JP3549063B2 - 印刷配線板の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は印刷配線板の製造方法に係り、特に配線および実装の高密度化が可能で、かつ信頼性の高い印刷配線板を工数の低減を図りながら、歩留まり良好に製造し得る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば両面型印刷配線板もしくは多層型印刷配線板においては、両面導電パターンなどの配線層間の電気的な接続を、次のようにして行っている。たとえば両面型印刷配線板の場合は、先ず、両面銅箔張り基板の所定位置に穴明け加工(穿設加工)を施す。次いで、前記穿設した穴の内壁面を含め、全面に化学メッキ処理を施してから、さらに電気メッキ処理で厚付けし、穴内壁面の金属層を厚くして信頼性を高め、配線層間の電気的な接続を行っている。
【0003】
また、多層印刷配線板の場合は、先ず、基板両面に張られた銅箔を、それぞれパターニングする。その後、パターニング面上に絶縁性シート(たとえばプリプレグ)を介して銅箔を積層・配置し、加熱加圧により一体化する。次いで、前述の両面型印刷配線板のときと同様に、穴明け加工およびメッキ処理による配線層間の電気的な接続を行う。この配線層間の接続後、表面銅箔についてのパターニングにより、多層型印刷配線板を得ている。なお、より配線層の多い多層型印刷配線板の場合は、中間に介挿させる両面型印刷配線板数を増やす方式で製造できる。
【0004】
さらに、図3に断面的に示す構成の多層印刷配線板を製造する手段として、ビルドアップ法も知られている。図3において、1は絶縁性支持基板、2aは第1の配線パターン層、3は層間絶縁樹脂層、4は層間絶縁樹脂層3に設けた微細孔(ブラインドホール)、2bは第2の配線パターン層であり、前記第1の配線パターン層2aおよび第2の配線パターン層2bは、ブラインドホール4によって、電気的に接続した構成を採っている。そして、このビルドアップ法は、通常、ガラス・エポキシ樹脂系を支持基材1とした銅張り積層板を素材とし、先ず、前記銅層について、たとえばフォトエッチング処理を施して、第1の配線パターン層2aを形成する。次いで、前記第1の配線パターン層2a形成面に、たとえば感光性を有するエポキシ樹脂を全面塗布し、この感光性エポキシ樹脂層(層間絶縁樹脂層3を成す)に、紫外線など選択的に照射してから、現像処理して1の配線パターン層2aを選択的に露出させる(ブラインドホール4の形設)。その後、前記感光性エポキシ樹脂層3表面を、たとえば化学処理により粗面化してから、化学メッキにより、要すればさらに電気メッキを併用して、導電性金属層を全面的に被着形成する。前記被着形成した導電性金属層について、たとえばフォトエッチング処理を施して、第2の配線パターン層2bを形成すると同時に、ブラインドホール4による接続を行う。
【0005】
前記印刷配線板の製造方法において、配線層間の電気的な接続をメッキ方法によらず行う方法も知られている。すなわち、両面銅箔張り基板の所定位置に穴明けし、この穴内に導電性ペーストを印刷法などにより流し込み、穴内に流し込んだ導電性ペーストの樹脂分を硬化させて、配線層間を電気的に接続する方法も行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記で説明したように、配線層間の電気的な接続にメッキ法を利用する印刷配線板の製造方法においては、基板に配線層間の電気的な接続用の穴明け(穿穴)加工、穿設した穴内壁面を含めたメッキ処理工程などを要し、印刷配線板の製造工程が冗長であるとともに、工程管理も繁雑であるという欠点がある。特に、ビルドアップ法においては、微細なブラインドホール4内に導体層を形成するが、非貫通穴なブラインドホール4内壁面に、銅を一様に析出させ得ないのが実情である。つまり、微細なブラインドホール4内壁面に所要の導電体層を、再現性良好に形成することが事実上至難であり、信頼性のうえで問題がある。
