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JP3437377B2 - 新規微生物及びその微生物を用いたジクロロプロペンの生物分解方法、環境浄化・修復方法 - Google Patents

新規微生物及びその微生物を用いたジクロロプロペンの生物分解方法、環境浄化・修復方法

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JP3437377B2
JP3437377B2 JP15557196A JP15557196A JP3437377B2 JP 3437377 B2 JP3437377 B2 JP 3437377B2 JP 15557196 A JP15557196 A JP 15557196A JP 15557196 A JP15557196 A JP 15557196A JP 3437377 B2 JP3437377 B2 JP 3437377B2
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JP
Japan
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dichloropropene
microorganism
soil
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strain
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剛士 今村
哲哉 矢野
眞也 古崎
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Canon Inc
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Canon Inc
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Publication date
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A50/00TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE in human health protection, e.g. against extreme weather
    • Y02A50/20Air quality improvement or preservation, e.g. vehicle emission control or emission reduction by using catalytic converters

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  • Fire-Extinguishing Compositions (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Treating Waste Gases (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)
  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な微生物株及び
それを用いたジクロロプロペンの生物分解方法、更には
ジクロロプロペンを含む排水や廃液等の水性媒体やジク
ロロプロペンによって汚染された土壌、空気といった環
境の浄化・修復方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、農業、ゴルフ場等で使用される農
薬による土壌及びそれに伴う水道水源汚染問題等生体に
対し有害でありかつ難分解性である有機塩素化合物によ
る環境汚染が大きな問題となってきている。そのうちで
も特に、1,3−ジクロロプロペンは、殺線虫剤である
D−Dの主成分として広く使用されてきたが、人間を含
む生体に対し広く有害性の疑いがあり、厚生省では平成
4年に改正された「水道法水質基準」において、また環
境庁では平成5年に一部改正された「水質汚濁に係る環
境基準」において、いずれも基準項目として基準値0.
002mg/lと定められた。更に環境庁では、平成5
年に「土壌の汚染に係る環境基準」において、追加項目
のひとつとして1,3−ジクロロプロペンを挙げ、環境
基準の達成を地方自治体や企業に促した。
【0003】このような経緯から、1,3−ジクロロプ
