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JP3428626B2 - シリコン単結晶の引上げ装置及びその引上げ方法 - Google Patents

シリコン単結晶の引上げ装置及びその引上げ方法

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Publication number
JP3428626B2
JP3428626B2 JP17893698A JP17893698A JP3428626B2 JP 3428626 B2 JP3428626 B2 JP 3428626B2 JP 17893698 A JP17893698 A JP 17893698A JP 17893698 A JP17893698 A JP 17893698A JP 3428626 B2 JP3428626 B2 JP 3428626B2
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heat
silicon single
heat radiation
silicon
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森林 符
直樹 小野
道夫 喜田
康 島貫
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三菱住友シリコン株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリコン単結晶棒
を引上げて育成するシリコン単結晶の引上げ装置及びそ
の引上げ方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】シリコン単結晶棒を育成する方法として
るつぼ内のシリコン融液から半導体用の高純度シリコン
単結晶棒を成長させるチョクラルスキー法(以下、CZ
法という)が知られている。このCZ方法では、石英る
つぼの周囲に設けられたカーボンヒータにより石英るつ
ぼ内のシリコン融液を加熱して所定温度に維持し、ミラ
ーエッチングされた種結晶をシリコン融液に接触させ、
種結晶を引上げてシリコン単結晶棒を育成するものであ
る。このシリコン単結晶棒の育成方法では、種結晶を引
上げてシリコン融液から種絞り部を作製した後、目的と
するシリコン単結晶棒の直径まで結晶を徐々に太らせて
肩部を形成し、その後更に引上げてシリコン単結晶棒の
直胴部を形成するようになっている。
【0003】このCZ方法におけるシリコン単結晶棒の
品質及び生産性を向上させるために、従来この種の装置
には、チャンバ内に設けられたシリコン融液を貯留する
石英るつぼを上昇又は下降させるるつぼ昇降手段と、シ
リコン融液から成長するシリコン単結晶棒を包囲する筒
状の熱遮蔽部材とを備えたものが知られている。るつぼ
昇降手段は、石英るつぼを上昇させることによりシリコ
ン単結晶棒の引上げに伴うシリコン融液表面の低下を防
止し、シリコン融液の表面を所定位置に維持して均一な
シリコン単結晶棒を得るようにするとともに、熱遮蔽部
材がシリコン単結晶棒を包囲して、シリコン融液の熱が
成長したシリコン単結晶棒に到達しないように遮蔽し、
シリコン単結晶棒の冷却速度を向上させて引上げ速度を
増大し、シリコン単結晶棒の生産性を向上するようにな
っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のシリコ
ン単結晶の引上げでは、熱遮蔽部材によるシリコン融液
の熱の遮蔽効果が乏しく、特にシリコン融液近傍におけ
るシリコン単結晶棒の冷却が十分でなかった。このた
め、シリコン単結晶棒の中心部の軸方向の固液界面近傍
における温度勾配が変動する不具合がある。一方、シリ
コン単結晶棒の大口径化が進むと、上記シリコン単結晶
棒の中心部の軸方向の温度勾配の変動は更に大きくなる
