JP3438642B2 - 車両の制御装置 - Google Patents
車両の制御装置Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料噴射装置を備
えたエンジンを搭載した車両において、エンジンに対す
る燃料噴射量の変更により出力トルクを変化させ、これ
により車両の前後振動を抑制する車両の制御装置に関す
る。 【0002】 【従来の技術】燃料直接噴射式エンジンは操作に対する
応答性が良いことが知られているが、その反面、特に手
動変速機や自動変速機のトルクコンバーターを直結した
場合には、加減速の際に車両前後振動を誘発しやすい。 【0003】例えば、アクセルペダルの加速操作(踏み
込み)による急加速要求に応じて、駆動輪トルクを増大
すべく無段変速機が減速側(変速比増大側)に操作され
た場合、この変速の終了時に車体の前後振動が発生する
ことが知られている。これは、急加速要求に応じて無段
変速機が減速側に操作されると、動力の伝達に関与する
回転体の回転数が変化して、その回転数の変化量(角加
速度)と慣性モーメントとに応じた慣性トルクが発生す
る一方、変速が終了してそれらの回転体の回転数が目標
回転数に安定する際に、慣性トルクが解放される結果、
この慣性トルクによって駆動輪トルクが一時的に増大
し、動力伝達系統の捩れ弾性に抗して車体が前後に振動
するものである。以下このような車両前後振動をシャク
リ振動という。 【0004】このシャクリ振動を抑制すべく、例えば本
出願人の提案している特開平11−5460号公報の装
置では、エンジンの出力トルクと無段変速機の変速比と
に基づいて、変速終了時に発生することが予想されるシ
ャクリ振動の半周期を算出すると共に、シャクリ振動の
発生から当該振動の半周期前の時点を基準とした所定の
タイミングでエンジンの出力トルクと無段変速機の変速
比とを制御して、駆動輪トルクをステップ的に増大させ
ることにより、シャクリ振動を相殺するような逆位相の
振動を発生させ、これによりシャクリ振動を抑制してい
る。 【0005】これは具体的には、図11において区間b
で示すように、予想される変速終了時点Pe1からシャ
クリ振動の半周期t0/2だけ手前の時点Ps1より、
変速終了時点Pe1までのt0/2の間、駆動輪トルク
が現在の駆動輪トルクと目標(最終)トルクTとの相加
平均値である中間トルクT/2となり、またPe1の時
点から後は目標トルクTとなるように、エンジンの出力
トルクと無段変速機の変速比とを制御して駆動輪トルク
をステップ的に増加させるというものであり、この構成
によれば、変速終了時点Pe1より半周期手前の時点P
s1から変速終了時点Pe1までの間に慣性トルクの半
分程度が解放され、また変速終了時点Pe1の後に、残
余の慣性トルクがシャクリ振動に対する逆位相の振動と
して解放され、その慣性トルクがシャクリ振動を相殺す
るように作用するから、これによりシャクリ振動が抑制
される。以下、このようにエンジンや無段変速機を制御
して駆動輪トルクをステップ的に変化させることにより
シャクリ振動を抑制する制御をシャクリ抑制制御とい
う。 【0006】他方、車両の駆動系には動力伝達に関する
非線形要素としてのバックラッシュ(例えば駆動系のギ
ア部やスプライン部のガタ)が含まれているため、エン
ジンが、車輪によって従動している被駆動状態から車輪
を駆動している駆動状態へと変化する場合に、バックラ
ッシュ内での運動で蓄えられた運動エネルギが、駆動状
態の変化の終了時に衝撃的に伝達され、意図しない車両
前後振動が生ずる。このようなバックラッシュに起因す
る車両前後振動を抑制すべく、図12に示すように、駆
動状態と被駆動状態の切り替わりの際に、アクセルペダ
ルの操作量に基づいて得られる基本目標トルクの出力に
先立って、あらかじめバックラッシュを詰めるのに必要
な小さいトルク(バックラッシュ抑制トルク)を短時間
だけ出力し、これによりバックラッシュを詰めた後に、
基本目標トルクを出力するように、駆動輪トルクをステ
ップ的に変化させる制御を考えることができる。以下、
このような制御をバックラッシュ抑制制御という。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】このようなシャクリ抑
制制御やバックラッシュ抑制制御を、エンジンの出力ト
ルクを変化させることで実現することを考えた場合、燃
料噴射量をステップ的に変化させてエンジンの出力トル
クをステップ的に変化させればよいことになる。しか
し、実際には、アクセルペダルの急加速操作又は急減速
操作が行われた場合には、燃料噴射量を急激に変化させ
ても燃料噴射量に見合ったトルクが発生せず、制御を効
果的に実行できないことがあった。 【0008】これを詳細に分析したところ、この現象の
原因は、燃料噴射量をステップ的に変化させても、吸気
管内の大気が弾性を有するため吸気量の変化が燃料噴射
量の急峻な変化に追従できず、その結果、吸気量が一時
的に過小又は過大となって失火が生じることにあること
が判明した。 【0009】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
であり、シャクリ抑制制御やバックラッシュ抑制制御の
ように駆動輪トルクをステップ的に変化させる制御をエ
ンジンに対する燃料噴射量の変更によって行うように構
成した車両の制御装置において、アクセルペダルの急加
速又は急減速操作の際の制御を効果的に実行することを
目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
本発明は、アクセルペダルの急加速操作または急減速操
作によって生じる、しゃくり振動およびバックラッシュ
に起因する車両前後の振動の少なくとも一方の振動を抑
制するために、燃料噴射量を制御することによりエンジ
ントルクを急峻に変化させる制御を行う車両の制御装置
において、燃料噴射量の制御目標値の変化速度に関し、
エンジンの吸気の変化遅れに起因する失火が発生する限
界値があらかじめ設定され、前記の振動抑制のための燃
料噴射制御における燃料噴射量の変化速度が前記限界値
を超えた場合、燃料噴射量を、変化速度が前記限界値と
なるように設定する。 【0011】本発明では、目標噴射量を、その変化速度
がエンジンの吸気量の変化の遅れに起因する失火を生ず
べき限界値を超えた場合に、その限界値に設定するの
で、加速あるいは減速の操作が急速に行われ通常であれ
ば失火を生ずるような値に目標トルクが設定されるよう
な場合であっても、燃料噴射量の変化速度が常に限界値
を下回ることになり、燃料噴射量の急激な変化が抑えら
れ、吸気量の変化がよく追従でき、吸気量の変化の遅れ
に起因する失火が生じるおそれはない。したがって、シ
ャクリ抑制制御やバックラッシュ抑制制御のようにエン
ジントルクを急峻に変化させる制御を、常に効果的に実
行できる。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
(以下、実施形態という)を図面に基づき説明する。図
2には、本発明の実施形態に係る車両の制御装置1の概
略構成図が示されている。この実施形態で対象とする車
両は、燃料直接噴射式のエンジン10と走行部の駆動輪
(図示せず)とを無段変速機16を介して接続してなる
車両である。 【0013】図2において、エンジン10のクランク軸
12は、発進クラッチ14を介してベルト式無段変速機
(Continuously Variable Transmission;以下、CVT
という)16の入力軸18と連結されている。CVT1
6の出力軸20は、図示しないディファレンシャル(差
動歯車装置)等を介して車両の駆動軸と連結されてお
り、これによりエンジン10の回転力が走行部の駆動輪
へと伝達される。 【0014】上記CVT16の入力軸18及び出力軸2
0には、有効径が可変な可変プーリ22及び24が設け
られており、これら可変プーリ22及び24の間には伝
動ベルト26が巻き掛けられている。可変プーリ22及
び24は、入力軸18及び出力軸20にそれぞれ固定さ
れた固定回転体28及び30と、入力軸18及び出力軸
20に軸方向には移動可能でかつ回転方向には相対回転
不能に設けられた可動回転体32及び34とを備えてい
る。可動回転体32及び34は、これらにそれぞれ取り
付けられた油圧アクチュエータ33,35の作動により
軸方向に移動するように構成されており、これにより固
定回転体28及び30と可動回転体32及び34との間
に形成されたV溝幅が変動し、伝動ベルト26の掛り径
