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JP3551744B2 - 筒内噴射型内燃機関用排ガス還流制御装置 - Google Patents

筒内噴射型内燃機関用排ガス還流制御装置 Download PDF

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JP3551744B2
JP3551744B2 JP01876398A JP1876398A JP3551744B2 JP 3551744 B2 JP3551744 B2 JP 3551744B2 JP 01876398 A JP01876398 A JP 01876398A JP 1876398 A JP1876398 A JP 1876398A JP 3551744 B2 JP3551744 B2 JP 3551744B2
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  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combustion Methods Of Internal-Combustion Engines (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガソリンエンジンを代表とする火花点火式の筒内噴射型内燃機関に備えられた排ガス還流制御装置に関し、特に、燃料噴射を行ない層状燃焼によるリーン運転での燃費低減を図る内燃機関に用いて好適の、筒内噴射型内燃機関用排ガス還流制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年開発されている層状燃焼と予混合燃焼(均一燃焼)とを行なうエンジンで、層状燃焼運転時のNOxを低減するため、排出ガス還流(EGR)を用いる技術が提案されている(例えば特開平7−269416号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、層状燃焼を行なって燃費低減を図る、層状燃焼運転の場合、NOx低減のためにEGRの大量導入を行なうことができるが、EGRの大量導入を行なうと、エンジンの安定燃焼運転領域が制約を受けることになり、この制約を受けた安定燃焼運転領域内でエンジンの運転を行なうことが必要になる。
【0004】
さらに、この安定燃焼運転領域は吸気温度に応じて変化する特性がある。つまり、図9に示すように、エンジンの運転特性のパラメータである燃料噴射終了時期と点火時期とにより規定される安定燃焼運転領域は、EGRの導入率が一定ならば、吸気温度が上昇するほど狭くなる特性がある。このため、吸気温度が上昇した場合、EGRの導入を同様に行なったままで層状燃焼運転を行なうと、安定燃焼運転領域内でのエンジンの運転が困難になり、燃焼不安定を招くおそれがある。
【0005】
なお、特開平5−263717号公報には、排ガス還流量をフィードバック制御する際のフィードバック基準となる目標吸気管圧を、推定又は計算により得られた吸気温度に基づいて補正して、吸気温度の変化に起因して排ガス還流量が目標値からずれないようにする技術が開示されているが、かかる技術は、吸気温度に関連して排ガス還流量を制御してはいるものの、層状燃焼運転時のエンジンの安定燃焼については何ら考慮しておらず、上述の課題を解決しうるものではない。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、層状燃焼運転時に、排ガス還流によりNOxの発生を低減しつつ燃焼安定性を確保できるようにして、筒内噴射型エンジンの利点である層状燃焼運転により燃費の低減化を促進することができるようにした、筒内噴射型内燃機関用排ガス還流制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の本発明の筒内噴射型内燃機関用排ガス還流制御装置は、筒内噴射型内燃機関において、層状燃焼時に、吸気温度検出手段が吸気温度を検出すると、制御手段が、この検出された吸気温度に応じて、吸気温度の上昇に応じて排ガス還流量を減少又は零とするように排ガス還流量調整手段を制御する。したがって、層状燃焼時に吸気温度の上昇に応じて発生する安定燃焼運転領域の縮小を排ガス還流量の減少又は零とすることにより抑制して、安定燃焼運転領域を確保することができるようになる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施の形態について説明すると、図1〜図6は本発明の第1実施形態としての筒内噴射型内燃機関用排ガス還流制御装置を示すものであり、図7,図8は本発明の第2実施形態としての筒内噴射型内燃機関用排ガス還流制御装置を示すものである。
