JP3575011B1 - プラズマ表面処理装置およびプラズマ表面処理方法 - Google Patents
プラズマ表面処理装置およびプラズマ表面処理方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】1mx1m級大面積基板に対しても、真空容器内の一対の電極間にVHF帯(30〜300MHz)のプラズマが再現性良く、均一に生成され、基板に対する均一なプラズマ表面処理が可能となる表面処理装置および表面処理方法を提供すること。
【解決手段】プラズマを利用して真空容器1内の一対の電極2,4の一方に配置される基板13の表面を処理する表面処理装置および方法において、前記一対の電極2,4と同軸ケーブル16cの間に平衡不平衡変換装置19を挿入し、かつ、整合器17と前記一対の電極2,4の間に定在波検知装置61を挿入し、かつ、前記一対の電極2,4に並列にリアクタンス調整装置71を付加した構成にしたことを特徴とする。
【選択図】図9
【解決手段】プラズマを利用して真空容器1内の一対の電極2,4の一方に配置される基板13の表面を処理する表面処理装置および方法において、前記一対の電極2,4と同軸ケーブル16cの間に平衡不平衡変換装置19を挿入し、かつ、整合器17と前記一対の電極2,4の間に定在波検知装置61を挿入し、かつ、前記一対の電極2,4に並列にリアクタンス調整装置71を付加した構成にしたことを特徴とする。
【選択図】図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマを利用して基板の表面に所定の処理を施す表面処理装置および表面処理方法に関する。本発明は、特に、周波数30MHzないし300MHzの高周波電力により生じさせた放電用ガスのグロー放電によって、プラズマを生成する反応性プラズマによる表面処理装置および表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
反応性プラズマを用いて基板の表面に各種処理を施し、各種電子デバイスを製作することは、LSI(大規模集積回路)、LCD(液晶デイスプレー)、アモルファスSi系太陽電池、薄膜多結晶Si系太陽電池、複写機用感光体、および各種情報記録デバイス等の分野において既に実用化されている。また、ダイヤモンド薄膜および立方晶ボロンナイトライド(C−BN)等の超硬質膜製造分野においても実用化が進みつつある。
【0003】
上記技術分野は、薄膜形成、エッチング、表面改質およびコーテイング等多岐に亘るが、いずれも反応性プラズマの化学的および物理的作用を活用したものである。上記反応性プラズマの生成に関する装置および方法には、大別すると2つの代表的技術がある。
【0004】
第1の代表的技術は、例えば、特許文献1および非特許文献1に記載されているもので、プラズマ発生に2枚の平行平板電極を一対として用いることを特徴とする。第2の代表的技術は、例えば特許文献2および特許文献3に記載されているもので、プラズマ発生にラダー電極と平板電極を一対として用いることを特徴とする。以下に、従来技術を代表して、2つの事例を説明する。
【0005】
(従来例1)
先ず、従来の第1の代表例として特許文献1記載の装置および方法について図11および図12を参照して説明する。図11は従来の第1の代表的技術に係わるプラズマ表面処理装置の構成図、図12は従来の第1の代表的技術に係わる電極への給電点を示す説明図である。図11に示すように、従来の第1の代表例は、真空容器101と、基板113が設置される接地電極104と、接地電極104に対面配置される非接地電極102と、これら電極間に高周波電力を供給する給電系、放電ガス供給系、および排気系とを具備している。
【0006】
該接地電極104は基板ヒータ103を内臓し、基板113の温度を所定の値に設定する。該非接地電極104は、具体的には矩形状の板材(面積500mmx500mm程度ないし1,000mmx1,000mm程度)で、材質はステンレス鋼である。
【0007】
他方、該非接地電極102は、絶縁物106を介して真空容器101の上部に取り付けられている。非接地電極102の内部は空洞で、プラズマが生成される空間192に接する面102aには、直径0.5mm程度の多数のガス噴出し孔102bが孔間隔10ないし15mmで配置されている。
【0008】
前記非接地電極102の上面には、放電用ガスの開口部102cが配置されている。この開口部102cには、接続部材194(材料はセラミックス)を介して放電用ガス導入管109が接続され、図示しない材料ガス供給源よりバルブ193を介して例えばシランガス(SiH4)が供給される。前記真空容器101内のガスは排気管111を通して真空ポンプ112より排出される。基板113は、ゲートバルブ195を開にして接地電極104上に設置され、基板ヒータ103および基板ヒータ電源191により所定の温度に加熱される。
【0009】
該非接地電極102の電力供給点114a、114bには、所定の高周波電力を発生させる高周波電源115の出力が、該出力を複数個に分配する電力分配器190と、第1および第2の整合117a、117bと、第1、第2、第3および第4の同軸ケーブル116a、116b、116c、116dを介して供給される。電力供給点114bには、図12に示すように、同軸ケーブル116dの芯線123を接続し、かつ、その近傍を絶縁環121で絶縁する。そして、該同軸ケーブル116dの外皮導体の端部を接地導体196を用いて真空容器101に接続する。なお、図12の符番102,106は、それぞれ、非接地電極および絶縁物である。
【0010】
プラズマを発生させる場合は高周波電源15の出力を所定の値に設定し、図示しない高周波電源に付属した進行波・反射波の検出器(モニター)を見ながら、第1および第2の整合器117a、117bを順次調整し、反射波がほぼ1〜10%程度の状態を設定する。その結果、高周波電源の出力は、整合器117a,117bから下流側へそのほぼ90〜99%程度が供給される。
【0011】
次に、図11、図12の装置を用いて例えばアモルファスSi(a−Si)膜を製膜する場合について説明する。ゲートバルブ195を開にし、基板113を接地電極104に設置し、ゲートバルブ195を閉に戻す。真空ポンプ112を駆動して真空容器101内の圧力を1E−7Torr(1.33E−5Pa)程度まで排気する。基板113の温度を基板ヒータ103および基板ヒータ電源191を用いて所定の温度に設定する。放電用ガス導入管109を通して、例えばシランガスを所定量供給し、真空容器101内を0.05ないし0.5Torr(6.65ないし66.5Pa)に保ち、前記電力供給系を用いて一対の電極102,104間に電力を供給する。これにより、非接地電極102と接地電極104の間にグロー放電プラズマが生成される。シランガスがプラズマ化されると、その中に存在するSiH3、SiH2、SiH等のラデイカルが拡散現象により拡散し、基板113の表面に吸着・堆積する。その結果、アモルファスSi膜が形成される。
【0012】
なお、製膜条件として放電用ガスの混合比、例えば、SiH4とH2の流量比、圧力、基板温度およびプラズマ発生電力を適正化することで、a−Siのみならず、微結晶Siおよび多結晶Si膜を製造できることは公知である。
【0013】
また、放電用ガスとして、エッチング作用のあるガス、例えばSF6、SiCl4、CF4およびNF3等エッチングガスを用いれば、基板表面のエッチング処理が行なえることは公知である。
【0014】
(従来例2)
次に、従来の第2の代表例として、特許文献2および特許文献3に記載の従来技術を、図13ないし図17を参照して説明する。図13は従来の第2の技術に係わる表面処理装置の概念図、図14は図13図示の装置に係わる一対の電極への給電に用いる給電系のブロック構成図、図15は図13図示の装置に係わる電極への給電点を示す説明図、図16は電圧波の説明図、図17は電圧の合成波の説明図である。図13および図14に示すように、従来の第2の代表的技術のプラズマ表面処理装置は、真空容器201と、基板213が設置される接地電極204と、接地電極204に対面配置されるラダー型構造の非接地電極202(ラダー電極と呼ぶ)と、これら電極間に高周波電力を供給する給電系、放電ガス供給系、および排気系とを備えている。
【0015】
真空容器201には該真空容器201内の反応ガス等のガスを排気する排気管211を介して真空ポンプ212が接続されている。そして、アースシールド208が配置されている。該アースシールド208は前記排気管211と組み合わせて使用されることにより、反応ガス導入管209a、209bより導入される反応ガスおよびその他生成物を排気管211を介して排出する。真空ポンプ212を稼動すると、圧力1E−6Torr(1.33E−4Pa)程度に真空排気される。反応ガス導入管209a、209bより反応ガスとして例えばシランガスが供給されると、図示しない多数のガス噴出孔からラダー電極202と接地電極204の間にシランガスが一様に流れ出すようになっている。
【0016】
基板213は接地電極204に保持され、図示しない内臓ヒータ203により所定の温度に加熱される。基板には、サイズ460mmx460mm、厚さ1mm程度のガラスが用いられる。ラダー電極202は、サイズ例えば外寸法520mmx520mm程度で、直径6mm程度の丸棒部材を等ピッチ間隔に梯子状に組み立て製作されている。該電極202への給電には図14および図15に示すように、4つの給電点214aないし214dで、同軸ケーブル216a,216b,216c、216dと接続される。
【0017】
給電系は、図13および図14に示すように、高周波発信器232、信号分配器233、フエーズシフター(位相シフター)234、一対の電力増幅器236a,236b、一対の整合器217a、217b、一対の電力分配器240a、240bおよびコンピユータ235などより構成される。信号分配器233の2つの出力の一方の電圧の位相は、コンピユータ235で駆動制御されるフエーズシフター234により、±180度の範囲で時間的に変化する。該位相変化のある信号は第2の電力増幅器234bで電力増幅され、第2の整合器217bおよび第2の電力分配器236bを介して、給電点214c、214dに供給される。他方の出力は、第1の電力増幅器236a、第1の整合器217aおよび第1の電力分配器240aを介して、給電点214a、214bに供給される。
【0018】
具体的には、ラダー電極202の給電点例えば214aには、図15に示すように、前記アースシールド208を貫通して設置されている同軸ケーブルの芯線(内部導体)223が接続されている。該芯線223の周りは放電防止用絶縁環237で囲まれている。なお、該同軸ケーブルの外部導体はアースシールド208に取り付けリング239で接続され、その端部はカップリング241で整形されている。
【0019】
プラズマを発生させる場合は、電力増幅器236a,236bに付属した図示しない進行波・反射波の検出器(モニター)を見ながら、第1および第2の整合器217a,217bを順次調整し、反射波がほぼ1〜10%程度の状態を設定する。その結果、電力増幅器236a,236bの出力は、それぞれ整合器217a,217bから下流側へそのほぼ90〜99%程度が供給される。
【0020】
次に、図13および図14に図示の装置を用いて例えば微結晶Si膜を製造する場合について説明する。図示しないゲートバルブより、基板213例えばサイズ460mmx460mmのガラスを接地電極204の上に設置して、ゲートバルブを閉める。続いて、前記従来例1と同様に、真空ポンプ212を駆動させ、所定の真空度まで真空引きする。基板213の温度を200℃に設定し、シランガスを500sccm、水素ガスを3、500sccm供給しつつ、圧力を0.15Torr(20Pa)に設定する。
【0021】
そして、高周波発振器232の周波数を例えば60MHzに設定する。フェーズシフター234により、信号分配器233の一方の出力信号(正弦波)の位相を時間的に三角波状に変調させる。この場合、ラダー電極202と接地電極204間の電界は、給電点214a、214bおよび214c、214dに供給される電力の電圧の位相差が時間的に変化するので、それに対応して変化する。その様子を図16に電圧の波として示している。
【0022】
図16において、ラダー電極202の長さ方向の位置をx、右方向(xの正方向)へ伝播する電圧波をW1(x,t)、左方向(xの負方向)へ伝播する電圧波をW2(x,t)とすると、次のように表現される。
W1(x,t)=V0・sin(ωt+2π/λ).....(1)
W2(x,t)=V0・sin{ωt−2π(x−L0)/λ+Δθ}...(2)
ただし、ωは電圧の角周波数、λは電圧の波長、tは時間、L0はラダー電極2の伝播方向の長さ、Δθは 位相差である。電圧の合成波W(x、t)は次式のようになる。
W(x、t)=W1(x、t)+W2(x、t)=2・V0cos{2π(x−L0/2)/λ−Δθ/2}・sin{ωt+(2πL0/λ+Δθ/2}....(3)
【0023】
上記(3)式で表せる合成波W(x、t)を概念的に図17に示す。Δθ=0の場合、生成されるプラズマの強さはラダー電極の中央部(x=L0/2)が強く、両端では弱いことを示している。プラズマの強い部分は、Δθ>0の場合、ラダー電極の右端部であり、Δθ<0の場合、左端部であることを示している。即ち、前記フェーズシフター234を用いて、前記式(3)のΔθを−180度〜+180度の間で時間的に三角波状に変化させることにより、時間平均的に均一な強さのプラズマが生成される。その結果、プラズマの強さの不均一性が時間的に平均化されることにより、一様な膜厚分布の微結晶Si膜が得られる。
【0024】
【特許文献1】
特開平8−325759(第2−9頁、第1−4図)
【特許文献2】
特開平4−236781(第2−4頁、第1−4図)
【特許文献3】
特開2001−257098(第3−8頁、第1−3図)
【0025】
【非特許文献1】
L.Sansonnens, A.Pletzer, D.Magni, A.A.Howling,Ch.Hollenstein and J.P.M.Schmitt,:A voltage uniformity study in large−area reactors for RF plasma deposition、Plasma Source Sci. Technol. 6 (1997) p.170−178
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の表面処理技術、即ち表面処理装置と表面処理方法は、LCD,LSI,電子複写機および太陽電池等の産業分野のいずれにおいても、生産性向上に伴う製品コストの低減および大面積壁掛けTVなど性能(仕様)の改善等に関する大面積・均一化および高速処理化のニーズが年々強まっている。
【0027】
最近では、上記ニーズに対応するため、産業界のみならず、学会でも特に、プラズマCVD(化学蒸着)技術およびプラズマエッチング技術ともに、高密度プラズマで、かつ低電子温度との特徴のあるVHF帯(30MHzないし300MHz)の電源を用いた高密度プラズマCVDの大面積・高速製膜および大面積・高速プラズマエッチングに関する先端的研究開発が盛んになっている。しかしながら、従来技術では、以下に述べるような課題が依然として存在していることから、上記ニーズへの対応が困難視されている状況にある。
【0028】
(1)従来技術の第1の代表例の平板電極を用いる技術における、大面積基板を対象にしたVHFプラズマ生成では、特許文献1、特許文献3および非特許文献1によると、電力供給線路および電極にVHF特有の定在波が発生すること、および表皮効果に起因するインピーダンスの増大があること等の原因により、一対の平板電極間の電界分布は一様にならず、不均一になると指摘されている。
【0029】
本発明者は、最近、上記従来の平板電極を用いるVHFプラズマによる大面積化・均一化・高速処理化の困難性に関する本質的原因に、次に示す3つの事項が関係しているということを発見した。
【0030】
第1は、次に示す給電線路の構造上の問題である。図11及び図12おいて、同軸ケーブルと電極の接続部は、互いに異なる構造の線路が接続された形になっているので、その接続点では電力の反射が発生すると考えられる。即ち、同軸ケーブルは、内部導体(芯線)と外部導体の内面を往路・帰路とする伝送方式である。他方、一対の電極の構造は、同軸ケーブルと異なり、2本の平行線路に相当する構造である。したがって、両者の境界では電波の反射現象が発生する。この現象は以下に説明する漏洩電流の発生を伴う現象である。その様子を概念的に図18に示す。なお、図18では、同軸ケーブル116cの端部と一対の電極102,104との接合部での高周波電力の電流のある瞬間を概念的に示しているが、交流現象なので、当然、図示されている電流の方向は時間的に変化する。
【0031】
図18は、同軸ケーブル116cの外部導体の内側(内面)を流れてきた電流Iが外部導体の端面で反射し、その一部が外部導体の外側(外面)に漏れている現象を示している。外部導体の外側へ流れた電流I1(ここでは、漏洩電流と呼ぶ)は真空容器101の内部構造物の壁と結合した形で、該同軸ケーブル116cの芯線へもどる。漏洩電流I1は上記接合部の構造および真空容器の具体的な内部構造物の形状にも影響されるので、一対の電極102,104間に流れる電流I2は制御が困難であり、再現性もない。その結果、一対の電極102,104間の電界分布の一様性を実現するのは困難である。
【0032】
第2及び第3の問題は、それぞれ、給電線路での反射波の検出手段およびその抑制方法に関する問題である。従来の第1の代表的技術での電力供給系では図11に示された構成である。具体的に説明すると図11の給電系は図19に示す構成の高周波電源を用いている。即ち、高周波電源に付属した進行波B・反射波Bの検出器を見ながら、整合器117を調整することにより、反射波Bを抑制(反射波Bを進行波電力の1〜10%程度に調整)している。しかしながら、この方法は、図19に示すように、整合器117の下流側からの反射波Aがその整合器117へ戻ってきた場合、該整合器117はそれを下流側へ戻してしまう機能があるので、上記進行波B・反射波Bの検出器は整合器117への反射波Aの有無を判別できない。即ち、整合器117の下流側の反射波Aの状況を把握できないという問題がある。反射波を検出できないことから、それを抑制することができないという問題がある。
【0033】
(2)次に、従来技術の第2の代表例のラダー電極を用いる技術についての問題を説明する。本技術においても、上記の問題点、即ち特許文献1、特許文献3および非特許文献1で指摘されている問題点に加えて、次の3つの事項が本質的かつ実際的問題の原因であるということを発見した。
【0034】
第1の問題は、前記(1)項の第1の問題と同様の問題である。図14および図15において、同軸ケーブルの芯線とラダー電極の接続部で、該同軸ケーブルの外部導体端部より漏れ電流が発生する。その様子は、前記の図18と同様である。ただし、第2の代表的技術では、前記従来の第1の代表例の場合での問題に加えて、上記接合部が真空容器の中にあるので、プラズマ生成時に上記漏れ電流が原因である強い局部放電を発生する。これはプラズマの不均一化の原因になる問題であり、再現性のある均一な膜厚分布を得ることが困難な原因でもある。
【0035】
第2及び第3の問題は、それぞれ前記(1)項の第2および第3の問題と同様である。この場合においても、図14に示すような給電系の構成であるので、図19に示すように、高周波電源に付属した進行波B・反射波Bの検出器を見ながら、整合器217を調整することにより、反射波Bを抑制(反射波を進行波電力の1〜10%程度に調整)している。しかしながら、この方法は、整合器217の下流側からの反射波Aがその整合器217へ戻ってきた場合、該整合器217はそれを下流側へ戻してしまう機能があるので、上記進行波B・反射波Bの検出器は整合器217への反射波Aの有無を判別できない。即ち、整合器217の下流側の反射波Aの状況を把握できないという問題がある。反射波を検出できないことから、それを抑制することができないという問題がある。
【0036】
以上詳説したように、従来技術は、量産性向上や低コスト化に必要な大面積基板、例えばサイズ1mx1m級の大面積基板を対象にしたVHFプラズマCVDおよびプラズマエッチング等の応用では、依然として困難で、不可能視されている。このような状況のもと、応用物理学会および電気学会等関連学会において研究が活発化しているが、1mx1m級大面積基板を対象にしたVHFプラズマ利用の表面処理方法およびその装置の成功例は発表されていない。
【0037】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、従来技術では困難視されている例えば1mx1m級の大面積基板に対してもVHF帯域(30MHz−300MHz)の周波数を用いて高速かつ均一性に優れたプラズマ表面処理装置およびプラズマ表面処理方法を提供することを目的とする。