ことが予想される。このため、シリコン単結晶棒中に上
記温度勾配の変動に基づく熱的ストレスが発生する恐れ
があった。本発明の目的は、シリコン融液から引上げ中
のシリコン単結晶棒の中心部の軸方向の固液界面近傍に
おける温度勾配を均一にすることにより、シリコン単結
晶棒中の熱的ストレスの発生を抑制できるシリコン単結
晶の引上げ装置及びその引上げ方法を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
図1に示すように、チャンバ11内に設けられシリコン
融液12が貯留された石英るつぼ13と、石英るつぼ1
3の外周面を包囲しシリコン融液12を加熱するヒータ
18と、シリコン融液12から引上げられるシリコン単
結晶棒25の外周面を包囲しかつ下端がシリコン融液1
2表面から間隔をあけて上方に位置するように構成され
ヒータ18からの輻射熱を遮る熱遮蔽部材26とを備え
たシリコン単結晶引上げ装置の改良である。その特徴あ
る構成は、下方に向うに従って開口径が小さくなるよう
に下向きに傾斜したコーン状の放熱抑制部26cが熱遮
蔽部材26の下部に形成され、複数の熱輻射板27がシ
リコン単結晶棒25を包囲するように放熱抑制部26c
上に配置され、配置された複数の熱輻射板27の外周部
が熱遮蔽部材26にそれぞれ枢支され、複数の熱輻射板
27をそれぞれ回転して複数の熱輻射板27の放熱抑制
部26cに対する角度θを変更する熱輻射板回転手段4
1を備えたところにある。
【0006】この請求項1に記載されたシリコン単結晶
の引上げ装置では、放熱抑制部26c上に配置された複
数の熱輻射板27はシリコン融液12からの輻射熱若し
くはシリコン単結晶棒25からの放熱を反射する。熱輻
射板27は放熱抑制部26c上に倒伏するように回転す
ることにより、シリコン融液12の熱がチャンバ11内
に放散するのを防ぎ、放熱抑制部26cとともに成長し
たシリコン単結晶棒25の冷却を促進してシリコン単結
晶棒25の軸方向の温度勾配を高く維持する。
【0007】請求項2に係る発明は、請求項1に係る発
明であって、熱輻射板回転手段41が、チャンバ11の
上部に設けられた駆動ギヤと、チャンバ11の上部に設
けられ駆動ギヤを駆動する駆動モータ46と、チャンバ
11の上部からチャンバ11内に吊り下げられ駆動ギヤ
に歯合するラックギヤが周囲に形成された支持棒42
と、支持棒42の下端と熱輻射板27を連結する連結ワ
イヤ44とを有するシリコン単結晶の引上げ装置であ
る。この請求項2に記載されたシリコン単結晶の引上げ
装置では、ラックギヤに歯合する駆動ギヤの回転により
支持棒42が昇降するため、容易に熱輻射板27を回転
できる。
【0008】請求項3に係る発明は、石英るつぼ13に
貯留されたシリコン融液12から成長するシリコン単結
晶棒25を筒状の熱遮蔽部材26と熱遮蔽部材26の下
部に形成された下向きに傾斜したコーン状の放熱抑制部
26cにより包囲し、シリコン単結晶棒25を包囲する
ように複数の熱輻射板27を放熱抑制部26c上に配置
し、複数の熱輻射板27の外周部を熱遮蔽部材26にそ
れぞれ枢支してシリコン単結晶棒25を引上げる方法で
ある。その特徴ある点は、シリコン単結晶棒25の肩部
25b形成時に複数の熱輻射板27を肩部25bから離
した位置に起立させ、シリコン単結晶棒25の直胴部2
5c形成時に複数の熱輻射板27を起立した位置から回
転させて放熱抑制部26c上に倒伏させるところにあ
る。
【0009】この請求項3に記載されたシリコン単結晶
の引上げ方法では、肩部25b形成時に複数の熱輻射板
27を肩部25bから離した位置に起立させることによ
り、シリコン融液12の熱を形成途中の肩部25bに積
極的に放散して速やかに肩部25bの形成を行う。一
方、直胴部25c形成時には複数の熱輻射板27を起立
した位置から回転させて放熱抑制部26c上に倒伏
せ、シリコン融液12の熱が直胴部25cに直接放散す