ロペンを除去し、分解する汚染地下水等の水性媒体や土
壌の浄化は、環境保全の視点から重要な課題であり、浄
化に必要な技術の開発が行われてきている。
【0004】例えば、活性炭による吸着処理、光や熱に
よる分解処理等が検討されてきたが、コストや操作性の
面からかならずしも実用的であるとはいえない。
【0005】一方、環境中では比較的安定である1,3
−ジクロロプロペンに対して近年微生物による分解が報
告され、その実用化に向けた研究がなされ初めている。
即ち、微生物を用いた生物分解処理では用いる微生物を
選択することで無害な物質にまで有機塩素化合物を分解
できること、基本的に特別な薬品が不要であること、メ
ンテナンスにかかる労力やコストを軽減できること等の
利点がある。
【0006】しかし、1,3−ジクロロプロペン分解能
を有する微生物で単離された報告は少なく、例えば、ア
ルケンモノオキシゲナーゼにより1,3−ジクロロプロ
ペンを分解するXanthobacter strai
n Py2(ApplEnvironMicrob
iol.,58,3038(1992))、メタンモノ
オキシゲナーゼにより1,3−ジクロロプロペンを分解
するMethylosinus trichospor
ium OB3b(ApplEnvironMic
robiol.,55,2819(1989))が挙げ
られるにすぎず、なおかつこれらの微生物はいずれも
1,3−ジクロロプロペンを分解するためには誘導物質
(インデューサー;inducer)を必要とする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記の分解菌以外にも
その分解機構上、酸化酵素であるオキシゲナーゼを誘導
しうる微生物においては1,3−ジクロロプロペンの分
解が可能なものが存在すると思われるが、前記の分解菌
はいずれも芳香族化合物や脂肪族化合物といった炭化水
素が分解のための誘導物質(インデューサー;indu
cer)として必要であり、このような化合物を微生物
と共に環境中に放出することは非常に好ましくない。
【0008】そこで、このような誘導物質を必要としな
いで1,3−ジクロロプロペンを微生物分解する方法が
強く望まれていた。
【0009】本発明の目的は、このような、誘導物質を
必要としないで1,3−ジクロロプロペンを強力に分解
できる新規微生物の取得と、その微生物を利用する1,
3−ジクロロプロペンの分解方法、更には1,3−ジク
ロロプロペンによって汚染された排水、廃液、地下水等
の水性媒体、土壌や空気といった環境を浄化し修復する
方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的は以下の本発
明によって達成される。
【0011】即ち、本発明者らは誘導物質を必要としな
いで1,3−ジクロロプロペンを分解する微生物である
シュードモナス・スピーシズ(Pseudomonas
sp.)Q27株(通産省生命工学工業技術研究所受
託番号:FERM P−15686)を取得し、この菌
株をこの化合物を含む水性媒体、土壌、または気相と接
触させることにより、汚染原因となっている1,3−ジ
クロロプロペンを分解する方法を見いだした。
【0012】まず、本発明の新規微生物であるシュード
モナス・スピーシズQ27株の菌学的性質を以下に示
す。 β−ガラクトシダーゼ:陰性 アルギニンジヒドロラーゼ:陽性 リジンデカルボキシラーゼ:陰性 オルニチンデカルボキシラーゼ:陰性 クエン酸の利用性:陽性 H2S産生:陰性 ウレアーゼ:陰性 トリプトファンデアミナーゼ:陰性 インドール産生:陰性 アセトイン産生:陽性 ゼラチナーゼ:陰性 オキシダーゼ:陽性 糖の発酵/酸化 ブドウ糖:陰性 D−マンニトール:陰性 イノシット:陰性 D−ソルビトール:陰性 L−ラムノース:陰性 ショ糖:陰性 D−メリビオース:陰性 D−アミグダリン:陰性 L−アラビノース:陰性 上記のような性質から本菌株はシュードモナス(Pse
udomonas)属に属するものであり、シュードモ
ナス・スピーシズ(Pseudomonassp.)に
分類される新規な菌種と判断した。
【0013】また本菌株は上述のように特別な化学物質
を必要としないで10ppm前後の1,3−ジクロロプ
ロペンを、cis型、trans型を問わずほぼ完全に
分解する1,3−ジクロロプロペン分解能を有してい
る。そこで、本菌株をシュードモナス・スピーシズ(
seudomonas sp.)Q27株と命名し、通
産省生命工学工業技術研究所に寄託した(受託番号:F
ERM P−15686)。
【0014】本発明のQ27株を培養するために用い得
