[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP3579709B2 - ホーランダイト型光触媒および該触媒を用いた水中のフェノール除去方法 - Google Patents

ホーランダイト型光触媒および該触媒を用いた水中のフェノール除去方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3579709B2
JP3579709B2 JP994499A JP994499A JP3579709B2 JP 3579709 B2 JP3579709 B2 JP 3579709B2 JP 994499 A JP994499 A JP 994499A JP 994499 A JP994499 A JP 994499A JP 3579709 B2 JP3579709 B2 JP 3579709B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phenol
water
catalyst
hollandite
photocatalyst
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP994499A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000202303A (ja
Inventor
利之 森
遵 渡辺
潤 鈴木
憲次郎 藤本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute for Materials Science
Original Assignee
National Institute for Materials Science
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute for Materials Science filed Critical National Institute for Materials Science
Priority to JP994499A priority Critical patent/JP3579709B2/ja
Publication of JP2000202303A publication Critical patent/JP2000202303A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3579709B2 publication Critical patent/JP3579709B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W10/00Technologies for wastewater treatment
    • Y02W10/30Wastewater or sewage treatment systems using renewable energies
    • Y02W10/37Wastewater or sewage treatment systems using renewable energies using solar energy

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Physical Water Treatments (AREA)
  • Removal Of Specific Substances (AREA)
  • Treatment Of Water By Oxidation Or Reduction (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地下水、河川水、上下水道水、工業用廃水等に含まれる人体に有害な内分泌かく乱物質であるフェノールを内分泌かく乱物質ではない直鎖状化合物であるギ酸に転化することにより除去する水中のフェノール除去用光触媒と該触媒を用いた水中のフェノール除去方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フェノールは、炭素6員環を有する芳香族化合物であり、内分泌かく乱物質として問題視されている代表例であるビスフェノールAなどの基本骨格となる化合物であり、多くの芳香族化合物が内分泌かく乱物質としてあげられているなか、フェノール自体もその人体への影響が問題視されているのみならず、触媒反応においては、芳香族系内分泌かく乱物質の分解または除去反応性を知る上で、極めて重要なモデル物質である。
【0003】
従来、水中のフェノールを除去するための方法としては、オゾン酸化処理によりフェノールを酸化分解する方法や、微生物を用いてフェノールを分解除去する方法が考えられているが、前者の場合には、副生成物が多量に発生するという問題点を有しており、また、後者の場合には、微生物を扱うという技術的な面から、その処理費用や処理技術の難しさによリ未だ実用に至っていない。
【0004】