るのを防ぎ、熱遮蔽部材26とともに成長したシリコン
単結晶棒25の冷却を促進して、直胴部25c形成時の
シリコン単結晶棒25の中心部の軸方向の温度勾配を肩
部25bの形成時と同等に高く維持する。
【0010】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図面に
基づいて説明する。図1及び図2に示すように、シリコ
ン単結晶の引上げ装置10のチャンバ11内には、シリ
コン融液12を貯留する石英るつぼ13が設けられ、こ
の石英るつぼ13の外面は黒鉛サセプタ14により被覆
される。石英るつぼ13の下面は上記黒鉛サセプタ14
を介して支軸16の上端に固定され、この支軸16の下
部はるつぼ駆動手段17に接続される。るつぼ駆動手段
17は図示しないが石英るつぼ13を回転させる第1回
転用モータと、石英るつぼ13を昇降させる昇降用モー
タとを有し、これらのモータにより石英るつぼ13が所
定の方向に回転し得るとともに、上下方向に移動可能と
なっている。石英るつぼ13の外周面は石英るつぼ13
から所定の間隔をあけてヒータ18により包囲され、こ
のヒータ18は保温筒19により包囲される。ヒータ1
8は石英るつぼ13に投入された高純度のシリコン多結
晶体を加熱・融解してシリコン融液にする。
【0011】またチャンバ11の上端には円筒状のケー
シング21が接続される。このケーシング21には引上
げ手段22が設けられる。引上げ手段22はケーシング
21の上端部に水平状態で旋回可能に設けられた引上げ
ヘッド(図示せず)と、このヘッドを回転させる第2回
転用モータ(図示せず)と、ヘッドから石英るつぼ13
の回転中心に向って垂下されたワイヤケーブル23と、
上記ヘッド内に設けられワイヤケーブル23を巻取り又
は繰出す引上げ用モータ(図示せず)とを有する。ワイ
ヤケーブル23の下端にはシリコン融液12に浸してシ
リコン単結晶棒25を引上げるための種結晶24が取付
けられる。
【0012】またシリコン単結晶棒25の外周面と石英
るつぼ13の内周面との間にはシリコン単結晶棒25の
外周面を包囲する熱遮蔽部材26が設けられる。この熱
遮蔽部材26は円筒状に形成されヒータ18からの輻射
熱を遮る筒部26aと、この筒部26aの上縁に連設さ
れ外方に略水平方向に張り出すフランジ部26bとを有
する。上記フランジ部26bを保温筒19上に載置する
ことにより、筒部26aの下縁がシリコン融液12表面
から所定の距離だけ上方に位置するように熱遮蔽部材2
6がチャンバ11内に固定される。
【0013】更に、チャンバ11にはこのチャンバ11
のシリコン単結晶棒側に不活性ガスを供給しかつ上記不
活性ガスをチャンバ11のるつぼ内周面側から排出する
ガス給排手段28が接続される。ガス給排手段28は一
端がケーシング21の周壁に接続され他端が上記不活性
ガスを貯留するタンク(図示せず)に接続された供給パ
イプ29と、一端がチャンバ11の下壁に接続され他端
が真空ポンプ(図示せず)に接続された排出パイプ30
とを有する。供給パイプ29及び排出パイプ30にはこ
れらのパイプ29,30を流れる不活性ガスの流量を調
整する第1及び第2流量調整弁31,32がそれぞれ設
けられる。
【0014】熱遮蔽部材26である筒部26aの下部に
は下方に向うに従って開口径が小さくなるように下向き
に傾斜したコーン状の放熱抑制部26cが形成され、放
熱抑制部26cには複数の熱輻射板27がシリコン単結
晶棒25を包囲するように配置される。図3に示すよう
に、本実施の形態における放熱抑制部26cは筒部26
aに対して120゜下向きに傾斜して形成され、図4に
示すように、熱輻射板27は6枚使用される。6枚の熱
輻射板27はそれぞれカーボンにより作られ、シリコン
単結晶棒25(図1)を中心として等角度に放熱抑制部
26c上に配置される。放熱抑制部26c上に配置され
た複数の熱輻射板27の外周部は熱遮蔽部材26である
筒部26aの下部にそれぞれ枢支される。
