JP3543596B2 - 自動車のフロア構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のフロア構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のフロア構造の中には、例えば実開平6−83572号公報に示されているように、車両の側面衝突時におけるセンターピラーの内倒れ防止対策として、センターピラーの下側部とサイドシルのセンターピラー立設部に車幅方向に結合したクロスメンバの側部とに跨ってレインフォースを結合配置したものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
自動車の室内における高い居住快適性への追求から、フロントシートのシートバックのリクライニング回動の許容角度を拡大したいという要求があるが、従来レインフォースは全体に亘って断面略ハット型に形成されており、シートバックを後方にリクライニングさせようとした場合、図2中に仮想線で示すようにフロントシートのシートバック7の側部後面がこのレインフォース6の車両側部側の略半部の上部前端に当接してしまい、シートバック7のリクライニング回動角度が規制されてしまうという不具合があった。
【0004】
そこで、本発明は車両の側面衝突時のセンターピラーの内倒れ防止と、フロントシートのシートバックのリクライニング回動許容角度を高めることによる居住快適性の向上との両立を図ることができる自動車のフロア構造を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1にあっては、センターピラーの下側基部と、該センターピラー立設部近傍に位置するフロアパネルとに亘ってレインフォースを結合配置した構造において、該レインフォースの車両中央側の略半部をフロアパネルに結合する一方、車両側部側の略半部を断面略チャンネル形に形成すると共に、センターピラー側へ移行するのに従って漸次上昇するように形成して、その端部をセンタピラーに結合し、かつ、該レインフォースの車両側部側の略半部の前部上面にフロントシートのシートバックの側部後面を受ける前方に傾斜したシート受け部を形成し、レインフォース上にはリヤシートクッションの前側部が配置され、かつ、該レインフォースの車両側部側の略半部の後部上面にシート受け部の上端に連続して、車室内に屈んで入り込む作業者の膝部をリヤシートクッションを介して受ける、後方に傾斜した膝受け部を形成したことを特徴としている。
【0006】
請求項2にあっては、請求項1に記載のレインフォースの車両側部側の略半部の内側にブレースを接合して、該ブレースによりシート受け部の裏側に前後方向に複数個の閉断面部を形成したことを特徴としている。
【0008】
請求項3にあっては、請求項1又は2に記載のレインフォースの車両側部側の略半部の内側にブレースを接合して、該ブレースによりシート受け部の後部と膝受け部の裏側に閉断面部を形成したことを特徴としている。
【0009】
【発明の効果】
請求項1によれば、センターピラーの下側基部と、該センターピラー立設部近傍に位置するフロアパネルとに亘ってレインフォースを結合配置した構造において、該レインフォースの車両中央側の略半部をフロアパネルに結合する一方、車両側部側の略半部を断面略チャンネル形に形成すると共に、センターピラー側へ移行するのに従って漸次上昇するように形成して、その端部をセンタピラーに結合してあるため、車両の側面衝突時にあっては、該レインフォースが突っ張り材として働くと共に、このレインフォースを介して衝突荷重をフロア骨格部材に分散させてフロア骨格部材全体でセンターピラーの内倒れを防止し、乗員の生存空間を確保できることは勿論、レインフォースの車両側部側の略半部の前部上面にフロントシートのシートバックの側部後面を受ける前方に傾斜したシート受け部を形成してあるため、フロントシートのシートバックを後方へリクライニング回動させた場合、この前方に傾斜したシート受け部によりレインフォースの上部前端とシートバック側部後面とが干渉することがなく、フロントシートのシートバックのリクライニング回動許容角度が拡大され、車内の居住快適性を向上することが出来る。
また、レインフォース上にはリヤシートクッションの前側部が配置され、かつ、該レインフォースの車両側部側の略半部の後部上面にシート受け部の上端に連続して、車室内に屈んで入り込む作業者の膝部をリヤシートクッションを介して受ける、後方に傾斜した膝受け部を形成してあるため、作業者が膝部をリヤシートクッションの前記レインフォース配設部分にのせて車室内に屈み込んで入り込むようにして作業する場合であっても、作業者の膝部がレインフォースの稜線部分に当たるのを防止して作業者の足への負担を軽減することが出来る。
【0010】
請求項2によれば、請求項1の効果に加えて、レインフォースの車両側部側の略半部の内側にブレースを接合して、該ブレースによりシート受け部の裏側に前後方向に複数個の閉断面部を形成してあるため、シート受け部の形成によってレインフォース断面積が減少するにも関わらずレインフォースの剛性を高められ、車両の側面衝突時に該レインフォースを介して側突荷重をフロア骨格部材に分散させてセンターピラーの内倒れを防止し、乗員の生存空間を確保することが出来る。
【0012】
