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JP3572292B2 - スイッチング電源回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スイッチング電源回路に係り、特に過電流検出機能および出力短絡検出機能を有したスイッチング電源回路に関するものである。
【0002】
また、本発明は、スイッチング素子やスイッチング素子から給電される誘導性負荷回路などの過電流または短絡電流による劣化・破壊に対する保護を行うことができるスイッチング電源回路に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
近年半導体集積回路の低電圧・大電流化に伴い、異常動作時の部品等の劣化・破壊に対する保護への要求が高まりつつある。
【0004】
以下に図2を参照して従来のスイッチング電源回路について説明する。
【0005】
従来のスイッチング電源回路は、図2に示すように、出力端子Voutの電圧を検出する誤差増幅器18、誤差増幅器18の出力によりオン/オフが制御されるスイッチング素子19、定電流源20、定電流源20により充電される静電容量21と、静電容量21の充電電圧を検出するコンパレータ22、コンパレータ22の出力信号を入力とするラッチ回路23、ラッチ回路23にリセットをかける起動回路26、制御信号発生回路24、AND回路25、MOSトランジスタM2、さらに誘導性負荷回路を構成するチョークコイル29、ショットキーダイオード30、出力電圧検出用の抵抗31,32、出力平滑用の静電容量33から構成されている。また27は直流電源端子、28は直流電源である。
【0006】
以上のように構成されたスイッチング電源回路について、以下その動作を説明する。
【0007】
通常動作時、出力端子Voutの電圧に応じて制御信号発生回路24で発生するPWM信号により、スイッチング素子M2はオン/オフ動作を行い、オン時には直流電源28よりチョークコイル29、静電容量33および出力負荷に電力、つまりエネルギーを供給する。この時チョークコイル29にはエネルギーが蓄積される。PWM信号によりスイッチング素子M2がオフになると、チョークコイル29に逆起電力が発生して、ショットキーダイオード30を通じて回生電流が流れる。この時のチョークコイル29で生じる電圧を静電容量で平滑することにより直流電圧が得られ、出力端子Voutに向けて出力される。
【0008】
通常、制御信号発生回路24は、三角波発生器(図示せず)および誤差比較器(図示せず)を含んでおり、その誤差比較器で常時出力電圧(出力端子Voutの電圧)をモニターして三角波発生器の出力信号との比較を行って、出力電圧に応じてパルス幅が変化するパルス信号(PWM信号)を発生させている。しかし、この点は発明の本質でないため、説明を省略する。
【0009】
異常時に誘導性負荷回路が過負荷になったり、もしくは出力端子Voutが短絡されたりすると、出力電圧検出用の誤差増幅器18は出力端子Voutの電位が低下したことを検出してハイレベルを出力し、これによってスイッチング素子19をオフにさせる。これと同時に、静電容量21は定電流源20により充電が開始される。この動作は出力端子Voutの電圧が所定の電圧より低下し、誤差増幅器18が反転信号を発生している期間保持し続ける。同期間中は、静電容量21への充電を行い続け、定電流源20の電流値および静電容量21の容量値で決まる所定の時間が経過して、静電容量21の充電電圧がコンパレータ22の基準電圧を超えると、コンパレータ22はラッチ回路23をセットし、MOSトランジスタからなるスイッチング素子M2をオフさせ、スイッチング素子M2や誘導性負荷回路等の部品を破壊もしくは劣化から保護する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の構成では、出力の負荷状態が過負荷または短絡の状態になり、出力端子Voutの電圧が低下すると、スイッチング素子M2を所定時間オフする保護機能が働く。しかし、過負荷もしくは短絡時に電流制限がかからないため、タイマ動作開始からラッチ回路23のセットまでの間、スイッチング素子M2および誘導性負荷回路(29,30,31,32,33)に制限のかからない過大電流が流れ続け、スイッチング素子M2または誘導性負荷回路を劣化させる、もしくは破壊に至らせる危険性があった。
【0011】