【0015】6個の熱輻射板27には後述する熱輻射板
回転手段41(図1及び図2)の連結ワイヤ44の一端
がそれぞれ接続され、このワイヤ44が引張られること
により図3の破線矢印で示すように回転し、ワイヤ44
が繰出されることにより図の実線矢印で示すように回転
して複数の熱輻射板27の放熱抑制部26cに対する角
度θを変更可能に構成される。熱輻射板27はシリコン
融液12からの放熱を反射し、熱輻射板27は放熱抑制
部26c上に倒伏するように回転することにより、シリ
コン融液12の熱がチャンバ11内に放散するのを防ぐ
とともに、放熱抑制部26cとともに成長したシリコン
単結晶棒25の冷却を促進し、とくに直胴部25cの形
成時(図1)におけるシリコン単結晶棒25の軸方向の
温度勾配を肩部25bの形成時(図2)と同等に高く維
持するようになっている。
【0016】図1及び図2に戻って、チャンバ11の上
部にはケーシング21を挟むように一対の熱輻射板回転
手段41が設けられる。熱輻射板回転手段41はチャン
バ11の上部に設けられた駆動ギヤと、チャンバ11の
上部に設けられ駆動ギヤを駆動する駆動モータ46と、
チャンバ11の上部からチャンバ11内に吊り下げられ
駆動ギヤに歯合するラックギヤが周囲に形成された支持
棒42と、支持棒42の下端と熱輻射板27を連結する
連結ワイヤ44とを有する。駆動ギヤはチャンバ11の
上部に設けられたギヤボックス43に内蔵され、連結ワ
イヤ44は筒部26aの外側に設けられた転向ローラ2
6e(図3)によりその方向を変化させて配索される。
熱輻射板回転手段41は、駆動モータ46による回転軸
46aの回転によりギヤボックス43に内蔵された図示
しない駆動ギヤが回転し、支持棒42を上下動させるこ
とにより連結ワイヤ44を介して熱輻射板27をそれぞ
れ回転し、図3の実線で示す状態から破線で示す状態ま
での間で複数の熱輻射板27の放熱抑制部26cに対す
る角度を変更可能に構成される。
【0017】一方、引上げ手段22における引上げ用モ
ータの出力軸(図示せず)にはロータリエンコーダ(図
示せず)が設けられ、るつぼ昇降手段17には石英るつ
ぼ13内のシリコン融液12の重量を検出する重量セン
サ(図示せず)と、支軸16の昇降位置を検出するリニ
ヤエンコーダ(図示せず)とが設けられる。ロータリエ
ンコーダ、重量センサ及びリニヤエンコーダの各検出出
力はコントローラ(図示せず)の制御入力に接続され、
コントローラの制御出力は引上げ手段22の引上げ用モ
ータ、るつぼ昇降手段17の昇降用モータ及び熱輻射板
回転手段41の駆動モータ46にそれぞれ接続される。
またコントローラにはメモリ(図示せず)が設けられ、
このメモリにはロータリエンコーダの検出出力に対する
ワイヤケーブル23の巻取り長さ、即ちシリコン単結晶
棒25の引上げ長さが第1マップとして記憶され、重量
センサの検出出力に対する石英るつぼ13内のシリコン
融液12の液面レベルが第2マップとして記憶される。
コントローラは重量センサの検出出力に基づいて石英る
つぼ13内のシリコン融液12の液面を常に一定のレベ
ルに保つように、るつぼ昇降手段17の昇降用モータを
制御するとともに、複数の熱輻射板27を回転させため
熱輻射板回転手段41の駆動モータ46を制御するよう
に構成される。
【0018】このように構成された装置による本発明に
よるシリコン単結晶の引上げ方法を説明する。図2に示
すように、石英るつぼ13に高純度のシリコン多結晶体
を投入し、カーボンヒータ18によりこの高純度のシリ
コン多結晶体を加熱・融解してシリコン融液12にす
る。このシリコン多結晶体の融解に際し、熱輻射板回転
手段41は支持棒42を上方に移動させて熱輻射板27
を図3の破線矢印で示すよう回転させて破線で示すよう
に起立させる(θ=0゜)。シリコン多結晶体が融解し
て石英るつぼ13にシリコン融液12が貯留した後、第
1及び第2流量調整弁31,32を開くことにより不活