が変更される。 【0015】CVT16の入力軸18及び出力軸20に
は、これらの回転速度を検出するための回転センサ36
及び38がそれぞれ設けられている。これら回転センサ
36,38は、マイクロコンピュータを主体としてなる
電子制御装置(以下ECUという)40に電気的に接続
されており、ECU40は、回転センサ36,38の検
出信号に基づいてCVT16の変速比を制御する。CV
T16の出力軸20には、図示しないが、ギアを介して
ディファレンシャル並びに走行部の駆動輪が接続されて
おり、バックラッシュは主にこれらのギアやディファレ
ンシャルに存在する。 【0016】エンジン10には、燃料を燃焼室内に直接
噴射する燃料噴射装置11が設けられている。エンジン
10の吸気管41に設置されたスロットルバルブ49に
は、これを開閉操作するスロットルアクチュエータ50
が設けられており、また吸気管41には、吸気量を算出
すべく吸気管負圧を検出する吸気管負圧センサ42が設
けられている。またエンジン10には、図示しないが、
水温センサ及び油温センサが設けられており、これら水
温センサ及び油温センサの各検出値はECU40に入力
される。他方、クランク軸12の近傍にはエンジン回転
速度を検知するための回転センサ44が設けられてい
る。吸気管41と排気管43とは、排気ガス再循環装置
39及び排気ガス再循環通路により開閉可能に連通され
ている。ECU40には、これら燃料噴射装置11、ス
ロットルアクチュエータ50、吸気管負圧センサ42、
回転センサ44及び排気ガス再循環装置39が電気的に
接続され、各検出値に応じて燃料噴射装置11の基本噴
射量や排気ガス再循環装置39の作動量を制御するよう
に構成されている。 【0017】他方、アクセルペダル46近傍には、当該
アクセルペダル46と連動するスロットルバルブ49の
開度を検出するためのアクセルセンサ48が設けられて
おり、ECU40は、このアクセルセンサ48の検出値
に基づくスロットルバルブ開度、回転センサ38の検出
した車速及び回転センサ44の検出したエンジン回転数
に基づいて、スロットルアクチュエータ50を通じて吸
気量を制御する。 【0018】又、運転席の近傍に設けられたシフトレバ
ー52には、その操作位置を検出するためのシフトセン
サ54が設けられており、ECU40は、このシフトセ
ンサ54の検出したドライブレンジ等の情報や車速、ス
ロットルバルブ開度等の情報により、発進クラッチ14
やCVT16の変速比を制御する。このような構成の車
両の制御装置1において実行される制御の例について、
以下に説明する。 【0019】実施形態1 本実施形態では、本発明を上述のシャクリ抑制制御に適
用した例について説明する。図3に示すとおり、まず上
述のとおり検出されるスロットルバルブ開度及びエンジ
ン回転数をECU40に読み込み(S1)、読み込まれ
たスロットルバルブ開度及びエンジン回転数に基づい
て、燃料噴射装置11への出力パターンである最終目標
トルクを算出し(S2)、算出した最終目標トルクに基
づいてシャクリ抑制制御出力を行う(S3)。そして、
ステップS2における最終目標トルクの算出は、図1の
フローチャートによって行われるものであるが、ここで
は、燃料噴射量をその変化速度が失火を生ずべき変化速
度を下回るように設定する手段として、基本目標トルク
の変化速度、すなわち単位時間あたりの変化量に制限を
設けるものである。 【0020】まず、ステップS11において、アクセル
センサ48の検出値に対応するスロットルバルブ開度か
ら求められる目標出力と、回転センサ44の検出したエ
ンジン回転数とに基づいて、所定の演算Fにより基本目
標トルクが算出される。次にステップS12において、
算出された基本目標トルクが、前回値である前回目標ト
ルクを上回るか否かが判定され、これにより制御が加速
の場合と減速の場合とに振り分けられる。 【0021】ここで基本目標トルクが前回目標トルクを
上回る場合は、加速中の場合としてステップS13に移
行し、基本目標トルクから前回目標トルクを減算した値
が、所定の増加許容トルクを上回るかが判定される。こ
の増加許容トルクは、このフローチャートの実行間隔で
あるΔtの期間内にそれ以上の基本目標トルクの増加が
あった場合に、吸気量の変化の遅れに起因した吸気量の
過小による失火が起こるという閾値である。この閾値と
しての増加許容トルクを下回る許容範囲内の加速の場合
には、ステップS13で否定判定され、ステップS14
において、基本目標トルクがシャクリ抑制制御で用いら
れる目標トルクとして採用される。次にステップS16
においては、このようにして採用された目標トルクと、
前回目標トルクと、シャクリ抑制制御期間(中間トルク
を出力すべき車体前後振動周期の半周期であるt0/2
と、目標トルクを出力すべき相当期間)とに基づき、所
定のシャクリ抑制パターン関数により、最終目標トルク
が算出される。 【0022】このようにして算出される最終目標トルク
は、図4の曲線における区間jのとおり、車体前後振動
周期の半周期であるt0/2の間については目標トルク
の半分とし、当該t0/2の経過後について目標トルク
とするものである。なお、車体前後振動周期tは、車重
などに基づいて既知とする。 【0023】最後にステップS17で、目標トルクが前
回目標トルクに代入される。このように、基本目標トル
クの単位時間あたりの増加量が増加許容トルクを下回る
許容範囲内の加速の場合には、駆動輪トルクは1回のシ
ャクリ抑制制御によって、ステップS11で算出された
基本目標トルクに達するので、シャクリ抑制制御は1回
で完了する。 【0024】他方、ステップS13において、基本目標
トルクから前回目標トルクを減算した値が増加許容トル
クを上回る場合、すなわち、そのままでは吸気量の変化
の遅れに起因する吸気量の不足による失火が生じてしま
う許容範囲外の加速の場合には、目標噴射量の変化速度
が失火を生ずべき変化速度を上回る場合であるから、肯
定判定され、ステップS15に移行する。ステップS1
5では、ステップS11で算出された基本目標トルクに
代えて、前回目標トルクと増加許容トルクとの和が、シ
ャクリ抑制制御で用いられる目標トルクとして採用され
る。次にステップS16においては、このようにして採
用された目標トルクと、前回目標トルクと、シャクリ抑
制制御期間とに基づき、所定のシャクリ抑制パターン関
数により、最終目標トルクが算出される。 【0025】このようにして算出される最終目標トルク
は、図5の曲線lで示すとおり、制御出力の開始時点P
s1から車体前後振動周期の半周期であるt0/2の間
については目標トルクT1の半分とし、当該t0/2の
期間の経過後については目標トルクT1となるものであ
る。最後にステップS17で、目標トルク(図5におい
ては、T1)が前回目標トルクに代入される。 【0026】ここで、このように基本目標トルクが増加
許容トルクを上回る許容範囲外の加速の場合には、駆動
輪トルクは1回のシャクリ抑制制御によっては、ステッ
プS11で算出された基本目標トルク(図5において
は、Te)に達しない。したがって、上記ステップS1
1,S12,S13,S15,S16及びS17は、目
標トルクと前回目標トルクの差が増加許容トルクを下回
るまでの間繰り返し実行され、その結果最終目標トルク
のパターンは、図5の曲線lのとおり、多数段からなる
階段状のパターンとして算出される。また、目標トルク
と前回目標トルクの差が増加許容トルクを下回るとステ
ップS13での否定判定を経てステップS14が実行さ
れ、これに引き続くシャクリ抑制制御出力(S3)によ
り駆動輪トルクがステップS11で算出された基本目標
トルクに達するので、これにより一連のシャクリ抑制制
御が完了することとなる。 【0027】また、減速中には、上記加速中における場
合と逆の制御が行われる。すなわち減速中においては、
ステップS12で否定判定されてステップS19に移行
し、上記ステップS13とは逆に前回目標トルクから目
標トルクが減算され、得られた値が所定の減少許容トル
クを上回るか否かが判定される。この減少許容トルク
は、Δtの期間内にそれ以上の基本目標トルクの減少が
あった場合に、吸気量の変化の遅れに起因した吸気量の
過大による失火が起こるという閾値である。この閾値と
しての減少許容トルクを下回る許容範囲内の減速の場合
には、否定判定され、ステップS14でこの基本目標ト
ルクがシャクリ抑制制御で用いられる目標トルクとして
採用される。次にステップS16においては、このよう
にして採用された目標トルクと、前回目標トルクと、シ
