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JP3559425B2 - 運転指向推定装置 - Google Patents

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  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の走行状態に基づき、運転の指向を推定する運転指向推定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ドライバの要求する各種動作に対するレスポンスなどの動作状態についての要求(運転指向)を推定する手法が各種提案されている。運転指向を推定し、車両の種々の制御装置の制御手法を適用すれば、ドライバの意図に合致する制御が行え、ドライバの要求に沿った走行を行うことができる。
【0003】
特開平7−105474号公報では、平均車速、走行時間比率及び平均横加速度により道路交通状況(市街地度、渋滞路度及び山間路度)を推定する。そして、得られた道路交通状況の推定値と、車速、アクセル開度、前後加速度及び横加速度の平均値及び分散値とに基づいて、ドライバの運転指向を推定している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この特開平7−105474号公報に記載の方法では、ドライバの運転指向の推定に平均値、分散値といった統計値を利用している。このため、ドライバの操作に表れる運転指向の変化に追従して、応答よく推定することは難しい。そこで、状況によって、ドライバの運転指向を誤推定してしまう場合もある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、ドライバの運転指向についての推定応答性を向上した運転指向推定装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る運転指向推定装置は、特定運転操作毎に得られる、車両発進時の出力操作量、出力操作量の最大変化率、車両制動操作時の最大減速度、車両の惰行走行時間、車速一定走行時間、という車両状態量の中の少なくとも一項目と、車両が走行する道路についての情報である道路環境と、に基づいて運転指向を推定する運転指向推定装置であって、特定転操作毎に得られる、車両発進時の出力操作量、出力操作量の最大変化率、車両制動操作時の最大減速度、車両の惰性走行時間、車速一定走行時間、という車両状態量の中の少なくとも一項目と、所定時間毎に得られる、出力操作量、車速、エンジン回転数、前後加速度の絶対値、前後加速度の正負別の大きさ、のそれぞれの最大値という車両状態量の中の少なくとも一項目と、車両が走行する道路についての情報である道路環境と、に基づいて、前記特定運転操作毎に、運転指向を推定することを特徴とする。
【0007】
このように、本発明では、所定の車両操作及び所定時間毎のタイミングで、車両状態量を取り込み、これと道路環境から運転指向を推定する。従って、運転指向の推定を運転指向の変化に追従して遅れることなく推定することができる。従って、推定結果を利用して、道路環境も考慮して車両の動作を運転者の要求する運転指向にあったものにできる。
【0008】
例えば、ドライバがスポーツ指向であることが推定されれば、A/Tのシフトアップのタイミングをエンジンの高回転数側に移動して、加減速性能を高めることができる。
【0009】
運転操作の度に取り入れる車両状態量としては、車両発進時の出力操作量(スロットル開度)、出力操作量の最大変化率、車両制動操作時の最大減速度、車両の惰行走行時間、車速一定走行時間の中の少なくとも1つを採用することが好適である。例えば、スロットル開度の変化率が一定以上であったときやブレーキによる最大減速度が所定以上のときに再計算をすることで、ドライバの運転状態の変化をタイムリーに取り入れて、運転指向をアップデートすることができる。
【0010】
また、所定時間毎の状態量として所定時間のスロットル開度の最大値、車速の最大値、ヨーレートの最大値、勾配の最大値、エンジン回転数の最大値、前後加速度の最大値の中の1つ以上が利用される。このような車両の動作状態を考慮することによって、ドライバの運転指向を確実に推定することができる。運転操作に基づいて推定を行う場合には、その直前に取り込まれた所定時間毎の状態量を利用するとよい。
【0011】
さらに、運転指向の推定には、道路環境を考慮する。すなわち、市街地路度、郊外路度、山間路度、高速路度等を考慮することで、より適切な運転指向の推定が行える。
【0012】
