JP3568567B2 - 高成形性賦形剤およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮成形用の賦形剤に関する。特に医薬品分野における錠剤の賦形剤及びその製法に関する。
より詳細には、本発明は、結晶セルロースの粉体物性を制御し、成形性と崩壊性のバランスが良い圧縮成形用の賦形剤及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
多くの粉体原料は取扱い性の改善や機能の付与を目的として圧縮成形される。圧縮成形物(錠剤)の最も重要な性質は、輸送や使用に対し摩損や破壊が生じない強度を持つことである。医薬品分野における錠剤はこの性質に加えて、服用後のすばやい薬理効果発現のために、崩壊時間が短くなければならない。
その理由は、一般的な錠剤は服用後消化管内で崩壊し、ついで薬効成分が消化管液に溶解し、消化管壁から吸収され、血中に溶解し、体内を循環し、そして薬理効果を発揮するので、錠剤が服用後直ちに消化管内で崩壊するということは、それだけ速く薬理効果が発現するということになるからである。
【0003】
ところで、多くの粉体原料は圧縮しても成形しないために、圧縮成形性をもつ賦形剤を配合する必要がある。そして錠剤に所望の強度を付与するためには、▲1▼賦形剤の配合量、および▲2▼ 圧縮成形力、を適宜決定することが必要である。通常、賦形剤配合量を増すほど、また、圧縮成形力を上げるほど錠剤強度は高くなる。
【0004】
しかしながら、錠剤中の主剤(粉体原料)の配合量を多くしたい場合、例えば医薬品分野における小型錠の製造の場合などには、賦形剤の配合量を著しく制限されてしまうし、また、過剰な圧縮成形力は圧縮成形機(打錠機)に負担を掛け、部品の消耗を早める事になるので好ましくなく、さらにはフィルムコーティングを施した顆粒と賦形剤を混合し、打錠して錠剤(このような錠剤を顆粒含有錠という)を得る場合、あるいは酵素や抗生物質を錠剤化する場合には、フィルムの損傷や酵素、抗生物質の変質を防ぐために、より低い圧縮成形力で成形する必要が生じる。そのために賦形剤はより少量で、より高い圧縮成形性を示すことが要求される。
【0005】
従来、このような目的に使用される賦形剤としては結晶セルロースが知られている。結晶セルロースは安全性が高く、高い圧縮成形性を有し、さらに崩壊性が良いことから医薬品分野において広く使用されている賦形剤の一つである。
結晶セルロースについては、平均重合度が15〜375、嵩が7〜34lb/ft3 (1.84〜8.92cm3 /g)、粒度が300μm以下の結晶セルロースを医薬品錠剤に使用すると錠剤強度が高く、崩壊性が改善されること(特公昭40−26274号公報):平均重合度が60〜375、見掛け比容積が1.6〜3.1cm3 /g、見掛けタッピング比容積が1.40cm3 /g以上、200メッシュ以上が2〜80%であり、安息角が35〜42度である結晶セルロースは主薬や添加剤と混合するとき、混合粉体の流動性が高く、また打錠した場合に崩壊性が早くなる点で好ましいこと(特公昭56−2047号公報、特公昭56−38128号公報)などが知られている。
【0006】
また、成形性を有するセルロース粉末としては、平均重合度が450〜650程度、コンパクト見掛け密度が0.40〜0.60g/cm3 (1.67〜2.50cm3 /g)であり、かつ、200メッシュ以下が50%以上のセルロース粉末は錠剤成形用に適した賦形剤であること(特公昭51−17172号公報)、特定の平均粒径(30μm以下)、比表面積(1.3m2 /g以上)を有するセルロース粉末は成形性が高いこと(特開昭63−267731号公報):特定の結晶形(セルロースI型)を有し、直径0.1μm以上の細孔の気孔率が20%以上で、かつ、350メッシュ以上が90%以上であるセルロース粉末は流動性が高く、成形性もあること(特開平1−272643号公報):また、結晶形がI型で、比表面積が20m2 /g以上、直径0.01μm以上の細孔の全容積が0.3cm3 /g以上、100μm以下が50%以上であるセルロース粉末は流動性が高く、成形性も高いこと(特開平2−84401号公報)などが知られている。
【0007】
しかしながら、これらの中でより成形性の高いものは崩壊性も悪いという欠点を有する。結晶セルロースの成形性を改善するためには見掛け比容積を上げることが効果的であり、そのために従来は結晶セルロースを微粉砕したり(特開昭63−267731号公報):あるいはセルロース粉末粒子を多孔性にして粒子自身の密度を下げる工夫がなされてきた(特開平2−84401号公報)。
特開昭63−267731号公報に記載の発明品は微粉であるために見掛け比容積が高いが、見掛けタッピング比容積は低いので圧縮により容易に圧密し、高い圧縮成形性を示すものの、錠剤の間隙(導水管)も減少してしまうので、崩壊性が著しく悪い。
【0008】
また同様に、特開平2−84401号公報記載の発明品は多孔性であるためにきわめて比表面積が高く、見掛け比容積も高いが、粒子自身の強度が低いために圧縮により粒子間の圧着のみならず、粒子の変形・圧密が生じてしまい、結局、錠剤の間隙(導水管)も減少してしまうので、崩壊性が著しく悪いものであった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来の結晶セルロースあるいはセルロース粉末は、成形性が高ければ崩壊性が悪く、また、崩壊性が良い場合は成形性が低いという欠点を有しており、これらの性質のバランスがとれた賦形剤は知られていなかった。
前述の通り、医薬品分野において使用される賦形剤は成形性が高く、かつ崩壊性が良いというものである必要がある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者はこうした現状に鑑み、結晶セルロースの粉体物性を制御し、成形性と崩壊性のバランスをとることを鋭意検討した結果、本発明に到達したものである。