【0007】
さらに、層間の絶縁樹脂層を、紫外線硬化型樹脂で形成した場合は、一般的に電気絶縁特性,耐熱性,耐薬品性など劣るばかりでなく、メッキ金属膜との接着性も劣るため、多層印刷配線板の高性能化など図り得ない。
【0008】
一方、配線層間の電気的な接続用の穴に、導電性ペーストを印刷などにより埋め込む方法の場合も、前記メッキ法の場合と同様に穴明け工程を必要とする。しかも、穿設した穴内に、均一(一様)に導体性ペーストを流し込み埋め込むことが難しく、電気的な接続の信頼性に問題があった。いずれにしても、前記穴明け工程などを要することは、印刷配線板のコストや歩留まりなどに反映し、低コスト化などへの要望に対応し得ないという欠点がある。また、前記配線層間の電気的な接続構成の場合は、印刷配線板の表裏面に、配線層間接続用の導電体穴が設置されているため、その導電体穴の領域に配線を形成・配置し得ないし、さらに電子部品を搭載することもできないので、配線密度の向上が制約されるとともに、電子部品の実装密度向上も阻害されるという問題がある。
【0009】
いずれにしても、従来の製造方法によって得られる印刷配線板は、高密度配線や高密度実装による回路装置のコンパクト化、ひいては電子機器類の小形化などの要望に、十分応え得るものといえず、前記コスト面を含め、実用的により有効な印刷配線板の製造方法が望まれている。
【0010】
本発明は上記事情に対処してなされたもので、簡易なプロセスで、配線パターン層間における所要の絶縁性および所要の電気的な接続も確実に確保された、信頼性の高い印刷配線板を歩留まりよく製造し得る方法の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る第1の印刷配線板の製造方法は、第1の支持基体主面の所定位置に、導体バンプ群を形設する工程と、前記第1の支持基体の導体バンプ形設面、もしくは第2の支持基体の少なくとも一主面に、所要厚さの絶縁・接着性の樹脂層を形成する工程と、前記第1の支持基体導体のバンプ形設面に絶縁・接着性樹脂層を介し第2の支持基体を対接させて積層・配置して、積層体を形成する工程と、前記積層体を加圧し、前記絶縁・接着性樹脂層の厚さ方向に、前記バンプの先端部をそれぞれ貫挿させ、第1の支持基体−第2の支持基体間を接続する導体部を形成する工程とを具備して成ることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る第2の印刷配線板の製造方法は、第1の導電性支持基体主面の所定位置に、導体バンプ群を形設する工程と、前記第1の導電性支持基体の導体バンプ形設面、もしくは第2の導電性支持基体の少なくとも一主面に、所要厚さの絶縁・接着性の樹脂層を形成する工程と、前記第1の導電性支持基体の導体バンプ形設面に、絶縁・接着性樹脂層を介し第2の導電性支持基体を対接させて積層・配置して、積層体を形成する工程と、前記積層体を加圧し、前記絶縁・接着性樹脂層の厚さ方向に、前記バンプの先端部をそれぞれ貫通させ、第1の導電性支持基体−第2の導電性支持基体間を電気的に接続する導体部を形成する工程と、前記貫通型導体部を形成した積層体の導電性支持基体をパターニングして、前記導体部に接続する配線パターンを形成する工程とを具備して成ることを特徴とする。
【0013】
本発明において、導体バンプ群を形設する支持基体としては、たとえば剥離性の良好な合成樹脂シート類,もしくは導電性シート(箔)などが挙げられる。そして、この支持基体は1枚のシートであってもよいし、パターン化されたものでもよく、その形状はとくに限定されない。さらに、導体バンプ群は、一方の主面だけでなく、両主面にそれぞれ形設した形のものを用いてもよい。
【0014】