【0009】
まず、第1実施形態について説明する。
はじめに、本実施形態にかかる火花点火式筒内噴射型内燃機関(以下、単に筒内噴射エンジンともいう)の構成について、図2を参照しながら説明する。
図2において、1はエンジン本体、1Aはシリンダ(気筒)、1Bはピストン、2は吸気通路、3はスロットル弁設置部分、4はエアクリーナ、5はバイパス通路(第2バイパス通路)、6はバイパス通路5内を流通する空気量を調整しうる第2エアバイパスバルブである。
【0010】
吸気通路2は、上流側から吸気管7,サージタンク8,吸気マニホールド9の順で接続されて構成され、バイパス通路5はサージタンク8の上流側に設けられている。また、バイパス通路5に設けられたバイパスバルブ6は、ステッパモータで所要の開度に調整されるか、又は、電磁弁のデューティ制御により開度調整されるようになっている。
【0011】
また、12はアイドルスピードコントロール機能部であり、バイパス通路(第1バイパス通路)13とバイパスバルブとしての第1エアバイパスバルブ14とからなり、第1エアバイパスバルブ14は例えば図示しないステッパモータで駆動される。15はスロットルバルブであり、第1バイパス通路13及び第2バイパス通路5は、吸気通路2のスロットルバルブ15の装着部分をバイパスするようにしてそれぞれの上流端及び下流端を吸気通路2に接続されている。
【0012】
これらの第2エアバイパスバルブ6,第1エアバイパスバルブ14の各開閉制御は、電子制御装置(ECU)16を通じて行なわれる。
また、17は排気通路、18は燃焼室であり、前記吸気通路2及び排気通路17の燃焼室18への開口部、即ち吸気ポート2A及び排気ポート17Aには、吸気弁19及び排気弁20が装備されている。
【0013】
そして、21は燃料噴射弁(インジェクタ)であり、本エンジンでは、このインジェクタ21が燃焼室18へ直接燃料噴射するように配設されている。
さらに、22は燃料タンク、23A〜23Eは燃料供給路、24は低圧燃料ポンプ(電動式ポンプ)、25は高圧燃料ポンプ(エンジン駆動ポンプ)、26は低圧レギュレータ、27は高圧レギュレータ、28はデリバリパイプであり、燃料タンク22内の燃料を低圧燃料ポンプ24で駆動して、更にエンジンの作動と直接連動して作動する高圧燃料ポンプ25で加圧して、所定の高圧状態で燃料供給路23A,23B,デリバリパイプ28を通じてインジェクタ21へ供給するようになっている。
【0014】
この際、低圧燃料ポンプ24から吐出された燃料圧力は低圧レギュレータ26で調圧され、高圧燃料ポンプ25で加圧されてデリバリパイプ28に導かれる燃料圧力は高圧レギュレータ27で調圧されるようになっている。
【0015】
また、29はエンジン1の排気通路17内の排出ガス(排ガス)を吸気通路2内に還流させる排ガス還流通路(EGR通路)、30はEGR通路29を通じて吸気通路2内に還流する排ガスの還流量を調整する排ガス還流量調整手段としてのステッパモータ式のバルブ(EGRバルブ)であり、31はブローバイガスを還元する流路であり、32はクランク室積極換気用の通路、33はクランク室積極換気用のバルブであり、34はキャニスタであり、35は排ガス浄化用触媒(ここでは、リーンNOx触媒)である。
【0016】
ところで、ECU16では、図2に示すように、第1及び第2エアバイパスバルブ14,6の制御のほかに、インジェクタ21や点火プラグ45のための点火コイルの制御やEGRバルブの制御や高圧レギュレータ27による燃圧制御も行なうため、エアフローセンサ44,吸気温度センサ36,スロットル開度を検出するスロットルポジションセンサ(TPS)37,アイドルスイッチ38,エアコンスイッチ(図示略),変速ポジションセンサ(図示略),車速センサ(図示略),パワーステアリングの作動状態を検出するパワステスイッチ(図示略),スタータスイッチ(図示略),第1気筒検出センサ40,クランク角センサ41,エンジンの冷却水温を検出する水温センサ42,排ガス中の酸素濃度を検出するOセンサ43等が設けられ、ECU16に接続されている。また、ECU16内には、クランク角センサ41に基づいて機関回転数(エンジン回転数)を算出する機能がそなえられ、クランク角センサ41とこのエンジン回転数演算機能とからエンジン回転数センサが構成されるが、ここではクランク角センサ41についても便宜上エンジン回転数センサとよぶ。