即ち、本発明は:
▲1▼ セルロース質物質を酸加水分解あるいはアルカリ酸化分解して得られる平均重合度180〜375の白色粉末状結晶セルロースであり、その酢酸保持率が280〜353%で、下記(1)式の圧縮特性を有しかつ、見掛け比容積が4.0〜6.0cm 3 /g、見掛けタッピング比容積が2.4〜6.0cm 3 /g、比表面積が20m 2 /g未満であって、実質的に355μm以上の粒子が無く、平均粒径が30〜120μmである高成形性賦形剤を提供する。また、
【数2】
(但し、a=0.85〜0.90,b=0.05〜0.10であり、そしてPは結晶セルロースに対する圧縮圧力[kgf/cm2 ]、V0 は結晶セルロースの見掛け比容積[cm3 /g]、Vは圧縮圧力Pにおける結晶セルロースの比容積[cm3 /g]を表す)
【0011】
▲2▼ 白色粉末結晶セルロースの平均重合度が180〜220である点にも特徴を有する。また、
▲3▼ 500mgの白色粉末状結晶セルロースを100kgf/cm2 で10秒間圧縮することにより得られる底面の面積が1cm2 である円柱状成形体の直径方向の破壊強度が10kgf以上であり、かつ、崩壊時間が100秒以内である点にも特徴を有する。また、
▲4▼ 円柱状成形体の直径方向の破壊強度が11kgf以上である点にも特徴を有する。また、
▲5▼ 吸着水分が5〜6%である時の吸着水横緩和時間が0.00024秒以下である点にも特徴を有する。また、
▲6▼ セルロース質物質を酸加水分解あるいはアルカリ酸化分解し、精製して得られたセルロース粒子を、固形分濃度が5〜40重量%、pHが5〜8.5、電気伝導度が300μS/cm以下の湿潤状態あるいは水分散状態で100℃以上に加熱処理し、乾燥する▲1▼〜▲5▼のいずれかに記載の高成形性賦形剤の製造方法を提供する。また、
▲7▼ 固形分濃度が5〜23重量%のセルロース粒子を加熱処理する点にも特徴を有する。また、
▲8▼ ドラム乾燥機あるいはベルト乾燥機を用いて加熱処理および乾燥を行う点にも特徴を有する。また、
【0012】
▲9▼ セルロース質物質を酸加水分解あるいはアルカリ酸化分解し、精製して得られたセルロース粒子を、固形分濃度が23重量%以下、pHが5〜8.5、電気伝導度が300μS/cm以下の水分散状態とし、ついで薄膜状態で乾燥する▲1▼〜▲5▼のいずれかに記載の高成形性賦形剤の製造方法を提供する。また、
(10) ドラム乾燥機あるいはベルト式乾燥機を用いて乾燥を行う点にも特徴を有する。
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
(A) 高成形性賦形剤
本発明の高成形性賦形剤は実質的にセルロースからなる。「実質的」とはセルロース本来の機能を失わない程度にヘミセルロース、リグニン、油脂などの成分を含んでいても良いことを意味する。その含有量は水分を除いた本発明物質のおおよそ10%以下である。
【0014】
本発明でいう結晶セルロースとは、精製木材パルプ、竹パルプ、コットンリンター、ラミーなどのセルロース質物質を酸加水分解、あるいはアルカリ酸化分解して得られるものであって、平均重合度は180〜375の白色粉末状の物質である。
この物質は特定の重合度を有するために、セルロース粉末の中でも特に高い成形性を有するものであるが、その平均重合度は180〜375の範囲である必要がある。
平均重合度が180未満だと成形性が不足するので好ましくなく、また、375を超えると繊維性が現れるため、粉体としての流動性が低下するので好ましくない。平均重合度が180〜220の場合に成形性と崩壊性のバランスが良好なので好ましい。
【0015】
本発明の高成形性賦形剤は、その酢酸保持率が280%以上、好ましくは290%以上であり、その上限は特に制限されないが、通常353%(実施例4)程度である。そして、上記 (1) 式(川北の式)(a=0.85〜0.90、b=0.05〜0.10)で表される圧縮特性を有するものである。
本発明における酢酸保持率とは、試料粉末を約10倍重量の酢酸に室温で30分間浸漬し、次いで2000Gで遠心分離を行い、上澄みを除いた場合に試料が保持できる酢酸の量を示す値であり、絶乾試料重量に対する酢酸の重量百分率で表される。
酢酸はセルロース粉末に吸収されるが非晶領域に存在する遊離水酸基の水素結合(これは一般に、角質化組織と呼ばれる)を解離するほど強い膨潤力を持たず〔R.HASEBE,K.MATSUMOTO,H.MAEDA,Sen’iGakkaishi,Vol.12,p203〜207(1955)〕、また、遠心力をかけて試料を圧密し粒子間隙の酢酸の保持量を制限していることから、結局、酢酸保持率とは粒子自身の多孔性とその強度を示すものである。本発明ではこの酢酸保持率が280%以上でなければならない。
【0016】
また、川北の式〔K.KAWAKITA,Y.TSUTSUMI,Bull.Chem.Soc.Japan,Vol.39,No.7,p1364〜1368(1966)〕とは粉体の加圧による体積の変化を表した実験式であり、加圧初期において体積の変化が大きい粉体に、特によく一致すると言われている。結晶セルロースも川北の式によく一致する粉体の一つである。
川北の式は下記(1) 式で表され、aとbは定数であり、Pは結晶セルロースに対する圧縮圧力[kgf/cm2 ]、V0 は結晶セルロースの見掛け比容積[cm3 /g]、Vは圧縮圧力Pにおける結晶セルロース〔粉体あるいは錠剤〕の比容積[cm3 /g]を表すものである。
【数3】
結晶セルロースの場合、定数aおよびbは大きいほど成形性が高い傾向があるが、本発明においては定数aは0.85〜0.90、好ましくは0.86〜0.89、定数bは0.05〜0.10、好ましくは0.06〜0.09の範囲内にあることが必要である。