したがって、本発明の目的は、スイッチング素子や誘導性負荷回路を構成する部品の保護をより確実なものにできるスイッチング電源回路を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のスイッチング電源回路は、直流電源と、前記直流電源から電力が供給される誘導性負荷回路と、前記直流電源から前記誘導性負荷回路に供給される電力を断続させる第1のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子を周期的に導通させる制御信号を発生する制御信号発生回路と、前記第1のスイッチング素子に流れる負荷電流が所定の電流値を超えたときに過負荷検出信号を発生する過負荷検出回路と、前記過負荷検出信号によってセットされ前記制御信号の立ち上がりに応答してリセットされる第1のラッチ回路と、前記第1のラッチ回路の出力に応じて充電動作と放電動作とを繰り返しながら静電容量を徐々に充電していく計時動作を行って、所定の計時時間が経過したときにタイムアップ信号を発生するタイマ回路と、前記タイマ回路のタイムアップ信号に応答してセットされる第2のラッチ回路と、前記制御信号と前記第1および第2のラッチ回路の出力信号とを入力として、通常は前記制御信号に応じて前記スイッチング素子を導通させ、前記第1および第2のラッチ回路の少なくとも一方がセットされたときに前記スイッチング素子を前記制御信号にかかわらず遮断させる出力ドライブ回路とを備えている。
【0013】
この構成によれば、第1のスイッチング素子に流れる負荷電流が所定の電流値をこえたときに過負荷検出信号が発生され、第1のラッチ回路およびタイマ回路が充電動作と放電動作を繰り返し行う計時動作を行う。そして、所定の計時時間が経過すると、タイマ回路から出力されるタイムアップ信号に応じて、第2のラッチ回路が動作して、スイッチング素子が制御信号の有無に拘わらず遮断される。また、最大電流値を所定値以下に制限しつつ異常電流発生時には制御停止することが可能なため、スイッチング素子や誘導性負荷回路の部品の劣化・破壊に対する保護動作をより確実なものにできる。
【0014】
本発明の請求項2記載のスイッチング電源回路は、請求項1記載のスイッチング電源回路において、過負荷検出回路が、第1のスイッチング素子のオン動作に同期して、前記第1のスイッチング素子のオン電圧と所定の第1の基準電圧とを比較することにより、前記第1のスイッチング素子に流れる負荷電流が所定の電流値を超えたことを検出するようにしている。
【0015】
この構成によれば、スイッチング素子のオン抵抗を利用して過電流または出力短絡電流を検出するため、特別な電流検出用抵抗が不要になることから、部品数が少なくて済み、かつ電流検出用抵抗での電力損失も無いため、電源利用効率を低下させることもない。
【0016】
本発明の請求項3記載のスイッチング電源回路は、請求項1記載のスイッチング電源回路において、タイマ回路が、静電容量と、前記第1のラッチ回路がセットされた期間中に前記静電容量に充電電流を流す充電手段と、前記第1のラッチ回路がリセットされた期間中に前記静電容量に放電電流を流す放電手段と、前記静電容量の充電電圧と所定の第2の基準電圧とを比較して前記静電容量の充電電圧が前記第2の基準電圧を越えたときにタイムアップ信号を出力するコンパレータとを備えている。
【0017】
この構成によれば、スイッチング素子の負荷電流が過電流になったことを検出して充電を開始し、静電容量への充電動作と放電動作とを繰り返しながら計時動作するため、静電容量の充電電圧が第2の基準電圧に達するまでのタイムアップ時間が従来例と比べて長くなり、静電容量の容量値を従来構成に比べて小さくすることができる。従って、この静電容量を小さな形状で作り込むことが可能となり、静電容量を含めたタイマ回路を半導体集積回路内に集積化することも可能になる。
【0018】
本発明の請求項4記載のスイッチング電源回路は、請求項3記載のスイッチング電源回路において、タイマ回路が、充放電動作を開始してからタイムアップ信号を発生するまでの時間が制御信号の周期の2倍以上になるように第2の基準電圧のレベルを設定されている。
【0019】
この構成によれば、周辺回路や周辺機器からのノイズが混入し、第1のラッチ回路が誤動作することにより静電容量を充電したとしても、放電手段が機能して静電容量の充電電圧を放電するため、単発的なノイズによる誤動作でスイッチング素子の動作を停止することを回避でき、信頼性の高い過電流検出動作を行うことができる。