【0017】
なお、本エンジンでは、エンジンの運転モードとして、後期リーン燃焼運転モード,前期リーン燃焼運転モード,ストイキオフィードバック運転燃焼運転モード,オープンループ燃焼運転モードが用意され、各モードにおいて、EGRを作動させる場合とEGRを停止させる場合とが設定されており、エンジンの運転状態や車両の走行状態等に応じてこれらのモードの何れかが選択される。
【0018】
このうち、後期リーン燃焼運転モードは、本実施形態では総合空燃比が約24以上の領域に設定されており、最も希薄燃焼を実現できるが、このモードでは、燃料噴射を圧縮行程後期のように極めて点火時期に近い段階で行ない、しかも燃料を点火プラグの近傍に集めて部分的にはリッチにし全体的にはリーンとしながら着火性,燃焼安定性を確保しつつ節約運転を行なうようにしている。なお、後期リーン燃焼運転モード(層状燃焼のリーン燃焼運転モード)の領域は、本実施形態よりも低く総合空燃比が約23程度に設定してもよく、また、本実施形態よりも高く設定してもよい。この後期リーン燃焼運転モードは、燃料噴射を圧縮行程で行なうので、圧縮リーンモードともいう。
【0019】
また、前期リーン燃焼運転モードも希薄燃焼を実現できるが、このモードでは、燃料噴射を後期リーン燃焼運転モードよりも前に行ない、燃料を予混合して全体的には理論空燃比よりもリーンとしながら着火性,燃焼安定性を確保しつつある程度の出力を得るようにしながら、節約運転を行なうようにしている。ここでは、前期リーン燃焼運転モードの領域を、総合空燃比が約24以下で理論空燃比以上の領域に設定されている。この前期リーン燃焼運転モードは、燃料噴射を主として吸気行程で行なうので、吸気リーンモードともいう。
【0020】
ストイキオフィードバック燃焼運転モードは、O センサの出力に基づいて、空燃比をストイキオ状態に維持しながら十分なエンジン出力を効率よく得られるようにしている。また、オープンループ燃焼運転モードでは、加速時や発進時等に十分な出力が得られるように、オープンループ制御によりストイキオ又はリッチな空燃比での燃焼を行なう。これらのモードでは、吸気行程での燃料噴射に基づく予混合燃焼が行なわれる。
【0021】
本筒内噴射エンジンでは、上述のような種々のエンジン運転モードの中から1つのモードを選択するが、この選択は、エンジンの運転状態、即ち、エンジンの負荷状態Pe,エンジン回転数Neに基づいて、例えば図4のマップに示すような特性で行なうようになっている。つまり、低負荷・低回転領域では後期リーン燃焼運転モードが選択され、これよりも負荷又は回転数が増加するのに応じて前期リーン燃焼運転モード,ストイキオ燃焼運転モード,オープンループモード(エンリッチ燃焼運転モード)の順に選択されるようになっている。
【0022】
そして、各モードにおける燃料噴射制御(即ち、インジェクタ21の噴射制御),点火時期制御(即ち、点火プラグ45の駆動制御),吸入空気量制御(即ち、エアバイパスバルブ6,14の制御),及び排ガス還流量制御(即ち、EGR弁30の制御)についても、エンジンの負荷状態Pe,エンジン回転数Neといったエンジンの運転状態に基づいて行なうようになっている。
【0023】
これらの各制御は、運転状態検出手段101で検出(又は、算出)された運転状態に基づいてECU16を通じて行なわれる。このため、ECU16には、図3に示すように、運転モードを選択するモード選択手段102と、燃料噴射量および燃料噴射時期(噴射終了時期及び噴射開始時期)を設定しインジェクタ21の駆動を制御する燃料噴射制御手段103と、燃料点火時期を設定し点火プラグ45の駆動を制御する点火時期制御手段104と、吸入空気量を設定しエアバイパスバルブ6,14を制御する吸気制御手段105と、排ガス還流量(還流率、以下、EGR導入率ともいう)を設定しEGR弁30を制御する排ガス還流制御手段106とがそなえられている。