請求項3によれば、請求項1又は2の効果に加えて、レインフォースの車両側部側の略半部の内側にブレースを接合して、該ブレースによりシート受け部の後部と膝受け部の裏側に閉断面部を形成してあるため、レインフォースの剛性をより一層高められ、車両の側面衝突時に該レインフォースを介して側突荷重をフロア骨格部材に分散させてセンターピラーの内倒れを防止し、乗員の生存空間を確実に確保することが出来る。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面と共に詳述する。
【0014】
図1,2において、1は車体上下方向の骨格部材を構成するセンターピラーを示し、その下側基部1aは所要の強度剛性が得られるように前後方向に末広がり状に形成してある。
【0015】
このセンターピラー1の立設部近傍では、フロントフロアパネル2の後端に縦壁3Aを介してリヤフロアパネル3を接合してフロアパネルを高床に形成してあり、これらフロントフロアパネル2,リヤフロアパネル3の各側縁部はそれぞれ車両側部の前後方向骨格部材である図外のサイドシルなどに接合してある。
【0016】
また、リアフロアパネル3の上面3Bの前端に位置する部位と、縦壁3Aとは、断面略L字型のクロスメンバ12よって結合され、車幅方向に延びるボックス断面を形成して剛性向上を図っている。
【0017】
4は前記センターピラー1の下側基部1aと、リヤフロア3とに亘って結合配置したレインフォースを示しており、具体的には断面逆L字状に形成された該レインフォース4の車両中央側の略半部は、その上壁4cをリヤフロアパネル3の上面3Bに、前壁4dをリヤフロアパネル3の縦壁3Aにそれぞれ接合してある。
【0018】
一方、該レインフォース4はセンターピラー1側に移行するに従って漸次上昇するように形成してあり、車両側部側の略半部を断面略チャンネル形に形成して、その端部のフランジ部4eを前記センタピラー1の側面に結合してある。
【0019】
7はリクライニング機構付きのフロントシートのシートバック、8はシートクッションを示す。
【0020】
前記レインフォース4の車両側部側の略半部の前部上面にはフロントシートの後方へのリクライニング回動時に、該シートバック7の側部後面を受ける、前方に傾斜したシート受け部4aを形成してある。
【0021】
また、特にこの実施形態にあっては、該レインフォース4上には図外のリヤシートクッションの前側部が配置され、前記レインフォース4の車両側部側の略半部の後部上面に前記シート受け部4aの上端に連続して、車室内後部のシートバック9などの取付作業時に車室内に屈んで入り込む作業者の膝部を図外のリヤシートクッションを介して受ける、後方に傾斜した膝受け部4bを形成してある。
【0022】
さらに、このレインフォース4の車両側部側の略半部の内側にブレース5を接合して、該ブレース5によりシート受け部4aの裏側に前後方向に閉断面部13,14を形成してある。
【0023】
このブレース5の具体的な取付は、レインフォース4の車両側部側の略半部の下面に該ブレース5を重合してサブアッセンブリし、その前端のフランジ部5aをレインフォース4のフランジ4eと共に、センターピラー1の側面に接合するようにしてある。
【0024】
なお、図2中、10はフロアパネル上を後方に向けて配設されるハーネスコード類11をリヤフロアパネル3上に固定するハーネスブラケットを示しており、該ハーネスブラケット10は前述のようにセンターピラー1側に移行するに従って漸次上昇するように形成されたレインフォース4の下方空間部分を通してある。
【0025】
以上の実施形態の構造によれば、レインフォース4の車両中央側の略半部を逆L字状に形成して、その端部の上面4c,前壁4dをセンターピラー1の立設部近傍で高床に形成されたリヤフロア3の縦壁3Aおよび上面3B前端にそれぞれ結合する一方、センターピラー1側に移行するに従って漸次上昇するように形成したレインフォース4の車両側部側の略半部の端部のフランジ部4eを前記センタピラー1に結合してあるため、車両の側面衝突時にあっては、該レインフォース4が突っ張り材として働くと共に、このレインフォース4を介して衝突荷重をフロア骨格部材に分散させフロア骨格部材全体でセンターピラー1の内倒れを防止し、乗員の生存空間を確保できることはもちろん、このレインフォース4の前部上面にフロントシートの後方へのリクライニング回動時のシートバック7の側部後面を受けるように前方に傾斜したシート受け部4aを形成してあるので、該シートバック7を後方へリクライニング回動させた場合、このシート受け部4aによりレインフォース4の車両側部側の上部前端とシートバック7側部後面とが干渉せず、フロントシートのシートバック7のリクライニング回動許容角度が拡大され、車内の居住快適性を向上することが出来る。
【0026】
また、特にこの実施形態にあっては、前記レインフォース4の車両側部側の略半部の後部上面に前記シート受け部4aの上端に連続して、車室内後部のシートバックなどの取付作業時などに車室内に屈み込んで入り込む作業者の膝部を図外のリヤシートクッションを介して受ける、後方に傾斜した膝受け部4bを形成してあるため、作業者のレインフォース4配設部分に乗せた膝部が、レインフォース4の稜線部分に当たるのを防止して作業者の足への負担を軽減することが出来る。
【0027】
なお、本実施形態のようにレインフォース4上にはリヤシートクッションの前側部が配置されているが、レインフォース4のセンターピラー1側に移行するに従って漸次上昇するように形成した車両側部側の略半部と、リヤシートクッションとのラップ部分はわずかであり、しかも該シートクッションは十分な柔軟性を有しているため、リヤシートクッションはフロントシートのシートバック7の後方へのリクライニング回動には些かの影響も与えることはない。
【0028】