る培地の栄養源としては、通常の微生物の生育に必要で
あって本菌が資化可能な栄養源であればいかなる炭素
源、窒素源及び無機塩類等でもよく、例えばM9培地に
若干の栄養源として酵母エキス等を添加したもので培養
することも可能である。
【0015】以下にM9培地の組成を示す。
【0016】Na2HPO4:6.2g KH2PO4:3.0g NaCl:0.5g NH4Cl:1.0g (培地1l中;pH7.0) 培養は好気条件下で行なうことができ、液体培養でも固
体培養でもよい。培養温度は30℃前後が望ましい。
【0017】本発明における1,3−ジクロロプロペン
の分解処理は、水性媒体中、土壌中または空気中の1,
3−ジクロロプロペンと上記Q27株を接触させること
によって行なうことができる。微生物と1,3−ジクロ
ロプロペンの接触は、微生物が分解活性を発現しうる条
件であればいかなる方法でも行なうことができ、バッチ
法、半連続法、連続法等種々の方法を用いて実施でき
る。該微生物は半固定状態で或いは適当な担体に固定化
して用いることもできる。廃液、排水、土壌、空気等の
処理対象物は、必要に応じて各種の前処理を行ってもよ
い。
【0018】本発明における水性媒体中の1,3−ジク
ロロプロペンの分解処理は、水性媒体中に存在する1,
3−ジクロロプロペンと上記Q27株を接触させること
によって行なうことができる。以下に主な利用形態を述
べるが、これらの形態に限定されることなく、本菌株は
いかなる形態でも水性媒体中の1,3−ジクロロプロペ
ンの浄化処理が可能である。
【0019】例えば、最も簡便な方法としては、1,3
−ジクロロプロペンによって汚染された水性媒体中に直
接Q27株を導入するという方法がある。この場合、水
性媒体のpH、塩濃度、温度や汚染物質の濃度等の調整
が望ましいが、Q27株は極端な酸性或いはアルカリ
性、高塩濃度でない限り1,3−ジクロロプロペン分解
活性が維持される。
【0020】また別の利用形態としては、培養槽を設け
Q27株を培養し、この培養槽に1,3−ジクロロプロ
ペンで汚染された水性媒体を所定の流量で導入し、分解
させる形態がある。水性媒体の導入及び排水は連続して
行ってもよく、あるいは処理能力に応じて間欠的に、あ
るいはバッチ式で処理することも可能である。このよう
な制御を1,3−ジクロロプロペンの濃度に合わせてシ
ステム制御し最適化を図るとよい。
【0021】更に、Q27株を担体、例えば土壌粒子等
に付着させ、これを反応層に充填し、この反応槽内に
1,3−ジクロロプロペン汚染水性媒体を導入し分解処
理を行う形態がある。この場合使用する担体は、土壌粒
子に限らずいかなるものでも利用可能であるが、微生物
の保持能力に優れ、通気性が維持されているようなもの
がより望ましい。例えば、微生物の棲息空間を与えるよ
うな材料として、従来より医薬品工業、食品工業、廃水
処理システム等で利用されているバイオリアクタで汎用
されているさまざまな微生物担体が利用できる。より具
体的には、多孔質ガラス、セラミクス、金属酸化物、活
性炭、カオリナイト、ベントナイト、ゼオライト、シリ
カゲル、アルミナ、アンスラサイト等の無機粒子状担
体、デンプン、寒天、キチン、キトサン、ポリビニルア
ルコール、アルギン酸、ポリアクリルアミド、カラギー
ナン、アガロース、ゼラチン等のゲル状担体、イオン交
換性セルロース、イオン交換樹脂、セルロース誘導体、
グルタルアルデヒド、ポリアクリル酸、ポリウレタン、
ポリエステル等が挙げられる。また天然物として綿、
麻、紙類といったセルロース系のもの、木粉、樹皮とい
ったリグニン系のものも利用可能である。
【0022】本発明における土壌中の1,3−ジクロロ
プロペンの分解処理は、土壌中に存在する1,3−ジク
ロロプロペンと上記Q27株を接触させることによって
行なうことができる。以下に主な利用形態を述べるが、
これらの形態に限定されることなく、本菌株はいかなる
形態での土壌中の1,3−ジクロロプロペンの浄化処理
にも利用可能である。
【0023】例えば、最も簡便な方法としては、1,3
−ジクロロプロペンによって汚染された土壌中に直接Q
27株を導入するという方法がある。導入の方法として
は、土壌表面に散布する方法はもとより、比較的深い地
層中の処理の場合には、地中に挿入した井戸より導入す
る方法がある。更に、空気や水等によって圧力をかける
と広範囲にQ27株が拡がり、より効果的である。この
場合は、土壌内での諸条件をQ27株に適するように調
整するが、Q27株は土壌粒子等の担体の存在下で増殖
がより速められ、そういった意味で土壌中という条件は
