動物の内臓を保護していたものであり、またそれ自身呼吸を行っていたものであることから、非常に水分を多く含んでいたものであって、吸水性は比較的高いものであるといえる。
【0023】
インクジェットプリント方式によって加色を行う皮革としては、鞣し後に水絞りや乾燥を施したものであることが好ましいが、このような工程を経ても、元来皮の状態でもっていた性質により、少々の水分は革の状態でももっていると考えられる。したがって色材固着剤がカチオン性物質を含むとともに、液体の状態で構成されていれば、上記のいずれの色材固着剤の皮革への付与形態であっても、その色材固着剤は皮革内に浸透し、色材固着剤とインク中の色材とを十分に接触させることは可能であり、効果を発現できるものである。
【0024】
続いて本発明を実施するにあたり、加色されてできた画像の品位向上や定着促進のために、加色工程の前に液状インクの浸透を調整することが可能なインク受容層を設けることも有効である。一般に皮革といっても、その動物の種類や鞣し方法の種類によって種々のものが存在しており、それに伴い液状インクを噴射して画像を形成しようとしても、インクが加色面上に到達した後に画像定着が行われるまでの間で、そのインクの浸透の仕方や加色面上でのインクの広がりかたは多種多様である。従って使用する皮革によってはインク受容層の存在によって、これらの特性を調整することが有効である。これによって皮革自体への染色とその高濃度化を総合的に達成できるもので、インク受容層自体をも皮革に対して定着しやすく、それゆえ、皮革全体として高品質化が達成できる。さらに加色領域が部分的である場合には、高濃度を維持するという観点からもより効果がある。
【0025】
また皮革、さらにいうならば天然皮革では、生皮の状態のときに存在していた表面、とくに銀面における毛穴や、各種のしわ等により、凹凸や、大きなくぼみの影響が残っている場合が少なくなく、このまま加色を行うと、それらの影響でインクが集中して、濃度むらを生じさせる。あるいは、凹凸や大きなくぼみに対して加工工程で平滑化処理を施した後に染色を行う場合でも、完全な平滑化がなされることは難しいため、インク受容層の存在によりこの影響を軽減させる効果もある。さらには、加色操作が終了した後に行う仕上げ工程の際の、機械的外力に対する画像保持の点でも有効である。
【0026】
これらインク受容層を設けるにあたり、具体的な材料および構成は特殊な技術を必要とするものではないが、用いるインク溶媒が水系の場合は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース等の水溶性樹脂が好適である。さらには液状インクの滲み状態をより調整しやすくするために、粒子集合体で構成することも有効であり、エマルジョンを塗布・乾燥させて、その分散粒子を残存させたり微粒子を添加したりすることもできる。ここで使用できる材料としては、スチレン・アクリル共重合体、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル・アクリル共重合体、酢酸ビニル・ベオバ共重合体、酢酸ビニル・マレート共重合体、酢酸ビニル・エチレン共重合体、酢酸ビニル・エチレン・塩化ビニル共重合体、エポキシ樹脂等を乳化させたエマルジョン、または、コロイダルシリカ、アルミナゾル等の無機微粒子類の分散体などを用いることが可能である。ほかに特性の調整のために各種界面活性剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、分散剤、粘度調整剤、pH調整剤、防かび剤、可塑剤などの公知の添加剤を加えてもよい。
【0027】
以上述べたインク受容層としては、単一の材料でも2種類以上の材料の混合系でも使用でき、あるいは1層で設けても2層以上で設けてもよい。またインク受容層を設ける方法としてもバーコーターやロールコーター、ドクターブレード等を用いて塗布する方法やスクリーン印刷の手法、またはフィルム状に形成した上記材料を圧着させる方法など、各種の方法が可能である。これらインク受容層の有無や、使用する材料および層構成などは、加色を行おうとする皮革の種類、加色面の平滑状態、湿潤状態、および加色画像等によって適切に選択・実施すればよい。
【0028】
続いて本発明の具体的な、好ましい態様としては、鞣製工程を経た皮革に対し加色を行う工程を有する皮革の加色方法において、上記加色工程として、アニオン性色材を含有する液状インクを所定情報に応じた液滴にして微細なノズルを有するインクジェットヘッドより噴射することにより300dpi以上の密度で分割されたドットで画像形成することにより上記皮革に加色を行う噴射加色工程及び、分子量2000以上20万以下のカチオン性の高分子物質と、前記液状インクの色材と反応でき且つ皮革に対して浸透できる分子量1000以下のカチオン性の物質との混合物を主成分とする色材固着剤を上記皮革に付与して浸透させる浸透工程を有するものである。
【0029】
先にも述べたように、本発明ではアニオン性の色材とカチオン性の色材固着剤との間でイオン結合による反応を起こさせるものであるが、この反応を効率よく生じさせるために、分子量2000以上20万以下のカチオン性の高分子物質と、液滴噴射される液状インクの色材と反応でき且つ皮革に対して浸透できる分子量1000以下のカチオン性の物質との混合物を主成分として色材固着剤を構成するとより好ましいことを本発明者は見いだした。なお以下の説明において、簡易化のために、分子量2000以上20万以下のカチオン性の高分子物質を『カチオン性高分子物質』、分子量1000以下のカチオン性の物質を『カチオン性低分子物質』と呼ぶことにする。なおここで高分子物質の分子量は、一般によく用いられている重量平均分子量で規定する。