性ガスをケーシング21内に供給してシリコン融液12
の表面から蒸発したガスをこの不活性ガスとともに排出
パイプ30から排出させる。
【0019】次に、引上げ手段の図示しない引上げ用モ
ータによりワイヤ19を繰出して種結晶24を降下さ
せ、種結晶24の先端部をシリコン融液12に接触させ
る。その後種結晶24を徐々に引上げて種絞り部25a
を形成した後、更に種結晶24を引上げることにより種
絞り部25aの下部に先ず肩部25bを育成させる。こ
の肩部25bの形成時においても、熱輻射板回転手段4
1は複数の熱輻射板27を肩部25bから離した位置で
起立させる。このため、シリコン融液12の熱は形成途
中の肩部25bに積極的に放散されて、速やかに肩部2
5bの形成が行われる。
【0020】肩部25bが育成されたならば、図1に示
すように、更に種結晶24を引上げることにより肩部2
5bの下方に直胴部25cを形成する。この直胴部25
cの形成に際し、熱輻射板回転手段41は支持棒42を
下方に移動させて複数の熱輻射板27を図3の実線矢印
で示すように回転させ、図の一点鎖線で示す状態から実
線で示すようにその複数の熱輻射板27を放熱抑制部2
6c上に倒伏させる(θ=120゜)。放熱抑制部26
c上に倒伏した複数の熱輻射板27は、シリコン融液1
2の熱がチャンバ11内に放散するのを防ぐとともに、
放熱抑制部26cとともに成長したシリコン単結晶棒2
5の冷却を促進し、直胴部25cの形成時におけるシリ
コン単結晶棒25の軸方向の温度勾配を肩部25bの形
成時(図2)と同等に高く維持する。なお、直胴部25
cの育成に伴い、シリコン融液12の表面は低下し、減
少する融液12の量に応じて図示しない昇降用モータは
るつぼ13を上昇させ、種結晶24の引上げとともに低
下するシリコン融液12の表面を所定位置に維持させ
る。
【0021】
【実施例】次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく
説明する。 <実施例1>図1に示すように、内径が400〜600
mmの石英るつぼ13と、筒部26aの内径が300〜
500mm、高さが300〜600mmの熱遮蔽部材2
6とを有するシリコン単結晶の引上げ装置10の、その
筒部26aの下部にコーン状の放熱抑制部31を形成し
た。この放熱抑制部31に6個の熱輻射板27を配置
し、それぞれの熱輻射板27の外周部を熱遮蔽部材26
にそれぞれ枢支した。輻射板27には連結ワイヤ44の
一端を接続して、連結ワイヤ44の他端は熱輻射板回転
手段41の支持棒42の下端に接続した。この熱輻射板
27は厚さ約50〜80mmのカーボンにより作られた
ものを使用した。このように構成された引上げ装置10
を実施例1とした。
【0022】<比較例1>図示しないが熱輻射板27を
設けないことを除いて、引上げ装置を上記実施例1と同
一に構成した。この引上げ装置を比較例1とした。
【0023】<比較試験及び評価>実施例1及び比較例
1の各引上げ装置にて直胴部の直径300〜350mm
のシリコン単結晶棒25を引上げ速度0.1〜1.0m
m/分で引上げたときのシリコン単結晶棒25の軸方向
の固液界面近傍における温度勾配を輻射伝熱を考慮した
熱伝導解析プログラムにてシミュレーション計算し、比
較を行った。シリコン単結晶棒25の引上げ量は固化率
により表し、固化率は、引上げられたシリコン単結晶棒
25の重量を石英るつぼ13に当初貯留されたシリコン
融液12の重量で除した値に100を乗じた値として表
した。また、実施例1では、熱輻射板27の放熱抑制部
26cに対する角度をθ(図3)としたとき、固化率と
の関係で図5に示す角度(θ)で複数の熱輻射板27を
放熱抑制部26c上に倒伏するように回転させた。この
結果を図6に示す。
【0024】図6より明らかなように、比較例1ではシ
リコン単結晶棒25の引上げ当初、シリコン単結晶棒2
5の軸方向の固液界面近傍における温度勾配が最大値を