また最近になって、こうした問題点を克服するべく、TiO系光触媒を用いてフェノールを分解しようとする試みがなされているが、TiO系光触媒を用いてもべンゾキノンなどの芳香族化合物をはじめとした数種類の副生成物が発生することから、TiO系光触媒とオゾン酸化法の組み合わせなどが検討されている。しかし、この方法を用いることにより副生成物の発生は低減するが、オゾン酸化処理技術と組み合わせるという技術的な面から、光触媒を用いるメリットである処理の簡便性が損なわれる一方、完全には二酸化炭素以外の副生成物を無くすことはできないなどの問題点を有していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決し、例えば、地下水、河川水、上下水道水、工業用廃水などに含まれる人体に特に有害なフェノールを微量の光エネルギーにより除去する水中のフェノール分解用光触媒を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、水中に含まれるフェノールを溶存酸素の共存下において、微量の光エネルギーを用いて、水中から除去する触媒能力を持ち、かつ耐久性に優れた光触媒を開発するべく検討を続けた結果、一般式:Axy 8-y 16(式中、Aは、K,Rb,Cs,Ca,BaおよびNaからなる群より選ばれた1種または2種以上の元素、Mは、3価金属元素、Nは、ルチル型酸化物を形成する元素を示す。ただし、Na元素は、MがCrの場合に限る。xおよびyは、0.7<x≦2.0および0.7<y≦2.0を示す。)で表されるホーランダイト型結晶相からなる触媒が、水中に含まれるフェノールを溶存酸素の共存下において、微量の光エネルギーで選択的にギ酸に転化させて除去する能力が高く、耐久性にも優れるものであることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明の水中のフェノール除去用光触媒の組成は、一般式:Ax y 8-y 16(式中、Aは、K,Rb,Cs,Ca,BaおよびNaからなる群より選ばれた1種または2種以上の元素、Mは、3価金属元素、Nは、ルチル型酸化物を形成する元素、例えば、Ti,Sn,Mnである。TiO ,SnO またはMnO は代表的なルチル型酸化物である。ただし、Na元素は、MがCrの場合に限る。xおよびyは、0.7<x≦2.0および0.7<y≦2.0を示す。)で表され、ホーランダイト型結晶相からなる触媒でなければならない。
【0008】
ホーランダイト型結晶は、一次元トンネル構造を有する化合物である。トンネルイオンとしては、K等のアルカリ金属イオンあるいはBa等のアルカリ土類金属イオンがある。Naの場合には、Crと組み合わせて用いた場合のみホーランダイト型結晶構造をとることができるが、その他の元素と組み合わせた場合には、当該トンネル構造が失われ、フロイデンバ一ジャイト型結晶構造等となるので好ましくない。
【0009】
xおよびyの値は、それぞれ、0.7<x≦2.0および0.7<y≦2.0でなければならず、この範囲を上回るかまたは下回る場合には、アルカリ金属の酸化物または炭酸塩、アルカリ土類金属の酸化物または炭酸塩、3価金属の酸化物およびTiの酸化物が析出し、活性が著しく低下するために好ましくない。また、Baを用いる場合には、化合物中の電気的中性条件から、M=2価ならy=xであり、M=3価ならy=2xとすることが好ましい。
【0010】
アルカリ金属とアルカリ土類金属元素を組み合わせる場合にも、同様な理由から、0.7<x<1.2が好ましい。
【0011】
また、本発明の光触媒において用いられる3価金属元素としては、Al、Ga、またはCrがホーランダイト型結晶構造を作る上で好ましい。
【0012】
さらに、本発明の光触媒を用いた水中のフェノール除去方法では、この光触媒とフェノールを水中において、溶存酸素の共存のもと、光照射下において接触させることにより、水中の内分泌かく乱物質である芳香族系化合物であるフェノールを内分泌かく乱物質ではない直鎖状のギ酸に高効率に転化することにより除去することが可能である。照射する光の波長は、紫外線より長い波長の光を用いればよく、蛍光灯または太陽光を用いることも可能であるが、波長が長い分、反応速度が低下するので紫外線領域、特に360nm近傍の光を用いることが効果的である。
【0013】
さらに、こうした光触媒反応は、触媒表面上でフェノールと水中に溶解している溶存酸素が室温において反応することにより進行するが、酸素のバブリングなどにより、酸素を水中に送り込むことにより、酸素と触媒表面の接触を良くし、あわせて撹拌効率を向上させることも反応効率を向上させるためには有効である。
【0014】
水中におけるフェノールの排出基準は10ppm程度であり、この濃度のフェノールを除去するために必要とされる化学量論量の酸素の濃度も必然的に同程度の濃度となる。そのため、処理すべきフェノールの濃度から考えて、溶存酸素量が不足することが懸念される場合には、上記のとおり酸素のバブリングにより、円滑に反応を進めることが可能となる。
【0015】
本発明が対象とする水中のフェノールの濃度については特に制限はないが、共存させる酸素の飽和溶存量から、水中での含有量が10ppm以下の領域での使用が実用上好ましい。
【0016】
また、本発明によるホーランダイト型触媒に、光触媒活性な白金等の金属や酸化ルテニウムなどの酸化物を必要に応じて担持して光触媒として使用することも可能である。
【0017】
本発明における光照射方法についても特に制限はなく、触媒を固定化した反応管の内側からでも、外側からでも必要に応じて光照射を行うことが可能である。
【0018】
また、この触媒は、粉末として用いる他に、多孔質の触媒担体や石英ガラス管、石英ガラス基板上または代表的な光触媒であるTiOを繊維状にしたTiO繊維や、このTiO繊維を2次元的に編み込んだ布状試料、またはTiO繊維を3次元的に成形した成形体などの表面にホーランダイト型触媒をコーティングしてホーランダイト型結晶相の膜として用いることができる。
【0019】
膜として用いる場合には、ホーランダイト型触媒を分散させた水溶液または非水溶液に多孔質の触媒担体や石英ガラス管、石英ガラス基板または代表的な光触媒であるTiO繊維またはこのTiO繊維を2次元的に編み込んだ布状試料またはTiO繊維を3次元的に成形した成形体を浸けることにより膜を形成する方法などがとられる。
【0020】
一般式:Ax y 8-y 16(式中、Aは、K,Rb,Cs,Ca,BaおよびNaからなる群より選ばれた1種または2種以上の元素、Mは、3価金属元素、Nは、ルチル型酸化物を形成する元素を示す。ただし、Na元素は、MがCrの場合に限る。xおよびyは、0.7<x≦2.0および0.7<y≦2.0を示す。)で表される本発明の光触媒を構成するホーランダイト型触媒の製造方法も特に限定されるものではない。