【0038】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する為に、本願の請求項1記載の発明は、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、基板がセットされる第1の電極と前記第1の電極に対向設置される第2の電極からなる一対の電極と、前記一対の電極間に高周波電力を供給する電力供給系と、前記電力供給系と組み合わせて用いられる平衡不平衡変換装置とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置において、前記平衡不平衡変換装置は、芯線と誘電体と外部導体から成る同軸ケーブルの一方の端部の芯線と外部導体を入力部とし、該同軸ケーブルの他方の端部に両端開放の管型導電体と一方の端面を開放の円筒型導電体を被せ、該管型導電体の外面と該円筒型導電体の内面が密着し、該円筒型導電体の他方の端面は該同軸ケーブルの外部導体と密着し、かつ、該管型導電体の一方の端面と該円筒型導電体の閉じた方の端面との距離が、短縮率を考慮した前記高周波電源出力の波長λの四分の一すなわちλ/4で、かつ、該同軸ケーブルの外部導体と該管型導電体の内面との間隔が2mmないし60mmであり、かつ、該管型導電体と該同軸ケーブルの外部導体間に絶縁環を設置し、かつ、該同軸ケーブルの他方の端部の芯線と外部導体を出力部とするという構成を有し、かつ、該平衡不平衡変換装置が前記電力供給系の構成部材の同軸ケーブルと前記一対の電極との接続部に挿入されることを特徴とする。
【0039】
同様に上記目的を達成する為に、本願の請求項2記載の発明は、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、基板がセットされる第1の電極と前記第1の電極に対向設置される第2の電極からなる一対の電極と、前記一対の電極間に高周波電力を供給する電力供給系とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理する表面処理装置において、前記電力供給系の構成部材の同軸ケーブルと前記一対の電極との接続部に、互いに構造の異なる線路間の伝送特性を整合させる平衡不平衡変換装置が挿入され、かつ、該電力供給系の構成部材の整合器と該一対の電極の間に定在波を検知する定在波検知装置が挿入されるという構成を有することを特徴とする。
【0040】
同様に上記目的を達成する為に、本願の請求項3記載の発明は、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、基板がセットされる第1の電極と前記第1の電極に対向設置される第2の電極からなる一対の電極と、前記一対の電極間に高周波電力を供給する電力供給系とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理する表面処理装置において、前記電力供給系の構成部材の同軸ケーブルと前記一対の電極との接続部に、互いに構造の異なる線路間の伝送特性を整合させる平衡不平衡変換装置が挿入され、かつ、該電力供給系構成部材の整合器と該一対の電極の間に定在波を検知する定在波検知装置が挿入され、かつ、該一対の電極に、該一対の電極のインピーダンスと並列の関係にあるリアクタンス調整装置が付加されるという構成を有することを特徴とする。
【0041】
なお、前記高周波電源15は、前記リアクタンス調整装置が前記一対の電極2,4に並列に設定されているので、プラズマ生成状態にある前記一対の電極と前記リアクタンスの合成インピータンスを負荷にすることになる。
【0042】
同様に上記目的を達成する為に、本願の請求項4記載の発明は、請求項2及び3において、前記平衡不平衡変換装置は、芯線と誘電体と外部導体から成る同軸ケーブルの一方の端部の芯線と外部導体を入力部とし、該同軸ケーブルの他方の端部に、長さが短縮率を考慮した前記高周波電源出力の波長λの四分の一すなわちλ/4で、前記外部導体との間隔が2mmないし60mmの円筒型導電体を被せ、かつ、該円筒型導電体の一方の端面を開放し、他方の端面を該同軸ケーブルの外部導体に密着させ、かつ、該円筒型導電体と該同軸ケーブル間に絶縁環を設置し、かつ、上記同軸ケーブルの他方の端部の芯線と外部導体を出力部とするという構成を有することを特徴とする。
【0043】
なお、上記請求項4(他の請求項も同様)において、短縮率を考慮した波長λとは、同軸ケーブル内部を伝播する際の電波の波長で、短縮率即ち例えば、同軸ケーブルの誘電体がポリエチレンの場合、0.67あるいは、アルミナの場合、0.34と、真空中を伝播する場合の前記高周波電源出力周波数に対応の電波の波長の積を意味している。
【0044】
同様に上記目的を達成する為に、本願の請求項5記載の発明は、請求項2及び3において、前記平衡不平衡変換装置は、芯線と誘電体と外部導体から成る同軸ケーブルの一方の端部の芯線と外部導体を入力部とし、該同軸ケーブルの他方の端部に、両端開放の管型導電体と一方の端面を開放の円筒型導電体を被せ、該管型導電体の外面と該円筒型導電体の内面が接着し、該円筒型導電体の他方の端面は上記同軸ケーブルの外部導体と密着し、かつ、該管型導電体の一方の端面と該円筒型導電体の閉じた方の端面との距離が、短縮率を考慮した前記高周波電源出力の波長λの四分の一すなわちλ/4で、かつ、前記同軸ケーブルの外部導体と該管型導電体の内面との間隔が2mmないし60mmであり、かつ、該管型導電体と該同軸ケーブルの外部導体間に絶縁環を設置し、かつ、上記同軸ケーブルの他方の端部の芯線と外部導体を出力部とするという構成を有することを特徴とする。
【0045】
同様に上記目的を達成する為に、本願の請求項6記載の発明は、請求項2及び3において、前記平衡不平衡変換装置は、芯線と誘電体と外部導体から成る第1の同軸ケーブルの一方の端部の芯線と外部導体を入力部とし、該第1の同軸ケーブルの他方の端部の外部導体に、形状がU型で、長さが短縮率を考慮した前記高周波電源出力の波長λの二分の一すなわちλ/2の第2の同軸ケーブルの両方の端部の外部導体を接続し、かつ、前記第1の同軸ケーブルの他方の端部の芯線と該U型の第2の同軸ケーブルの一方の芯線を接続し、かつ、該U型の第2の同軸ケーブルの他方の芯線と上記第1の同軸ケーブルの他方の端部の芯線を出力部とするという構成を有することを特徴とする。
【0046】
同様に上記目的を達成する為に、本願の請求項7記載の発明は、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、基板がセットされる第1の電極と前記第1の電極に対向設置される第2の電極からなる一対の電極と、前記一対の電極間に高周波電力を供給する電力供給系と、前記電力供給系と組み合わせて用いられる平衡不平衡変換装置とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理方法において、前記平衡不平衡変換装置は、芯線と誘電体と外部導体から成る同軸ケーブルの一方の端部の芯線と外部導体を入力部とし、該同軸ケーブルの他方の端部に両端開放の管型導電体と一方の端面を開放の円筒型導電体を被せ、該管型導電体の外面と該円筒型導電体の内面が密着し、該円筒型導電体の他方の端面は該同軸ケーブルの外部導体と密着し、かつ、該管型導電体の一方の端面と該円筒型導電体の閉じた方の端面との距離が、短縮率を考慮した前記高周波電源出力の波長λの四分の一すなわちλ/4で、かつ、該同軸ケーブルの外部導体と該管型導電体の内面との間隔が2mmないし60mmであり、かつ、該管型導電体と該同軸ケーブルの外部導体間に絶縁環を設置し、かつ、該同軸ケーブルの他方の端部の芯線と外部導体を出力部とするという構成を有し、かつ、該平衡不平衡変換装置が前記電力供給系の構成部材の同軸ケーブルと前記一対の電極との接続部に挿入され、両者の伝送特性を整合させ、前記一対の電極間に電力を供給させることを特徴とする。
【0047】
同様に上記目的を達成する為に、本願の請求項8記載の発明は、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、基板がセットされる第1の電極と前記第1の電極に対向設置される第2の電極からなる一対の電極と、前記一対の電極間に高周波電力を供給する電力供給系とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理する表面処理装置において、前記電力供給系の構成部材の同軸ケーブルと前記一対の電極との接続部に、平衡不平衡変換装置を挿入し、両者の伝送特性を整合させ、かつ、該電力供給系の構成部材の整合器と該一対の電極の間に定在波検知装置を挿入し、その間の定在波を測定し、該定在波検知装置の測定値即ちVSWR値に基いて、該電力供給系を構成する給電線路の定在波を制御することを特徴とする。
【0048】
同様に上記目的を達成する為に、本願の請求項9記載の発明は、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、基板がセットされる第1の電極と前記第1の電極に対向設置される第2の電極からなる一対の電極と、前記一対の電極間に高周波電力を供給する電力供給系とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理する表面処理方法において、前記電力供給系の構成部材の同軸ケーブルと前記一対の電極との接続部に平衡不平衡変換装置を挿入し、両者の伝送特性を整合させ、かつ、該電力供給系構成部材の整合器と該一対の電極の間に定在波検知装置を挿入し、その間の定在波を測定し、かつ、該一対の電極に、該一対の電極間のインピーダンスと並列の関係にあるリアクタンス調整装置を付加し、該定在波検知装置の測定値即ちVSWR値に基いて、該リアクタンス調整装置のリアクタンスおよび該電力供給系を構成する給電線路の定在波を制御することを特徴とする。
【0049】
同様に上記目的を達成する為に、本願の請求項10記載の発明は、請求項7ないし9において、該定在波検知装置の測定値即ちVSWR値が2.5以下であることを特徴とする。
【0050】
なお、VSWR値が2.5以下であるのは、その値が電力換算値で略18%であり、その範囲であれば実用上問題ないからである。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例に係わる表面処理装置および表面処理方法について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、表面処理装置および表面処理方法の一例として、太陽電池を製作する際に必要なa―Si薄膜を製作する装置および方法が記載されているが、本願の発明対象が下記の例の装置および方法に限定されるものではない。
【0052】
(実施例1)
図1〜図4を参照して、実施例1のプラズマ表面処理装置(プラズマCVD装置)およびプラズマ表面処理方法(プラズマCVD方法)について説明する。図1は実施例1に係わるプラズマ表面処理装置の全体を示す概略図、図2は図1のプラズマ表面処理装置のブロック構成図、図3は図1のプラズマ表面処理装置の一構成である平衡不平衡変換装置の第1の具体例を示す説明図、および図4は図1のプラズマ表面処理装置に組み入れられた平衡不平衡装置の第1の具体例を示す説明図である。
【0053】
先ず、装置の構成を説明する。図1および図2において、符番1は真空容器である。この真空容器1には、後述の放電ガスをプラズマ化する一対の電極、即ち第1の非接地電極2と図示しない基板ヒータ3を内臓した第2の非接地電極4が配置されている。該第2の非接地電極4は絶縁物支持材5a、5bで真空容器1に固着されている。前記第1の非接地電極2は、図示しない絶縁物6を介して真空容器1に固着されている。該第1の非接地電極2には直径2mm〜10mm程度の多数の小孔7が開口率40%〜60%で配置されている。前記第1の非接地電極2の周りにはアースシールド8が配置されている。該アースシールド8は、不必要な部分での放電を抑制し、かつ放電ガス供給管9a、9bより供給されるSiH4等放電ガスを、整流孔10および前記非接地電極2に配置されている多数の小孔7を介して、前記一対の電極2と4の間に均一に供給する機能を有している。また、前記アースシールド8は、排気管11および図示しない真空ポンプ12と組み合わせて使用されることのより、プラズマ生成空間でプラズマ化された使用済みの放電ガスを排出する機能を有している。
【0054】
真空容器1内の圧力は、図示しない圧力計によりモニターされ、図示しない圧力調整弁により自動的に所定の値に調整、設定される。なお、本実施例の場合は、放電ガスが流量500sccm〜1、500sccm程度の場合、圧力0.01Torr〜10Torr(1.33Pa〜1,330Pa)程度に調整できる。真空容器1の真空到達圧力は2〜3E−7Torr(2.66〜3.99E−5Pa)程度である。
【0055】
符番13は基板で、図示しないゲートバルブ39の開閉操作により、第2の非接地電極4に設置される。そして、図示しない基板ヒータ3により所定の温度に加熱される。
【0056】
図1および図2において、符番15は高周波電源で、周波数30MHz〜300MHz(VHF帯域)の電力を発生する。その電力は第1の同軸ケーブル16a、整合器17、第2の同軸ケーブル16b、電流導入端子18、第3の同軸ケーブル16c、平衡不平衡変換装置19および図示しない絶縁環21a、21bでそれぞれ絶縁されている第1のおよび第2の給電線23,29を介して、一対の電極2,4の給電点14a、14bに供給される。
【0057】
前記平衡不平衡変換装置19は、例えば外部導体が接地された同軸ケーブルと非接地の平行2本線路のように、互いに構造の異なる線路を接続する場合に、その間に挿入されれば、両者の伝送特性を整合させる機能がある。なお、不平衡線路の同軸ケーブルでは、電流は往路で芯線を流れ、帰路で外部導体およびアースを流れ、またそれを逆に流れるような伝送形態を有している。平衡線路では、電流は2本の線路を交互に、往路・帰路として流れ、等振幅で位相が180度異なっている。
【0058】
前記平衡不平衡変換装置19の第1の具体例を図3に示す。図3の装置は、芯線23a、外部導体24および誘電体25から構成の前記同軸ケーブル16cの一方の端部の芯線と外部導体を入力部とし、該同軸ケーブルの他方の端部、すなわち前記一対の電極2,4に接続される側の端部に円筒型導電体26を被せた構造を有し、かつ、該端部の芯線23と外部導体29を出力部とする。該円筒型導電体26は、形状が円筒で、一方の端面を開放し、他方の端面27を外部導体24に密着・接続したものである。その長さは前記高周波電源15の出力電力の波長λの四分の1(即ちλ/4)と該同軸ケーブルの波長短縮率との積に等しい値で、前記外部導体24との間隔は2mm〜60mm程度である。円筒型導電体26と上記外部導体24の間には、絶縁環28a、28bが配置され、その間隔が一定に保持されている。なお、該間隔は、絶縁性を確保できればとくに問題ないが、目安としては、上記一対の電極間隔程度である。前記外部導体24の端部には、図3図示のようにリード線29が接続され、芯線23と組み合わせて上記給電点14a、14bへの電力供給に用いられる。
【0059】
図3において、前記外部導体24の端面の地点30aから前記円筒型導電体26の他方の端面の地点30bを経由して、一方の端面の地点31の方向へ漏洩電流が流れようとした場合、地点30aから地点30bの長さが波長短縮率(例えば、誘電体がポリエチレンの場合:0.67、アルミナの場合:0.34である)とλ/4の積に等しい値であるので、地点30aと地点31間のインピーダンスは無限大である。その結果、前記外部導体24の端面からの電流漏洩は発生しない。即ち、不平衡線路と平衡線路の接続部において、電流の漏洩や電力反射が抑制される効果がある。
【0060】
図3に示した平衡不平衡変換装置の第1の具体例32を、図1および図2に示した実施例1に係わる表面処理装置の一構成として用いる場合について説明する。図4に、図1および図2に示した一対の電極2,4と前記平衡不平衡変換装置の第1の具体例32を接続する配線状況を示している。プラズ生成空間に接する非接地電極2の内面(ここでは該電極の対向電極側の面を内面と呼ぶ)の小孔7部分に位置した給電点14aに、前記平衡不平衡変換装置の第1の具体例32の同軸ケーブルの芯線23を接続する。また、前記接地電極4の内面の給電点14bに、前記平衡不平衡変換装置の第1の具体例32のリード線29を接続する。なお、前記芯線23およびリード線29には図示しない例えば材料がアルミナの絶縁環21a,21bが配置され、異常放電を抑制している。
【0061】
次に、上記構成のプラズマ表面処理装置を用いて、a−Si太陽電池用のa−Siを製膜する方法を説明する。図1〜図4において、予め、基板13を第2の非接地電極4の上に設置し、真空ポンプ12を稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管9a,9bからSiH4ガスを、例えば500sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、一対の電極2、4の間に高周波電力を、例えば周波数60MHzの電力を供給する。なお、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば200℃に保持する。
【0062】
即ち、高周波電源15の出力を例えば60MHz、500Wの出力を第1の同軸ケーブル16a、整合器17、第2の同軸ケーブル16b、電流導入端子18、第3の同軸ケーブル16c、平衡不平衡変換装置19の第1の具体例32、および絶縁環21a,21bでそれぞれ絶縁されている第1および第2の給電線23,29を介して、給電点14a、14bに供給する。この場合、上記整合器17を調整することにより、整合器17の上流側には上記供給電力の反射波が戻らないようにできる。その結果、SiH4ガスのプラズマが生成される。
【0063】
ここで、給電点14a,14bに供給される電力は、上記平衡不平衡装置19の第1の具体例32の漏洩電流防止の機能により、漏洩電流の発生を抑制して、第1および第2の給電線23,29から一対の電極2,4間に供給できる。したがって、前記給電点14a,14b近傍には局部放電など異常放電は発生しない。なお、前記第1および第2の給電線23,29回りの絶縁環21a,21bの絶縁効果も、両者間での異常放電を抑制している。また、従来技術では発生する漏洩電流が一対の電極周辺のアース構造および配線状況に関係しているので、再現性の良いプラズマ生成は困難であるが、本実施例では漏洩電流が発生しないので、再現性の良いプラズマを生成できる。
【0064】
上記工程において、SiH4ガスがプラズマ化されると、そのプラズマ中に存在するSiH3,SiH2,SiH等のラジカルが拡散現象により拡散し、基板13表面に吸着されることにより、a−Si膜が堆積する。なお、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Si等は、製膜条件の中のSiH4,H2の流量比、圧力および電力を適正化することで製膜できることは公知の技術である。
【0065】
上記の手順で製膜する場合の具体的条件を以下に説明する。サイズ1200mmx300mm(厚み4mm)程度のガラス基板13に製膜速度1nm/s、膜厚分布±10%のa−Siを製膜することを実施する。
【0066】
製膜条件は次の通りである。
(製膜条件)
放電ガス:SiH4
流量:500sccm
圧力:0.5Torr(66.5Pa)
電源周波数:60MHz
電力:500W
基板13の温度:200℃
【0067】
上記製膜条件でプラズマを生成すると、上記平衡不平衡変換装置により電力供給系と一対の電極との接続部での伝送特性が整合され、漏洩電流の発生が抑制されるので、生成されるプラズマの密度の空間的分布は、従来に比べて、再現性良く均一になる。その結果、製膜されるa−Siの膜厚分布は従来に比べて、再現性良く均一になる。数値的にはa−Si膜厚分布が±10以内で製膜が可能となる。
【0068】
なお、本実施例では、一対の電極2,4にそれぞれ、給電点を1点(一対)としているので、基板サイズは上記1200mmx300mm程度に制約されるが、給電点数を増加すればサイズの幅は拡大可能であることは当然のことである。
【0069】
また、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造では、膜厚分布として±10%以内であれば性能上問題はない。上記実施例によれば、60MHzの電源周波数を用いても、従来の装置および方法に比べ著しく良好な膜厚分布を得ることが可能である。このことは、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造分野での生産性向上および低コスト化に係わる工業的価値が著しく大きいことを意味している。
【0070】
(実施例2)