aおよび/あるいはbがこの値より低いと成形性が不充分である。また、aおよびbが範囲内であっても前述の酢酸保持力が280%未満であるか、あるいはaおよび/あるいはbがこの値より高いと加圧圧縮により錠剤の圧密が著しく進行するために、錠剤の崩壊性が悪化する。
【0017】
(B) 高成形性賦形剤の製造方法
基本的には、本発明の高成形性賦形剤は、酸やアルカリあるいは分解生成物がほとんど存在しない湿潤状態もしくは水分散状態のセルロース粒子を加熱処理し、乾燥させることによって製造することができるが、もし加熱処理を施さない場合は水分散状態のセルロース粒子を薄膜状態で乾燥することによって製造することができる。
【0018】
(i) まず、加熱処理を施す場合の製造方法について説明する。
即ち、セルロース質物質を酸加水分解もしくはアルカリ酸化分解し、必要があればその前あるいは後に機械的処理(摩砕等)を施すことによりセルロース粒子を得る。このセルロース粒子は水の他に、酸やアルカリなどの不必要な成分を含んでいるので、ろ過や遠心分離、膜分離技術などを用いてこれらを除去し、精製する。
こうして得られたセルロース粒子は、必要に応じて水を加え、固形分濃度が5〜40重量%、好ましくは10〜23重量%、25℃におけるpHが5〜8.5、好ましくは5.5〜8.0、電気伝導度が300μS/cm以下、好ましくは150μS/cm以下の特定の湿潤状態、あるいは水分散状態で加熱処理に供する必要がある。
この時、純水のみならず、有機溶媒を少量含む水を用いても良い。
固形分濃度が5〜23重量%の場合は特に加熱処理効果および製造効率が高いので好ましく採用できる。
既存の結晶セルロースの製造方法では、例えば、酸加水分解の終了時点でセルロース粒子の水分散体が100℃以上の加熱を受けている状態をとっていたが、酸や分解生成物が多量に存在していたので、後述するような構造変化を取り得ず、本発明のような効果は発揮されていなかった。
【0019】
上記加熱処理は、通常使用されるオートクレーブや高粘性流体用熱交換機(例えば神鋼パンテック(株)製フリサーム)などを用いて約100℃以上、好ましくは約120℃に加熱すればよく、その温度を保つ時間は短時間でよい。但し、湿潤状態、あるいは水分散状態のセルロース粒子は非常に伝熱が悪いので昇温し難く、通常のオートクレーブを用いるような場合には、処理時間を充分長くするか、充分撹拌する必要がある。
このような加熱処理によってセルロース粒子同士、あるいは水素イオン、水酸化物イオン、水分子などは相互作用を起こす。例えば、水分散体の場合は粘度の増加(ゲル化)とpHの低下をもたらす。
どのような構造をとっているかは明らかでないが、セルロース粒子同士、あるいは水素イオン、水酸化物イオン、水分子などが会合してゲル化していることは想像に難くない。この構造は室温まで冷却しても壊れないが、ガラス棒などで軽く撹拌すると直ちに粘度が低下し、そして同時に、pHが上昇し、加熱処理前の状態に戻る。
但し、加熱処理の本質はこのような巨視的なゲル構造ではなく、もっと微視的な構造変化であろう。それは、系全体の構造は壊れても、セルロース粒子の軟凝集が観察されることから、微視的には依然として粒子の会合は維持しているものと考えられるからである。
微視的に粒子が会合しているであろうもう一つの傍証は水の乾燥速度にある。一度加熱処理したセルロース粒子水分散体は、加熱処理しないものに比べ10%以上乾燥速度が速く、この理由は粒子が会合しているので乾燥物が疎な構造を取るために水分の拡散が良好となるためと考えられる。
【0020】
このようにして加熱処理を施した後、種々の方法で水分を蒸発し乾燥させる。
乾燥方法は、ディスクタイプあるいは空気使用の二流体ノズルタイプのアトマイザーを用いる噴霧乾燥や棚段熱風乾燥など、通常の方法を用いることができる。
この乾燥処理は一度冷却処理を施した後に行っても良いし、また、冷却することなく連続的に行っても良い。ここでいう「連続的」とは、水分の蒸発とセルロース粒子水分散体の昇温を同時に行う際に、水分の存在する状態で100℃以上に昇温した後に乾燥が終了することを含む。但し、このときの水分は気体状態であっても良い。
【0021】
加熱処理と乾燥処理を同時に行う好適な例としてはドラム乾燥機やベルト乾燥機を用いる方法をあげることができる。また、100℃以上の水蒸気を用い、二流体ノズルで噴霧乾燥する方法なども有効である。ドラム乾燥機を用いて乾燥する場合のセルロース粒子水分散体は、固形分(セルロース粒子)濃度が10〜23重量%、25℃におけるpHが5〜8.5、25℃における電気伝導度が300μS/cm以下であることが好ましい。
また、乾燥条件はドラム表面温度が105〜150℃程度とし、そして乾燥終了時点での乾燥品の水分が3〜5%程度になるように、ドラムクリアランス、ドラム回転速度、セルロース粒子分散液の供給量などを適宜選択する。
【0022】
(ii)次に、加熱処理を施さなくてもよい場合の製造方法について説明する。
即ち、本発明の高成形性賦形剤は、加熱処理を施さない場合は、水分散状態のセルロース粒子をガラス板やアルミ板などの支持体に薄く伸展した状態で乾燥することにより製造することができる。
その場合は固形分濃度が23重量%以下、pHが5〜8.5、電気伝導度が300μS/cm以下の水分散状態であることが必要である。
具体的な例としては、ガラス板やアルミ板にセルロース粒子の水分散体を薄く伸展し、室温乾燥あるいは通風乾燥するか、あるいはドラム乾燥機やベルト乾燥機を用いて乾燥する方法などが挙げられる。
加熱処理を施した後に、薄膜状態で乾燥することが必要である。
薄膜状態で乾燥することにより成形性が高く、かつ、崩壊性に優れた結晶セルロースが得られる理由は明らかではないが、ガラス板のような支持体に接することで棒状のセルロース粒子が2次元的に配列し、かつ、乾燥収縮が制限される、つまり、角質化が抑えられるためと考えられる。
【0023】
