JP3541211B2 - エアバッグの作動判断装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の衝突を検知してエアバッグ装置を作動させるエアバッグ作動判断装置に関するものであり、特に、種々の衝突の形態に対応して適正な作動判断が行える様にした新規なエアバッグの作動判断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より一般に使用されているエアバッグの作動装置としては、感知マスを用いる電気機械式のものと加速度センサを用いる電子式の2方式があり、最近は電子式が主流となっている。電子式の場合の基本的な方式は、加速度センサから出力される加速度値を時間積分し、この時間積分値が所定の閾値を越えた場合にインフレータに点火信号を出力するものである。
【0003】
この方式において、加速度センサを、エアバッグモジュールと一体的に組み込んでステアリングホイールに装着する一体型と、車室内の運転席側部に配置する分離型との2つのタイプがあり、一体型の場合には、ステアリングシャフトを通して伝えられる衝突の衝撃を加速度センサで感知するものであり、一方、分離型の場合には、車体本体に配置された取付金具に加速度センサを設置し、該車体本体を通して伝達される衝突の衝撃を加速度センサで感知するものであるが、いずれの場合にも、剛性の高い、即ち、衝突の際に変形の少ない車室内に設置された加速度センサを通して感知された加速度の変化に基づいてエアバッグ展開の要否の判断を行う様になっている。
【0004】
又、車両前部の衝撃が車室内に伝わり難い一部の車両では、車室内に電子式加速度センサを設置し、車体前部のエンジンルーム等のクラッシュゾーンに機械式センサを配置したシステムが採用されているが、機械式センサの役割は、その特性上、オン/オフ判断しかできず、車室内の加速度センサによる衝突判断システムと並行判断のため、ユニットに対するハンマリング等の局所的な衝撃が入力された場合には、誤作動の可能性もあった。
【0005】
又、最近では、複数のインフレータを設置し、衝突の形態や乗員の状態に対応して、インフレータの出力を適正に制御する事により、エアバッグの展開形態を最適形態に制御するスマートエアバッグシステムと呼ばれる方式が提案されていが、この方式を実現するためには、インフレータの出力制御の演算のために、従来の点火判断タイミングよりも、早いタイミングでの点火判断がなされる必要があるが、係る早期判断方式についての提案はない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、係る問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とする処は、これまでのシステムよりも適正なタイミングでの点火判断を可能にすると共に、ラフロードや異常運転に対する誤作動の可能性を著しく低減させた新規なエアバッグの作動判断装置を提供する事を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、係る観点の元になされたものであって、その特徴とする処は、従来の車室内に設置された電子式の第一加速度センサに加えて、車体前部のクラッシュゾーンにも電子式の第二加速度センサを設置し、両加速度センサで検知された夫々の加速度信号の各種衝突形態における特性の差異に基づいて、エアバッグ展開判断を行う様にした点にある。尚、以下の記載において、『加速度センサ』の記載は、特にことわりのない限り、『電子式加速度センサ』を意味する。
【0008】
具体的な判断方式としては、両加速度センサで検出された加速度値に基づく時間積分値の差を求め、この積分値の差が所定の時間関数の閾値を越えた場合に、インフレータの点火信号を発する様になす事により、ラフロードや異常運転や鹿突(鹿等の動物との衝突。以下同じ。)における誤作動を防止し、且つ高速正突(高速度での正面衝突。以下同じ。)や高速斜突(高速度での斜め前方からの衝突。以下同じ。)における点火タイミングを適正になす事を可能にしている。
【0009】
又、他の判断方式としては、両加速度センサで検出された加速度値に基づく時間積分値の差を求め、この差と、車室内に設置した加速度センサからの加速度値の関数として予め設定された速度関数の閾値とを比較し、該閾値を越えた場合にインフレータの点火信号を発する様になす方式もある。
【0010】
又、他の判断方式としては、従来の車室内に設置した加速度センサからの加速度値に代わって、クラッシュゾーンに配置された加速度で検出された加速度値を時間積分し、得られた時間積分値を、車室内に設置した加速度センサからの加速度値の関数として予め設定された速度関数の閾値と比較し、該閾値を越えた場合に、インフレータの点火信号を発する様になす方式もある。
【0011】
又、他の判断方式としては、両加速度センサで検出された加速度値に基づく時間積分値の差を求め、この差を時間微分して差の変化量を求め、この変化量が所定の時間関数の差分変化閾値を越えた場合にインフレータの点火信号を発する様になす方式もある。
【0012】
又、更に他の方式としては、これらの組合せ或いは、車室内に設置した加速度センサからの加速度値を時間積分し、これを所定の閾値と比較する方式との組合せがあり、これらいずれの方式も、鹿等やラフロードや異常運転での誤作動を防止すると共に、高速正突や高速斜突の様な重大な衝突に対して早い時点で点火判断を可能となし、複数のインフレータを用いて点火タイミングを調整する場合等において有利な方式である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。先ず図1は、本発明のエアバッグ作動判断装置の第一実施例を示すブロック図であり、同図において、加速度センサ1は、車室内に通常通り設置されている加速度センサであり、加速度センサ2は、クラッシュゾーンに設置された加速度センサである。ここで、クラッシュゾーンとは、車体の車室前方の車体内空間を言い、衝突時には車室の圧壊に先行して圧壊し、車室の圧壊を軽減する作用を有する部分であり、一般的にはエンジンルームがこれに該当する。
【0014】
上記両加速度センサ1,2で検出された加速度信号G,G’は、演算回路6を経てリセット回路11,インフレータのトリガ回路12に接続されており、トリガ回路12は、インフレータ(図示せず)を点火してエアバッグ13を展開させる様に構成されている。
【0015】
次に、演算回路6についてを説明すると、車室内加速度センサ1で検出された加速度信号Gは、ブロック3に送信され、該加速度値Gが所定の加速度G1を越えた時点t0 が検出されると、この時点から演算が開始される。次に、ブロック4は減算手段であり、時点t0 以降の加速度値Gより、所定の加速度G2を減算して、加速度信号Gをオフセットする事により、ノイズや微小加速度変化をカットする様にしている。次いで、該減算手段4から出力された減算加速度G3を、積分手段5において時間積分を行い、第一時間積分値Vを算出する。同様に、クラッシュゾーンに設置された加速度センサ2で検出された加速度信号G’は、ブロック3’に送信され、ここで加速度センサ2による検出加速度値G’が所定の加速度G1’を越えた時点t0 ’が検出されると、この時点から衝突判断のための演算が開始され、次のブロック4’で減算処理され、時点t0 ’以降の加速度値G’より、所定の加速度G2’を減算して減算加速度G3’を算出し、次いで積分手段5’において、加速度G3’の時間積分を行って第二時間積分値V’を算出する。
【0016】
ここで、上記車室内に設置した第一加速度センサ1からの加速度信号に基づいて時間積分した第一時間積分値Vと、クラッシュゾーンに設置した加速度センサ2からの加速度信号に基づいて時間積分した第二時間積分値V’との差異について説明する。図9(A),(B)は、上記VとV’との経時変化を示す線図であり、(A)はV−t線図,(B)はV’−t線図であり、時間軸tは同一スケールで示している。同図から明らかな様に、全ての衝突形態において、クラッシュゾーンの加速度センサ2に基づく第二時間積分値V’の方が早い時期に大きな値に達している事が分かる。又、特に重大な衝突1つである高速正突では、V’は速やかに大きな値となり、又、同様に重大な衝突の1つである高速斜突においては、Vは初期に緩やかに増加して途中から急に増加しているが、V’では、高速正突と同様に初期の段階で急激に増加している。更に、中速センタポール突(中速度での鉄柱等の柱状体への正面衝突。以下同じ。)の場合には、ポール衝突部分を中心とした小面積部分が深く圧壊するので、衝突後暫くは、バンパー或いは更に車体最前部のみが圧壊する程度で、基本的にはエアバッグの展開を要しない低速正突よりも低い値を示し、相当時間経過後に、やっと低速衝突よりも高くなっている。このため、Vで判断したのでは、エアバッグが展開しないか或いは展開しても時期を逸した遅い時期に展開するおそれがあるが、V’の場合には、当初から低速正突よりも高い値を示しているのも大きな特徴の1つである。又、鹿突の場合には、Vの場合には僅かな変化しか表れないが、V’の場合には、低速衝突の最大値並みの大きな数値を示している。又、ラフロードの場合には、VもV’も同様な波形をしめしている。これは、ラフロードでは車体自体には何等の圧壊が生じないので、加速度センサの設置場所による差異が生じない事による。以上の様に、衝突初期に車両前部のクラッシュゾーンが局所的に圧壊する中・高速衝突では、Vに比べてV’の方が早期に立ち上がり、クラッシュゾーンに圧壊の生じないラフロード等では、VもV’も略同一の波形を示す。又、クラッシュゾーンの圧壊の少ない低速衝突では、V’はVよりも早期に立ち上がる傾向を示しているが、圧壊の少ない分だけ、その差は少なくなっている。これらの現象から、本発明で用いるクラッシュゾーンに設置した加速度センサ2に基づく第二時間積分値V’と、従来使用されていた車室内に設置した加速度センサ1に基づく第一時間積分値Vとの間には、衝突形態に応じて特異な差異が存在している事が分かる。本発明は、この差異を用いて適正な衝突判断を行う点に最大の特徴が存する。