図1ないし図5を参照しながら実施例2のプラズマ表面処理装置およびプラズマ表面処理方法について説明する。先ず、装置の構成について説明する。ただし、図1〜図4と同部材は同符番を付して説明を省略する。実施例2の装置の構成は、実施例1の構成即ち図1、図2および図4において、平衡不平衡装置19として用いられた平衡不平衡装置の第1の具体例32に代えて、図5に示す平衡不平衡装置の第2の具体例40を用いるもので、その他の装置構成要素はすべて同様である。それ故、平衡不平衡装置の第2の具体例40以外の装置の構成要素については図1、図2、および図4を参照することにし、ここでは説明を省略する。
【0071】
図5は前記平衡不平衡装置の第1の具体例32に代わる平衡不平衡装置の第2の具体例40の構成を示す説明図である。図5において、芯線23、外部導体24および誘電体25から構成の前記同軸ケーブル16cの一方の端部の芯線と外部導体を入力部とし、該同軸ケーブルの他方の端部、すなわち前記一対の電極2,4に接続される側の端部に、両端解放の管型導電体26aと円筒型導電体26bを被せた構造を有し、かつ、該端部の芯線23と外部導体29を出力部とする。該管型導電体26aと円筒型導電体26bは、図5に示すように、内筒と外筒の関係にあり、該管型導電体26aの外面と円筒型導電体26bの内面が電気的に短絡状態になっている。上記内筒と外筒の関係にある重ねあった部分の距離は後述の取り付けボルト42a,42bおよび41a、41bを用いて調整される。該管型導電体26aの一方の端面31と該円筒型導電体26bの端面27の距離は、前記高周波電源15の出力電力の波長λの四分の1(即ちλ/4)と該同軸ケーブルの波長短縮率との積に等しい値である。前記管型導電体26aの内面と前記外部導体24との間隔は2mm〜60mm程度である。該管型導電体26aと上記外部導体24の間には、絶縁環28a、28bが配置され、その間隔が一定に保持されている。前記外部導体24の端部にはリード線29が接続され、後述するように、芯線23と組み合わせて上記給電点14a、14bへの電力供給に用いられる。
【0072】
図5において、前記外部導体24の端面の地点30aから前記円筒型導電体26bの端面の地点30bを経由して、該管型導電体26aの端面の地点31の方向へ漏洩電流が流れようとした場合、地点30aから地点30bの長さが波長短縮率(例えば、誘電体がポリエチレンの場合:0.67、アルミナの場合:0.34である)とλ/4の積に等しい値であるので、地点30aと地点31間のインピーダンスは無限大である。その結果、前記外部導体24の端面からの電流漏洩は発生しない。即ち、不平衡線路と平衡線路の接続部において、電流の漏洩や電力反射が抑制される機能がある。
【0073】
実施例2として、図5に示した平衡不平衡変換装置の第2の具体例40を、図1および図2に示した表面処理装置の一構成として用いる場合について説明する。図4に、図1および図2に示した一対の電極2,4と前記平衡不平衡変換装置の第1の実施例32を接続する配線状況を示したが、それと同様に前記平衡不平衡変換装置の第2の具体例40を用いる。プラズ生成空間に接する第1の非接地電極2の内面(ここでは該電極の対向電極側の面を内面と呼ぶ)の小孔7部分に位置した給電点14aに、前記平衡不平衡変換装置の第2の実施例40の同軸ケーブルの芯線23を接続する。また、前記第2の非接地電極4の内面の給電点14bに、前記平衡不平衡変換装置の第2の実施例40のリード線29を接続する。なお、前記芯線23およびリード線29には図示しない例えば材料がアルミナの絶縁環21a,21bが配置され、異常放電を抑制している。
【0074】
次に、上記構成の表面処理装置を用いて、a−Si太陽電池用のa−Siを製
膜する方法を説明する。図1、図2および図5において、予め、基板13を第2の非接地電極4の上に設置し、真空ポンプ12を稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管9a,9bからSiH4ガスを、例えば500sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、一対の電極2,4間に高周波電力を、例えば周波数70MHzの電力を供給する。なお、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
【0075】
即ち、高周波電源15の出力を例えば70MHz、500Wの出力を第1の同軸ケーブル16a、整合器17、第2の同軸ケーブル16b、電流導入端子18、第3の同軸ケーブル16c、平衡不平衡変換装置19の第2の具体例40および絶縁環21a,21bでそれぞれ絶縁されている第1および第2の給電線23,29を介して、給電点14a、14bに供給する。この場合、上記整合器17を調整することにより、整合器17の上流側には上記供給電力の反射波が戻らないようにできる。仮に、上記平衡不平衡変換装置の第2の具体例40の長さの調整が周波数70MHzに整合していないことが原因で、第3の同軸ケーブル16cと一対の電極2,4の間で電流の漏洩が発生している場合、一旦、プラズマの生成を中断し、上記平衡不平衡変換装置の第2の具体例40の長さを調整することにより、再度プラズマを生成し、上記電力の反射が抑制されたことを確認することができる。
【0076】
なお、上記平衡不平衡変換装置の第2の具体例40の長さの調整の機能は、高周波電源15の周波数が若干変更された場合において、別途新たに平衡不平衡変換装置を設置することなく、その長さの調整で対応できるというメリットになる。
【0077】
ここで、給電点14a,14bに供給される電力は、上記平衡不平衡装置19の第2の具体例40の長さ調整による漏洩電流抑制の効果を最大限に活用することにより電力の損失を最小限にして、第1および第2の給電線23,29から一対の電極2,4に供給できる。したがって、前記給電点14a,14b近傍には局部放電など異常放電は発生しない。なお、前記第1および第2の給電線23,29回りの絶縁環21a,21bの絶縁効果も加わり、両者間での異常放電を抑制している。
【0078】
SiH4ガスがプラズマ化されると、そのプラズマ中に存在するSiH3,SiH2,SiH等のラジカルが拡散現象により拡散し、基板13表面に吸着されることにより、a−Si膜が堆積する。なお、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Si等は、製膜条件の中のSiH4,H2の流量比、圧力および電力を適正化することで製膜できることは公知の技術である。
【0079】
上記の手順で製膜する場合の具体的条件を以下に説明する。サイズ1200mmx300mm(厚み4mm)程度のガラス基板13に製膜速度1nm/s、膜厚分布±10%のa−Siを製膜することを実施する。
【0080】
製膜条件は次の通りである。
(製膜条件)
放電ガス:SiH4
流量:500sccm
圧力:0.5Torr(66.5Pa)
電源周波数:70MHz
電力:500W
基板13の温度:200℃
【0081】
上記製膜条件でプラズマを生成すると、実施例1と同様に、上記平衡不平衡変換装置により電力供給系と一対の電極との接続部での伝送特性が整合され、漏洩電流の発生が抑制されるので、生成されるプラズマの密度の空間的分布は、従来に比べて再現性良く均一になる。その結果、製膜されるa−Siの膜厚分布は従来に比べて、再現性良く均一になる。数値的にはa−Si膜厚分布が±10以内で製膜が可能となる。
【0082】
ただし、本実施例2では、実施例1の場合とは装置構成部材の平衡不平衡変換装置の機能が異なり、対応波長に若干の調整機能があるので、高周波電源15の周波数が若干変更された場合でも、別途新たに平衡不平衡変換装置を設置することなく、その長さの調整で対応できるというメリットがある。
【0083】
なお、本実施例2では、一対の電極2,4にそれぞれ、給電点を1点(一対)としているので、基板サイズは上記1200mmx300mm程度に制約されるが、給電点数を増加すればサイズの幅は拡大可能であることは当然のことである。
【0084】
また、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造では、膜厚分布として±10%以内であれば性能上問題はない。上記実施例によれば、70MHzの電源周波数を用いても、従来の装置および方法に比べ著しく良好な膜厚分布を得ることが可能である。このことは、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造分野での生産性向上および低コスト化に係わる工業的価値が著しく大きいことを意味している。
【0085】
(実施例3)
図4および図5に示した平衡不平衡変換装置19の第1および第2の具体例32、40に代わる可能性のあるその他の装置即ち、第3の具体例50を実施例3として以下説明する。ただし、図1〜図5と同部材は同符番を付して説明を省略する。また、実施例3の装置の構成は、実施例1および実施例2の構成即ち、図1、図2および図4において、平衡不平衡変換装置19として用いられた前記平衡不平衡変換装置の第1および第2の具体例32、40に代えて、図6に示す平衡不平衡変換装置の第3の具体例50をも用いるもので、その他の装置構成はすべて同様である。それ故、平衡不平衡変換装置19の第3の具体例50以外の装置構成要素および実施手順ついては、実施例1および2を参照する。
【0086】
図6は平衡不平衡変換装置19の第3の具体例50の構成を示す説明図である。図6において、該第3の具体例50は第1の同軸ケーブル16cに第2の同軸ケーブル51を付加した構造を有している。すなわち、長さが短縮率を考慮した波長λの二分の一(即ちλ/2)である第2の同軸ケーブル51の両端部の外部導体を上記第1の同軸ケーブル16cの一対の電極2,4側の短部の外部導体に導電板52を用いて接続した構成になっている。そして、上記第2の同軸ケーブル51の芯線53aが第1のコネクター54aを用いて上記第1の同軸ケーブル16cの芯線23に接続されている。また、上記第2の同軸ケーブル51の芯線53bが第2のコネクター54bを用いてリード線29に接続されている。なお、第1の同軸ケーブル16cの芯線23およびリード線29、第2の同軸ケーブル51の芯線53a,53bには、図示しない絶縁環を、放電防止のため設置する。
【0087】
上記構成の平衡不平衡変換装置の第3の具体例50の第1の同軸ケーブル16cの一方の端部より、前記実施例2,3と同様に、前記高周波電源15の出力を供給すると、前記第2の同軸ケーブル51の長さが短縮率を考慮した波長の二分の一であるので、前記リード線29と芯線23には、電圧・電流の位相差が互いに180度異なる電力に変換される。ただし、リード線29と芯線23間の電圧は、上記同軸ケーブル16cの芯線と外部導体間の電圧の2倍である。すなわち、平衡不平衡変換装置の第3の具体例50の出力側のインピーダンスは同軸ケーブル16cの4倍になる。したがって、本具体例50は、負荷側のインピーダンスが同軸ケーブル16cのインピーダンスより大きい場合に、有効に活用できる。
【0088】
(実施例4)
本発明に係わる実施例4について、図7および図8を参照しながら説明する。図7は実施例4に係わるプラズマ表面処理装置の全体を示す説明図、図8は図7の電力供給系の概念の説明図である。先ず、実施例4に係わるプラズマ表面処理装置の構成について説明する。ただし、図1〜図6と同部材は同符番を付して説明を省略する。
【0089】
図7において、符番61は、電圧定在波比(Voltage StandingWave Ratio:略して、VSWRと呼ぶ)を測定するVSWR計で、後述の第4の同軸ケーブル62を伝播する進行波と反射波の干渉で発生する定在波の電圧の最大値と最小値の比(ここでは、これをSと表す)を測定・表示する。符番62は第4の同軸ケーブルで、上記VSWR計61を介して、第2の同軸ケーブル16bより伝送された前記高周波電源15の出力を、前記電流導入端子18および第3の同軸ケーブル16c等を介して、前記一対の電極2,4へ伝送する。
【0090】
図7において、真空容器1には、後述の放電ガスをプラズマ化する一対の電極、即ち第1の非接地電極2と図示しない基板ヒータ3を内臓した第2の非接地電極4が配置されている。該第2の非接地電極4は図示しない絶縁物支持材5a、5bで真空容器1に固着されている。前記第1の非接地電極2は、図示しない絶縁物6を介して真空容器1に固着されている。該第1の非接地電極2には直径2mm〜10mm程度の多数の小孔7が開口率40%〜60%で配置されている。前記第1の非接地電極2の周りにはアースシールド8が配置されている。該アースシールド8は、不必要な部分での放電を抑制し、かつ放電ガス供給管9a、9bより供給されるSiH4等放電ガスを、整流孔10および前記非接地電極2に配置されている多数の小孔7を介して、前記一対の電極2と4の間に均一に供給する機能を有している。また、前記アースシールド8は、排気管11および図示しない真空ポンプ12と組み合わせて使用されることのより、プラズマ生成空間でプラズマ化された使用済みの放電ガスを排出する機能を有している。
【0091】
真空容器1内の圧力は、図示しない圧力計によりモニターされ、図示しない圧力調整弁により自動的に所定の値に調整、設定される。なお、本実施例の場合は、放電ガスが流量500sccm〜1、500sccm程度の場合、圧力0.01Torr〜10Torr(1.33Pa〜1,330Pa)程度に調整できる。真空容器1の真空到達圧力は2〜3E−7Torr(2.66〜3.99E−5Pa)程度である。
【0092】
基板13は、図示しないゲートバルブ39の開閉操作により、第2の非接地電極4に設置される。そして、図示しない基板ヒータ3により所定の温度に加熱される。
【0093】
高周波電源15は、周波数30MHz〜300MHz(VHF帯域)の電力を発生する。その電力は第1の同軸ケーブル16a、整合器17、第2の同軸ケーブル16b、VSWR計61、第4の同軸ケーブル62、電流導入端子18、第3の同軸ケーブル16c、平衡不平衡変換装置19および図示しない絶縁環21a、21bでそれぞれ絶縁されている第1のおよび第2の給電線23,29を介して、一対の電極2,4の給電点14a、14bに供給される。
【0094】
なお、平衡不平衡変換装置19としては、例えば前記図3の第1の具体例32、前記図5の第2の具体例40、および前記図6の第3の具体例50等が用いられるが、ここでは例えば前記第2の具体例40を用いる。
【0095】
ここで、上記VSWR計61を含む上記電力供給系の特徴を説明する。高周波電源15、第1の同軸ケーブル16a、整合器17、第2の同軸ケーブル16b、VSWR計61、第4の同軸ケーブル62、電流導入端子18、第3の同軸ケーブル16c、平衡不平衡変換装置19および図示しない絶縁環21a、21bでそれぞれ絶縁されている第1のおよび第2の給電線23,29から構成される電力供給系は、概念的には、図8のように表される。即ち、高周波電源15の出力電力Pt1は、進行波Pf1として、整合器17およびVSWR計61を経て、該電力を消費する負荷63即ち、一対の電極2,4間に生成のプラズマに供給され、電力Plが消費される。先ず、整合器17のリアクタンス(LとC)を調整しながら、高周波電源15に付属の進行波・反射波モニターで反射波Pr1が最小値になるように該LとCを調整・設定する。次に、整合器17から負荷63へ伝送される電力Pt2が効率良く上記負荷63に伝送されているか否かを、VSWR計61で測定・評価する。すなわち、整合器17から負荷63への進行波Pf2と負荷63側から整合器17の方への反射波Pr2により発生する定在波の電圧最大値と電圧最小値に関する情報をS(即ちVSWR)の値で読む。そして、仮に、S=3程度以上の場合、例えば、上記電力供給系構成要素の平衡不平衡変換装置19の第2の具体例40の長さの調整や、電流導入端子18と第3の同軸ケーブル16cとの接続部のナットの締め付け具合を調整する。もしも、上記調整で、上記Sの値に変化が無ければ、第2、第3および第4の同軸ケーブルの長さおよび仕様を変更して、取替え設置する。一般に、同軸ケーブルの接合部に異常が無ければ、上記Sは、S=3程度以下になる。なお、VSWR計で測定されるS値に基いて、上記電力供給系の給電線路の定在波が制御できることは、従来技術にはない画期的手段、かつ方法であると言える。
【0096】
さらに、上記VSWR計61に代えて、上記高周波電源15に付属の方向性結合器を用いた進行波・反射波電力検知器と同様の電力検知器を用いることも考えられる。
【0097】
次に、上記構成のプラズマ表面処理装置を用いて、a−Si太陽電池用のa−Siを製膜する方法を説明する。図7において、予め、基板13を第2の非接地電極4の上に設置し、真空ポンプ12を稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管9a,9bからSiH4ガスを、例えば500sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、一対の電極2、4の間に高周波電力を、例えば周波数60MHzの電力を供給する。なお、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば200℃に保持する。
【0098】
即ち、高周波電源15の出力を例えば60MHz、500Wの出力を第1の同軸ケーブル16a、整合器17、第2の同軸ケーブル16b、VSWR計61、第4の同軸ケーブル62、電流導入端子18、第3の同軸ケーブル16c、平衡不平衡変換装置19の第2の具体例40、および絶縁環21a,21bでそれぞれ絶縁されている第1および第2の給電線23,29を介して、給電点14a、14bに供給する。この場合、上記整合器17を調整することにより、整合器17の上流側には上記供給電力の反射波が、進行波電力の1〜10%程度になるように調整できる。さらに,VSWR計の測定および上記平衡不平衡変換装置19等の調整により、S=1〜3程度の調整・設定ができる。その結果、上記高周波電源の出力が効率よく上記負荷63に供給できるようになるので、上記給電線路を含む負荷63側からの反射波Pr2が抑制される。その結果、上記一対の電極2,4間で生成されるSiH4ガスプラズマの均一性が良好となる。なお、上記電力供給系の特性インピーダンスと上記負荷63のインピーダンスは、一般に同じではないので、上記反射波Pr2を完全に抑制することができないのは当然である。
【0099】
以上説明したように、給電点14a,14bに供給される電力が、上記平衡不平衡装置19の第2の具体例40の漏洩電流抑制の機能により、電力の損失を最小限にして、第1および第2の給電線23,29から一対の電極2,4間に供給できることは、前記実施例1〜3と同様であるが、VSWR計61の導入により、反射波をモニターしながら、上記平衡不平衡装置19の第2の具体例40の調整が可能となり、より一層その機能を高めることができるというメリットがある。
【0100】
上記SiH4ガスがプラズマ化されると、そのプラズマ中に存在するSiH3,SiH2,SiH等のラジカルが拡散現象により拡散し、基板13表面に吸着されることにより、a−Si膜が堆積する。なお、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Si等は、製膜条件の中のSiH4,H2の流量比、圧力および電力を適正化することで製膜できることは公知の技術である。
【0101】
上記の手順で製膜する場合の具体的条件を以下に説明する。サイズ1200mmx300mm(厚み4mm)程度のガラス基板13に製膜速度0.3nm/s程度、膜厚分布±10%程度のa−Siを製膜することを実施する。
【0102】
製膜条件は次の通りである。
(製膜条件)
放電ガス:SiH4
流量:500sccm
圧力:0.5Torr(66.5Pa)
電源周波数:60MHz―80MHz
電力:200W
基板13の温度:200℃
【0103】
上記製膜条件でプラズマを生成すると、実施例1,2および3と同様に、上記平衡不平衡変換装置により電力供給系と一対の電極との接続部での伝送特性が整合され、漏洩電流の発生が抑制されるが、その整合操作を実行する際に、上記定在波検知装置を用いることにより、反射波の大きさを数値的に測定可能となる。その結果、実施例1,2および3の場合に比べ、漏洩電流および反射波の抑制が確実に実行できる。したがって、生成されるプラズマの密度の空間的分布は、従来に比べ著しく均一になる。その結果、製膜されるa−Siの膜厚分布は従来に比べて、再現性良く均一になる。数値的にはa−Si膜厚分布が±10以内で製膜可能となる。
【0104】
なお、本実施例では、市販のVSWR計の使用することを考えて、電力を200Wとしている。また、一対の電極2,4にそれぞれ、給電点を1点(一対)としているので、基板サイズは上記1、200mmx300mm程度に制約されるが、給電点数を増加すればサイズの幅は拡大可能であることは当然のことである。
【0105】
a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造では、膜厚分布として±10%以内であれば性能上問題はない。上記実施例によれば、60MHz−80MHz程度の電源周波数を用いても、従来の装置および方法に比べ著しく良好な膜厚分布を得ることが可能である。このことは、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造分野での生産性向上および低コスト化に係わる工業的価値が著しく大きいことを意味している。