ャクリ抑制制御期間とに基づき、所定のシャクリ抑制パ
ターン関数により、最終目標トルクが算出される。この
ようにして、基本目標トルクの単位時間あたりの減少量
が減少許容トルクを下回る許容範囲内の減速の場合に
は、図4における区間kのとおり、駆動輪トルクは1回
のシャクリ抑制制御によって、ステップS11で算出さ
れた基本目標トルクに達するので、シャクリ抑制制御は
1回で完了する。 【0028】他方、ステップS19において、前回目標
トルクから基本目標トルクを減算した値が減少許容トル
クを上回る場合、すなわち、そのままでは吸気量の変化
の遅れに起因した吸気量の過大による失火が生じてしま
う許容範囲外の減速の場合には、肯定判定され、ステッ
プS20に移行する。ステップS20では、ステップS
11で算出された基本目標トルクに代えて、前回目標ト
ルクから減少許容トルクを減算した値が、シャクリ抑制
制御で用いられる目標トルクとして採用される。次にス
テップS16においては、このようにして採用された目
標トルクと、前回目標トルクと、シャクリ抑制制御期間
とに基づき、所定のシャクリ抑制パターン関数により、
最終目標トルクが算出される。これらステップS11,
S12,S19,S20,S16及びS17は、前回目
標トルクと目標トルクの差が減少許容トルクを下回るま
での間繰り返し実行され、その結果最終目標トルクのパ
ターンは図6の曲線nのとおり多数段の階段状のパター
ンとして算出される。また、前回目標トルクと目標トル
クの差が減少許容トルクを下回るとステップS19での
否定判定を経てステップS14が実行され、これに引き
続くシャクリ抑制制御出力(S3)により駆動輪トルク
がステップS11で算出された基本目標トルクに達する
ので、これにより一連のシャクリ抑制制御が完了するこ
ととなる。 【0029】このように、本実施形態では、燃料噴射装
置11の目標噴射量をアクセルペダル46の操作量に応
じて設定する一方、燃料噴射装置11の現在の噴射量と
前記目標噴射量とに基づいて中間噴射量を算出し、燃料
噴射装置11を制御して、エンジン10に対する燃料噴
射量を所定期間だけ前記中間噴射量とし、その所定期間
の経過時点から前記目標噴射量とするようにステップ的
に変化させる。ここで本実施形態では、目標噴射量を、
その変化速度がエンジン10の吸気量の変化の遅れに起
因する失火を生ずべき変化速度を下回るように設定する
ので、加速あるいは減速の操作が急速に行われ通常であ
れば失火を生ずるような値に目標トルクが設定されるよ
うな場合であっても、燃料噴射量の変化速度が常に一定
値を下回ることになり、燃料噴射量の急激な変化が抑え
られ、吸気量の変化がよく追従でき、吸気量の変化の遅
れに起因する失火が生じるおそれはない。したがって、
駆動輪トルクをステップ的に変化させるシャクリ抑制制
御を、常に効果的に実行できる。 【0030】なお、上記実施形態1では、目標噴射量を
その変化速度が失火を生ずべき変化速度を下回るように
設定する手段として、基本目標トルクの変化速度(単位
時間あたりの変化量)に制限を設ける構成の制御例につ
いて説明したが、本発明では目標噴射量の変化速度に制
限を設ける構成であれば他の手段でもよく、例えば、他
の負荷指標(例えば負荷率、エンジン出力、駆動輪トル
ク)の変化速度に制限を設ける構成としてもよい。 【0031】実施形態2 本実施形態は、本発明を上述のバックラッシュ抑制制
御、すなわち駆動状態と被駆動状態の切り替わりの際
に、アクセルペダル46の操作量に基づいて得られる基
本目標トルクの出力に先立って、あらかじめバックラッ
シュを詰めるのに必要な小さいトルク(バックラッシュ
抑制トルク)を短時間だけ出力し、これによりバックラ
ッシュを詰めた後に、基本目標トルクを出力するよう
に、駆動輪トルクをステップ的に変化させる制御に適用
したものである。 【0032】まず図7のフローチャートにおいて、回転
センサ44、水温センサ及び油温センサによりそれぞれ
検出されるエンジン回転数、エンジン水温及びエンジン
油温をCPU40に読み込む(S21)。次に、読み込
まれた各検出値に基づき、CPU40において、バック
ラッシュを詰めることができるバックラッシュ抑制トル
クを算出する(S22)。このバックラッシュ抑制トル
クは、エンジンフリクションに応じて異なる値となる。
そして、このバックラッシュ抑制トルクとエンジン回転
数とに基づき、バックラッシュ抑制トルクの付与期間、
すなわちバックラッシュ抑制制御期間を算出する。 【0033】次に、このようにして算出されたバックラ
ッシュ抑制トルクと、バックラッシュ抑制制御期間とを
利用してトルク制御を行う。図8において、まず、アク
セルセンサ48の検出値に対応するスロットルバルブ開
度及び回転センサ44の検出したエンジン回転数に基づ
き、運転者が所望する車速を得るために必要な基本目標
トルクを算出する(S31)。次に、この算出値並びに
回転センサ38の検出した車速等の情報に基づき、エン
ジン10側が被駆動側と駆動側との間で変化したか否か
の検出を行う(S32)。エンジン10側が被駆動側か
ら駆動側に変化した場合、つまり、アクセルペダル46
が運転者によって操作されエンジン10が走行部の駆動
輪により従動している状態から駆動輪を駆動する状態に
転じようとする場合、ECU40は内部カウンタCに対
し、先に算出されたバックラッシュ抑制期間の値を与え
(S33)、現在の目標トルクを先に算出したバックラ
ッシュ抑制トルクとして、エンジン10の燃料噴射量を
制御する(S34)。 【0034】また、ステップS32において、変化が確
認されない場合、ECU40は、前記内部カウンタCか
らΔt(図8のフローチャートの実行周期)を減算し
(S35)、内部カウンタCの値が0か否かの判断を行
う(S36)。もし、C>0の場合、ECU40は、バ
ックラッシュがまだ詰まっていないと判断して、ステッ
プS34に移行しエンジン10にバックラッシュ抑制ト
ルクの発生を指示し続ける。 【0035】そして、ステップS36において、C=0
と判断した場合には、次に図9に示す最終目標トルク算
出ルーチンに移行する。図9において、まず、先に算出
された基本目標トルクの値をECU40に読み込む(S
41)。次に、読み込まれた基本目標トルクが、前回値
である前回目標トルクを上回るかが判断され(S4
2)、これにより加速の場合と減速の場合とに制御を振
り分ける。 【0036】ステップS42で肯定判定される加速中の
場合にはステップS43に移行し、基本目標トルクから
前回目標トルクを減算した値が所定の増加許容トルクを
上回るか否かが判断される。ここで、この増加許容トル
クは、このフローチャートの実行間隔であるΔtの期間
内にそれ以上の基本目標トルクの増加があった場合に、
吸気量の変化の遅れに起因した吸気量の過小による失火
が起こるという閾値である。この閾値としての増加許容
トルクを下回る許容範囲内の加速の場合には、ステップ
S43で否定判定され、ステップS44において、この
基本目標トルクがバックラッシュ抑制制御で用いられる
目標トルクとして採用される。次にステップS46にお
いては、このようにして採用された目標トルクと、前回
目標トルクと、所定のトルク保持期間とに基づき、所定
の目標トルクパターン関数により、最終目標トルクが算
出される。最後にステップS47で、目標トルクが前回
目標トルクに代入される。 【0037】このようにして算出される最終目標トルク
は、上述の図8のフローチャートにおける内部カウンタ
Cの値が0となった時点から、エンジン10に対して出
力される。したがって、駆動輪トルクは図12に示す従
来例の場合と同様にバックラッシュ抑制制御期間の間だ
けバックラッシュを詰めるための小さい値となり、また
バックラッシュ抑制制御期間の経過時点以降は、最終目
標トルクとなるようにステップ的に変化する。このよう
に、基本目標トルクの単位時間あたりの増加量が増加許
容トルクを下回る許容範囲内の加速の場合には、駆動輪
トルクは1回のバックラッシュ抑制制御によって、ステ
ップS41で読み込まれた基本目標トルクに達するの
で、バックラッシュ抑制制御は1回で完了する。 【0038】他方、ステップS43において、基本目標
トルクから前回目標トルクを減算した値が増加許容トル
クを上回る場合、すなわち、そのままでは吸気量の変化
の遅れに起因する吸気量の過小による失火が生じてしま
う許容範囲外の加速の場合には、目標噴射量の変化速度
が失火を生ずべき変化速度を上回る場合であるから、肯
定判定され、ステップS45に移行する。ステップS4
5では、ステップS41で読み込まれた基本目標トルク