示し、その後固化率が43%の時点において最小値を示
し、更に引上げることによりその温度勾配が僅かに上昇
した。これに対して、実施例1ではシリコン単結晶棒2
5の引上げ当初では比較例1と同様に温度勾配が最大値
を示し、その後固化率が43%の時点において比較例1
よりも高い価で最小値を示す。その後更に引上げてもそ
の値が変化することはなくほぼ均一化していることが判
る。
【0025】これは、実施例1では熱輻射板27がシリ
コン融液12のチャンバ内への放熱を防ぎ、シリコン融
液12の熱が直胴部25cに直接放散するのを防止して
熱遮蔽部材26とともに成長したシリコン単結晶棒25
の冷却を促進したのに対し、比較例1ではシリコン融液
12からチャンバ内へ熱が放散され、この熱により直胴
部25cの中心部における軸方向の固液界面近傍におけ
る温度勾配が低下したためと考えられる。
【0026】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、下
方に向うに従って開口径が小さくなるように下向きに傾
斜したコーン状の放熱抑制部を熱遮蔽部材の下部に形成
し、複数の熱輻射板をシリコン単結晶棒を包囲するよう
に放熱抑制部上に配置し、配置された複数の熱輻射板の
外周部を熱遮蔽部材にそれぞれ枢支し、複数の熱輻射板
をそれぞれ回転して複数の熱輻射板の放熱抑制部に対す
る角度を変更する熱輻射板回転手段を備えたので、熱輻
射板回転手段により熱輻射板を放熱抑制部上に倒伏する
ように回転させることにより、シリコン融液の熱がチャ
ンバ内に放散するのを防ぎ、熱遮蔽体とともに成長した
シリコン単結晶棒の冷却を促進し、直胴部形成時の単結
晶棒の中心部の軸方向の温度勾配を肩部形成時と同等に
高く維持することができる。また、熱輻射板回転手段
が、チャンバの上部に設けられた駆動ギヤと、チャンバ
の上部に設けられ駆動ギヤを駆動する駆動モータと、チ
ャンバの上部からチャンバ内に吊り下げられ駆動ギヤに
歯合するラックギヤが周囲に形成された支持棒と、支持
棒の下端と熱輻射板を連結する連結ワイヤとを有すれ
ば、ラックギヤに歯合する駆動ギヤの回転により支持棒
が昇降するため、容易に熱輻射板を回転できる。
【0027】更に、肩部形成時に複数の熱輻射板を肩部
から離した位置に起立させれば、シリコン融液の熱を形
成途中の肩部に積極的に放散して速やかに肩部の形成を
行うことができ、直胴部形成時に複数の熱輻射板を放熱
抑制部上に倒伏するように回転させれば、シリコン融液
の熱が直胴部に直接放散するのを防ぎ、熱遮蔽部材とと
もに成長したシリコン単結晶棒の冷却を促進して、直胴
部形成時のシリコン単結晶棒の中心部の軸方向の温度勾
配を肩部の形成時と同等に高く維持することができる。
この結果、シリコン単結晶棒の中心部の軸方向の固液界
面近傍における温度勾配を均一にし、シリコン単結晶棒
中の熱的ストレスの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シリコン単結晶棒の直胴部が引上げられた本発
明の引上げ装置を示す断面構成図。
【図2】肩部が引上げられた状態を示す図1に対応する
断面構成図。
【図3】その放熱抑制部の上に熱輻射板が配置された熱
遮蔽部材の断面図。
【図4】その熱輻射板の配置状態を示す図1のA−A線
断面図。
【図5】熱輻射板の放熱抑制部に対する角度と固化率と
の関係を示す図。
【図6】シリコン単結晶棒の中心部の軸方向の固液界面
近傍における温度勾配と固化率との関係を示す図。
【符号の説明】