このような道路環境は、運転操作毎に入力される車両の状態量から推定することが好適である。また、運転操作毎の状態量として、車両発進時の出力操作量(スロットル開度)、出力操作量の最大変化率、車両制動操作時の最大減速度、車両の惰行走行時間、車速一定走行時間の中の1つ以上を考慮して求めることが好適である。また、道路環境は、所定時間毎に入力される出力操作量の平均値または分散値、車速の平均値または分散値、ヨーレートの平均値または分散値、勾配の平均値または分散値、エンジン回転数の平均値または分散値、加速度の平均値または分散値の中の1つ以上を考慮して求めることが好適である。さらに、上述のような運転操作毎の状態量と所定時間毎の状態量の両方から道路環境を推定することがより好ましい。
【0013】
なお、道路環境の推定、運転指向の推定は、ニューラルネットワークを利用した推定手法が好適である。
【0014】
このようにして、所定時間毎に取り入れる車両状態についての情報の他に、運転操作毎に情報を取り入れ、道路環境を推定し、さらに推定された道路環境と、所定時間毎に取り入れる情報と、運転操作毎に取り入れる情報とに基づいて、運転指向を推定することで、運転状態の変化に対し遅れることなく適切に運転指向を推定することができる。
【0015】
そして、このようにして推定された運転指向に基づき、A/T(自動変速機)のシフトアップのタイミングなどを制御する。例えば、スポーツ指向推定(スポーツ指向の指標が高い)時にはシフト線(シフトアップのタイミング)を高車速側に移動する。これにより加減速性能が高められドライバビリティを向上させることができる。逆に、燃費指向推定時にはシフト線を最適燃費シフト線に近づけることにより燃費を向上させることができる。また、スポーツ指向の指標が高い場合には、エンジンの出力を高くし、操舵系の反応を敏感にし、サスペンションを堅くする等の制御を行う。
【0016】
このように、本発明によれば、運転操作毎に再計算を行う。従って、運転操作の変化に追従し、応答遅れを生じることなく運転指向の推定が行える。そして、この再計算を行う運転操作としては、例えば車両発進時の出力操作量(スロットル開度)、出力操作量の最大変化率、車両制動操作時の最大減速度、車両の惰行走行時間、または車速一定走行時間が所定値以上となったときが採用される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る運転指向推定装置の全体構成を示すブロック図である。車両センサ信号入力部10は、車両の操作状態や、機器動作状態など各種車両状態を検出する車両センサからの検出信号を入力する。すなわち、出力操作量(スロットル開度)、ブレーキ踏み込み量、操舵量などについての操作量、及び車速、ヨーレート、勾配、エンジン回転数、前後加速度(正負別でも絶対値でもよい)、横加速度などの車両動作状態を検出するセンサからの信号が入力される。
【0019】
車両センサ信号入力部10から出力される各種センサによる検出信号は、入力算出部20に供給される。この入力算出部20は、運転操作毎の入力部22、所定時間毎の入力部24を有している。運転操作毎の入力部22は、車両センサ信号入力部10から供給される各種の信号から、運転操作毎の状態量として、車両発進時の出力操作量(スロットル開度)、出力操作量の最大変化率、車両制動操作時の最大減速度、車両の惰行走行時間、車速一定走行時間を運転操作毎に計算し出力する。また、所定時間毎の入力部24は、所定時間毎の状態量として、出力操作量の平均値または分散値、車速の平均値または分散値、ヨーレートの平均値または分散値、勾配の平均値または分散値、エンジン回転数の平均値または分散値、加速度の平均値または分散値を計算し出力する。なお、運転操作毎の入力部22及び所定時間毎の入力部24は、少なくとも1つ以上の状態量を算出出力する。
【0020】
入力算出部20は、道路環境推定部30に上述した運転操作毎の状態量と、所定時間毎の状態量の両方を供給する。道路環境推定部30は、供給される1つ以上の運転操作毎の状態量と、1つ以上の所定時間毎の状態量の両方から道路環境を推定する。
【0021】
本実施形態においては、この道路環境推定部30は、図2に示すようにニューラルネットワークで構成されている。すなわち、上述のような入力算出部20からの状態量に基づいて、市街地路(渋滞路)度、郊外路度、山間路度、高速路度などを0〜1の度合いを示す値として出力する。このニューラルネットワークは、実際に種々の道路の走行によって得られたデータに基づいた学習によって構築される。なお、この道路環境推定部30は、必ずしもニューラルネットワークで構築する必要はなく、ファジィ推論など他の手法を利用してもよい。
【0022】
入力算出部20からの運転操作毎の状態量と、所定時間毎の状態量の内の特定のものは、運転指向推定部40に供給される。また、道路環境推定部30で得られた道路環境についての推定結果も運転指向推定部40に供給される。