ここで、前記導体バンプは、たとえば銀,金,銅,半田粉などの導電性粉末、これらの合金粉末もしくは複合(混合)金属粉末と、たとえばポリカーボネート樹脂,ポリスルホン樹脂,ポリエステル樹脂,フェノキシ樹脂,フェノール樹脂,ポリイミド樹脂などのバインダー成分とを混合して調製された導電性組成物、あるいは導電性金属などで構成される。そして、前記バンプ群の形設は、導電性組成物で形成する場合、たとえば比較的厚いメタルマスクを用いた印刷法により、アスペクト比の高いバンプを形成でき、そのバンプの高さは一般的に、50〜 400μm 程度が望ましく、さらにバンプの高さは一層の合成樹脂系シートを貫通し得る高さおよび複数層の合成樹脂系シートを貫通し得る高さとが適宜混在していてもよい。
【0015】
一方、導電性金属のバンプを形成する手段としては、 (a)ある程度形状もしくは寸法の一定化された微小金属魂を、粘着剤層を予め設けておいた支持基体面に散布し、選択的に固着させるか(このときマスクを配置して行ってもよい)、 (b)銅箔などを支持基体とした場合は、メッキレジストを印刷・パターニングして、銅,錫,金,銀,半田などメッキして選択的に微小な金属柱(バンプ)群の形成、 (c)支持基体面に半田レジストの塗布・パターニングして、半田浴に浸漬して選択的に微小な金属柱(バンプ)群の形成などが挙げられる。ここで、バンプに相当する微小金属魂もしくは微小な金属柱は、異種金属を組合わせて成る多層構造、多層シェル構造でもよい。たとえば銅を芯にし表面を金や銀の層で被覆して耐酸化性を付与したり、銅を芯にし表面を半田層被覆して半田接合性をもたせたりしてもよい。
【0016】
なお、本発明において、導体バンプ群を導電性組成物で形成する場合は、メッキ法などの手段で行う場合に較べて、さらに工程など簡略化し得るので、低コスト化の点で有効である。
【0017】
本発明において、前記導体バンプ群が貫挿され、貫通型の導体部を形成する絶縁・接着性樹脂としては、たとえばポリカーボネート樹脂,ポリスルフォン樹脂,ポリエーテルイミド樹脂,熱可塑性ポリイミド樹脂,4フッ化ポリエチレン樹脂,4フッ化ポリエチレン樹脂,6フッ化ポリプロピレン樹脂,ポリエーテルエーテルケトン樹脂,塩化ビニル樹脂,ポリエチレン樹脂などの熱可塑性樹脂が先ず挙げられる。また、支持基体面に、いわゆるBステージの状態で、所要の絶縁・接着性樹脂層を形成し得る熱硬化性樹脂、たとえばエポキシ樹脂,ビスマレイミドトリアジン樹脂,ポリイミド樹脂,フェノール樹脂,ポリエーテル樹脂,メラミン樹脂、あるいは未加硫な(生ゴム)ブタジエンゴム,ブチルゴム,天然ゴム,ネオプレンゴム,シリコーンゴムなども使用し得る。さらに、これらは共重合体系や混合系であってもよいし、ガラスクロスやマットなどの無機酸化物,紙などの有機物をを組み合わせた形態、もしくは無機酸化物粉末など添加・含有させた系でもよい。そして、絶縁・接着性樹脂層の形成は、たとえばスクリーン印刷法,キャスティングローラコート法,スピナコート法などで行うことができ、この絶縁・接着性樹脂層の厚さは、製造する印刷配線板の品種、用途などによって異なるが、一般的に50〜 800μm 程度が好ましい。
【0018】
さらに、本発明において、バンプ群を形設した支持基体などの主面に、絶縁・接着性樹脂層を介して、他の支持基体を積層配置して成る積層体をそのまま、もしくは加熱して加圧するとき、当て板として、寸法や変形の少ない金属板もしくは耐熱性樹脂板、たとえばステンレス板,真鍮板、ポリイミド樹脂板(シート),ポリテトラフロロエチレン樹脂板(シート)など使用することが好ましい。この積層体の加圧に当っては、加熱して絶縁・接着性樹脂層が柔らかくなった状態で加圧し、バンプ群を貫挿させると、より良好なバンプ群の貫挿を達成し得る。
【0019】
【作用】