好都合である。
【0024】更に、Q27株を担体に付着させ、この担
体を反応槽に充填し、この反応槽を1,3−ジクロロプ
ロペンで汚染された土壌の、主に帯水槽中に導入し分解
処理を行う形態がある。反応槽の形態はフエンス状やフ
ィルム状のような、土壌中の広範囲を網羅できるものが
望ましい。この場合使用する担体は、いかなるものでも
利用可能であるが、微生物の保持能力に優れ、通気性が
維持されているようなものがより望ましい。例えば、微
生物の棲息空間を与えるような材料として、従来より医
薬品工業、食品工業、廃水処理システム等で利用されて
いるバイオリアクタで汎用されているさまざまな微生物
担体が利用できる。より具体的には、多孔質ガラス、セ
ラミクス、金属酸化物、活性炭、カオリナイト、ベント
ナイト、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、アンスラ
サイト等の無機粒子状担体、デンプン、寒天、キチン、
キトサン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、ポリア
クリルアミド、カラギーナン、アガロース、ゼラチン等
のゲル状担体、イオン交換性セルロース、イオン交換樹
脂、セルロース誘導体、グルタルアルデヒド、ポリアク
リル酸、ポリウレタン、ポリエステル等が挙げられる。
また天然物として綿、麻、紙類といったセルロース系の
もの、木粉、樹皮といったリグニン系のものも利用可能
である。
【0025】本発明における空気中の1,3−ジクロロ
プロペンの分解処理は、空気中に存在する1,3−ジク
ロロプロペンとQ27株を接触させることによって行な
うことができる。以下に主な利用形態を述べるが、これ
らの形態に限定されることなく、本菌株はいかなる形態
での1,3−ジクロロプロペン汚染空気の浄化処理にも
利用可能である。
【0026】例えば、培養槽を設けQ27株を培養し、
この培養槽に1,3−ジクロロプロペンで汚染された気
体を所定の流量で導入し、分解させる形態がある。気体
の導入法についてはなんら制限はないが、気体の導入に
より培養液が攪拌されエアレーションが促進される形態
がより望ましい。気体の導入及び排気は連続して行って
もよいが、処理能力に応じて間欠的に、あるいはバッチ
式で処理することも可能である。このような制御を1,
3−ジクロロプロペンの濃度に合わせてシステム制御し
最適化を図るとよい。
【0027】また別の利用形態としてはQ27株を担
体、例えば土壌粒子等に付着させ、これを反応層に充填
し、この反応槽内に1,3−ジクロロプロペン汚染気体
を導入し分解処理を行う形態がある。この場合使用する
担体は、土壌粒子に限らずいかなるものでも利用可能で
あるが、微生物の保持能力に優れ、通気性が維持されて
いるようなものがより望ましい。例えば、微生物に棲息
空間を与えるような材料として、従来より医薬品工業、
食品工業、廃水処理システム等で利用されているバイオ
リアクタで汎用されているさまざまな微生物担体が利用
できる。より具体的には、多孔質ガラス、セラミクス、
金属酸化物、活性炭、カオリナイト、ベントナイト、ゼ
オライト、シリカゲル、アルミナ、アンスラサイト等の
無機粒子状担体、デンプン、寒天、キチン、キトサン、
ポリビニルアルコール、アルギン酸、ポリアクリルアミ
ド、カラギーナン、アガロース、ゼラチン等のゲル状担
体、イオン交換性セルロース、イオン交換樹脂、セルロ
ース誘導体、グルタルアルデヒド、ポリアクリル酸、ポ
リウレタン、ポリエステル等が挙げられる。また天然物
として綿、麻、紙類といったセルロース系のもの、木
粉、樹皮といったリグニン系のものも利用可能である。
【0028】また、本菌の増殖材料としては、先にも述
べたように一般に用いられる微生物培養用の培地を使用
できる。例えば、ブイヨン培地、M9培地、2xYT培
地、L培地、あるいはポリペプトン、酵母エキスなどと
グルコースなどの炭素源を任意に混合した培地などが有
効である。また、これらの培地は液状、あるいはアガロ
ースを加えることによりゲル状に調製したもの、いずれ
も利用可能である。
【0029】さらに、菌の保持と栄養供給を兼用できる
材料としては、農林水産業関係で利用される堆肥などに
その例を多く挙げることができる。すなわち、麦わらな
どの穀物類の藁や鋸屑、米糠、雪花菜、砂糖黍の絞りか
すなどの植物由来の乾燥物、またカニやエビの殻などの
海産廃棄物などが利用できる。
【0030】ジクロロプロペン汚染空気の浄化は、担体
になる物質を予め充填したうえで菌を導入してもよい
し、前培養して行なってもかまわない。分解反応をより