【0023】
運転指向推定部40は、図3に示すようにニューラルネットワークから構成されている。この運転指向推定部40には、入力算出部20から運転操作毎の情報として、車両発進時の出力操作量、出力操作量の最大変化率、車両制動操作時の最大減速度、車両の惰行走行時間、車速一定走行時間の中の1つ以上の情報が供給され、所定時間毎の情報として所定時間のスロットル開度の最大値、車速の最大値、ヨーレートの最大値、勾配の最大値、エンジン回転数の最大値、前後加速度の最大値の中の1つ以上が入力される。さらに、この運転指向推定部40には、道路環境推定部30において得られた市街地路度、郊外路度、山間路度、高速路度等の道路環境の推定値が入力され、これらの入力に基づいて、運転指向の指標を出力する。例えば、運転指向推定部40は、運転指向の指標として、車両の出力や応答における燃費指向からスポーツ指向を0〜1の連続値で出力する。なお、この運転指向推定部40も学習によってニューラルネットワークを構築する。また、必ずしもニューラルネットワークで構成する必要はなく、他の推定手法を用いてもよい。
【0024】
また、運転指向推定部40は、運転操作毎の入力及び所定時間毎の入力が抽出される度に運転指向の推定を行う。なお、運転操作毎の入力抽出時には直前の所定時間毎の入力も同時に入力する。
【0025】
そして、この運転指向推定部40において得られた運転指向の指標は、車両制御部50に供給される。この車両制御部50は、オートマチックトランスミッションにおける変速段の変更を制御するA/Tシフトパターン制御部52、エンジンの動作を制御するE/G制御部54、ステアリングなど操舵系の動作を制御する操舵系制御部56、サスペンションの堅さなど懸架系を制御する懸架系制御部58等を有しており、車両の動作を制御する。特に、車両制御部50は、運転指向推定部40から供給される運転指向の指標に応じて、これら車両の動作を制御する。
【0026】
例えば、車両制御部50は、上記運転指向推定部40で推定した運転指向の指標に基づき、A/Tのシフトパターン制御を行う。すなわち、スポーツ指向推定(スポーツ指向の指標が高い)時にはシフト線(シフトアップのタイミング)を高車速側に移動する。これにより加減速性能が高められドライバビリティを向上させることができる。逆に、燃費指向推定時にはシフト線を最適燃費シフト線に近づけることにより燃費を向上させることができる。また、スポーツ指向の指標が高い場合には、エンジンの出力を高くし、操舵系の反応を敏感にし、サスペンションを堅くする等の制御を行う。
【0027】
このような制御によって、ドライバの要求にあった車両動作を得ることができる。特に、本実施形態では、運転操作毎に運転指向の推定を行うため、走行中に随時運転指向の指標が更新され、そのときの状況に合わせて車両の動作を変更できる。従って、常にドライバの要求に合致した動作制御を行うことができる。
【0028】
上記構成の運転指向推定装置により、運転指向を推定した場合に、作用効果について説明する。
【0029】
図4は、郊外路を意図的に運転指向を変化させて走行したデータである。この走行データより、図5に示す装置で運転指向を推定した結果を図6に示す。なお、図5の装置では、所定時間毎の状態量と、道路環境の推定値をニューラルネットワークに入力し運転指向の指標を得ている。
【0030】
図6は、運転指向の指標に対するニューラルネットワークの出力値で、所定値例えば0.4以下で燃費指向と判定し、所定値例えば0.6以上でスポーツ指向と判定する。図4の走行データでドライバは燃費指向からスポーツ指向へ意識的に運転指向を変化させているが、特に時間3秒付近や25秒付近において、図6の結果では、2〜3秒おくれて推定値が上昇しスポーツ指向と判定している。
【0031】
一方、図7は、同じ走行データに対する図3の装置で行った結果である。図7で、○が運転操作毎の入力による推定結果、*が所定時間毎の入力による推定結果を示している。このように、図7の結果では運転指向変化に対して出力操作量(出力開度変化率)の最大変化率の運転操作毎の入力に基づいた推定により、運転指向の指標について応答性よく推定できていることが分かる。
【0032】
「変形例1」
上記実施形態では、道路環境推定部30には、所定時間毎の状態量と、運転操作毎の状態量の両方を入力し、これに基づいて道路環境を推定した。しかし、道路環境は比較的長時間でしか変化しないと考えられる。そこで、道路環境の推定に対し、十分な推定精度を要求しない場合には、図8に示すように、道路環境推定部30には、所定時間毎の状態量のみを入力し、道路環境を推定してもよい。これによって、道路環境推定部30の構成を簡易なものにできる。
【0033】
「変形例2」
