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JP3563771B2 - 油圧駆動回路 - Google Patents

油圧駆動回路 Download PDF

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JP3563771B2
JP3563771B2 JP13326894A JP13326894A JP3563771B2 JP 3563771 B2 JP3563771 B2 JP 3563771B2 JP 13326894 A JP13326894 A JP 13326894A JP 13326894 A JP13326894 A JP 13326894A JP 3563771 B2 JP3563771 B2 JP 3563771B2
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哲 松本
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、建設機械等の油圧駆動回路に係り、特にそのアクチュエータ切換弁の操作応答性を向上させる油圧駆動回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、建設機械は、例えばバケット、ブーム、アーム、走行用等の各種アクチュエータを有し、これらは、それぞれの切換弁を介して供給されるポンプ吐出圧油によって駆動される。しかるに、この種の油圧駆動回路においては、前記各アクチュエータの負荷圧力はいずれも異なるので、通常は各アクチュエータへの圧油供給量が切換弁の操作量に比例せず、このためアクチュエータの操作性が低下していた。
【0003】
そこで、本出願人は、先にこのような難点を克服する技術を開発し、特許出願を行った(特開平4−19406号公報)。以下、この技術について簡単に説明する。
【0004】
前記開発された技術は、基本的には、図6において、ネガティブコントロールを遂行する吐出流量制御手段10aを有する可変容量ポンプ10の吐出ライン12からの吐出圧油を、それぞれ(図示例では2つ)の分岐吐出ライン14、16および切換弁18、20を介して、各アクチュエータ22、24へ給排すると共に、前記吐出圧油の一部を、吐出ライン12からタンクライン26へバイパスして、この分岐バイパスライン28上に、上流から順に圧力補償付流量制御弁30と圧力発生手段32とを設けている。各切換弁18、20は、それぞれの信号ライン34−1、34−2および34−3、34−4に導かれるパイロット圧力を介して操作すると共に、圧力補償付流量制御弁30は、その開方向に分岐バイパスライン28より分岐された信号ライン28aからポンプ吐出圧力を印加し、また閉方向には各切換弁18、20において検出される各アクチュエータの信号ライン36−1、36−2に導かれる負荷圧力の中から、さらに高圧選択手段38により選択され信号ライン36−3に導かれる最大負荷圧力およびばね30aの圧力を印加する。これにより、圧力補償付流量制御弁30と圧力発生手段32との間の油路40上の信号ライン40aに発生する圧力を介して、吐出流量制御手段10aを制御するよう構成されている。
【0005】
従って、このような構成において、例えば切換弁18を、図において左方へ操作すると、吐出ライン12からの圧油は、分岐吐出ライン14、通路18a、アクチュエータライン22aを介してアクチュエータ22へ供給される。そして、このアクチュエータの負荷圧力が、信号ライン36−1、高圧選択手段38および信号ライン36−3を介して、圧力補償付流量制御弁30に対しこれを閉じる方向に印加する。これにより、前記弁30および圧力発生手段32の作用により発生する油路40上の信号ライン40aに発生する信号圧力および吐出流量制御手段10aを介して、可変容量ポンプ10が制御される。そして、アクチュエータ22への圧油供給は、アクチュエータの前記負荷圧力に拘りなく、切換弁18の操作量に比例した流量に設定される。すなわち、アクチュエータの操作性低下が防止される。なお、これらの作動および各手段32、10aの特性に関しては、後述する本発明の作動において、さらに詳述する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した技術(以下、従来技術と称する)においても、なお、以下に述べるような難点を有していた。