【0030】
これらの物質によって起こる具体的な反応の機構を以下に説明する。
【0031】
まず反応の第1段階としては、加色のための液状インク中に溶解あるいは分散の状態で含まれているアニオン性色材と色材固着剤中のカチオン性低分子物質との間でイオン的相互作用により会合を起こし、瞬間的に溶液相から色材の分離を起こす。続いて反応の第2段階として、上述した色材とカチオン性低分子物質の会合体が、色材固着剤のもう一方の成分であるカチオン性高分子物質に吸着され、会合により生じた色材の凝集体の大きさがさらに大きくなる。この結果、色材の凝集体は、液体とは完全に分離した固体状態となりうる。これと同時にここで生成した色材の凝集体は、粘性が非常に大きくなり液媒体の動きとともに移動することがなくなる。したがって、上記凝集体は本質的に水不溶性と変化し、形成された画像の色材の固着は完全なものとなる。
【0032】
これら色材固着剤の主成分のうちの1つであるカチオン性低分子物質は、色材との間でイオン的相互作用により会合体を形成するべく機能するが、この会合体の形成反応速度は極めて速い必要がある。このことを満たすカチオン性低分子物質の具体例としては、1級、2級乃至3級アミン塩型の化合物、具体的にはラウリルアミン、ヤシアミン、ステアリルアミン、ロジンアミン等の塩酸塩、酢酸塩;第4級アンモニウム塩型の化合物、具体的にはラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム等;ピリジニウム塩型化合物、具体的にはセチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムブロマイド等;イミダゾリン型カチオン性化合物、具体的には2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン等;高級アルキルアミンのエチレンオキサイド付加物、具体的にはジヒドロキシエチルステアリルアミン等;が好ましい例として挙げられる。
【0033】
さらに本発明では、このカチオン性低分子物質として、あるpH領域においてカチオン性を有する両性界面活性剤も使用できる。その具体例としては、アミノ酸型両性界面活性剤;R−NH−CH −CH −COOH型の化合物;ベタイン型の化合物、具体的にはステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン等のカルボン酸両性界面活性剤;この他、硫酸エステル型、スルホン酸型、燐酸エステル型等の両性界面活性剤等が挙げられる。これらの両性界面活性剤を使用する場合には、布帛上で記録液と混合した場合に、等電点以下のpHになるように調整する必要がある。
【0034】
以上、分子量1000以下のカチオン性低分子物質の例を挙げたが、本発明で使用することができる物質は必ずしもこれらの例に限定されるものではない。なお、本発明では、上記低分子量範囲のカチオン性物質のうち、分子量が100から700の範囲にあるものが界面活性能があり、色材との反応も速い。そしてこのような低分子物質(単量体)を溶液中に存在させるため、皮革に付与した際には浸透性をもつものである。
【0035】
次に色材固着剤の主成分のもう1つの成分であるカチオン性高分子物質であるが、これは前述したように液状インク中の色材とカチオン性低分子物質の会合体を分子中に吸着せしめ会合で生じた色材の凝集体の大きさをさらに大きくし、固液分離により色材の不溶化を促し、耐水性を実現させるよう機能する。このことを満たすカチオン性高分子物質の具体例としては、ポリアリルアミン塩、ポリアリルスルホン、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ポリアミンスルホン塩、ポリビニルアミン塩、キト酸酢酸塩等の水溶性カチオン性高分子等が使用可能であるが、これらに限定されるわけではない。また通常はノニオン性であっても、その物質の一部にカチオン性基を付加したものを用いることもできる。具体例としては、ビニルピロリドンとアミノアルキルアルキレート4級塩との共重合体、アクリルアミドとアミノメチルアクリルアミド4級塩との共重合体をあげることができるが、もちろんこれらの例に限定されない。更にこれらの物質は水溶性であれば申し分ないが、ラテックスやエマルジョンのような分散体であってもよい。また水溶性以外のものであっても、皮革素材を侵さない溶媒であれば、これらに限定されるものではない。これらカチオン性高分子物質の分子量は2000以上であれば本発明を実施する際にその効果が出てくるが、好適には2000から20万である。この範囲を越えると、皮革内での浸透が不均一になることがあり、表面に部分的な皮膜状部分として残ったり、色材との間で適切な凝集体を形成しなくなったりする場合がある。とくに100万程度の分子量になると塗膜状態を形成し、皮革の風合いを落とすのみならず、色材の凝集体が表層部のみに密集し、仕上げ工程時に機械的外力ではがれ、色おちを引き起こすことにもなりかねない。
【0036】
以上述べたように本発明の好ましい態様のように、カチオン性高分子物質及びカチオン性低分子物質を主成分として色材固着剤を構成する場合、これ以外に必要に応じて界面活性剤等を加えてもよい。例えば、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等があげられる。
