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JP3544084B2 - 増幅型固体撮像装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、固定パターンノイズを効果的に抑制する増幅型固体撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体撮像装置としては、各画素に発生したそれぞれの信号電荷をそのまま読み出さず、これらの信号電荷を各画素において電圧もしくは電流に変換して増幅した後、各信号電圧もしくは各信号電流を該各画素から走査回路を介して読み出すと言うものが提案されており、このものを増幅型固体撮像装置と称している。
【0003】
この増幅型固体撮像装置の各画素は、入射光に応じた信号電荷を発生する光電変換部と、この光電変換部の信号電荷を信号電圧に変換して増幅する増幅部を備えており、光電変換部と増幅部を平面的に配置した横型と、これらを立体的に配置した縦型に分類される。
【0004】
横型の画素の例としては、図6に示す様なAPS型のものが知られている(S.K.Mendis ,et al .,”A 128*128 CMOS Active Pixel Image Sensor for Highly Integrated Imaging systems”,IEDM ’93−583〜586,Dec.1993.を参照)。
【0005】
この画素では、光電変換部101で発生した信号電荷をトランジスタ102を介してトランジスタ103のゲートに移動させており、この信号電荷をトランジスタ103に入力する。トランジスタ103は、インピーダンス変換のために設けられ、信号の電流増幅を行う。このトランジスタ103の出力は、信号電圧Vsigとして、画素選択用のトランジスタ104を介して読み出される。読み出し後の排出期間には、リセット用のトランジスタ105をオンにして、トランジスタ103のゲートに蓄積している信号電荷をドレインVへ排出する。
【0006】
また、縦型の画素の例としては、図7に示す様なCMD型のものが知られている(中村他、「ゲート蓄積型MOSフォトトランジスタ イメージセンサ」、テレビジョン学会誌 Vol.41,No.11,pp.1047〜1053, 1987.を参照)。
【0007】
この画素では、トランジスタ111のゲートに初期電圧を印加しておき、このゲートに、光電変換によって発生した信号電荷を蓄積する。読み出し期間には、トランジスタ111のゲートにパルス電圧φを加えて、トランジスタ111の信号電圧Vsigを読み出し、排出期間には、電圧φよりも高いパルス電圧φをトランジスタ111のゲートに加えて、このゲートの信号電荷を基板(図示せず)へ排出する。したがって、このトランジスタ111においては、光電変換、信号電荷の増幅及び画素の選択を共に行うことになる。
【0008】
しかしながら、この画素の場合は、3値の電圧をトランジスタ111のゲートに選択的に加えねばならず、そのうちの少なくとも1つが高電圧となる。
【0009】
このため、低電圧の駆動を可能にしたものが、この発明の出願人によって、別の発明(特開平8−78653号)として既に提案されている。ここでは、図8に示す様に、トランジスタ121のゲートに信号電荷を蓄積し、このゲートにパルス電圧φを印加して、信号電圧Vsigを読み出し、排出期間には、トランジスタ122にパルス電圧φを加えて、信号電荷を接地記号によって示される基板へ排出する。各電圧φ,φは、共に低くて済む。
したがって、低い2値の電圧による駆動が可能である。
【0010】
図6〜図8に示す各画素の構成は、図9に示す様な共通の模式図で表すことができる。光電変換部131は、光電変換を行うばかりでなく、パルス電圧φに応答して、信号電圧を出力し、またパルス電圧φに応答して、信号電荷を排出する。増幅部132は、信号電圧を入力すると、これを増幅してVsig出力する。
【0011】
この様な画素によって、増幅型固体撮像装置を構成すると、例えば図10に示す様なものとなる。
【0012】
同図において、第1垂直走査回路141及び第2垂直走査回路142からは、各第1水平走査線143及び各第2水平走査線144が導出され、また水平走査回路145からは、各垂直信号線140が導出されている。各第1水平走査線143及び各第2水平走査線144と、各垂直信号線140は、相互に交差しており、それぞれの交差部位毎に、図9に示す画素を配置する。
【0013】
第1垂直走査回路141は、各第1水平走査線143を順次選択し、パルス電圧φを第1水平走査線143を通じて各画素の光電変換部131に加える。1本の第1水平走査線143に共通接続された各画素の光電変換部131は、パルス電圧φを同時に入力し、それぞれの信号電圧Vsigを該各画素の増幅部132を介して各垂直信号線140に出力する。
【0014】