【0017】
次に、上記V及びV’の差異を用いた具体的なエアバッグの作動判断方式について説明する。第一の方式は、図1に示している様に、減算手段7において、前記クラッシュゾーンに設置した加速度センサ2に基づいて時間積分した第二時間積分値V’から、車室内に設置された加速度センサ1に基づいて時間積分した第一時間積分値Vを減算(V’−V)して、その積分値差Vdを算出し、この積分値差Vdを比較手段8にて、予めブロック10にて時間関数の閾値として設定されている第一時間関数閾値Vs1(t)と比較し、エアバッグ作動要否の判断を行い、積分値差が第一時間閾値以上(Vd≧Vs1(t))の場合には、インフレータトリガ回路12にトリガ信号の出力を指示し、このトリガ信号によってインフレータに点火してエアバッグ13を展開させる事になる。一方、前記積分値差が第一時間閾値未満(Vd<Vs1(t))の場合には、比較手段9にてVdを、予め設定されているゼロ(0)又はその近傍の値と比較し、その設定値以下(例えばゼロ以下)の場合には、システムリセット回路11によってシステムをリセットし、その設定値以上(例えばゼロ以上)の場合には、演算回路6内での演算を継続する。
【0018】
次に、上記Vdと第一時間閾値Vs1(t)との関係について図10によって説明する。図10は、各種衝突形態における前記積分値差Vdと時間t及び第一時間関数閾値Vs1(t)との関係を示した線図であり、同図に示す様に、衝突初期の段階では、該閾値Vs1(t)は、鹿突のレベルよりも高い値Th1に設定され、これによって、高速正突や高速斜突の様な重大な衝突を早い時期に判断してエアバッグの作動指令を発する様になっている。又、これに続く衝突中期の段階では、衝突後段の低い閾値Th3に至る右下がりの漸減閾値Th2(時間と共に低下する閾値)となっており、この漸減閾値Th2で中速センターポール突の様な中程度の衝突を判断し、エアバッグの作動指令を発する様になっている。尚、後段の低い閾値Th3は、低速正突におけるエアバッグ展開の要否を判断するもので、所定の速度以下の正突では展開しない様な値に設定されている。
【0019】
本図の時間軸も、図9(A)のV−t線図の時間軸と同一スケールで示しており、両図の比較から明らかな様に、高速正突や高速斜突の様な重大な衝突においては、極めて早い時期にエアバッグ作動指示を発する事ができるので、速やかにエアバッグを展開できる様になるのみならず、複数のインフレータを用いて各インフレータの点火時期や点火数を制御する前述のスマートエアバッグに本発明を適用すれば、点火判断から実際の点火迄の時間的余裕が長くなるので、展開形態制御のための演算時間が長くとる事が可能となり、この結果、点火時間差を長くしたりして多様なエアバッグの展開形態制御が可能となる利点がある。因みに、ラフロードの場合は、図9(A),(B)に示している通り、VとV’とが殆ど同じ波形であるので、その差Vdは極めて小さな値となる。この事から、Vdで判断すれば、ラフロードによるエアバッグの誤作動は完全に防止する事ができる事になる。同様に、異常な運転による車体変形を伴わない両加速度センサの変化に対しても、その時間積分値の差は小さな値となるので、誤作動が防止でき、更に、車体変形の小さな軽度の衝突においても、両加速度センサによる時間積分値差は小さな値となるので、これによる誤作動も確実に防止できる効果がある。この意味から、第二加速度センサ2の設置位置を、低速正突等の軽度の衝突では変形を生じないクラッシュゾーンの部分となす事により、低速正突においても、VとV’の波形が殆ど同一となり、その差Vdも小さな値とする事ができるので、低速正突における誤作動を、より確実に防止する事が可能となる。
【0020】
次に、図2は、本発明の他の点火判断方式を示したブロック図であり、本例では、前記積分値差Vdを微分手段14で時間微分して該積分値差の変化(Gd=d(Vd)/dt)を演算し、比較手段16にて、予めブロック15にて時間関数の閾値として設定されている差分変化閾値Gs(t)と比較してエアバッグ作動要否の判断を行う。該積分値変化量が差分変化閾値以上(Gd≧Gs(t))の場合には、インフレータトリガ回路12にトリガ信号の出力を指示し、このトリガ信号によってインフレータに点火してエアバッグ13を展開させる。一方、前記積分値変化量が差分変化閾値未満(Gd<Gs(t))の場合には、比較手段9にて、Vdを予め設定されているゼロ(0)又はその近傍の値と比較し、その設定値以下(例えばゼロ以下)の場合には、システムリセット回路11によってシステムをリセットし、その設定値以上(例えばゼロ以上)の場合には、演算回路6内での演算を継続する。
【0021】
次に、上記Gdと差分変化閾値Gs(t)との関係について図11によって説明する。図11は、各種衝突形態における前記積分値差変化量Gdと時間t及び差分変化閾値Gs(t)との関係を示した線図であり、同図に示す様に、衝突初期の段階では、該閾値Gs(t)は、鹿突のレベルよりも高い値Th4に設定され、これによって鹿突によるエアバッグの誤作動を防止し、前記高い閾値Th4に続いて、低い閾値Th6に至る右下がりの急勾配の閾値Th5で、高速正突や高速斜突の様な重大な衝突を早い時期に判断してエアバッグの作動指令を発する様になっている。又、低い閾値Th6近傍で中速センタポール突を検知できる様にして、中速センタポール突も早い時期に検知できる様にしている。尚、後段の低い閾値Th6は、低速正突におけるエアバッグ展開の要否を判断するもので、所定の速度以下の衝突では展開しない様な値に設定されている。
【0022】
本図11の時間軸も、図10のVd−t線図の時間軸と同一スケールで示しており、両図の比較から明らかな様に、Gdに基づいて判断する方が、更に一層早い時期に、エアバッグ作動指示を発する事ができるので、重大な衝突において速やかなエアバッグの展開を行えるのみならず、前述のスマートエアバッグ方式に適用すれば、点火判断から実際に点火迄の時間的余裕が更に長くとれる様になるので、エアバッグ展開形態制御のための複雑な演算の実行を可能とする利点がある。尚、ラフロードの場合は、前述のVdの場合と同様に極めて小さな値となるので、Gdで判断すれば、ラフロードによるエアバッグの誤作動を完全に防止できる事は、Vdの場合と同様である。
【0023】
次に、図3は、本発明の他の実施例を示すブロック図であり、前記図1,2に示した積分値差Vdによる判断と該積分値差の変化量Gdによる判断とを統合した方式であって、図1,2と同一構成は同一符号を示している。図3の方式において、比較手段19には、積分値差Vdとその変化量Gdとが入力され、夫々が前記第一時間関数閾値Vs1(t)及び差分変化閾値Gs(t)と比較されて、Vd≧Vs1(t),Gd≧Gs(t)のいずれか一方又は双方の条件を満足する場合にインフレータトリガ回路12にトリガ信号を発し、エアバッグ13を展開する様にしている。一方、Vd<Vs1(t)の場合には、比較手段9でVdがゼロ(0)又はその近傍の設定値以下か否かを比較して、システムをリセットするか演算を継続するかの判断を行う事は前述の場合と同一である。
【0024】
ここで、Vd≧Vs1(t)とGd≧Gs(t)の条件のいずれか一方を満足する場合にエアバッグを作動させる方式では、前述の図1,2のケースと同一であるが、多様な感度設定が可能となる利点があり、又、両者を共に満足する場合にのみエアバッグを作動させる方式では、二重判断となるので、確実性が向上する効果がある。
【0025】
次に、図4は、本発明の他の実施例を示すブロック図であり、前記図3に示した積分値差Vdによる判断と該積分値差の変化量Gdによる判断に加えて、前記車室内の第一加速度センサ1に基づく第一時間積分値Vによる判断を加えたものである。即ち、比較手段22では、前記Vdとその閾値Vs1(t)との比較及びGdとその閾値Gs(t)との比較、並びに前記第一時間積分値Vとその閾値として予め時間関数としてブロック21にて設定された第二時間関数閾値Vs2(t)との比較がなされ、Vd≧Vs1(t)とGd≧Gs(t)の少なくともいずれか一方の条件が満足され、且つV≧Vs2(t)の条件を満足する場合にのみ、エアバッグの作動信号を出力する様にしている。尚、Vd<Vs1(t)合は、前述の場合と同一であるので説明は省略する。