結晶セルロース等の製造にドラム乾燥機の使用が可能なことは、例えば特公昭40−26274号公報に記載があるが、圧縮成形性が高く、かつ、崩壊性が良好な結晶セルロースを製造するために上記のような条件を選択しなければならないことについては何等記載がなく、従来知られていない技術であった。
また、従来常用されていた噴霧乾燥法や熱風乾燥法などは、たとえ送風温度が100℃以上であっても、水の蒸発潜熱のために品温は100℃まで上がらぬうちに乾燥してしまうので「加熱処理」が施されておらず、また、薄膜状態も取り得ないので本発明の技術とは異なるものである。
こうして得られた粉体は、必要に応じて粉砕、篩分などを行い、粒度分布を調整して使用に供する。
【0024】
(C) 高成形性賦形剤の粒径等
(i) 本発明の高成形性賦形剤は、篩分法によって粒度分布を測定する場合、実質的に355μmの目開きの篩にとどまる留分は無く、累積50重量%の粒度で表される平均粒径は30〜120μmであることが、特に40〜100μmであることが好ましい。
「実質的」とは粉体の流動性などの機能を損なわない程度に比較的大きな粒子を含んでいても良いことを意味し、その値はおおよそ5重量%以下である。
平均粒径が30μm未満では微小な粒子が多すぎるために、粉体としての流れが悪化し、そして錠剤の崩壊性が悪化するので好ましくない。また、平均粒径が120μmを越えると粉体が粗大化してしまい、成形性の低下、および、他の粉体原料との混合性の悪化が生じるので好ましくない。
【0025】
(ii)さらに、本発明の高成形性賦形剤は見掛け比容積が4.0〜6.0cm3 /g、好ましくは4.5〜5.0cm3 /g、見掛けタッピング比容積が2.4cm3 /g以上、好ましくは1.5cm3 /g以上の結晶セルロースであることが好ましい。
見掛け比容積が4.0cm3 /g未満であると成形性が低下し、6.0cm3 /gを超えると粉体の流動性が低下するので好ましくない。
見掛けタッピング比容積が2.4cm3 /g未満であると、錠剤が圧密化されて崩壊性が悪化するので好ましくない。見掛けタッピング比容積の上限は見掛け比容積の値より自動的に6.0cm3 /gと決められるが、この値以下であれば特に支障ない。
従って、見掛けタッピング比容積は、2.4〜6.0cm 3 /gである必要がある。
【0026】
(iii) また、本発明の高成形性賦形剤はBET法(吸着物質として窒素を使用)で測定される比表面積が20m2 /g未満であり、特に10m2 /g未満であることが好ましい。
比表面積が20m2 /g以上になると、結晶セルロース粒子が自身の内部に径の大きな(約0.01μm以上)細孔を持たざるを得ず、粒子の強度が弱くなるために、錠剤が圧密されてしまい、結局、崩壊が悪化するので好ましくない。
【0027】
(iv)まとめ
前述の通り、従来は結晶セルロース等の成形性を向上するために見掛け比容積を増加させるよう腐心されてきたが、見掛けタッピング比容積や比表面積について何等考慮がなかったため、崩壊性が悪化するという事態を引き起こしていた。
ところが、本発明者らは上記(B) 項で説明する独自の乾燥方法(要するに、特定の固形分濃度、特定のpH、特定の電気伝導度と言う、特定の湿潤状態または水分散状態で100℃以上で加熱・乾燥するか、或いは特定の水分散状態で薄膜状に乾燥する方法)を開発することにより、酢酸保持率、見掛け比容積、見掛けタッピング比容積、比表面積を特定の範囲にコントロールすることが可能となり、従来には存在しなかった、成形性と崩壊性のバランスのとれた結晶セルロースを発明するに至ったのである。
【0028】
(D) 標準錠剤の調製法
(i) 標準錠剤の調製法について説明する。
即ち、標準錠剤を調製するには赤外吸収分析において臭化カリウム錠剤を作るときに使用されるような金型を使用する。
但し、圧縮成形時には減圧しないので特にそのような構造は必要なく、単に金属性の臼と杵がある構造のものでよい。また片側圧縮タイプでも両側圧縮タイプでもよい。杵の圧縮面は円柱状の成形体を得るために、平面で、かつ、面積が1cm2 の円形である必要がある。
このような金型に本発明物質(白色粉末状結晶セルロース)500mg(吸着水分を含む)を仕込み、圧力ゲージのついた加圧装置(ハンドプレス)にて100kgf/cm2 まで圧縮し、この圧力を10秒間保持し、ついで金型より取り出すことにより標準錠剤を調製する事ができる。圧縮および圧力の保持、抜圧は万能引張圧縮試験機〔例えば、(株)島津製作所製オートグラフ〕などで行うこともできる。
【0029】
(ii)次に、標準錠剤の破壊強度および崩壊時間の測定方法について説明する。
すなわち、▲1▼ 破壊強度は、標準錠剤(円柱形)の側面を二つの平行な面で挟み、応力を加え、標準錠剤が破壊したときの応力をもって破壊強度とする。標準錠剤を圧縮する面は一方が固定であり、一方が一定速度で移動する。その移動速度は4〜13cm/分程度である。この測定には市販の錠剤硬度計や前述の万能引張圧縮試験機を利用する事ができる。
▲2▼ 崩壊時間の測定は第十二改正日本薬局方、一般試験法、錠剤の崩壊試験法を用いて行う。
【0030】
(iii) 高成形性賦形剤の破壊強度と崩壊時間
本発明の高成形性賦形剤は、前述の方法で標準錠剤(500mgの白色粉末状結晶セルロースを100kgf/cm 2 で10秒間圧縮することにより得られる底面の面積が1cm 2 である円柱状成形体)を製した場合、その直径方向の破壊強度は10kgf以上、好ましくは11kgf以上であり、その崩壊時間は100秒以内、好ましくは90秒以内である。
前述したように既存の賦形剤は成形性が高いと崩壊時間が長くなるため、本発明のように高成形性でありながら崩壊性も優れる賦形剤は知られていなかった。