【0020】
本発明の請求項5記載のスイッチング電源回路は、請求項3記載のスイッチング電源回路において、第2のラッチ回路が、タイマ回路のタイムアップ信号に応答してセットされると静電容量の端子間を短絡する短絡手段を有していると共に、制御信号の周期よりも大きな周期に設定された起動回路の出力信号で周期的にリセットされるようにしている。
【0021】
この構成によれば、本発明のスイッチング電源回路を搭載した電子機器を取り扱う取扱者が、取り扱いミスを犯して誘導性負荷回路を短絡すると、過負荷状態を検出してスイッチング素子を遮断して保護するだけでなく、この遮断状態を周期的に解除することができるため、取扱者が短絡状態を排除すれば、保護動作を機能させるための過電流検出動作を再開する一方、スイッチング電源回路としての本来機能を発揮することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は本発明の実施の形態におけるスイッチング電源回路の構成図を示すものである。
【0024】
図1において、M1は誘導性負荷回路に電力を供給するスイッチング素子であり、例えばMOSトランジスタからなる。1はスイッチング素子M1の両端電圧を検出する差動増幅器、2は差動増幅器1の出力信号を受けてセットされるラッチ回路、3はコンパレータ、4はコンパレータ3の出力を受けてセットされるラッチ回路、5,6はAND回路、7,8は定電流源、9,10はスイッチング素子、11はタイマ時間設定用の静電容量、12は直流電源端子、13,14はインバータ回路、15はラッチ回路4にリセットをかける起動回路、16は制御信号発生回路、17はスイッチング素子(短絡手段)、28は電力を供給する直流電源、28はチョークコイル、30はショットキーダイオード、33は平滑用の静電容量、Voutは平滑された直流出力電圧を出力する出力端子である。
【0025】
チョークコイル29、ショットキーダイオード30および静電容量33は、スイッチング素子M1に対しての誘導性負荷回路を構成している。この誘導性負荷回路は、直流電源28からの電力が供給されると共に、その電力の供給はスイッチング素子M1によって断続される。スイッチング素子M1が断続動作すると、チョークコイル29の端子間に誘起電圧が発生し、その誘起電圧を静電容量33で平滑することによって直流出力電圧に変換し、その直流出力電圧を出力端子Voutから出力する。
【0026】
制御信号発生回路16は、スイッチング素子M1を周期的に導通させるための制御信号、具体的にはPWM制御信号を発生する回路であり、通常動作の時にはこの制御信号が出力ドライブ回路を介してスイッチング素子M1のゲートに印加され、スイッチング素子M1のオン/オフをスイッチング制御する。
【0027】
出力ドライブ回路としてのAND回路6は、制御信号発生回路16の制御信号と、第1および第2のラッチ回路2,4の出力信号を入力として、通常は制御信号に応じてスイッチング素子M1を導通させ、第1および第2のラッチ回路2,4の少なくとも一方がセットされたときにスイッチング素子M1を制御信号に拘わらず遮断させるように機能する。
【0028】
図1に示すスイッチング素子M1は、具体的にはNチャンネルMOSトランジスタであるものとして回路結線しており、ドレインを直流電源28に接続し、ゲートをAND回路6の出力に接続して、ソースフォロワ型式で誘導性負荷回路を駆動する回路例で示している。そして、AND回路6からハイレベルが入力されるとき、NチャンネルMOSトランジスタ(スイッチング素子M1)が完全導通するものとして考えており、NチャンネルMOSトランジスタの導通の度合いが低い場合には、AND回路6をブートストラップ(bootstrap)回路(図示せず)で昇圧した電源電圧で動作させ、ゲートに印加する制御信号の振幅を拡大すれば良い。また、PチャンネルMOSトランジスタを用いて実施することも可能であり、その場合にはソースを直流電源28に接続し、AND回路6の出力にインバータ回路(図示せず)を介挿してAND回路6の反転信号をゲートに印加するようにして、ソース接地型式で誘導性負荷を駆動すれば良い。
【0029】