【0106】
(実施例5)
本発明に係わる実施例5について、図9および図10を参照しながら説明する。図9は実施例5に係わるプラズマ表面処理装置の全体を示す説明図、図10は図9の電力供給系の概念の説明図である。先ず、実施例5に係わるプラズマ表面処理装置の構成について説明する。ただし、図1〜図8と同部材は同符番を付して説明を省略する。
なお、実施例5の構成上の特徴は、前記実施例4の装置構成に、前記平衡不平衡変換装置19から見た下流(電源出力の伝送方向)側のインピーダンスを調整する機能を有するリアクタンス調整系70を付加したものである。
【0107】
図9および図10において、リアクタンス調整系70は、一対の電極2,4間に生成されるプラズマのインピーダンスZpに並列に挿入されるリアクタンス調整装置71(このインピーダンスをZcで表す)と、第5の同軸ケーブル77と、電流導入端子76と、第6の同軸ケーブル75と、第2の平衡不平衡変換装置74と、絶縁環78a,78bで絶縁されている第3、第4の給電線72,73とから構成される。該リアクタンス調整系70により、前記高周波電源15の負荷である一対の電極2,4間のプラズマと該リアクタンス調整系70の合成のインピーダンスZllを、Zll=Zp・Zc/(Zp+Zc)の関係より、該リアクタンス調整装置71を用いて調整する。
【0108】
図9お呼び図10において、真空容器1には、後述の放電ガスをプラズマ化する一対の電極、即ち第1の非接地電極2と図示しない基板ヒータ3を内臓した第2の非接地電極4が配置されている。該第2の非接地電極4は図示しない絶縁物支持材5a、5bで真空容器1に固着されている。前記第1の非接地電極2は、図示しない絶縁物6を介して真空容器1に固着されている。該第1の非接地電極2には直径2mm〜10mm程度の多数の小孔7が開口率40%〜60%で配置されている。前記第1の非接地電極2の周りにはアースシールド8が配置されている。該アースシールド8は、不必要な部分での放電を抑制し、かつ放電ガス供給管9a、9bより供給されるSiH4等放電ガスを、整流孔10および前記非接地電極2に配置されている多数の小孔7を介して、前記一対の電極2と4の間に均一に供給する機能を有している。また、前記アースシールド8は、排気管11および図示しない真空ポンプ12と組み合わせて使用されることのより、プラズマ生成空間でプラズマ化された使用済みの放電ガスを排出する機能を有している。
【0109】
真空容器1内の圧力は、図示しない圧力計によりモニターされ、図示しない圧力調整弁により自動的に所定の値に調整、設定される。なお、本実施例の場合は、放電ガスが流量500sccm〜1、500sccm程度の場合、圧力0.01Torr〜10Torr(1.33Pa〜1,330Pa)程度に調整できる。真空容器1の真空到達圧力は2〜3E−7Torr(2.66〜3.99E−5Pa)程度である。
【0110】
基板13は、図示しないゲートバルブ39の開閉操作により、第2の非接地電極4に設置される。そして、図示しない基板ヒータ3により所定の温度に加熱される。
【0111】
高周波電源15は、周波数30MHz〜300MHz(VHF帯域)の電力を発生する。その電力は第1の同軸ケーブル16a、整合器17、第2の同軸ケーブル16b、VSWR計61、第4の同軸ケーブル62、電流導入端子18、第3の同軸ケーブル16c、平衡不平衡変換装置19および図示しない絶縁環21a、21bでそれぞれ絶縁されている第1のおよび第2の給電線23,29を介して、一対の電極2,4の給電点14a、14bに供給される。なお、平衡不平衡変換装置19としては、例えば前記図3の第1の具体例32、前記図5の第2の具体例40、および前記図6の第3の具体例50等が用いられるが、ここでは例えば前記第2の具体例40を用いる。
【0112】
なお、上記構成において、上記平衡不平衡変換装置19を省略し、上記リアクタンス調整回路71で負荷のインピーダンスを調整し、その調整の際に上記VSWR計61を用いるようにすることも考えられる。
【0113】
次に、上記構成のプラズマ表面処理装置を用いて、a−Si太陽電池用のa−Siを製膜する方法を説明する。図9において、予め、基板13を第2の非接地電極4の上に設置し、真空ポンプ12を稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管9a,9bからSiH4ガスを、例えば500sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、一対の電極2、4の間に高周波電力を、例えば周波数60MHzの電力を供給する。なお、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば200℃に保持する。
【0114】
即ち、高周波電源15の出力を例えば60MHz、200Wの出力を第1の同軸ケーブル16a、整合器17、第2の同軸ケーブル16b、VSWR計61、第4の同軸ケーブル62、電流導入端子18、第3の同軸ケーブル16c、平衡不平衡変換装置19の第2の具体例40、および絶縁環21a,21bでそれぞれ絶縁されている第1および第2の給電線23,29を介して、給電点14a、14bに供給する。この場合、先ず、第5の同軸ケーブル77と電流導入端子76を接続しない状態にして、上記整合器17を調整することにより、上記供給電力の、整合器17の上流側への反射波が、高周波電源15の出力(進行波電力)の1〜10%程度になるように調整する。さらに,VSWR計の測定および上記平衡不平衡変換装置19等の調整により、S=1〜3程度となるように、調整・設定をおこなう。なお、VSWR計で測定されるS値に基いて、上記電力供給系の給電線路の定在波が制御できることは、従来技術にはない画期的手段、かつ方法であると言える。次に、上記第5の同軸ケーブル77と電流導入端子76を接続し、一対の電極2,4に並列に付加しているリアクタンス調整装置71を用いて、即ちZcを調整することにより、前記インピーダンスZllすなわち、Zll=Zp・Zc/(Zp+Zc)を調整する。その結果、Zllを、上記電力供給系の線路の特性インピーダンスの値に可能な限り整合させることができる。このことは、供給電力最大の法則を実現したことを意味しており、その結果、一対の電極2,4間に生成するプラズマからの反射波が著しく減少する。
【0115】
以上説明した装置構成により、電力供給系の線路の特性インピーダンスと負荷のインピーダンスが略等しくすること(上記供給電力最大の法則)が実現可能であるので、上記高周波電源の出力が効率よく上記負荷63に供給できるようになる。このことは、供給電力の損失が従来に比べて、著しく抑制されていることを意味している。
【0116】
上記SiH4ガスがプラズマ化されると、そのプラズマ中に存在するSiH3,SiH2,SiH等のラジカルが拡散現象により拡散し、基板13表面に吸着されることにより、a−Si膜が堆積する。なお、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Si等は、製膜条件の中のSiH4,H2の流量比、圧力および電力を適正化することで製膜できることは公知の技術である。
【0117】
上記の手順で製膜する場合の具体的条件を以下に説明する。サイズ1200mmx300mm(厚み4mm)程度のガラス基板13に製膜速度0.3nm/s程度、膜厚分布±10%程度のa−Siを製膜することを実施する。
【0118】
製膜条件は次の通りである。
(製膜条件)
放電ガス:SiH4
流量:500sccm
圧力:0.5Torr(66.5Pa)
電源周波数:60MHz―80MHz
電力:200W
基板13の温度:200℃
【0119】
上記製膜条件でプラズマを生成すると、実施例4と同様に、上記定在波検知装置および上記平衡不平衡変換装置により電力供給系と一対の電極との接続部での伝送特性が整合され、漏洩電流の発生が抑制され、かつ、上記リアクタンス調整装置の付加により、負荷即ち生成されるプラズマと該リアクタンス調整装置の合成インピーダンスが制御可能である。その結果、上記漏洩電流抑制および上記供給電力最大の法則の実現が可能となる。したがって、供給電力の損失が抑制され、かつ、生成されるプラズマの密度の空間的分布は、従来に比べ著しく均一になる。その結果、製膜されるa−Siの膜厚分布は従来に比べて、著しく均一になる。数値的にはa−Si膜厚分布が±10以内で製膜可能となる。
【0120】
なお、本実施例では、市販のVSWR計の使用することを考えて、電力を200Wとしている。また、一対の電極2,4にそれぞれ、給電点を1点(一対)としているので、基板サイズは上記1200mmx300mm程度に制約されるが、給電点数を増加すればサイズの幅は拡大可能であることは当然のことである。
【0121】
a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造では、膜厚分布として±10%以内であれば性能上問題はない。上記実施例によれば、60MHz−80MHz程度の電源周波数を用いても、従来の装置および方法に比べ著しく良好な膜厚分布を得ることが可能である。このことは、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造分野での生産性向上および低コスト化に係わる工業的価値が著しく大きいことを意味している。
【0122】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1のプラズマ表面処理装置によれば、平衡不平衡変換装置が電力供給系と一対の電極との接続部に挿入されることにより、漏洩電流を抑制できるので、従来困難視されていたVHF帯域(30MHz〜300MHz)の電源を用いる高密度プラズマの空間分布の均一化が可能となり、基板に対する均一な表面処理、即ち製膜速度およびエッチング速度の向上と均一性向上が再現性良く可能である。この効果は、LSI,LCD、複写機用感光体の産業のみならず、太陽電池業界での生産性向上に関する貢献度は著しく大きい。
【0123】
請求項2のプラズマ表面処理装置によれば、平衡不平衡変換装置が電力供給系と一対の電極との接続部に挿入され、かつ、定在波検知装置が該電力供給系の構成部材の整合器と該一対の電極との間に挿入されることにより、それぞれ、漏洩電流を抑制でき、かつ、定在波を検知・制御できるので、従来困難視されていたVHF帯域(30MHz〜300MHz)の電源を用いる高密度プラズマの空間分布の均一化が再現性良く可能となり、基板に対する均一な表面処理、即ち製膜速度およびエッチング速度の向上と均一性向上が再現性よく可能である。この効果は、LSI,LCD、複写機用感光体の産業のみならず、太陽電池業界での生産性向上に関する貢献度は著しく大きい。
【0124】
請求項3のプラズマ表面処理装置によれば、平衡不平衡変換装置が電力供給系と一対の電極との接続部に挿入され、かつ、定在波検知装置が該電力供給系の構成部材の整合器と該一対の電極との間に挿入され、かつ、リアクタンス調整装置が該一対の電極に並列に付加されることにより、それぞれ、漏洩電流を抑制でき、かつ、定在波を検知・制御でき、かつ、該電力供給系の負荷のインピーダンスを調整できるので、従来困難視されていたVHF帯域(30MHz〜300MHz)の電源を用いる高密度プラズマの空間分布の均一化および該電力供給系の出力電力の損失抑制が可能である。すなわち、電力消費を少なくして、かつ、基板に対する均一な表面処理、即ち製膜速度およびエッチング速度の向上と均一性向上が再現性良く可能である。この効果は、LSI,LCD、複写機用感光体の産業のみならず、太陽電池業界での低コストおよび生産性向上に関する貢献度は著しく大きい。
【0125】
請求項4〜6は、上記請求項2及び3を実現する確実な手段として、その価値が高い。
【0126】
請求項7のプラズマ表面処理方法によれば、電力供給系と一対の電極との接続部に挿入される平衡不平衡変換装置で該接続部の伝送特性を整合させることにより、漏洩電流を抑制できるので、従来困難視されていたVHF帯域(30MHz〜300MHz)の電源を用いる高密度プラズマの空間分布の均一化が再現性良く可能となり、基板に対する均一な表面処理、即ち製膜速度およびエッチング速度の向上と均一性向上が可能である。この効果は、LSI,LCD、複写機用感光体の産業のみならず、太陽電池業界での低コストおよび生産性向上に関する貢献度は著しく大きい。
【0127】
請求項8のプラズマ表面処理方法によれば、電力供給系と一対の電極との接続部に挿入される平衡不平衡変換装置で該接続部の伝送特性を整合させ、かつ、該電力供給系の構成部材の整合器と該一対の電極との間に挿入される定在波検知装置で該一対の電極側からの反射波の大きさを制御することにより、それぞれ、該接続部に発生の漏洩電流を抑制でき、かつ、該反射波を抑制できるので、従来困難視されていたVHF帯域(30MHz〜300MHz)の電源を用いる高密度プラズマの空間分布の均一化が再現性良く可能となり、基板に対する均一な表面処理、即ち製膜速度およびエッチング速度の向上と均一性向上が可能である。この効果は、LSI,LCD、複写機用感光体の産業のみならず、太陽電池業界での生産性向上に関する貢献度は著しく大きい。
【0128】
請求項9のプラズマ表面処理方法によれば、電力供給系と一対の電極との接続部に挿入される平衡不平衡変換装置で該接続部の伝送特性を整合させ、かつ、該電力供給系の構成部材の整合器と該一対の電極と間に挿入される定在波検知装置で該一対の電極側からの反射波の大きさを制御し、かつ、該一対の電極に並列に付加されるリアクタンス調整装置のリアクタンスを制御することにより、それぞれ、該接続部に発生の漏洩電流を抑制でき、かつ、該反射波を抑制でき、かつ、該電力供給系のインピーダンスと負荷のインピーダンスを整合できるので、従来困難視されていたVHF帯域(30MHz〜300MHz)の電源を用いる高密度プラズマの空間分布の均一化および該電力供給系の出力電力の損失抑制が可能である。すなわち、電力消費を少なくして、かつ、基板に対する均一な表面処理、即ち製膜速度およびエッチング速度の向上と均一性向上が再現性良く可能である。この効果は、LSI,LCD、複写機用感光体の産業のみならず、太陽電池業界での低コストおよび生産性向上に関する貢献度は著しく大きい。
【0129】
請求項10の表面処理方法は、上記請求項7および9を実現する確実な方法として、その価値は高い。
【0130】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係わるプラズマ表面処理装置の全体を示す概略図。
【図2】実施例1に係わる図1のプラズマ表面処理装置における電力供給系を示す説明図。
【図3】実施例1に係わる図1のプラズマ表面処理装置の一構成である平衡不平衡変換装置19の第1の具体例を示す説明図。
【図4】実施例1に係わる図1のプラズマ表面処理装置での平衡不平衡変換装置19の第1の具体例と一対の電極との接続部を示す説明図。
【図5】実施例2に係わる平衡不平衡変換装置19の第2の具体例の構成を示す説明図。
【図6】実施例3に係わる平衡不平衡変換装置の第3の具体例の構成を示す説明図。
【図7】実施例4に係わるプラズマ表面処理装置の全体を示す説明図。
【図8】実施例4に係わる電力供給系の概念の説明図。
【図9】実施例5に係わるプラズマ表面処理装置の全体を示す説明図。
【図10】実施例5に係わる電力供給系の概念の説明図。
【図11】従来の第1の代表的技術に係わるプラズマ表面処理装置の構成図。
【図12】従来の第1の代表的技術に係わる電極への給電点を示す説明図。
【図13】従来の第2の技術に係わるプラズマ表面処理装置の概念図。
【図14】図13図示の装置に係わる給電系のブロック構成図。
【図15】図13図示の装置に係わる電極への給電点を示す説明図。
【図16】従来の第2の技術に係わる電圧波の説明図。
【図17】従来の第2の技術に係わる電圧の合成波の説明図。
【図18】従来の技術の課題に係わる構造の異なる線路間で生じる漏洩電流の概念を示す説明図。
【図19】従来の技術の課題に係わる高周波電源に付属の進行波・反射波の検出装置の説明図。
【符号の説明】
1...真空容器2,
2...第1の非接地電極,
4...第2の非接地電極,
5a,5b...絶縁物支持材,
7...小孔,
8...アースシールド,
9a,9b...放電ガス供給管,
10...整流孔,
11...排気管,
13...基板,
14a,14b...給電点,
15...高周波電源、
16a,16b,16c...第1,第2および第3の同軸ケーブル、
17...整合器、
18...電流導入端子、
19...平衡不平衡変換装置、
23...第1の給電線、
23a...芯線、
24...外部導体、
25...誘電体、
26...円筒型導電体、
26a...管型導電体,
26b...円筒型導電体,
27...端面,
28a、28b...絶縁環,
29...第2の給電線、
32...平衡不平衡変換装置の第1の具体例、
40...平衡不平衡変換装置の第2の具体例、
41a、41b42a,42b...取り付けボルト,
50...平衡不平衡変換装置の第3の具体例、
51...同軸ケーブル,
52...導電板,
53a,53b...芯線,
54a,54b...第1および第2のコネクター,
61...VSWR計、
62...第4の同軸ケーブル、
70...リアクタンス調整系、
71...リアクタンス調整装置、
72,73...第3、第4の給電線、
74...第2の平衡不平衡変換装置、
76...電流導入端子。
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマを利用して基板の表面に所定の処理を施す表面処理装置および表面処理方法に関する。本発明は、特に、周波数30MHzないし300MHzの高周波電力により生じさせた放電用ガスのグロー放電によって、プラズマを生成する反応性プラズマによる表面処理装置および表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
反応性プラズマを用いて基板の表面に各種処理を施し、各種電子デバイスを製作することは、LSI(大規模集積回路)、LCD(液晶デイスプレー)、アモルファスSi系太陽電池、薄膜多結晶Si系太陽電池、複写機用感光体、および各種情報記録デバイス等の分野において既に実用化されている。また、ダイヤモンド薄膜および立方晶ボロンナイトライド(C−BN)等の超硬質膜製造分野においても実用化が進みつつある。
【0003】
上記技術分野は、薄膜形成、エッチング、表面改質およびコーテイング等多岐に亘るが、いずれも反応性プラズマの化学的および物理的作用を活用したものである。上記反応性プラズマの生成に関する装置および方法には、大別すると2つの代表的技術がある。
【0004】
第1の代表的技術は、例えば、特許文献1および非特許文献1に記載されているもので、プラズマ発生に2枚の平行平板電極を一対として用いることを特徴とする。第2の代表的技術は、例えば特許文献2および特許文献3に記載されているもので、プラズマ発生にラダー電極と平板電極を一対として用いることを特徴とする。以下に、従来技術を代表して、2つの事例を説明する。
【0005】
(従来例1)
先ず、従来の第1の代表例として特許文献1記載の装置および方法について図11および図12を参照して説明する。図11は従来の第1の代表的技術に係わるプラズマ表面処理装置の構成図、図12は従来の第1の代表的技術に係わる電極への給電点を示す説明図である。図11に示すように、従来の第1の代表例は、真空容器101と、基板113が設置される接地電極104と、接地電極104に対面配置される非接地電極102と、これら電極間に高周波電力を供給する給電系、放電ガス供給系、および排気系とを具備している。
【0006】
該接地電極104は基板ヒータ103を内臓し、基板113の温度を所定の値に設定する。該非接地電極104は、具体的には矩形状の板材(面積500mmx500mm程度ないし1,000mmx1,000mm程度)で、材質はステンレス鋼である。
【0007】
他方、該非接地電極102は、絶縁物106を介して真空容器101の上部に取り付けられている。非接地電極102の内部は空洞で、プラズマが生成される空間192に接する面102aには、直径0.5mm程度の多数のガス噴出し孔102bが孔間隔10ないし15mmで配置されている。
【0008】
前記非接地電極102の上面には、放電用ガスの開口部102cが配置されている。この開口部102cには、接続部材194(材料はセラミックス)を介して放電用ガス導入管109が接続され、図示しない材料ガス供給源よりバルブ193を介して例えばシランガス(SiH4)が供給される。前記真空容器101内のガスは排気管111を通して真空ポンプ112より排出される。基板113は、ゲートバルブ195を開にして接地電極104上に設置され、基板ヒータ103および基板ヒータ電源191により所定の温度に加熱される。
【0009】