に代えて、前回目標トルクと増加許容トルクとの和が、
目標トルクとして採用される。そしてステップS46に
おいて、所定の目標トルクパターン関数により、最終目
標トルクが算出される。ここで、このように基本目標ト
ルクが増加許容トルクを上回る許容範囲外の加速の場合
には、駆動輪トルクは1回のバックラッシュ抑制制御に
よっては、ステップS41で読み込まれた基本目標トル
クに達しない。したがって、上記ステップS41,S4
2,S43,S45,S46及びS47は、基本目標ト
ルクと前回目標トルクの差が増加許容トルクを下回るま
での間繰り返し実行され、その結果最終目標トルクのパ
ターンは、図10に示すとおり多数段からなる階段状の
パターンとして算出される。また、目標トルクと前回目
標トルクの差が増加許容トルクを下回るとステップS4
3での否定判定を経てステップS44が実行され、これ
に引き続くバックラッシュ抑制制御出力により駆動輪ト
ルクがステップS41で読み込まれた基本目標トルクに
達するので、これにより一連のバックラッシュ抑制制御
が完了することとなる。 【0039】また、減速中には、上記加速中における場
合と逆の制御が行われる。すなわち減速中においては、
ステップS42で否定判定されてステップS49に移行
し、上記ステップS43とは逆に前回目標トルクから目
標トルクが減算され、得られた値が所定の減少許容トル
クを上回るか否かが判定される。この減少許容トルク
は、Δtの期間内にそれ以上の基本目標トルクの減少が
あった場合に、吸気量の変化の遅れに起因した吸気量の
過大による失火が起こるという閾値である。この閾値と
しての減少許容トルクを下回る許容範囲内の減速の場合
には、否定判定され、ステップS44でこの基本目標ト
ルクがバックラッシュ抑制制御で用いられる目標トルク
として採用される。そしてステップS46において、目
標トルクパターン関数により最終目標トルクが算出さ
れ、最後にステップS47で、目標トルクが前回目標ト
ルクに代入される。このようにして、基本目標トルクの
単位時間あたりの減少量が減少許容トルクを下回る許容
範囲内の減速の場合には、駆動輪トルクは1回のバック
ラッシュ抑制制御によって、ステップS41で読み込ま
れた基本目標トルクに達するので、バックラッシュ抑制
制御は1回で完了する。 【0040】他方、ステップS49において、前回目標
トルクから基本目標トルクを減算した値が減少許容トル
クを上回る場合、すなわち、そのままでは吸気量の変化
の遅れに起因した吸気量の過大による失火が生じてしま
う許容範囲外の減速の場合には、肯定判定され、ステッ
プS50に移行する。ステップS50では、ステップS
41で読み込まれた基本目標トルクに代えて、前回目標
トルクから減少許容トルクを減算した値が、目標トルク
として採用される。そして、上記ステップS41,S4
2,S49,S50,S46及びS47は、前回目標ト
ルクと目標トルクの差が減少許容トルクを下回るまでの
間繰り返し実行され、その結果最終目標トルクのパター
ンは多数段の階段状のパターンとして算出される。ま
た、前回目標トルクと目標トルクの差が減少許容トルク
を下回るとステップS49での否定判定を経てステップ
S44が実行され、これに引き続くバックラッシュ抑制
制御出力により駆動輪トルクがステップS41で算出さ
れた基本目標トルクに達するので、これにより一連のバ
ックラッシュ抑制制御が完了することとなる。 【0041】このように、本実施形態では、目標トルク
の変化速度に制限を設けることにより、目標噴射量を、
その変化速度がエンジン10の吸気量の変化の遅れに起
因する失火を生ずべき変化速度を下回るように設定する
ので、加速あるいは減速の操作が急速に行われ通常であ
れば失火を生ずるような値に目標トルクが設定されるよ
うな場合であっても、燃料噴射量の変化速度が常に一定
値を下回ることになり、燃料噴射量の急激な変化が抑え
られ、吸気量の変化がよく追従でき、吸気量の変化の遅
れに起因する失火が生じるおそれはない。したがって、
駆動輪トルクをステップ的に変化させるバックラッシュ
抑制制御を、常に効果的に実行できる。 【0042】なお、上述の各実施形態では、本発明をそ
れぞれシャクリ抑制制御とバックラッシュ抑制制御を行
う装置に個別に適用する例について説明したが、本発明
は燃料噴射装置を制御してエンジンに対する燃料噴射量
を所定期間だけ中間噴射量とし、前記所定期間の経過時
点から目標噴射量とするようにステップ的に変化させる
車両の制御装置であれば他の構成の装置についても適用
でき、例えばバックラッシュ抑制制御の終了後にシャク
リ抑制制御を行う装置について本発明を適用することも
可能であって、このような構成も本発明の範疇に属する
ものである。
えたエンジンを搭載した車両において、エンジンに対す
る燃料噴射量の変更により出力トルクを変化させ、これ
により車両の前後振動を抑制する車両の制御装置に関す
る。 【0002】 【従来の技術】燃料直接噴射式エンジンは操作に対する
応答性が良いことが知られているが、その反面、特に手
動変速機や自動変速機のトルクコンバーターを直結した
場合には、加減速の際に車両前後振動を誘発しやすい。 【0003】例えば、アクセルペダルの加速操作(踏み
込み)による急加速要求に応じて、駆動輪トルクを増大
すべく無段変速機が減速側(変速比増大側)に操作され
た場合、この変速の終了時に車体の前後振動が発生する
ことが知られている。これは、急加速要求に応じて無段
変速機が減速側に操作されると、動力の伝達に関与する
回転体の回転数が変化して、その回転数の変化量(角加
速度)と慣性モーメントとに応じた慣性トルクが発生す
る一方、変速が終了してそれらの回転体の回転数が目標
回転数に安定する際に、慣性トルクが解放される結果、
この慣性トルクによって駆動輪トルクが一時的に増大
し、動力伝達系統の捩れ弾性に抗して車体が前後に振動
するものである。以下このような車両前後振動をシャク
リ振動という。 【0004】このシャクリ振動を抑制すべく、例えば本
出願人の提案している特開平11−5460号公報の装
置では、エンジンの出力トルクと無段変速機の変速比と
に基づいて、変速終了時に発生することが予想されるシ
ャクリ振動の半周期を算出すると共に、シャクリ振動の
発生から当該振動の半周期前の時点を基準とした所定の
タイミングでエンジンの出力トルクと無段変速機の変速
比とを制御して、駆動輪トルクをステップ的に増大させ
ることにより、シャクリ振動を相殺するような逆位相の
振動を発生させ、これによりシャクリ振動を抑制してい
る。 【0005】これは具体的には、図11において区間b
で示すように、予想される変速終了時点Pe1からシャ
クリ振動の半周期t0/2だけ手前の時点Ps1より、
変速終了時点Pe1までのt0/2の間、駆動輪トルク
が現在の駆動輪トルクと目標(最終)トルクTとの相加
平均値である中間トルクT/2となり、またPe1の時
点から後は目標トルクTとなるように、エンジンの出力
トルクと無段変速機の変速比とを制御して駆動輪トルク
をステップ的に増加させるというものであり、この構成
によれば、変速終了時点Pe1より半周期手前の時点P
s1から変速終了時点Pe1までの間に慣性トルクの半
分程度が解放され、また変速終了時点Pe1の後に、残
余の慣性トルクがシャクリ振動に対する逆位相の振動と
して解放され、その慣性トルクがシャクリ振動を相殺す
るように作用するから、これによりシャクリ振動が抑制
される。以下、このようにエンジンや無段変速機を制御
して駆動輪トルクをステップ的に変化させることにより
シャクリ振動を抑制する制御をシャクリ抑制制御とい
う。 【0006】他方、車両の駆動系には動力伝達に関する
非線形要素としてのバックラッシュ(例えば駆動系のギ
ア部やスプライン部のガタ)が含まれているため、エン
ジンが、車輪によって従動している被駆動状態から車輪
を駆動している駆動状態へと変化する場合に、バックラ
ッシュ内での運動で蓄えられた運動エネルギが、駆動状
態の変化の終了時に衝撃的に伝達され、意図しない車両
前後振動が生ずる。このようなバックラッシュに起因す
る車両前後振動を抑制すべく、図12に示すように、駆
動状態と被駆動状態の切り替わりの際に、アクセルペダ
ルの操作量に基づいて得られる基本目標トルクの出力に
先立って、あらかじめバックラッシュを詰めるのに必要
な小さいトルク(バックラッシュ抑制トルク)を短時間
だけ出力し、これによりバックラッシュを詰めた後に、
基本目標トルクを出力するように、駆動輪トルクをステ
ップ的に変化させる制御を考えることができる。以下、