また、第2垂直走査回路142は、各第2水平走査線144を順次選択し、パルス電圧φを第2水平走査線144を通じて各画素の光電変換部131に加える。1本の第2水平走査線143に共通接続された各画素の光電変換部131は、それぞれの信号電圧Vsigを各垂直信号線140に出力してから、パルス電圧φを同時に入力し、それぞれの信号電荷を排出する。
【0015】
各垂直信号線140には、各相関2重サンプリング(CDS)回路147を挿入している(J.Hynecek,”A New Device Architecture Suitable for High Resolution and High Performance Image Sensors”, IEEE Trans.Electoron Device,Vol.35,No.5,p.646−652,May 1988.を参照)。
【0016】
相関2重サンプリング回路147は、画素の光電変換部131からの信号電圧Vsigを入力すると共に、画素の光電変換部131の信号電荷が排出された後にも、画素の光電変換部131からの信号電圧を入力し、両者の信号電圧の差、つまり読み出し期間の信号電圧Vsigと排出期間後の信号電圧Vresの差を求めて、この差の信号電圧を出力する。この差の信号電圧は、読み出し期間と排出期間後の各信号電圧の差であるから、各画素毎に、この差を求めれば、各画素のしきい値のバラツキ(排出期間後の各信号電圧のバラツキに相当する)をキャンセルすることができ、このバラツキを原因とする各画素の固定パターンノイズ(FPN)が抑制される。
【0017】
相関2重サンプリング回路147は、クランプ回路及びサンプルホールド回路からなる。
【0018】
クランプ回路は、クランプコンデンサ149、及びクランプトランジスタ150を備えている。読み出し期間には、画素の光電変換部131からの信号電圧Vsigをクランプコンデンサ149に入力して、クランプトランジスタ150をオンにすることによって、信号電圧Vsigをクランプ電圧VVCPに変換し、引き続いてクランプトランジスタ150をオフにする。この後、排出期間に画素の光電変換部131の信号電荷が排出されると、この光電変換部131からの信号電圧Vresをクランプコンデンサ149に入力して、クランプ電圧VVCP−(信号電圧Vsig−信号電圧Vres)を形成し、この差の信号電圧を保持する。例えば、クランプ電圧VVCPが接地電位であれば、信号電圧[−(Vsig−Vres)]を保持することとなる。
【0019】
サンプルホールド回路は、サンプルトランジスタ151、及びインピーダンス変換を行うソースフォロア回路のドライブトランジスタ152を備えている。クランプ回路によって上記差の信号電圧[−(Vsig−Vres)]が形成されてから、サンプルトランジスタ151は、オンとなって、この差の信号電圧[−(Vsig−Vres)]をドライブトランジスタ152のゲートに加える。ドライブトランジスタ152は、この差の信号電圧[−(Vsig−Vres)]をゲートの容量に保持しつつ、オンとなり、電流増幅した該信号電圧[−(Vsig−Vres)]を出力する。
【0020】
この様な動作は、水平方向の1行の各画素について行われ、これによって各画素の信号電荷に基づくそれぞれの信号電圧[−(Vsig−Vres)]が各ドライブトランジスタ152から出力される。
【0021】
一方、水平走査回路145は、各垂直走査線146を介して各水平選択トランジスタ153を順次オンにする。これに伴い、各ドライブトランジスタ152の信号電圧[−(Vsig−Vres)]が各水平選択トランジスタ153を通じて共通信号線154へと順次送出される。
【0022】
共通信号線154の出力側には、ドライブトランジスタ152の負荷となる負荷トランジスタ155、ソースフォロア回路を構成する各トランジスタ156,157を接続している。各ドライブトランジスタ152の信号電圧[−(Vsig−Vres)]が共通信号線154に順次送出されると、これらの信号電圧[−(Vsig−Vres)]が各トランジスタ156,157間から画像信号OSとして取り出される。
【0023】
図11には、図10の装置における各信号のタイミングを示している。 この図11において、水平走査期間1Hは、水平方向の各行毎に、1行における各画素を走査するための期間であり、各画素の信号電圧を読み出して伝送するための期間である。
【0024】
各パルス電圧φ(i),φ(i+1),φ(i+2),……は、水平方向の各行毎に、1行における各画素の読み出し期間を指示するものであり、第1垂直走査回路141から出力され、各第1水平走査線143に順次加えられる。このパルス電圧φに応答して、水平方向の1行における各画素の光電変換部131からそれぞれの信号電圧Vsigが出力される。
【0025】
