JP3557903B2 - コネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被覆電線を保持するためのカバーを備えたコネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のコネクタとして、図6に示すものがある。これは、内部に端子金具(図示せず)が収容されたコネクタハウジングaと、このコネクタハウジングaに取り付けられるカバーbとからなり、端子金具に圧接した被覆電線cは、コネクタハウジングaの内部で屈曲されるとともに、コネクタの後端面(図6に表れている面)においてコネクタハウジングaとカバーbの間から外部へ導出される。この導出部分においては、被覆電線cがコネクタハウジングaとカバーbとの間で挟むことにより屈曲状態を保つようになっており、このように被覆電線cを屈曲状態に保持することで、被覆電線cに作用する引張り力が端子金具との圧接部分に及ばないようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
コネクタハウジングaとカバーbにおける被覆電線cの保持部分では、コネクタハウジングaとカバーbとに夫々円弧状の凹部d,eが形成され、被覆電線cはこれらの凹部d,eに嵌合されることによって所定の位置に保持される。
ところが、これらの凹部d,eは、被覆電線cの外周円とほぼ同心同径の円弧状に成形されているため、被覆電線cを屈曲状態に保持することに限れば機能的に十分であるが、軸方向に作用する外力に対しては十分とは言えない。そのため、軸方向の引張力を受けると、被覆電線cが軸方向にずれてしまい、その引張力が圧接部分まで及ぶことが懸念される。
本願発明は上記事情に鑑みて創案され、被覆電線の保持機能、特に軸方向の保持力を向上させることを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、被覆電線に切り込んで芯線部分に接触する圧接部を有する端子金具を収容可能なキャビティを備え、かつこのキャビティのうち前記圧接部の対応部分が前記被覆電線の押し込み方向に開放する開口部を備えたコネクタハウジングと、このコネクタハウジングに前記開口部を閉止できるよう装着可能で、前記被覆電線を屈曲状態に強制保持するための押圧部を有するカバーよりなるコネクタであって、前記コネクタハウジングには、前記押圧部と対向する位置に前記被覆電線を収容可能な電線保持溝が凹設され、前記電線保持溝の開口縁部には、前記被覆電線を前記電線保持溝の底面側へ誘い込むテーパ状の案内部が形成され、前記押圧部における前記電線保持溝と対向する下面には、その幅方向中央部を下方へ弧状に膨出させた形態の凸状部と、この凸状部の両側に前記案内部と対向するように配された平坦部とが形成され、前記カバーが前記コネクタハウジングに組み付けられたときに、前記押圧部の前記凸状部の下端と前記電線保持溝の底面との間隔が、前記被覆電線の外径よりも小さくされている構成とした。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記電線保持溝が、底面から開口側にかけて拡幅状に形成されている構成とした。
【0006】
【発明の作用及び効果】
[請求項1の発明]
コネクタハウジングの電線保持溝とカバーの押圧部との間隔が被覆電線の外径よりも小さい寸法に設定されているので、この電線保持溝と押圧部との間で被覆電線を強固に挟圧することができる。したがって、被覆電線に軸方向の引張力が作用しても、被覆電線の軸方向の変位が確実に阻止される。
[請求項2の発明]
コネクタハウジングにカバーを組み付ける際に被覆電線が電線保持溝の底面と対応する位置から幅方向にずれていても、カバーの押圧部が被覆電線を押動するのに伴い、電線保持溝の拡幅形状により、被覆電線は電線保持溝の底面に向かって位置を矯正される。これにより、被覆電線が電線保持溝の底面に確実に位置決めされるとともに、保持状態における被覆電線の横ずれが防止され、押圧部と電線保持溝の底面との間で被覆電線を確実に保持することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図4を参照して説明する。
本実施形態のコネクタは、コネクタハウジング10、カバー20、端子金具30及び被覆電線40からなる。
コネクタハウジング10はその内部に複数のキャビティ11を有し、各キャビティ11は、コネクタハウジング10の前後両端面(図2における左右両端面)に開口されている。また、コネクタハウジング10の上面における略後半領域には、キャビティに連通する開口部12が形成されている。
また、コネクタハウジング10の後端部(図2における右端部)には、キャビティ11の底面に対して段差状に低くすることによって電線保持溝13が形成されている。この電線保持溝13は、各キャビティ11毎にその後端に連なる形態で個別に設けられ、コネクタハウジング10の後端面に開口されている。さらに、この電線保持溝13の開口縁部には、上方へ広がるテーパ状の案内部14が形成されている。