一般に錠剤の破壊強度は約4kgf以上が実用的に必要であると言われており〔「医薬品の投与剤形(医歯薬出版発行)」1983年、p157〕、また、速溶性錠剤(服用後の速やかな薬効発現を目的とした、20分以内に薬物の75%以上が溶解するような錠剤)の崩壊時間は15分以内であることが求められている〔「医薬品の開発11巻・製剤の単位操作と機械(廣川書店発行)」1989年、p65〕。
【0031】
しかしながら、例えば成形性の乏しい薬物を多量に配合する必要があり、かつ、速溶性錠剤であることが必要なかぜ薬を製する場合において、既存の賦形剤は標準錠剤の破壊強度が10kgfを越えないか、その崩壊時間が100秒を越えるか、あるいはその両方であったので、前述の速溶性錠剤の2つの性能を満たすことが困難であった。
本発明の高成形性賦形剤はこのような問題を解決するものである。
つまり本発明の高成形性賦形剤を錠剤処方に配合すると、従来の賦形剤よりも錠剤破壊強度が高く、そして優れた崩壊性の錠剤を製することができるのである。標準錠剤の強度が11kgf以上の場合は高成形性賦形剤を配合した錠剤の強度も高くなるので、特に好ましい。
【0032】
(iii) 高成形性賦形剤の吸着水横緩和時間
本発明の高成形性賦形剤は、本発明品が水分を5〜6%含有するときにプロトンNMRスペクトル法にて測定される吸着水横緩和時間が0.00024秒以下であることが好ましい。
一般に、吸着水を有する固体試料のNMRスペクトルを1H溶液NMRプルーブを用いて測定すると吸着水に由来する一本のブロードなピークが得られるので、このピークの半値幅より吸着水横緩和時間を計算する事ができる。この値が0.00024秒を超えると成形性が低下するので好ましくない。
この原因は明らかではないが、以下のように推測する。
つまり、吸着水横緩和時間が短いということは水分子の運動性がより束縛されているということだから、吸着水と水素結合しやすようなセルロース分子の水酸基がより多く存在するのであろう。
【0033】
(iv)結晶セルロースの圧縮成形性が高い理由の一つは、結晶セルロース粒子が応力を受けて互いに、あるいは他の粉体粒子に押しつけられたときに表面の水酸基が吸着水を介して水素結合を形成するためといわれている。よって、吸着水横緩和時間が短いほど圧縮成形に寄与できる水酸基の量が多く、そのために成形性が高くなるものと考えられる。
従来、粉体の圧縮成形性の向上は圧縮時の高圧密化が主目的に考えられていたが、結晶セルロースの成形性向上のために接触点の接触強度の向上を図ったという点で本発明は新規である。
【0034】
(v) 高成形性賦形剤の用途
本発明の高成形性賦形剤は医薬品分野において既存の賦形剤と同様に使用される。
例えば錠剤を製する場合には、直接粉末圧縮法や乾式顆粒圧縮法、湿打後末法の結合剤として使用することができるが、既存の結合剤、例えば結晶セルロースなどよりも成形性が高いので少ない配合量か、あるいは低い圧縮力で成形することが可能となる。また崩壊性が良いので崩壊剤の配合が必要ないか、あるいは少量でよい。特に賦形剤の配合量が制限される処方、例えば医薬品成分の配合量の多いかぜ薬や小型錠や、低い圧縮力での成形が必要な顆粒含有錠においては有効である。また、ブロッキング防止や流動性改善の目的で散剤に配合したり、充填性の改善を目的としてカプセル剤に配合することもできる。さらに、押し出し造粒における押し出し性改善剤や流動層造粒、高速撹拌造粒における造粒助剤など湿式造粒においても使用することができる。
その他には、高い圧縮成形性を必要とするもの、例えば食品分野における錠剤タイプの菓子や健康食品など、化粧品分野における固形ファンデーションなど、セラミクス分野における触媒など使用することができる。さらには食物繊維や食感改良剤として食品に使用することも可能である。
【0035】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を制限しない。
なお、実施例、比較例、使用例、比較使用例におけるセルロース粒子水分散体、粉体試料および錠剤の物性の測定法は下記の通りである。
・pH[−]
セルロース粒子水分散体を25℃に調整し、ガラス電極式水素イオン濃度計(東亜電波工業(株)製、pHメーター HM−20E型)にて測定する。
【0036】
・電気伝導度[μS/cm]
セルロース粒子水分散体を25℃に調整し、電気伝導度測定装置(横河電機(株)製、SC51POCKET型)にて測定する。
・酢酸保持率[%]
粉体試料約3gを精秤し、試料の約10倍重量の酢酸(純度95%以上)に室温で30分間浸漬する。次いで2000Gで10分間遠心分離を行い、上澄みを除く。こうして得られた酢酸湿潤物の重量(W)を測定し、次いで真空加熱乾燥し、乾燥物の重量(W0 )を測定し、次式にて酢酸保持率を計算する。但し、測定は2回行い、その平均値をとった。酢酸保持率=100・(W−W0 )/W0
【0037】
・圧縮特性(川北の式の定数aおよびb)
粉体試料0.50gを精秤し、底面積が1cm2 の円柱状成形体を調製することができる片側圧縮タイプの金型に仕込み、ハンドプレスにて200、400、800、1200、1600kgf/cm2 まで圧縮し、この圧力で10秒間保持し、次いで錠剤を取り出す。各圧力で10個、計50個の錠剤を製し、それぞれの重量と厚みを測定し、粉体の体積減少率(C)を次式より計算する。
C=(V0 −V)/V0
(ここでV0 は後述する粉体の見掛け比容積[cm3 /g]であり、Vは錠剤の比容積[cm3 /g]を表す。)
圧縮圧力PとP/Cの関係を最小自乗法で直線回帰し(P/C=S+P・T)、その傾きTと切片Sより、川北の式の定数aおよびbを計算する。
(a=1/T、b=T/S)
【0038】
・粒度分布および平均粒径
粉体試料の粒度分布はロータップ式篩振盪機(平工製作所製シーブシェーカーA型)によりJIS標準篩(Z8801−1987)を用いて試料30gを10分間篩分することにより粒度分布を測定し、その累積50重量%の粒度を平均粒径として表す。