さらに、レインフォース4の下面内側にブレース5を接合して、該ブレース5によりシート受け部4aの裏側に前後方向に複数個の閉断面部13,14を形成してあるため、シート受け部4aの形成によってレインフォース断面積が減少するにも関わらずレインフォースの剛性を高められ、車両の側面衝突時に該レインフォースを介して側突荷重をフロア骨格部材に分散させてセンターピラーの内倒れを防止し、乗員の生存空間を確保することが出来る。
【0029】
しかも、この実施形態では該ブレース5により閉断面部14をシート受け部4aの後部と膝受け部4bの裏側に形成してあるため、レインフォースの剛性をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す斜視図。
【図2】同実施形態の要部を示す断面図。
【符号の説明】
1 センターピラー
1a 下側基部
2 フロントフロアパネル(フロアパネル)
3 リヤフロアパネル(フロアパネル)
3A 縦壁
3B 上面
4 レインフォース
4a シート受け部
4b 膝受け部
5 ブレース
7 シートバック
9 リヤシートバック
13,14 閉断面部
Claims (3)
- センターピラーの下側基部と、該センターピラー立設部近傍に位置するフロアパネルとに亘ってレインフォースを結合配置した構造において、該レインフォースの車両中央側の略半部をフロアパネルに結合する一方、車両側部側の略半部を断面略チャンネル形に形成すると共に、センターピラー側へ移行するのに従って漸次上昇するように形成して、その端部をセンタピラーに結合し、かつ、該レインフォースの車両側部側の略半部の前部上面にフロントシートのシートバックの側部後面を受ける前方に傾斜したシート受け部を形成し、レインフォース上にはリヤシートクッションの前側部が配置され、かつ、該レインフォースの車両側部側の略半部の後部上面にシート受け部の上端に連続して、車室内に屈んで入り込む作業者の膝部をリヤシートクッションを介して受ける、後方に傾斜した膝受け部を形成したことを特徴とする自動車のフロア構造。
- レインフォースの車両側部側の略半部の内側にブレースを接合して、該ブレースによりシート受け部の裏側に前後方向に複数個の閉断面部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の自動車のフロア構造。
- レインフォースの車両側部側の略半部の内側にブレースを接合して、該ブレースによりシート受け部の後部と膝受け部の裏側に閉断面部を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車のフロア構造。
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JP36141497A JP3543596B2 (ja) | 1997-12-26 | 1997-12-26 | 自動車のフロア構造 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP36141497A JP3543596B2 (ja) | 1997-12-26 | 1997-12-26 | 自動車のフロア構造 |
Publications (2)
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JPH11189175A JPH11189175A (ja) | 1999-07-13 |
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Family
ID=18473484
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JP36141497A Expired - Lifetime JP3543596B2 (ja) | 1997-12-26 | 1997-12-26 | 自動車のフロア構造 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3543596B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10569677B1 (en) | 2018-08-27 | 2020-02-25 | Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America, Inc. | Seat assembly for absorbing energy from a rear occupant in front collision |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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DE112012006141B4 (de) * | 2012-03-29 | 2023-01-05 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Fahrzeugkarosserie |
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-
1997
- 1997-12-26 JP JP36141497A patent/JP3543596B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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