【0024】
そして、本排ガス還流制御装置は、図1に示すように、排ガス還流量調整手段としてのEGRバルブ30と、上述の運転状態検出手段101と、吸気温度を検出する吸気温度センサ(吸気温度検出手段)36と、設定された運転モード及び検出された吸気温度に応じて適宜EGRバルブ30を作動させる排ガス還流制御手段(制御手段)106とから構成される。なお、運転状態検出手段101には、エンジン回転数センサ41及びスロットル開度センサ37が含まれている。
【0025】
本排ガス還流制御装置では、エンジンの運転状態が、後期リーン燃焼運転モードの場合及びストイキオ燃焼運転モードの場合のみ、EGRの導入を行ない、他の場合、つまり、前期リーン燃焼運転モードやオープンループモードでは、EGR導入を行なわないようになっている。このようにEGRの導入を行なわないのは、前期リーンでEGRを導入すると燃焼が悪化し、特に、EGR流量を増大すると失火に至ることがあり、燃焼の悪化の割に、NOx低減や燃費向上の効果が非常に小さいためである。また、オープンループモードでは、なによりもエンジン出力の確保を優先させるためである。
【0026】
なお、ストイキオ運転モード時に行なわれるEGRの導入量は、原則として後期リーンに比べ少なく設定されている。これは、ストイキオ運転時には、主として燃費向上を目的としてEGRの導入を行なうが、大量にEGRを導入すると燃焼が悪化するからである。そして、このストイキオ運転時のEGRの導入率は最大で20〜25%程度であり、これは最小の場合は0であってもかまわない。
【0027】
そして、層状燃焼時(後期リーン燃焼運転モード時)には、空燃比が大きくなるほど、吸気通路内に還流させる排出ガスを大きくするように設定されている。この際のEGRの導入率は30〜60%程度である。
なお、エンジンによっては、燃焼悪化を抑える観点から、層状燃焼時のEGR導入率が特定運転時に例外的にストイキオ運転時よりも少なく設定される場合もある。
【0028】
次に、後期リーン燃焼運転時のEGR導入率(EGR率)及び空燃比の設定について、図5を参照して説明する。
図5は、後期リーン燃焼運転としての一般的な運転状態における例であり、例えばエンジン回転状態が1500rpm ,正味平均有効圧が0.3MPaといった条件下のものである。
【0029】
図5において、横軸は空燃比(A/F)であり、縦軸はNOx排出率であり、このNOx排出率はストイキオ運転時のNOx排出量に対する後期リーン燃焼運転時のNOx排出量の割合である。また、図中、曲線L1は安定燃焼限界を示し、この曲線の外側(つまり、左方や下方)では後期リーン燃焼運転による安定燃焼は行なえない。曲線L2は吸気(=新気エア+EGR)が0.1MPa(即ち、約1気圧)の状態でのWOT(スロットル全開)のものであり、この曲線の外側(つまり、右方や下方)による運転は行なえない。
【0030】
そして、曲線a1〜a3は燃費向上率、即ち、ストイキオ運転時の燃費に対する後期リーン燃焼運転時の燃費の向上率を示すもので、曲線a1は燃費向上率10%,曲線a2は燃費向上率20%,曲線a3は燃費向上率30%を示す。また、曲線b1〜b3はEGR導入率、即ち、吸気量中のEGR導入量の割合を示すもので、曲線b1はEGR導入率0%,曲線b2はEGR導入率20%,曲線b3はEGR導入率40%を示す。
【0031】
後期リーン燃焼運転は、図5中の曲線L1,L2よりも上方の領域で運転が可能であり、この領域内で、燃費向上率が高く且つNOx低減率が高く(即ち、NOx排出率が低く)なるように空燃比(A/F)及びEGR導入率を設定すれば、燃費向上とNOx低減とが両立する。
例えば図5中にハッチングを付す領域のように、燃費向上率が30%以上で且つNOx低減率が90%以上(即ち、NOx排出率が10%以上)の領域で、後期リーン燃焼運転を行なうように、空燃比及びEGR導入率を設定することが考えられる。なお、図5中、L3はNOx低減率90%を示す。
【0032】
図5に示す例では、空燃比をおよそ28〜33程度の範囲内のいずれかに設定し、EGR導入率を30〜60%程度の範囲内のいずれかに設定して、燃費向上率が30%以上で且つNOx低減率が90%以上を達成しながら、安定燃焼による後期リーン燃焼運転を行なうことができる。
