JP3578342B2 - 自動車の車体構造 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車の前部車体構造に関し、さらに詳しくは、バンパ及びフェンダの組付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は四輪自動車の車体前部構造を示すものであって、同図において、1は車体の前部に取付けられるフロントバンパ、2はこのフロントバンパ1の上部に配設されるヘッドランプ、3はこのヘッドランプの側部に配設されるフェンダである。
【0003】
前記フェンダ3の前部部分は、上端に設けられた取付片4及び前方側の下端に突設された取付片5を締付箇所A及びBにおいて車体にそれぞれねじ止めすることにより車体に取付けられるようになっている。一方、フロントバンパ1は、その両側部の上端に設けられた取付片6等を締付箇所Cにおいて車体にねじ止めすることにより上述のフェンダ3とは別個独立に車体に取付けられるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の如き従来の車体前部構造では、フェンダ3の先端部分α(図4参照)は他の何れの部材にも固定されておらず、しかもこの先端部分αはフェンダ3の締付箇所A,Bから距離を置いて遠く離れているため、外力に対する剛性が充分でないという問題点がある。なお、フェンダ3の先端部分αの剛性を充分に大きくするためには、フェンダ3の構造を変更するか、或いは別の補強部材等を追加する必要を生じる。
【0005】
また、フロントバンパ1とフェンダ3とは互いに単独で車体に組付けられるので、これらの部材1,3の相互間の位置関係にばらつきを生じるおそれがある。このため、フロントバンパ1とフェンダ3との接合箇所の見栄え(見切り幅の外観)が悪くなる場合がある。
【0006】
本発明は、このような問題点を解消すべくなされたものであって、その目的は、特別な補強部材等を用いることなくフェンダの先端部分の剛性を充分に向上させることができ、しかもバンパとフェンダとの間の位置関係(組付関係)を一定に規制し得てこれらの部材の組付状態の下での外観性を良好にすることができるような構成の自動車の車体構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明では、フェンダの先端側の下部において車体前後方向にほぼ沿って延びるように設けられるフェンダ取付用の取付片の前部箇所に、車体前後方向にほぼ沿って延びるフランジ片を設けると共に、バンパの上端縁の裏面側にバンパ本体に対して車体後方側に向けて水平面をもつように屈曲されたリブを形成し、前記バンパの上縁部の側部において車体前後方向にほぼ沿って延びる切欠溝を前記リブに設け、前記フェンダを車体に取付けた後に、前記バンパを車体前後方向に移動させることにより前記切欠溝内に前記フランジ片を差込んで前記フェンダと前記バンパとの相対的な組付けをした状態の下でこれらの両部材を車体に取付けるように構成している。
また、本発明では、前記フランジ片及び前記切欠溝から成る差込係合部を前記フェンダと前記バンパとの接合箇所の見切り部分に設けるようにしている。
また、本発明では、フェンダ本体を屈曲成形することにより前記フランジ片を前記フェンダに設けると共に、前記バンパ本体を屈曲成形することにより前記リブを前記バンパに設けるようにしている。
また、本発明では、前記フランジ片及び前記リブを、前記フェンダ本体及び前記バンパ本体とは別部材としている。
【0008】
【作用】
フェンダのフランジ片をバンパの切欠溝に差込むのに伴い、前記フランジ片は切欠溝内において挾み込まれた状態となるため、これにより外力に対するフェンダの先端部分の剛性が向上し、充分な剛性が確保される。さらに、前記フランジ片及び切欠溝の相互間の位置決め作用により、バンパとフェンダとの相対的な組合せの位置関係を外観が良好な状態に規制することが可能となる。
【0009】
【実施例】
以下、本発明の一実施例について図1〜図3を参照して説明する。なお、これらの図において、図4と同様の部分には同一の符号を付すこととする。
【0010】
