JP3577400B2 - システム設計装置及びデータウエアハウス設計システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ノウハウを再利用することができるデータウエアハウスの設計装置及びデータウエアハウス生成システムに関する。
また、この発明は、データウエアハウスを容易に構成することができるデータウエアハウスの設計装置及びデータウエアハウス生成システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のビジネスに使用されるコンピュータテムの構成においては、ビジネスの内容及びルールを詳細に分析して、主に、プロセスに着目し、データをどのように使用するか、どのようにデータベースに格納するか等を含めて、そのビジネスに最適化するようにシステムを構成している。
しかし、従来のシステムの設計は、同一業種の似通ったシステムにおいても個別に設計されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このため、さまざまな場面で同様な分析・解析及び設計が繰り返されていた。しかし、同一業種の似通ったシステムにおいて、同様の設計を繰り返すことは基本的に労力の無駄である。特に、システムの分析・解析は高度な専門知識と能力を有するエンジニアが行う必要がある。しかし、これらのエンジニアを拘束することはコスト的にも高いものとなっていた。
【0004】
システムを効率よく設計する手法としてデータウエアハウスが注目されている。しかし、データウエアハウスを構築するためには、データウエアハウスの構築とそこにデータを移行・登録するための仕組みを開発しなければならない。
【0005】
しかし、データウエアハウスの構築については、データウエアハウス自体として発展性のある製品を短期間に低コストで開発することが困難である。
また、データを移行・登録する部分については、従来手作業でなされており、移行・登録の効率が低かった。
【0006】
この発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、容易にシステムを設計及び/又は製造することができる装置及びシステムを提供することを目的とする。
また、この発明は、それ自体発展性のあるデータウエアハウスを提供することを他の目的とする。
また、この発明は、既存のシステムのデータのデータウエアハウスへの移行・登録を容易化することを他の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の第1の観点に係るシステム設計装置は、
ビジネスで取り扱う業務について、正規化された複数の要素と各要素の属性及び要素の関係を使用して前記業務の業務内容を表現するビジネスモデルデータを記憶するビジネスモデルデータ記憶手段と、
前記ビジネスモデルデータ記憶手段に記憶されたビジネスモデルデータに基づいて、データウエアハウス実装形式に従って設計され、前記複数の要素の属性を項目とする雛形テーブルを記憶する雛形テーブル記憶手段と、
ユーザの入力指示を受け付けて、該入力指示に従って、既存のデータベースシステムが処理しているデータのデータ項目と前記雛形テーブルのデータ項目との対応関係を設定する対応付手段と、
前記対応付手段の設定に従って、前記対応付け手段によって対応付けられた既存のデータベースシステムの各データ項目のデータを前記雛形テーブル群の対応するデータ項目のデータに移動するためのコマンド列から構成される変換情報を生成する変換情報生成手段と、
を備えることを特徴とする。
前記ビジネスモデルデータ記憶手段に記憶されているビジネスモデルデータの属性と前記雛形テーブルのデータ項目の意味内容を示したデータディクショナリを記憶するデータディクショナリ記憶手段と、前記データディクショナリ記憶手段に記憶されている意味内容を、ユーザの確認用に出力するディクショナリ出力手段と、をさらに配置してもよい。
【0008】
このような構成によれば、内容を確認しながら、確実に対応するデータ項目同士を対応付けることができる。また、対応付けに基づいて変換情報を生成するので、変換情報生成の際のミスも少なく、正確な変換に寄与する。
【0009】
前記変換情報生成手段は、前記既存のデータベースシステムのデータを前記雛形テーブル群に適合したデータに変換するために、操作者が前記変換情報生成手段が生成した変換情報を編集するための編集画面を提供する手段をさらに備えてもよい。
【0010】
既存のデータベースシステムのデータを入力するデータ入力手段と、前記データ入力手段により入力されたデータを、前記変換情報に従って、前記雛形テーブルに適合するデータに変換し、変換したデータをデータウエアハウスに格納する変換手段と、をさらに備えてもよい。
この構成によれば、データの変換自体を変換手段が行うので、データを自動的に適切に変換することができ、ひいては、適切なデータウエアハウスを実現できる。