【0009】
カバー20は、コネクタハウジング10に対しその上面におけるキャビティ11の開口部12を覆うように上方から組み付けられ、図示しない係止手段により組付け状態にロックされる。カバー20の下面(コネクタハウジング10との対向面)には、後述するように被覆電線40を圧接部33に圧接する際にその被覆電線40を上から把持するための圧接用突部21が形成されている。
また、カバー20の後端縁には下向きに突出する押圧部22が形成されている。この押圧部22は、各電線保持溝13と個別に対応するように複数片設けられている。押圧部22の下面(電線保持溝13と対向する面)は、その幅方向中央部が下方へ弧状に膨出する凸状部23とされているとともに、この凸状部23の両側が平坦部24とされた形態である。そして、カバー20をコネクタハウジング10に組み付けた状態における凸状部23の下端と電線保持溝13の底面との間隔Sは、被覆電線40の外径寸法Rよりも小さい寸法に設定されている。
【0010】
各キャビティ11には、端子金具30が収容されている。端子金具30は、その前端から後端に至る底板部31の左右両側縁から側壁部32を立ち上げるとともに、底板部31の一部を切り起こすことによって前後一対の圧接部33を形成した形状とされている。この一対の圧接部33はキャビティ11の上面側の開口部12と対応するように配置され、この圧接部33に被覆電線40が圧接されている。
【0011】
被覆電線40は、導電性の芯線41の外周に絶縁用の樹脂被覆42を施したものである。この被覆電線40は各キャビティ11の上面側の開口部12から圧接部33の上端に載せられ、かかる状態で、図示しない電線押込み治具により被覆電線40が圧接部33に圧接される。圧接部33はその上端縁から下方へ延びるスリット(図示せず)を有し、そのスリットの両側縁が圧接刃(図示せず)となっている。圧接の過程では樹脂被覆42が圧接刃により切開され、その圧接刃と芯線41が接触することで、端子金具30と被覆電線40が導通可能となる。
【0012】
この後、カバー20を上からコネクタハウジング10に組み付ける。すると、コネクタハウジング10の後端部において、被覆電線40は、カバー20の押圧部22で上から押さえ付けられることによりS字状に屈曲しつつキャビティ11の後端から電線保持溝13に至る経路で配索される。そして、この屈曲経路で配索された被覆電線40は、電線保持溝13からコネクタハウジング10の外部へ後向き(図2における右方向)に導出される。
このように、被覆電線40を強制的に屈曲させて配索した状態では、被覆電線40の導出部分に対して軸方向の引張力が作用しても、被覆電線40の屈曲部分が押圧部22の下端縁22Aや電線保持溝13の前端縁13Aに引っ掛かり、その引っ掛かり部分において引張力が受け止められる。これにより、引張り力が被覆電線40と端子金具30との圧接部分に及ぶことが阻止され、正規の圧接状態を保つことができるようになっている。
【0013】
ところが、引張力が強大になると、被覆電線40の屈曲部分での引っ掛かり作用だけではその引張りに抗しきれない虞がある。しかし、本実施形態では、カバー20の押圧部22と電線保持溝13との間隔Sを被覆電線40の外径Rよりも小さくしているので、押圧部22の下端面と電線保持溝13の底面との間で被覆電線40が強固に挟圧保持される。このとき、被覆電線40の樹脂被覆42は押圧部22により押し潰されるようになるため、被覆電線40に作用する軸方向の引張り力が強大でも、被覆電線40が遊動不能に強固に保持され、引張力が圧接部分へ及ぶことか確実に防止される。
特に、押圧部22はその凸状部23を樹脂被覆42に食い込ませるようにして被覆電線40を押圧するので、その食い込み作用によって被覆電線40を保持する機能が更に高められている。
また、本実施形態では、電線保持溝13の開口縁部にはテーパ状の案内部14が形成されているため、コネクタハウジング10にカバー20を組み付ける際に被覆電線40が電線保持溝13内に納まっておらずその開口縁部に位置していても、被覆電線40は、カバー20の押圧部22で押されたときに案内部14の傾斜により電線保持溝13側へ誘導され、電線保持溝13内に納められるようになっている。
【0014】
[参考例]
次に、本発明の参考例を図5を参照して説明する。
本参考例は、被覆電線40の挟圧構造を上記実施形態1とは異なる構成としたものである。その他の構成については上記実施形態1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