そして、スイッチング電源回路としての最低限の機能は、制御信号発生回路16、スイッチング素子M1、ショットキーダイオード30,チョークコイル29および静電容量33によって行われる。即ち、制御信号発生回路16の制御信号のパルス幅に応じてスイッチング素子M1が導通すると、その導通動作によってチョークコイル29にエネルギーが蓄積され、チョークコイル29に誘起される誘起電圧を静電容量33で平滑して直流出力電圧に変換する。この直流出力電圧は、パルス幅の大きさに応じて変化するため、所定のパルス幅でスイッチング素子M1をスイッチング制御すれば、所定の直流出力電圧を出力することができる。しかし、負荷電流の変動によっても直流出力電圧が変動する傾向があり、直流出力電圧を負荷変動に対して安定化したい場合には、出力端子Voutの電圧とある基準電圧とを誤差比較する誤差比較器(図示せず)を設けて、その誤差比較出力を制御信号発生回路16に帰還する帰還経路を構成し、その誤差比較器の出力に応じて制御信号のパルス幅を可変して、直流出力電圧の安定化を図れば良い。
【0030】
過負荷検出回路は、スイッチング素子M1のオン電圧と基準電圧源V1の第1の基準電圧とを比較する差動増幅器1と、差動増幅器1の出力および制御信号発生回路16の制御信号を入力とするAND回路5とによって構成される。
【0031】
ここで、MOSトランジスタのオン抵抗を利用した電流検出方法について説明する。MOSトランジスタが完全導通した時、MOSトランジスタのドレイン・ソース間が抵抗とほぼ同等の特性を示し、ドレイン電流が大きくなると、それにほぼ比例してドレイン・ソース間電圧(オン電圧)が大きくなる。従って、MOSトランジスタのオン動作に同期してオン電圧を検出することができれば、MOSトランジスタに流れる電流を検出することが可能である。従来、スイッチング素子の動作電流を精度良く検出する場合には、スイッチング素子M1と直列に純粋な抵抗を接続し、その抵抗の端子間電圧を電流値に換算して検出する方法を採用している。このような従来の電流検出方法に比べて、この発明で利用される電流検出手段(オン抵抗)による電流検出精度は劣るが、過負荷状態や出力の短絡状態を検出するような用途には何ら支障は無い。上述の電流検出方法を活用した過負荷検出回路について以下に説明する。
【0032】
過負荷検出回路は、差動増幅器1の出力にAND回路5を接続して、スイッチング素子M1が導通する制御信号のハイレベルに合わせて、AND回路5の入力に制御信号のハイレベルが入力される時のみ、差動増幅器1から出力される出力信号を有効にしている。これにより、スイッチング素子M1のオン動作に同期して、スイッチング素子M1のオン電圧と基準電圧源V1の第1の基準電圧とを差動増幅器1で比較しており、スイッチング素子M1に流れる負荷電流が所定の電流値を越えた時にハイレベル(過電流検出信号)を発生する。この過負荷検出回路によると、特別な電流検出用抵抗は不要になることから、部品点数は少なくて済み、かつ電流検出用抵抗での電力損失も無いため、電源利用効率を低下させることもない。
【0033】
第1のラッチ回路2は、AND回路5の出力信号(過電流検出信号)によって動作状態がセットされ、制御信号発生回路16の制御信号によって動作状態がリセットされ、自身のQ出力信号によってタイマ回路の回路動作を制御している。
【0034】
タイマ回路は、定電流源7,8と、タイマ時間設定用の静電容量11と、スイッチング素子9,10と、インバータ回路13およびコンパレータ3によって構成されている。定電流源7及びスイッチング素子9は、静電容量11に充電電流を流す充電手段であり、トランジスタによって回路構成されている。そして、定電流源7を構成するトランジスタは、自身の定電流動作をスイッチング駆動させることが可能であり、ラッチ回路2のQ出力に応じて遮断するようにすれば、スイッチング素子9はあえて必要ではない。また、定電流源8及びスイッチング素子10は、静電容量11に放電電流を流す放電手段であり、トランジスタによって回路構成されており、定電流源8を構成するトランジスタをスイッチング駆動させ、インバータ回路13の出力に応じて遮断するようにすれば、スイッチング素子10はあえて必要ではない。また、スイッチング素子9はラッチ回路2のQ出力に応じて導通し、スイッチング素子10はインバータ回路13によって作られるラッチ回路2のQ出力の反転信号に応じて導通するため、充電手段が機能する場合は放電手段を遮断させ、逆に放電手段が機能する場合は充電手段を遮断させるように動作する。放電電流の電流値は、充電電流の電流値の1/2以下に設定すれば良い。
【0035】