もちろん、図5は後期リーン燃焼運転における一つの代表例を示すもので、このような特性は、エンジンの負荷状態やエンジン回転数によって変化し、各運転状態に応じて、燃費向上率が高く且つNOx低減率が高くなるような空燃比及びEGR導入率を設定し、この設定に基づいて制御を行なうようにすればよい。
【0033】
この場合、上述のような燃費向上率が30%以上で且つNOx低減率が90%以上といった目標値を常に達成できるわけではないが、運転状態によっては、燃費向上率を重視して空燃比及びEGR導入率を設定したり、また、NOx低減率を重視して空燃比及びEGR導入率を設定したりすることが考えられる。
なお、エンジンの運転は常に定常運転とは限らず、運転状態は時々変化していくことが多いが、このように、変化する運転状態に応じて運転モードも適宜切り替えられるが、後期リーン燃焼運転モード内でも、変化する運転状態に応じて目標空燃比や目標EGR導入率が変更されていくことになる。この場合、目標空燃比や目標EGR導入率を同時に変更する手法のほかに、目標空燃比制御を重視して、例えば目標空燃比を変更して次に目標EGR導入率を変更するという手法も考えられる。
【0034】
そして、本装置の排ガス還流制御手段(制御手段)106では、吸気温度センサ(吸気温度検出手段)36により検出された吸気温度に応じて目標EGR導入率(排ガス還流量)を制御するように構成されている。本実施形態では、層状燃焼モード時に吸気温度Tain が予め設定された温度Tよりも大きくなったら、EGRをカット(即ち、排ガス還流を停止)するようになっている。
【0035】
すなわち、図9に示すように、安定燃焼運転領域は、吸気温度が上昇するほど狭くなる特性があり、吸気温度が上昇するほど安定燃焼運転を行ないにくくなる。そこで、吸気温度が、安定燃焼運転領域が所定以下に狭まるような温度に達したら、EGRをカットし、即ち、EGR弁30を閉鎖して、エンジンの燃焼安定性を確保するようになっている。
【0036】
本発明の第1実施形態としての筒内噴射型内燃機関用排ガス還流制御装置は、上述のように構成されているので、排ガス還流制御手段(制御手段)106を通じて、例えば図6に示すようにEGR制御(排ガス還流制御)が行なわれる。
つまり、まず、運転状態検出手段101で検出(又は、算出)された運転状態(即ち、エンジン回転数センサ41で検出されたエンジン回転数Ne及びスロットル開度センサ37で検出されたスロットル開度θth)を読み込んで(ステップA10)、吸気温度センサ36で検出された吸気温度を読み込む(ステップA20)。モード選択手段102では、ステップS10で読み込まれた運転状態に基づいて例えば図4に示すようなマップを用いて運転モードを選択する。
【0037】
そして、ステップA30に進み、設定された運転モード及びエンジンの運転状態に応じてEGR導入率(EGR率,又はEGR量)を設定する。このEGR導入率は、圧縮リーンモード,ストイキオフィードバック燃焼運転モードの場合は0以外が設定されることが多いが、前期リーン燃焼運転モードやオープンループ燃焼運転モードの場合には0(EGRカット)が設定される。
【0038】
さらに、ステップA40に進み、選択された運転モードが圧縮リーンモード(後期リーン燃焼運転モード)か否かが判断される。圧縮リーンモード(即ち、層状燃焼)でなければ、ステップA70に進み、選択された運転モードがストイキオモード(ストイキオフィードバック燃焼運転モード)か否かが判断され、ストイキオモードならば、ステップA80に進み、ステップA30で設定されたEGR導入率に応じてEGR制御(排ガス還流制御)を行なう。つまり、設定されたEGR導入率(EGR量)が得られるようにEGR弁30の開度を制御する。
【0039】
一方、選択された運転モードがストイキオモードでなければ、即ち、前期リーン燃焼運転モードやオープンループ燃焼運転モードが選択された場合には、ステップA90に進み、EGRカット(つまり、EGR弁30を閉鎖)して、EGR導入は行なわない。
一方、圧縮リーンモード(即ち、層状燃焼)であれば、ステップA40からステップA50にに進み、吸気温度センサ36で検出された吸気温度Tain が予め設定された温度Tよりも大きいか否かが判定される。ここで、吸気温度Tain が設定温度Tよりも大でなければ、ステップA80に進み、EGR制御(排ガス還流制御)を行なう。ステップA30で設定された目標EGR導入率が得られるようにEGR弁30の開度を制御する。