このような制御をバックラッシュ抑制制御という。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】このようなシャクリ抑
制制御やバックラッシュ抑制制御を、エンジンの出力ト
ルクを変化させることで実現することを考えた場合、燃
料噴射量をステップ的に変化させてエンジンの出力トル
クをステップ的に変化させればよいことになる。しか
し、実際には、アクセルペダルの急加速操作又は急減速
操作が行われた場合には、燃料噴射量を急激に変化させ
ても燃料噴射量に見合ったトルクが発生せず、制御を効
果的に実行できないことがあった。 【0008】これを詳細に分析したところ、この現象の
原因は、燃料噴射量をステップ的に変化させても、吸気
管内の大気が弾性を有するため吸気量の変化が燃料噴射
量の急峻な変化に追従できず、その結果、吸気量が一時
的に過小又は過大となって失火が生じることにあること
が判明した。 【0009】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
であり、シャクリ抑制制御やバックラッシュ抑制制御の
ように駆動輪トルクをステップ的に変化させる制御をエ
ンジンに対する燃料噴射量の変更によって行うように構
成した車両の制御装置において、アクセルペダルの急加
速又は急減速操作の際の制御を効果的に実行することを
目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
本発明は、アクセルペダルの急加速操作または急減速操
作によって生じる、しゃくり振動およびバックラッシュ
に起因する車両前後の振動の少なくとも一方の振動を抑
制するために、燃料噴射量を制御することによりエンジ
ントルクを急峻に変化させる制御を行う車両の制御装置
において、燃料噴射量の制御目標値の変化速度に関し、
エンジンの吸気の変化遅れに起因する失火が発生する限
界値があらかじめ設定され、前記の振動抑制のための燃
料噴射制御における燃料噴射量の変化速度が前記限界値
を超えた場合、燃料噴射量を、変化速度が前記限界値と
なるように設定する。 【0011】本発明では、目標噴射量を、その変化速度
がエンジンの吸気量の変化の遅れに起因する失火を生ず
べき限界値を超えた場合に、その限界値に設定するの
で、加速あるいは減速の操作が急速に行われ通常であれ
ば失火を生ずるような値に目標トルクが設定されるよう
な場合であっても、燃料噴射量の変化速度が常に限界値
を下回ることになり、燃料噴射量の急激な変化が抑えら
れ、吸気量の変化がよく追従でき、吸気量の変化の遅れ
に起因する失火が生じるおそれはない。したがって、シ
ャクリ抑制制御やバックラッシュ抑制制御のようにエン
ジントルクを急峻に変化させる制御を、常に効果的に実
行できる。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
(以下、実施形態という)を図面に基づき説明する。図
2には、本発明の実施形態に係る車両の制御装置1の概
略構成図が示されている。この実施形態で対象とする車
両は、燃料直接噴射式のエンジン10と走行部の駆動輪
(図示せず)とを無段変速機16を介して接続してなる
車両である。 【0013】図2において、エンジン10のクランク軸
12は、発進クラッチ14を介してベルト式無段変速機
(Continuously Variable Transmission;以下、CVT
という)16の入力軸18と連結されている。CVT1
6の出力軸20は、図示しないディファレンシャル(差
動歯車装置)等を介して車両の駆動軸と連結されてお
り、これによりエンジン10の回転力が走行部の駆動輪
へと伝達される。 【0014】上記CVT16の入力軸18及び出力軸2
0には、有効径が可変な可変プーリ22及び24が設け
られており、これら可変プーリ22及び24の間には伝
動ベルト26が巻き掛けられている。可変プーリ22及
び24は、入力軸18及び出力軸20にそれぞれ固定さ
れた固定回転体28及び30と、入力軸18及び出力軸
20に軸方向には移動可能でかつ回転方向には相対回転
不能に設けられた可動回転体32及び34とを備えてい
る。可動回転体32及び34は、これらにそれぞれ取り
付けられた油圧アクチュエータ33,35の作動により
軸方向に移動するように構成されており、これにより固
定回転体28及び30と可動回転体32及び34との間
に形成されたV溝幅が変動し、伝動ベルト26の掛り径
が変更される。 【0015】CVT16の入力軸18及び出力軸20に
は、これらの回転速度を検出するための回転センサ36
及び38がそれぞれ設けられている。これら回転センサ
36,38は、マイクロコンピュータを主体としてなる
電子制御装置(以下ECUという)40に電気的に接続
されており、ECU40は、回転センサ36,38の検
出信号に基づいてCVT16の変速比を制御する。CV
T16の出力軸20には、図示しないが、ギアを介して
ディファレンシャル並びに走行部の駆動輪が接続されて
おり、バックラッシュは主にこれらのギアやディファレ
ンシャルに存在する。 【0016】エンジン10には、燃料を燃焼室内に直接
噴射する燃料噴射装置11が設けられている。エンジン
10の吸気管41に設置されたスロットルバルブ49に
は、これを開閉操作するスロットルアクチュエータ50
が設けられており、また吸気管41には、吸気量を算出
すべく吸気管負圧を検出する吸気管負圧センサ42が設
けられている。またエンジン10には、図示しないが、
水温センサ及び油温センサが設けられており、これら水
温センサ及び油温センサの各検出値はECU40に入力
される。他方、クランク軸12の近傍にはエンジン回転
速度を検知するための回転センサ44が設けられてい
る。吸気管41と排気管43とは、排気ガス再循環装置
39及び排気ガス再循環通路により開閉可能に連通され
ている。ECU40には、これら燃料噴射装置11、ス
ロットルアクチュエータ50、吸気管負圧センサ42、
回転センサ44及び排気ガス再循環装置39が電気的に
接続され、各検出値に応じて燃料噴射装置11の基本噴
射量や排気ガス再循環装置39の作動量を制御するよう
に構成されている。 【0017】他方、アクセルペダル46近傍には、当該
アクセルペダル46と連動するスロットルバルブ49の
開度を検出するためのアクセルセンサ48が設けられて
おり、ECU40は、このアクセルセンサ48の検出値
に基づくスロットルバルブ開度、回転センサ38の検出
した車速及び回転センサ44の検出したエンジン回転数
に基づいて、スロットルアクチュエータ50を通じて吸
気量を制御する。 【0018】又、運転席の近傍に設けられたシフトレバ
ー52には、その操作位置を検出するためのシフトセン
サ54が設けられており、ECU40は、このシフトセ
ンサ54の検出したドライブレンジ等の情報や車速、ス
ロットルバルブ開度等の情報により、発進クラッチ14
やCVT16の変速比を制御する。このような構成の車
両の制御装置1において実行される制御の例について、
以下に説明する。 【0019】実施形態1 本実施形態では、本発明を上述のシャクリ抑制制御に適
用した例について説明する。図3に示すとおり、まず上
述のとおり検出されるスロットルバルブ開度及びエンジ
ン回転数をECU40に読み込み(S1)、読み込まれ
たスロットルバルブ開度及びエンジン回転数に基づい
て、燃料噴射装置11への出力パターンである最終目標
トルクを算出し(S2)、算出した最終目標トルクに基
づいてシャクリ抑制制御出力を行う(S3)。そして、
ステップS2における最終目標トルクの算出は、図1の
フローチャートによって行われるものであるが、ここで
は、燃料噴射量をその変化速度が失火を生ずべき変化速
度を下回るように設定する手段として、基本目標トルク
の変化速度、すなわち単位時間あたりの変化量に制限を
設けるものである。 【0020】まず、ステップS11において、アクセル
センサ48の検出値に対応するスロットルバルブ開度か
ら求められる目標出力と、回転センサ44の検出したエ
ンジン回転数とに基づいて、所定の演算Fにより基本目
標トルクが算出される。次にステップS12において、
算出された基本目標トルクが、前回値である前回目標ト
ルクを上回るか否かが判定され、これにより制御が加速
の場合と減速の場合とに振り分けられる。 【0021】ここで基本目標トルクが前回目標トルクを
上回る場合は、加速中の場合としてステップS13に移
行し、基本目標トルクから前回目標トルクを減算した値
が、所定の増加許容トルクを上回るかが判定される。こ