本発明に係る印刷配線板の製造方法によれば、配線層間を電気的に接続する層間の導体部は、いわゆる積層一体化する工程での加熱・加圧により、層間絶縁層を成す絶縁・接着性樹脂の可塑状態化と、支持基体面の導体バンプ群の圧入とによって、確実に信頼性の高い配線層間の電気的な接続が達成される。つまり、プロセスの簡易化を図りながら、微細な配線パターン層間を任意な位置(箇所)で、高精度にかつ信頼性の高い電気的な接続を形成し得るので、配線密度の高い印刷配線板を低コストで製造することが可能となる。加えて、前記層間絶縁層は、絶縁・接着性樹脂で形成されるため、その硬化(固化)収縮性と相俟って配線パターン層間の強固な一体性も容易に確保される。さらにまた、前記配線パターン層間の電気的な接続に当たり、接続穴の形設も不要となるので、その分高密度配線および高密度実装の可能な印刷配線板が得られることになる。
【0020】
【実施例】
以下、図1 (a)〜 (f)および図2 (a)〜 (f)を参照して本発明の実施例を説明する。
【0021】
実施例1
図1 (a)〜 (f)は本実施例の実施態様を模式的に示したものである。先ず、厚さ35μm の電解銅箔を第1の支持基体5として、ポリマータイプの銀系の導電性ペースト(商品名,熱硬化性導電性ペーストDW−250H−5 ,製造元:東洋紡績KK)、および板厚の 200μm のステンレス板の所定箇所に 0.4mm径の穴を明けたメタルマスクをそれぞれ用意した。そして、前記電解銅箔(第1の支持基体)5面に、前記メタルマスクを位置決め配置して導電性ペーストを印刷し、この印刷された導電性ペーストが乾燥後、同一マスクを用い同一位置に再度印刷する方法で3回印刷を繰り返し、高さ 200μm 弱の山形の導体パンブ6を形成(形設)した。 一方、同じく厚さ35μm の電解銅箔を第2支持基体7とし、この第2支持基体7の一主面に、スピンコート法によって、厚さ 100μm 程度のエポキシ樹脂層8を被着・形成した。
【0022】
次いで、図1 (a)に断面的に示すごとく、前記エポキシ樹脂層8を設けた第2支持基体7面に、前記導体パンブ6を設けた第1の支持基体5を、エポキシ樹脂層8と導体パンブ6とを対向させて、配置して積層体化した。その後、前記第1の支持基体5および第2支持基体7裏面に、それぞれポリイミド樹脂フィルムを当て板として積層・配置し、樹脂圧として 1 MPaで加圧し、そのまま取りだし、表裏の当て板を剥離したところ、図1 (b)に断面的に示すごとく、前記導体バンプ6が、絶縁・接着性樹脂層8中に圧入し、第2支持基体7に対接して、先端が潰された形になって貫通する導体部6′を備えた積層板を得た。
【0023】
前記積層板の両面の電解銅箔(第1の支持基体5および第2支持基体7)について、通常のエッチングレジストインク(商品名,PSR−4000 H,製造元:太陽インキKK)をスクリーン印刷し、導体パターン部をマスクしてから、塩化第2銅をエッチング液としてエッチング処理後、レジストマスク剥離して、図1 (c)に断面的に示すような、両面配線型の印刷配線板9を作製した。この両面配線型の印刷配線板9の両面配線パターン5′,7′の所定面に、前記第1の支持基体5面へ導体バンプ6を形成した場合と同様な手段で、導体バンプ10をそれぞれ設けた。また、前記第2の支持基体7に、絶縁・接着性樹脂層8を設けた場合と同様の手段で、2枚の電解銅箔(第3,第4の支持基体)11,12面に,それぞれ絶縁・接着性樹脂層13,14を設けたものを用意した。その後、前記導体バンプ10を設けた両面配線型の印刷配線板9に、絶縁・接着性樹脂層13,14を設けた第3の支持基体11,第4の支持基体12を、図1 (d)に断面的に示すごとく配置して積層体化した。この積層体について、第3の支持基体11および第4支持基体14裏面に、それぞれポリイミド樹脂フィルムを当て板として積層・配置し、樹脂圧として 1MPaで加圧し、そのまま取りだし、表裏の当て板を剥離したところ、図1 (e)に断面的に示すように、前記導体バンプ10が、絶縁・接着性樹脂層13,14中に圧入し、第3支持基体11および第4支持基体12に対接して、先端が潰された形になって貫通する導体部10′を備えた多層型積層板15を得た。
【0024】