【0021】
ホーランダイト型結晶相は、種々の方法により合成できることが知られている。例えば、固相合成法としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属元素の炭酸塩、酸化チタンおよび3価金属元素の酸化物を混合後、1200℃以上1500℃以下の温度で焼成する方法、液相法としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属元素の硝酸塩、塩化チタンおよび3価金属元素の硝酸塩などの無機塩水溶液を用いて、この混合溶液をアンモニア水またはアンモニア水とシュウ酸アンモニウム水溶液に滴下し、沈殿を得て、その沈殿を水洗、ろ過、乾燥した後、500℃以上1200℃以下の温度で焼成する共沈法、アルコキシド法としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属元素および3価金属元素のメトキシド、エトキシド、ブトキシドなどのアルコキシドを非水溶液中で混合し、加水分解、乾燥した後、800℃以上1200℃以下の温度で焼成して得ることができる。
【0022】
焼成温度については、1500℃以上の焼成温度でもホーランダイト型結晶構造は安定に生成するが、高温での焼成は、触媒の比表面積の低下を生じ、あまり好ましくない。また、焼成時間は、あまり長時間としても比表面積の低下を生じることから好ましくない。
【0023】
ホーランダイト型触媒の比表面積は、1m/g程度以上であれば、水中でのフェノールを溶存酸素共存下において除去することができる。この触媒のフェノール除去効率は、比表面積が大きいほど大きくなり、特に連続流通式で処理水量が多い処理装置になった場合には、比表面積が大きい方が好ましい。また、多孔体構造もフェノール除去効率に重要な影響を与え、特にメソポア領域に細孔分布を有する多孔体を用いることが有効である。
【0024】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例および比較例によって限定されるものではない。
【0025】
実施例1
組成がK1.7 A11.7 Ti6.3 16になるように、酸化チタン(キシダ化学株式会社製)、酸化アルミニウム(キシダ化学株式会社製)および炭酸カリウム(キシダ化学株式会社製)を秤量し、メノー乳鉢で30分混合した後、1200℃で2時間焼成することにより、ホ一ランダイト型K1.7 A11.7 Ti6.3 16の単相粉末を合成した。
【0026】
こうして得られた触媒のX線回折図を図1に示す。また、触媒活性評価試験はバッチ式の反応装置を用いて行った。すなわち、10ppmのフェノールを含んだ蒸留水1リットル中に触媒1gを入れ、撹拌しながら15W、360nmの紫外線を照射し、一定時間ごとの水溶液中のフェノールと副生成物濃度を分析することにより実施した。その試験結果を表1〜表3に示した。
【0027】
ただし、水中でのフェノール転化率、ギ酸生成率、べンゾキノン生成率、マレイン酸生成率およびグリオキシル酸生成率は、(1)式から(5)式で示される式により算出した。
【0028】
Figure 0003579709
ここで、
Ph :フェノールの初期濃度 (ppm)
Ph :t時間後のフェノール濃度(ppm)
ギ酸 :t時間後のギ酸濃度 (ppm)
ギ酸calc:フェノールが全てギ酸に変化した場合の生成量(ppm)
Bz :t時間後のべンゾキノン濃度(ppm)
Bzcalc:フェノールが全てべンゾキノンに変化した場合の生成量(ppm)
MA :t時間後のマレイン酸濃度(ppm)
MAcalc. :フェノールが全てマレイン酸に変化した場合の生成量(ppm)
GA :t時間後のグリオキシル酸濃度(ppm)
GAcalc. :フェノールが全てグリオキシル酸に変化した場合の生成量(ppm)
なお、各化合物の濃度は、高速液体クロマトグラフにより測定した。
【0029】
表1〜表3の結果から分かるように、フェノールは、反応初期に触媒表面に吸着したことにより、見かけの転化率が生じたのち、二酸化炭素には変化せず、フェノールの部分酸化生成物であるギ酸に転化していることを高速液体クロマトグラフにより確認した。また、この部分酸化反応(フェノール分子に酸素を挿入する反応)にともない、フェノールは、水中から除去されることが確認された。
【0030】
実施例2
組成がK2.0 Ga2.0 Sn6.0 16になるように、酸化ガリウム(キシダ化学株式会社製)、酸化スズ(キシダ化学株式会社製)および炭酸カリウム(キシダ化学株式会社製)を秤量し、メノー乳鉢で30分混合した後、1200℃で2時間焼成することにより、ホーランダイト型K2.0 Ga2.0 Sn6.0 16の単相粉末を合成した。
【0031】
ただし、触媒活性評価は、実施例1に準拠して行った。その結果を表1〜表3にあわせて示した。実施例1と同様に、フェノールは、反応初期に触媒表面に吸着したことにより、見かけの転化率が生じたのち、二酸化炭素には変化せず、フェノールの部分酸化生成物であるギ酸に転化していることを高速液体クロマトグラフにより確認した。また、この部分酸化反応(フェノール分子に酸素を挿入する反応)にともない、フェノールは、水中から除去されることが確認された。
【0032】
実施例3
組成がK1.8 Ga1.8 Sn6.2 16になるように、カリウムブトキシド(トリケミカル研究所製)、ガリウムブトキシド(トリケミカル研究所製)およびスズエトキシド(トリケミカル研究所製)を秤量し、脱水2−メトキシエタノールに溶解したのち、混合したのちゾル溶液を作製した。その後、この溶液に加水分解水を滴下し、加水分解を行った。加水分解ゲルは、乾燥・粉砕したのち、1100℃で3時間焼成することにより、ホーランダイト型結晶構造を有する単相粉末を合成した。