10 引上げ装置 11 チャンバ 12 シリコン融液 13 石英るつぼ 18 ヒータ 25 シリコン単結晶棒 25b 肩部 25c 直胴部 26 熱遮蔽部材 26c 放熱抑制部 27 熱輻射板 41 熱輻射板回転手段 42 支持棒 44 連結ワイヤ 46 駆動モータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島貫 康 東京都千代田区大手町1丁目5番1号 三菱マテリアルシリコン株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−132496(JP,A) 特開 平1−100086(JP,A) 特開 平5−330975(JP,A) 特開 平6−256084(JP,A) 特開 平9−227272(JP,A) 特開 平9−309789(JP,A) 特開 平9−315882(JP,A) 特開 平11−157993(JP,A) 特開 平11−263692(JP,A) 国際公開93/00462(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C30B 1/00 - 35/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チャンバ(11)内に設けられシリコン融液
    (12)が貯留された石英るつぼ(13)と、前記石英るつぼ(1
    3)の外周面を包囲し前記シリコン融液(12)を加熱するヒ
    ータ(18)と、前記シリコン融液(12)から引上げられるシ
    リコン単結晶棒(25)の外周面を包囲しかつ下端が前記シ
    リコン融液(12)表面から間隔をあけて上方に位置するよ
    うに構成され前記ヒータ(18)からの輻射熱を遮る円筒状
    の熱遮蔽部材(26)とを備えたシリコン単結晶の引上げ装
    置において、 下方に向うに従って開口径が小さくなるように下向きに
    傾斜したコーン状の放熱抑制部(26c)が前記熱遮蔽部材
    (26)の下部に形成され、 複数の熱輻射板(27)が前記シリコン単結晶棒(25)を包囲
    するように前記放熱抑制部(26c)上に配置され、 配置された前記複数の熱輻射板(27)の外周部が前記熱遮
    蔽部材(26)にそれぞれ枢支され、 前記複数の熱輻射板(27)をそれぞれ回転して前記複数の
    熱輻射板(27)の前記放熱抑制部(26c)に対する角度(θ)
    を変更する熱輻射板回転手段(41)を備えたことを特徴と
    するシリコン単結晶の引上げ装置。
  2. 【請求項2】 熱輻射板回転手段(41)が、前記チャンバ
    (11)の上部に設けられた駆動ギヤと、前記チャンバ(11)
    の上部に設けられ前記駆動ギヤを駆動する駆動モータ(4
    6)と、チャンバ(11)の上部から前記チャンバ(11)内に吊
    り下げられ前記駆動ギヤに歯合するラックギヤが周囲に
    形成された支持棒(42)と、前記支持棒(42)の下端と熱輻
    射板(27)を連結する連結ワイヤ(44)とを有する請求項1
    記載のシリコン単結晶の引上げ装置。
  3. 【請求項3】 石英るつぼ(13)に貯留されたシリコン融
    液(12)から成長するシリコン単結晶棒(25)を筒状の熱遮
    蔽部材(26)と前記熱遮蔽部材(26)の下部に形成された下
    向きに傾斜したコーン状の放熱抑制部(26c)により包囲
    し、前記シリコン単結晶棒(25)を包囲するように複数の
    熱輻射板(27)を前記放熱抑制部(26c)上に配置し、前記
    複数の熱輻射板(27)の外周部を前記熱遮蔽部材(26)にそ
    れぞれ枢支して前記シリコン単結晶棒(25)を引上げる方
    法であって、 前記シリコン単結晶棒(25)の肩部(25b)形成時に前記複
    数の熱輻射板(27)を前記肩部(25b)から離した位置に起
    立させ、 前記シリコン単結晶棒(25)の直胴部(25c)形成時に前記
    複数の熱輻射板(27)を前記起立した位置から回転させて
    前記放熱抑制部(26c)上に倒伏させることを特徴とする
    シリコン単結晶の引上げ方法。
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