該非接地電極102の電力供給点114a、114bには、所定の高周波電力を発生させる高周波電源115の出力が、該出力を複数個に分配する電力分配器190と、第1および第2の整合117a、117bと、第1、第2、第3および第4の同軸ケーブル116a、116b、116c、116dを介して供給される。電力供給点114bには、図12に示すように、同軸ケーブル116dの芯線123を接続し、かつ、その近傍を絶縁環121で絶縁する。そして、該同軸ケーブル116dの外皮導体の端部を接地導体196を用いて真空容器101に接続する。なお、図12の符番102,106は、それぞれ、非接地電極および絶縁物である。
【0010】
プラズマを発生させる場合は高周波電源15の出力を所定の値に設定し、図示しない高周波電源に付属した進行波・反射波の検出器(モニター)を見ながら、第1および第2の整合器117a、117bを順次調整し、反射波がほぼ1〜10%程度の状態を設定する。その結果、高周波電源の出力は、整合器117a,117bから下流側へそのほぼ90〜99%程度が供給される。
【0011】
次に、図11、図12の装置を用いて例えばアモルファスSi(a−Si)膜を製膜する場合について説明する。ゲートバルブ195を開にし、基板113を接地電極104に設置し、ゲートバルブ195を閉に戻す。真空ポンプ112を駆動して真空容器101内の圧力を1E−7Torr(1.33E−5Pa)程度まで排気する。基板113の温度を基板ヒータ103および基板ヒータ電源191を用いて所定の温度に設定する。放電用ガス導入管109を通して、例えばシランガスを所定量供給し、真空容器101内を0.05ないし0.5Torr(6.65ないし66.5Pa)に保ち、前記電力供給系を用いて一対の電極102,104間に電力を供給する。これにより、非接地電極102と接地電極104の間にグロー放電プラズマが生成される。シランガスがプラズマ化されると、その中に存在するSiH3、SiH2、SiH等のラデイカルが拡散現象により拡散し、基板113の表面に吸着・堆積する。その結果、アモルファスSi膜が形成される。
【0012】
なお、製膜条件として放電用ガスの混合比、例えば、SiH4とH2の流量比、圧力、基板温度およびプラズマ発生電力を適正化することで、a−Siのみならず、微結晶Siおよび多結晶Si膜を製造できることは公知である。
【0013】
また、放電用ガスとして、エッチング作用のあるガス、例えばSF6、SiCl4、CF4およびNF3等エッチングガスを用いれば、基板表面のエッチング処理が行なえることは公知である。
【0014】
(従来例2)
次に、従来の第2の代表例として、特許文献2および特許文献3に記載の従来技術を、図13ないし図17を参照して説明する。図13は従来の第2の技術に係わる表面処理装置の概念図、図14は図13図示の装置に係わる一対の電極への給電に用いる給電系のブロック構成図、図15は図13図示の装置に係わる電極への給電点を示す説明図、図16は電圧波の説明図、図17は電圧の合成波の説明図である。図13および図14に示すように、従来の第2の代表的技術のプラズマ表面処理装置は、真空容器201と、基板213が設置される接地電極204と、接地電極204に対面配置されるラダー型構造の非接地電極202(ラダー電極と呼ぶ)と、これら電極間に高周波電力を供給する給電系、放電ガス供給系、および排気系とを備えている。
【0015】
真空容器201には該真空容器201内の反応ガス等のガスを排気する排気管211を介して真空ポンプ212が接続されている。そして、アースシールド208が配置されている。該アースシールド208は前記排気管211と組み合わせて使用されることにより、反応ガス導入管209a、209bより導入される反応ガスおよびその他生成物を排気管211を介して排出する。真空ポンプ212を稼動すると、圧力1E−6Torr(1.33E−4Pa)程度に真空排気される。反応ガス導入管209a、209bより反応ガスとして例えばシランガスが供給されると、図示しない多数のガス噴出孔からラダー電極202と接地電極204の間にシランガスが一様に流れ出すようになっている。
【0016】
基板213は接地電極204に保持され、図示しない内臓ヒータ203により所定の温度に加熱される。基板には、サイズ460mmx460mm、厚さ1mm程度のガラスが用いられる。ラダー電極202は、サイズ例えば外寸法520mmx520mm程度で、直径6mm程度の丸棒部材を等ピッチ間隔に梯子状に組み立て製作されている。該電極202への給電には図14および図15に示すように、4つの給電点214aないし214dで、同軸ケーブル216a,216b,216c、216dと接続される。
【0017】
給電系は、図13および図14に示すように、高周波発信器232、信号分配器233、フエーズシフター(位相シフター)234、一対の電力増幅器236a,236b、一対の整合器217a、217b、一対の電力分配器240a、240bおよびコンピユータ235などより構成される。信号分配器233の2つの出力の一方の電圧の位相は、コンピユータ235で駆動制御されるフエーズシフター234により、±180度の範囲で時間的に変化する。該位相変化のある信号は第2の電力増幅器234bで電力増幅され、第2の整合器217bおよび第2の電力分配器236bを介して、給電点214c、214dに供給される。他方の出力は、第1の電力増幅器236a、第1の整合器217aおよび第1の電力分配器240aを介して、給電点214a、214bに供給される。
【0018】
具体的には、ラダー電極202の給電点例えば214aには、図15に示すように、前記アースシールド208を貫通して設置されている同軸ケーブルの芯線(内部導体)223が接続されている。該芯線223の周りは放電防止用絶縁環237で囲まれている。なお、該同軸ケーブルの外部導体はアースシールド208に取り付けリング239で接続され、その端部はカップリング241で整形されている。
【0019】
プラズマを発生させる場合は、電力増幅器236a,236bに付属した図示しない進行波・反射波の検出器(モニター)を見ながら、第1および第2の整合器217a,217bを順次調整し、反射波がほぼ1〜10%程度の状態を設定する。その結果、電力増幅器236a,236bの出力は、それぞれ整合器217a,217bから下流側へそのほぼ90〜99%程度が供給される。
【0020】
次に、図13および図14に図示の装置を用いて例えば微結晶Si膜を製造する場合について説明する。図示しないゲートバルブより、基板213例えばサイズ460mmx460mmのガラスを接地電極204の上に設置して、ゲートバルブを閉める。続いて、前記従来例1と同様に、真空ポンプ212を駆動させ、所定の真空度まで真空引きする。基板213の温度を200℃に設定し、シランガスを500sccm、水素ガスを3、500sccm供給しつつ、圧力を0.15Torr(20Pa)に設定する。
【0021】
そして、高周波発振器232の周波数を例えば60MHzに設定する。フェーズシフター234により、信号分配器233の一方の出力信号(正弦波)の位相を時間的に三角波状に変調させる。この場合、ラダー電極202と接地電極204間の電界は、給電点214a、214bおよび214c、214dに供給される電力の電圧の位相差が時間的に変化するので、それに対応して変化する。その様子を図16に電圧の波として示している。
【0022】
図16において、ラダー電極202の長さ方向の位置をx、右方向(xの正方向)へ伝播する電圧波をW1(x,t)、左方向(xの負方向)へ伝播する電圧波をW2(x,t)とすると、次のように表現される。
W1(x,t)=V0・sin(ωt+2π/λ).....(1)
W2(x,t)=V0・sin{ωt−2π(x−L0)/λ+Δθ}...(2)
ただし、ωは電圧の角周波数、λは電圧の波長、tは時間、L0はラダー電極2の伝播方向の長さ、Δθは 位相差である。電圧の合成波W(x、t)は次式のようになる。
W(x、t)=W1(x、t)+W2(x、t)=2・V0cos{2π(x−L0/2)/λ−Δθ/2}・sin{ωt+(2πL0/λ+Δθ/2}....(3)
【0023】
上記(3)式で表せる合成波W(x、t)を概念的に図17に示す。Δθ=0の場合、生成されるプラズマの強さはラダー電極の中央部(x=L0/2)が強く、両端では弱いことを示している。プラズマの強い部分は、Δθ>0の場合、ラダー電極の右端部であり、Δθ<0の場合、左端部であることを示している。即ち、前記フェーズシフター234を用いて、前記式(3)のΔθを−180度〜+180度の間で時間的に三角波状に変化させることにより、時間平均的に均一な強さのプラズマが生成される。その結果、プラズマの強さの不均一性が時間的に平均化されることにより、一様な膜厚分布の微結晶Si膜が得られる。
【0024】
【特許文献1】
特開平8−325759(第2−9頁、第1−4図)
【特許文献2】
特開平4−236781(第2−4頁、第1−4図)
【特許文献3】
特開2001−257098(第3−8頁、第1−3図)
【0025】
【非特許文献1】
L.Sansonnens, A.Pletzer, D.Magni, A.A.Howling,Ch.Hollenstein and J.P.M.Schmitt,:A voltage uniformity study in large−area reactors for RF plasma deposition、Plasma Source Sci. Technol. 6 (1997) p.170−178
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の表面処理技術、即ち表面処理装置と表面処理方法は、LCD,LSI,電子複写機および太陽電池等の産業分野のいずれにおいても、生産性向上に伴う製品コストの低減および大面積壁掛けTVなど性能(仕様)の改善等に関する大面積・均一化および高速処理化のニーズが年々強まっている。
【0027】
最近では、上記ニーズに対応するため、産業界のみならず、学会でも特に、プラズマCVD(化学蒸着)技術およびプラズマエッチング技術ともに、高密度プラズマで、かつ低電子温度との特徴のあるVHF帯(30MHzないし300MHz)の電源を用いた高密度プラズマCVDの大面積・高速製膜および大面積・高速プラズマエッチングに関する先端的研究開発が盛んになっている。しかしながら、従来技術では、以下に述べるような課題が依然として存在していることから、上記ニーズへの対応が困難視されている状況にある。
【0028】
(1)従来技術の第1の代表例の平板電極を用いる技術における、大面積基板を対象にしたVHFプラズマ生成では、特許文献1、特許文献3および非特許文献1によると、電力供給線路および電極にVHF特有の定在波が発生すること、および表皮効果に起因するインピーダンスの増大があること等の原因により、一対の平板電極間の電界分布は一様にならず、不均一になると指摘されている。
【0029】
本発明者は、最近、上記従来の平板電極を用いるVHFプラズマによる大面積化・均一化・高速処理化の困難性に関する本質的原因に、次に示す3つの事項が関係しているということを発見した。
【0030】
第1は、次に示す給電線路の構造上の問題である。図11及び図12おいて、同軸ケーブルと電極の接続部は、互いに異なる構造の線路が接続された形になっているので、その接続点では電力の反射が発生すると考えられる。即ち、同軸ケーブルは、内部導体(芯線)と外部導体の内面を往路・帰路とする伝送方式である。他方、一対の電極の構造は、同軸ケーブルと異なり、2本の平行線路に相当する構造である。したがって、両者の境界では電波の反射現象が発生する。この現象は以下に説明する漏洩電流の発生を伴う現象である。その様子を概念的に図18に示す。なお、図18では、同軸ケーブル116cの端部と一対の電極102,104との接合部での高周波電力の電流のある瞬間を概念的に示しているが、交流現象なので、当然、図示されている電流の方向は時間的に変化する。
【0031】
図18は、同軸ケーブル116cの外部導体の内側(内面)を流れてきた電流Iが外部導体の端面で反射し、その一部が外部導体の外側(外面)に漏れている現象を示している。外部導体の外側へ流れた電流I1(ここでは、漏洩電流と呼ぶ)は真空容器101の内部構造物の壁と結合した形で、該同軸ケーブル116cの芯線へもどる。漏洩電流I1は上記接合部の構造および真空容器の具体的な内部構造物の形状にも影響されるので、一対の電極102,104間に流れる電流I2は制御が困難であり、再現性もない。その結果、一対の電極102,104間の電界分布の一様性を実現するのは困難である。
【0032】
第2及び第3の問題は、それぞれ、給電線路での反射波の検出手段およびその抑制方法に関する問題である。従来の第1の代表的技術での電力供給系では図11に示された構成である。具体的に説明すると図11の給電系は図19に示す構成の高周波電源を用いている。即ち、高周波電源に付属した進行波B・反射波Bの検出器を見ながら、整合器117を調整することにより、反射波Bを抑制(反射波Bを進行波電力の1〜10%程度に調整)している。しかしながら、この方法は、図19に示すように、整合器117の下流側からの反射波Aがその整合器117へ戻ってきた場合、該整合器117はそれを下流側へ戻してしまう機能があるので、上記進行波B・反射波Bの検出器は整合器117への反射波Aの有無を判別できない。即ち、整合器117の下流側の反射波Aの状況を把握できないという問題がある。反射波を検出できないことから、それを抑制することができないという問題がある。
【0033】
(2)次に、従来技術の第2の代表例のラダー電極を用いる技術についての問題を説明する。本技術においても、上記の問題点、即ち特許文献1、特許文献3および非特許文献1で指摘されている問題点に加えて、次の3つの事項が本質的かつ実際的問題の原因であるということを発見した。
【0034】
第1の問題は、前記(1)項の第1の問題と同様の問題である。図14および図15において、同軸ケーブルの芯線とラダー電極の接続部で、該同軸ケーブルの外部導体端部より漏れ電流が発生する。その様子は、前記の図18と同様である。ただし、第2の代表的技術では、前記従来の第1の代表例の場合での問題に加えて、上記接合部が真空容器の中にあるので、プラズマ生成時に上記漏れ電流が原因である強い局部放電を発生する。これはプラズマの不均一化の原因になる問題であり、再現性のある均一な膜厚分布を得ることが困難な原因でもある。
【0035】
第2及び第3の問題は、それぞれ前記(1)項の第2および第3の問題と同様である。この場合においても、図14に示すような給電系の構成であるので、図19に示すように、高周波電源に付属した進行波B・反射波Bの検出器を見ながら、整合器217を調整することにより、反射波Bを抑制(反射波を進行波電力の1〜10%程度に調整)している。しかしながら、この方法は、整合器217の下流側からの反射波Aがその整合器217へ戻ってきた場合、該整合器217はそれを下流側へ戻してしまう機能があるので、上記進行波B・反射波Bの検出器は整合器217への反射波Aの有無を判別できない。即ち、整合器217の下流側の反射波Aの状況を把握できないという問題がある。反射波を検出できないことから、それを抑制することができないという問題がある。
【0036】
以上詳説したように、従来技術は、量産性向上や低コスト化に必要な大面積基板、例えばサイズ1mx1m級の大面積基板を対象にしたVHFプラズマCVDおよびプラズマエッチング等の応用では、依然として困難で、不可能視されている。このような状況のもと、応用物理学会および電気学会等関連学会において研究が活発化しているが、1mx1m級大面積基板を対象にしたVHFプラズマ利用の表面処理方法およびその装置の成功例は発表されていない。
【0037】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、従来技術では困難視されている例えば1mx1m級の大面積基板に対してもVHF帯域(30MHz−300MHz)の周波数を用いて高速かつ均一性に優れたプラズマ表面処理装置およびプラズマ表面処理方法を提供することを目的とする。
【0038】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する為に、本願の請求項1記載の発明は、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、基板がセットされる第1の電極と前記第1の電極に対向設置される第2の電極からなる一対の電極と、前記一対の電極間に高周波電力を供給する電力供給系と、前記電力供給系と組み合わせて用いられる平衡不平衡変換装置とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置において、前記平衡不平衡変換装置は、芯線と誘電体と外部導体から成る同軸ケーブルの一方の端部の芯線と外部導体を入力部とし、該同軸ケーブルの他方の端部に両端開放の管型導電体と一方の端面を開放の円筒型導電体を被せ、該管型導電体の外面と該円筒型導電体の内面が密着し、該円筒型導電体の他方の端面は該同軸ケーブルの外部導体と密着し、かつ、該管型導電体の一方の端面と該円筒型導電体の閉じた方の端面との距離が、短縮率を考慮した前記高周波電源出力の波長λの四分の一すなわちλ/4で、かつ、該同軸ケーブルの外部導体と該管型導電体の内面との間隔が2mmないし60mmであり、かつ、該管型導電体と該同軸ケーブルの外部導体間に絶縁環を設置し、かつ、該同軸ケーブルの他方の端部の芯線と外部導体を出力部とするという構成を有し、かつ、該平衡不平衡変換装置が前記電力供給系の構成部材の同軸ケーブルと前記一対の電極との接続部に挿入されることを特徴とする。
【0039】
同様に上記目的を達成する為に、本願の請求項2記載の発明は、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、基板がセットされる第1の電極と前記第1の電極に対向設置される第2の電極からなる一対の電極と、前記一対の電極間に高周波電力を供給する電力供給系とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理する表面処理装置において、前記電力供給系の構成部材の同軸ケーブルと前記一対の電極との接続部に、互いに構造の異なる線路間の伝送特性を整合させる平衡不平衡変換装置が挿入され、かつ、該電力供給系の構成部材の整合器と該一対の電極の間に定在波を検知する定在波検知装置が挿入されるという構成を有することを特徴とする。
【0040】
同様に上記目的を達成する為に、本願の請求項3記載の発明は、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、基板がセットされる第1の電極と前記第1の電極に対向設置される第2の電極からなる一対の電極と、前記一対の電極間に高周波電力を供給する電力供給系とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理する表面処理装置において、前記電力供給系の構成部材の同軸ケーブルと前記一対の電極との接続部に、互いに構造の異なる線路間の伝送特性を整合させる平衡不平衡変換装置が挿入され、かつ、該電力供給系構成部材の整合器と該一対の電極の間に定在波を検知する定在波検知装置が挿入され、かつ、該一対の電極に、該一対の電極のインピーダンスと並列の関係にあるリアクタンス調整装置が付加されるという構成を有することを特徴とする。
【0041】
なお、前記高周波電源15は、前記リアクタンス調整装置が前記一対の電極2,4に並列に設定されているので、プラズマ生成状態にある前記一対の電極と前記リアクタンスの合成インピータンスを負荷にすることになる。
【0042】
同様に上記目的を達成する為に、本願の請求項4記載の発明は、請求項2及び3において、前記平衡不平衡変換装置は、芯線と誘電体と外部導体から成る同軸ケーブルの一方の端部の芯線と外部導体を入力部とし、該同軸ケーブルの他方の端部に、長さが短縮率を考慮した前記高周波電源出力の波長λの四分の一すなわちλ/4で、前記外部導体との間隔が2mmないし60mmの円筒型導電体を被せ、かつ、該円筒型導電体の一方の端面を開放し、他方の端面を該同軸ケーブルの外部導体に密着させ、かつ、該円筒型導電体と該同軸ケーブル間に絶縁環を設置し、かつ、上記同軸ケーブルの他方の端部の芯線と外部導体を出力部とするという構成を有することを特徴とする。
【0043】
なお、上記請求項4(他の請求項も同様)において、短縮率を考慮した波長λとは、同軸ケーブル内部を伝播する際の電波の波長で、短縮率即ち例えば、同軸ケーブルの誘電体がポリエチレンの場合、0.67あるいは、アルミナの場合、0.34と、真空中を伝播する場合の前記高周波電源出力周波数に対応の電波の波長の積を意味している。
【0044】