【0037】
さらに本発明である皮革の加色方法のより好ましい特徴としては、この色材固着剤の固形分付与量が、前記皮革の単位面積当たり0.01g/m 以上5g/m 以下の範囲内の量とすることであり、さらには、前記皮革の単位面積当たり0.05g/m 以上3g/m 以下の範囲内の量とすることである。その上、上記鞣製工程を経た皮革は、コンビネーション鞣しによって白色化された皮革であって、このコンビネーション鞣しは、具体的にはアルミニウム鞣し、ジルコニウム鞣し、チタン鞣し、又はシリカ鞣しを利用したコンビネーション鞣しであることが好ましく、これらに加え、前記色材固着剤の付与は、インクジェットヘッドを介して行われることが好ましい。
【0038】
上述したもので構成される色材固着剤の皮革に対する付与量としては、一般的な塗布量の規定方法で定義すると、皮革の加色面の単位面積(本発明における単位面積は、表面に微細な凹凸があった場合、その凹凸部分は含めず、投影面積でいうものである)を1m とした際に、固形分で0.01g/m 以上5g/m 以下の範囲が合理的な条件として挙げることができる。より好ましくは0.05g/m 以上3g/m 以下の範囲がよい。付与量が0.01g/m よりも少ない場合には、インクの付与量や皮革の状態によりわずかに異なるものがあるが、液状インクが皮革に到達してもすべての色材を凝集させるには不十分となることもあり、また付与量が5g/m よりも多い場合には皮革内へのインクの浸透を部分的に疎外する場合がある。逆に0.05g/m 以上3g/m 以下の範囲内であれば、画質自体をも一層安定して良質な品質に維持でき、色材の固着保持も極めて高水準にすることができる。ほかに、この色材固着剤が、皮革の全体に付与されている必要は必ずしもなく、少なくとも液状インクが噴射・付着される部分に付与されていれば十分に効果を発現できるものである。これまでにも触れてはいるが、皮革の場合、風合いという独特の性質が重要視されるため、この色材固着剤の付与量も最低限の範囲に抑えておくことはより好ましいものである。この点からも、上記の付与量、すなわち0.01g/m 以上5g/m 以下の範囲内の条件で行えば、風合いも皮革として好ましい状態にすることができる。
【0039】
さらに、色材固着剤の皮革への付与状態として、本発明では、浸透させることを特徴としているが、皮革の厚さ方向に対して厳密に均一としなければならないわけではなく、相対的に表面近くで密な状態でもよく、皮革の厚さ方向で、色材固着剤の分布状態に多少の勾配をもっていても機能上は支障がない。
【0040】
このような範囲で色材固着剤の付与を行う際の方法及び手段あるいは装置としての部分構成には、公知の塗布方法や噴霧方法を利用することができる。具体的にはバーコーターやドクターブレード等による塗布方式、へらや刷毛を使用した塗装方式、スプレーガン等による噴霧方式、あるいは加色中に専用のインクジェットヘッドより噴射させる方式などが挙げられる。とくに噴射加色操作中にインクジェットヘッドで噴射させる場合には、加色画像の存在しない部分には付与させないようにすることが可能であり、色材固着剤の付与を必要最小限に抑えることができる。
【0041】
次に、加色を行う皮革に関してであるが、これについてはとくに特定するものではなく、原皮の種類や鞣し方法の種類において、いずれのものにも適用できるものである。原皮は食肉用に供された後の副産物として利用されるので、一般的に数量が多いものとしては、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、シカなどの哺乳類であるが、ほかにもダチョウなどの鳥類、ウミガメ、オオトカゲ、ニシキヘビ、ワニなどの爬虫類も皮革として利用されており、本発明ではこの中で限定を加えるものではない。鞣し方法に関しても従来から行われているものには各種の方法があり、皮革製品とする際の形態や用途に応じてそれぞれ適切な鞣し方法がとられている。この鞣し方法として現在主流をなすものとしては、クロム鞣しおよびタンニン鞣しがあげられる。しかしこれ以外にも次に述べるような各種のものがある。
【0042】
鞣し方法としては、まずクロム鞣しで代表される無機系の鉱物鞣剤を利用するもの、タンニン鞣しで代表される有機系の植物や合成品による鞣剤を利用するもの、および油脂系の鞣剤を利用するものに大きく分けられる。ほかにこれらの鞣し方法を組み合わせて行われるコンビネーション鞣しが現在では多く利用されている。その他に姫路白鞣革や甲州印伝革で代表されるような、古くから伝承されてきた鞣し方法も数多くある。本発明においてはこれらの鞣し方法は何れも適用可能である。
【0043】
上記の鞣し方法の中で、鉱物鞣剤を利用する方法としては、クロム鞣し、アルミニウム鞣し、ジルコニウム鞣し、チタン鞣し、第2鉄塩鞣しなどがある。また有機系鞣剤を利用する方法としては、植物タンニン鞣し、アルデヒド鞣しなどがある。さらにナフタレン系合成鞣剤、フェノール系合成鞣剤、樹脂鞣剤等の合成鞣剤を利用した鞣し、セーム革に代表される油脂鞣しなどである。
【0044】
本発明でインクジェットプリントによって皮革への噴射加色を実施する場合、その発色する色は、生地の影響を受けて変わる可能性があるため、できるだけ鞣し後の生地の色は白色に近いほうが好ましい。鞣し後において、その生地の色が白色を呈するものとしては、アルミニウム鞣し、シリカ鞣し、ジルコニウム鞣しなどによるもの、またはホルムアルデヒド鞣しとアルミニウム鞣し、クロム鞣しとジルコニウム鞣し等の組み合わせによるコンビネーション鞣し、あるいはクロム鞣し後にチタン酸化物等の白色塗料による白色化や植物タンニン鞣し後に漂白処理を行う白色化が従来から知られている。これらが好適に利用可能である。