【0011】
前記対応付手段は、例えば、既存のデータベースシステムのデータ項目と前記雛形テーブルのデータ項目とを表示する表示手段と、ユーザの入力指示に応答し、前記表示手段により表示された既存のデータベースシステムのデータ項目と前記雛形テーブルのデータ項目との対応するもの同士を選択する選択手段と、から構成される。この構成によれば、視覚的に対応付けが可能となる。
【0012】
前記対応付手段は、ユーザの入力指示に応答し、既存のデータベースシステムのデータ項目と前記雛形テーブルのデータ項目との対応するもの同士を選択する手段を備え、前記変換情報生成手段は、前記既存のデータベースシステムの選択されたデータ項目のデータを前記雛形テーブルの対応するデータ項目のデータに移動するためのコマンド列を生成する手段を備え、前記変換手段は、前記変換情報生成手段により生成されたコマンドを実行することにより、既存のシステムのデータを前記雛形テーブルに適合したデータに変換し、データウエアハウスに格納する、ように構成してもよい。
この構成によれば、データ項目同士の対応付けが容易であり、さらに、その対応付けにより、プログラムが生成され、このプログラムを実行することによりデータが変換されて移行される。従って、データの変換が確実に行われる。また、両データ項目の対応付けにより変換プログラムが自動的に生成されるので、ソース側とターゲット側のデータ項目と対応付け(マッピングルール)とプログラムとを相関関係を保って一元管理することができる。
【0013】
前記対応付手段は、ユーザの入力指示に応答し、既存のデータベースシステムのデータ項目と前記雛形データベース群の雛形テーブルのデータ項目との対応するもの同士を選択する手段を備え、
前記変換情報生成手段は、ユーザの入力指示に応答し、前記既存のデータベースシステムの選択されたデータ項目のデータを前記雛形テーブルの対応するデータ項目のデータに変換するための変換テーブルを選択する手段を備え、
前記変換手段は、選択された前記変換テーブルに設定されている変換情報に従って、既存のデータベースシステムのデータを前記雛形テーブルに適合したデータに変換し、データウエアハウスに格納する、ように構成してもよい。
この構成によれば、データ項目同士の対応付けが容易であり、さらに、その対応付けにより、テーブルが選択され、このテーブルに従ってデータが変換されて移行される。従って、データの変換が確実に行われる。また、両データ項目の対応付けによりテーブルが選択されるので、ソース側とターゲット側のデータ項目と対応付け(マッピングルール)とテーブルとを相関関係を保って一元管理することができる。
【0014】
上記目的を達成するため、この発明の第2の観点に係るデータウエアハウス設計システムは、
ビジネスで取り扱う業務について、正規化された複数の要素と各要素の属性及び要素の関係を使用して前記業務の業務内容を表現するビジネスモデルデータに基づいて、データウエアハウス実装形式に従ってあらかじめ設計され、前記複数の要素の属性を項目とする雛形テーブルを記憶する雛形テーブル記憶手段と、
ユーザの入力指示に従って、既存データベースシステムのデータ項目と前記雛形テーブルのデータ項目とを対応付ける対応付手段と、
前記対応付手段の対応付に従って、前記既存データベースシステムのデータを前記雛形テーブルに適合したデータに変換するための変換情報を生成する変換情報生成手段と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
前記既存データベースシステムのデータを入力し、前記変換情報に従って、入力された前記既存データベースシステムのデータを前記雛形テーブルに適合したデータに変換する手段を更に配置してもよい。
【0016】
前記雛形テーブルのデータ項目の意味内容の定義を記憶する手段と、ユーザの入力指示に従って記憶している意味内容に関する定義を表示する手段と、前記雛形テーブルの各データ項目の関連を示す情報を記憶する手段と、ユーザの入力指示に従って記憶している関連に関する情報を表示する手段と、をさらに配置してもよい。
【0018】
前記テーブル群のデータ項目の意味内容の定義を表示する手段と、前記テーブル群の各データ項目の関連を表示する手段と、との少なくとも一方をさらに備えてもよい。
これらの手段を配置することにより、対応関係の誤りを防止できる。例えば、ソースシステムの項目名などは一定せず、作成者により同一項目名が全く異なる場面で使用される場合も多いが、これらの手段を配置することにより、テーブル群のデータ項目の意味内容や位置付を確実に判断し、適切な項目名同士を対応付けることができる。
【0020】
コンピュータにこれらの機能を実現し且つこれらのステップを実行させるプログラムを記憶媒体に格納して配布し、これをコンピュータ上で実行することにより、上述のシステムや方法を実現してもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0022】