前記多層型積層板15の両面の電解銅箔(第3の支持基体11および第4支持基体12)について、前記と同様にフオトエッチング処理をそれぞれ施して、図1 (f)に断面的に示すような、多層配線型の印刷配線板16を作製した。この多層配線型の印刷配線板16の製造過程で、テスターによって各導体部6′,10′を表裏面から導通テストしたところ、全数が0.01Ω以下の抵抗であった。図中11′,12′は配線パターンである。
【0025】
なお、前記では、第1の支持基体5の一主面に導体バンプ6を設けたが、予め配線パターン化したものを第1の支持基体5とし、この配線パターンの形成された面に導体バンプ6を設けた構成を採ることも可能であった。
【0026】
実施例2
図2 (a)〜 (f)は本実施例の実施態様を模式的に示したものである。先ず、厚さ35μm の電解銅箔を第1の支持基体5として、ポリマータイプの銀系の導電性ペースト(商品名,熱硬化性導電性ペーストDW−250H−5 ,製造元:東洋紡績KK)、および板厚の 200μm のステンレス板の所定箇所に 0.4mm径の穴を明けたメタルマスクをそれぞれ用意した。そして、前記電解銅箔(第1の支持基体)5面に、前記メタルマスクを位置決め配置して導電性ペーストを印刷し、この印刷された導電性ペーストが乾燥後、同一マスクを用い同一位置に再度印刷する方法で3回印刷を繰り返し、高さ 200μm 弱の山形の導体パンブ6を形成(形設)した。その後、前記導体パンブ6を形成した第1の支持基体5面に、スピンコート法によって、厚さ 150μm 程度のエポキシ樹脂層8を被着・形成した。
【0027】
次いで、予め用意しておいた、同じく厚さ35μm の電解銅箔を第2支持基体7を、図2 (a)に断面的に示すごとく、前記エポキシ樹脂層8を設けた第1支持基体5面に対向させて、配置して積層体化した。その後、前記第1の支持基体5および第2支持基体7裏面に、それぞれポリイミド樹脂フィルムを当て板として積層・配置し、樹脂圧として 1 MPaで加圧し、そのまま取りだし、表裏の当て板を剥離したところ、図1 (b)に断面的に示すごとく、前記絶縁・接着性樹脂層8中を貫挿する導体バンプ6が、第2支持基体7に対接して、先端が潰された形になって貫通する導体部6′を備えた積層板を得た。
【0028】
前記積層板の両面の電解銅箔(第1の支持基体5および第2支持基体7)について、通常のエッチングレジストインク(商品名,PSR−4000 H,製造元:太陽インキKK)をスクリーン印刷し、導体パターン部をマスクしてから、塩化第2銅をエッチング液としてエッチング処理後、レジストマスク剥離して、図1 (c)に断面的に示すような、両面配線型の印刷配線板9を作製した。この両面配線型の印刷配線板9の両面配線パターン5′,7′の所定面に、前記第1の支持基体5面へ導電性バンプ6を形成した場合と同様な手段で、導体バンプ10をそれぞれ設けた。また、前記導体バンプ10を形成した印刷配線板9面に、前記と同様の手段で、それぞれ絶縁・接着性樹脂層13,14を設けた。
【0029】
その後、前記導体バンプ10および絶縁・接着性樹脂層13,14を設けた両面配線型の印刷配線板9に、予め用意しておいた、厚さ35μm の2枚の電解銅箔(第3の支持基体11,第4の支持基体12)を、図1 (d)に断面的に示すごとく配置して積層体化した。この積層体について、第3の支持基体11および第4支持基体14裏面に、それぞれポリイミド樹脂フィルムを当て板として積層・配置し、樹脂圧として 1 MPaで加圧し、そのまま取りだし、表裏の当て板を剥離したところ、図1(e)に断面的に示すように、前記絶縁・接着性樹脂層13,14中を貫挿する導体バンプ10が、第3支持基体11および第4支持基体12に対接して、先端が潰された形になって貫通する導体部10′を備えた多層型積層板15を得た。
【0030】