図1は本発明に係る車体構造を備えた四輪自動車10を示すものであって、この四輪自動車10の車体前部を構成するフロントバンパ1及びフェンダ3は次のような構成となっている。
【0011】
すなわち、図2及び図3に示す如く、フェンダ3の取付片5の前部箇所には、フェンダ本体3aを屈曲成形して成るフランジ片(差込片)11が設けられている。一方、フロントバンパ1の上端縁の裏面側にはフロントバンパ本体1aに対して車体後方側に向けて屈曲されたリブ12が設けられており、このリブ12の左右両側箇所には切欠溝13がそれぞれ設けられている。すなわち、実質的には、切欠溝13に対してフロントバンパ1の左右中央寄りのリブ部分(図3において切欠溝13の左側のリブ部分)が設けられることによって、このリブ部分とフロントバンパ本体1aとの間にフランジ片差込用の凹部が形成されている。なお、この切欠溝13は、前記リブ12の先端面12aにおいて開口され、車体前後方向にほぼ沿って延びるように形成されている。かくして、フェンダ3とフロントバンパ1の見切り部分に、前記フランジ片11及び切欠溝13から成る差込係合部14が構成されている(図3参照)。
【0012】
車体前部の組付けに際しては、まず、フェンダ3の車体への取付けを行い、このフェンダ3の取付後に車体へのフロントバンパ1の取付を行なう。さらに具体的に述べると、まず、フェンダ3を車体の側面の所定位置に組付けてフェンダ3の取付片4,5をスクリューにてそれぞれ車体に締付固定する。これにより、フェンダ3のフランジ片11が図2に示すように取付片5から車体前方に向けて突出された状態で、車体前後方向にほぼ沿って配置される。
【0013】
しかして、車体へのフェンダ3の取付けを完了した後に、フロントバンパ1の切欠溝13内(実質的に、図3において左側のリブ12部分とフロントバンパ1aとの間に形成された凹部内)に前記フェンダ3のフランジ片11が図3に示す如く差込まれるようにフロントバンパ1を車体に組付け、この状態の下でフロントバンパ1の取付片6等をスクリューにてそれぞれ車体に締付固定する。
【0014】
このようにしてフロントバンパ1を車体の前部に取付けるようにした場合、フロントバンパ1の組付時には、図3に示すように、前記切欠溝13の対向面13a,13b間にフェンダ3のフランジ片11が挾み込まれた状態となされるので、切欠溝13とフランジ片11との位置決め作用によりフロントバンパ1及びフェンダ3の相互間の位置規制がなされることとなる。そのため、フロントバンパ1とフェンダ3との位置関係にばらつきを生じてフロントバンパ1とフェンダ3との接合箇所の見栄え(見切り幅の外観)が悪くなるような不具合の発生を回避することができる。
【0015】
また、フロントバンパ1及びフェンダ3の取付状態の下では、前記切欠溝13による前記フランジ片11の挟込み作用により、フェンダ3の先端部分αの剛性が大幅に向上されることとなる。
【0016】
さらに、本例の場合、切欠溝13及びフランジ片11を具備せしめるための別部材を必要とせずに済み、従って部品点数の増加や、フロントバンパ1とフェンダ3の製造コストの大幅な増加を来さずに済むという利点もある。
【0017】
以上、本発明の一実施例につき述べたが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。例えば、既述の実施例では、フェンダ本体3a及びフロントバンパ本体1aをそれぞれ屈曲成形することによりフランジ片11及びリブ12を設けるようにしているが、必要に応じて、これらのフランジ片11及びリブ12を別部材にて構成するようにしても良い。また、本発明は、フロントバンパ1とフロント側のフェンダ3に限らず、リヤバンパとリヤフェンダとの組合わせ部分の車体構造にも適用できることは言う迄もない。
【0018】
【発明の効果】