【0045】
これまで説明してきたように、本発明の皮革の加色方法を実施することにより、高精細な画像を皮革上に実現可能になるが、ここで液状インクを噴射するインクジェットプリント装置について説明する。
【0046】
本発明に使用されるインク噴射手段としてのインクジェットプリント装置は、画像を300dpiや360dpiあるいはこれ以上の600dpi等の密度に分割されたドットで構成し、それらの個々のドットを微細なノズルから噴射される着色された液滴で媒体である天然皮革に着弾させることができるため、ドット単位の着色で鮮明に達成でき、しかも均一な色調が得られるので、画像全体としても均一なものとすることが可能である。また、インクジェット装置は、非接触で行われるプリント装置であるため、皮革表面の平滑性および皮革の背面の支持等において、厳密な均一性を必ずしも保つ必要性はなく、さらに複数色の液滴を1回の工程で付着させることが可能で、その後に行われる皮革処理工程に対しても非常に大きな時間短縮につながるものである。
【0047】
また、インクジェットプリント装置においては、インク噴射手段の複数のノズル列をインクの噴射と共に皮革に対して相対的に移動させて加色を行うことで、一層の高密度化や加色領域の鮮明さを向上できる。このことから、皮革表面の特定部分領域にのみ、インク噴射による単色或は複合色による画像やマークを特定色で形成できるので、部分的な特色領域を強調、あるいはぼかした領域にすることも可能である。さらに、この逆に、部分的な特色領域のみに前述のインク受容層及び密着層の形成をマスク等で異ならせることによって、インク噴射による加色領域を一層強調することができる。ほかに、インク噴射による皮革表面の加色の利点を挙げれば、皮革表面上で毛穴やしわ等の非平滑部分が存在していても、その部分のみインクの噴射量を調節して、他の部分(平滑部分や周辺領域)との色むらや色抜けが生じないようにすることもできる。逆に、皮革表面が均一でも、インク付与量をプログラムやシステムのホスト上での画像処理等で調整あるいは変更することで、所望の濃度分布や階調を得ることが可能で、従来の皮革への加色方法の欠点を補うことができる。
【0048】
インクジェットプリント装置によるインクの噴射において、従来普通紙を用いて記録を行う場合には、解像性の低下、色間の滲み出し、裏抜け及び定着時間増大などの点でインクの最大打込量は制限されるので、通常はインクの最大打ち込み量は水系インクの場合には16〜28nl/mm 程度に収める様に設計するのが一般的である。しかしながら、本発明のように皮革への加色の場合には、皮革の材質や厚み、さらには皮革がもつ吸水性等により、さらに多くのインクを与えることも可能である。具体的には、通常の2倍以上の16〜50nl/mm 程度でも鮮明な画像とすることができる。特に、加色としての記録における周波数に対応する印字速度よりも小さい印字速度で高密度記録、たとえば1/2の印字速度で倍密度記録したり、同一の記録領域を複数回の記録走査で重ね印字したり、インクの吐出量を増加させるためのインクジェットヘッド駆動制御により各種の画像表現が実現できる。
【0049】
インクジェットプリント方式としては、荷電制御型、ピエゾ素子による噴射装置、発熱素子による噴射装置等が採用できるが、この中でも発熱素子による噴射装置は記録ヘッドの高密度化を行いやすいという点で好適である。
【0050】
さらに本発明の別な形態としては、これまで説明した加色方法及び加色装置に対し、インク噴射加色がなされた皮革及び皮革製品、さらにはインク噴射加色がなされた皮革の加色表面に堅牢性を向上させるべく、保護層を有する皮革及び皮革製品をも含むものである。以後、実施例により本発明を具体的に説明していく。
【0051】
【実施例】
(実施例1)
本発明による皮革への具体的な加色方法について述べる前に、本発明に使用するインクジェット加色装置に関してまず説明する。
【0052】
図2は本発明によるインクジェット加色装置の加色部分の主要部を示す概略図である。この図において、1はインクジェット加色装置、2は加色される皮革を示す。鞣製工程を終えた皮革は元来定形ではないため、この図2のように端部は直線性を持たないが、加色装置の基本的な動作説明を簡略にするため、便宜上、端部を直線状にしている。またこの加色装置は、ほとんどの皮革に対して使用可能とするために、大型の装置を構成している。通常皮革の大きさとして、幅は1m以下であるものがほとんどであるため、この加色装置においても皮革2として幅1mまでを搭載可能としている。
【0053】
まずここで加色の最も重要部分であるインクジェットヘッド10は、液状インク噴射のための多くのノズル(不図示)を持っている一つのインクジェットユニットを4個ならべたものであり、キャリッジ12に設けられている。さらにこのインクジェットヘッド10に、液状インクを供給できるようにしたインク供給装置11を、キャリッジ13に設けている。そしてこれらはチューブ14を介して接続することによって、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色のインクを、それぞれインク別に仕切られた部屋に充填して、インク供給装置11からインクジェットヘッド10へのインク供給を行っている、また電装系15からインクジェットヘッド10へ送られてくる信号によって、2つのキャリッジはフレーム枠16に取り付けられたガイドレール17およびガイドレール18に沿って、図2の矢印A方向に往復移動して走査するとともに、インクジェットヘッド10から画像信号に応じたインクの噴射を開始し、皮革2に加色可能としている。そして皮革2は2つのキャリッジの往復移動のたびに、矢印B方向に順次搬送され全体に加色がなされていく。