【0026】
ここで、第一時間積分値Vに基づく判断を併用したのは、図9(A)に示している様に、該第一時間積分値Vに対する第二時間閾値Vs2(t)の値を比較的低い値に設定しておく事により、実質的に前記VdとGdによって判断がなされる様になすと共に、これらVd,Gdによる誤作動を防止する意味がある。
【0027】
次に、図5は、本発明の他の実施例を示すブロック図であり、前記図1〜4では、Vdを時間関数の閾値と比較していたが、本例では、車室内に設置された第一加速度センサ1の加速度信号に基づく第一時間積分値Vの関数として定められた速度関数の閾値と比較する点に特徴がある。即ち、図5において、減算手段7で得られたクラッシュゾーンの加速度センサ2からの加速度信号に基づいて時間積分した第二時間積分値V’と車室内の加速度センサ1の加速度信号に基づいて時間積分した第一時間積分値との差Vdを、比較手段30に送信する。ここで、ブロック31から送信される前記第一時間積分値Vの関数として予め設定されている第一速度関数閾値Vs1(V)と比較し、前記積分値差が該第一速度関数閾値以上(Vd≧Vs1(V))の場合には、インフレータトリガ回路12にトリガ信号を発してエアバッグ13を展開させる。尚、積分値差が第一速度関数閾値よりも小さい場合(Vd<Vs1(V))には、Vdは比較手段9に送信され、ここで、ゼロ(0)或いはその近傍の数値に予め設定されている値と比較されてVd<0(又はゼロ近傍の設定値)の場合には、システムリセット回路11に信号が送られてシステムはリセットされ、Vd≧0(又はゼロ近傍の設定値)の場合には、演算が継続される。
【0028】
次に、本実施例における上記速度関数閾値Vs1(V)とVdとの比較について以下に述べる。図12は、各衝突形態におけるVdとVとの関係を示した線図であり、前記第一速度関数閾値Vs1(V)は、双曲線状の形をしており、Vd軸側に立ち上がった曲線部aは、鹿突を判別できる様に設定されると共に、そのVの最小値は、図9(A)一定値で示した閾値Vs2(t)と同一レベルの値に設定されている。一方、V軸側の漸減曲線bは、低速正突を判別できる様に設定されている。この判断方式によると、閾値を時間関数ではなく第一時間積分値の関数とする事により、時間に関係なく安定した判断結果を得る事ができる様になる。
【0029】
次に、図6は、本発明の他の実施例を示すブロック図であり、図5の第一,第二時間積分値の差Vdと第一速度関数閾値Vs1(V)との比較に加えて、前述の積分値差の変化量Gdとその差分変化閾値Gs(t)との比較を加えたものである。即ち、図6において、比較手段33には、前記積分値差Vd,第一速度関数閾値Vs1(V),差分変化量Gd及び差分変化閾値Gs(t)が夫々送信され、ここで夫々の比較がなされて、Vd≧Vs1(V)及びGd≧Gs(t)の条件のいずれか一方又は双方の条件を満足する場合に、インフレータトリガ回路12にインフレータのトリガ信号を発してエアバッグ13を展開させる様にしたものである。尚、Vd<Vs1(V)の場合には、そのときのVdの値に応じてシステムリセット回路11を作動させてシステムをリセットしたり、演算を継続させる事は前述の場合と同一である。
【0030】
この様に、時間に依存しない安定性を有する速度関数の閾値Vs1(V)による判断に加えて、前記時間関数の差分変化閾値Gs(t)とGdとの比較を併用し且つ両者の条件を共に満足する場合にのみエアバッグを作動する様になすと、前記図11に示した様に、Gdとその差分変化閾値Gs(t)との比較の場合には、高速正突や高速斜突の様な重大な衝突を早期に判断できるので、衝突の重大性の早期判断に加えて、速度関数閾値による確実性が加味されるので、一層信頼性の高い衝突判定が可能となる。
【0031】
次に、図7は、本発明の他の実施例を示すブロック図であり、クラッシュゾーンに設置した加速度センサ2から得られる加速度信号に基づいて時間積分して第二時間積分値V’自体を、車室内に設置した加速度センサ1から得られた加速度信号に基づいて時間積分した第一時間積分値Vの関数とした第二速度関数閾値と比較する様にしたものである。即ち、図7において、積分手段5で得られた第一時間積分値Vは、ブロック40に送られて、該積分値Vの関数として設定された第二速度関数閾値Vs2(V)に変換されて比較手段41に送信される。該比較手段41では、積分手段5’から出力される第二時間積分値V’と比較され、該第二時間積分値が第二速度関数閾値以上(V’≧Vs2(t))の場合に、インフレータトリガ回路12にトリガ信号を発する様になっている。V’<Vs2(V)の場合には、比較手段42で、ゼロまたは予め設定されたゼロ近傍の値と比較され、V’≦0(或いはその近傍の設定値)の場合には、システムをリセットし、それ以外の場合には、演算を継続する様になっている事は、前述の場合と同一である。
【0032】
本実施例におけるV’とその速度関数閾値Vs2(V)の関係について図13によって説明する。図13は、各種衝突形態におけるV’とVの関係を示す線図であり、図中45度の角度の点線は、V’=Vを意味し、いずれの衝突形態においても、最終的にはV’=Vになっている。図9(A),(B)からも分かる様に、如何なる衝突形態においても、衝突時点からV’はVよりも高い値を示し、時間の経過と共にVに近づく特性を有しているので、全ての線は、45度の線よりも上方に存在している。そしてVの関数として設定された第二速度関数閾値Vs2(V)も、45度の線とV’軸の間で双曲線状のVの関数として設定されており、V’軸側の曲線cの最小のV値は、図9(A)に一定値として示された閾値Vs2と同等レベルに設定され、同時に、鹿突を判別できる様に設定されている。一方、45度の線に沿った曲線部分dは、低速衝突を判別できる様に設定されている。この場合にも、閾値を時間関数ではなく、第一時間積分値Vの速度関数にしているので時間に依存しない安定した判定が行える様になる事は、前述の第一速度関数閾値Vs1(V)を用いた場合と同様である。
【0033】
次に、図8は、本発明の他の実施例を示すブロック図であり、前記図7に示した第二時間積分値V’と速度関数の前記閾値Vs2(V)との比較と共に、前記第一,第二時間積分値V,V’との差Vdの変化量Gdとその時間関数の閾値Gs(t)との比較とを併用するものである。即ち、図8において、比較手段43には、前記Gdとその時間関数の閾値Gd(t)及びV’とその速度関数の閾値Vs2(V)とが入力され、ここで、夫々が比較されて、V’≧Vs2(V)及びGd≧Gd(t)の2つの条件の内、いずれか一方又は双方の条件を満足した場合に、エアバッグを展開させる様になし、V’<Vs2(V)の場合には、図7と同一であるので説明は省略する。
【0034】
この場合も、図6の場合と同様に、時間に依存しない安定性を有する速度関数の閾値Vs2(V)による判断に加えて、時間関数の差分変化閾値Gs(t)とGdとの比較を併用し且つ両者の条件を共に満足する場合にのみエアバッグを作動する様になすと、高速正突や高速斜突の様な重大な衝突を早期に判断できると共に、その衝突の重大性の早期判断に加えて、速度関数閾値による確実性が加味されるので、一層信頼性の高い衝突判定が可能となる。
【0035】
以上の通り、本発明は、従来の車室内に設置した加速度センサ加えてクラッシュゾーンにも加速度センサを設置し、各衝突形態における両センサによる加速度値の差異に基づいて衝突の重大性を判定し、エアバッグの作動の要否を判断する点に最大の特徴があり、その具体的な手法としては、図1乃至図8に示した如き種々の方式が存在するが、本発明は、図1乃至図8に示された方式に限定されるものではなく、更に種々の変形例が存在する。例えば、時間関数の閾値として示した前記第一時間関数閾値Vs1(t)や第二時間関数閾値Vs2(t)には、時間関数の特殊なケースとして一定値の閾値も含まれ、更に、時間関数の閾値として記載した差分変化閾値Gd(t)も、同様に一定値の閾値も含まれる。又、図10,11に、各3本の直線として示した時間関数の閾値Vs1(t)及びGs(t)も、時間関数の曲線となす事も可能であり、逆に、図12,13に第一時間積分値Vの関数曲線として示した閾値Vs1(V)及びVs2(V)を、Vの関数の直線で置き換える事も可能である。
【0036】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明によれば、車室内とクラッシュゾーンの両方に加速度センサを設置し、両センサで検出される加速度信号の特性の差異に着目してエアバッグの展開判断を行う様にしているので、車室内に設置した従来の加速度センサのみによる衝突検知方式では、判断が困難な場合があったラフロード,低速衝突に代表されるソフトクラッシュも、容易に判別が可能となる。特に、クラッシュゾーンに圧壊現象が生じないラフロードや異常な運転の場合、或いは、車体変形の少ない低速衝突の場合には、両加速度センサの波形は略同一波形となるので、両者の時間積分値の差は極めて小さな値となる。従って、この時間積分値の差を、直接的或いは間接的にエアバッグの作動の要否判断に用いる事によって、ラフロードや低速衝突等の車体変形の少ないソフトクラッシュにおけるエアバッグの誤作動は完全に防止する事が可能となる。