前記多層型積層板15の両面の電解銅箔(第3の支持基体11および第4支持基体12)について、前記と同様にフオトエッチング処理をそれぞれ施して、図1 (f)に断面的に示すような、多層配線型の印刷配線板16を作製した。この多層配線型の印刷配線板16の製造過程で、テスターによって各導体部6′,10′を表裏面から導通テストしたところ、全数が0.01Ω以下の抵抗であった。図中11′,12′は配線パターンである。
【0031】
なお、前記では、両面配線型の印刷配線板9に導体バンプ10および絶縁・接着性樹脂層13,14を設けたが、両面配線型の印刷配線板9に絶縁・接着性樹脂層13,14を設け、第3の支持基体11および第4支持基体12面に導体バンプ10を設けた形でも、多層型積層板15を製造し得る。また、両面配線型の印刷配線基板9に導体バンプ10および絶縁接着性樹脂層13,14を設けたが、第3の支持基体11および第4の支持基体12に導体バンプ10および絶縁接着性樹脂層13,14を設けた形でも、多層型積層板15を製造し得る。
【0032】
本発明は、上記実施例に限定されるものでなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲でいろいろの変形を採り得る。たとえば、前記では絶縁・接着性樹脂としてエポキシ樹脂の使用例を示したが、エポキシ樹脂の代わりにポリエーテルイミド樹脂などを用いてもよいし、また配線パターン層の接続もヴィアホール型だけでなく、ヴィアホール型およびスルホール型の並立型でもよい。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、パターン層間を接続する導体バンプを形設する工程、絶縁・接着性樹脂層を形成,介在させて熱プレスする工程、外層パターニングする工程というプロセスの簡略化、換言すると製造工程数を従来の製造方法に比べ格段に少ない工程に低減しながら、強固もしくは緻密に一体化した両面型印刷配線板もしくは多層型印刷配線板を容易に製造することが可能となる。特に工程の繰り返しが多い多層型印刷配線板の製造においては、大幅な工程数の低減となり、生産性ないし量産性の向上に効果がある。また、絶縁・接着性樹脂を層間絶縁層としたことにより、配線パターン層および層間配線部の接続の信頼性なども大幅に改善され、すぐれた機能的の確保も可能となる。
【0034】
加えて、従来の多層型印刷配線板などの製造工程で、必要不可欠であった穴明け工程、メッキ工程が不要になることに伴い、製造工程で発生する不良が大幅に抑えられ、歩留まりが向上するばかりでなく、信頼性の高い印刷配線板が得られることになる。また、製造される印刷配線板は、層間接続用の穴が表面に存在しないので、配線密度の格段な向上を図り得るし、電子部品の実装用エリアも、穴の位置に関係なく設定し得ることになり、実装密度も格段に向上し、ひいては実装電子部品間の距離を短縮できるので、回路の性能向上をも図り得る。つまり、本発明は、印刷配線板の低コス化に寄与するだけでなく、実装回路装置のコンパクト化や、高性能化などにも大きく寄与するものといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施態様例を模式的に示すもので、 (a)は導体バンプを形設した第1の支持基体と絶縁・接着性樹脂層を設けた第2の支持基体とを積層配置する状態を示す断面図、 (b)は熱プレスにより積層一体化した積層板を示す断面図、 (c)は両面支持基体をパターニングして両面配線型化した状態を示す断面図、(d)は導体バンプを形設した両面配線型と絶縁・接着性樹脂層をそれぞれ設けた第3の支持基体,第4の支持基体とを積層配置する状態を示す断面図、 (e)熱プレスにより積層一体化した多層型積層板を示す断面図、 (f)は多層型積層板の両面を配線型化した多層型配線板の断面図。