効率的に進めるためには、先に述べた栄養素や含水比、
酸素濃度などを調整するとよい。また、反応槽内の担体
と水分量の比は微生物の生育と通気性から、反応槽の形
態は処理する気体の量、濃度などにより適宜選択すれば
よいが、気体と担体に保持される微生物との接触が促進
されるように配慮して、例えば、カラム、チューブ、タ
ンク、箱形のものを利用することができる。さらにこの
ような形状のものを排気ダクトやフィルタなどとユニッ
ト化してもよいし、能力にあわせていくつかを連続させ
てもよい。
【0031】汚染空気は、初め担体材料に吸着する場合
もあり、開始直後では微生物利用の効果がうまく観察さ
れない例も稀にあるが、一定期間の後には担体材料に付
着した汚染物質が分解されて、再び汚染物質の分解した
材料表面に汚染物質が吸着するということで、担体材料
への吸着性が再生される。このようにして、1,3−ジ
クロロプロペン除去能は飽和することなく常に一定の分
解が期待できる。
【0032】本発明の環境浄化・修復方法は、閉鎖系、
開放系いずれの廃液・排水処理、土壌・地下水処理方法
にも適用でき、微生物を担体等に固定して用いたり、生
育を促進する各種の方法を併用してもよい。
【0033】
【実施例】実施例1 Q27株の取得方法 東関東地方の関東ローム層より採取した土3gに、1,
3−ジクロロプロペンを10ppm含有したM9培地1
0mlを加え、22℃で10日間振盪培養した。この懸
濁している培養液1mlを同組成の培地10mlに加
え、同様に7日間振盪培養した。この操作を3回繰り返
し、都合一ヶ月培養した培養液を酵母エキス0.2%を
含むM9寒天培地に塗布したところ、コロニーの形成が
見られた。このコロニーについて1,3−ジクロロプロ
ペン10ppm及び酵母エキス0.2%を含有したM9
培地中に植菌して1,3−ジクロロプロペン分解能の有
無を検討し、1,3−ジクロロプロペン分解能を有する
シュードモナス・スピーシズQ27株を単離した。実施例2 Q27株による1,3−ジクロロプロペンの
分解(液体培養系) 実施例1のようにして取得したQ27株の寒天培地上の
コロニーを、坂口フラスコ中の酵母エキス0.2%を含
むM9培地200mlに接種し、22℃で20時間振盪
培養を行った。
【0034】次に1,3−ジクロロプロペン(シス(c
is)型、トランス(trans)型混合品;関東化学
社製)10ppmと、0.1%酵母エキスを含むM9培
地5mlをバイアル瓶に注入し、上記のように培養した
菌液0.1mlを接種した後、ブチルゴム栓及びアルミ
キャップで完全密封し、22℃で振盪培養した。サンプ
ル中のcis型及びtrans型の1,3−ジクロロプ
ロペン量はヘッドスペース法によりガスクロマトグラフ
ィーによって定量し、経時的にcis型及びtrans
型の1,3−ジクロロプロペン減少を測定した。対照と
して、同様の実験系においてQ27株を加えない系での
cis型及びtrans型の1,3−ジクロロプロペン
量の定量も併せて行い、対照の量に対する残存率を求め
た。結果を図1に示す。
【0035】cis型、trans型とも、3日でほぼ
完全に分解された。実施例3 Q27株による土壌中1,3−ジクロロプロ
ペンの分解処理(褐色森林土) 実施例2で用いたのと同じ1,3−ジクロロプロペン2
0ppm及び0.2%酵母エキスを含むM9培地1ml
をバイアル瓶に注入し、褐色森林土を4g加え、さらに
実施例2のように培養した菌液0.1mlを接種した
後、ブチルゴム栓及びアルミキャップで完全密封し、2
2℃で静置培養した。サンプル中のcis型及びtra
ns型の1,3−ジクロロプロペン量はヘッドスペース
法によりガスクロマトグラフィーによって定量し、経時
的にcis型及びtrans型の1,3−ジクロロプロ
ペンの減少を測定した。対照として、同様の実験系にお
いてQ27株を加えない系でのcis型及びtrans
型の1,3−ジクロロプロペン量の定量も併せて行い、
対照の1,3−ジクロロプロペン量に対する残存率を求
めた。結果を図2に示す。
【0036】cis型、trans型とも、5日でほぼ
完全に分解された。実施例4 Q27株による土壌中1,3−ジクロロプロ
ペンの分離処理(ローム土) 土壌サンプルをローム土とした他は実施例3と同様の方
法で経時的にcis型及びtrans型の1,3−ジク
ロロプロペンの減少を測定した。結果を図3に示す。
【0037】cis型、trans型とも、5日でほぼ
完全に分解された。実施例5 Q27株による土壌中1,3−ジクロロプロ
ペンの分解処理(細砂土) 土壌サンプルを細砂土(シルト含有率:約10%)とし