【0037】
又、クラッシュゾーンに設置した加速度センサからの加速度信号に基づく第二時間積分値V’は、車室内に設置した加速度センサからの加速度信号に基づく第一時間積分値Vに比べて、衝突後の早い時期に大きな値になるので、このV’自体或いはV’とVとの差又はこの差の変化量Gdを用いて、これを対応する時間関数の閾値と比較する事により、高速正突や高速斜突の如き重大な衝突及び車室内加速度センサでは検知が遅れがちな中速センターポール突も、衝突後の極めて早い時期に検知可能となるので、エアバッグの展開遅れの心配のない適正なタイミングでのエアバッグの展開を行う事が可能となる。
【0038】
又、衝突後の極めて早い時期に衝突が検知できる事から、複数のインフレータを用い、その点火に時期差を設けてエアバッグの展開形態を制御する所謂スマートエアバッグ方式においては、衝突検知からインフレータ点火迄に充分な時間的余裕を得る事が可能となるので、エアバッグ展開形態制御のための複雑な演算を行う事も可能となるので、エアバッグ展開形態を、最適な形態に制御する事が容易となる。
【0039】
更に、閾値を、前記第一時間積分値Vの関数となす事により、時間に依存しないため、安定した判断性能をうることが可能となり、前記時間関数の閾値と併用する事により、早い判断と確実な判断を併せ持ったエアバッグの展開判断システムとなす事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエアバッグ作動判断装置の一実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明のエアバッグ作動判断装置の他の実施例を示すブロック図である。
【図3】本発明のエアバッグ作動判断装置の更に他の実施例を示すブロック図である。
【図4】本発明のエアバッグ作動判断装置の更に他の実施例を示すブロック図である。
【図5】本発明のエアバッグ作動判断装置の更に他の実施例を示すブロック図である。
【図6】本発明のエアバッグ作動判断装置の更に他の実施例を示すブロック図である。
【図7】本発明のエアバッグ作動判断装置の更に他の実施例を示すブロック図である。
【図8】本発明のエアバッグ作動判断装置の更に他の実施例を示すブロック図である。
【図9】加速度値の時間積分値の時間的変化を示す線図であり、(A)は車室内に設置した加速度センサからの加速度値に基づく時間積分値の変化を示す線図,(B)はクラッシュゾーンに設置した加速度センサからの加速度値に基づく時間積分値の変化を示す線図である。
【図10】車室内に設置した加速度センサからの加速度値に基づく時間積分値とクラッシュゾーンに設置した加速度センサからの加速度値に基づく時間積分値との差の時間的変化を示す線図である。
【図11】車室内に設置した加速度センサからの加速度値に基づく時間積分値とクラッシュゾーンに設置した加速度センサからの加速度値に基づく時間積分値との差の変化量の時間的変化を示す線図である。
【図12】車室内に設置した加速度センサからの加速度値に基づく時間積分値とクラッシュゾーンに設置した加速度センサからの加速度値に基づく時間積分値との差の車室内に設置した加速度センサからの加速度値に基づく時間積分値との関係を示す線図である。
【図13】クラッシュゾーンに設置した加速度センサからの加速度値に基づく時間積分値と車室内に設置した加速度センサからの加速度値に基づく時間積分値との関係を示す線図である。
【符号の説明】
1 車室内加速度センサ
2 クラッシュゾーン加速度センサ
4,4’ 減算手段
5,5’ 積分手段
6 演算回路
8,16,19,22,30,33,41,43 比較手段
11 リセット回路
12 インフレータトリガー回路
13 エアバッグ
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の衝突を検知してエアバッグ装置を作動させるエアバッグ作動判断装置に関するものであり、特に、種々の衝突の形態に対応して適正な作動判断が行える様にした新規なエアバッグの作動判断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より一般に使用されているエアバッグの作動装置としては、感知マスを用いる電気機械式のものと加速度センサを用いる電子式の2方式があり、最近は電子式が主流となっている。電子式の場合の基本的な方式は、加速度センサから出力される加速度値を時間積分し、この時間積分値が所定の閾値を越えた場合にインフレータに点火信号を出力するものである。
【0003】
この方式において、加速度センサを、エアバッグモジュールと一体的に組み込んでステアリングホイールに装着する一体型と、車室内の運転席側部に配置する分離型との2つのタイプがあり、一体型の場合には、ステアリングシャフトを通して伝えられる衝突の衝撃を加速度センサで感知するものであり、一方、分離型の場合には、車体本体に配置された取付金具に加速度センサを設置し、該車体本体を通して伝達される衝突の衝撃を加速度センサで感知するものであるが、いずれの場合にも、剛性の高い、即ち、衝突の際に変形の少ない車室内に設置された加速度センサを通して感知された加速度の変化に基づいてエアバッグ展開の要否の判断を行う様になっている。
【0004】
又、車両前部の衝撃が車室内に伝わり難い一部の車両では、車室内に電子式加速度センサを設置し、車体前部のエンジンルーム等のクラッシュゾーンに機械式センサを配置したシステムが採用されているが、機械式センサの役割は、その特性上、オン/オフ判断しかできず、車室内の加速度センサによる衝突判断システムと並行判断のため、ユニットに対するハンマリング等の局所的な衝撃が入力された場合には、誤作動の可能性もあった。
【0005】
又、最近では、複数のインフレータを設置し、衝突の形態や乗員の状態に対応して、インフレータの出力を適正に制御する事により、エアバッグの展開形態を最適形態に制御するスマートエアバッグシステムと呼ばれる方式が提案されていが、この方式を実現するためには、インフレータの出力制御の演算のために、従来の点火判断タイミングよりも、早いタイミングでの点火判断がなされる必要があるが、係る早期判断方式についての提案はない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、係る問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とする処は、これまでのシステムよりも適正なタイミングでの点火判断を可能にすると共に、ラフロードや異常運転に対する誤作動の可能性を著しく低減させた新規なエアバッグの作動判断装置を提供する事を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、係る観点の元になされたものであって、その特徴とする処は、従来の車室内に設置された電子式の第一加速度センサに加えて、車体前部のクラッシュゾーンにも電子式の第二加速度センサを設置し、両加速度センサで検知された夫々の加速度信号の各種衝突形態における特性の差異に基づいて、エアバッグ展開判断を行う様にした点にある。尚、以下の記載において、『加速度センサ』の記載は、特にことわりのない限り、『電子式加速度センサ』を意味する。
【0008】
具体的な判断方式としては、両加速度センサで検出された加速度値に基づく時間積分値の差を求め、この積分値の差が所定の時間関数の閾値を越えた場合に、インフレータの点火信号を発する様になす事により、ラフロードや異常運転や鹿突(鹿等の動物との衝突。以下同じ。)における誤作動を防止し、且つ高速正突(高速度での正面衝突。以下同じ。)や高速斜突(高速度での斜め前方からの衝突。以下同じ。)における点火タイミングを適正になす事を可能にしている。
【0009】
又、他の判断方式としては、両加速度センサで検出された加速度値に基づく時間積分値の差を求め、この差と、車室内に設置した加速度センサからの加速度値の関数として予め設定された速度関数の閾値とを比較し、該閾値を越えた場合にインフレータの点火信号を発する様になす方式もある。
【0010】
又、他の判断方式としては、従来の車室内に設置した加速度センサからの加速度値に代わって、クラッシュゾーンに配置された加速度で検出された加速度値を時間積分し、得られた時間積分値を、車室内に設置した加速度センサからの加速度値の関数として予め設定された速度関数の閾値と比較し、該閾値を越えた場合に、インフレータの点火信号を発する様になす方式もある。
【0011】
又、他の判断方式としては、両加速度センサで検出された加速度値に基づく時間積分値の差を求め、この差を時間微分して差の変化量を求め、この変化量が所定の時間関数の差分変化閾値を越えた場合にインフレータの点火信号を発する様になす方式もある。