45μm以下の留分が多い場合はエアジェットシーブ粒度分布測定機(ALPINE製エアジェットシーブA200LS型)を用いて粒度分布を測定し、累積50重量%の粒度を求めて平均粒径とする。
【0039】
・見掛け比容積[cm3 /g]
100cm3 のガラス製メスシリンダーに粉体試料を定量フィーダーなどを用い、2〜3分間かけて疎充填し、粉体層上面を筆のような柔らかいハケで水平にならし、その容積を読みとる。これを粉体試料の重量で除する。粉体試料の重量は容積が70〜100cm3 程度になるように適宜決定する。
・見掛けタッピング比容積[cm3 /g]
見掛け比容積を測定後、ゴム板を敷いた机の様な衝撃の低い台の上で、手でタッピングを行う。タッピングは数cmの高さから台に垂直に落とすようにして行い、粉体層の圧密が止まるまで行う。タッピング終了後、粉体層の容積を読みとり、粉体試料重量で除する。
【0040】
・平均重合度[−]
INDUSTRIAL AND ENGINEERING CHEMISTRY Vol.42,No.3 p502〜507(1950)に記載された銅安溶液粘度法により測定する。
・比表面積[m2 /g]
島津製作所(株)製フローソーブII2300を用い、吸着ガスとして窒素ガスを使用し、BET法により測定する。
【0041】
・吸着水横緩和時間[s]
吸着水分を5〜6%(=100×水分重量/(水分重量+絶乾試料重量))に調整した粉体試料を溶液用試料管に導入し、ブルーカー社FT−NMR(AC200P型)、1H溶液NMRプローブを用いて測定する。吸着水横緩和時間は次式より求める。吸着水横緩和時間=1/(得られたピークの半値幅×π)
・錠剤の重量[mg]および重量CV[%]
錠剤10個を精秤し、その数平均値を錠剤重量、その変動係数を重量CVとする。
【0042】
・錠剤の破壊強度[kgf]
シュロインゲル錠剤硬度計(フロイント産業(株)製、6D型)で錠剤の直径方向に荷重を加え、破壊した時の荷重で表す。繰り返し数は10でその数平均値をとる。
・錠剤の崩壊時間[s]
第十二改正日本薬局方、一般試験法、錠剤の崩壊試験法に準じて崩壊試験を行う。崩壊試験機は富山産業(株)製NT−2HS型を用い、試料6個の数平均値をとる。
【0043】
(実施例1)
市販DPパルプを細断し、10%塩酸水溶液中で105℃で30分間加水分解して得られた酸不溶解残渣を濾過、洗浄、pH調整、濃度調整を行い、固形分濃度17%、pH6.4、電気伝導度120μS/cmのセルロース粒子水分散体を得た。これをドラム乾燥機(楠木機械製作所(株)製、KDD−1型、スチーム圧力3.5kgf/cm2 、ドラム表面温度136℃、ドラム回転速度2rpm、溜め部水分散体温度100℃)で乾燥後、ハンマーミルで粉砕し、目開き425μmの篩で粗大粒子を除き、試料Aを得た。
試料Aの基礎物性を表1に示す。
【0044】
(実施例2)
市販KPパルプを細断し、後は実施例1と同様に処理して得られた酸不溶解残渣を濾過、洗浄、pH調整、濃度調整を行い、固形分濃度21%、pH8.4、電気伝導度275μS/cmのセルロース粒子水分散体を得た。これをドラム乾燥機(スチーム圧力1.2kgf/cm2 、ドラム表面温度110℃、ドラム回転速度0.5rpm、溜め部水分散体温度99〜100℃)で乾燥後、ハンマーミルで粉砕し、目開き425μmの篩で粗大粒子を除き、試料Bを得た。
試料Bの基礎物性を表1に示す。
【0045】
(実施例3)
実施例1と同様にして得られた酸不溶解残渣を濾過、洗浄、pH調整、濃度調整を行い、固形分濃度18%、pH7.2、電気伝導度84μS/cmのセルロース粒子水分散体を得た。これを噴霧乾燥機(二流体ノズル使用、水分散体を噴霧化する流体にはスチームを使用、噴霧圧力4kgf/cm2 、約150℃)にて乾燥したのち、目開き425μmの篩で粗大粒子を除き、試料Cを得た。
試料Cの基礎物性を表1に示す。
【0046】
(比較例1)
市販DPパルプを細断し、10%塩酸水溶液中で105℃で30分間加水分解して得られた酸不溶解残渣を濾過洗浄し、棚段熱風乾燥機にて80℃で乾燥し、ハンマーミルで粉砕し、目開き425μmの篩で粗大粒子を除き、試料Dを得た。
試料Dの基礎物性を表1に示す。
(比較例2)
比較例1で得た試料を、気流式粉砕機((株)セイシン企業製、シングルトラックジェットミルSTJ−200型)で試料供給量を変えて粉砕し、特開昭63−267731号公報記載の発明品に相当する試料E、Fを得た。試料E、Fのの基礎物性を表1に示す。
(比較例3)
市販SPパルプを細断し、1%硫酸水溶液中で99℃、30分間加水分解して得られた酸不溶解残渣を濾過、洗浄し、棚段熱風乾燥機にて80℃で乾燥した。乾燥物の平均重合度は452であった。続いてこれをハンマーミルで粉砕し、さらに磁製ボールミルで12時間粉砕し、目開き425μmの篩で粗大粒子を除き、特公昭51−17172号公報記載の発明品に相当する試料Gを得た。試料Gの基礎物性を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
(使用例1〜3)
試料A、B、C、150gと乳糖(DMV社製、Pharmatose100M)600gをポリ袋中で3分間混合し、ついでステアリン酸マグネシウム(太平科学産業(株)製)3.75gを加え更に30秒間混合したものを、ロータリー打錠機((株)菊水製作所製、CLEANPRESS CORRECT 12HUK)で8mmφ、12Rの杵を用いてターンテーブル回転速度25rpmで打錠し、重量200mgの錠剤を得た。その錠剤の物性を表2に示す。
【0049】
(比較使用例1〜3)
試料A、B、Cの代わりに試料D、E、Gを用いて使用例1と同様に打錠を行った。得られた錠剤の物性を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