まず、図1〜図3を参照して、この発明の第1の実施の形態に係るデータウエアハウスについて説明する。
図1は、この発明の第1の実施の形態に係るデータウエアハウス設計・製造システムの構成を示している。
このシステムは、既存のシステムのデータをデータウエアハウス化するためのシステムであり、図1に示すように、入力部1と、表示部2と、ビジネスモデル記憶・制御部3と、DB(データベース)スキーマテンプレート記憶・制御部4と、データディクショナリ記憶・制御部5と、変換部6とを備えている。
【0023】
入力部1は、キーボード、マウスなどを備え、データ、ビジネスモデル、DBスキーマテンプレート、指示などを入力する。
表示部2は、CRT、LCD等を備え、データや指示を入力するための入力用画面、入力されたデータ等を表示する。
【0024】
ビジネスモデル記憶・制御部3は、ビジネスモデルを記憶し、また、記憶しているビジネスモデルを表示部2に表示する。
このビジネスモデルは、各種のビジネスを詳細に分析し、モデル化の対象業務について、その業務に関連する各要素(エンティティやクラス等のオブジェクト)とその属性をオブジェクト指向方法論に従って概念的に整理したものであり、さらに、各要素(オブジェクト)相互の関連を表現したものである。
換言すると、このビジネスモデル自体は、そのビジネスで取り扱う普遍的な要素をモデル化したものである。
【0025】
図2はビジネスモデルの一例を示す。但し、図2は、理解を容易にするためにきわめて簡略化した例である。図2において、各ブロック(ボックス)はクラスを表し、業務を構成する項目の最小単位を表す。クラス相互の関係は、クラス相互を接続するカーディナリティ(多重度)とそのラインに付された説明により表されている。また、各クラスのもつデータ属性と手続きは各クラス内に記述されている。
【0026】
DBスキーマテンプレート記憶・制御部4は、ビジネスモデルを実世界に投影した雛形のデータベース群(即ち、スキーマテンプレート)を記憶する。
この雛形のデータベース群は、ビジネスモデル記憶・制御部3に記憶されているビジネスモデルの各属性をデータベースの項目(エンティテイ)としており、純粋な論理的モデルをシステム的な処理効率などを考慮して統合したものである。
このデータベース群はデータウエアハウスのデータベース実装形式に従っており、これを基にデータベースを作成し、そこに既存システムのデータを変換及び挿入することにより、データウエアハウスのデータベースとなる。
【0027】
データディクショナリ記憶・制御部5は、ビジネスモデルの各属性と、DBスキーマテンプレートの項目の意味内容を曖昧さを排除して表現したデータディクショナリを記憶し、また、記憶しているディクショナリの任意の項目を表示部2に表示する。このビジネスディクショナリは、曖昧さを排除するため、シノニムを排除し、項目の一意性を保証し、明確且つ的確な表現を使用している。
【0028】
図3にデータディクショナリの一例を示す。図3によれば、例えば、「約定日」とは「約定オペレーションをおこなった日」であり、そのフォーマットが「西暦8桁」であることが明確に理解できる。
【0029】
変換部6は、既存のシステムのデータを入力し、スキーマテンプレートに適合したデータに変換するものであり、図4に示すように、既存システムのデータ項目を登録するデータ項目登録部61と、既存システムのデータ項目とスキーマテンプレートのデータ項目を対応付けのための処理を行うマッピング部62と、ユーザにより対応付けられたデータ項目を変換するためのプログラムを自動的に生成するためのプログラム生成・編集部63と、プログラム生成・編集部63で生成されたプログラムの文法チェックを行う文法チェック部64とを備える。
なお、このシステム自体には、プログラム生成・編集部63が生成・編集したプログラムを実行する機能はなく、別のマシンでプログラムをコンパイルして実行し、データウエアハウスを生成する。
【0030】
次に、このような構成を有するデータウエアハウス設計・製造システム自体の構築方法について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0031】
まず、ビジネスを特定し(ステップS11)、その業務内容を分析・解析し(ステップS12)、図2に例示するような、業務に関連する各要素とその属性を概念的に整理し、データ項目が重複しないように正規化(最適化)されたビジネスモデルを作成する(ステップS13)。ビジネスモデルは、望ましくは、1つのビジネスに1つ設計する。例えば、金融等のビジネスにおいては、勘定系の業務、国際系の業務、証券系の業務、円資金系の業務、外部情報系の業務等の多種業務が存在するが、これらを詳細に分析して、全体として1つのビジネスモデル(メタモデル)を設計する。
【0032】