【0007】
すなわち、切換弁の操作に伴う可変容量ポンプの前記制御において、圧力補償付流量制御弁30には、前述したように、その閉方向に、アクチュエータの負荷圧力(もしくは最大負荷圧力)が、信号ライン36−1、(36−2)、高圧選択手段38および信号ライン36−3を介して印加される。しかるに、この場合、この制御弁30には、同じく閉方向にばね30aの圧力が印加され、一方開方向には信号ライン28aに導かれるポンプ吐出圧力がそれぞれ同時に印加されている。この場合、ばね30aの圧力は常時一定に負荷され、また信号圧力28aはポンプ吐出圧力の変動にほぼ順応して負荷されているが、一方の閉方向に印加される負荷圧力は、切換弁を操作してから信号ライン36−1、(36−2)、36−3内へ圧油充填されるまでに時間を要するため、すなわちアクチュエータの負荷圧力が高い場合にはしばしば0.2〜0.3秒に達するため、この時間だけ遅延して負荷される。
【0008】
従って、前記従来技術においては、切換弁操作に伴うポンプ制御において、圧力補償付流量制御弁の流量制御機能の開始時点、言い換えれば、ポンプ吐出流量の変動タイミングが切換弁の操作から遅延していた。このため、操作者に、前記遅延に伴う違和感を与える難点を有していた。
【0009】
そこで、本発明の目的は、アクチュエータへの圧油供給をその負荷圧力に拘りなく切換弁の操作量に比例して設定すると共に、アクチュエータの前記切換弁操作に対する応答性を向上することができる油圧駆動回路を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明に係る油圧駆動回路は、
1つまたは複数の切換弁、同各切換弁を介して結合されたアクチュエータに圧油を供給するための可変容量ポンプ及び同ポンプの吐出量をネガティブコントロールするよう同ポンプに結合された吐出流量制御手段を備えた油圧駆動回路において、
前記ポンプの吐出ラインから分岐され、前記ポンプ吐出量の一部をタンクラインを介してタンクに戻す分岐バイパスラインと、
前記分岐バイパスライン上に配設された圧力発生手段と、
前記分岐バイパスライン上で且つ、前記圧力発生手段より上流側に配設された圧力補償付流量制御弁と、
前記各切換弁操作用のパイロット圧信号を生成するパイロット圧信号生成手段と、
前記各切換弁内において検出される、前記各アクチュエータへ供給する圧油の流量に対応して生成される負荷圧力の中の最大負荷圧力を選択する第1の高圧選択手段と
前記パイロット圧信号生成手段から与えられるパイロット圧信号の中の最大パイロット圧信号を選択する第2の高圧選択手段と、
前記圧力発生手段と圧力補償付流量制御弁との間の分岐バイパスライン上の圧力を前記吐出流量制御手段に与えるよう接続された第1の信号ラインと、
前記第1の高圧選択手段により選択された最大負荷圧力を前記圧力補償付流量制御弁に与える第2の信号ラインと、
前記分岐バイパスライン上の前記圧力補償付流量制御弁の上流側に配設され、その最大絞り状態のときでも所定流量を保持せしめるよう形成した可変絞り手段と、
前記第2の高圧選択手段により選択された最大パイロット圧信号を前記可変絞り手段に与える第3の信号ラインと、
前記圧力補償付流量制御弁内おいて前記第1の高圧選択手段により選択された最大負荷圧力と対向するように前記可変絞り手段の上流側分岐ライン上の圧力である前記可変容量ポンプの吐出圧力を当該圧力補償付流量制御弁に与える第4の信号ライン、
を備えて構成される。
【0011】
その場合、前記圧力補償付流量制御弁は、その開方向に前記ポンプ吐出圧力が印加され、その閉方向には前記第1の高圧選択手段により選択された最大負荷圧力およびばね圧が印加され、さらに、前記可変絞り手段は、その開方向にばね圧が印加され、その閉方向には前記第2の高圧選択手段により選択された最大パイロット圧力が印加されるよう構成されることができる。
さらにその場合、前記第2の信号ライン上に、遅延機能を有する流量制御手段を設けることが好ましい。
【0012】
また、前記目的を達成するための本発明に係る油圧駆動回路は、
バイパス通路を形成された1つまたは複数のセンターバイパスタイプの切換弁、同各切換弁を介して結合されたアクチュエータに圧油を供給するための可変容量ポンプ及び同ポンプの吐出量をネガティブコントロールするよう同ポンプに結合された吐出流量制御手段を備えた油圧駆動回路において、