定電流源7,8およびスイッチング素子9,10で構成される充放電手段(充電手段および放電手段のこと)は、ラッチ回路2が過電流検出信号でセットされると、ラッチ回路2のQ出力で動作するスイッチング素子9が導通して、静電容量11に充電電流を流す充電動作を行う。そして、ラッチ回路2が制御信号発生回路16の制御信号でリセットされると、インバータ回路13の出力で動作するスイッチング素子10が導通して、静電容量11に電電流を流す放電動作を行う。そして、このタイマ回路は、充電動作と放電動作とを繰り返しながら静電容量11を徐々に充電していく計時動作を行うため、充電電圧が第2の基準電圧V2に達するまでタイムアップ時間が従来構成に比べて長くなるから、静電容量11の容量値を小さくすることができる。従って、静電容量11を小さな形状で作り込むことが可能になり、静電容量11を含めたタイマ回路を半導体集積回路内に集積化することも可能となる。
【0036】
タイマ回路の一部を構成するコンパレータ3は、静電容量11の充電電圧と、基準電圧源V2の出力電圧(第2の基準電圧)とを比較して、静電容量11の充電電圧が第2の基準電圧V2を越えた時にタイムアップ信号(ハイレベルの出力電圧)を出力する。そして、上述の充放電手段が充放電動作を開始してからタイムアップ信号を発生するまでの時間が、制御信号発生回路16の制御信号の周期の2倍以上に、好ましくは3倍〜5倍の範囲になるように第2の基準電圧V2をレベル設定する。これによって、制御信号発生回路16の制御信号に応じて導通するスイッチング素子M1が1回オンしただけでは、タイムアップ信号を発生することはなく、スイッチング素子M1が連続的に数回オンした時に初めてタイムアップ信号を発生するように動作する。
【0037】
一般的に、色々な電子機器、電子機器内の色々な箇所に搭載されるスイッチング電源回路は、周辺回路や周辺機器からノイズが混入する危険性が高い。しかし、このような構成のタイマ回路であれば、もし仮に、第1のラッチ回路2が単発的なノイズによって誤動作し、誤って静電容量11を充電したとしても、次の制御信号でラッチ回路2がリセットされることにより、放電手段が機能して静電容量の充電電圧を放電するため、単発的なノイズによってタイムアップ信号を出力する心配は無く、スイッチング素子の動作を停止するような誤動作を回避でき、信頼性の高い過電流検出動作を行うことができる。
【0038】
次に、このように構成されたスイッチング電源回路の回路動作について、特に過電流検出動作に関連する説明を、以下、図3に示すタイミングチャートを参照しながら詳細に説明する
図3は、横軸を時間tとして図1中の各部(a)〜(e)の動作波形を示すタイミングチャートであり、図3(a)は制御信号発生回路16で発生する制御信号(PWM信号)波形、図3(b)はスイッチング素子M1の端子電圧波形、図3(c)は第1のラッチ回路2のQ出力の出力電圧波形、図3(d)は出力ドライバ回路であるAND回路6の出力電圧波形、図3(e)は静電容量11の端子電圧波形である。
【0039】
図3において、第1の期間t1の間は通常の動作状態(通常レベルの負荷電流で動作している状態)の波形を示しており、この期間中は、制御信号発生回路16の制御信号(a)と同じ波形がAND回路6の出力端子から出力され、制御信号(a)がハイレベルの時にスイッチング素子M1はオン状態になり、このときのスイッチング素子M1の端子電圧(b)は電源電圧Vccより少し低い電位のハイレベルになる。なお、端子電圧(b)のハイレベルが右肩下がりの波形になるのは、誘導性負荷回路をスイッチングする時の逆起電力が影響しているためである。スイッチング素子M1の端子電圧(b)は、差動増幅器1によって電源電圧Vccから第1の基準電圧V1ほど下がった基準電位と比較されるが、その基準電位までは低下しないため、差動増幅器1を含む過負荷検出回路からは過電流検出信号は出力されない。従って、第1のラッチ回路2はリセット状態を維持して、ラッチ回路2のQ出力(図3(c))はローレベルを出力するので、その後続のタイマ回路も動作せず、静電容量11への充電動作は行われない。静電容量11の端子電圧(e)はローレベルを維持する。
【0040】
次に、図3における第2の期間t2は、過負荷状態(負荷電流が過大になっている状態)の波形を示しており、この期間中は、スイッチング素子M1に流れる電流が過大になっているため、スイッチング素子M1のオン電圧が大きくなり、スイッチング素子M1の端子電圧(b)のハイレベルは通常動作時に比べて低下する。右肩下がりになったスイッチング素子M1の端子電圧波形(b)は早い時点で(Vcc−V1)の基準電位まで低下することになり、端子電圧(b)がその基準電位まで低下すると、差動増幅器1はハイレベルを出力し、AND回路5の出力(過電圧検出回路の出力部)からハイレベル(過電圧検出信号)を出力する。