【0012】
又、更に他の方式としては、これらの組合せ或いは、車室内に設置した加速度センサからの加速度値を時間積分し、これを所定の閾値と比較する方式との組合せがあり、これらいずれの方式も、鹿等やラフロードや異常運転での誤作動を防止すると共に、高速正突や高速斜突の様な重大な衝突に対して早い時点で点火判断を可能となし、複数のインフレータを用いて点火タイミングを調整する場合等において有利な方式である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。先ず図1は、本発明のエアバッグ作動判断装置の第一実施例を示すブロック図であり、同図において、加速度センサ1は、車室内に通常通り設置されている加速度センサであり、加速度センサ2は、クラッシュゾーンに設置された加速度センサである。ここで、クラッシュゾーンとは、車体の車室前方の車体内空間を言い、衝突時には車室の圧壊に先行して圧壊し、車室の圧壊を軽減する作用を有する部分であり、一般的にはエンジンルームがこれに該当する。
【0014】
上記両加速度センサ1,2で検出された加速度信号G,G’は、演算回路6を経てリセット回路11,インフレータのトリガ回路12に接続されており、トリガ回路12は、インフレータ(図示せず)を点火してエアバッグ13を展開させる様に構成されている。
【0015】
次に、演算回路6についてを説明すると、車室内加速度センサ1で検出された加速度信号Gは、ブロック3に送信され、該加速度値Gが所定の加速度G1を越えた時点t0 が検出されると、この時点から演算が開始される。次に、ブロック4は減算手段であり、時点t0 以降の加速度値Gより、所定の加速度G2を減算して、加速度信号Gをオフセットする事により、ノイズや微小加速度変化をカットする様にしている。次いで、該減算手段4から出力された減算加速度G3を、積分手段5において時間積分を行い、第一時間積分値Vを算出する。同様に、クラッシュゾーンに設置された加速度センサ2で検出された加速度信号G’は、ブロック3’に送信され、ここで加速度センサ2による検出加速度値G’が所定の加速度G1’を越えた時点t0 ’が検出されると、この時点から衝突判断のための演算が開始され、次のブロック4’で減算処理され、時点t0 ’以降の加速度値G’より、所定の加速度G2’を減算して減算加速度G3’を算出し、次いで積分手段5’において、加速度G3’の時間積分を行って第二時間積分値V’を算出する。
【0016】
ここで、上記車室内に設置した第一加速度センサ1からの加速度信号に基づいて時間積分した第一時間積分値Vと、クラッシュゾーンに設置した加速度センサ2からの加速度信号に基づいて時間積分した第二時間積分値V’との差異について説明する。図9(A),(B)は、上記VとV’との経時変化を示す線図であり、(A)はV−t線図,(B)はV’−t線図であり、時間軸tは同一スケールで示している。同図から明らかな様に、全ての衝突形態において、クラッシュゾーンの加速度センサ2に基づく第二時間積分値V’の方が早い時期に大きな値に達している事が分かる。又、特に重大な衝突1つである高速正突では、V’は速やかに大きな値となり、又、同様に重大な衝突の1つである高速斜突においては、Vは初期に緩やかに増加して途中から急に増加しているが、V’では、高速正突と同様に初期の段階で急激に増加している。更に、中速センタポール突(中速度での鉄柱等の柱状体への正面衝突。以下同じ。)の場合には、ポール衝突部分を中心とした小面積部分が深く圧壊するので、衝突後暫くは、バンパー或いは更に車体最前部のみが圧壊する程度で、基本的にはエアバッグの展開を要しない低速正突よりも低い値を示し、相当時間経過後に、やっと低速衝突よりも高くなっている。このため、Vで判断したのでは、エアバッグが展開しないか或いは展開しても時期を逸した遅い時期に展開するおそれがあるが、V’の場合には、当初から低速正突よりも高い値を示しているのも大きな特徴の1つである。又、鹿突の場合には、Vの場合には僅かな変化しか表れないが、V’の場合には、低速衝突の最大値並みの大きな数値を示している。又、ラフロードの場合には、VもV’も同様な波形をしめしている。これは、ラフロードでは車体自体には何等の圧壊が生じないので、加速度センサの設置場所による差異が生じない事による。以上の様に、衝突初期に車両前部のクラッシュゾーンが局所的に圧壊する中・高速衝突では、Vに比べてV’の方が早期に立ち上がり、クラッシュゾーンに圧壊の生じないラフロード等では、VもV’も略同一の波形を示す。又、クラッシュゾーンの圧壊の少ない低速衝突では、V’はVよりも早期に立ち上がる傾向を示しているが、圧壊の少ない分だけ、その差は少なくなっている。これらの現象から、本発明で用いるクラッシュゾーンに設置した加速度センサ2に基づく第二時間積分値V’と、従来使用されていた車室内に設置した加速度センサ1に基づく第一時間積分値Vとの間には、衝突形態に応じて特異な差異が存在している事が分かる。本発明は、この差異を用いて適正な衝突判断を行う点に最大の特徴が存する。
【0017】
次に、上記V及びV’の差異を用いた具体的なエアバッグの作動判断方式について説明する。第一の方式は、図1に示している様に、減算手段7において、前記クラッシュゾーンに設置した加速度センサ2に基づいて時間積分した第二時間積分値V’から、車室内に設置された加速度センサ1に基づいて時間積分した第一時間積分値Vを減算(V’−V)して、その積分値差Vdを算出し、この積分値差Vdを比較手段8にて、予めブロック10にて時間関数の閾値として設定されている第一時間関数閾値Vs1(t)と比較し、エアバッグ作動要否の判断を行い、積分値差が第一時間閾値以上(Vd≧Vs1(t))の場合には、インフレータトリガ回路12にトリガ信号の出力を指示し、このトリガ信号によってインフレータに点火してエアバッグ13を展開させる事になる。一方、前記積分値差が第一時間閾値未満(Vd<Vs1(t))の場合には、比較手段9にてVdを、予め設定されているゼロ(0)又はその近傍の値と比較し、その設定値以下(例えばゼロ以下)の場合には、システムリセット回路11によってシステムをリセットし、その設定値以上(例えばゼロ以上)の場合には、演算回路6内での演算を継続する。
【0018】
次に、上記Vdと第一時間閾値Vs1(t)との関係について図10によって説明する。図10は、各種衝突形態における前記積分値差Vdと時間t及び第一時間関数閾値Vs1(t)との関係を示した線図であり、同図に示す様に、衝突初期の段階では、該閾値Vs1(t)は、鹿突のレベルよりも高い値Th1に設定され、これによって、高速正突や高速斜突の様な重大な衝突を早い時期に判断してエアバッグの作動指令を発する様になっている。又、これに続く衝突中期の段階では、衝突後段の低い閾値Th3に至る右下がりの漸減閾値Th2(時間と共に低下する閾値)となっており、この漸減閾値Th2で中速センターポール突の様な中程度の衝突を判断し、エアバッグの作動指令を発する様になっている。尚、後段の低い閾値Th3は、低速正突におけるエアバッグ展開の要否を判断するもので、所定の速度以下の正突では展開しない様な値に設定されている。
【0019】
本図の時間軸も、図9(A)のV−t線図の時間軸と同一スケールで示しており、両図の比較から明らかな様に、高速正突や高速斜突の様な重大な衝突においては、極めて早い時期にエアバッグ作動指示を発する事ができるので、速やかにエアバッグを展開できる様になるのみならず、複数のインフレータを用いて各インフレータの点火時期や点火数を制御する前述のスマートエアバッグに本発明を適用すれば、点火判断から実際の点火迄の時間的余裕が長くなるので、展開形態制御のための演算時間が長くとる事が可能となり、この結果、点火時間差を長くしたりして多様なエアバッグの展開形態制御が可能となる利点がある。因みに、ラフロードの場合は、図9(A),(B)に示している通り、VとV’とが殆ど同じ波形であるので、その差Vdは極めて小さな値となる。この事から、Vdで判断すれば、ラフロードによるエアバッグの誤作動は完全に防止する事ができる事になる。同様に、異常な運転による車体変形を伴わない両加速度センサの変化に対しても、その時間積分値の差は小さな値となるので、誤作動が防止でき、更に、車体変形の小さな軽度の衝突においても、両加速度センサによる時間積分値差は小さな値となるので、これによる誤作動も確実に防止できる効果がある。この意味から、第二加速度センサ2の設置位置を、低速正突等の軽度の衝突では変形を生じないクラッシュゾーンの部分となす事により、低速正突においても、VとV’の波形が殆ど同一となり、その差Vdも小さな値とする事ができるので、低速正突における誤作動を、より確実に防止する事が可能となる。
【0020】