同様に上記目的を達成する為に、本願の請求項5記載の発明は、請求項2及び3において、前記平衡不平衡変換装置は、芯線と誘電体と外部導体から成る同軸ケーブルの一方の端部の芯線と外部導体を入力部とし、該同軸ケーブルの他方の端部に、両端開放の管型導電体と一方の端面を開放の円筒型導電体を被せ、該管型導電体の外面と該円筒型導電体の内面が接着し、該円筒型導電体の他方の端面は上記同軸ケーブルの外部導体と密着し、かつ、該管型導電体の一方の端面と該円筒型導電体の閉じた方の端面との距離が、短縮率を考慮した前記高周波電源出力の波長λの四分の一すなわちλ/4で、かつ、前記同軸ケーブルの外部導体と該管型導電体の内面との間隔が2mmないし60mmであり、かつ、該管型導電体と該同軸ケーブルの外部導体間に絶縁環を設置し、かつ、上記同軸ケーブルの他方の端部の芯線と外部導体を出力部とするという構成を有することを特徴とする。
【0045】
同様に上記目的を達成する為に、本願の請求項6記載の発明は、請求項2及び3において、前記平衡不平衡変換装置は、芯線と誘電体と外部導体から成る第1の同軸ケーブルの一方の端部の芯線と外部導体を入力部とし、該第1の同軸ケーブルの他方の端部の外部導体に、形状がU型で、長さが短縮率を考慮した前記高周波電源出力の波長λの二分の一すなわちλ/2の第2の同軸ケーブルの両方の端部の外部導体を接続し、かつ、前記第1の同軸ケーブルの他方の端部の芯線と該U型の第2の同軸ケーブルの一方の芯線を接続し、かつ、該U型の第2の同軸ケーブルの他方の芯線と上記第1の同軸ケーブルの他方の端部の芯線を出力部とするという構成を有することを特徴とする。
【0046】
同様に上記目的を達成する為に、本願の請求項7記載の発明は、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、基板がセットされる第1の電極と前記第1の電極に対向設置される第2の電極からなる一対の電極と、前記一対の電極間に高周波電力を供給する電力供給系と、前記電力供給系と組み合わせて用いられる平衡不平衡変換装置とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理方法において、前記平衡不平衡変換装置は、芯線と誘電体と外部導体から成る同軸ケーブルの一方の端部の芯線と外部導体を入力部とし、該同軸ケーブルの他方の端部に両端開放の管型導電体と一方の端面を開放の円筒型導電体を被せ、該管型導電体の外面と該円筒型導電体の内面が密着し、該円筒型導電体の他方の端面は該同軸ケーブルの外部導体と密着し、かつ、該管型導電体の一方の端面と該円筒型導電体の閉じた方の端面との距離が、短縮率を考慮した前記高周波電源出力の波長λの四分の一すなわちλ/4で、かつ、該同軸ケーブルの外部導体と該管型導電体の内面との間隔が2mmないし60mmであり、かつ、該管型導電体と該同軸ケーブルの外部導体間に絶縁環を設置し、かつ、該同軸ケーブルの他方の端部の芯線と外部導体を出力部とするという構成を有し、かつ、該平衡不平衡変換装置が前記電力供給系の構成部材の同軸ケーブルと前記一対の電極との接続部に挿入され、両者の伝送特性を整合させ、前記一対の電極間に電力を供給させることを特徴とする。
【0047】
同様に上記目的を達成する為に、本願の請求項8記載の発明は、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、基板がセットされる第1の電極と前記第1の電極に対向設置される第2の電極からなる一対の電極と、前記一対の電極間に高周波電力を供給する電力供給系とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理する表面処理装置において、前記電力供給系の構成部材の同軸ケーブルと前記一対の電極との接続部に、平衡不平衡変換装置を挿入し、両者の伝送特性を整合させ、かつ、該電力供給系の構成部材の整合器と該一対の電極の間に定在波検知装置を挿入し、その間の定在波を測定し、該定在波検知装置の測定値即ちVSWR値に基いて、該電力供給系を構成する給電線路の定在波を制御することを特徴とする。
【0048】
同様に上記目的を達成する為に、本願の請求項9記載の発明は、排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、基板がセットされる第1の電極と前記第1の電極に対向設置される第2の電極からなる一対の電極と、前記一対の電極間に高周波電力を供給する電力供給系とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理する表面処理方法において、前記電力供給系の構成部材の同軸ケーブルと前記一対の電極との接続部に平衡不平衡変換装置を挿入し、両者の伝送特性を整合させ、かつ、該電力供給系構成部材の整合器と該一対の電極の間に定在波検知装置を挿入し、その間の定在波を測定し、かつ、該一対の電極に、該一対の電極間のインピーダンスと並列の関係にあるリアクタンス調整装置を付加し、該定在波検知装置の測定値即ちVSWR値に基いて、該リアクタンス調整装置のリアクタンスおよび該電力供給系を構成する給電線路の定在波を制御することを特徴とする。
【0049】
同様に上記目的を達成する為に、本願の請求項10記載の発明は、請求項7ないし9において、該定在波検知装置の測定値即ちVSWR値が2.5以下であることを特徴とする。
【0050】
なお、VSWR値が2.5以下であるのは、その値が電力換算値で略18%であり、その範囲であれば実用上問題ないからである。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例に係わる表面処理装置および表面処理方法について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、表面処理装置および表面処理方法の一例として、太陽電池を製作する際に必要なa―Si薄膜を製作する装置および方法が記載されているが、本願の発明対象が下記の例の装置および方法に限定されるものではない。
【0052】
(実施例1)
図1〜図4を参照して、実施例1のプラズマ表面処理装置(プラズマCVD装置)およびプラズマ表面処理方法(プラズマCVD方法)について説明する。図1は実施例1に係わるプラズマ表面処理装置の全体を示す概略図、図2は図1のプラズマ表面処理装置のブロック構成図、図3は図1のプラズマ表面処理装置の一構成である平衡不平衡変換装置の第1の具体例を示す説明図、および図4は図1のプラズマ表面処理装置に組み入れられた平衡不平衡装置の第1の具体例を示す説明図である。
【0053】
先ず、装置の構成を説明する。図1および図2において、符番1は真空容器である。この真空容器1には、後述の放電ガスをプラズマ化する一対の電極、即ち第1の非接地電極2と図示しない基板ヒータ3を内臓した第2の非接地電極4が配置されている。該第2の非接地電極4は絶縁物支持材5a、5bで真空容器1に固着されている。前記第1の非接地電極2は、図示しない絶縁物6を介して真空容器1に固着されている。該第1の非接地電極2には直径2mm〜10mm程度の多数の小孔7が開口率40%〜60%で配置されている。前記第1の非接地電極2の周りにはアースシールド8が配置されている。該アースシールド8は、不必要な部分での放電を抑制し、かつ放電ガス供給管9a、9bより供給されるSiH4等放電ガスを、整流孔10および前記非接地電極2に配置されている多数の小孔7を介して、前記一対の電極2と4の間に均一に供給する機能を有している。また、前記アースシールド8は、排気管11および図示しない真空ポンプ12と組み合わせて使用されることのより、プラズマ生成空間でプラズマ化された使用済みの放電ガスを排出する機能を有している。
【0054】
真空容器1内の圧力は、図示しない圧力計によりモニターされ、図示しない圧力調整弁により自動的に所定の値に調整、設定される。なお、本実施例の場合は、放電ガスが流量500sccm〜1、500sccm程度の場合、圧力0.01Torr〜10Torr(1.33Pa〜1,330Pa)程度に調整できる。真空容器1の真空到達圧力は2〜3E−7Torr(2.66〜3.99E−5Pa)程度である。
【0055】
符番13は基板で、図示しないゲートバルブ39の開閉操作により、第2の非接地電極4に設置される。そして、図示しない基板ヒータ3により所定の温度に加熱される。
【0056】
図1および図2において、符番15は高周波電源で、周波数30MHz〜300MHz(VHF帯域)の電力を発生する。その電力は第1の同軸ケーブル16a、整合器17、第2の同軸ケーブル16b、電流導入端子18、第3の同軸ケーブル16c、平衡不平衡変換装置19および図示しない絶縁環21a、21bでそれぞれ絶縁されている第1のおよび第2の給電線23,29を介して、一対の電極2,4の給電点14a、14bに供給される。
【0057】
前記平衡不平衡変換装置19は、例えば外部導体が接地された同軸ケーブルと非接地の平行2本線路のように、互いに構造の異なる線路を接続する場合に、その間に挿入されれば、両者の伝送特性を整合させる機能がある。なお、不平衡線路の同軸ケーブルでは、電流は往路で芯線を流れ、帰路で外部導体およびアースを流れ、またそれを逆に流れるような伝送形態を有している。平衡線路では、電流は2本の線路を交互に、往路・帰路として流れ、等振幅で位相が180度異なっている。
【0058】
前記平衡不平衡変換装置19の第1の具体例を図3に示す。図3の装置は、芯線23a、外部導体24および誘電体25から構成の前記同軸ケーブル16cの一方の端部の芯線と外部導体を入力部とし、該同軸ケーブルの他方の端部、すなわち前記一対の電極2,4に接続される側の端部に円筒型導電体26を被せた構造を有し、かつ、該端部の芯線23と外部導体29を出力部とする。該円筒型導電体26は、形状が円筒で、一方の端面を開放し、他方の端面27を外部導体24に密着・接続したものである。その長さは前記高周波電源15の出力電力の波長λの四分の1(即ちλ/4)と該同軸ケーブルの波長短縮率との積に等しい値で、前記外部導体24との間隔は2mm〜60mm程度である。円筒型導電体26と上記外部導体24の間には、絶縁環28a、28bが配置され、その間隔が一定に保持されている。なお、該間隔は、絶縁性を確保できればとくに問題ないが、目安としては、上記一対の電極間隔程度である。前記外部導体24の端部には、図3図示のようにリード線29が接続され、芯線23と組み合わせて上記給電点14a、14bへの電力供給に用いられる。
【0059】
図3において、前記外部導体24の端面の地点30aから前記円筒型導電体26の他方の端面の地点30bを経由して、一方の端面の地点31の方向へ漏洩電流が流れようとした場合、地点30aから地点30bの長さが波長短縮率(例えば、誘電体がポリエチレンの場合:0.67、アルミナの場合:0.34である)とλ/4の積に等しい値であるので、地点30aと地点31間のインピーダンスは無限大である。その結果、前記外部導体24の端面からの電流漏洩は発生しない。即ち、不平衡線路と平衡線路の接続部において、電流の漏洩や電力反射が抑制される効果がある。
【0060】
図3に示した平衡不平衡変換装置の第1の具体例32を、図1および図2に示した実施例1に係わる表面処理装置の一構成として用いる場合について説明する。図4に、図1および図2に示した一対の電極2,4と前記平衡不平衡変換装置の第1の具体例32を接続する配線状況を示している。プラズ生成空間に接する非接地電極2の内面(ここでは該電極の対向電極側の面を内面と呼ぶ)の小孔7部分に位置した給電点14aに、前記平衡不平衡変換装置の第1の具体例32の同軸ケーブルの芯線23を接続する。また、前記接地電極4の内面の給電点14bに、前記平衡不平衡変換装置の第1の具体例32のリード線29を接続する。なお、前記芯線23およびリード線29には図示しない例えば材料がアルミナの絶縁環21a,21bが配置され、異常放電を抑制している。
【0061】
次に、上記構成のプラズマ表面処理装置を用いて、a−Si太陽電池用のa−Siを製膜する方法を説明する。図1〜図4において、予め、基板13を第2の非接地電極4の上に設置し、真空ポンプ12を稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管9a,9bからSiH4ガスを、例えば500sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、一対の電極2、4の間に高周波電力を、例えば周波数60MHzの電力を供給する。なお、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば200℃に保持する。
【0062】
即ち、高周波電源15の出力を例えば60MHz、500Wの出力を第1の同軸ケーブル16a、整合器17、第2の同軸ケーブル16b、電流導入端子18、第3の同軸ケーブル16c、平衡不平衡変換装置19の第1の具体例32、および絶縁環21a,21bでそれぞれ絶縁されている第1および第2の給電線23,29を介して、給電点14a、14bに供給する。この場合、上記整合器17を調整することにより、整合器17の上流側には上記供給電力の反射波が戻らないようにできる。その結果、SiH4ガスのプラズマが生成される。
【0063】
ここで、給電点14a,14bに供給される電力は、上記平衡不平衡装置19の第1の具体例32の漏洩電流防止の機能により、漏洩電流の発生を抑制して、第1および第2の給電線23,29から一対の電極2,4間に供給できる。したがって、前記給電点14a,14b近傍には局部放電など異常放電は発生しない。なお、前記第1および第2の給電線23,29回りの絶縁環21a,21bの絶縁効果も、両者間での異常放電を抑制している。また、従来技術では発生する漏洩電流が一対の電極周辺のアース構造および配線状況に関係しているので、再現性の良いプラズマ生成は困難であるが、本実施例では漏洩電流が発生しないので、再現性の良いプラズマを生成できる。
【0064】
上記工程において、SiH4ガスがプラズマ化されると、そのプラズマ中に存在するSiH3,SiH2,SiH等のラジカルが拡散現象により拡散し、基板13表面に吸着されることにより、a−Si膜が堆積する。なお、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Si等は、製膜条件の中のSiH4,H2の流量比、圧力および電力を適正化することで製膜できることは公知の技術である。
【0065】
上記の手順で製膜する場合の具体的条件を以下に説明する。サイズ1200mmx300mm(厚み4mm)程度のガラス基板13に製膜速度1nm/s、膜厚分布±10%のa−Siを製膜することを実施する。
【0066】
製膜条件は次の通りである。
(製膜条件)
放電ガス:SiH4
流量:500sccm
圧力:0.5Torr(66.5Pa)
電源周波数:60MHz
電力:500W
基板13の温度:200℃
【0067】
上記製膜条件でプラズマを生成すると、上記平衡不平衡変換装置により電力供給系と一対の電極との接続部での伝送特性が整合され、漏洩電流の発生が抑制されるので、生成されるプラズマの密度の空間的分布は、従来に比べて、再現性良く均一になる。その結果、製膜されるa−Siの膜厚分布は従来に比べて、再現性良く均一になる。数値的にはa−Si膜厚分布が±10以内で製膜が可能となる。
【0068】
なお、本実施例では、一対の電極2,4にそれぞれ、給電点を1点(一対)としているので、基板サイズは上記1200mmx300mm程度に制約されるが、給電点数を増加すればサイズの幅は拡大可能であることは当然のことである。
【0069】
また、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造では、膜厚分布として±10%以内であれば性能上問題はない。上記実施例によれば、60MHzの電源周波数を用いても、従来の装置および方法に比べ著しく良好な膜厚分布を得ることが可能である。このことは、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造分野での生産性向上および低コスト化に係わる工業的価値が著しく大きいことを意味している。
【0070】
(実施例2)
図1ないし図5を参照しながら実施例2のプラズマ表面処理装置およびプラズマ表面処理方法について説明する。先ず、装置の構成について説明する。ただし、図1〜図4と同部材は同符番を付して説明を省略する。実施例2の装置の構成は、実施例1の構成即ち図1、図2および図4において、平衡不平衡装置19として用いられた平衡不平衡装置の第1の具体例32に代えて、図5に示す平衡不平衡装置の第2の具体例40を用いるもので、その他の装置構成要素はすべて同様である。それ故、平衡不平衡装置の第2の具体例40以外の装置の構成要素については図1、図2、および図4を参照することにし、ここでは説明を省略する。
【0071】
図5は前記平衡不平衡装置の第1の具体例32に代わる平衡不平衡装置の第2の具体例40の構成を示す説明図である。図5において、芯線23、外部導体24および誘電体25から構成の前記同軸ケーブル16cの一方の端部の芯線と外部導体を入力部とし、該同軸ケーブルの他方の端部、すなわち前記一対の電極2,4に接続される側の端部に、両端解放の管型導電体26aと円筒型導電体26bを被せた構造を有し、かつ、該端部の芯線23と外部導体29を出力部とする。該管型導電体26aと円筒型導電体26bは、図5に示すように、内筒と外筒の関係にあり、該管型導電体26aの外面と円筒型導電体26bの内面が電気的に短絡状態になっている。上記内筒と外筒の関係にある重ねあった部分の距離は後述の取り付けボルト42a,42bおよび41a、41bを用いて調整される。該管型導電体26aの一方の端面31と該円筒型導電体26bの端面27の距離は、前記高周波電源15の出力電力の波長λの四分の1(即ちλ/4)と該同軸ケーブルの波長短縮率との積に等しい値である。前記管型導電体26aの内面と前記外部導体24との間隔は2mm〜60mm程度である。該管型導電体26aと上記外部導体24の間には、絶縁環28a、28bが配置され、その間隔が一定に保持されている。前記外部導体24の端部にはリード線29が接続され、後述するように、芯線23と組み合わせて上記給電点14a、14bへの電力供給に用いられる。
【0072】
図5において、前記外部導体24の端面の地点30aから前記円筒型導電体26bの端面の地点30bを経由して、該管型導電体26aの端面の地点31の方向へ漏洩電流が流れようとした場合、地点30aから地点30bの長さが波長短縮率(例えば、誘電体がポリエチレンの場合:0.67、アルミナの場合:0.34である)とλ/4の積に等しい値であるので、地点30aと地点31間のインピーダンスは無限大である。その結果、前記外部導体24の端面からの電流漏洩は発生しない。即ち、不平衡線路と平衡線路の接続部において、電流の漏洩や電力反射が抑制される機能がある。
【0073】
実施例2として、図5に示した平衡不平衡変換装置の第2の具体例40を、図1および図2に示した表面処理装置の一構成として用いる場合について説明する。図4に、図1および図2に示した一対の電極2,4と前記平衡不平衡変換装置の第1の実施例32を接続する配線状況を示したが、それと同様に前記平衡不平衡変換装置の第2の具体例40を用いる。プラズ生成空間に接する第1の非接地電極2の内面(ここでは該電極の対向電極側の面を内面と呼ぶ)の小孔7部分に位置した給電点14aに、前記平衡不平衡変換装置の第2の実施例40の同軸ケーブルの芯線23を接続する。また、前記第2の非接地電極4の内面の給電点14bに、前記平衡不平衡変換装置の第2の実施例40のリード線29を接続する。なお、前記芯線23およびリード線29には図示しない例えば材料がアルミナの絶縁環21a,21bが配置され、異常放電を抑制している。
【0074】
次に、上記構成の表面処理装置を用いて、a−Si太陽電池用のa−Siを製
膜する方法を説明する。図1、図2および図5において、予め、基板13を第2の非接地電極4の上に設置し、真空ポンプ12を稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管9a,9bからSiH4ガスを、例えば500sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、一対の電極2,4間に高周波電力を、例えば周波数70MHzの電力を供給する。なお、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば180℃に保持する。
【0075】
即ち、高周波電源15の出力を例えば70MHz、500Wの出力を第1の同軸ケーブル16a、整合器17、第2の同軸ケーブル16b、電流導入端子18、第3の同軸ケーブル16c、平衡不平衡変換装置19の第2の具体例40および絶縁環21a,21bでそれぞれ絶縁されている第1および第2の給電線23,29を介して、給電点14a、14bに供給する。この場合、上記整合器17を調整することにより、整合器17の上流側には上記供給電力の反射波が戻らないようにできる。仮に、上記平衡不平衡変換装置の第2の具体例40の長さの調整が周波数70MHzに整合していないことが原因で、第3の同軸ケーブル16cと一対の電極2,4の間で電流の漏洩が発生している場合、一旦、プラズマの生成を中断し、上記平衡不平衡変換装置の第2の具体例40の長さを調整することにより、再度プラズマを生成し、上記電力の反射が抑制されたことを確認することができる。