前記ポンプの吐出ラインから分岐され、前記ポンプ吐出量の一部が前記各切換弁のバイパス通路及びタンクラインを介してタンクに戻されるよう形成したセンターバイパスラインと、
前記1つまたは複数の切換弁の下流側のセンターバイパスライン上に配設した圧力発生手段と、
前記1つまたは複数の切換弁の下流側のセンターバイパスライン上で且つ、前記圧力発生手段より上流側に配設された圧力補償付流量制御弁と、
前記各切換弁操作用のパイロット圧信号を生成するパイロット圧信号生成手段と、
前記各切換弁内において検出される、前記各アクチュエータへ供給する圧油の流量に対応して生成される負荷圧力の中の最大負荷圧力を選択する第1の高圧選択手段と、
前記圧力発生手段と圧力補償付流量制御弁との間の前記センターバイパスライン上の圧力を前記吐出流量制御手段に与えるよう接続された第1の信号ラインと、
前記第1の高圧選択手段により選択された最大負荷圧力を前記圧力補償付流量制御弁に与える第2の信号ラインと、
前記センターバイパスライン上の前記圧力補償付流量制御弁の上流側にある前記各切換弁の各バイパス通路内に設けられ、前記パイロット圧信号生成手段から与えられる当該切換弁操作用の最大パイロット圧信号に対応する前記バイパス通路の最大絞り状態のときでも所定流量が当該バイパス通路に流れるよう形成した可変絞り手段と、
前記圧力補償付流量制御弁内おいて前記第1の高圧選択手段により選択された最大負荷圧力と対向するように前記可変容量ポンプの吐出ライン圧力を当該圧力補償付流量制御弁に与える第3の信号ライン、
を備えて構成される。
【0013】
その場合、前記第2の信号ライン上に、遅延機能を有する流量制御手段を設けることが好ましい。
【0014】
【作用】
本発明においては、可変容量ポンプの吐出流量を、アクチュエータに対する分岐吐出ラインとは別に設定した分岐バイパスライン上に設けた圧力補償付流量制御弁および圧力発生手段の作用を介して制御される油圧駆動回路において、前記バイパスライン上には、さらにアクチュエータ駆動用切換弁の操作に即応して作動する可変絞り手段を設ける。従って、本発明によれば、この可変絞り手段は、前記切換弁のフルストローク位置即ち、当該切換弁操作用の最大パイロット圧信号においても全閉とはならず、所定流量を前記圧力補償付流量制御弁に流れるように構成され、これにより切換弁の操作に即応してポンプ吐出流量が制御され、アクチュエータの切換弁操作に対する応答性が向上する。しかも、前記圧力補償付流量制御弁へ供給される第1の高圧選択手段からの圧油信号ラインに遅延手段を配設して、この種の油圧駆動回路における欠点とされていた、アクチュエータの遅延作動に伴う違和感も解消される。
【0015】
【実施例】
次に、本発明に係る油圧駆動回路の実施例につき、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。なお、説明の便宜上、図6に示す従来の構成と同一の構成部分には同一の参照符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0016】
図1において、先ず本発明の油圧駆動回路の構成は、基本的には、前記従来のもの(図6)と同一である。従って、重複するが、理解を容易にするため、再び簡単に説明する。油圧駆動回路は、基本的には、ネガティブコントロール吐出流量制御手段10aを有する可変容量ポンプ10の吐出ライン12からの吐出圧油を、それぞれ(図示例では2つ)の分岐吐出ライン14、16および切換弁(この場合、クローズドセンタ型)18、20を介して、各アクチュエータ22、24へ給排すると共に、前記吐出圧油の一部を、吐出ライン12からタンクライン26へバイパスして、この分岐バイパスライン28上に上流から順に圧力補償付流量制御弁30と圧力発生手段32とを設ける。各切換弁18、20は、それぞれの信号ライン34−1、34−2および34−3、34−4に導かれるパイロット圧力を介して操作すると共に、圧力補償付流量制御弁30は、その開方向に分岐バイパスライン28より分岐された信号ライン28aからポンプ吐出圧力を印加し、また閉方向には各切換弁18、20において検出される各アクチュエータの信号ライン36−1、36−2に導かれる負荷圧力の中から、さらに高圧選択手段38により選択され信号ライン36−3に導かれる検出された最大負荷圧力およびばね30aの圧力を印加する。これにより、圧力補償付流量制御弁30と圧力発生手段32との間の油路40上の信号ライン40aに発生する圧力を介して、吐出流量制御手段10aを制御するように構成されている。