請求項1に記載の本発明は、フェンダの先端側の下部において車体前後方向にほぼ沿って延びるように設けられるフェンダ取付用の取付片の前部箇所に、車体前後方向にほぼ沿って延びるフランジ片を設けると共に、バンパの上端縁の裏面側にバンパ本体に対して車体後方側に向けて水平面をもつように屈曲されたリブを形成し、バンパの上縁部の側部において車体前後方向にほぼ沿って延びる切欠溝をリブに設け、フェンダを車体に取付けた後に、バンパを車体前後方向に移動させることにより切欠溝内にフランジ片を差込んでフェンダと前記バンパとの相対的な組付けをした状態の下でこれらの両部材を車体に取付けるように構成したものであるから、車体に取付けられているフェンダに対してバンパを車体前後方向に移動させるだけの簡単な作業にてフェンダへのバンパの組付けを行うことができると共に、バンパの切欠溝によるフェンダのフランジ片の挟み込みによって、特別な補強部材等を用いることなくフェンダの先端部分の剛性を大幅に向上させることができる。また、バンパの切欠溝によるフェンダのフランジ片の挟込み作用、すなわち、前記切欠溝とフランジ片との間の相対的な位置決め作用によって、フェンダに対するバンパの組付位置(バンパとフェンダとの相対的な位置関係)をばらつきなく常に一定の状態に規制することができる。
【0020】
また、請求項2に記載の本願発明は、フランジ片及び切欠溝から成る差込係合部をフェンダとバンパとの接合箇所の見切り部分に設けるようにしたものであるから、フランジ片及び切欠溝の相互間の位置規制作用により、バンパとフェンダとの見切り部分の見栄えが悪くなるような不具合を生じるのを防止することができる。
【0021】
また、請求項3に記載の本願発明は、フェンダ本体を屈曲成形することによりフランジ片をフェンダに設けると共に、バンパ本体を屈曲成形することによりリブをバンパに設けるようにしたものであるから、特別な部材を用いる必要がなく、従って部品点数の増大やバンパ及びフェンダのコストアップを招来することなく構成することが可能である。
【0022】
また、請求項4に記載の本願発明は、フランジ片及びリブを、フェンダ本体及びバンパ本体とは別部材としたものであるから、必要に応じてフランジ片及びリブの取付けを行うことにより、上記と同様の作用効果(機能)を任意に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車体構造を備えた四輪自動車の分解斜視図である。
【図2】図1において符号Xで示す車体部分の分解斜視図である。
【図3】図2において矢印Zで示す方向から見た図であって、バンパとフェンダとを組付けた状態を示す平面図である。
【図4】従来の自動車の車体構造を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 フロントバンパ
1a フロントバンパ本体
3 フェンダ
3a フェンダ本体
4,5 取付片
6 取付片
10 四輪自動車
11 フランジ片(差込片)
12 リブ
13 切欠溝
13a,13b 対向面
14 差込係合部
α フェンダの先端部分
Claims (4)
- フェンダの先端側の下部において車体前後方向にほぼ沿って延びるように設けられるフェンダ取付用の取付片の前部箇所に、車体前後方向にほぼ沿って延びるフランジ片を設けると共に、バンパの上端縁の裏面側にバンパ本体に対して車体後方側に向けて水平面をもつように屈曲されたリブを形成し、前記バンパの上縁部の側部において車体前後方向にほぼ沿って延びる切欠溝を前記リブに設け、前記フェンダを車体に取付けた後に、前記バンパを車体前後方向に移動させることにより前記切欠溝内に前記フランジ片を差込んで前記フェンダと前記バンパとの相対的な組付けをした状態の下でこれらの両部材を車体に取付けるように構成したことを特徴とする自動車の車体構造。
- 前記フランジ片及び前記切欠溝から成る差込係合部を前記フェンダと前記バンパとの接合箇所の見切り部分に設けたことを特徴とする請求項1に記載の自動車の車体構造。
- フェンダ本体を屈曲成形することにより前記フランジ片を前記フェンダに設けると共に、前記バンパ本体を屈曲成形することにより前記リブを前記バンパに設けるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車の車体構造。
- 前記フランジ片及び前記リブを、前記フェンダ本体及び前記バンパ本体とは別部材としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車の車体構造。
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