【0033】
得られた触媒は、比表面積が30m/gのメソポア多孔体であった。ただし、触媒活性評価は、実施例1に準拠して行った。その結果を表1〜表3にあわせて示した。実施例3の場合も、実施例1および実施例2の場合と同様に、フェノールは、溶存酸素による単純な酸化反応により二酸化炭素に変化する過程を経るのではなく、フェノールの部分酸化生成物であるギ酸に選択的に転化していることを高速液体クロマトグラフにより確認した。また、この部分酸化反応(メタノール分子に酸素を挿入する反応)にともない、フェノールは、水中から除去されることが確認された。
【0034】
実施例4
組成がK1.4 Ga1.4 Sn6.6 16になるように、カリウムブトキシド(トリケミカル研究所製)、ガリウムブトキシド(トリケミカル研究所製)およびスズエトキシド(トリケミカル研究所製)を秤量し、実施倒3の方法に準拠して、ホーランダイト型結晶構造を有する単相粉末を合成した。得られた触媒は、比表面積が38m/gのメソポア多孔体であった。また、触媒活性評価は、実施例1に準拠して行った。その結果を表1〜表3にあわせて示した。上記の実施例と同様に、フェノールの部分酸化生成物であるギ酸に転化していることを高速液体クロマトグラフにより確認した。また、この部分酸化反応(フェノール分子に酸素を挿入する反応)にともない、フェノールは、水中から除去されることが確認された。
【0035】
実施例5
組成がK1.8 Ga1.8 Mn6.2 16になるように、カリウムブトキシド(トリケミカル研究所製)、ガリウムブトキシド(トリケミカル研究所製)およびマンガンエトキシド(トリケミカル研究所製)を秤量し、実施例3の方法に準拠して、ホーランダイト型結晶構造を有する単相粉末を合成した。得られた触媒は、比表面積が30m/gのメソポア多孔体であった。また、触媒活性評価は、実施例1に準拠して行った。その結果を表1〜表3にあわせて示した。
【0036】
上記の実施例と同様に、フェノールの部分酸化生成物であるギ酸に転化していることを高速液体クロマトグラフにより確認した。また、この部分酸化反応(フェノール分子に酸素を挿入する反応)にともない、フェノールは、水中から除去されることが確認された。
【0037】
実施例6
組成がNa1.8 Cr1.8 Sn6.2 16になるように、ナトリウムブトキシド(トリケミカル研究所製)、クロミウムブトキシド(トリケミカル研究所製)およびスズエトキシド(トリケミカル研究所製)を秤量し、実施例3の方法に準拠して、ホーランダイト型結晶構造を有する単相粉末を合成した。得られた触媒は、比表面積が20m/gのメソポア多孔体であった。また、触媒活性評価は、実施例1に準拠して行った。その結果を表1〜表3にあわせて示した。
【0038】
上記の実施例と同様に、フェノールの部分酸化生成物であるギ酸に転化していることを高速液体クロマトグラフにより確認した。また、この部分酸化反応(フェノール分子に酸素を挿入する反応)にともない、フェノールは、水中から除去されることが確認された。
【0039】
比較例1
組成がK2.5 Al2.5 Ti5.5 16になるように、酸化チタン(キシダ化学株式会社製)、酸化アルミニウム(キシダ化学株式会社製)および炭酸カリウム(キシダ化学株式会社製)を秤量し、メノー乳鉢で30分混合した後、1200℃で2時間焼成して、粉末を得た。得られた粉末は、極微量のホーランダイト型結晶相と六チタン酸カリウムおよび酸化アルミニウムからなる混相であった。触媒の活性評価は、実施例1に準拠して行った。結果を表1〜表3にあわせて示す。
【0040】
比較例2
組成がK0.3 Ga0.3 Sn7.7 16になるように、酸化スズ(キシダ化学株式会社製)、酸化ガリウム(キシダ化学株式会社製)および炭酸カリウム(キシダ化学株式会社製)を秤量し、メノー乳鉢で30分混合した後、1200℃で2時間焼成して、粉末を得た。得られた粉末は、極微量のホーランダィト型結晶相と酸化スズおよび酸化ガリウムからなる混相であった。触媒の活性評価は、実施例1に準拠して行った。結果を表1〜表3にあわせて示す。比較例1、比較例2の組成の粉末では、光の照射時間が100時間後においても、フェノール除去機能は小さいものであった。
【0041】
比較例3
組成がK0.01Ga0.01Ti7.9916になるように、カリウムブトキシド(トリケミカル研究所製)、ガリウムブトキシド(トリケミカル研究所製)およびチタンエトキシド(トリケミカル研究所製)を秤量し、脱水2−メトキシエタノールに溶解したのち、各溶液を混合して出発ゾル溶液を作製した。その後、この溶液に加水分解水を滴下し、加水分解を行った。加水分解ゲルは、乾燥・粉砕したのち、1100℃で3時間焼成した。得られた触媒は、主としてルチル相と微量の酸化ガリウムからなる混合物であり、比表面積は20m/gであった。
【0042】
また、触媒活性評価は、実施例1に準拠して行った。その結果を表1〜表3にあわせて示した。結果は、表1〜表3から明らかなように、実施例の場合とは大きく異なり、フェノールは、ギ酸に転化せず、べンゾキノンといった芳香族系化合物をはじめ、マレイン酸、グリオキシル酸といった副生成物への転化が認められた。芳香族化合物であるフェノールが、同じ芳香族であるベンゾキノンなどへ転化していることから、比較例3の組成物の環境浄化機能面における有用性は、極めて低いものと考えられた。
【0043】
なお、表1〜表3において、比較例3の副生成物の生成率の合計が、フェノール除去率に一致しない部分が認められたが、その差分が二酸化炭素に転化したものと推察された。
【0044】
【表1】
Figure 0003579709
【0045】
【表2】
Figure 0003579709
【0046】
【表3】
Figure 0003579709