コネクタハウジング10の電線保持溝15は、その両内側面16が底面17から開口縁部に向かって次第に拡幅するように傾斜しており、さらに、開口縁部においては、上方に向かって次第に拡幅するように凸弧状をなす案内部18が傾斜した上記側面16と滑らかに連なる形態で形成されている。一方、カバー20の押圧部25は、その下端縁が幅方向中央部で最も低くなるように全体として緩やかな逆山形の凸形状をなしている。この押圧部25の最も低い突端部25Aと電線保持溝15の底面17との間隔Sは、カバー20をコネクタハウジング10に組み付けた状態で被覆電線40の外径R(図5には示さない。図2を参照)よりも小さくなるように寸法設定されている。
【0015】
本参考例においても、上記実施形態1と同様に被覆電線40を強固に挟圧保持することができ、また、案内部18により被覆電線40を電線保持溝15内に誘導することができ、さらに、押圧部25が凸形状をなして被覆電線40に対して食い込むようになるので保持機能の向上が図られている。
特に、本参考例では、電線保持溝15の内側面16は底面17から開口側に向かって拡幅するように傾斜しているので、カバー20を組み付ける際に被覆電線40が電線保持溝15の底面17と対応する位置から幅方向にずれていても、被覆電線40は、カバー20の押圧部25で押動されるのに伴って電線保持溝15の底面17に向かって位置を矯正される。これにより、被覆電線40が電線保持溝15の底面17に確実に位置決めされる。また、保持状態における被覆電線40の横ずれが防止されるので、押圧部25と電線保持溝15の底面17との間で被覆電線40を確実に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の背面図
【図2】実施形態1の断面図
【図3】実施形態1の側面図
【図4】実施形態1の平面図
【図5】参考例の背面図
【図6】従来例の背面図
Claims (2)
- 被覆電線に切り込んで芯線部分に接触する圧接部を有する端子金具を収容可能なキャビティを備え、かつこのキャビティのうち前記圧接部の対応部分が前記被覆電線の押し込み方向に開放する開口部を備えたコネクタハウジングと、このコネクタハウジングに前記開口部を閉止できるよう装着可能で、前記被覆電線を屈曲状態に強制保持するための押圧部を有するカバーよりなるコネクタであって、
前記コネクタハウジングには、前記押圧部と対向する位置に前記被覆電線を収容可能な電線保持溝が凹設され、
前記電線保持溝の開口縁部には、前記被覆電線を前記電線保持溝の底面側へ誘い込むテーパ状の案内部が形成され、
前記押圧部における前記電線保持溝と対向する下面には、その幅方向中央部を下方へ弧状に膨出させた形態の凸状部と、この凸状部の両側に前記案内部と対向するように配された平坦部とが形成され、
前記カバーが前記コネクタハウジングに組み付けられたときに、前記押圧部の前記凸状部の下端と前記電線保持溝の底面との間隔が、前記被覆電線の外径よりも小さくされていることを特徴とするコネクタ。 - 前記電線保持溝が、底面から開口側にかけて拡幅状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
Priority Applications (1)
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JP14599098A JP3557903B2 (ja) | 1998-05-27 | 1998-05-27 | コネクタ |
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JPH11339882A JPH11339882A (ja) | 1999-12-10 |
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Family Applications (1)
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JP14599098A Expired - Fee Related JP3557903B2 (ja) | 1998-05-27 | 1998-05-27 | コネクタ |
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Families Citing this family (1)
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JP4201343B2 (ja) | 2005-12-27 | 2008-12-24 | 日本航空電子工業株式会社 | コネクタ |
-
1998
- 1998-05-27 JP JP14599098A patent/JP3557903B2/ja not_active Expired - Fee Related
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