【図2】本発明の第2の実施態様例を模式的に示すもので、 (a)は導体バンプおよび絶縁・接着性樹脂層を設けた第1の支持基体と第2の支持基体とを積層配置する状態を示す断面図、 (b)は熱プレスにより積層一体化した積層板を示す断面図、 (c)は両面支持基体をパターニングして両面配線型化した状態を示す断面図、 (d)は面面に導体バンプおよび絶縁・接着性樹脂層を設けた両面配線型と第3の支持基体,第4の支持基体とを積層配置する状態を示す断面図、 (e)熱プレスにより積層一体化した多層型積層板を示す断面図、 (f)は多層型積層板の両面を配線型化した多層型配線板の断面図。
【図3】ビルドアップ法で構成した多層印刷配線板の構造を示す断面図。
【符号の説明】
1……絶縁性支持基体 2a……第1の配線パターン層 2b……第2の配線パターン層 3……層間絶縁層 4……ブラインドホール 5……第1の支持基体 5′,7′,11′,12′……配線パターン 6,10……導体バンプ 6′,10′……導体部 7……第2の支持基体
8,13 14 ,……絶縁・接着性樹脂層 9……両面型印刷配線板 11……第3の支持基体 12……第4の支持基体 15……多層型積層板
16……多層型印刷配線板
Claims (4)
- 第1の支持基体主面の所定位置に、導電性ペーストにより導体バンプ群を形設する工程と、
第2の支持基体の少なくとも一主面に、所要厚さの無穴の絶縁・接着性の樹脂層を形成する工程と、
前記第1の支持基体の導体バンプ形設面を、第2の支持基体の絶縁・接着性樹脂層に対接させて積層・配置して、積層体を形成する工程と、
前記積層体を加圧し、前記絶縁・接着性樹脂層の厚さ方向に、前記導体バンプの先端部をそれ自体の剛性によりそれぞれ貫挿するとともに、先端の塑性変形により第1の支持基体−第2の支持基体間を接続する導体部を形成する工程と
を具備して成ることを特徴とする印刷配線板の製造方法。 - 第1の支持基体主面の所定位置に、導電性ペーストにより導体バンプ群を形設する工程と、
前記第1の支持基体の導体バンプ形設面に、所要厚さの絶縁・接着性の樹脂層を形成する工程と、
前記第1の支持基体の絶縁・接着性の樹脂層を形成した面に、第2の支持基体の一主面を対接させて積層・配置して、積層体を形成する工程と、
前記積層体を加圧し、前記導体バンプの先端の塑性変形により第1の支持基体−第2の支持基体間を接続する導体部を形成する工程と
を具備して成ることを特徴とする印刷配線板の製造方法。 - 第1の導電性支持基体主面の所定位置に、導電性ペーストにより導体バンプ群を形設する工程と、
第2の導電性支持基体の少なくとも一主面に、所要厚さの無穴の絶縁・接着性の樹脂層を形成する工程と、
前記第1の導電性支持基体の導体バンプ形設面を、第2の導電性支持基体の絶縁・接着性樹脂層に対接させて積層・配置して、積層体を形成する工程と、
前記積層体を加圧し、前記絶縁・接着性樹脂層の厚さ方向に、前記導体バンプの先端部をそれ自体の剛性によりそれぞれ貫挿するとともに、先端の塑性変形により第1の導電性支持基体−第2の導電性支持基体間を電気的に接続する導体部を形成する工程と、
前記導体部を形成した積層体の導電性支持基体をパターニングして、前記導体部に接続する配線パターンを形成する工程と
を具備して成ることを特徴とする印刷配線板の製造方法。 - 第1の導電性支持基体主面の所定位置に、導電性ペーストにより導体バンプ群を形設する工程と、
前記第1の導電性支持基体の導体バンプ形設面に、所要厚さの絶縁・接着性の樹脂層を形成する工程と、
前記第1の導電性支持基体の絶縁・接着性の樹脂層を形成した面に、第2の導電性支持基体を対接させて積層・配置して、積層体を形成する工程と、
前記積層体を加圧し、前記導体バンプの先端の塑性変形により第1の導電性支持基体−第2の導電性支持基体間を電気的に接続する導体部を形成する工程と、
前記導体部を形成した積層体の導電性支持基体をパターニングして、前記導体部に接続する配線パターンを形成する工程と
を具備して成ることを特徴とする印刷配線板の製造方法。
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