【0076】
なお、上記平衡不平衡変換装置の第2の具体例40の長さの調整の機能は、高周波電源15の周波数が若干変更された場合において、別途新たに平衡不平衡変換装置を設置することなく、その長さの調整で対応できるというメリットになる。
【0077】
ここで、給電点14a,14bに供給される電力は、上記平衡不平衡装置19の第2の具体例40の長さ調整による漏洩電流抑制の効果を最大限に活用することにより電力の損失を最小限にして、第1および第2の給電線23,29から一対の電極2,4に供給できる。したがって、前記給電点14a,14b近傍には局部放電など異常放電は発生しない。なお、前記第1および第2の給電線23,29回りの絶縁環21a,21bの絶縁効果も加わり、両者間での異常放電を抑制している。
【0078】
SiH4ガスがプラズマ化されると、そのプラズマ中に存在するSiH3,SiH2,SiH等のラジカルが拡散現象により拡散し、基板13表面に吸着されることにより、a−Si膜が堆積する。なお、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Si等は、製膜条件の中のSiH4,H2の流量比、圧力および電力を適正化することで製膜できることは公知の技術である。
【0079】
上記の手順で製膜する場合の具体的条件を以下に説明する。サイズ1200mmx300mm(厚み4mm)程度のガラス基板13に製膜速度1nm/s、膜厚分布±10%のa−Siを製膜することを実施する。
【0080】
製膜条件は次の通りである。
(製膜条件)
放電ガス:SiH4
流量:500sccm
圧力:0.5Torr(66.5Pa)
電源周波数:70MHz
電力:500W
基板13の温度:200℃
【0081】
上記製膜条件でプラズマを生成すると、実施例1と同様に、上記平衡不平衡変換装置により電力供給系と一対の電極との接続部での伝送特性が整合され、漏洩電流の発生が抑制されるので、生成されるプラズマの密度の空間的分布は、従来に比べて再現性良く均一になる。その結果、製膜されるa−Siの膜厚分布は従来に比べて、再現性良く均一になる。数値的にはa−Si膜厚分布が±10以内で製膜が可能となる。
【0082】
ただし、本実施例2では、実施例1の場合とは装置構成部材の平衡不平衡変換装置の機能が異なり、対応波長に若干の調整機能があるので、高周波電源15の周波数が若干変更された場合でも、別途新たに平衡不平衡変換装置を設置することなく、その長さの調整で対応できるというメリットがある。
【0083】
なお、本実施例2では、一対の電極2,4にそれぞれ、給電点を1点(一対)としているので、基板サイズは上記1200mmx300mm程度に制約されるが、給電点数を増加すればサイズの幅は拡大可能であることは当然のことである。
【0084】
また、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造では、膜厚分布として±10%以内であれば性能上問題はない。上記実施例によれば、70MHzの電源周波数を用いても、従来の装置および方法に比べ著しく良好な膜厚分布を得ることが可能である。このことは、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造分野での生産性向上および低コスト化に係わる工業的価値が著しく大きいことを意味している。
【0085】
(実施例3)
図4および図5に示した平衡不平衡変換装置19の第1および第2の具体例32、40に代わる可能性のあるその他の装置即ち、第3の具体例50を実施例3として以下説明する。ただし、図1〜図5と同部材は同符番を付して説明を省略する。また、実施例3の装置の構成は、実施例1および実施例2の構成即ち、図1、図2および図4において、平衡不平衡変換装置19として用いられた前記平衡不平衡変換装置の第1および第2の具体例32、40に代えて、図6に示す平衡不平衡変換装置の第3の具体例50をも用いるもので、その他の装置構成はすべて同様である。それ故、平衡不平衡変換装置19の第3の具体例50以外の装置構成要素および実施手順ついては、実施例1および2を参照する。
【0086】
図6は平衡不平衡変換装置19の第3の具体例50の構成を示す説明図である。図6において、該第3の具体例50は第1の同軸ケーブル16cに第2の同軸ケーブル51を付加した構造を有している。すなわち、長さが短縮率を考慮した波長λの二分の一(即ちλ/2)である第2の同軸ケーブル51の両端部の外部導体を上記第1の同軸ケーブル16cの一対の電極2,4側の短部の外部導体に導電板52を用いて接続した構成になっている。そして、上記第2の同軸ケーブル51の芯線53aが第1のコネクター54aを用いて上記第1の同軸ケーブル16cの芯線23に接続されている。また、上記第2の同軸ケーブル51の芯線53bが第2のコネクター54bを用いてリード線29に接続されている。なお、第1の同軸ケーブル16cの芯線23およびリード線29、第2の同軸ケーブル51の芯線53a,53bには、図示しない絶縁環を、放電防止のため設置する。
【0087】
上記構成の平衡不平衡変換装置の第3の具体例50の第1の同軸ケーブル16cの一方の端部より、前記実施例2,3と同様に、前記高周波電源15の出力を供給すると、前記第2の同軸ケーブル51の長さが短縮率を考慮した波長の二分の一であるので、前記リード線29と芯線23には、電圧・電流の位相差が互いに180度異なる電力に変換される。ただし、リード線29と芯線23間の電圧は、上記同軸ケーブル16cの芯線と外部導体間の電圧の2倍である。すなわち、平衡不平衡変換装置の第3の具体例50の出力側のインピーダンスは同軸ケーブル16cの4倍になる。したがって、本具体例50は、負荷側のインピーダンスが同軸ケーブル16cのインピーダンスより大きい場合に、有効に活用できる。
【0088】
(実施例4)
本発明に係わる実施例4について、図7および図8を参照しながら説明する。図7は実施例4に係わるプラズマ表面処理装置の全体を示す説明図、図8は図7の電力供給系の概念の説明図である。先ず、実施例4に係わるプラズマ表面処理装置の構成について説明する。ただし、図1〜図6と同部材は同符番を付して説明を省略する。
【0089】
図7において、符番61は、電圧定在波比(Voltage StandingWave Ratio:略して、VSWRと呼ぶ)を測定するVSWR計で、後述の第4の同軸ケーブル62を伝播する進行波と反射波の干渉で発生する定在波の電圧の最大値と最小値の比(ここでは、これをSと表す)を測定・表示する。符番62は第4の同軸ケーブルで、上記VSWR計61を介して、第2の同軸ケーブル16bより伝送された前記高周波電源15の出力を、前記電流導入端子18および第3の同軸ケーブル16c等を介して、前記一対の電極2,4へ伝送する。
【0090】
図7において、真空容器1には、後述の放電ガスをプラズマ化する一対の電極、即ち第1の非接地電極2と図示しない基板ヒータ3を内臓した第2の非接地電極4が配置されている。該第2の非接地電極4は図示しない絶縁物支持材5a、5bで真空容器1に固着されている。前記第1の非接地電極2は、図示しない絶縁物6を介して真空容器1に固着されている。該第1の非接地電極2には直径2mm〜10mm程度の多数の小孔7が開口率40%〜60%で配置されている。前記第1の非接地電極2の周りにはアースシールド8が配置されている。該アースシールド8は、不必要な部分での放電を抑制し、かつ放電ガス供給管9a、9bより供給されるSiH4等放電ガスを、整流孔10および前記非接地電極2に配置されている多数の小孔7を介して、前記一対の電極2と4の間に均一に供給する機能を有している。また、前記アースシールド8は、排気管11および図示しない真空ポンプ12と組み合わせて使用されることのより、プラズマ生成空間でプラズマ化された使用済みの放電ガスを排出する機能を有している。
【0091】
真空容器1内の圧力は、図示しない圧力計によりモニターされ、図示しない圧力調整弁により自動的に所定の値に調整、設定される。なお、本実施例の場合は、放電ガスが流量500sccm〜1、500sccm程度の場合、圧力0.01Torr〜10Torr(1.33Pa〜1,330Pa)程度に調整できる。真空容器1の真空到達圧力は2〜3E−7Torr(2.66〜3.99E−5Pa)程度である。
【0092】
基板13は、図示しないゲートバルブ39の開閉操作により、第2の非接地電極4に設置される。そして、図示しない基板ヒータ3により所定の温度に加熱される。
【0093】
高周波電源15は、周波数30MHz〜300MHz(VHF帯域)の電力を発生する。その電力は第1の同軸ケーブル16a、整合器17、第2の同軸ケーブル16b、VSWR計61、第4の同軸ケーブル62、電流導入端子18、第3の同軸ケーブル16c、平衡不平衡変換装置19および図示しない絶縁環21a、21bでそれぞれ絶縁されている第1のおよび第2の給電線23,29を介して、一対の電極2,4の給電点14a、14bに供給される。
【0094】
なお、平衡不平衡変換装置19としては、例えば前記図3の第1の具体例32、前記図5の第2の具体例40、および前記図6の第3の具体例50等が用いられるが、ここでは例えば前記第2の具体例40を用いる。
【0095】
ここで、上記VSWR計61を含む上記電力供給系の特徴を説明する。高周波電源15、第1の同軸ケーブル16a、整合器17、第2の同軸ケーブル16b、VSWR計61、第4の同軸ケーブル62、電流導入端子18、第3の同軸ケーブル16c、平衡不平衡変換装置19および図示しない絶縁環21a、21bでそれぞれ絶縁されている第1のおよび第2の給電線23,29から構成される電力供給系は、概念的には、図8のように表される。即ち、高周波電源15の出力電力Pt1は、進行波Pf1として、整合器17およびVSWR計61を経て、該電力を消費する負荷63即ち、一対の電極2,4間に生成のプラズマに供給され、電力Plが消費される。先ず、整合器17のリアクタンス(LとC)を調整しながら、高周波電源15に付属の進行波・反射波モニターで反射波Pr1が最小値になるように該LとCを調整・設定する。次に、整合器17から負荷63へ伝送される電力Pt2が効率良く上記負荷63に伝送されているか否かを、VSWR計61で測定・評価する。すなわち、整合器17から負荷63への進行波Pf2と負荷63側から整合器17の方への反射波Pr2により発生する定在波の電圧最大値と電圧最小値に関する情報をS(即ちVSWR)の値で読む。そして、仮に、S=3程度以上の場合、例えば、上記電力供給系構成要素の平衡不平衡変換装置19の第2の具体例40の長さの調整や、電流導入端子18と第3の同軸ケーブル16cとの接続部のナットの締め付け具合を調整する。もしも、上記調整で、上記Sの値に変化が無ければ、第2、第3および第4の同軸ケーブルの長さおよび仕様を変更して、取替え設置する。一般に、同軸ケーブルの接合部に異常が無ければ、上記Sは、S=3程度以下になる。なお、VSWR計で測定されるS値に基いて、上記電力供給系の給電線路の定在波が制御できることは、従来技術にはない画期的手段、かつ方法であると言える。
【0096】
さらに、上記VSWR計61に代えて、上記高周波電源15に付属の方向性結合器を用いた進行波・反射波電力検知器と同様の電力検知器を用いることも考えられる。
【0097】
次に、上記構成のプラズマ表面処理装置を用いて、a−Si太陽電池用のa−Siを製膜する方法を説明する。図7において、予め、基板13を第2の非接地電極4の上に設置し、真空ポンプ12を稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管9a,9bからSiH4ガスを、例えば500sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、一対の電極2、4の間に高周波電力を、例えば周波数60MHzの電力を供給する。なお、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば200℃に保持する。
【0098】
即ち、高周波電源15の出力を例えば60MHz、500Wの出力を第1の同軸ケーブル16a、整合器17、第2の同軸ケーブル16b、VSWR計61、第4の同軸ケーブル62、電流導入端子18、第3の同軸ケーブル16c、平衡不平衡変換装置19の第2の具体例40、および絶縁環21a,21bでそれぞれ絶縁されている第1および第2の給電線23,29を介して、給電点14a、14bに供給する。この場合、上記整合器17を調整することにより、整合器17の上流側には上記供給電力の反射波が、進行波電力の1〜10%程度になるように調整できる。さらに,VSWR計の測定および上記平衡不平衡変換装置19等の調整により、S=1〜3程度の調整・設定ができる。その結果、上記高周波電源の出力が効率よく上記負荷63に供給できるようになるので、上記給電線路を含む負荷63側からの反射波Pr2が抑制される。その結果、上記一対の電極2,4間で生成されるSiH4ガスプラズマの均一性が良好となる。なお、上記電力供給系の特性インピーダンスと上記負荷63のインピーダンスは、一般に同じではないので、上記反射波Pr2を完全に抑制することができないのは当然である。
【0099】
以上説明したように、給電点14a,14bに供給される電力が、上記平衡不平衡装置19の第2の具体例40の漏洩電流抑制の機能により、電力の損失を最小限にして、第1および第2の給電線23,29から一対の電極2,4間に供給できることは、前記実施例1〜3と同様であるが、VSWR計61の導入により、反射波をモニターしながら、上記平衡不平衡装置19の第2の具体例40の調整が可能となり、より一層その機能を高めることができるというメリットがある。
【0100】
上記SiH4ガスがプラズマ化されると、そのプラズマ中に存在するSiH3,SiH2,SiH等のラジカルが拡散現象により拡散し、基板13表面に吸着されることにより、a−Si膜が堆積する。なお、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Si等は、製膜条件の中のSiH4,H2の流量比、圧力および電力を適正化することで製膜できることは公知の技術である。
【0101】
上記の手順で製膜する場合の具体的条件を以下に説明する。サイズ1200mmx300mm(厚み4mm)程度のガラス基板13に製膜速度0.3nm/s程度、膜厚分布±10%程度のa−Siを製膜することを実施する。
【0102】
製膜条件は次の通りである。
(製膜条件)
放電ガス:SiH4
流量:500sccm
圧力:0.5Torr(66.5Pa)
電源周波数:60MHz―80MHz
電力:200W
基板13の温度:200℃
【0103】
上記製膜条件でプラズマを生成すると、実施例1,2および3と同様に、上記平衡不平衡変換装置により電力供給系と一対の電極との接続部での伝送特性が整合され、漏洩電流の発生が抑制されるが、その整合操作を実行する際に、上記定在波検知装置を用いることにより、反射波の大きさを数値的に測定可能となる。その結果、実施例1,2および3の場合に比べ、漏洩電流および反射波の抑制が確実に実行できる。したがって、生成されるプラズマの密度の空間的分布は、従来に比べ著しく均一になる。その結果、製膜されるa−Siの膜厚分布は従来に比べて、再現性良く均一になる。数値的にはa−Si膜厚分布が±10以内で製膜可能となる。
【0104】
なお、本実施例では、市販のVSWR計の使用することを考えて、電力を200Wとしている。また、一対の電極2,4にそれぞれ、給電点を1点(一対)としているので、基板サイズは上記1、200mmx300mm程度に制約されるが、給電点数を増加すればサイズの幅は拡大可能であることは当然のことである。
【0105】
a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造では、膜厚分布として±10%以内であれば性能上問題はない。上記実施例によれば、60MHz−80MHz程度の電源周波数を用いても、従来の装置および方法に比べ著しく良好な膜厚分布を得ることが可能である。このことは、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造分野での生産性向上および低コスト化に係わる工業的価値が著しく大きいことを意味している。
【0106】
(実施例5)
本発明に係わる実施例5について、図9および図10を参照しながら説明する。図9は実施例5に係わるプラズマ表面処理装置の全体を示す説明図、図10は図9の電力供給系の概念の説明図である。先ず、実施例5に係わるプラズマ表面処理装置の構成について説明する。ただし、図1〜図8と同部材は同符番を付して説明を省略する。
なお、実施例5の構成上の特徴は、前記実施例4の装置構成に、前記平衡不平衡変換装置19から見た下流(電源出力の伝送方向)側のインピーダンスを調整する機能を有するリアクタンス調整系70を付加したものである。
【0107】
図9および図10において、リアクタンス調整系70は、一対の電極2,4間に生成されるプラズマのインピーダンスZpに並列に挿入されるリアクタンス調整装置71(このインピーダンスをZcで表す)と、第5の同軸ケーブル77と、電流導入端子76と、第6の同軸ケーブル75と、第2の平衡不平衡変換装置74と、絶縁環78a,78bで絶縁されている第3、第4の給電線72,73とから構成される。該リアクタンス調整系70により、前記高周波電源15の負荷である一対の電極2,4間のプラズマと該リアクタンス調整系70の合成のインピーダンスZllを、Zll=Zp・Zc/(Zp+Zc)の関係より、該リアクタンス調整装置71を用いて調整する。
【0108】
図9お呼び図10において、真空容器1には、後述の放電ガスをプラズマ化する一対の電極、即ち第1の非接地電極2と図示しない基板ヒータ3を内臓した第2の非接地電極4が配置されている。該第2の非接地電極4は図示しない絶縁物支持材5a、5bで真空容器1に固着されている。前記第1の非接地電極2は、図示しない絶縁物6を介して真空容器1に固着されている。該第1の非接地電極2には直径2mm〜10mm程度の多数の小孔7が開口率40%〜60%で配置されている。前記第1の非接地電極2の周りにはアースシールド8が配置されている。該アースシールド8は、不必要な部分での放電を抑制し、かつ放電ガス供給管9a、9bより供給されるSiH4等放電ガスを、整流孔10および前記非接地電極2に配置されている多数の小孔7を介して、前記一対の電極2と4の間に均一に供給する機能を有している。また、前記アースシールド8は、排気管11および図示しない真空ポンプ12と組み合わせて使用されることのより、プラズマ生成空間でプラズマ化された使用済みの放電ガスを排出する機能を有している。
【0109】
真空容器1内の圧力は、図示しない圧力計によりモニターされ、図示しない圧力調整弁により自動的に所定の値に調整、設定される。なお、本実施例の場合は、放電ガスが流量500sccm〜1、500sccm程度の場合、圧力0.01Torr〜10Torr(1.33Pa〜1,330Pa)程度に調整できる。真空容器1の真空到達圧力は2〜3E−7Torr(2.66〜3.99E−5Pa)程度である。
【0110】
基板13は、図示しないゲートバルブ39の開閉操作により、第2の非接地電極4に設置される。そして、図示しない基板ヒータ3により所定の温度に加熱される。
【0111】
高周波電源15は、周波数30MHz〜300MHz(VHF帯域)の電力を発生する。その電力は第1の同軸ケーブル16a、整合器17、第2の同軸ケーブル16b、VSWR計61、第4の同軸ケーブル62、電流導入端子18、第3の同軸ケーブル16c、平衡不平衡変換装置19および図示しない絶縁環21a、21bでそれぞれ絶縁されている第1のおよび第2の給電線23,29を介して、一対の電極2,4の給電点14a、14bに供給される。なお、平衡不平衡変換装置19としては、例えば前記図3の第1の具体例32、前記図5の第2の具体例40、および前記図6の第3の具体例50等が用いられるが、ここでは例えば前記第2の具体例40を用いる。
【0112】
なお、上記構成において、上記平衡不平衡変換装置19を省略し、上記リアクタンス調整回路71で負荷のインピーダンスを調整し、その調整の際に上記VSWR計61を用いるようにすることも考えられる。
【0113】
次に、上記構成のプラズマ表面処理装置を用いて、a−Si太陽電池用のa−Siを製膜する方法を説明する。図9において、予め、基板13を第2の非接地電極4の上に設置し、真空ポンプ12を稼動させ、真空容器1内の不純物ガス等を除去した後、放電ガス供給管9a,9bからSiH4ガスを、例えば500sccm、圧力0.5Torr(66.5Pa)で供給しつつ、一対の電極2、4の間に高周波電力を、例えば周波数60MHzの電力を供給する。なお、基板温度は80〜350℃の範囲、例えば200℃に保持する。
【0114】