【0041】
そして、過電圧検出信号が第1のラッチ回路2のセット入力に入力されることにより、ラッチ回路2はセット状態になって、Q出力(図3(c))からハイレベルを出力する。このQ出力のハイレベル期間(期間tc)には、スイッチング素子9が導通して、定電流源7から静電容量11に充電電流を流し込む充電動作が行われる。即ち、過負荷状態になった後の1個目の制御信号(a)から充電動作が開始され、静電容量11の充電電圧(e)は上昇し、次に2個目の制御信号が入力される時にラッチ回路2はリセットされ、静電容量11に放電電流を流す放電動作が行われ、静電容量11の充電電圧(e)は低下する(期間td)。そして、2個目の制御信号が入力されている時に過電流検出回路が作動すると、ラッチ回路2が再びセットされ、また充電動作が再開され、静電容量11の充電電圧(e)は更に上昇する。以上のような動作は、制御信号(a)がハイレベルになる度毎に行われ、充電電圧(e)はその度毎に上昇していく。
【0042】
そして、充電電圧(e)が上昇して第2の基準電圧V2のレベルに達すると、コンパレータ3が作動してタイムアップ信号を出力する。第2のラッチ回路4は、このタイムアップ信号によってセット状態となり、AND回路6の出力信号(d)をローレベルに固定する一方、インバータ回路14の出力で動作するスイッチング素子17をオンして、静電容量11に蓄積された電荷を放電し、充電電圧をゼロにする。ここまでの動作で、スイッチング素子M1に流れる負荷電流が所定の電流値を越えた検出する検出動作を完了し、以降はスイッチング素子M1のオフ状態を継続して、スイッチング素子M1が制御信号(a)の有無に拘わらず遮断されることになる。
【0043】
このようにして、最大電流値を所定値以下に制限しつつ異常電流発生時には制御停止することができるため、スイッチング素子M1や誘導性負荷回路の部品(29等)の劣化・破壊に対する保護をより確実に行うことができる。
【0044】
但しこのままでは、第2のラッチ回路4が一旦セット状態になると、スイッチング素子M1のオフ状態が継続され、スイッチング電源回路全体に供給する電源電圧を遮断しない限り、スイッチング電源回路の本来の機能が復帰しない。この問題については、起動回路15の出力信号で第2のラッチ回路4をリセットすることで解消される。
【0045】
最後に、起動回路15の旨い活用方法について説明する。
【0046】
タイマ回路における充電動作の開始からタイムアップ信号が発生するまでの時間をタイムアップ時間とすると、第2のラッチ回路4をリセットする起動回路15の出力信号の周期を、このタイムアップ時間に比べて十分大きな周期にすると、次のような利点がある。
【0047】
このスイッチング電源回路を搭載した電子機器を取り扱う取扱者が、取り扱いミスを犯して誘導性負荷回路を短絡すると、過負荷状態を検出してスイッチング素子M1を遮断して保護するだけでなく、この遮断状態を周期的に解除することができるため、取扱者が短絡状態を排除すれば、保護動作を機能させるための過電流検出動作を再開する一方、スイッチング電源回路としての本来機能を発揮することができる。
【0048】
【発明の効果】
本発明のスイッチング電源回路によれば、第1のスイッチング素子に流れる負荷電流が所定の電流値をこえたときに過負荷検出信号が発生され、このときにスイッチング素子が制御信号の有無に拘わらず遮断されることになり、最大電流値を所定値以下に制限しつつ異常電流発生時には制御停止することが可能なため、スイッチング素子や誘導性負荷回路の部品の劣化・破壊に対する保護動作をより確実なものにできる。
【0049】
請求項2記載のスイッチング電源回路によれば、過電流または出力短絡電流を検出するのに、スイッチング素子のオン抵抗を利用するため、特別な電流検出用抵抗が不要で、部品数が少なくて済み、かつ電流検出用抵抗での電力損失も無いため、電源利用効率を低下させることもない。
【0050】
請求項3記載のスイッチング電源回路によれば、スイッチング素子の過負荷状態を検出して、静電容量への充電動作を開始し、充電動作と放電動作とを繰り返しながら計時動作するため、静電容量の容量値が小さくてもタイムアップ時間を長くすることができ、静電容量を含めたタイマ回路を半導体集積回路内に集積化することも可能になる。