【0054】
続いてこのインクジェット加色装置1を用いて加色が行われる皮革2について図1に基づき説明する。
【0055】
原皮として羊を用い、これに通常の準備工程を施した後、ホルムアルデヒド鞣しを行う。その後水絞り・シェービングを行ってアルミニウム鞣剤による再鞣し、続いてオリーブ油による加脂を行う。このようなコンビネーション鞣しを終了した羊革を乾燥させ、加色用とする。このようにしてできた革は弾力性が高く、白色度も高いものであり、インクジェットによる多色の加色には好適である。続いてこの皮革に対して、以下に示す色材固着剤(a)をスプレーガンを用いて銀面全体に噴霧し、約50℃の熱風で2分間乾燥後、加色用の皮革2とする。なお以下の説明において、特に断らない限り『部』表記は重量基準とする。
【0056】
Figure 0003581402
【0057】
このようにしてできた皮革2には、上記色材固着剤(a)の固形分は内部に浸透されており、またその付与量は0.1g/m であった。しかもこの色材固着剤(a)による処理前に対し、風合い及び白色度は全く損なわれていなかった。
【0058】
続いてこの色材固着剤(a)の処理を終えた皮革2に、図2のインクジェット加色装置1を用いて加色を行う場合の動作を説明すると、以下のとおりである。本実施例に使用している皮革は羊であるため、非常に柔軟性が高いとともに伸張性があるため、搬送補助部材に設置した後にインクジェット加色装置1に搭載する。図3にこの様子を示す。ここで搬送補助部材3は、伸び率の低い加硫ゴムでできた平坦なシート31の一方の面全体に、比較的弱い接着性の接着剤32を塗布しているものである。この接着剤32は、皮革2がずれないように固定する目的で設けているのみであるので、皮革2が自重ではがれ落ちない程度の接着性でよく、このことから皮革2を加色が終了した後に取り去る場合にも損傷を与えるものではない。
【0059】
次にこの皮革に対しインクジェット加色を行うが、ここで使用されるインクとしては、以下のインク(A)からインク(D)の組成をもつ。
【0060】
Figure 0003581402
【0061】
Figure 0003581402
【0062】
Figure 0003581402
【0063】
Figure 0003581402
【0064】
なおそれぞれのインクは、全成分を混合してから2時間撹拌した後、フロロポアフィルターFP−100(商品名、住友電工製)にて加圧濾過して得る。
【0065】
図3のように搬送補助部材3に積層した皮革2を、インクジェット加色装置1に装着するには、まず搬送補助部材3の背面(皮革2が張り合わされていない面)の一端をプラテン19に合わせる(装着部は不図示)。その後、別に用意されている画像信号発生装置から電装系15に供給されてくる画像信号より、インクジェットヘッド10の各ノズルごとのインク噴射タイミング信号を作り出し、加色のためのインクを皮革2に噴射する。そしてインクジェットヘッドの1回の走査が終了するたびに、その際に加色を行った幅の分だけ皮革2を矢印Bの方向に移動させる。以下この動作を繰り返すことによって、皮革2上に順次加色部分21が現れ、最終的に皮革2の全面にわたって加色を完了する。できあがった皮革2の加色面は非常に高精細なフルカラー画像であり、さらに羊革の場合、それ自身が比較的、水を吸収しやすい性質があるため、インクの浸透も十分で余計なにじみのない鮮明なプリントを実現することができた。
【0066】
この加色が終了したら、皮革2と搬送補助部材3の接合体をインクジェット加色装置1から取り外し、続いて搬送補助部材3より皮革2をひきはがす。この状態で、あらかじめ皮革2に噴霧していた色材固着剤(a)が噴射されたインク中の染料と反応し、染料を水に対して不溶化状態に変化させているため、この後は通常の仕上げ処理に移すことが可能な状態になっている。
【0067】
この後に従来から行われている仕上げ工程に移行する。これには、まず水性ポリウレタンエマルジョンを塗布するが、すでに色材固着剤(a)の作用により染料は水に対して不溶化状態となっているため、全く画像を乱すことはなかった。次いでナイロン樹脂やカゼイン等によってさらに仕上げ剤を塗布、ラッカーの上塗りを行って終了する。このように完了することで、羊革の風合いは全く変化せずに、高濃度、多色柄の革につくりあげることができた。
【0068】
(実施例2)
皮革として実施例1と同じ羊革を用い、その皮革自身には何も付与せずに、そのままの状態で実施例1と同様にしてインクジェット加色までを行う。加色が終了し、搬送補助部材3からとりはずされた羊革は、加色面においては、すでにインクは乾燥、定着が終了している。続いて以下に示す色材固着剤(b)を用意する。
【0069】
Figure 0003581402
【0070】