また、各パルス電圧φ(i),φ(i+1),φ(i+2),……は、水平方向の各行毎に、1行における各画素の排出期間を指示するものであり、第2垂直走査回路142から出力され、各第2水平走査線144に順次加えられる。このパルス電圧φに応答して、水平方向の1行における各画素の光電変換部131からそれぞれの信号電荷が排出される。
【0026】
パルス電圧φVCPは、各クランプトランジスタ150に加えられ、またパルス電圧φVSHは、各サンプルトランジスタ151に加えられる。これらのパルス電圧φVCP,φVSHは、画素の読み出し期間に加えられ、かつ排出期間の前後に加えられる。これによって、読み出し期間の信号電圧がクランプされて、この信号電圧と排出期間後の信号電圧の差が形成され、この差の信号電圧がサンプリングされて保持される。
【0027】
一方、各パルス電圧φ(j),φ(j+1),……は、各ドライブトランジスタ152の信号電圧の出力を指示するものであり、読み出し期間の後に、水平走査回路145から各水平選択トランジスタ153に順次加えられる。これらのパルス電圧φに応答して、各ドライブトランジスタ152の信号電圧が各水平選択トランジスタ153を通じて共通信号線154へと順次送出され、更に画像信号OSとして出力される。
【0028】
この様に各画素毎に、読み出し期間の信号電圧と排出期間後の信号電圧の差を形成し、この差の信号電圧を画像信号OSとして出力するので、各画素のしきい値のバラツキを原因とする各画素の固定パターンノイズを抑制することができる。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、各画素のしきい値のバラツキを原因とする固定パターンノイズを抑制したものの、各ドライブトランジスタ152のしきい値のバラツキによっても、同様の固定パターンノイズが発生し、これを解決するには至っていない。
【0030】
各ドライブトランジスタ152のしきい値のバラツキは、図11における画像信号OSのΔVによって表される。
【0031】
この様な各ドライブトランジスタ152のしきい値のバラツキに基づく固定パターンノイズは、画像上で水平方向にランダムであっても、垂直方向に並ぶ各画素で共通のものとなるので、縦縞模様の顕著な固定パターンノイズとなり、画質を著しく損なうことになる。
【0032】
また、各ドライブトランジスタ152には、コンダクタンスのバラツキを伴うから、これも同様の縦縞模様の固定パターンノイズの原因となる。
【0033】
そこで、この発明は、この様な従来技術の課題を解決するものであって、上記ドライブトランジスタ、つまりサンプリングされた信号電圧を保持して出力するトランジスタが原因となる固定パターンノイズを大幅に低減することが可能な増幅型固体撮像装置を提供することを目的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この発明は、光電変換手段と、この光電変換手段によって形成された信号電荷を信号電圧に変換して増幅する増幅手段からなる増幅型光電変換素子を備え、この増幅型光電変換素子を垂直信号線に接続し、この垂直信号線をインピーダンス変換手段及びスイッチ手段を介して共通信号線に接続し、増幅型光電変換素子の信号電圧を垂直信号線、インピーダンス変換手段及びスイッチ手段を介して共通信号線に伝送する増幅型固体撮像装置において、インピーダンス変換手段の入力を基準電圧にリセットするリセット手段を更に備え、スイッチ手段をオンとして、増幅型光電変換素子の信号電圧を共通信号線に伝送している期間の途中で、リセット手段によってインピーダンス変換手段の入力を基準電圧にリセットし、これによって信号電圧並びに基準電圧を1組として共通信号線に伝送する。
【0035】
この様に増幅型光電変換素子の信号電圧を共通信号線に伝送している期間の途中で、リセット手段によってインピーダンス変換手段の入力を基準電圧にリセットし、信号電圧並びに基準電圧を1組として共通信号線に伝送しておけば、後段の回路において、信号電圧並びに基準電圧の差を求めて、この差を改めて信号電圧とすることによって、インピーダンス変換手段の特性のバラツキ、例えばインピーダンス変換手段がトランジスタであれば、しきい値やコンダクタンスのバラツキの影響を排除することができ、このバラツキを原因とする画素の固定パターンノイズを抑制することができる。
【0036】
また、この様な構成において、垂直信号線には、増幅型光電変換素子からの電圧をクランプする第1クランプ手段と、この第1クランプ手段からの電圧をサンプリングして保持する第1サンプルホールド手段を挿入し、第1サンプルホールド手段によって保持された電圧を信号電圧としてインピーダンス変換手段に入力しても良い。読み出し期間に、第1クランプ手段によって、画素からの信号電圧をクランプし、排出期間後に、この第1クランプ手段によって、読み出し期間の信号電圧と該排出期間後の信号電圧の差を形成し、第1サンプルホールド手段によって、この差の信号電圧を形成すれば、画素のしきい値を原因とする固定パターンノイズを抑制することができ、先のインピーダンス変換手段の特性のバラツキを原因とする画素の固定パターンノイズの抑制と相乗の効果を望める。