また、上記実施形態では、道路環境推定部30における推定結果を運転指向推定部40に供給する構成であったが、道路環境の推定に有効な入力を直接運転指向の推定に用いる構成としてもよい。すなわち、図9に示すように、入力算出部20において得られる運転操作毎の状態量と、所定時間毎の状態量の全てを運転指向推定部40に入力する。ここで、所定時間毎の状態量は、運転指向の推定に有効なものと、道路環境推定に有効なものの両方を含むものである。
【0034】
すなわち、運転指向推定部40には、運転操作毎の状態量として、車両発進時の出力操作量(アクセル操作量)、出力操作量の最大変化率、車両制動操作時の最大減速度、車両の惰行走行時間、車速一定走行時間が入力され、所定時間毎の状態量であって道路環境推定に有効なものとして、スロットル開度の最大値、車速の最大値、ヨーレートの最大値、勾配の最大値、エンジン回転数の最大値、前後加速度の最大値が入力され、所定時間毎の状態量であり、道路環境推定に有効なものとして、出力操作量の平均値または分散値、車速の平均値または分散値、ヨーレートの平均値または分散値、勾配の平均値または分散値、エンジン回転数の平均値または分散値、加速度の平均値または分散値が入力される。そして、これらの入力に基づき、運転指向の指標を出力する。このような構成によって、上述の実施形態と同様の運転指向の推定が行える。
【0035】
このように、本実施形態によれば、運転操作毎に再計算を行う。従って、運転状況の変化に追従し、応答遅れを生じることなく運転指向を推定することができる。そして、この再計算を行う運転操作としては、例えば車両発進時の出力操作量(スロットル開度)、出力操作量の最大変化率、車両制動操作時の最大減速度、車両の惰行走行時間、または車速一定走行時間が所定値以上となったときが採用される。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、所定の車両操作が行われたタイミングで、車両状態量を取り込み、これと運転環境を考慮して運転指向を推定する。従って、運転指向の推定を運転指向の変化に追従して遅れることなく推定することができる。また、道路環境を考慮しているため、精度の高い推定が行える。そして、推定結果を利用して、車両の動作を運転者の要求する運転指向にあったものにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る運転指向推定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】道路環境推定部の構成を示す図である。
【図3】運転指向推定部の構成を示す図である。
【図4】運転状況の一例についての状態検出結果を示す図である。
【図5】比較例の運転指向推定部の構成を示す図である。
【図6】比較例における運転指向の指標の推定結果を示す図である。
【図7】実施形態における運転指向の指標の推定結果を示す図である。
【図8】道路環境推定部の他の構成を示す図である。
【図9】運転指向推定装置の他の構成を示す図である。
【図10】運転指向推定部の他の構成を示す図である。
【符号の説明】
10 車両センサ信号入力部、20 入力算出部、30 道路環境推定部、40 運転指向推定部、50 車両制御部。

Claims (3)

  1. 特定運転操作毎に得られる、車両発進時の出力操作量、出力操作量の最大変化率、車両制動操作時の最大減速度、車両の惰行走行時間、車速一定走行時間、という車両状態量の中の少なくとも一項目と、
    車両が走行する道路についての情報である道路環境と、
    に基づいて運転指向を推定する運転指向推定装置であって、
    特定転操作毎に得られる、車両発進時の出力操作量、出力操作量の最大変化率、車両制動操作時の最大減速度、車両の惰性走行時間、車速一定走行時間、という車両状態量の中の少なくとも一項目と、
    所定時間毎に得られる、出力操作量、車速、エンジン回転数、前後加速度の絶対値、前後加速度の正負別の大きさ、のそれぞれの最大値という車両状態量の中の少なくとも一項目と、
    車両が走行する道路についての情報である道路環境と、
    に基づいて、
    前記特定運転操作毎に、運転指向を推定する運転指向推定装置。
  2. 請求項1に記載の運転指向推定装置において、
    前記道路環境を、前記運転操作毎に得られる車両状態量および前記所定時間毎に得られる車両状態に基づいて推定する運転指向推定装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の運転指向推定装置において、
    ニューラルネットワークを用いて運転指向を推定する運転指向推定装置。
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