この色材固着剤(b)を上記羊革の加色面にスプレーガンによって、一様に噴霧し、全体で色材固着剤(b)の固形分が0.8g/m となるようにした。続いて50℃で3分間乾燥させる。このように水溶液からなる色材固着剤(b)を加色後に付与する場合には、液だれを防止する意味で処理液粘度が高いほうが好ましいので、この例ではカチオン性高分子物質の分子量を高く設定している。
【0071】
そして、ここまでの加色ずみの羊革の上から実施例1と同様にして仕上げ処理を行った。できあがった羊革は、風合い、画像濃度、画像の色合い、画像滲みのすべてにおいて加色直後の状態を維持したままで仕上がった。
【0072】
(実施例3)
皮革として実施例1と同じ羊革を用意する。次に下記の色材固着剤(c)を用意する。図1で示したインクジェット加色装置中のインクジェットヘッド10にインクジェットヘッドユニットをもう一つ追加した形態にし、これに伴って、インク供給装置11にも仕切られた部屋をもう一つ追加した形態とする。追加したインク供給装置11の追加した部屋の中に下記の組成をもつ色材固着剤(c)を充填し、そこからチューブを介して追加したインクジェットヘッドユニットに接続し、この色材固着剤(c)も4色の液状インクと同様に噴射可能な構成とする。
【0073】
Figure 0003581402
【0074】
この場合実施例1及び実施例2とは異なり、色材固着剤(c)もインクジェットヘッドから噴射するという点で、溶液粘度をなるべく下げるため、カチオン性高分子の分子量は低く設定し、さらに噴射の補助成分を添加している。
【0075】
このような構成のもとに、上述の皮革自身を、何も付与せず、そのままの状態で実施例1と同様にしてインクジェット加色を行う。この加色動作のためのキャリッジの往復動作の際、上述の追加したインクジェットヘッドユニットからも色材固着剤(c)を同時に噴射し、加色面に付与する。このような形態の場合には加色面において、インクと色材固着剤(c)とがほぼ同時に起こっているものである。したがって、加色が終了し、搬送補助部材3からとりはずされた羊革は、加色面においては、すでに染料の不溶化は達成できている。
【0076】
以上のようにしてできた加色ずみの羊革の上から実施例1と同様にして仕上げ処理を行った。できあがった羊革は、風合い、画像濃度、画像の色合い、画像滲みのすべてにおいて問題が生ずるものではなく、非常に高精細な画像が加色された皮革となった。
【0077】
(実施例4)
原皮として成牛を用い、これに通常の準備工程を施した後、クロム鞣しを行う。その後水絞り・シェービングを行ってチタン酸化物からなる白色塗料で白革とし、加脂・乾燥させた後、加色用とする。この牛革の場合、風合いとしてはある程度の硬さを持ち、伸びにくいので、図2のインクジェット加色装置に対して、そのままで搬送を可能とすることができる。したがって、図3のような搬送補助部材を使用せず、直接に図2のインクジェット加色装置に搭載する。この皮革の搭載に先立ち、以下の色材固着剤(d)を刷毛塗りにより銀面に塗装、50℃で3分間の乾燥後、色材固着剤(d)の固形分の付与量が1.0g/m となるように調製を行った。
【0078】
Figure 0003581402
【0079】
このようにしてできあがった牛革2の背面(肉面)の一端を、図2のプラテン19に合わせて装着する(装着部は不図示)。その後は実施例1と同様にして加色動作を行わせる。
【0080】
この加色が終了したら、皮革2をインクジェット加色装置1から取り外す。この状態で、あらかじめ皮革2に塗装していた色材固着剤(d)が噴射されたインク中の染料と反応し、染料を水に対して不溶化状態に変化させているため、この後は通常の仕上げ処理に移すことが可能な状態になっている。
【0081】
この後の仕上げ工程では、まず水性のカゼインを主成分とした仕上げ剤、続いて合成樹脂からなる中塗り剤、最後にラッカーの上塗り剤を、それぞれカーテンコーターにて塗布し、その後アイロンプレスにより完成させた。できあがった革の画像乱れは全くなく、また加色前に色材固着剤を付与したことによる風合いの変化も全く感じられなく、鮮明な多色プリント革とすることができた。
【0082】
(実施例5)
加色用の革として前述の牛革を用いる。続いてこの牛革に以下に示す処理液を用い、密着層及び透過層を、銀面側からロールコーターにてそれぞれ塗布、50℃、2分間の乾燥で2g/m ずつ設け、インク受容層を形成する。
【0083】
Figure 0003581402
【0084】
Figure 0003581402
【0085】
この状態より、図2のインクジェット加色装置に、実施例4と同様にして装着後、加色動作を行う。この加色が済んだ後に、実施例4で使用した色材固着剤(d)をスプレーガンで全面に噴霧、その後40℃で3分間乾燥させる。
【0086】
次いで実施例4と同一の仕上げ工程を経てプリント革を完成させた。できあがった革は、加色前にあらかじめインク受容層を形成してあったため、細部にわたって非常に画像の忠実性が高く、また加色後に色材固着剤を付与したことで、その画像を仕上げ工程において乱すことも全くなかった。さらに風合いに関しても問題を起こすことはなかった。
【0087】
(実施例6)