【0017】
しかるに、本発明においては、前記構成において、さらに分岐バイパスライン28上には、圧力補償付流量制御弁30の上流側に可変絞り手段50を設ける。そして、この可変絞り手段50は、その開方向にばね50aの圧力を印加し、また閉方向には各切換弁18、20を操作する信号ライン34−1、2、3、4に導かれる操作パイロット圧力の中から、高圧選択手段52により選択され信号ライン34−5に導かれる最大パイロット圧力を印加すると共に、この制御において可変絞り手段50の絞りが、切換弁18、20のフルストローク位置においても全閉とならないように、所定の開度を維持するように構成されている。
【0018】
従って、本発明の油圧駆動回路は、次のように作動する。
なお、ここで、前述した圧力発生手段32および吐出流量制御手段10aの特性について説明すると、既に明らかであるが、前者は、図2に示すように、通過流量(分岐バイパスライン28内の流量)qの増大に伴い発生圧力(油路40内の信号圧力)pをその最大値pmax まで増大するように構成される。一方、後者は、図3に示すように、信号圧力(前記発生圧力)pの増大に伴い、ポンプ吐出流量Qをその最小値Qmin まで減少するように構成される。
【0019】
そこで、切換弁18、20の中立状態、すなわちアクチュエータ22、24の非駆動状態について説明すると、この状態においては、信号ライン34−1、2、3、4にはパイロット圧力は負荷されておらず、また負荷圧力が発生する信号ライン36−1、2はタンクライン26へ接続されているので、信号ライン34−5における最大パイロット圧力および信号ライン36−3における検出された最大負荷圧力は、いずれも低圧に保持される。従って、可変絞り手段50は、ばね50aの圧力により、また圧力補償付流量制御弁30は、信号ライン28aに導かれるポンプ吐出圧力により(この場合、ばね30aの圧力は小さく設定されているので)、それぞれ可及的に全開に維持される。従って、分岐バイパスライン28内の通過流量qは、可及的に最大量に設定される。しかも、圧力発生手段32においては、信号ライン40aに発生する信号圧力がその最大値pmax に設定されるように制御され(図2参照)、そしてこれにより吐出流量制御手段10aにおいては、ポンプ吐出流量Qがその最小値Qmin に設定されるように制御される(図3参照)。すなわち、切換弁の中立状態においては、可変容量ポンプ10はその吐出流量が最少に維持されている。
【0020】
次に、前記状態において、切換弁を操作する場合、例えば、切換弁18を図示の左方へ、殊に急激に操作する場合を想定すると、この場合は既に前述したように、吐出ライン12からの圧油が分岐吐出ライン14、通路18a、アクチュエータライン22aを介してアクチュエータ22へ供給される。そして、このアクチュエータに対応して検出された負荷圧力が信号ライン36−1、高圧選択手段38および信号ライン36−3を介して圧力補償付流量制御弁30へ印加される。
【0021】
しかるに、この時、制御弁30には、さらにばね30aの圧力および信号ライン28aに導かれるポンプ吐出圧力に対応する信号圧力が印加される。この場合、従来技術においては、同じく前述したように、ばね30aの圧力および信号ライン28aに導かれる圧力は、常時一定してもしくはポンプ吐出圧力の変動にほぼ順応して負荷されているが、一方の閉方向に印加される負荷圧力は、切換弁を操作してから信号ライン36−1、(36−2)、36−3内へ圧油が充填されるまでに時間を要する。これにより、この切換弁操作に伴うポンプ制御においては、圧力補償付流量制御弁の流量制御における絞り機能の開始時点、すなわちポンプ吐出流量の増大化のタイミングが、切換弁の操作から前記充填時間だけ遅延する。このため、これに伴う違和感が操作者に与えられていた。
【0022】