次に、図2は、本発明の他の点火判断方式を示したブロック図であり、本例では、前記積分値差Vdを微分手段14で時間微分して該積分値差の変化(Gd=d(Vd)/dt)を演算し、比較手段16にて、予めブロック15にて時間関数の閾値として設定されている差分変化閾値Gs(t)と比較してエアバッグ作動要否の判断を行う。該積分値変化量が差分変化閾値以上(Gd≧Gs(t))の場合には、インフレータトリガ回路12にトリガ信号の出力を指示し、このトリガ信号によってインフレータに点火してエアバッグ13を展開させる。一方、前記積分値変化量が差分変化閾値未満(Gd<Gs(t))の場合には、比較手段9にて、Vdを予め設定されているゼロ(0)又はその近傍の値と比較し、その設定値以下(例えばゼロ以下)の場合には、システムリセット回路11によってシステムをリセットし、その設定値以上(例えばゼロ以上)の場合には、演算回路6内での演算を継続する。
【0021】
次に、上記Gdと差分変化閾値Gs(t)との関係について図11によって説明する。図11は、各種衝突形態における前記積分値差変化量Gdと時間t及び差分変化閾値Gs(t)との関係を示した線図であり、同図に示す様に、衝突初期の段階では、該閾値Gs(t)は、鹿突のレベルよりも高い値Th4に設定され、これによって鹿突によるエアバッグの誤作動を防止し、前記高い閾値Th4に続いて、低い閾値Th6に至る右下がりの急勾配の閾値Th5で、高速正突や高速斜突の様な重大な衝突を早い時期に判断してエアバッグの作動指令を発する様になっている。又、低い閾値Th6近傍で中速センタポール突を検知できる様にして、中速センタポール突も早い時期に検知できる様にしている。尚、後段の低い閾値Th6は、低速正突におけるエアバッグ展開の要否を判断するもので、所定の速度以下の衝突では展開しない様な値に設定されている。
【0022】
本図11の時間軸も、図10のVd−t線図の時間軸と同一スケールで示しており、両図の比較から明らかな様に、Gdに基づいて判断する方が、更に一層早い時期に、エアバッグ作動指示を発する事ができるので、重大な衝突において速やかなエアバッグの展開を行えるのみならず、前述のスマートエアバッグ方式に適用すれば、点火判断から実際に点火迄の時間的余裕が更に長くとれる様になるので、エアバッグ展開形態制御のための複雑な演算の実行を可能とする利点がある。尚、ラフロードの場合は、前述のVdの場合と同様に極めて小さな値となるので、Gdで判断すれば、ラフロードによるエアバッグの誤作動を完全に防止できる事は、Vdの場合と同様である。
【0023】
次に、図3は、本発明の他の実施例を示すブロック図であり、前記図1,2に示した積分値差Vdによる判断と該積分値差の変化量Gdによる判断とを統合した方式であって、図1,2と同一構成は同一符号を示している。図3の方式において、比較手段19には、積分値差Vdとその変化量Gdとが入力され、夫々が前記第一時間関数閾値Vs1(t)及び差分変化閾値Gs(t)と比較されて、Vd≧Vs1(t),Gd≧Gs(t)のいずれか一方又は双方の条件を満足する場合にインフレータトリガ回路12にトリガ信号を発し、エアバッグ13を展開する様にしている。一方、Vd<Vs1(t)の場合には、比較手段9でVdがゼロ(0)又はその近傍の設定値以下か否かを比較して、システムをリセットするか演算を継続するかの判断を行う事は前述の場合と同一である。
【0024】
ここで、Vd≧Vs1(t)とGd≧Gs(t)の条件のいずれか一方を満足する場合にエアバッグを作動させる方式では、前述の図1,2のケースと同一であるが、多様な感度設定が可能となる利点があり、又、両者を共に満足する場合にのみエアバッグを作動させる方式では、二重判断となるので、確実性が向上する効果がある。
【0025】
次に、図4は、本発明の他の実施例を示すブロック図であり、前記図3に示した積分値差Vdによる判断と該積分値差の変化量Gdによる判断に加えて、前記車室内の第一加速度センサ1に基づく第一時間積分値Vによる判断を加えたものである。即ち、比較手段22では、前記Vdとその閾値Vs1(t)との比較及びGdとその閾値Gs(t)との比較、並びに前記第一時間積分値Vとその閾値として予め時間関数としてブロック21にて設定された第二時間関数閾値Vs2(t)との比較がなされ、Vd≧Vs1(t)とGd≧Gs(t)の少なくともいずれか一方の条件が満足され、且つV≧Vs2(t)の条件を満足する場合にのみ、エアバッグの作動信号を出力する様にしている。尚、Vd<Vs1(t)合は、前述の場合と同一であるので説明は省略する。
【0026】
ここで、第一時間積分値Vに基づく判断を併用したのは、図9(A)に示している様に、該第一時間積分値Vに対する第二時間閾値Vs2(t)の値を比較的低い値に設定しておく事により、実質的に前記VdとGdによって判断がなされる様になすと共に、これらVd,Gdによる誤作動を防止する意味がある。
【0027】
次に、図5は、本発明の他の実施例を示すブロック図であり、前記図1〜4では、Vdを時間関数の閾値と比較していたが、本例では、車室内に設置された第一加速度センサ1の加速度信号に基づく第一時間積分値Vの関数として定められた速度関数の閾値と比較する点に特徴がある。即ち、図5において、減算手段7で得られたクラッシュゾーンの加速度センサ2からの加速度信号に基づいて時間積分した第二時間積分値V’と車室内の加速度センサ1の加速度信号に基づいて時間積分した第一時間積分値との差Vdを、比較手段30に送信する。ここで、ブロック31から送信される前記第一時間積分値Vの関数として予め設定されている第一速度関数閾値Vs1(V)と比較し、前記積分値差が該第一速度関数閾値以上(Vd≧Vs1(V))の場合には、インフレータトリガ回路12にトリガ信号を発してエアバッグ13を展開させる。尚、積分値差が第一速度関数閾値よりも小さい場合(Vd<Vs1(V))には、Vdは比較手段9に送信され、ここで、ゼロ(0)或いはその近傍の数値に予め設定されている値と比較されてVd<0(又はゼロ近傍の設定値)の場合には、システムリセット回路11に信号が送られてシステムはリセットされ、Vd≧0(又はゼロ近傍の設定値)の場合には、演算が継続される。
【0028】
次に、本実施例における上記速度関数閾値Vs1(V)とVdとの比較について以下に述べる。図12は、各衝突形態におけるVdとVとの関係を示した線図であり、前記第一速度関数閾値Vs1(V)は、双曲線状の形をしており、Vd軸側に立ち上がった曲線部aは、鹿突を判別できる様に設定されると共に、そのVの最小値は、図9(A)一定値で示した閾値Vs2(t)と同一レベルの値に設定されている。一方、V軸側の漸減曲線bは、低速正突を判別できる様に設定されている。この判断方式によると、閾値を時間関数ではなく第一時間積分値の関数とする事により、時間に関係なく安定した判断結果を得る事ができる様になる。
【0029】
次に、図6は、本発明の他の実施例を示すブロック図であり、図5の第一,第二時間積分値の差Vdと第一速度関数閾値Vs1(V)との比較に加えて、前述の積分値差の変化量Gdとその差分変化閾値Gs(t)との比較を加えたものである。即ち、図6において、比較手段33には、前記積分値差Vd,第一速度関数閾値Vs1(V),差分変化量Gd及び差分変化閾値Gs(t)が夫々送信され、ここで夫々の比較がなされて、Vd≧Vs1(V)及びGd≧Gs(t)の条件のいずれか一方又は双方の条件を満足する場合に、インフレータトリガ回路12にインフレータのトリガ信号を発してエアバッグ13を展開させる様にしたものである。尚、Vd<Vs1(V)の場合には、そのときのVdの値に応じてシステムリセット回路11を作動させてシステムをリセットしたり、演算を継続させる事は前述の場合と同一である。
【0030】
この様に、時間に依存しない安定性を有する速度関数の閾値Vs1(V)による判断に加えて、前記時間関数の差分変化閾値Gs(t)とGdとの比較を併用し且つ両者の条件を共に満足する場合にのみエアバッグを作動する様になすと、前記図11に示した様に、Gdとその差分変化閾値Gs(t)との比較の場合には、高速正突や高速斜突の様な重大な衝突を早期に判断できるので、衝突の重大性の早期判断に加えて、速度関数閾値による確実性が加味されるので、一層信頼性の高い衝突判定が可能となる。
【0031】
次に、図7は、本発明の他の実施例を示すブロック図であり、クラッシュゾーンに設置した加速度センサ2から得られる加速度信号に基づいて時間積分して第二時間積分値V’自体を、車室内に設置した加速度センサ1から得られた加速度信号に基づいて時間積分した第一時間積分値Vの関数とした第二速度関数閾値と比較する様にしたものである。即ち、図7において、積分手段5で得られた第一時間積分値Vは、ブロック40に送られて、該積分値Vの関数として設定された第二速度関数閾値Vs2(V)に変換されて比較手段41に送信される。該比較手段41では、積分手段5’から出力される第二時間積分値V’と比較され、該第二時間積分値が第二速度関数閾値以上(V’≧Vs2(t))の場合に、インフレータトリガ回路12にトリガ信号を発する様になっている。V’<Vs2(V)の場合には、比較手段42で、ゼロまたは予め設定されたゼロ近傍の値と比較され、V’≦0(或いはその近傍の設定値)の場合には、システムをリセットし、それ以外の場合には、演算を継続する様になっている事は、前述の場合と同一である。