図4は、皮革の加色動作と色材固着剤の噴射を同一装置内で行い、しかもこれら一連の操作を連続して行わせるように構成したインクジェット加色装置を示す。ここで4はインクジェット加色装置、5は加色される皮革である。このインクジェット加色装置の動作は、基本的には実施例1で述べたものと同様である。インクが噴射されるインクジェットヘッド40は、複数のノズルを配列してなるインクジェットヘッドユニットを4個ならべて構成されており、さらにこのインクジェットヘッド40はインクを収納しているインクタンク41と直接に結合された一体型カートリッジをなしている。このインクタンク41内は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色のインクをそれぞれ充填する、インク別に仕切られた部屋があり、チューブを介さずに、直接にインクジェットヘッド40へ液状インクを送り出す機構をとっている。図4の中で、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色のインクを充填する部屋の部分に、それぞれK、C、M、Yの記号を付している。このインクジェットヘッド40ならびにインクタンク41はキャリッジ42に設けられ、不図示の電装系よりインクジェットヘッド40に送出されてくる信号によって、キャリッジ42はガイドレール43およびガイドレール44に沿って、図の矢印C方向に往復移動して走査するとともに、インクジェットヘッド40から画像信号に応じたインクの噴射を開始し、皮革5に加色可能としている。そして皮革5はこのキャリッジの往復移動のたびに、矢印E方向に順次搬送され全体に加色がなされていく。なお、ここで使用されるインクとしては、以下のインク(E)からインク(H)の組成のものである。
【0088】
Figure 0003581402
【0089】
Figure 0003581402
【0090】
Figure 0003581402
【0091】
Figure 0003581402
【0092】
なおそれぞれのインクは、全成分を混合してから2時間撹拌した後、フロロポアフィルターFP−100(商品名、住友電工製)にて加圧濾過して得る。
【0093】
一方、このキャリッジ42の往復移動と平行で、皮革5の搬送方向上流側に設けられた、D方向への往復移動を行うキャリッジ47には、1つのインクジェットヘッドユニットから構成されるインクジェットヘッド45と、それに結合されるタンク46が載置されている。このタンク46内には、実施例3で示した色材固着剤(c)が充填され、インクジェットヘッド45へ供給されるようにしている。そしてインクジェットヘッド40による皮革5への加色動作に連動し、適切なタイミングをとりながら、キャリッジ47はガイドレール48およびガイドレール49に沿って、キャリッジ42と同じ速度で往復移動する。そしてここでは、皮革5の加色面に、色材固着剤(c)を、全ノズルより噴射するように構成している。以上のようにこの例では、インク及び色材固着剤はいずれも鉛直下方向に噴射するようにしている。
【0094】
また皮革5の搬送は、図4のインクジェット加色装置4を含め、図5で示す機構をもっている。すなわち、あらかじめ皮革5は、空気の吸引によって皮革を非加色面から吸着する吸着装置6を備えており、この吸着装置6はレール61に沿って図5のE方向に相当する方向へ移動する機構をもっている。加色操作を開始するために、まず皮革5を吸着装置6に設置し、不図示の駆動源によって空気の吸引が一定時間始まり、皮革5を吸引して固定すると共に平坦にならして吸着状態を得る。ついで吸着装置6を、皮革5の先端がインクジェットヘッド40にさしかかるまで矢印E方向へと送り出し、加色動作を開始する。その後はキャリッジ42の一回の往復動作が行われるごとに、インクジェットヘッド40の加色幅だけ、吸着装置6に設置された皮革5を矢印E方向へ順次送り出す。インクジェットヘッド49からの色材固着剤の噴射は、先に説明したように、この加色動作に連動して行われ、加色されたインク中の染料が固着・不溶化されていく。これら一連の加色及び色材固着剤の噴射が終了すると、吸着装置6に設置された皮革5は、乾燥炉7へと搬送され、ここで50℃、3分間の乾燥が行われることにより、色材固着剤の不用な溶媒成分が蒸発していく。吸着装置6がこの乾燥炉7を出たあとは、皮革5の吸引を解除して、動作を完了する。
【0095】
このような構成によって、クロム鞣しを終えた牛革に対して加色を行う。なお加色前の処理としては、前述の実施例5と同様にしてインク受容層を設けておく。加色装置を経た皮革5は、次いで実施例4と同一の仕上げ工程によってプリント革に完成させた。できあがった革は、加色前にあらかじめインク受容層を形成してあったため、細部にわたって非常に画像の忠実性が高く、また加色とともに色材固着剤を付与していたので、その画像を仕上げ工程において乱すことも全くなかった。さらに風合いに関しても問題を起こすことはなかった。また加色から色材固着剤の付与・乾燥までを一連の操作で実施できたため、処理時間も短縮することが可能となった。
【0096】
このような装置によって加色を行えば、皮革の装着も容易であり、また操作も簡便で、確実に処理を実施することができる。またこれに加え、インク受容層の塗布や、仕上げ工程の塗装剤なども同一の流れの中で行うようにシステム化すれば、皮革処理の自動化にも有効である。
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、従来人手と時間を要して、しかも多色による絵柄ができにくかった皮革への加色を、液状インクの噴射、とくにインクジェットプリント方式で実現し、さらに仕上げ工程において懸念となるときがある耐水性をも、有効な色材固着剤の付与によって解決した。これにより、多色はもちろん、高精細の画像が得られ、また全体の処理時間の短縮も可能である皮革への加色方法および加色装置を実現した。したがって、従来の皮革の用途に対して、何等制限をつけることなく、高画質・高品質の皮革製品を得ることができ、従来にはなかった新しい皮革への展開もはかることが可能となった。それと共に、少量多品種の生産も可能であり、市場の細かな要求にも対応可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における加色の工程を示す流れ図である。