しかるに、本発明においては、圧力補償付流量制御弁30の上流側には、前述したように、可変絞り手段50が設けられ、そしてこの可変絞り手段50は、その閉方向に信号ライン34−5に導かれる切換弁操作用の最大パイロット圧力が印加されているので、前述のように切換弁18を操作すると、この操作に即応して可変絞り手段50が(絞り)作動する。従って、仮に圧力補償付流量制御弁30の作動が遅延することがあっても、分岐バイパスライン28内の通過流量qは、前記操作に即応して減少し、そしてこれにより圧力発生手段32を介して信号ライン40a上の圧力pが低減する。この結果、吐出流量制御手段10aを介してポンプ吐出流量Qおよび吐出圧力は、即時に増大する。すなわち、アクチュエータ22は、その検出された負荷圧力が圧力補償付流量制御弁30を作動するか、しないかに拘らず、前記切換弁18の操作に即応して、前記ポンプ吐出流量および圧力の増大に伴い、始動させることができる。従って、このように切換弁操作の応答性が向上する結果、この切換弁操作に伴う違和感を操作者に与えることはない。
【0023】
また、前記始動に際して、アクチュエータへの圧油供給量に対応する速度が切換弁開度に見合った流量に対応する速度に、即時に到達しない状態でも、やがて信号ライン36−1、2、3内に圧油が充填され、その圧力がアクチュエータの検出された負荷圧力に到達するまでに要する時間は、図6に示した従来の場合より短縮され、その分だけ圧力補償付 流量制御弁30の正常な作動状態に達する時間が短縮される。
また、前記可変絞り手段50は、切換弁18への最大操作量に対応するパイロット圧信号が与えられた場合即ち、当該切換弁18のスプールストロークが最大のときでもその絞りは全閉とはならず、所定の流量が保持され流れるよう形成されている。
その理由は、もし可変絞り手段50が全閉にされたとすると圧力補償付流量制御弁30及び油路40には全く圧油が流れず、従って、圧力発生手段32による差圧が発生しないので、信号ライン40の圧力pは、タンク圧となり、このタンク圧が吐出流量制御手段10aを介してポンプ吐出流量Qを、即時に最大化する。その結果前述したように、対応するアクチュエータに即時圧油が供給され、それに基づく検出された負荷圧力は信号ライン36−3を介して圧力補償付流量制御弁30へ与えられるけれども、同流量制御弁30には圧油が流れていないので圧力補償付流量制御弁として機能しないからである。
このことは、操作者がアクチュエータ用の操作レバーを所定量操作してその操作量に対応するように当該アクチュエータを駆動しようとしたとき、その所定量操作の途中で可変絞り手段50が全閉にされたとすると上述のように即時に最大吐出流量が供給されることになり、与えた操作量と無関係にアクチュエータを最大吐出流量で駆動することを意味し、前記操作者にとって危険でさえある。従って、本発明においては、可変絞り手段50の絞りを最も大きくしたときでも、所定の流量が流れるようにしている。
【0024】
また、この可変絞り手段50は、このように始動時において違和感を解消するばかりではなく、停止操作においてもその機能を発揮する。即ち、本発明においては可変絞り手段50を有するので、停止操作を行なうと、油路40を流れる流量が多くなって圧力発生手段32の差圧が大きくなり、従って、油路40上の圧力は増大する。
即ち、アクチュエータ22を停止すべく切換弁18を中立位置へ復帰すると、前記復帰操作に即応して可変絞り手段50が作動し、分岐バイパスライン28内の通過流量qを即時に増大することができる。そして可変容量ポンプ10は、その吐出流量Qを可及的に速やかに最少値Q min まで減少し、アクチュエータ22は可及的に速やかに停止する。なお、このことは、特に切換弁の前記復帰操作が急激である場合に、アクチュエータの応答性を向上することができる。
【0025】
前述した、アクチュエータの駆動開始の遅延に起因する違和感は、本発明においては可変絞り手段50を導入することによりその遅延を可及的に少なくすることによってその応答性を良好にするものである。
一方、操作者にとってもう一つの違和感の問題がある。即ち、操作者が操作レバーを操作した場合、アクチュエータへ実際に与えられる圧油圧力の立上げまたは立下り時の挙動が急激に生ずるということに起因して違和感を感ずる。このもうひとつの違和感はそのレバー操作の緩急さとは直接関係なく、従って、比較的緩やかにレバー操作をしても除去できない。この点に関し、図1に示す本発明の実施例においては、検出された最大負荷圧力を圧力補償付流量制御弁30へ印加する信号ライン36−3上に、緩衝用の流量制御手段60(図1に、点線で示す)をさらに設けるようにしている。