【0032】
本実施例におけるV’とその速度関数閾値Vs2(V)の関係について図13によって説明する。図13は、各種衝突形態におけるV’とVの関係を示す線図であり、図中45度の角度の点線は、V’=Vを意味し、いずれの衝突形態においても、最終的にはV’=Vになっている。図9(A),(B)からも分かる様に、如何なる衝突形態においても、衝突時点からV’はVよりも高い値を示し、時間の経過と共にVに近づく特性を有しているので、全ての線は、45度の線よりも上方に存在している。そしてVの関数として設定された第二速度関数閾値Vs2(V)も、45度の線とV’軸の間で双曲線状のVの関数として設定されており、V’軸側の曲線cの最小のV値は、図9(A)に一定値として示された閾値Vs2と同等レベルに設定され、同時に、鹿突を判別できる様に設定されている。一方、45度の線に沿った曲線部分dは、低速衝突を判別できる様に設定されている。この場合にも、閾値を時間関数ではなく、第一時間積分値Vの速度関数にしているので時間に依存しない安定した判定が行える様になる事は、前述の第一速度関数閾値Vs1(V)を用いた場合と同様である。
【0033】
次に、図8は、本発明の他の実施例を示すブロック図であり、前記図7に示した第二時間積分値V’と速度関数の前記閾値Vs2(V)との比較と共に、前記第一,第二時間積分値V,V’との差Vdの変化量Gdとその時間関数の閾値Gs(t)との比較とを併用するものである。即ち、図8において、比較手段43には、前記Gdとその時間関数の閾値Gd(t)及びV’とその速度関数の閾値Vs2(V)とが入力され、ここで、夫々が比較されて、V’≧Vs2(V)及びGd≧Gd(t)の2つの条件の内、いずれか一方又は双方の条件を満足した場合に、エアバッグを展開させる様になし、V’<Vs2(V)の場合には、図7と同一であるので説明は省略する。
【0034】
この場合も、図6の場合と同様に、時間に依存しない安定性を有する速度関数の閾値Vs2(V)による判断に加えて、時間関数の差分変化閾値Gs(t)とGdとの比較を併用し且つ両者の条件を共に満足する場合にのみエアバッグを作動する様になすと、高速正突や高速斜突の様な重大な衝突を早期に判断できると共に、その衝突の重大性の早期判断に加えて、速度関数閾値による確実性が加味されるので、一層信頼性の高い衝突判定が可能となる。
【0035】
以上の通り、本発明は、従来の車室内に設置した加速度センサ加えてクラッシュゾーンにも加速度センサを設置し、各衝突形態における両センサによる加速度値の差異に基づいて衝突の重大性を判定し、エアバッグの作動の要否を判断する点に最大の特徴があり、その具体的な手法としては、図1乃至図8に示した如き種々の方式が存在するが、本発明は、図1乃至図8に示された方式に限定されるものではなく、更に種々の変形例が存在する。例えば、時間関数の閾値として示した前記第一時間関数閾値Vs1(t)や第二時間関数閾値Vs2(t)には、時間関数の特殊なケースとして一定値の閾値も含まれ、更に、時間関数の閾値として記載した差分変化閾値Gd(t)も、同様に一定値の閾値も含まれる。又、図10,11に、各3本の直線として示した時間関数の閾値Vs1(t)及びGs(t)も、時間関数の曲線となす事も可能であり、逆に、図12,13に第一時間積分値Vの関数曲線として示した閾値Vs1(V)及びVs2(V)を、Vの関数の直線で置き換える事も可能である。
【0036】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明によれば、車室内とクラッシュゾーンの両方に加速度センサを設置し、両センサで検出される加速度信号の特性の差異に着目してエアバッグの展開判断を行う様にしているので、車室内に設置した従来の加速度センサのみによる衝突検知方式では、判断が困難な場合があったラフロード,低速衝突に代表されるソフトクラッシュも、容易に判別が可能となる。特に、クラッシュゾーンに圧壊現象が生じないラフロードや異常な運転の場合、或いは、車体変形の少ない低速衝突の場合には、両加速度センサの波形は略同一波形となるので、両者の時間積分値の差は極めて小さな値となる。従って、この時間積分値の差を、直接的或いは間接的にエアバッグの作動の要否判断に用いる事によって、ラフロードや低速衝突等の車体変形の少ないソフトクラッシュにおけるエアバッグの誤作動は完全に防止する事が可能となる。
【0037】
又、クラッシュゾーンに設置した加速度センサからの加速度信号に基づく第二時間積分値V’は、車室内に設置した加速度センサからの加速度信号に基づく第一時間積分値Vに比べて、衝突後の早い時期に大きな値になるので、このV’自体或いはV’とVとの差又はこの差の変化量Gdを用いて、これを対応する時間関数の閾値と比較する事により、高速正突や高速斜突の如き重大な衝突及び車室内加速度センサでは検知が遅れがちな中速センターポール突も、衝突後の極めて早い時期に検知可能となるので、エアバッグの展開遅れの心配のない適正なタイミングでのエアバッグの展開を行う事が可能となる。
【0038】
又、衝突後の極めて早い時期に衝突が検知できる事から、複数のインフレータを用い、その点火に時期差を設けてエアバッグの展開形態を制御する所謂スマートエアバッグ方式においては、衝突検知からインフレータ点火迄に充分な時間的余裕を得る事が可能となるので、エアバッグ展開形態制御のための複雑な演算を行う事も可能となるので、エアバッグ展開形態を、最適な形態に制御する事が容易となる。
【0039】
更に、閾値を、前記第一時間積分値Vの関数となす事により、時間に依存しないため、安定した判断性能をうることが可能となり、前記時間関数の閾値と併用する事により、早い判断と確実な判断を併せ持ったエアバッグの展開判断システムとなす事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエアバッグ作動判断装置の一実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明のエアバッグ作動判断装置の他の実施例を示すブロック図である。
【図3】本発明のエアバッグ作動判断装置の更に他の実施例を示すブロック図である。
【図4】本発明のエアバッグ作動判断装置の更に他の実施例を示すブロック図である。
【図5】本発明のエアバッグ作動判断装置の更に他の実施例を示すブロック図である。
【図6】本発明のエアバッグ作動判断装置の更に他の実施例を示すブロック図である。
【図7】本発明のエアバッグ作動判断装置の更に他の実施例を示すブロック図である。
【図8】本発明のエアバッグ作動判断装置の更に他の実施例を示すブロック図である。
【図9】加速度値の時間積分値の時間的変化を示す線図であり、(A)は車室内に設置した加速度センサからの加速度値に基づく時間積分値の変化を示す線図,(B)はクラッシュゾーンに設置した加速度センサからの加速度値に基づく時間積分値の変化を示す線図である。
【図10】車室内に設置した加速度センサからの加速度値に基づく時間積分値とクラッシュゾーンに設置した加速度センサからの加速度値に基づく時間積分値との差の時間的変化を示す線図である。
【図11】車室内に設置した加速度センサからの加速度値に基づく時間積分値とクラッシュゾーンに設置した加速度センサからの加速度値に基づく時間積分値との差の変化量の時間的変化を示す線図である。
【図12】車室内に設置した加速度センサからの加速度値に基づく時間積分値とクラッシュゾーンに設置した加速度センサからの加速度値に基づく時間積分値との差の車室内に設置した加速度センサからの加速度値に基づく時間積分値との関係を示す線図である。
【図13】クラッシュゾーンに設置した加速度センサからの加速度値に基づく時間積分値と車室内に設置した加速度センサからの加速度値に基づく時間積分値との関係を示す線図である。
【符号の説明】
1 車室内加速度センサ
2 クラッシュゾーン加速度センサ
4,4’ 減算手段
5,5’ 積分手段
6 演算回路
8,16,19,22,30,33,41,43 比較手段
11 リセット回路
12 インフレータトリガー回路
13 エアバッグ
Claims (10)
- 車両の衝突を検知してエアバッグ作動の要否を判断するエアバッグ装置の作動判断装置において、
車室内に設置されて、該設置部の加速度(G)を常時検出する第一加速度センサ(1)と、
車体の前部クラッシュゾーンに設置されて、該設置部の加速度(G’)を常時検出する第二加速度センサ(2)とを有し、
前記第一加速度センサ(1)によって検出された加速度信号(G)に基づいて第一時間積分値(V)を演算し、
前記第二加速度センサ(2)によって検出された加速度信号(G’)に基づいて第二時間積分値(V’)を演算し、
前記第一時間積分値と第二時間積分値との差(Vd=V’−V)を演算し、
この差(Vd)と予め設定された時間関数の第一速度閾値(Vs1(t))とを比較し、前記差分(Vd)が該第一速度閾値以上(Vd≧Vs1(t))の場合に、エアバッグ装置を作動させるようにしてなる事を特徴とするエアバッグ作動判断装置 - 車両の衝突を検知してエアバッグ作動の要否を判断するエアバッグ装置の作動判断装置において、