【図2】本発明の実施例におけるインクジェット加色装置の主要構成図である。
【図3】本発明の実施例におけるインクジェット加色装置で皮革を固定するための部材を示す図である。
【図4】本発明の別の実施例におけるインクジェット加色装置の主要構成図である。
【図5】図4のインクジェット加色装置の動作を説明する説明図である。
【符号の説明】
1、4 インクジェット加色装置
2、5 皮革
3 搬送補助部材
6 吸着装置
7 乾燥炉
10、40、45 インクジェットヘッド

Claims (18)

  1. 鞣製工程を経た皮革に対し加色を行う工程を有する皮革の加色方法において、上記加色工程として、色材を含有する液状インクを所定情報に応じた液滴にして微細なノズルを有するインクジェットヘッドより噴射することにより300dpi以上の密度で分割されたドットで画像形成することにより上記皮革に加色を行う噴射加色工程と、該液滴噴射される液状インクの色材と反応し且つ皮革に対して浸透できる色材固着剤を上記皮革に付与して浸透させる浸透工程を有することを特徴とする皮革の加色方法。
  2. 上記液状インクの色材はアニオン性色材を有し、上記浸透工程の色材固着剤はカチオン性物質を含む液体である請求項1に記載の皮革の加色方法。
  3. 上記液状インクの色材はアニオン性色材で、上記浸透工程の色材固着剤はカチオン性物質を含む液体であり、上記浸透工程では該液体に更にカチオン性の高分子物質を含んでいる請求項1に記載の皮革の加色方法。
  4. 上記鞣製工程を経た皮革は、上記加色工程の前に前記液状インクの浸透を調整するインク受容層が前記皮革の加色面に設けられている請求項1乃至請求項3いずれかに記載の皮革の加色方法。
  5. 上記浸透工程は、上記噴射加色工程と同時期の工程、または上記噴射加色工程の後続工程である請求項1乃至請求項4いずれかに記載の皮革の加色方法。
  6. 前記色材固着剤の固形分付与量は、前記皮革の単位面積当たり0.01g/m以上5g/m以下の範囲内の量である請求項1乃至請求項5いずれかに記載の皮革の加色方法。
  7. 上記鞣製工程を経た皮革は、コンビネーション鞣しによって白色化された皮革である請求項1乃至請求項6いずれかに記載の皮革の加色方法。
  8. 上記鞣製工程を経た皮革は、アルミニウム鞣し、ジルコニウム鞣し、チタン鞣し、又はシリカ鞣しを利用したコンビネーション鞣しによって得られた白革である請求項1乃至請求項6いずれかに記載の皮革の加色方法。
  9. 前記色材固着剤の付与は、インクジェットヘッドを介して行われる請求項1乃至請求項8いずれかに記載の皮革の加色方法。
  10. 鞣製工程を経た皮革に対し加色を行う工程を有する皮革の加色方法において、上記加色工程として、アニオン性色材を含有する液状インクを所定情報に応じた液滴にして微細なノズルを有するインクジェットヘッドより噴射することにより300dpi以上の密度で分割されたドットで画像形成することにより上記皮革に加色を行う噴射加色工程及び、分子量2000以上20万以下のカチオン性の高分子物質と、前記液状インクの色材と反応でき且つ皮革に対して浸透できる分子量1000以下のカチオン性の物質との混合物を主成分とする色材固着剤を上記皮革に付与して浸透させる浸透工程を有することを特徴とする皮革の加色方法。
  11. 前記色材固着剤の固形分付与量は、前記皮革の単位面積当たり0.01g/m以上5g/m以下の範囲内の量である請求項10に記載の皮革の加色方法。
  12. 前記色材固着剤の固形分付与量が、前記皮革の単位面積当たり0.05g/m以上3g/m以下の範囲内の量である請求項10に記載の皮革の加色方法。
  13. コンビネーション鞣しによって白色化された皮革を用いて行う請求項10に記載の皮革の加色方法。
  14. アルミニウム鞣し、ジルコニウム鞣し、チタン鞣し、またはシリカ鞣しを利用したコンビネーション鞣しによって得られた白革を用いる請求項10に記載の皮革の加色方法。
  15. 前記色材固着剤の付与は、インクジェットヘッドを介して行われる請求項10に記載の皮革の加色方法。
  16. 請求項1乃至15のいずれかに記載の加色方法によってインク噴射加色がなされたことを特徴とする皮革又は皮革製品。
  17. 請求項1乃至15のいずれかに記載の加色方法によってインク噴射加色がなされた皮革の加色表面に仕上げ工程で保護層を付加した皮革又は皮革製品。
  18. 鞣製工程を経た皮革に対し加色を行う工程を実施する皮革の加色装置において、上記加色工程として色材を含有する液状インクを所定情報に応じた液滴にして微細なノズルを有するインクジェットヘッドより噴射することにより300dpi以上の密度で分割されたドットで画像形成することにより上記皮革に加色を行う噴射加色工程を実行するためのインクジェット手段と、上記加色工程として液滴噴射される液状インクの色材と反応し且つ皮革に対して浸透できる色材固着剤を上記皮革に付与して浸透させる浸透工程を実行するためのインクジェット手段とを有することを特徴とする皮革の加色装置。
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