次に、設計したビジネスモデルのデータ項目をデータ項目とする雛形のデータベース群を設計する(ステップS14)。このデータベース群は、ビジネスモデルの各属性をデータベースの項目(エンティテイ)としており、純粋な論理的モデルをシステム的な処理効率などを考慮して複数のテーブルに分け、また、項目の組み合わせなども選択する。
【0033】
さらに、設計したビジネスモデルのデータエンティテイ(データ項目)のそれぞれについて、図4に示すように、その意味内容を明確にするためのデータディクショナリを作成する(ステップS15)。
【0034】
作成した、ビジネスモデルと、データベース群と、データディクショナリと、をそれぞれシステムに登録し(ステップS16)、さらに、変換部6を登録することにより、図1に示すシステムが構成される(ステップS17)。
【0035】
なお、既存の業務の場合には、既に設定されているビジネスモデルを選択し(ステップS13’)、続いて、既に設定されているDBスキーマテンプレートを選択し(ステップS14’)、選択したビジネスモデルとDBスキーマテンプレートをシステムに登録する(ステップS16)ことにより、対応することも可能である。
【0036】
次にこのようにして構成されたデータウエアハウス設計・製造システムを用いたデータウエアハウス設計の手順(方法)を図6〜図11を参照して説明する。通常のシステムの設計は「調査」→「設計」→「製造」→「試験」の順に行われる。以下、この手順に従って順次説明する。
【0037】
(1) 調査から設計に至る工程
このデータウエアハウス設計・製造システムを用いる場合、通常の調査や設計の工程は、予めそれを普遍化したものがビジネスルール及び雛形データベース群として予め用意されているので、個別に行う必要はない。
【0038】
(2) 設計から製造に至る工程
(2−1) 操作者は、入力部1を操作してデータ項目登録部61を起動し、データウエアハウス化する既存のシステムのデータ項目を登録する。
データ項目は、ディレクトリ名、テーブル名、データ項目等の関連がわかるように階層構造で登録する。
登録は、手作業で入力してもよく、既存システムのデータのディレクトリ情報を読み出して入力するものでもよい。
【0039】
(2−2) 操作者は、入力部1を操作して、登録部6のマッピング部62を起動する。マッピング部62は、図6に示すように、既存のシステム(入力モジュール)のデータ項目の一覧を左側のウインドウに、DBスキーマテンプレート(出力モジュール)上のデータ項目の一覧を右側のウインドウに表示する。
【0040】
操作者は、GUI(グラフィカルユーザインタフェース)により、既存画面の左側のウインドウに階層的に表示されたデータ項目と右側のウインドウに階層的に列記されたデータ項目とを、例えば、マウスでダブルクリックすることにより、選択して対応付ける(マッピングする)。
【0041】
既存のシステムで使用されている用語は、システム毎に個別に設定されており、一定しない。このため、対応関係を正確に判断するため、操作者は、必要に応じて、マウスの右クリック、適当なアイコンの選択により、ビジネスモデル及び/又はデータディクショナリを参照する。
【0042】
例えば、ビジネスモデル表示用のアイコンがクリックされると、登録部6又は他の適当なツールが起動し、ビジネスモデルを適当なウインドウ内に表示する。操作者が、OS(オペレーティングシステム)が備える通常のスクロール技術などを用いて表示されたビジネスモデルのうち、必要な箇所を参照できるようにしてもよい。
【0043】
また、DBスキーマスキーマテンプレート表示アイコンがクリックされると、登録部6はデータディクショナリ記憶・制御部5を起動し、データディクショナリ記憶・制御部5は、データディクショナリをウインドウ内に表示する。操作者は、通常の検索機能などを用いて所望のデータ項目の意味・内容を確認することができる。
【0044】
このようにして、操作者は、DBスキーマテンプレートの各項目の位置付けと他のエンティテイとの関連を判別し、さらに、その意味内容を明確に判断し、既存システムの項目名とDBスキーマテンプレートの項目との対応関係を判断する。
【0045】
操作者は、判断に基づき、GUI(グラフィカルユーザインタフェース)により、画面の左側のウインドウに階層的に列記されたデータ項目と右側のウインドウに階層的に列記されたデータ項目との対応するものをそれぞれ選択する。
【0046】
マッピング部62は、下側のウインドウに、選択された両項目を表示する。例えば、対応する項目名として「SSN」を選択した場合には、図7に示すように、アイコンと共に項目名「SSN」を表示する。
【0047】
操作者は、対応付ける(マッピングする)場合には、「編集」ボタンを選択する。この選択により、図8に示すように、変換名(マッピング名)と説明(マッピング説明)を入力するためのウインドウが開く。操作者は、適当な名称を変換名として入力し、必要に応じてコメントを記入する。