即ち、高周波電源15の出力を例えば60MHz、200Wの出力を第1の同軸ケーブル16a、整合器17、第2の同軸ケーブル16b、VSWR計61、第4の同軸ケーブル62、電流導入端子18、第3の同軸ケーブル16c、平衡不平衡変換装置19の第2の具体例40、および絶縁環21a,21bでそれぞれ絶縁されている第1および第2の給電線23,29を介して、給電点14a、14bに供給する。この場合、先ず、第5の同軸ケーブル77と電流導入端子76を接続しない状態にして、上記整合器17を調整することにより、上記供給電力の、整合器17の上流側への反射波が、高周波電源15の出力(進行波電力)の1〜10%程度になるように調整する。さらに,VSWR計の測定および上記平衡不平衡変換装置19等の調整により、S=1〜3程度となるように、調整・設定をおこなう。なお、VSWR計で測定されるS値に基いて、上記電力供給系の給電線路の定在波が制御できることは、従来技術にはない画期的手段、かつ方法であると言える。次に、上記第5の同軸ケーブル77と電流導入端子76を接続し、一対の電極2,4に並列に付加しているリアクタンス調整装置71を用いて、即ちZcを調整することにより、前記インピーダンスZllすなわち、Zll=Zp・Zc/(Zp+Zc)を調整する。その結果、Zllを、上記電力供給系の線路の特性インピーダンスの値に可能な限り整合させることができる。このことは、供給電力最大の法則を実現したことを意味しており、その結果、一対の電極2,4間に生成するプラズマからの反射波が著しく減少する。
【0115】
以上説明した装置構成により、電力供給系の線路の特性インピーダンスと負荷のインピーダンスが略等しくすること(上記供給電力最大の法則)が実現可能であるので、上記高周波電源の出力が効率よく上記負荷63に供給できるようになる。このことは、供給電力の損失が従来に比べて、著しく抑制されていることを意味している。
【0116】
上記SiH4ガスがプラズマ化されると、そのプラズマ中に存在するSiH3,SiH2,SiH等のラジカルが拡散現象により拡散し、基板13表面に吸着されることにより、a−Si膜が堆積する。なお、微結晶Siあるいは薄膜多結晶Si等は、製膜条件の中のSiH4,H2の流量比、圧力および電力を適正化することで製膜できることは公知の技術である。
【0117】
上記の手順で製膜する場合の具体的条件を以下に説明する。サイズ1200mmx300mm(厚み4mm)程度のガラス基板13に製膜速度0.3nm/s程度、膜厚分布±10%程度のa−Siを製膜することを実施する。
【0118】
製膜条件は次の通りである。
(製膜条件)
放電ガス:SiH4
流量:500sccm
圧力:0.5Torr(66.5Pa)
電源周波数:60MHz―80MHz
電力:200W
基板13の温度:200℃
【0119】
上記製膜条件でプラズマを生成すると、実施例4と同様に、上記定在波検知装置および上記平衡不平衡変換装置により電力供給系と一対の電極との接続部での伝送特性が整合され、漏洩電流の発生が抑制され、かつ、上記リアクタンス調整装置の付加により、負荷即ち生成されるプラズマと該リアクタンス調整装置の合成インピーダンスが制御可能である。その結果、上記漏洩電流抑制および上記供給電力最大の法則の実現が可能となる。したがって、供給電力の損失が抑制され、かつ、生成されるプラズマの密度の空間的分布は、従来に比べ著しく均一になる。その結果、製膜されるa−Siの膜厚分布は従来に比べて、著しく均一になる。数値的にはa−Si膜厚分布が±10以内で製膜可能となる。
【0120】
なお、本実施例では、市販のVSWR計の使用することを考えて、電力を200Wとしている。また、一対の電極2,4にそれぞれ、給電点を1点(一対)としているので、基板サイズは上記1200mmx300mm程度に制約されるが、給電点数を増加すればサイズの幅は拡大可能であることは当然のことである。
【0121】
a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造では、膜厚分布として±10%以内であれば性能上問題はない。上記実施例によれば、60MHz−80MHz程度の電源周波数を用いても、従来の装置および方法に比べ著しく良好な膜厚分布を得ることが可能である。このことは、a−Si太陽電池、薄膜トランジスタおよび感光ドラム等の製造分野での生産性向上および低コスト化に係わる工業的価値が著しく大きいことを意味している。
【0122】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1のプラズマ表面処理装置によれば、平衡不平衡変換装置が電力供給系と一対の電極との接続部に挿入されることにより、漏洩電流を抑制できるので、従来困難視されていたVHF帯域(30MHz〜300MHz)の電源を用いる高密度プラズマの空間分布の均一化が可能となり、基板に対する均一な表面処理、即ち製膜速度およびエッチング速度の向上と均一性向上が再現性良く可能である。この効果は、LSI,LCD、複写機用感光体の産業のみならず、太陽電池業界での生産性向上に関する貢献度は著しく大きい。
【0123】
請求項2のプラズマ表面処理装置によれば、平衡不平衡変換装置が電力供給系と一対の電極との接続部に挿入され、かつ、定在波検知装置が該電力供給系の構成部材の整合器と該一対の電極との間に挿入されることにより、それぞれ、漏洩電流を抑制でき、かつ、定在波を検知・制御できるので、従来困難視されていたVHF帯域(30MHz〜300MHz)の電源を用いる高密度プラズマの空間分布の均一化が再現性良く可能となり、基板に対する均一な表面処理、即ち製膜速度およびエッチング速度の向上と均一性向上が再現性よく可能である。この効果は、LSI,LCD、複写機用感光体の産業のみならず、太陽電池業界での生産性向上に関する貢献度は著しく大きい。
【0124】
請求項3のプラズマ表面処理装置によれば、平衡不平衡変換装置が電力供給系と一対の電極との接続部に挿入され、かつ、定在波検知装置が該電力供給系の構成部材の整合器と該一対の電極との間に挿入され、かつ、リアクタンス調整装置が該一対の電極に並列に付加されることにより、それぞれ、漏洩電流を抑制でき、かつ、定在波を検知・制御でき、かつ、該電力供給系の負荷のインピーダンスを調整できるので、従来困難視されていたVHF帯域(30MHz〜300MHz)の電源を用いる高密度プラズマの空間分布の均一化および該電力供給系の出力電力の損失抑制が可能である。すなわち、電力消費を少なくして、かつ、基板に対する均一な表面処理、即ち製膜速度およびエッチング速度の向上と均一性向上が再現性良く可能である。この効果は、LSI,LCD、複写機用感光体の産業のみならず、太陽電池業界での低コストおよび生産性向上に関する貢献度は著しく大きい。
【0125】
請求項4〜6は、上記請求項2及び3を実現する確実な手段として、その価値が高い。
【0126】
請求項7のプラズマ表面処理方法によれば、電力供給系と一対の電極との接続部に挿入される平衡不平衡変換装置で該接続部の伝送特性を整合させることにより、漏洩電流を抑制できるので、従来困難視されていたVHF帯域(30MHz〜300MHz)の電源を用いる高密度プラズマの空間分布の均一化が再現性良く可能となり、基板に対する均一な表面処理、即ち製膜速度およびエッチング速度の向上と均一性向上が可能である。この効果は、LSI,LCD、複写機用感光体の産業のみならず、太陽電池業界での低コストおよび生産性向上に関する貢献度は著しく大きい。
【0127】
請求項8のプラズマ表面処理方法によれば、電力供給系と一対の電極との接続部に挿入される平衡不平衡変換装置で該接続部の伝送特性を整合させ、かつ、該電力供給系の構成部材の整合器と該一対の電極との間に挿入される定在波検知装置で該一対の電極側からの反射波の大きさを制御することにより、それぞれ、該接続部に発生の漏洩電流を抑制でき、かつ、該反射波を抑制できるので、従来困難視されていたVHF帯域(30MHz〜300MHz)の電源を用いる高密度プラズマの空間分布の均一化が再現性良く可能となり、基板に対する均一な表面処理、即ち製膜速度およびエッチング速度の向上と均一性向上が可能である。この効果は、LSI,LCD、複写機用感光体の産業のみならず、太陽電池業界での生産性向上に関する貢献度は著しく大きい。
【0128】
請求項9のプラズマ表面処理方法によれば、電力供給系と一対の電極との接続部に挿入される平衡不平衡変換装置で該接続部の伝送特性を整合させ、かつ、該電力供給系の構成部材の整合器と該一対の電極と間に挿入される定在波検知装置で該一対の電極側からの反射波の大きさを制御し、かつ、該一対の電極に並列に付加されるリアクタンス調整装置のリアクタンスを制御することにより、それぞれ、該接続部に発生の漏洩電流を抑制でき、かつ、該反射波を抑制でき、かつ、該電力供給系のインピーダンスと負荷のインピーダンスを整合できるので、従来困難視されていたVHF帯域(30MHz〜300MHz)の電源を用いる高密度プラズマの空間分布の均一化および該電力供給系の出力電力の損失抑制が可能である。すなわち、電力消費を少なくして、かつ、基板に対する均一な表面処理、即ち製膜速度およびエッチング速度の向上と均一性向上が再現性良く可能である。この効果は、LSI,LCD、複写機用感光体の産業のみならず、太陽電池業界での低コストおよび生産性向上に関する貢献度は著しく大きい。
【0129】
請求項10の表面処理方法は、上記請求項7および9を実現する確実な方法として、その価値は高い。
【0130】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係わるプラズマ表面処理装置の全体を示す概略図。
【図2】実施例1に係わる図1のプラズマ表面処理装置における電力供給系を示す説明図。
【図3】実施例1に係わる図1のプラズマ表面処理装置の一構成である平衡不平衡変換装置19の第1の具体例を示す説明図。
【図4】実施例1に係わる図1のプラズマ表面処理装置での平衡不平衡変換装置19の第1の具体例と一対の電極との接続部を示す説明図。
【図5】実施例2に係わる平衡不平衡変換装置19の第2の具体例の構成を示す説明図。
【図6】実施例3に係わる平衡不平衡変換装置の第3の具体例の構成を示す説明図。
【図7】実施例4に係わるプラズマ表面処理装置の全体を示す説明図。
【図8】実施例4に係わる電力供給系の概念の説明図。
【図9】実施例5に係わるプラズマ表面処理装置の全体を示す説明図。
【図10】実施例5に係わる電力供給系の概念の説明図。
【図11】従来の第1の代表的技術に係わるプラズマ表面処理装置の構成図。
【図12】従来の第1の代表的技術に係わる電極への給電点を示す説明図。
【図13】従来の第2の技術に係わるプラズマ表面処理装置の概念図。
【図14】図13図示の装置に係わる給電系のブロック構成図。
【図15】図13図示の装置に係わる電極への給電点を示す説明図。
【図16】従来の第2の技術に係わる電圧波の説明図。
【図17】従来の第2の技術に係わる電圧の合成波の説明図。
【図18】従来の技術の課題に係わる構造の異なる線路間で生じる漏洩電流の概念を示す説明図。
【図19】従来の技術の課題に係わる高周波電源に付属の進行波・反射波の検出装置の説明図。
【符号の説明】
1...真空容器2,
2...第1の非接地電極,
4...第2の非接地電極,
5a,5b...絶縁物支持材,
7...小孔,
8...アースシールド,
9a,9b...放電ガス供給管,
10...整流孔,
11...排気管,
13...基板,
14a,14b...給電点,
15...高周波電源、
16a,16b,16c...第1,第2および第3の同軸ケーブル、
17...整合器、
18...電流導入端子、
19...平衡不平衡変換装置、
23...第1の給電線、
23a...芯線、
24...外部導体、
25...誘電体、
26...円筒型導電体、
26a...管型導電体,
26b...円筒型導電体,
27...端面,
28a、28b...絶縁環,
29...第2の給電線、
32...平衡不平衡変換装置の第1の具体例、
40...平衡不平衡変換装置の第2の具体例、
41a、41b42a,42b...取り付けボルト,
50...平衡不平衡変換装置の第3の具体例、
51...同軸ケーブル,
52...導電板,
53a,53b...芯線,
54a,54b...第1および第2のコネクター,
61...VSWR計、
62...第4の同軸ケーブル、
70...リアクタンス調整系、
71...リアクタンス調整装置、
72,73...第3、第4の給電線、
74...第2の平衡不平衡変換装置、
76...電流導入端子。
Claims (10)
- 排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、基板がセットされる第1の電極と前記第1の電極に対向設置される第2の電極からなる一対の電極と、前記一対の電極間に高周波電力を供給する電力供給系と、前記電力供給系と組み合わせて用いられる平衡不平衡変換装置とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置において、前記平衡不平衡変換装置は、芯線と誘電体と外部導体から成る同軸ケーブルの一方の端部の芯線と外部導体を入力部とし、該同軸ケーブルの他方の端部に両端開放の管型導電体と一方の端面を開放の円筒型導電体を被せ、該管型導電体の外面と該円筒型導電体の内面が密着し、該円筒型導電体の他方の端面は該同軸ケーブルの外部導体と密着し、かつ、該管型導電体の一方の端面と該円筒型導電体の閉じた方の端面との距離が、短縮率を考慮した前記高周波電源出力の波長λの四分の一すなわちλ/4で、かつ、該同軸ケーブルの外部導体と該管型導電体の内面との間隔が2mmないし60mmであり、かつ、該管型導電体と該同軸ケーブルの外部導体間に絶縁環を設置し、かつ、該同軸ケーブルの他方の端部の芯線と外部導体を出力部とするという構成を有し、かつ、該平衡不平衡変換装置が前記電力供給系の構成部材の同軸ケーブルと前記一対の電極との接続部に挿入されることを特徴とするプラズマ表面処理装置。
- 排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、基板がセットされる第1の電極と前記第1の電極に対向設置される第2の電極からなる一対の電極と、前記一対の電極間に高周波電力を供給する電力供給系とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置において、前記電力供給系の構成部材の同軸ケーブルと前記一対の電極との接続部に、互いに構造の異なる線路間の伝送特性を整合する平衡不平衡変換装置が挿入され、かつ、前記電力供給系構成部材の整合器と前記一対の電極の間に定在波を検知する定在波検知装置が挿入されることを特徴とするプラズマ表面処理装置。
- 排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、基板がセットされる第1の電極と前記第1の電極に対向設置される第2の電極からなる一対の電極と、前記一対の電極間に高周波電力を供給する電力供給系とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理装置において、前記電力供給系の構成部材の同軸ケーブルと前記一対の電極との接続部に、互いに構造の異なる線路間の伝送特性を整合する平衡不平衡変換装置が挿入され、かつ、前記電力供給系構成部材の整合器と前記一対の電極の間に定在波を検知する定在波検知装置が挿入され、かつ、前記一対の電極に、該一対の電極間のインピーダンスと並列の関係にあるリアクタンス調整装置が付加されることを特徴とするプラズマ表面処理装置。
- 前記平衡不平衡変換装置は、芯線と誘電体と外部導体から成る同軸ケーブルの一方の端部の芯線と外部導体を入力部とし、該同軸ケーブルの他方の端部に、長さが短縮率を考慮した前記高周波電源出力の波長λの四分の一すなわちλ/4で、前記外部導体との間隔が2mmないし60mmの円筒型導電体を被せ、かつ、該円筒型導電体の一方の端面を開放し、他方の端面を該同軸ケーブルの外部導体に密着させ、かつ、該円筒型導電体と該同軸ケーブル間に絶縁環を設置し、かつ、上記同軸ケーブルの他方の端部の芯線と外部導体を出力部とするという構成を有することを特徴とする請求項2または3のいずれか記載のプラズマ表面処理装置。
- 前記平衡不平衡変換装置は、芯線と誘電体と外部導体から成る同軸ケーブルの一方の端部の芯線と外部導体を入力部とし、該同軸ケーブルの他方の端部に、両端開放の管型導電体と一方の端面を開放の円筒型導電体を被せ、該管型導電体の外面と該円筒型導電体の内面が密着し、該円筒型導電体の他方の端面は上記同軸ケーブルの外部導体と密着し、かつ、該管型導電体の一方の端面と該円筒型導電体の閉じた方の端面との距離が、短縮率を考慮した前記高周波電源出力の波長λの四分の一すなわちλ/4で、かつ、前記同軸ケーブルの外部導体と該管型導電体の内面との間隔が2mmないし60mmであり、かつ、該管型導電体と該同軸ケーブルの外部導体間に絶縁環を設置し、かつ、上記同軸ケーブルの他方の端部の芯線と外部導体を出力部とするという構成を有することを特徴とする請求項2または3のいずれか記載のプラズマ表面処理装置。
- 前記平衡不平衡変換装置は、芯線と誘電体と外部導体から成る第1の同軸ケーブルの一方の端部の芯線と外部導体を入力部とし、該第1の同軸ケーブルの他方の端部の外部導体に、形状がU型で、長さが短縮率を考慮した前記高周波電源出力の波長λの二分の一すなわちλ/2の第2の同軸ケーブルの両方の端部の外部導体を接続し、かつ、前記第1の同軸ケーブルの他方の端部の芯線と該U型の第2の同軸ケーブルの一方の芯線を接続し、かつ、該U型の第2の同軸ケーブルの他方の芯線と上記第1の同軸ケーブルの他方の端部の芯線を出力部とするという構成を有することを特徴とする請求項2または3のいずれか記載のプラズマ表面処理装置。
- 排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、基板がセットされる第1の電極と前記第1の電極に対向設置される第2の電極からなる一対の電極と、前記一対の電極間に高周波電力を供給する電力供給系と、前記電力供給系と組み合わせて用いられる平衡不平衡変換装置とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理方法において、前記平衡不平衡変換装置は、芯線と誘電体と外部導体から成る同軸ケーブルの一方の端部の芯線と外部導体を入力部とし、該同軸ケーブルの他方の端部に両端開放の管型導電体と一方の端面を開放の円筒型導電体を被せ、該管型導電体の外面と該円筒型導電体の内面が密着し、該円筒型導電体の他方の端面は該同軸ケーブルの外部導体と密着し、かつ、該管型導電体の一方の端面と該円筒型導電体の閉じた方の端面との距離が、短縮率を考慮した前記高周波電源出力の波長λの四分の一すなわちλ/4で、かつ、該同軸ケーブルの外部導体と該管型導電体の内面との間隔が2mmないし60mmであり、かつ、該管型導電体と該同軸ケーブルの外部導体間に絶縁環を設置し、かつ、該同軸ケーブルの他方の端部の芯線と外部導体を出力部とするという構成を有し、かつ、該平衡不平衡変換装置が前記電力供給系の構成部材の同軸ケーブルと前記一対の電極との接続部に挿入され、両者の伝送特性を整合させ、前記一対の電極間に電力を供給させることを特徴とするプラズマ表面処理方法。
- 排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、基板がセットされる第1の電極と前記第1の電極に対向設置される第2の電極からなる一対の電極と、前記一対の電極間に高周波電力を供給する電力供給系とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理方法において、前記電力供給系の構成部材の同軸ケーブルと前記一対の電極との接続部に平衡不平衡変換装置を挿入し、両者の伝送特性を整合させ、かつ、前記電力供給系の構成部材の整合器と前記一対の電極の間に定在波検知装置を挿入して、その間の定在波を測定し、該定在波検知装置の測定値即ちVSWR値に基いて、前記電力供給系を構成する給電線路の定在波を制御することを特徴とするプラズマ表面処理方法。
- 排気系を備えた真空容器と、この真空容器内に放電用ガスを供給する放電用ガス供給系と、基板がセットされる第1の電極と前記第1の電極に対向設置される第2の電極からなる一対の電極と、前記一対の電極間に高周波電力を供給する電力供給系とを具備し、生成したプラズマを利用して基板の表面を処理するプラズマ表面処理方法において、前記電力供給系の構成部材の同軸ケーブルと前記一対の電極との接続部に平衡不平衡変換装置を挿入し、両者の伝送特性を整合させ、かつ、前記電力供給系の構成部材の整合器と該一対の電極の間に定在波検知装置を挿入して、その間の定在波を測定し、かつ、該一対の電極に、該一対の電極間のインピーダンスと並列関係にあるリアクタンス調整装置を付加し、該定在波検知装置の測定値即ちVSWR値に基いて、該リアクタンス調整装置のリアクタンスおよび該電力供給系を構成する給電線路の定在波を制御することを特徴とするプラズマ表面処理方法。
- 前記定在波検知装置の測定値即ちVSWR値が2.5以下であることを特徴とする請求項7ないし9いずれか記載のプラズマ表面処理方法。
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