た他は実施例3と同様の方法で経時的にcis型及びt
rans型の1,3−ジクロロプロペンの減少を測定し
た。結果を図4に示す。
【0038】cis型、trans型とも、4日でほぼ
完全に分解された。実施例6 Q27株を用いた、培養液曝気による気相中
の1,3−ジクロロプロペン分解処理 実施例2のように培養したQ27株の菌液0.1ml
を、0.1%酵母エキスを含むバイアル瓶中の30ml
のM9培地に加えた。これに1,3−ジクロロプロペン
飽和水溶液中で曝気した空気を流量60ml/分で溶液
中に30分間流した後、ブチルゴム栓、アルミシールで
完全密封し、22℃で振盪培養を行った。1,3−ジク
ロロプロペン量は、ヘッドスペース法によりガスクロマ
トグラフィーで定量し、経日的にcis型及びtran
s型の1,3−ジクロロプロペンを測定した。
【0039】対照として、同様の実験系においてQ27
株を加えない系でのcis型及びtrans型の1,3
−ジクロロプロペン量の定量も併せて行い、対照のci
s型及びtrans型の1,3−ジクロロプロペン量に
対する残存率を求めた。結果を図5に示す。
【0040】cis型、trans型とも、4日で95
%以上分解された。実施例7 Q27株を用いた、土壌通気による気相中の
1,3−ジクロロプロペンの分解処理 実施例2と同様にして培養したQ27株の菌液0.1m
lを、0.2%酵母エキスを含むバイアル瓶中の30m
lのM9培地に加え、さらに滅菌した褐色森林土を水面
まで加えた。ブチルゴム栓で封をして22℃で終夜放置
の後、過剰の培養液をデカントして取除いた。これに
1,3−ジクロロプロペン飽和水溶液中で曝気した空気
を流量60ml/分で土壌中に30分間流した後、ブチ
ルゴム栓、アルミシールで完全密封し、22℃で振盪培
養を行った。サンプル中のcis型及びtrans型の
1,3−ジクロロプロペン量は、ヘッドスペース法によ
りガスクロマトグラフィーで定量し、経日的にcis型
及びtrans型の1,3−ジクロロプロペン量を測定
した。
【0041】対照として、同様の実験系においてQ27
株を加えない系での1,3−ジクロロプロペンの定量も
併せて行い、対照のcis型及びtrans型の1,3
−ジクロロプロペン量に対する残存率を求めた。結果を
図6に示す。
【0042】cis型、trans型とも、4日で95
%以上分解された。
【0043】
【発明の効果】本発明によってもたらされる新規な1,
3−ジクロロプロペン分解菌Pseudononas
sp.Q27株により、1,3−ジクロロプロペンを含
む水性媒体、土壌及び空気の効率良い生物分解がなさ
れ、更には1,3−ジクロロプロペンで汚染された水性
媒体、土壌または空気といった環境の効率良い浄化・修
復が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Q27株を用いた液体培養系による1,3−ジ
クロロプロペンの分解を示す図。
【図2】Q27株を用いた褐色森林土による1,3−ジ
クロロプロペンの分解を示す図。
【図3】Q27株を用いたローム土による1,3−ジク
ロロプロペンの分解を示す図。
【図4】Q27株を用いた細砂土による1,3−ジクロ
ロプロペンの分解を示す図。
【図5】Q27株を用いた培養液曝気による1,3−ジ
クロロプロペンの分解を示す図。
【図6】Q27株を用いた土壌通気による1,3−ジク
ロロプロペンの分解を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C02F 3/34 C12R 1:38 //(C12N 1/20 B01D 53/34 120D C12R 1:38) B09B 3/00 E (56)参考文献 Appl Environ Micr obiol,1992,Vol.58,No. 9,p.3038−3046 Soil Biol Bioche m,1995,Vol.27,No.12,p. 1547−1557 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 1/20 BIOSIS/WPI(DIALOG) PubMed

Claims (22)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジクロロプロペン分解能を有する新規微
    生物シュードモナス・スピーシズ(Pseudomon
    as sp.)Q27株。
  2. 【請求項2】 ジクロロプロペンを含む媒体に、シュー
    ドモナス・スピーシズ(Pseudomonas
    p.)Q27株を接触させて、ジクロロプロペンを分解