この変換名は、既存システムの選択された項目のデータをスキーマテンプレートの選択された項目のデータに変換する際に、変換関数(変換プログラムモジュール)を呼び出すための一種の関数名である。なお、選択された項目名を変換名の候補として表示するようにしてもよい。
【0048】
(2−3) ここで、「OK」ボタンを選択すると、プログラム生成・編集部63が起動され、既存システムの選択された項目のデータをスキーマテンプレートの選択された項目のデータに変換するためのプログラム(ソース)コードを自動的に生成する。
このプログラムコードは、基本的には、既存システムの該当項目のデータをスキーマテンプレートの対応項目のデータに移動(strncpy)するためのコマンド列からなる。
プログラムコード生成・編集部63は、図9に示すように、生成したプログラムコードをウインドウ内に表示する。
このプログラムコードでよい場合は、操作者は、「OK」ボタンを操作する。この操作により、プログラムコードが変換名と共に格納される。
【0049】
ただし、例えば、既存システムで使用している「元号」又は「西暦」で表記されている「年」をスキーマテンプレートで使用している「西暦」又は「元号」で表された「年」に変換するような場合には、単純なstrncpyコマンドを使用できない。
そこで、このような場合には、図8の状態で、「編集」ボタンを操作する。このボタン操作により、プログラム生成・編集部63は、図9に示すような編集するための編集画面を表示する。操作者は、この編集画面上で、変換プログラムを作成し、「登録」ボタンを指示することにより登録する。
【0050】
また、例えば、既存システムで使用している「F」又は「M」で表記されている「性別」をスキーマテンプレートで使用している「0」又は「1」で表された「性別」に変換するような場合にも、単純なstrncpyコマンドを使用できない。
このような場合には、「F」→「0」、「M」→「1」というように対応関係を定義する。
プログラム生成・編集部63は、定義された対応関係に基づいて、既存システムで使用している「性別」のデータをスキーマテンプレートで使用している「性別」のデータに変換するためのプログラムを生成する。
【0051】
また、プログラムが編集された場合には、図9において、「文法」ボタンが指示されると、表示されたプログラム(モジュール)の文法(構文エラー)がチェックされる。即ち、「文法」ボタンが指示されると、文法チェック部64が起動され、文法チェック部64は、ウインドウ内に表示されたプログラム(ソースコード)の文法チェックを行い、その結果を表示する。
【0052】
このようにして、操作者は、既存システムで使用している全ての項目名をスキーマテンプレートで使用している項目に対応付け、その変換プログラム(ソースコード)を作成・登録する。
【0053】
以上の処理により、既存システムのデータをデータウエアハウス(DBスキーマテンプレート)に登録するための準備が完了する。
通常の設計方法では、変換プログラムを詳細にデバッグする必要があるが、このシステムでは、ほとんど自動的に変換される。また、コンパイルすることなく、プログラムの文法チェックが可能である。このため、デバックの負担は非常に小さい。
【0054】
(3) データウエアハウスの製造(既存システムのデータのデータウエアハウスへの移行)
次に、データウエアハウスの製造手順を図10のフローチャートを参照して説明する。
データウエアハウスに既存システムのデータを移行する場合、まず、任意のツールを用いてDBスキーマテンプレート上の項目を選択すること等により、データウエアハウス(データは未収納)を生成する(ステップS20)。
【0055】
次に、プログラム生成部63で生成された変換プログラムラムをコンパイルし、変換プログラムを実行することにより、ステップS21以下のデータ変換・設定処理を行う。
なお、既存システムのデータは、ファイルの形式で、予め、この変換システムに取り込んでおくこととする。
【0056】
先ず、データのデータ項目を取り込み(ステップS21)、そのデータ項目に対応付けられている変換名(マッピング名)を判別する(ステップS22)。
次に、判別した変換名に対応する変換プログラムモジュールを読み出す(ステップS23)。
【0057】
次に、順次データを読み出し(ステップS24)、ステップS23で読み出したプログラムモジュールを実行して、既存システムの各データをDBスキーマテンプレート上の対応する項目のデータに変換し、ステップS20で生成したデータウエアハウスに格納する(ステップS25)。次に、そのデータ項目のデータが終了したか否かを判別し(ステップS26)、終了していないと判断された場合には、ステップS24にリターンし、次のデータを読み出し、変換・格納処理を繰り返す。
【0058】