【0037】
前記基準電圧は、前記第1クランプ手段によるクランプ電圧である
【0038】
前記光電変換手段の信号電荷に対応する信号電圧を前記増幅型光電変換素子から読み出す読み出し期間と、前記光電変換手段の信号電荷を排出する排出期間が存在し、前記第1クランプ手段は、前記読み出し期間に、前記増幅型光電変換素子からの信号電圧をクランプし、前記排出期間後に、前記読み出し期間における前記増幅型光電変換素子からの信号電圧と、この排出期間後における前記増幅型光電変換素子からの信号電圧の差を形成し、前記第1サンプルホールド手段は、前記第1クランプ手段によって形成された前記差をサンプリングして保持し、この差を信号電圧として前記インピーダンス変換手段に出力する
【0039】
前記共通信号線に接続された第2クランプ手段及び第2サンプルホールド手段を更に備え、前記第2クランプ手段は、前記共通信号線からの1組の信号電圧並びに基準電圧のうちの前者の信号電圧が出力されている期間に該信号電圧をクランプし、その後に入力される基準電圧とによって、該1組の信号電圧と基準電圧の差を形成し、前記第2サンプルホールド手段は、該第2クランプ手段によって形成された前記差をサンプリングして保持し、この差を出力する
前記共通信号線に接続された第3及び第4サンプルホールド手段と、これらの第3及び第4サンプルホールド手段の出力の差を求める演算手段とを備え、前記第3サンプルホールド手段は、前記共通信号線からの1組の信号電圧並びに基準電圧のうちの前者をサンプリングして保持し、前記第4サンプルホールド手段は、信号電圧並びに基準電圧のうちの後者をサンプリングして保持し、前記演算手段は、第3及び第4サンプルホールド手段によって保持されている信号電圧と基準電圧の差を求めて、この差を出力する
【0040】
前記増幅型光電変換素子が複数であって、複数の増幅型光電変換素子が行列状態に配列されており、前記信号電圧並びに前記基準電圧を1組として前記共通信号線に伝送する動作が水平方向の1行における各増幅型光電変換素子について行われ、水平方向の1行における各増幅型光電変換素子について行われた動作が各行毎に繰り返される。
【0041】
前記増幅型光電変換素子が複数であって、複数の増幅型光電変換素子が行列状態に配列されており、前記第1クランプ手段は、前記信号電圧並びに前記基準電圧を1組として前記共通信号線に伝送する動作が水平方向の1行における各増幅型光電変換素子について行われると、クランプ動作を行うことなく、前回のクランプ状態を保持したまま、前記読み出し期間における増幅型光電変換素子からの信号電圧と、前記排出期間後における増幅型光電変換素子からの信号電圧の差を形成し、前記第1サンプルホールド手段は、この差をサンプリングして保持し、前記インピーダンス変換手段並びに前記スイッチ手段を介してこの差を信号電圧として前記共通信号線に伝送し、前記リセット手段は、前記インピーダンス変換手段の出力が前記共通信号線に伝送されている間に、前記インピーダンス変換手段の入力を基準電圧にリセットし、これによって、再度、信号電圧並びに基準電圧を1組として共通信号線に伝送する動作が行われ、この、再度、信号電圧並びに基準電圧を1組として共通信号線に伝送する動作が予め定められた回数だけ繰り返され、この一連の動作が水平方向の1行における各増幅型光電変換素子について行われ、水平方向の1行における各増幅型光電変換素子について行われた動作が各行毎に繰り返される。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0043】
図1は、この発明の増幅型固体撮像装置の一実施形態を示している。この実施形態の装置は、図10の装置に対して各アンド回路11、制御信号線12及び各リセットトランジスタ13を増設してなる。 なお、同図において、図10と同様の作用を果たす部位には同じ符号を付する。
【0044】
各アンド回路11は、水平走査回路145から垂直走査線146を通じての信号を入力すると共に、制御信号線12のパルス電圧φHRを入力し、これらの論理積を各リセットトランジスタ13に加える。
【0045】
各リセットトランジスタ13は、各アンド回路11の論理積に応答してオンとなり、各ドライブトランジスタ152のゲートをクランプ電圧VVCPの信号線158に接続する。これによって、各ドライブトランジスタ152の入力が基準電圧VSETにリセットされ、その出力が基準電圧VSETとなる。
【0046】
さて、水平方向の1行の各画素の光電変換部131は、読み出し期間に、第1垂直走査回路141からのパルス電圧φを同時に入力し、それぞれの信号電圧Vsigを増幅部132を介して各垂直信号線140に出力する。また、同じ行の各画素の光電変換部131は、排出期間に、第2垂直走査回路142からのパルス電圧φを同時に入力し、それぞれの信号電荷を排出する。