の増加許容トルクは、このフローチャートの実行間隔で
あるΔtの期間内にそれ以上の基本目標トルクの増加が
あった場合に、吸気量の変化の遅れに起因した吸気量の
過小による失火が起こるという閾値である。この閾値と
しての増加許容トルクを下回る許容範囲内の加速の場合
には、ステップS13で否定判定され、ステップS14
において、基本目標トルクがシャクリ抑制制御で用いら
れる目標トルクとして採用される。次にステップS16
においては、このようにして採用された目標トルクと、
前回目標トルクと、シャクリ抑制制御期間(中間トルク
を出力すべき車体前後振動周期の半周期であるt0/2
と、目標トルクを出力すべき相当期間)とに基づき、所
定のシャクリ抑制パターン関数により、最終目標トルク
が算出される。 【0022】このようにして算出される最終目標トルク
は、図4の曲線における区間jのとおり、車体前後振動
周期の半周期であるt0/2の間については目標トルク
の半分とし、当該t0/2の経過後について目標トルク
とするものである。なお、車体前後振動周期tは、車重
などに基づいて既知とする。 【0023】最後にステップS17で、目標トルクが前
回目標トルクに代入される。このように、基本目標トル
クの単位時間あたりの増加量が増加許容トルクを下回る
許容範囲内の加速の場合には、駆動輪トルクは1回のシ
ャクリ抑制制御によって、ステップS11で算出された
基本目標トルクに達するので、シャクリ抑制制御は1回
で完了する。 【0024】他方、ステップS13において、基本目標
トルクから前回目標トルクを減算した値が増加許容トル
クを上回る場合、すなわち、そのままでは吸気量の変化
の遅れに起因する吸気量の不足による失火が生じてしま
う許容範囲外の加速の場合には、目標噴射量の変化速度
が失火を生ずべき変化速度を上回る場合であるから、肯
定判定され、ステップS15に移行する。ステップS1
5では、ステップS11で算出された基本目標トルクに
代えて、前回目標トルクと増加許容トルクとの和が、シ
ャクリ抑制制御で用いられる目標トルクとして採用され
る。次にステップS16においては、このようにして採
用された目標トルクと、前回目標トルクと、シャクリ抑
制制御期間とに基づき、所定のシャクリ抑制パターン関
数により、最終目標トルクが算出される。 【0025】このようにして算出される最終目標トルク
は、図5の曲線lで示すとおり、制御出力の開始時点P
s1から車体前後振動周期の半周期であるt0/2の間
については目標トルクT1の半分とし、当該t0/2の
期間の経過後については目標トルクT1となるものであ
る。最後にステップS17で、目標トルク(図5におい
ては、T1)が前回目標トルクに代入される。 【0026】ここで、このように基本目標トルクが増加
許容トルクを上回る許容範囲外の加速の場合には、駆動
輪トルクは1回のシャクリ抑制制御によっては、ステッ
プS11で算出された基本目標トルク(図5において
は、Te)に達しない。したがって、上記ステップS1
1,S12,S13,S15,S16及びS17は、目
標トルクと前回目標トルクの差が増加許容トルクを下回
るまでの間繰り返し実行され、その結果最終目標トルク
のパターンは、図5の曲線lのとおり、多数段からなる
階段状のパターンとして算出される。また、目標トルク
と前回目標トルクの差が増加許容トルクを下回るとステ
ップS13での否定判定を経てステップS14が実行さ
れ、これに引き続くシャクリ抑制制御出力(S3)によ
り駆動輪トルクがステップS11で算出された基本目標
トルクに達するので、これにより一連のシャクリ抑制制
御が完了することとなる。 【0027】また、減速中には、上記加速中における場
合と逆の制御が行われる。すなわち減速中においては、
ステップS12で否定判定されてステップS19に移行
し、上記ステップS13とは逆に前回目標トルクから目
標トルクが減算され、得られた値が所定の減少許容トル
クを上回るか否かが判定される。この減少許容トルク
は、Δtの期間内にそれ以上の基本目標トルクの減少が
あった場合に、吸気量の変化の遅れに起因した吸気量の
過大による失火が起こるという閾値である。この閾値と
しての減少許容トルクを下回る許容範囲内の減速の場合
には、否定判定され、ステップS14でこの基本目標ト
ルクがシャクリ抑制制御で用いられる目標トルクとして
採用される。次にステップS16においては、このよう
にして採用された目標トルクと、前回目標トルクと、シ
ャクリ抑制制御期間とに基づき、所定のシャクリ抑制パ
ターン関数により、最終目標トルクが算出される。この
ようにして、基本目標トルクの単位時間あたりの減少量
が減少許容トルクを下回る許容範囲内の減速の場合に
は、図4における区間kのとおり、駆動輪トルクは1回
のシャクリ抑制制御によって、ステップS11で算出さ
れた基本目標トルクに達するので、シャクリ抑制制御は
1回で完了する。 【0028】他方、ステップS19において、前回目標
トルクから基本目標トルクを減算した値が減少許容トル
クを上回る場合、すなわち、そのままでは吸気量の変化
の遅れに起因した吸気量の過大による失火が生じてしま
う許容範囲外の減速の場合には、肯定判定され、ステッ
プS20に移行する。ステップS20では、ステップS
11で算出された基本目標トルクに代えて、前回目標ト
ルクから減少許容トルクを減算した値が、シャクリ抑制
制御で用いられる目標トルクとして採用される。次にス
テップS16においては、このようにして採用された目
標トルクと、前回目標トルクと、シャクリ抑制制御期間
とに基づき、所定のシャクリ抑制パターン関数により、
最終目標トルクが算出される。これらステップS11,
S12,S19,S20,S16及びS17は、前回目
標トルクと目標トルクの差が減少許容トルクを下回るま
での間繰り返し実行され、その結果最終目標トルクのパ
ターンは図6の曲線nのとおり多数段の階段状のパター
ンとして算出される。また、前回目標トルクと目標トル
クの差が減少許容トルクを下回るとステップS19での
否定判定を経てステップS14が実行され、これに引き
続くシャクリ抑制制御出力(S3)により駆動輪トルク
がステップS11で算出された基本目標トルクに達する
ので、これにより一連のシャクリ抑制制御が完了するこ
ととなる。 【0029】このように、本実施形態では、燃料噴射装
置11の目標噴射量をアクセルペダル46の操作量に応
じて設定する一方、燃料噴射装置11の現在の噴射量と
前記目標噴射量とに基づいて中間噴射量を算出し、燃料
噴射装置11を制御して、エンジン10に対する燃料噴
射量を所定期間だけ前記中間噴射量とし、その所定期間
の経過時点から前記目標噴射量とするようにステップ的
に変化させる。ここで本実施形態では、目標噴射量を、
その変化速度がエンジン10の吸気量の変化の遅れに起
因する失火を生ずべき変化速度を下回るように設定する
ので、加速あるいは減速の操作が急速に行われ通常であ
れば失火を生ずるような値に目標トルクが設定されるよ
うな場合であっても、燃料噴射量の変化速度が常に一定
値を下回ることになり、燃料噴射量の急激な変化が抑え
られ、吸気量の変化がよく追従でき、吸気量の変化の遅
れに起因する失火が生じるおそれはない。したがって、
駆動輪トルクをステップ的に変化させるシャクリ抑制制
御を、常に効果的に実行できる。 【0030】なお、上記実施形態1では、目標噴射量を
その変化速度が失火を生ずべき変化速度を下回るように
設定する手段として、基本目標トルクの変化速度(単位
時間あたりの変化量)に制限を設ける構成の制御例につ
いて説明したが、本発明では目標噴射量の変化速度に制
限を設ける構成であれば他の手段でもよく、例えば、他
の負荷指標(例えば負荷率、エンジン出力、駆動輪トル
ク)の変化速度に制限を設ける構成としてもよい。 【0031】実施形態2 本実施形態は、本発明を上述のバックラッシュ抑制制
御、すなわち駆動状態と被駆動状態の切り替わりの際
に、アクセルペダル46の操作量に基づいて得られる基
本目標トルクの出力に先立って、あらかじめバックラッ
シュを詰めるのに必要な小さいトルク(バックラッシュ
抑制トルク)を短時間だけ出力し、これによりバックラ
ッシュを詰めた後に、基本目標トルクを出力するよう
に、駆動輪トルクをステップ的に変化させる制御に適用
したものである。 【0032】まず図7のフローチャートにおいて、回転
センサ44、水温センサ及び油温センサによりそれぞれ
検出されるエンジン回転数、エンジン水温及びエンジン
油温をCPU40に読み込む(S21)。次に、読み込
まれた各検出値に基づき、CPU40において、バック