一方、ステップS26で、そのデータ項目についてデータの変換が終了したと判断された場合には、全てのデータ項目についてデータの変換・格納が終了したか否か判別され(ステップS27)、終了していない場合には、ステップS21にリターンし、次のデータ項目を読み込み、上述と同様の変換・格納動作を実行する。
【0059】
このようにして、既存システムについて全てのデータの変換が終了すると、ステップS20でDBスキーマテンプレートにより作成されたデータウエアハウスには、既存システムの全てのデータが格納される。
【0060】
(4) データウエアハウスの拡張
以上のようにして、ある既存システムについて、データのデータウエアハウスが完成した後、他の既存システムについて、データウエアハウスを生成することも容易に可能である。すなわち、ビジネスモデル及びそれに基づいたDBスキーマテンプレートは、ビジネスの業務内容を詳細に分析して、普遍的なものが作成されている。従って、他の既存システムについても、個々のデータは異なっていても業務内容自体は同一である。従って、上述と同様に、その既存システムについて、前述のデータ項目の対応付けを行い、変換プログラムを生成して、データを変換・格納することにより、データウエアハウスを作成することができる。
【0061】
このようにして、DBスキーマテンプレートから作成したデータウエアハウスに種々の既存システムのデータを変換・蓄積することにより,その後のデータの加工・利用を効率よく又は有効に行うことができる。すなわち、統一したビジネスモデルにより、情報が整理及び体系化されているので、その後の個別業務への応用が容易である。また、情報の追加も容易である。
また、統一したモデルであり、且つ、既存システムとデータウエアハウスとの対応関係が明確であるので、ノウハウの再利用が容易である。
【0062】
(5) プロジェクト管理
変換部6は、所定の操作により、変換元と変換先のデータ項目の対応関係を一覧にして出力(表示・印刷)し、又は、データベースの形式で保存・出力する。
さらに、このデータウエアハウスによれば、基本となるビジネスモデルが存在し、データ項目の意味内容がデータデクショナリにより明確に定義されており、変換元と変換先のデータ項目の対応関係が明確である。従って、プロジェクトの管理や、リバースエンジニアリングが容易である。
【0063】
また、このシステムによれば、ソーススキーマ(既存システムのDB項目)、ターゲットスキーマ(データウエアハウスのDB項目)、とを対応付け、ソースコードを自動的に作成している。従って、対応関係が変化した際には、ソースコードも変換する。従って、ソーススキーマ、ターゲットスキーマ、との相関関係を保った一元管理が可能となる。
【0064】
なお、この発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変形・応用が可能である。
例えば、上記実施の形態では、変換元のシステムのデータ項目とDBスキーマテンプレートのデータ項目とを、操作者がGUIを用いて個別に対応付けたが、ある程度自動化してもよい。
例えば、各データ項目を「項目名」と「データ形式」で構成しておき、「項目名」と「データ形式」とが互いに一致している場合には、変換元と変換先のデータ項目が互いに対応すると判断するようにしてもよい。
例えば、既存システムの項目名が「氏名」でデータ形式が「テキスト最大20文字」、DBスキーマテンプレートの項目名が「氏名」でデータ形式が「テキスト最大20文字」の場合には、両データ項目が互いに一致すると判断してもよい。同様に、既存システムの項目名が「年」でデータ形式が「YYMMDD」、DBスキーマテンプレートの項目名が「年」でデータ形式が「YYMMDD」の場合等にも、両データ項目が互いに一致すると判断してもよい。
【0065】
このようにして、自動的に対応付けを行った後、編集あるいは対応付けできなかったものについて個別に対応付けするようにしてもよい。
また、予め操作者が選択した複数の項目名について、自動的に対応付けするようにしてもよい。
【0066】
また、データの変換はプログラムによらず、外部変換テーブルに従っておこなってもよい。
この場合、例えば、図11に示すように変換元のシステムのデータ項目とDBスキーマテンプレートのデータ項目とを、操作者がGUIを用いて対応付けた際に、変換名を設定すると共に変換テーブルを設定する。例えば、図12では、「米ドル」は「USD」に変換される。
データを変換する際は、データ項目名から変換名を判別し、判別した変換名から変換テーブルを参照し、データを変換するようにしてもよい。
【0067】
このような構成とすれば、変換テーブルを変更するだけで、プログラム本体を操作することなく、データの変換内容を変更することができる。
例えば、変換テーブルの内容に「フラン:FRC」を追加するだけで、フランと「FRC]の変換に変更することができる。
また、変換プログラムや変換テーブルの内容自体を変更する代わりに、変換名を修正することにより、実行する変換プログラムや参照する変換テーブルを変更することにより、変換内容を変更することも可能である。