【0047】
クランプ回路においては、読み出し期間に、クランプトランジスタ150をオンにすることによって、画素からの信号電圧Vsigをクランプ電圧VVCPに変換し、引き続いてクランプトランジスタ150をオフにする。この後、排出期間に画素の信号電荷が排出されると、画素からの信号電圧Vresを入力して、VVCP−(Vsig−Vres)を形成する。例えば、クランプ電圧VVCPが接地電位であれば、信号電圧[−(Vsig−Vres)]を形成することとなる。
【0048】
サンプルホールド回路においては、クランプ回路によって上記差の信号電圧[−(Vsig−Vres)]が形成されてから、サンプルトランジスタ151をオンとし、この差の信号電圧[−(Vsig−Vres)]をドライブトランジスタ152のゲートに加える。ドライブトランジスタ152は、この差の信号電圧[−(Vsig−Vres)]をゲートの容量に保持しつつ、オンとなり、電流増幅した該信号電圧[−(Vsig−Vres)]を出力する。
【0049】
このとき、水平選択トランジスタ153は、水平走査回路145から垂直走査線146を通じての信号に応答してオンとなり、ドライブトランジスタ152の信号電圧[−(Vsig−Vres)]を共通信号線154に送出する。
【0050】
このドライブトランジスタ152の信号電圧[−(Vsig−Vres)]を共通信号線154へと送出している途中で、アンド回路11の出力、つまり水平走査回路145から垂直走査線146を通じて水平選択トランジスタ153へと出力される信号と制御信号線12のパルス電圧φHRの論理積がハイレベルとなり、リセットトランジスタ13がオンとなって、ドライブトランジスタ152のゲートがリセットされ、その電位が基準電圧VSETとなる。
【0051】
このため、ドライブトランジスタ152からは、信号電圧[−(Vsig−Vres)]と基準電圧VSETが連続的に出力され、これらが1組となって、共通信号線154に伝送される。
【0052】
この様な動作は、水平方向の1行の各画素について行われる。この結果、各画素毎に、画素の信号電荷に基づく信号電圧[−(Vsig−Vres)]と基準電圧VSETが1組となって、共通信号線154に伝送される。
【0053】
各画素について逐次形成された各組の信号電圧[−(Vsig−Vres)]と基準電圧VSETは、共通信号線154を通じて各トランジスタ156,157間から出力され、画像信号OSとして取り出される。
【0054】
図2には、この実施形態の装置における各信号のタイミングを示している。 なお、同図において、図11に示すものと同様の作用を果たす各信号には、同じ符号を付する。
【0055】
この図2において、各パルス電圧φ(i),φ(i+1),φ(i+2),……は、第1垂直走査回路141から各第1水平走査線143に順次加えられるものであり、このパルス電圧φに応答して、水平方向の1行における各画素からそれぞれの信号電圧Vsigが出力される。
【0056】
また、各パルス電圧φ(i),φ(i+1),φ(i+2),……は、第2垂直走査回路142から各第2水平走査線144に順次加えられるものであり、このパルス電圧φに応答して、水平方向の1行における各画素からそれぞれの信号電荷が排出される。
【0057】
パルス電圧φVCPは、各クランプトランジスタ150に加えられ、またパルス電圧φVSHは、各サンプルトランジスタ151に加えられる。これらのパルス電圧φVCP,φVSHによって、読み出し期間の信号電圧がクランプされて、この信号電圧と排出期間後の信号電圧の差が形成され、この差の信号電圧がサンプリングされて保持される。
【0058】
制御信号線12のパルス電圧φHRは、水平走査回路145から各ドライブトランジスタ152に加えられる各パルス電圧φ(j),φ(j+1),……に同期しており、これらのパルス電圧φ(j),φ(j+1),……の途中でハイレベルとなる。
【0059】
各アンド回路11は、制御信号線12のパルス電圧φHRと各パルス電圧φ(j),φ(j+1),……を入力するので、これらのパルス電圧φ(j),φ(j+1),……の途中から、ハイレベルの各論理積φHR(j),φHR(j+1),……を出力する。
【0060】
この様な各論理積φHR(j),φHR(j+1),……は、各リセットトランジスタ13に順次加えられ、これらのリセットトランジスタ13を順次オンにし、これに伴って信号電圧[−(Vsig−Vres)]を出力している途中で、各ドライブトランジスタ152のゲートが順次リセットされて、それらの電位が基準電圧VSETとなる。
【0061】
この結果、各ドライブトランジスタ152は、信号電圧[−(Vsig−Vres)]と基準電圧VSETを1組として共通信号線154に逐次送出する。
【0062】