ラッシュを詰めることができるバックラッシュ抑制トル
クを算出する(S22)。このバックラッシュ抑制トル
クは、エンジンフリクションに応じて異なる値となる。
そして、このバックラッシュ抑制トルクとエンジン回転
数とに基づき、バックラッシュ抑制トルクの付与期間、
すなわちバックラッシュ抑制制御期間を算出する。 【0033】次に、このようにして算出されたバックラ
ッシュ抑制トルクと、バックラッシュ抑制制御期間とを
利用してトルク制御を行う。図8において、まず、アク
セルセンサ48の検出値に対応するスロットルバルブ開
度及び回転センサ44の検出したエンジン回転数に基づ
き、運転者が所望する車速を得るために必要な基本目標
トルクを算出する(S31)。次に、この算出値並びに
回転センサ38の検出した車速等の情報に基づき、エン
ジン10側が被駆動側と駆動側との間で変化したか否か
の検出を行う(S32)。エンジン10側が被駆動側か
ら駆動側に変化した場合、つまり、アクセルペダル46
が運転者によって操作されエンジン10が走行部の駆動
輪により従動している状態から駆動輪を駆動する状態に
転じようとする場合、ECU40は内部カウンタCに対
し、先に算出されたバックラッシュ抑制期間の値を与え
(S33)、現在の目標トルクを先に算出したバックラ
ッシュ抑制トルクとして、エンジン10の燃料噴射量を
制御する(S34)。 【0034】また、ステップS32において、変化が確
認されない場合、ECU40は、前記内部カウンタCか
らΔt(図8のフローチャートの実行周期)を減算し
(S35)、内部カウンタCの値が0か否かの判断を行
う(S36)。もし、C>0の場合、ECU40は、バ
ックラッシュがまだ詰まっていないと判断して、ステッ
プS34に移行しエンジン10にバックラッシュ抑制ト
ルクの発生を指示し続ける。 【0035】そして、ステップS36において、C=0
と判断した場合には、次に図9に示す最終目標トルク算
出ルーチンに移行する。図9において、まず、先に算出
された基本目標トルクの値をECU40に読み込む(S
41)。次に、読み込まれた基本目標トルクが、前回値
である前回目標トルクを上回るかが判断され(S4
2)、これにより加速の場合と減速の場合とに制御を振
り分ける。 【0036】ステップS42で肯定判定される加速中の
場合にはステップS43に移行し、基本目標トルクから
前回目標トルクを減算した値が所定の増加許容トルクを
上回るか否かが判断される。ここで、この増加許容トル
クは、このフローチャートの実行間隔であるΔtの期間
内にそれ以上の基本目標トルクの増加があった場合に、
吸気量の変化の遅れに起因した吸気量の過小による失火
が起こるという閾値である。この閾値としての増加許容
トルクを下回る許容範囲内の加速の場合には、ステップ
S43で否定判定され、ステップS44において、この
基本目標トルクがバックラッシュ抑制制御で用いられる
目標トルクとして採用される。次にステップS46にお
いては、このようにして採用された目標トルクと、前回
目標トルクと、所定のトルク保持期間とに基づき、所定
の目標トルクパターン関数により、最終目標トルクが算
出される。最後にステップS47で、目標トルクが前回
目標トルクに代入される。 【0037】このようにして算出される最終目標トルク
は、上述の図8のフローチャートにおける内部カウンタ
Cの値が0となった時点から、エンジン10に対して出
力される。したがって、駆動輪トルクは図12に示す従
来例の場合と同様にバックラッシュ抑制制御期間の間だ
けバックラッシュを詰めるための小さい値となり、また
バックラッシュ抑制制御期間の経過時点以降は、最終目
標トルクとなるようにステップ的に変化する。このよう
に、基本目標トルクの単位時間あたりの増加量が増加許
容トルクを下回る許容範囲内の加速の場合には、駆動輪
トルクは1回のバックラッシュ抑制制御によって、ステ
ップS41で読み込まれた基本目標トルクに達するの
で、バックラッシュ抑制制御は1回で完了する。 【0038】他方、ステップS43において、基本目標
トルクから前回目標トルクを減算した値が増加許容トル
クを上回る場合、すなわち、そのままでは吸気量の変化
の遅れに起因する吸気量の過小による失火が生じてしま
う許容範囲外の加速の場合には、目標噴射量の変化速度
が失火を生ずべき変化速度を上回る場合であるから、肯
定判定され、ステップS45に移行する。ステップS4
5では、ステップS41で読み込まれた基本目標トルク
に代えて、前回目標トルクと増加許容トルクとの和が、
目標トルクとして採用される。そしてステップS46に
おいて、所定の目標トルクパターン関数により、最終目
標トルクが算出される。ここで、このように基本目標ト
ルクが増加許容トルクを上回る許容範囲外の加速の場合
には、駆動輪トルクは1回のバックラッシュ抑制制御に
よっては、ステップS41で読み込まれた基本目標トル
クに達しない。したがって、上記ステップS41,S4
2,S43,S45,S46及びS47は、基本目標ト
ルクと前回目標トルクの差が増加許容トルクを下回るま
での間繰り返し実行され、その結果最終目標トルクのパ
ターンは、図10に示すとおり多数段からなる階段状の
パターンとして算出される。また、目標トルクと前回目
標トルクの差が増加許容トルクを下回るとステップS4
3での否定判定を経てステップS44が実行され、これ
に引き続くバックラッシュ抑制制御出力により駆動輪ト
ルクがステップS41で読み込まれた基本目標トルクに
達するので、これにより一連のバックラッシュ抑制制御
が完了することとなる。 【0039】また、減速中には、上記加速中における場
合と逆の制御が行われる。すなわち減速中においては、
ステップS42で否定判定されてステップS49に移行
し、上記ステップS43とは逆に前回目標トルクから目
標トルクが減算され、得られた値が所定の減少許容トル
クを上回るか否かが判定される。この減少許容トルク
は、Δtの期間内にそれ以上の基本目標トルクの減少が
あった場合に、吸気量の変化の遅れに起因した吸気量の
過大による失火が起こるという閾値である。この閾値と
しての減少許容トルクを下回る許容範囲内の減速の場合
には、否定判定され、ステップS44でこの基本目標ト
ルクがバックラッシュ抑制制御で用いられる目標トルク
として採用される。そしてステップS46において、目
標トルクパターン関数により最終目標トルクが算出さ
れ、最後にステップS47で、目標トルクが前回目標ト
ルクに代入される。このようにして、基本目標トルクの
単位時間あたりの減少量が減少許容トルクを下回る許容
範囲内の減速の場合には、駆動輪トルクは1回のバック
ラッシュ抑制制御によって、ステップS41で読み込ま
れた基本目標トルクに達するので、バックラッシュ抑制
制御は1回で完了する。 【0040】他方、ステップS49において、前回目標
トルクから基本目標トルクを減算した値が減少許容トル
クを上回る場合、すなわち、そのままでは吸気量の変化
の遅れに起因した吸気量の過大による失火が生じてしま
う許容範囲外の減速の場合には、肯定判定され、ステッ
プS50に移行する。ステップS50では、ステップS
41で読み込まれた基本目標トルクに代えて、前回目標
トルクから減少許容トルクを減算した値が、目標トルク
として採用される。そして、上記ステップS41,S4
2,S49,S50,S46及びS47は、前回目標ト
ルクと目標トルクの差が減少許容トルクを下回るまでの
間繰り返し実行され、その結果最終目標トルクのパター
ンは多数段の階段状のパターンとして算出される。ま
た、前回目標トルクと目標トルクの差が減少許容トルク
を下回るとステップS49での否定判定を経てステップ
S44が実行され、これに引き続くバックラッシュ抑制
制御出力により駆動輪トルクがステップS41で算出さ
れた基本目標トルクに達するので、これにより一連のバ
ックラッシュ抑制制御が完了することとなる。 【0041】このように、本実施形態では、目標トルク
の変化速度に制限を設けることにより、目標噴射量を、
その変化速度がエンジン10の吸気量の変化の遅れに起
因する失火を生ずべき変化速度を下回るように設定する
ので、加速あるいは減速の操作が急速に行われ通常であ
れば失火を生ずるような値に目標トルクが設定されるよ
うな場合であっても、燃料噴射量の変化速度が常に一定
値を下回ることになり、燃料噴射量の急激な変化が抑え
られ、吸気量の変化がよく追従でき、吸気量の変化の遅
れに起因する失火が生じるおそれはない。したがって、
駆動輪トルクをステップ的に変化させるバックラッシュ