表2の結果より、試料Eを用いた場合(比較使用例2)では圧縮力の増加と共に破壊強度も増加するものの、崩壊時間も非常に長くなっていることがわかる。また、試料D、Gの場合(比較使用例1、3)は圧縮力が増加しても崩壊時間はそれほど長くはならないが、破壊強度もあまり増加しないことがわかる。
これに対し、本発明品を用いた場合(使用例1〜3)では圧縮力が増加すると共に錠剤の破壊強度も著しく増加するが崩壊時間は短いままである。特に標準錠剤の破壊強度が11kgf以上である試料A、C(使用例1、2)では、破壊強度が高い。これらのことから本発明を使用すれば、高い破壊強度を有し、かつ、速崩壊性の錠剤を容易に作成することが可能であることがわかる。
【0052】
(実施例4)
市販DPパルプを細断し、4%硫酸水溶液中で105℃で3時間加水分解して得られた酸不溶解残渣を濾過、洗浄、pH調整、濃度調整を行い、固形分濃度17%の水分散体を得た。この水分散体を実施例1と同様にして乾燥後、ハンマーミルで粉砕し、目開き425μmの篩で粗大粒子を除き、試料Hを得た。試料Hの基礎物性を表3に示す。
(実施例5)
実施例1と同様にして得られた酸不溶解残渣を濾過、洗浄、pH調整、濃度調整し、固形分濃度18%の水分散体を得た。この水分散体を高圧滅菌器(オートクレーブ)に入れ、系の温度を121℃で2時間保ち、水分散体の温度を121℃に上げた後、放冷し、取り出した。取り出したときの水分散体の温度は95℃であった。この水分散体をガラス板上に厚さ1mm程度に薄くのばし、棚段熱風乾燥機にて80℃で乾燥した後、剥離してハンマーミルで粉砕し、目開き425μmの篩で粗大粒子を除き、試料Iを得た。試料Iの基礎物性を表3に示す。
【0053】
(比較例4)
加水分解時間を5分間とした以外は実施例1と同様に操作を行い、得られた乾燥未粉砕物を、不二パウダル(株)製フラッシュミルFL−200型にて粉砕し、目開き425μmの篩で粗大粒子を除き、試料Jを得た。試料Jの基礎物性を表3に示す。
(比較例5)
レーヨン糸くずを細断し、0.3%塩酸水溶液中で100℃で40分間加水分解して得られた酸不溶解残渣をデカンテーション法で洗浄し、濾過、pH調整、濃度調整し、固形分濃度10%の水分散体を得た。この水分散体を実施例1と同様にして乾燥後、気流式粉砕機で粉砕し、目開き425μmの篩で粗大粒子を除き、試料Kを得た。試料Kの基礎物性を表3に示す。
【0054】
(比較例6)
比較例1と同様にして得た酸不溶解残渣を濾過、洗浄、脱水し、水分50%のウェットケークを得た。これをイソプロピルアルコールに分散し、濾過、脱液、再分散を2回行い、さらに日本精機製作所(株)製ゴーリンホモジナイザー15M型にて、400kgf/cm2 の処理圧で3回分散処理を行った。このスラリーにイソプロピルアルコールを加えて固形分濃度が10重量%になるように調整した後、窒素循環型のスプレードライヤーにて噴霧乾燥(送風温度150℃、排風温度83℃)を行い、目開き425μmの篩で粗大粒子を除き、特開平2−84401号公報記載の発明品に相当する試料Lを得た。試料Lの直径0.01μm以上の細孔の全容積(水銀ポロシメーターにて測定)は0.7cm3 /gであった。試料Lのその他の基礎物性を表3に示す。
(比較例7)
市販DPパルプを細断し、0.5%塩酸水溶液中で121℃で1時間加水分解して得られた酸不溶解残渣を濾過、洗浄、脱水し、真空乾燥機にて70℃で乾燥し、水分4.2%の乾燥物を得た。これをハンマーミルで粉砕し、目開き425μmの篩で粗大粒子を除き、特公昭40−26274号公報記載の発明品に相当する試料Mを得た。試料Mの基礎物性を表3に示す。
【0055】
【表3】
【0056】
(使用例4、5)
試料H、I、70gと乳糖(DMV社製、Pharmatose100M)630gとステアリン酸マグネシウム(太平科学産業(株)製)3.5gを用い、あとは使用例1と同様に打錠した。得られた錠剤の物性を表4に示す。
(比較使用例4〜7)
試料H、Iの代わりに試料J、K、L、Mを用いて使用例4と同様に打錠を行った。得られた錠剤の物性を表4に示す。
【0057】
【表4】
【0058】
表4の結果より、試料Lを用いた場合(比較使用例6)では圧縮力の増加と共に破壊強度も増加するものの、崩壊時間も非常に長くなっていることがわかる。試料Jを用いた場合(比較使用例4)では圧縮力が増加してもあまり破壊強度は増加しないが、崩壊は長くなっており、また、平均粒径が120μmより大きいので打錠用粉体の流動性が低く、それを反映して錠剤の重量CVが高くなっている。試料K、Mを用いた場合(比較使用例5、7)では圧縮力が増加しても崩壊時間は非常に短いが、破壊強度があまり高くならない。
これに対し、本発明品である試料H、Iを用いた場合(使用例4、5)では、その配合量が約10重量%であるにも関わらず、圧縮力が増加すると共に錠剤の破壊強度も著しく増加するが崩壊時間は比較的短く、また、重量CVが低いことから、低添加量で高破壊強度、速崩壊性、重量均一性の高い錠剤の作成が可能であることがわかる。
【0059】
(実施例6)
実施例1と同様にして得られた酸不溶解残渣を濾過、洗浄、pH調整、濃度調整し、固形分濃度19%の水分散体を得た。この水分散体をドラム乾燥機(スチーム圧力5kgf/cm2 、ドラム表面温度143℃、ドラム回転速度5rpm、溜め部水分散体温度100℃)で乾燥後、不二パウダル(株)製フラッシュミルFL−200型にて粉砕し、目開き425μmの篩で粗大粒子を除き、試料Nを得た。試料Nの基礎物性を表5に示す。
(実施例7)
精製リンターを充分ほぐし、後は実施例1と同様に処理して得られた酸加水分解残渣を濾過、洗浄、pH調整、濃度調整し、固形分濃度20%の水分散体を得た。この水分散体をドラム乾燥機(スチーム圧力3kgf/cm2 、ドラム表面温度131℃、ドラム回転速度1rpm、溜め部水分散体温度99〜100℃)で乾燥後、ハンマーミルで粉砕し、目開き425μmの篩で粗大粒子を除き、試料Oを得た。試料Oの基礎物性を表5に示す。
【0060】
(比較例8)