【0051】
請求項4記載のスイッチング電源回路によれば、周辺回路や周辺機器から単発的なノイズが混入しても、そのノイズによる誤動作でスイッチング素子の動作を停止することを回避でき、信頼性の高い過電流検出動作を行うことができる。
【0052】
請求項5記載のスイッチング電源回路によれば、本発明を搭載した電子機器を取り扱う取扱者が、取り扱いミスを犯して誘導性負荷回路を短絡すると、過負荷状態を検出してスイッチング素子を遮断して保護するだけでなく、取扱者がこの短絡状態を排除すれば、保護動作を機能させるための過電流検出動作を再開する一方、スイッチング電源回路としての本来機能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態によるスイッチング電源回路の構成を示す回路図である。
【図2】従来のスイッチング電源回路の構成を示す回路図である。
【図3】本発明のスイッチング電源回路による動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 差動増幅器
2,4 ラッチ回路
3 コンパレータ
5,6 AND回路
7,8 定電流源
9,10 スイッチング素子
11 静電容量
12 直流電源端子
13,14 インバータ回路
15 起動回路
16 制御信号発生回路
17 スイッチング素子(短絡手段)
28 直流電源
29 チョークコイル
30 ショットキーダイオード
33 静電容量
M1 スイッチング素子
V1 基準電圧源
V2 基準電圧源
Vout 出力端子

Claims (5)

  1. 直流電源と、
    前記直流電源から電力が供給される誘導性負荷回路と、
    前記直流電源から前記誘導性負荷回路に供給される電力を断続させる第1のスイッチング素子と、
    前記第1のスイッチング素子を周期的に導通させる制御信号を発生する制御信号発生回路と、
    前記第1のスイッチング素子に流れる負荷電流が所定の電流値を超えたときに過負荷検出信号を発生する過負荷検出回路と、
    前記過負荷検出信号によってセットされ前記制御信号の立ち上がりに応答してリセットされる第1のラッチ回路と、
    前記第1のラッチ回路の出力に応じて充電動作と放電動作とを繰り返しながら静電容量を徐々に充電していく計時動作を行って、所定の計時時間が経過したときにタイムアップ信号を発生するタイマ回路と、
    前記タイマ回路のタイムアップ信号に応答してセットされる第2のラッチ回路と、
    前記制御信号と前記第1および第2のラッチ回路の出力信号とを入力として、通常は前記制御信号に応じて前記スイッチング素子を導通させ、前記第1および第2のラッチ回路の少なくとも一方がセットされたときに前記スイッチング素子を前記制御信号にかかわらず遮断させる出力ドライブ回路とを備えたスイッチング電源回路。
  2. 過負荷検出回路は、第1のスイッチング素子のオン動作に同期して、前記第1のスイッチング素子のオン電圧と所定の第1の基準電圧とを比較することにより、前記第1のスイッチング素子に流れる負荷電流が所定の電流値を超えたことを検出するようにしている請求項1記載のスイッチング電源回路。
  3. タイマ回路は、静電容量と、前記第1のラッチ回路がセットされた期間中に前記静電容量に充電電流を流す充電手段と、前記第1のラッチ回路がリセットされた期間中に前記静電容量に放電電流を流す放電手段と、前記静電容量の充電電圧と所定の第2の基準電圧とを比較して前記静電容量の充電電圧が前記第2の基準電圧を越えたときにタイムアップ信号を出力するコンパレータとを備えている請求項1記載のスイッチング電源回路。
  4. タイマ回路は、充放電動作を開始してからタイムアップ信号を発生するまでの時間が制御信号の周期の2倍以上になるように第2の基準電圧のレベルを設定している請求項3記載のスイッチング電源回路。
  5. 第2のラッチ回路は、タイマ回路のタイムアップ信号に応答してセットされると、静電容量の端子間を短絡する短絡手段を有していると共に、制御信号の周期よりも大きな周期に設定された起動回路の出力信号で周期的にリセットされるようにしている請求項3記載のスイッチング電源回路。
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