抑制制御を、常に効果的に実行できる。 【0042】なお、上述の各実施形態では、本発明をそ
れぞれシャクリ抑制制御とバックラッシュ抑制制御を行
う装置に個別に適用する例について説明したが、本発明
は燃料噴射装置を制御してエンジンに対する燃料噴射量
を所定期間だけ中間噴射量とし、前記所定期間の経過時
点から目標噴射量とするようにステップ的に変化させる
車両の制御装置であれば他の構成の装置についても適用
でき、例えばバックラッシュ抑制制御の終了後にシャク
リ抑制制御を行う装置について本発明を適用することも
可能であって、このような構成も本発明の範疇に属する
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態1におけるシャクリ抑制制御の最終
目標トルクの算出行程を示すフローチャートである。 【図2】 本発明実施形態に係る車両の制御装置を示す
構成ブロック図である。 【図3】 実施形態1のシャクリ抑制制御を示すフロー
チャートである。 【図4】 実施形態1において目標トルクの増加速度又
は減少速度が許容基準値を下回る場合のシャクリ抑制制
御を示すタイミングチャートである。 【図5】 実施形態1において目標トルクの増加速度が
許容基準値を上回る場合のシャクリ抑制制御を示すタイ
ミングチャートである。 【図6】 実施形態1において目標トルクの減少速度が
許容基準値を上回る場合のシャクリ抑制制御を示すタイ
ミングチャートである。 【図7】 実施形態2のバックラッシュ抑制制御におけ
るバックラッシュ抑制トルク及びバックラッシュ抑制期
間の算出行程を示すフローチャートである。 【図8】 実施形態2のバックラッシュ抑制制御を示す
フローチャートである。 【図9】 実施形態2のバックラッシュ抑制制御におけ
る最終目標トルク算出行程を示すフローチャートであ
る。 【図10】 実施形態2において目標トルクの増加速度
が許容基準値を上回る場合のバックラッシュ抑制制御を
示すタイミングチャートである。 【図11】 本発明による改良前のシャクリ抑制制御を
示すタイミングチャートである。 【図12】 本発明による改良前のバックラッシュ抑制
制御を示すタイミングチャートである。 【符号の説明】 1 車両の制御装置、10 エンジン、11 燃料噴射
装置、14 発進クラッチ、16 無段変速機(CV
T)、40 ECU、41 吸気管、42 吸気管負圧
センサ、48 アクセルセンサ、49 スロットルバル
ブ。
目標トルクの算出行程を示すフローチャートである。 【図2】 本発明実施形態に係る車両の制御装置を示す
構成ブロック図である。 【図3】 実施形態1のシャクリ抑制制御を示すフロー
チャートである。 【図4】 実施形態1において目標トルクの増加速度又
は減少速度が許容基準値を下回る場合のシャクリ抑制制
御を示すタイミングチャートである。 【図5】 実施形態1において目標トルクの増加速度が
許容基準値を上回る場合のシャクリ抑制制御を示すタイ
ミングチャートである。 【図6】 実施形態1において目標トルクの減少速度が
許容基準値を上回る場合のシャクリ抑制制御を示すタイ
ミングチャートである。 【図7】 実施形態2のバックラッシュ抑制制御におけ
るバックラッシュ抑制トルク及びバックラッシュ抑制期
間の算出行程を示すフローチャートである。 【図8】 実施形態2のバックラッシュ抑制制御を示す
フローチャートである。 【図9】 実施形態2のバックラッシュ抑制制御におけ
る最終目標トルク算出行程を示すフローチャートであ
る。 【図10】 実施形態2において目標トルクの増加速度
が許容基準値を上回る場合のバックラッシュ抑制制御を
示すタイミングチャートである。 【図11】 本発明による改良前のシャクリ抑制制御を
示すタイミングチャートである。 【図12】 本発明による改良前のバックラッシュ抑制
制御を示すタイミングチャートである。 【符号の説明】 1 車両の制御装置、10 エンジン、11 燃料噴射
装置、14 発進クラッチ、16 無段変速機(CV
T)、40 ECU、41 吸気管、42 吸気管負圧
センサ、48 アクセルセンサ、49 スロットルバル
ブ。
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 昭58−138236(JP,A)
特開 昭60−30436(JP,A)
特開 平10−184417(JP,A)
特開 平3−111649(JP,A)
特開 平9−303171(JP,A)
特開 平8−144805(JP,A)
特開 平9−195839(JP,A)
実開 昭62−183044(JP,U)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
F02D 9/00 - 11/10
F02D 41/00 - 41/40
F02D 43/00 - 43/04
F02D 45/00
B60K 41/00 - 41/28
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 アクセルペダルの急加速操作または急減
速操作によって生じる、しゃくり振動およびバックラッ
シュに起因する車両の前後振動の少なくとも一方の振動
を抑制するために、燃料噴射量を制御することによりエ
ンジントルクを急峻に変化させる制御を行う車両の制御
装置において、 燃料噴射量の制御目標値の変化速度に関し、エンジンの
吸気の変化遅れに起因する失火が発生する限界値があら
かじめ設定され、前記の振動抑制のための燃料噴射制御
における燃料噴射量の変化速度が前記限界値を超えた場
合、燃料噴射量を、その変化速度が前記限界値となるよ
うに設定する、車両の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09905299A JP3438642B2 (ja) | 1999-04-06 | 1999-04-06 | 車両の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09905299A JP3438642B2 (ja) | 1999-04-06 | 1999-04-06 | 車両の制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000291472A JP2000291472A (ja) | 2000-10-17 |
JP3438642B2 true JP3438642B2 (ja) | 2003-08-18 |
Family
ID=14236829
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP09905299A Expired - Fee Related JP3438642B2 (ja) | 1999-04-06 | 1999-04-06 | 車両の制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3438642B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
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---|---|---|---|---|
JP2009091961A (ja) * | 2007-10-05 | 2009-04-30 | Toyota Motor Corp | 内燃機関装置およびその制御方法並びに車両 |
JP5149215B2 (ja) * | 2009-02-02 | 2013-02-20 | 富士重工業株式会社 | エンジン制御装置 |
JP5672250B2 (ja) * | 2012-01-25 | 2015-02-18 | トヨタ自動車株式会社 | 内燃機関の制御装置 |
JP5673604B2 (ja) * | 2012-05-29 | 2015-02-18 | トヨタ自動車株式会社 | 内燃機関の制御装置 |
CN104290601B (zh) * | 2013-12-10 | 2016-08-31 | 郑州宇通客车股份有限公司 | 一种纯电动车抛锚判断方法 |
-
1999
- 1999-04-06 JP JP09905299A patent/JP3438642B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JP2000291472A (ja) | 2000-10-17 |
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