すなわち、このように構成することにより、例えば前述した切換弁18によるアクチュエータ22の駆動操作において、圧力補償付流量制御弁30は、これに印加される検出負荷圧力の伝達が前記流量制御手段60によって遅延するようにして、前述したアクチュエータへ実際に与えられる圧油圧力の立上げまたは立下り時の急激な挙動を緩和させるものである。
なお、前記流量制御手段60は、例えば図4(a)、(b)に示すように、チェック機能を備えた適宜の絞り手段60a、60bにより構成することができる。
【0026】
このように、本発明によれば、可変容量ポンプの吐出流量を、アクチュエータに対する分岐吐出ラインとは別に設定した分岐バイパスライン上に設けた圧力補償付流量制御弁および圧力発生手段の作用を介して制御される油圧駆動回路において、前記分岐バイパスライン上に、さらにアクチュエータ駆動用切換弁の操作に即応して作動する可変絞り手段を設ける構成としたことにより、切換弁の操作に即応してポンプ吐出流量が制御され、これにより、アクチュエータへの圧油供給をその検出負荷圧力に拘りなく切換弁の操作量に比例して設定し得ると共に、アクチュエータの前記切換弁操作に対する応答性を向上することができる。従って、この種の油圧駆動回路における欠点とされていた、アクチュエータの作動遅延に伴う違和感を解消することができる。
【0027】
図5は、本発明に係る油圧駆動回路の別の実施例を示すものである。図5に示す実施例は、図1に示す実施例において、切換弁をバイパス通路付の所謂センターバイパスタイプにより形成すると共に、分岐バイパスラインを前記バイパス通路に連通する連通バイパスライン即ち、センターバイパスラインにより形成したものである。
【0028】
図5の油圧駆動回路を、図1に示した実施例に対比して説明すると、各切換弁は、吐出ライン12から分岐される各分岐圧油ライン14、16に、それぞれ接続されるバイパス通路70a、72a付のセンターバイパスタイプの切換弁70、72により形成すると共に、分岐バイパスラインは、前記各切換弁バイパス通路70a、72aに連通する連通バイパスライン74により形成される。これにより、可変絞り手段は、図示されるように、各切換弁70、72の内部に、これと一体的に形成されると共に、圧力補償付流量制御弁30および圧力発生手段32は、それぞれバイパス通路の出口側に連通する前記連通バイパスライン74上に上流側から順に設けられる。なお、図5の油圧駆動回路は、図1の実施例における説明に基づいて容易に理解もしくは類推されるものであるから、その全体の詳細な説明は省略し、ここでは、前記可変絞り手段についてのみ説明する。
即ち、図5の各切換弁70、72のバイパス通路70a、72aには、同各切換弁が中立状態のとき吐出ライン12からの圧油が全流量通過し、それぞれ信号ライン34−1、34−2、34−3または34−4にパイロット圧力が与えられると、その大きさに応じて当該切換弁のスプールストロークが徐々に増大し、その最大ストローク状態で所定の絞り状態となり、そのときでも所定流量を許容する「絞り」 ( 油圧記号のみで示す ) が形成されている。この場合、この絞りは前記スプールのストロークに応じてバイパス通路70a、72aを通過する圧油量を徐々に絞るよう機能するので、図1における可変絞り手段50に相当するとみなすことができる。
図5において、流量制御手段60は点線で示されており、また参照符号76は油路を示し、74aおよび76aはそれぞれ連通バイパスライン74および油路76より分岐された信号ラインを示す。
なお、以上の図1ないし図5に示す本発明実施例の説明において、高圧選択手段38は、本発明における第1の高圧選択手段を構成し、高圧選択手段52は、本発明における第2の高圧選択手段を構成している。
また、図5の連通バイパスライン74、バイパス通路70a、72aは本発明におけるセンターバイパスラインを構成している。
さらにまた、上記説明中、高圧選択手段38から圧力補償付流量制御弁30へ印加される「アクチュエータの負荷圧力」とは、各切換弁から当該各アクチュエータへ実際に供給されている圧油の流量に対応して、当該切換弁内のメータイン通路例えば図1の通路18aで生成される圧力降下分を意味しており、この圧力降下分は信号ライン36−1、36−2を介して検出されるものであって、当該アクチュエータ22自体にかかる負荷の圧力そのものを意味するものではない。
従って、「アクチュエータの負荷圧力」とは、本発明においては、「アクチュエータへ供給する圧油の流量に対応して当該切換弁内で生成される圧力降下」の意味である。
【0029】