【0040】
吸気温度Tain が設定温度Tよりも大の場合には、ステップA60に進み、EGRカット(つまり、EGR弁30を閉鎖)して、排ガス還流は行なわない。
このようにして、吸気温度Tain が設定温度Tよりも大きくなったらEGRカットを行なうので、後期リーン燃焼運転モード(圧縮リーンモード)時に、EGRの導入を行なうと、吸気温度が上昇するほど安定燃焼運転を行ないにくくなり、不安定燃焼を招くおそれが高まるのに対して(図9参照)、圧縮リーンモードを続行して、高い燃費低減効果を得ながら、このような不安定燃焼のおそれを回避して、安定燃焼を確保しうるようになる利点がある。
【0041】
次に、第2実施形態について説明する。
第2実施形態では、排ガス還流制御装置にかかる筒内噴射型内燃機関の構成や、排ガス還流制御装置の主な構成は、第1実施形態と同様であり、排ガス還流制御手段(制御手段)106を通じて行なわれる、吸気温度に対するEGR制御(排ガス還流制御)の内容が異なっている。
【0042】
つまり、本実施形態の排ガス還流制御手段106では、層状燃焼時、即ち、後期リーン燃焼運転モード(圧縮リーンモード)時におけるEGRの大量導入時に、吸気温度Tain の上昇に応じて、EGR導入率(EGR量)を低下させるようにEGR制御を行なう。
ここでは、燃費向上率が高く且つNOx低減率が高くなるように空燃比(A/F)と共に設定されたEGR導入率に対して、例えば図7に示すようなマップに基づいて補正ゲインKegr を設定し、この補正ゲインKegr により、EGR導入率(EGR量)を補正するようになっている。ここでは、図7に示すように、吸気温度Tain が所定温度T以下の場合には、補正ゲインKegr は1.0とされ、実質的な補正は行なわず、吸気温度Tain が所定温度T以上の場合には、吸気温度Tain の上昇に応じて補正ゲインKegr が1.0から減少していくように設定されている。
【0043】
本発明の第2実施形態としての筒内噴射型内燃機関用排ガス還流制御装置は、上述のように構成されているので、排ガス還流制御手段(制御手段)106を通じて、例えば図8に示すようにEGR制御(排ガス還流制御)が行なわれる。
つまり、まず、運転状態検出手段101で検出(又は、算出)された運転状態(エンジン回転数Ne及びスロットル開度θth)を読み込んで(ステップB10)、吸気温度センサ36で検出された吸気温度を読み込む(ステップB20)。モード選択手段102では、ステップB10で読み込まれた運転状態に基づいて例えば図3に示すようなマップを用いて運転モードを選択する。
【0044】
そして、ステップB30に進み、設定された運転モード及びエンジンの運転状態に応じてEGR導入率(EGR率,又はEGR量)を設定する。このEGR導入率は、圧縮リーンモード,ストイキオフィードバック燃焼運転モードの場合は0以外が設定されることが多いが、前期リーン燃焼運転モードやオープンループ燃焼運転モードの場合には0(EGRカット)が設定される。
【0045】
さらに、ステップB40に進み、選択された運転モードが圧縮リーンモード(後期リーン燃焼運転モード)か否かが判断される。圧縮リーンモード(層状燃焼)でなければ、ステップB80に進み、選択された運転モードがストイキオモード(ストイキオフィードバック燃焼運転モード)か否かが判断され、ストイキオモードならば、ステップB70に進み、ステップB30で設定されたEGR導入率に応じてEGR制御(排ガス還流制御)を行なう。つまり、設定されたEGR導入率(EGR量)が得られるようにEGR弁30の開度を制御する。
【0046】
一方、選択された運転モードがストイキオモードでなければ、即ち、前期リーン燃焼運転モードやオープンループ燃焼運転モードが選択された場合には、ステップB90に進み、EGRカット(つまり、EGR弁30を閉鎖)して、EGR導入は行なわない。
一方、圧縮リーンモード(即ち、層状燃焼)であれば、ステップB40からステップB50に進み、吸気温度センサ36で検出された吸気温度Tain に基づいてEGR率補正ゲインKegr を設定する。さらに、ステップB60に進み、ステップB30で設定されたEGR導入率をEGR率補正ゲインKegr で補正する。そして、ステップB70に進み、この補正ゲインKegr で補正した上で、EGR制御(排ガス還流制御)を行なう。
【0047】