加水分解時間を5分間とした以外は実施例1と同様に操作を行い、試料Pを得た。試料Pの基礎物性を表5に示す。
(比較例9)
市販の結晶セルロース(アビセル<登録商標>PH−101、旭化成工業(株)製)を試料Qとした。試料Qの基礎物性を表5に示す。
(比較例10)
市販の結晶セルロース(アビセル<登録商標>PH−301、旭化成工業(株)製)を試料Rとした。試料Rの安息角は41度であり、特公昭56−38128号公報記載の発明品に相当する。試料Sの基礎物性を表5に示す。
(比較例11)
市販の結晶セルロース(GRADE M−101、MING TAI CHEMICAL CO.,LTD.製)を試料Sとした。試料Sの基礎物性を表5に示す。
【0061】
【表5】
【0062】
(使用例6、7)
試料N、O、150gとフェナセチン(山本化学工業製)150gと乳糖(DMV社製、Pharmatose100M)450gをポリ袋中で3分間混合し、ついでステアリン酸マグネシウム(太平科学産業(株)製)3.75gを加え更に30秒間混合したものを、ロータリー打錠機((株)菊水製作所製、CLEANPRESS CORRECT 12HUK)で8mmφ、12Rの杵を用いてターンテーブル回転速度25rpmで打錠し、重量200mgの錠剤を得た。その錠剤の物性を表6に示す。
【0063】
(比較使用例8〜12)
試料N、Oの代わりに試料F、P、Q、R、Sを用いて使用例6と同様に打錠を行った。得られた錠剤の物性を表6に示す。
【0064】
【表6】
【0065】
表6の結果より、試料Fを用いた場合(比較使用例8)では圧縮力の増加と共に破壊強度も増加するものの、崩壊時間も極端に長くなっていることが分かる。
また、試料Fは平均粒径が小さく、嵩高い(見掛け比容積が大きい)ことから、打錠用粉体の流動性が低く、それを反映して錠剤の重量CVが高い。試料Pを用いた場合(比較使用例9)では圧縮力が増加しても崩壊時間は非常に短いが、破壊強度があまり高くならない。市販の結晶セルロースである試料Q、R、Sを用いた場合(比較使用例10、11、12)でも同様の結果であった。
これに対し、本発明品である試料N、O(使用例6、7)では圧縮力が増加すると共に錠剤の破壊強度も著しく増加するが崩壊時間は短いままで、さらに錠剤の重量CVが低いことから、高い破壊強度を有し、速崩壊性で、かつ、錠剤の重量均一性の高い錠剤を容易に作成することが可能であることがわかる。
【0066】
【発明の効果】
本発明の高成形性賦形剤によると、該賦形剤は圧縮成形性に優れるので、錠剤の成形に適用した場合に少量の配合で成形が可能なので、小型錠やかぜ薬のような賦形剤の配合に制限があるような場合に有用である。
また、該賦形剤は低い圧縮力で成形が可能であるから、顆粒含有錠のような高い圧縮力を避けなければならない場合にも有用である。
さらに、該賦形剤は同時に崩壊性に優れるので、特に崩壊剤を配合することなく錠剤を製すること可能である。
また、独自の乾燥方法の開発により、賦形剤を構成する結晶セルロースの粉体特性(即ち酢酸保持率、見掛け比容積、見掛けタッピング比容積、比表面積)を特定の範囲にコントロールすることが可能となり、従来には存在しなかった、成形性と崩壊性のバランスのとれた高成形性賦形剤を提供できる。
Claims (10)
- セルロース質物質を酸加水分解あるいはアルカリ酸化分解して得られる平均重合度180〜375の白色粉末状結晶セルロースであり、その酢酸保持率が280〜353%で、下記(1) 式の圧縮特性を有しかつ、見掛け比容積が4.0〜6.0cm 3 /g、見掛けタッピング比容積が2.4〜6.0cm 3 /g以上、比表面積が20m 2 /g未満であって、実質的に355μm以上の粒子が無く、平均粒径が30〜120μmであることを特徴とする高成形性賦形剤。
- 白色粉末結晶セルロースの平均重合度が180〜220であることを特徴とする請求項1記載の高成形性賦形剤。
- 500mgの白色粉末状結晶セルロースを100kgf/cm2 で10秒間圧縮することにより得られる底面の面積が1cm2 である円柱状成形体の直径方向の破壊強度が10kgf以上であり、かつ、崩壊時間が100秒以内であることを特徴とする請求項1記載の高成形性賦形剤。
- 円柱状成形体の直径方向の破壊強度が11kgf以上であることを特徴とする請求項2記載の高成形性賦形剤。
- 吸着水分が5〜6%である時の吸着水横緩和時間が0.00024秒以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高成形性賦形剤。
- セルロース質物質を酸加水分解あるいはアルカリ酸化分解し、精製して得られたセルロース粒子を、固形分濃度が5〜40重量%、pHが5〜8.5、電気伝導度が300μS/cm以下の湿潤状態あるいは水分散状態で100℃以上に加熱処理し、乾燥することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高成形性賦形剤の製造方法。
- 固形分濃度が5〜23重量%のセルロース粒子を加熱処理することを特徴とする請求項6記載の高成形性賦形剤。
- ドラム乾燥機あるいはベルト乾燥機を用いて加熱処理および乾燥を行うことを特徴とする請求項6記載の高成形性賦形剤の製造方法。
- セルロース質物質を酸加水分解あるいはアルカリ酸化分解し、精製して得られたセルロース粒子を、固形分濃度が23重量%以下、pHが5〜8.5、電気伝導度が300μS/cm以下の水分散状態とし、ついで薄膜状態で乾燥することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高成形性賦形剤の製造方法。
- ドラム乾燥機あるいはベルト式乾燥機を用いて乾燥を行うことを特徴とする請求項9記載の高成形性賦形剤の製造方法。
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