【0068】
なお、以上の説明では、データ変換用のソースコードを生成する迄のシステムと、生成されたソースコードをコンパイルして実際にデータを変換してデータウエアハウスに移行するシステムとを構成したが、これらを1つのシステムとしてもよい。
【0069】
なお、この発明のシステムは、専用のシステムとして構成することなく、通常のコンピュータシステムを用いて実現することができる。例えば、コンピュータシステムに上述の動作を実行するためのプログラムを格納した媒体(フロッピーディスク、CD−ROM等)からプログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行するデータウエアハウス設計・生成システムを構築することができる。インストールによって、当該プログラムは、コンピュータシステム内のハードディスク等の媒体に格納されて、データウエアハウス設計・生成システムを構成し、実行に供される。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、比較的容易にデータウエアハウスを構築することができる。
また、構成されたデータウエアハウスの発展性を維持する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係るデータウエアハウス設計・製造システムの構成を示すブロック図である。
【図2】ビジネスモデルの一例を示す図である。
【図3】データデクショナリの例を示す図である。
【図4】変換部の構成例を示すブロック図である。
【図5】図1に示すデータウエアハウス設計・製造システムの設計手順を示すフローチャートである。
【図6】図1のデータウエアハウス設計・製造システムにおけるデータ項目のマッピング時の表示画面の例を示す図である。
【図7】図1のデータウエアハウス設計・製造システムにおけるデータ項目のマッピング時の表示画面の例を示す図である。
【図8】図1のデータウエアハウス設計・製造システムにおけるデータ項目のマッピング時の表示画面の例を示す図である。
【図9】図1のデータウエアハウス設計・製造システムにおけるデータ項目のマッピング時の変換プログラム生成画面の例を示す図である。
【図10】データ変換動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】データ変換テーブルの例を示す図である。
【符号の説明】
1 入力部
2 表示部
3 ビジネスモデル記憶・制御部
4 DBスキーマテンプレート記憶・制御部
5 データディクショナリ記憶・制御部
6 変換部
61 データ項目登録部
62 マッピング部
63 プログラム生成・編集部
64 文法チェック部
Claims (12)
- ビジネスで取り扱う業務について、正規化された複数の要素と各要素の属性及び要素の関係を使用して前記業務の業務内容を表現するビジネスモデルデータを記憶するビジネスモデルデータ記憶手段と、
前記ビジネスモデルデータ記憶手段に記憶されたビジネスモデルデータに基づいて、データウエアハウス実装形式に従って設計され、前記複数の要素の属性を項目とする雛形テーブルを記憶する雛形テーブル記憶手段と、
ユーザの入力指示を受け付けて、該入力指示に従って、既存のデータベースシステムが処理しているデータのデータ項目と前記雛形テーブルのデータ項目との対応関係を設定する対応付手段と、
前記対応付手段の設定に従って、前記対応付手段によって対応付けられた既存のデータベースシステムの各データ項目のデータを前記雛形テーブル群の対応するデータ項目のデータに移動するためのコマンド列から構成される変換情報を生成する変換情報生成手段と、
を備えることを特徴とするシステム設計装置。 - 前記ビジネスモデルデータ記憶手段に記憶されているビジネスモデルデータの属性と前記雛形テーブルのデータ項目の意味内容を示したデータディクショナリを記憶するデータディクショナリ記憶手段と、
前記データディクショナリ記憶手段に記憶されている意味内容を、ユーザの確認用に出力するディクショナリ出力手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム設計装置。 - 前記変換情報生成手段は、前記既存のデータベースシステムのデータを前記雛形テーブル群に適合したデータに変換するために、操作者が前記変換情報生成手段が生成した変換情報を編集するための編集画面を提供する手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム設計装置。
- 既存のデータベースシステムのデータを入力するデータ入力手段と、
前記データ入力手段により入力されたデータを、前記変換情報に従って、前記雛形テーブルに適合するデータに変換し、変換したデータをデータウエアハウスに格納する変換手段、