この様に各ドライブトランジスタ152毎に、信号電圧[−(Vsig−Vres)]と基準電圧VSETを1組として、共通信号線154に送出しておけば、後段の回路において、各ドライブトランジスタ152の信号電圧[−(Vsig−Vres)]と基準電圧VSETの差を求め、これらの差を改めてそれぞれの信号電圧として扱うことによって、各ドライブトランジスタ152のしきい値やコンダクタンスのバラツキの影響を排除することができ、このバラツキを原因とする各画素の固定パターンノイズを抑制することができる。
【0063】
図3は、各ドライブトランジスタ152の信号電圧[−(Vsig−Vres)]と基準電圧VSETの差を求め、これらの差を改めてそれぞれの信号電圧とする回路の一例を示している。
【0064】
同図において、第2クランプ回路21は、図1の各トランジスタ156,157間から画像信号OSとして出力された各組の信号電圧[−(Vsig−Vres)]と基準電圧VSETを順次入力する。
【0065】
信号電圧[−(Vsig−Vres)]と基準電圧VSETの各組毎に、第2クランプ回路21は、信号電圧[−(Vsig−Vres)]の期間に、パルス電圧φHCP(図2に示す)を入力して、この信号電圧[−(Vsig−Vres)]をクランプし、この後に基準電圧VSETを入力して、信号電圧[−(Vsig−Vres)]と基準電圧VSETの差に相当する電圧を形成して、この差の電圧を出力する。
【0066】
第2サンプルホールド回路22は、パルス電圧φHSH(図2に示す)を入力すると、第2クランプ回路21によって形成された差の電圧を保持し、この差の電圧を増幅回路23を介して出力する。
【0067】
図4は、各ドライブトランジスタ152の信号電圧[−(Vsig−Vres)]と基準電圧VSETの差を求め、これらの差を改めてそれぞれの信号電圧とする回路の他の例を示している。
【0068】
同図において、第3サンプルホールド回路31は、信号電圧[−(Vsig−Vres)]の期間に、パルス電圧φHCP(図2に示す)を入力して、この信号電圧[−(Vsig−Vres)]を保持する。また、第4サンプルホールド回路32は、基準電圧VSETの期間に、パルス電圧φHSH(図2に示す)を入力して、この基準電圧VSETを保持する。
【0069】
差動増幅回路33は、信号電圧[−(Vsig−Vres)]と基準電圧VSETの差を求め、この差の電圧を出力する。
【0070】
ところで、上記実施形態の装置においては、ドライブトランジスタ152の出力を水平選択トランジスタ153を通じて取り出した後に、リセットトランジスタ13のオンによって、ドライブトランジスタ152のゲートをクランプ電圧VVCPの信号線158に接続し、このゲートの信号電荷を信号線158に排出してしまうので、このドライブトランジスタ152の出力を繰り返して読み出すことはできない。
【0071】
そこで、ドライブトランジスタの同一出力を2度以上繰り返して読み出すことを可能にする方法を他の実施形態として次に述べる。
【0072】
この他の実施形態の装置は、図1に示すものと同様の構成であって、図2に示す様な各信号のタイミングとは別に、図5に示す様な各信号のタイミングを採用している。
【0073】
ここでは、水平方向に1行の各画素の信号を1水平走査期間(1H)に読み出す動作を2回繰り返し、この動作を各行で同様に行い、順次繰り返すため、各行からの読み出しは2H毎となり、水平走査期間が図2の場合の2倍の長さに設定されている。
【0074】
各画素の読み出し期間を指示する各パルス電圧φ(i),φ(i+1),……は、図2に示す水平走査期間1Hよりも長く設定されており、このパルス電圧φに応答して、水平方向の1行における各画素の光電変換部131からそれぞれの信号電圧Vsigが出力される。
【0075】
各画素の排出期間を指示する各パルス電圧φ(i),φ(i+1),……は、読み出し期間に2回だけハイレベルとなって現れ、最初のパルス電圧φに応答して、水平方向の1行における各画素の光電変換部131からそれぞれの信号電荷が排出される。
【0076】
したがって、画素の読み出し期間のうちの最初のパルス電圧φまでの期間Tでは、信号電圧Vsigが画素から出力される。また、引き続く期間Tでは、画素の信号電荷を既に排出しているので、この信号電荷を排出後の信号電圧Vresが画素から出力されることになる。
【0077】
パルス電圧φVCPは、読み出し期間に1回だけハイレベルとなって現れ、画素から読み出された信号電圧Vsigをクランプするために、各クランプトランジスタ150に加えられられる。
【0078】
また、パルス電圧φVSHは、各パルス電圧φ(i),φ(i+1),……に引き続いてハイレベルとなって現れ、つまり読み出し期間に2回だけハイレベルとなって現れ、信号電圧Vsigと排出期間後の信号電圧Vresの差をサンプリングして保持するために、各サンプルトランジスタ151に加えられる