車室内に設置されて、該設置部の加速度(G)を常時検出する第一加速度センサ(1)と、
車体の前部クラッシュゾーンに設置されて、該設置部の加速度(G’)を常時検出する第二加速度センサ(2)とを有し、
前記第一加速度センサ(1)によって検出された加速度信号(G)に基づいて第一時間積分値(V)を演算し、
前記第二加速度センサ(2)によって検出された加速度信号(G’)に基づいて第二時間積分値(V’)を演算し、
前記第一時間積分値と第二時間積分値との差(Vd=V’−V)を演算し、
該積分値の差を時間微分して該積分値差の変化量(Gd=D(Vd)/dt)を演算し、
前記積分値差の変化量(Gd)と予め設定された時間関数の差分変化閾値(Gs(t))とを比較し、
前記積分値差の変化量が前記差分変化閾値以上(Gd≧Gs(t))の場合にエアバッグ装置を作動させるようにしてなる事を特徴とするエアバッグ作動判断装置 - 車両の衝突を検知してエアバッグ作動の要否を判断するエアバッグ装置の作動判断装置において、
車室内に設置されて、該設置部の加速度(G)を常時検出する第一加速度センサ(1)と、
車体の前部クラッシュゾーンに設置されて、該設置部の加速度(G’)を常時検出する第二加速度センサ(2)とを有し、
前記第一加速度センサ(1)によって検出された加速度信号(G)に基づいて第一時間積分値(V)を演算し、
前記第二加速度センサ(2)によって検出された加速度信号(G’)に基づいて第二時間積分値(V’)を演算し、
前記第一時間積分値と第二時間積分値との差(Vd=V’−V)を演算し、
該積分値の差を時間微分して該積分値差の変化量(Gd=d(Vd)/dt)を演算し、
前記積分値差の変化量(Gd)と予め設定された時間関数の差分変化閾値(Gs(t))とを比較し、
前記第一,第二時間積分値の差(Vd)と予め設定された時間関数の第一速度閾値(Vs1(t))とを比較し、
前記積分値差の変化量が前記差分変化閾値以上(Gd≧Gs(t))及び前記積分値差(Vd)が前記第一速度閾値以上(Vd≧Vs1(t))のいずれか一方又は両方の条件を満足した場合に、エアバッグ装置を作動させるようにしてなる事を特徴とするエアバッグ作動判断装置 - 車両の衝突を検知してエアバッグ作動の要否を判断するエアバッグ装置の作動判断装置において、
車室内に設置されて、該設置部の加速度(G)を常時検出する第一加速度セン サ(1)と、
車体の前部クラッシュゾーンに設置されて、該設置部の加速度(G’)を常時検出する第二加速度センサ(2)とを有し、
前記第一加速度センサ(1)によって検出された加速度信号(G)に基づいて第一時間積分値(V)を演算し、
前記第二加速度センサ(2)によって検出された加速度信号(G’)に基づいて第二時間積分値(V’)を演算し、
前記第一時間積分値と第二時間積分値との差(Vd=V’−V)を演算し、
該積分値の差を時間微分して該積分値差の変化量(Gd=d(Vd)/dt)を演算し、
前記積分値差の変化量(Gd)と予め設定された時間関数の差分変化閾値(Gs(t))とを比較し、
前記第一,第二時間積分値の差(Vd)と予め設定された時間関数の第一速度閾値(Vs1(t))とを比較し、
前記第一時間積分値(V)と予め設定された時間関数の第二速度閾値(Vs2(t))とを比較し、
前記積分値差の変化量が前記差分変化閾値以上(Gd≧Gs(t))及び前記積分値差(Vd)が前記第一速度閾値以上(Vd≧Vs1(t))のいずれか一方又は両方の条件を満足し、且つ、前記第一時間積分値が前記第二速度閾値以上(V≧Vs2(t))の場合に、エアバッグ装置を作動させるようにしてなることを特徴とするエアバッグ作動判断装置 - 車両の衝突を検知してエアバッグ作動の要否を判断するエアバッグ装置の作動判断装置において、
車室内に設置されて、該設置部の加速度(G)を常時検出する第一加速度センサ(1)と、
車体の前部クラッシュゾーンに設置されて、該設置部の加速度(G’)を常時検出する第二加速度センサ(2)とを有し、
前記第一加速度センサ(1)によって検出された加速度信号(G)に基づいて第一時間積分値(V)を演算し、
前記第二加速度センサ(2)によって検出された加速度信号(G’)に基づいて第二時間積分値(V’)を演算し、
前記第一時間積分値と第二時間積分値との差(Vd=V’−V)を演算し、
この差(Vd)と、予め前記第一時間積分値(V)の関数として設定された第一速度関数閾値(Vs1(V))とを比較し、前記差分(Vd)が該第一速度関数閾値以上(Vd≧Vs1(V))の場合に、エアバッグ装置を作動させるようにしてなる事を特徴とするエアバッグ作動判断装置 - 車両の衝突を検知してエアバッグ作動の要否を判断するエアバッグ装置の作動判断装置において、
車室内に設置されて、該設置部の加速度(G)を常時検出する第一加速度センサ(1)と、
車体の前部クラッシュゾーンに設置されて、該設置部の加速度(G’)を常時検出する第二加速度センサ(2)とを有し、
前記第一加速度センサ(1)によって検出された加速度信号(G)に基づいて第一時間積分値(V)を演算し、
前記第二加速度センサ(2)によって検出された加速度信号(G’)に基づいて第二時間積分値(V’)を演算し、
前記第一時間積分値と第二時間積分値との差(Vd=V’−V)を演算し、
該積分値の差を時間微分して該積分値差の変化量(Gd=d(Vd)/dt)を演算し、
前記積分値差の変化量(Gd)と予め設定された時間関数の差分変化閾値(Gs(t))とを比較し、
前記第一,第二時間積分値の差(Vd)と、予め前記第一時間積分値(V)の関数として設定された第一速度関数閾値(Vs1(V))とを比較し、
前記積分値差の変化量が前記差分変化閾値以上(Gd≧Gs(t))及び前記積分値差(Vd)が前記第一速度関数閾値以上(Vd≧Vs1(V))のいずれか一方又は両方の条件を満足した場合に、エアバッグ装置を作動させるようにしてなることを特徴とするエアバッグ作動判断装置 - 車両の衝突を検知してエアバッグ作動の要否を判断するエア バッグ装置の作動判断装置において、
車室内に設置されて、該設置部の加速度(G)を常時検出する第一加速度センサ(1)と、
車体の前部クラッシュゾーンに設置されて、該設置部の加速度(G’)を常時検出する第二加速度センサ(2)とを有し、
前記第一加速度センサ(1)によって検出された加速度信号(G)に基づいて第一時間積分値(V)を演算し、
前記第二加速度センサ(2)によって検出された加速度信号(G’)に基づいて第二時間積分値(V’)を演算し、
該第二時間積分値(V’)と、予め前記第一時間積分値(V)の関数として設定された第二速度関数閾値(Vs2(V))とを比較し、
該第二時間積分値が該第二速度関数閾値以上(V’≧Vs2(V))の場合にエアバッグ装置を作動させるようにしてなる事を特徴とするエアバッグ作動判断装置 - 車両の衝突を検知してエアバッグ作動の要否を判断するエアバッグ装置の作動判断装置において、
車室内に設置されて、該設置部の加速度(G)を常時検出する第一加速度センサ(1)と、
車体の前部クラッシュゾーンに設置されて、該設置部の加速度(G’)を常時検出する第二加速度センサ(2)とを有し、
前記第一加速度センサ(1)によって検出された加速度信号(G)に基づいて第一時間積分値(V)を演算し、
前記第二加速度センサ(2)によって検出された加速度信号(G’)に基づいて第二時間積分値(V’)を演算し、
前記第一時間積分値と第二時間積分値との差(Vd=V’−V)を演算し、
該積分値の差を時間微分して該積分値差の変化量(Gd=d(Vd)/dt)を演算し、
前記積分値差の変化量(Gd)と予め設定された時間関数の差分変化閾値(Gs(t))とを比較し、
前記第二時間積分値(V’)と、予め前記第一時間積分値(V)の関数として設定された第二速度関数閾値(Vs2(V))とを比較し、
前記積分値差の変化量が前記差分変化閾値以上(Gd≧Gs(t))及び前記第二時間積分値が前記第二速度関数閾値以上(V’≧Vs2(V))のいずれか一方又は両方の条件を満足した場合に、エアバッグ装置を作動させるようにしてなる事を特徴とするエアバッグ作動判断装置 - 前記第一加速度センサ(1)の加速度値(G)が、予め設定された加速度値(G1)を越えた時点から、又、前記第二加速度センサ(2)の加速度値(G’)が、予め設定された加速度値(G1’)を越えた時点から、夫々演算を開始するようにしてなる請求項1乃至8のいずれかに記載のエアバッグ作動判断装置
- 前記第一加速度センサ(1)で検出された加速度値(G)から予め設定された所定の加速度値(G2)を減算し、該減算された値(G3)を時間積分して第一時間積分値(V)を演算し、前記第二加速度センサ(2)で検出された加速度値(G’)から予め設定された所定の加速度値(G2’)を減算し、該減算された値(G3’)を時間積分して第二時間積分値(V’)を演算するようにしてなる請求項9に記載のエアバッグ作動判断装置
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