【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で調製された触媒のX線回折図である。

Claims (2)

  1. 一般式:Ax y 8-y 16(式中、Aは、K,Rb,Cs,Ca,BaおよびNaからなる群より選ばれた1種または2種以上の元素、Mは、3価金属元素Nは、ルチル型酸化物を形成する元素を示す。ただし、Na元素は、MがCrの場合に限る。xおよびyは、0.7<x≦2.0および0.7<y≦2.0を示す。)で表され、ホーランダイト型結晶相からなり、活性金属を担持せず、溶存酸素の共存下において選択的に内分泌かく乱物質であるフェノールを内分泌かく乱物質ではないギ酸に転化することによりフェノールを除去する性能を有することを特徴とする水中のフェノール除去用光触媒。
  2. 請求項1記載の光触媒とフェノールを水中において、溶存酸素の共存のもと、光照射下において接触させることにより、水中の内分泌かく乱物質であるフェノールを内分泌かく乱物質ではないギ酸に転化することにより水中から除去することを特徴とする水中のフェノール除去方法。
JP994499A 1999-01-18 1999-01-18 ホーランダイト型光触媒および該触媒を用いた水中のフェノール除去方法 Expired - Lifetime JP3579709B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP994499A JP3579709B2 (ja) 1999-01-18 1999-01-18 ホーランダイト型光触媒および該触媒を用いた水中のフェノール除去方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP994499A JP3579709B2 (ja) 1999-01-18 1999-01-18 ホーランダイト型光触媒および該触媒を用いた水中のフェノール除去方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000202303A JP2000202303A (ja) 2000-07-25
JP3579709B2 true JP3579709B2 (ja) 2004-10-20