【0079】
水平走査回路145からの各読出し信号φ (j)(図示せず)は、制御信号線12のパルス電圧φ HR と同期して、最初のパルス電圧φVSHの後に現れ、2番目のパルス電圧φVSHの後にも現れる。いずれのときにも、パルス電圧φHRに同期して、各ドライブトランジスタ152の出力が共通信号線154に送出される。
【0080】
ここでは、信号電圧Vsigが画素から出力されるのは、期間Tのみであり、引き続く期間Tには、排出期間後の信号電圧Vresが出力され続ける。ところが、パルス電圧φVCPに応答して信号電圧Vsigをクランプすると、クランプ回路の実電位はφ に応じて変化しても、V sig の値はクランプ電位V VCP として仮想的に保持され続けている。すなわち、V sig とV res との差信号は、φ を印加する毎に、クランプ電位V VCP からの差として得られるので、最初のパルス電圧φVSHを各サンプルトランジスタ151に加えたときには勿論のこと、2番目のパルス電圧φVSHを各サンプルトランジスタ151に加えたときにも、この差の信号電圧をドライブトランジスタ152のゲートの容量に加えて保持することができる。
【0081】
このため、最初のパルス電圧φVSHの後に、パルス電圧φ HR に同期した水平読出し信号φ (j)により、差の信号電圧が各ドライブトランジスタ152から共通信号線154へと送出され、かつ2番目のパルス電圧φVSHの後にも、パルス電圧φHRに同期して、差の信号電圧がドライブトランジスタ152から共通信号線154へと送出される。
【0082】
すなわち、2水平走査期間2Hの間に、ドライブトランジスタの同一出力が2度繰り返して読み出される。
【0083】
なお、再度、パルス電圧φVCPを各クランプトランジスタ150に加えない限り、 sig の値がクランプ電位V VCP として仮想的にクランプ回路に保持され続けるので、水平走査期間を更に引き延ばして、パルス電圧φVSHを各サンプルトランジスタ151に加えることと、各ドライブトランジスタの出力を読み出すことを3回以上繰り返すことも可能である。勿論、ドライブトランジスタの出力と基準電圧VSETを1組として共通信号線154に送出するので、各ドライブトランジスタの特性のバラツキの影響を避けることが可能である。
【0084】
【発明の効果】
以上説明した様に、この発明によれば、増幅型光電変換素子の信号電圧を共通信号線に伝送している期間の途中で、リセット手段によってインピーダンス変換手段の入力を基準電圧にリセットし、信号電圧並びに基準電圧を1組として共通信号線に伝送するので、後段の回路において、信号電圧並びに基準電圧の差を求めて、この差を改めて信号電圧とすることによって、インピーダンス変換手段の特性のバラツキの影響を排除することができ、このバラツキを原因とする画素の固定パターンノイズを抑制することができる。
【0085】
また、この発明を周知のCDSと組み合わせて、各画素のしきい値のバラツキの影響をも排除すれば、固定パターンノイズを大幅に低減することができ、極めて高品位の画像を得ることができる。
【0086】
更に、信号電圧並びに基準電圧を1組として共通信号線に伝送しながら、同一の信号電圧を複数回繰り返して読み出すことが可能となり、様々な応用を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の増幅型固体撮像装置の一実施形態を示す回路図
【図2】図1の装置における各信号のタイミングを示すタイミングチャート
【図3】図1の装置の出力を処理する回路の一例を示すブロック図
【図4】図1の装置の出力を処理する回路の他の例を示すブロック図
【図5】この発明の増幅型固体撮像装置の他の実施形態における各信号のタイミングを示すタイミングチャート
【図6】従来の横型の画素を例示する回路図
【図7】従来の縦型の画素を例示する回路図
【図8】従来の画素の他の例を示す回路図
【図9】図6乃至図8の回路を模式的に示すブロック図
【図10】従来の増幅型固体撮像装を示すブロック図
【図11】図10の装置における各信号のタイミングを示すタイミングチャート
【符号の説明】
11 アンド回路
12 制御信号線
13 リセットトランジスタ
131 光電変換部
132 増幅部
140 垂直信号線
141 第1垂直走査回路
142 第2垂直走査回路
143 第1水平走査線
144 第2水平走査線
145 水平走査回路
146 垂直走査線
147 相関2重サンプリング回路
150 クランプトランジスタ
151 サンプルトランジスタ
152 ドライブトランジスタ
153 水平選択トランジスタ
154 共通信号線
155,156,157 トランジスタ

Claims (7)