をさらに備えることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のシステム設計装置。 - 前記対応付手段は、
既存のデータベースシステムのデータ項目と前記雛形テーブルのデータ項目とを表示する表示手段と、
ユーザの入力指示に応答し、前記表示手段により表示された既存のデータベースシステムのデータ項目と前記雛形テーブルのデータ項目との対応するもの同士を選択する選択手段と、
から構成されることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載のシステム設計装置。 - 前記対応付手段は、ユーザの入力指示に応答し、既存のデータベースシステムのデータ項目と前記雛形テーブルのデータ項目との対応するもの同士を選択する手段を備え、
前記変換情報生成手段は、前記既存のデータベースシステムの選択されたデータ項目のデータを前記雛形テーブルの対応するデータ項目のデータに移動するためのコマンド列を生成する手段を備え、
前記変換手段は、前記変換情報生成手段により生成されたコマンドを実行することにより、既存のシステムのデータを前記雛形テーブルに適合したデータに変換し、データウエアハウスに格納する、
ことを特徴とする請求項4に記載のシステム設計装置。 - 前記対応付手段は、ユーザの入力指示に応答し、既存のデータベースシステムのデータ項目と前記雛形テーブルのデータ項目との対応するもの同士を選択する手段を備え、
前記変換情報生成手段は、ユーザの入力指示に応答し、前記既存のデータベースシステムの選択されたデータ項目のデータを前記雛形テーブルの対応するデータ項目のデータに変換するための変換テーブルを選択する手段を備え、
前記変換手段は、選択された前記変換テーブルに設定されている変換情報に従って、既存のデータベースシステムのデータを前記雛形テーブルに適合したデータに変換し、データウエアハウスに格納する、
ことを特徴とする請求項4に記載のシステム設計装置。 - ビジネスで取り扱う業務について、正規化された複数の要素と各要素の属性及び要素の関係を使用して前記業務の業務内容を表現するビジネスモデルデータに基づいて、データウエアハウス実装形式に従ってあらかじめ設計され、前記複数の要素の属性を項目とする雛形テーブルを記憶する雛形テーブル記憶手段と、
ユーザの入力指示に従って、既存データベースシステムのデータ項目と前記雛形テーブルのデータ項目とを対応付ける対応付手段と、
前記対応付手段の対応付に従って、前記既存データベースシステムのデータを前記雛形テーブルに適合したデータに変換するための変換情報を生成する変換情報生成手段と、
を備えることを特徴とするデータウエアハウス設計システム。 - 前記既存データベースシステムのデータを入力し、前記変換情報に従って、入力された前記既存データベースシステムのデータを前記雛形テーブルに適合したデータに変換する手段を更に含む、ことを特徴とする請求項8に記載のデータウエアハウス設計システム。
- 前記対応付手段は、前記既存データベースシステムのデータ項目と前記雛形テーブルのデータ項目とを表示する手段と、ユーザの入力指示に従って、表示されているデータ項目の中から対応するもの同士を選択する手段と、を備えることを特徴とする請求項8又は9に記載のデータウエアハウス設計システム。
- 前記雛形テーブルのデータ項目の意味内容の定義を記憶する手段と、ユーザの入力指示に従って記憶している意味内容に関する定義を表示する手段と、前記雛形テーブルの各データ項目の関連を示す情報を記憶する手段と、ユーザの入力指示に従って記憶している関連に関する情報を表示する手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項8、9又は10に記載のデータウエアハウス設計システム。
- 記憶装置を備えるコンピュータを、
ビジネスで取り扱う業務について、正規化された複数の要素と各要素の属性及び要素の関係を使用して前記業務の業務内容を表現するビジネスモデルデータを記憶するビジネスモデルデータ記憶手段と、
前記ビジネスモデルデータ記憶手段に記憶されたビジネスモデルデータに基づいて、データウエアハウス実装形式に従って設計され、前記複数の要素の属性を項目とする雛形テーブルを記憶する雛形テーブル記憶手段と、
ユーザの入力指示を受け付けて、該入力指示に従って、既存のデータベースシステムが処理しているデータのデータ項目と前記雛形テーブルのデータ項目との対応関係を設定する対応付手段と、
前記対応付手段の設定に従って、前記対応付手段によって対応付けられた既存のデータベースシステムの各データ項目のデータを前記雛形テーブル群の対応するデータ項目のデータに移動するためのコマンド列から構成される変換情報を生成する変換情報生成手段、
として機能させる為のプログラムを格納した機械読み取り可能な記録媒体。
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