Family

ID=11734115

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP994499A Expired - Lifetime JP3579709B2 (ja) 1999-01-18 1999-01-18 ホーランダイト型光触媒および該触媒を用いた水中のフェノール除去方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3579709B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4112162B2 (ja) * 2000-08-14 2008-07-02 独立行政法人科学技術振興機構 d10電子状態の金属イオンを含む酸化物を用いた光触媒
JP4480414B2 (ja) 2004-02-10 2010-06-16 株式会社キャタラー フィルタ触媒の製造方法
CN114945549B (zh) * 2020-01-14 2024-10-29 饭田集团控股株式会社 甲酸生成方法及甲酸生成系统
CN111841488B (zh) * 2020-09-10 2022-11-18 榆林学院 Ni-Al@γ-Fe2O3-Ni-Fe-LDHs吸附光催化剂的制备方法及其应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000202303A (ja) 2000-07-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Yamashita et al. Photocatalytic degradation of 1-octanol on anchored titanium oxide and on TiO2powder catalysts
CN110368924B (zh) 一种钛酸铋/铋/钒酸铋复合物光催化剂及其在光热催化净化有机气体污染物中的应用
Chen et al. Photocatalytic decolorization of methyl orange in aqueous medium of TiO2 and Ag–TiO2 immobilized on γ-Al2O3
JP2004024936A (ja) 可視光応答性バナジン酸ビスマス微粉末の新規合成法、新規な可視光応答性バナジン酸ビスマス微粉末からなる光触媒および可視光応答性バナジン酸ビスマス微粉末光触媒を用いた浄化方法
CN102357360A (zh) 一种光催化降解罗丹明b的催化剂及其制备方法
JP3742873B2 (ja) 光触媒およびこれを用いた水素の製造方法ならびに有害物質の分解方法
JPH10305230A (ja) 光触媒とその製造方法および有害物質の分解・除去方法
JP2004275946A (ja) ペロブスカイト型複合酸化物可視光応答性光触媒とそれを用いた水素の製造方法及び有害化学物質分解方法
JP3579709B2 (ja) ホーランダイト型光触媒および該触媒を用いた水中のフェノール除去方法
WO2011043496A2 (en) Copper ion-modified titanium oxide and process for producing the same, and photocatalyst
CN102500361A (zh) 一种三元异质结构光降解有机物催化剂TiO2-Bi2MoO6/Bi3.64Mo0.36O6.55及其制备方法
Tanigawa et al. Enhanced visible-light-sensitive two-step overall water-splitting based on band structure controls of titanium dioxide and strontium titanate
CN110801825B (zh) 强化{010}晶面钒酸铋与纳米片状氧化锌复合光催化剂的制备与应用
JP3051918B2 (ja) 水中の硝酸イオン分解用光触媒および硝酸イオン分解除去方法
JP3777417B2 (ja) ホーランダイト型光触媒による有機塩素化合物の高速分解除去方法
KR100489219B1 (ko) 실리카겔에 담지된 이산화티타늄 광촉매의 제조방법
JP3567004B2 (ja) 光触媒およびその製造方法
CN1905940A (zh) 可见光应答性复合氧化物系光催化剂及使用它的有害化学物质分解除去方法
JP3062740B2 (ja) 気相における一酸化窒素の還元分解・除去用光触媒及び該触媒を使用した浄化方法
Tan et al. Catalytic ozone oxidation of m-cresol by spirulina biochar-modified perovskite: Catalyst deactivation and in situ regeneration
JP2001259436A (ja) Fe2O3光触媒成分、光触媒および空気中窒素酸化物の除去方法
JP3721430B2 (ja) 水中有機塩素化合物浄化触媒
JP3837548B2 (ja) ビスマス系複合酸化物可視光応答性光触媒とそれを用いた有害化学物質分解除去方法
JP2003033661A (ja) 可視光応答性光触媒及びそれを用いた水素製造方法と有害化学物質分解方法
JP3803701B2 (ja) 水中に含まれる有機ハロゲン化合物除去用の光触媒および水中に含まれる有機ハロゲン化合物の除去方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040126

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040330

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040506

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040622

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term