つまり、運転状態に応じた目標EGR導入率(EGR率又はEGR量)を補正ゲインKegr で適宜減少補正して、この補正した目標EGR導入率が得られるようにEGR弁30の開度を制御する。
このようにして、吸気温度Tain に応じてEGR導入率(EGR量)を減少させるので、後期リーン燃焼運転モード(圧縮リーンモード)時に、EGRの導入を行なうと、吸気温度が上昇するほど安定燃焼運転を行ないにくくなり、不安定燃焼を招くおそれが高まるのに対して(図9参照)、圧縮リーンモードを続行して、高い燃費低減効果を得ながら、このような不安定燃焼のおそれを回避して、且つ、NOx低減を極力行ないながら安定燃焼を確保しうるようになる利点がある。
【0048】
なお、本発明の筒内噴射型内燃機関の排ガス還流制御装置は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形を行なうことができる。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1記載の本発明の筒内噴射型内燃機関用排ガス還流制御装置によれば、常時は層状燃焼により生じる排ガス中のNOxを排ガス還流により低減しながら、吸気温度の上昇したら、排ガス還流量を減少又は零にするため、層状燃焼時に吸気温度の上昇に応じて発生する安定燃焼運転領域の縮小を抑制して、安定燃焼運転領域を確保し、吸気温度上昇時にも、安定した層状燃焼による燃費低減運転を続行させることができるようになる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としての筒内噴射型内燃機関用排ガス還流制御装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる筒内噴射型内燃機関の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる筒内噴射型内燃機関の制御系構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる筒内噴射型内燃機関の運転モードの設定に用いる制御マップを示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態としての筒内噴射型内燃機関用排ガス還流制御装置におけるEGR導入率(EGR率)の設定について説明する図である。
【図6】本発明の第1実施形態としての筒内噴射型内燃機関用排ガス還流制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態としての筒内噴射型内燃機関用排ガス還流制御装置の還流量の補正用マップを示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態としての筒内噴射型内燃機関用排ガス還流制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の課題を説明するための図であり、機関の安定燃焼運転領域を示す特性図である。
【符号の説明】
1 エンジン本体
2 吸気通路
2A 吸気ポート
16 制御手段としての電子制御装置(ECU)
17 排気通路
17A 排気ポート
18 燃焼室
21 燃料噴射弁(インジェクタ)
29 排ガス還流通路(EGR通路)
30 排ガス還流量調整手段(EGRバルブ)
36 吸気温度検出手段(吸気温度センサ)
45 点火プラグ
101 運転状態検出手段
102 モード選択手段
106 排ガス還流制御手段(制御手段)

Claims (1)

  1. 層状燃焼を行なうべく燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁と、
    該燃焼室内に臨むように設けられた点火プラグと、
    吸気温度を検出する吸気温度検出手段と、
    該吸気温度検出手段により検出された吸気温度に応じて排ガス還流量を調整する排ガス還流量調整手段と、
    該層状燃焼時に、該吸気温度の上昇に応じて該排ガス還流量を減少又は零とするように該排ガス還流量調整手段を制御する制御手段とから構成されている
    ことを特徴とする、筒内噴射型内燃機関用排ガス還流制御装置。
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