  1. 光電変換手段と、この光電変換手段によって形成された信号電荷を信号電圧に変換して増幅する増幅手段からなる増幅型光電変換素子を備え、この増幅型光電変換素子垂直信号線に接続され、この垂直信号線が、第1クランプ手段および第1サンプルホールド手段を介して、インピーダンス変換手段に接続され、さらに、該インピーダンス変換手段が、スイッチ手段を介して共通信号線に接続され前記増幅型光電変換素子の信号電圧が前記垂直信号線、前記第1クランプ手段、前記第1サンプルホールド手段、前記インピーダンス変換手段及び前記スイッチ手段を介して前記共通信号線に伝送される増幅型固体撮像装置において、
    前記インピーダンス変換手段の入力を基準電圧にリセットするリセット手段を更に備え、
    前記リセット手段は、前記スイッチ手段がオンされて、前記インピーダンス変換手段の出力が前記共通信号線に伝送されている間に、前記インピーダンス変換手段の入力基準電圧にリセットし、これによって前記信号電圧並びに前記基準電圧を1組として前記共通信号線に伝送する、増幅型固体撮像装置。
  2. 前記基準電圧は、前記第1クランプ手段によるクランプ電圧である請求項1に記載の増幅型固体撮像装置。
  3. 前記光電変換手段の信号電荷に対応する信号電圧を前記増幅型光電変換素子から読み出す読み出し期間と、前記光電変換手段の信号電荷を排出する排出期間が存在し、
    前記第1クランプ手段は、前記読み出し期間に、前記増幅型光電変換素子からの信号電圧をクランプし、前記排出期間後に、前記読み出し期間における前記増幅型光電変換素子からの信号電圧と、この排出期間後における前記増幅型光電変換素子からの信号電圧の差を形成し、
    前記第1サンプルホールド手段は、前記第1クランプ手段によって形成された前記差をサンプリングして保持し、この差を信号電圧として前記インピーダンス変換手段に出力する請求項1に記載の増幅型固体撮像装置。
  4. 前記共通信号線に接続された第2クランプ手段及び第2サンプルホールド手段を更に備え、
    前記第2クランプ手段は、前記共通信号線からの1組の信号電圧並びに基準電圧のうちの前者の信号電圧が出力されている期間に該信号電圧をクランプし、その後に入力される基準電圧とによって、該1組の信号電圧と基準電圧の差を形成し、
    前記第2サンプルホールド手段は、第2クランプ手段によって形成された前記差をサンプリングして保持し、この差を出力する請求項1乃至3のいずれかに記載の増幅型固体撮像装置。
  5. 前記共通信号線に接続された第3及び第4サンプルホールド手段と、これらの第3及び第4サンプルホールド手段の出力の差を求める演算手段とを備え、
    前記第3サンプルホールド手段は、前記共通信号線からの1組の信号電圧並びに基準電圧のうちの前者をサンプリングして保持し、
    前記第4サンプルホールド手段は、信号電圧並びに基準電圧のうちの後者をサンプリングして保持し、
    前記演算手段は、第3及び第4サンプルホールド手段によって保持されている信号電圧と基準電圧の差を求めて、この差を出力する、請求項1乃至3のいずれかに記載の増幅型固体撮像装置。
  6. 前記増幅型光電変換素子が複数であって、複数の増幅型光電変換素子が行列状態に配列されており、
    前記信号電圧並びに前記基準電圧を1組として前記共通信号線に伝送する動作が水平方向の1行における各増幅型光電変換素子について行われ、
    水平方向の1行における各増幅型光電変換素子について行われた動作が各行毎に繰り返される請求項1乃至5のいずれかに記載の増幅型固体撮像装置。
  7. 前記増幅型光電変換素子が複数であって、複数の増幅型光電変換素子が行列状態に配列されており、
    前記第1クランプ手段は、前記信号電圧並びに前記基準電圧を1組として前記共通信号線に伝送する動作が水平方向の1行における各増幅型光電変換素子について行われると、クランプ動作を行うことなく、前回のクランプ状態を保持したまま、前記読み出し期間における増幅型光電変換素子からの信号電圧と、前記排出期間後における増幅型光電変換素子からの信号電圧の差を形成し、
    前記第1サンプルホールド手段は、この差をサンプリングして保持し、前記インピーダンス変換手段並びに前記スイッチ手段を介してこの差を信号電圧として前記共通信号線に伝送し、
    前記リセット手段は、前記インピーダンス変換手段の出力が前記共通信号線に伝送されている間に、前記インピーダンス変換手段の入力を基準電圧にリセットし、
    これによって、再度、信号電圧並びに基準電圧を1組として共通信号線に伝送する動作が行われ、
    この、再度、信号電圧並びに基準電圧を1組として共通信号線に伝送する動作が予め定められた回数だけ繰り返され、
    この一連の動作が水平方向の1行における各増幅型光電変換素子について行われ、
    水平方向の1行における各増幅型光電変換素子について行われた動作が各行毎に繰り返される請求項3に記載の増幅型固体撮像装置。
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