以上、本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は前記実施例に限定されることなく、本発明の精神を逸脱しない範囲内において多くの設計変更が可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る油圧駆動回路は、
1つまたは複数の切換弁、同各切換弁を介して結合されたアクチュエータに圧油を供給するための可変容量ポンプ及び同ポンプの吐出量をネガティブコントロールするよう同ポンプに結合された吐出流量制御手段を備えた油圧駆動回路において、
前記ポンプの吐出ラインから分岐され、前記ポンプ吐出量の一部をタンクラインを介してタンクに戻す分岐バイパスラインと、
前記分岐バイパスライン上に配設された圧力発生手段と、
前記分岐バイパスライン上で且つ、前記圧力発生手段より上流側に配設された圧力補償付流量制御弁と、
前記各切換弁操作用のパイロット圧信号を生成するパイロット圧信号生成手段と、
前記各切換弁内において検出される、前記各アクチュエータへ供給する圧油の流量に対応して生成される負荷圧力の中の最大負荷圧力を選択する第1の高圧選択手段と、
前記パイロット圧信号生成手段から与えられるパイロット圧信号の中の最大パイロット圧信号を選択する第2の高圧選択手段と、
前記圧力発生手段と圧力補償付流量制御弁との間の分岐バイパスライン上の圧力を前記吐出流量制御手段に与えるよう接続された第1の信号ラインと、
前記第1の高圧選択手段により選択された最大負荷圧力を前記圧力補償付流量制御弁に与える第2の信号ラインと、
前記分岐バイパスライン上の前記圧力補償付流量制御弁の上流側に配設され、その最大絞り状態のときでも所定流量を保持せしめるよう形成した可変絞り手段と、
前記第2の高圧選択手段により選択された最大パイロット圧信号を前記可変絞り手段に与える第3の信号ラインと、
前記圧力補償付流量制御弁内おいて前記第1の高圧選択手段により選択された最大負荷圧力と対向するように前記可変絞り手段の上流側分岐ライン上の圧力である前記可変容量ポンプの吐出圧力を当該圧力補償付流量制御弁に与える第4の信号ライン、
を備えて構成されるので、
切換弁の操作に即応してポンプ吐出流量を制御し、この結果、アクチュエータへの圧油供給を、その負荷圧力に拘りなく切換弁の操作量に比例して設定し得ると共に、アクチュエータの前記切換弁操作に対する応答性を向上することができ、従って、この種の油圧駆動回路における欠点とされていた、アクチュエータの作動遅延に伴う違和感を解消することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る油圧駆動回路の一実施例を示す油圧回路図である。
【図2】図1に示す回路における圧力発生手段の動作特性を示すグラフである。
【図3】図1に示す回路における吐出流量制御手段の動作特性を示すグラフである。
【図4】図1に示す回路における流量制御手段の実施例を示すシンボル図であって、(a)はチェック弁と圧力補償流量制御弁からなる回路、(b)はチェック弁と固定絞りからなる回路である。
【図5】本発明に係る油圧駆動回路の別の実施例を示す油圧回路図である。
【図6】従来の油圧駆動回路を示す油圧回路図である。
【符号の説明】
10 可変容量ポンプ
10a 吐出流量制御手段
12 吐出ライン
14、16 分岐吐出ライン
18、20 切換弁
18a 通路
22、24 アクチュエータ
26 タンクライン
28 分岐バイパスライン
28a 信号ライン
30 圧力補償付流量制御弁
30a ばね
32 圧力発生手段
34−1、2、3、4、5 信号ライン
36−1、2、3 信号ライン
38 高圧選択手段
40 油路
40a 信号ライン
50 可変絞り手段
50a ばね
52 高圧選択手段
60、60a、60b 流量制御手段
70、72 切換弁
70a、72a バイパス通路
74 連通バイパスライン
76 油路
74a、76a 信号ライン

Claims (5)

  1. 1つまたは複数の切換弁、同各切換弁を介して結合されたアクチュエータに圧油を供給するための可変容量ポンプ及び同ポンプの吐出量をネガティブコントロールするよう同ポンプに結合された吐出流量制御手段を備えた油圧駆動回路において、
    前記ポンプの吐出ラインから分岐され、前記ポンプ吐出量の一部をタンクラインを介してタンクに戻す分岐バイパスラインと、