    することを特徴とするジクロロプロペンの生物分解方
    法。
  3. 【請求項3】 媒体が水性媒体であることを特徴とする
    請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 接触が該微生物を担持している担体にジ
    クロロプロペンを含む水性媒体を接触させることを特徴
    とする請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 接触が該微生物を担持している担体を容
    器に収容し、その容器の一方からジクロロプロペンを含
    む水性媒体を導入し、他方から排出させることを特徴と
    する請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 媒体が土壌であることを特徴とする請求
    項2に記載の方法。
  7. 【請求項7】 媒体が空気であることを特徴とする請求
    項2に記載の方法。
  8. 【請求項8】 該ジクロロプロペンがcis−1,3−
    ジクロロプロペン及びtrans−1,3−ジクロロプ
    ロペンのうちの一種類以上である請求項2から7に記載
    の方法。
  9. 【請求項9】 ジクロロプロペンで汚染された媒体に、
    該微生物を接触させて、ジクロロプロペンを分解するこ
    とを特徴とする環境浄化・修復方法。
  10. 【請求項10】 汚染媒体が水性媒体であることを特徴
    とする請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 接触が該微生物を担持している担体に
    ジクロロプロペンを含む水性媒体を接触させることを特
    徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 接触が該微生物を担持している担体を
    容器に収容し、その容器の一方からジクロロプロペンを
    含む水性媒体を導入し、他方から排出させることを特徴
    とする請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 汚染媒体が土壌であることを特徴とす
    る請求項9に記載の方法。
  14. 【請求項14】 該微生物を含む水性媒体を汚染土壌中
    に導入し、栄養素及び或いは酸素を供給する事により該
    微生物を該土壌中で増殖させて行うことを特徴とする請
    求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 該微生物の土壌中への導入は土壌に設
    けた注入井より圧力によって行うことを特徴とする請求
    項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 接触が該微生物を含む液相中にジクロ
    ロプロペンを含む土壌を導入することを特徴とする請求
    項13に記載の方法。
  17. 【請求項17】 接触は該微生物を担持している担体に
    ジクロロプロペンを含む土壌を接触させることを特徴と
    する請求項13に記載の方法。
  18. 【請求項18】 汚染媒体が空気であることを特徴とす
    る請求項9に記載の方法。
  19. 【請求項19】 接触は該微生物を含む液相中に汚染空
    気を導入することを特徴とする請求項18に記載の方
    法。
  20. 【請求項20】 接触は該微生物を担持している担体に
    汚染空気を接触させることを特徴とする請求項18に記
    載の方法。
  21. 【請求項21】 接触が該微生物を担持している担体を
    容器に収容し、その容器の一方から汚染空気を導入し、
    他方から排出させることを特徴とする請求項20に記載
    の方法。
  22. 【請求項22】 該ジクロロプロペンがcis−1,3
    −ジクロロプロペン及びtrans−1,3−ジクロロ
    プロペンのうちの一種類以上である請求項9から21に
    記載の方法。
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Appl Environ Microbiol,1992,Vol.58,No.9,p.3038−3046
Soil Biol Biochem,1995,Vol.27,No.12,p.1547−1557

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