    前記分岐バイパスライン上に配設された圧力発生手段と、
    前記分岐バイパスライン上で且つ、前記圧力発生手段より上流側に配設された圧力補償付流量制御弁と、
    前記各切換弁操作用のパイロット圧信号を生成するパイロット圧信号生成手段と、
    前記各切換弁内において検出される、前記各アクチュエータへ供給する圧油の流量に対応して生成される負荷圧力の中の最大負荷圧力を選択する第1の高圧選択手段と、
    前記パイロット圧信号生成手段から与えられるパイロット圧信号の中の最大パイロット圧信号を選択する第2の高圧選択手段と、
    前記圧力発生手段と圧力補償付流量制御弁との間の分岐バイパスライン上の圧力を前記吐出流量制御手段に与えるよう接続された第1の信号ラインと、
    前記第1の高圧選択手段により選択された最大負荷圧力を前記圧力補償付流量制御弁に与える第2の信号ラインと、
    前記分岐バイパスライン上の前記圧力補償付流量制御弁の上流側に配設され、その最大絞り状態のときでも所定流量を保持せしめるよう形成した可変絞り手段と、
    前記第2の高圧選択手段により選択された最大パイロット圧信号を前記可変絞り手段に与える第3の信号ラインと、
    前記圧力補償付流量制御弁内おいて前記第1の高圧選択手段により選択された最大負荷圧力と対向するように前記可変絞り手段の上流側分岐ライン上の圧力である前記可変容量ポンプの吐出圧力を当該圧力補償付流量制御弁に与える第4の信号ライン、
    を備えたことを特徴とする油圧駆動回路。
  2. 請求項1において、前記圧力補償付流量制御弁は、その開方向に前記ポンプ吐出圧力が印加され、その閉方向には前記第1の高圧選択手段により選択された最大負荷圧力およびばね圧が印加され、さらに、前記可変絞り手段は、その開方向にばね圧が印加され、その閉方向には前記第2の高圧選択手段により選択された最大パイロット圧力が印加されるよう構成されていることを特徴とする油圧駆動回路。
  3. 請求項1または2において、前記第2の信号ライン上に、遅延機能を有する流量制御手段を設けたことを特徴とする油圧駆動回路。
  4. バイパス通路を形成された1つまたは複数のセンターバイパスタイプの切換弁、同各切換弁を介して結合されたアクチュエータに圧油を供給するための可変容量ポンプ及び同ポンプの吐出量をネガティブコントロールするよう同ポンプに結合された吐出流量制御手段を備えた油圧駆動回路において、
    前記ポンプの吐出ラインから分岐され、前記ポンプ吐出量の一部が前記各切換弁のバイパス通路及びタンクラインを介してタンクに戻されるよう形成したセンターバイパスラインと、
    前記1つまたは複数の切換弁の下流側のセンターバイパスライン上に配設した圧力発生手段と、
    前記1つまたは複数の切換弁の下流側のセンターバイパスライン上で且つ、前記圧力発生手段より上流側に配設された圧力補償付流量制御弁と、
    前記各切換弁操作用のパイロット圧信号を生成するパイロット圧信号生成手段と、
    前記各切換弁内において検出される、前記各アクチュエータへ供給する圧油の流量に対応して生成される負荷圧力の中の最大負荷圧力を選択する第1の高圧選択手段と、
    前記圧力発生手段と圧力補償付流量制御弁との間の前記センターバイパスライン上の圧 力を前記吐出流量制御手段に与えるよう接続された第1の信号ラインと、
    前記第1の高圧選択手段により選択された最大負荷圧力を前記圧力補償付流量制御弁に与える第2の信号ラインと、
    前記センターバイパスライン上の前記圧力補償付流量制御弁の上流側にある前記各切換弁の各バイパス通路内に設けられ、前記パイロット圧信号生成手段から与えられる当該切換弁操作用の最大パイロット圧信号に対応する前記バイパス通路の最大絞り状態のときでも所定流量が当該バイパス通路に流れるよう形成した可変絞り手段と、
    前記圧力補償付流量制御弁内おいて前記第1の高圧選択手段により選択された最大負荷圧力と対向するように前記可変容量ポンプの吐出ライン圧力を当該圧力補償付流量制御弁に与える第3の信号ライン、
    を備えたことを特徴とする油圧駆動回路。
  5. 請求項4において、前記第2の信号ライン上に、遅延機能を有する流量制御手段を設けたことを特徴とする油圧駆動回路。
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