JP3414253B2 - 電磁弁 - Google Patents
電磁弁Info
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- JP3414253B2 JP3414253B2 JP09828398A JP9828398A JP3414253B2 JP 3414253 B2 JP3414253 B2 JP 3414253B2 JP 09828398 A JP09828398 A JP 09828398A JP 9828398 A JP9828398 A JP 9828398A JP 3414253 B2 JP3414253 B2 JP 3414253B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば自動車の
自動変速機の油圧制御回路に設けられる電磁弁に関する
ものである。 【0002】 【従来の技術】一般に、車両に搭載される自動変速機に
は、歯車変速機構のトルク伝達経路を切り換えて変速を
実行するための摩擦係合装置や、トルクコンバータの入
力部材と出力部材とを機械的に接続して燃費を向上させ
るロックアップクラッチなどが設けられている。これら
の摩擦係合装置の油圧制御、またはロックアップクラッ
チの油圧制御には、作動応答性に優れ、かつ、油圧を高
精度に制御することの可能な電磁弁(リニアソレノイド
バルブ)が用いられている。このような電磁弁の構成例
が、特開平8−4934号公報および特開平9−260
39号公報に記載されている。これらの公報に記載され
た電磁弁は、電磁力を発生する電磁コイルと、この電磁
コイルの中心孔に臨んで配置され、かつ、磁束が通過す
る固定鉄心と、磁気吸引力により動作する可動鉄心と、
この可動鉄心の動作に対応して動作し、かつ、流路を開
閉する弁体とを有する。 【0003】そして、これらの電磁弁は構造上、2種類
に大別されていた。まず、第1の従来構造に係る電磁弁
は、電磁コイルの中心孔に臨み固定鉄心と円筒形状のコ
アとが取り付けられている。また、コアの内部には円筒
形状のベースが配置されている。ベースには軸線方向に
貫通するガイド孔が形成され、ガイド孔には可動鉄心が
軸線方向に移動可能に配置されている。ここで、コアお
よび固定鉄心ならびに可動鉄心が磁性材料により構成さ
れている。 【0004】さらに、コアの内部には、ベースと対向す
る環状のシートが配置され、シートとベースとの間に弁
体収納室が形成されている。この弁体収納室には弁体が
移動可能に配置されている。そして、シートには入口流
路が形成され、コアには制御圧供給流路および排圧流路
が形成されている。 【0005】さらにまた、固定鉄心には、電磁コイルの
中心孔と同心状に貫通孔が形成されており、貫通孔には
調整部材が定寸圧入されている。なお、固定鉄心と可動
鉄心との間にはリターンスプリングが配置されている。 【0006】ここで、第1の従来構造に係る電磁弁の組
立工程を説明する。まず、電磁コイルの中心孔に対し
て、シート、弁体、ベース、可動鉄心が、一方向から順
次組み付けられる。その結果、シートとベースとが突き
当てられて弁体収納室が形成される。また、固定鉄心の
貫通孔に対して調整部材が定寸圧入され、ベースと調整
部材との距離に基づいて、可動鉄心の動作量が設定され
る。 【0007】上記第1の従来構造の電磁弁は、電磁コイ
ルが非通電状態にある場合は、リターンスプリングの弾
性力により可動鉄心がシート側に押圧されている。そし
て、可動鉄心により弁体が入口流路側に押し付けられ
て、入口流路が閉じられている。また、制御圧供給流路
と排圧流路とが連通している。 【0008】そして、電磁コイルに通電された場合は、
固定鉄心およびコアならびに可動鉄心を磁束が通過して
磁気回路が形成され、可動鉄心が固定鉄心側に吸引され
る。すると、入口流路の油圧により弁体が移動して入口
流路が開放され、入口流路と制御圧供給流路とが連通す
る。また、排圧流路が弁体により閉じられる。ここで、
電磁コイルに対する通電は、通電パルスのデューテイ比
を制御しておこなわれ、電流に比例した油圧が制御圧供
給流路に供給される。なお、ベースに形成されたガイド
孔により、可動鉄心が、その動作方向にほぼ直交する方
向に移動することが抑制されている。 【0009】一方、第2の従来構造に係る電磁弁は、電
磁コイルの中心孔に対して両方向から部品を組み付ける
ものである。第2の従来構造の電磁弁は、電磁コイルの
中心孔に臨み固定鉄心と円筒形状のコアとが取り付けら
れている。中心孔の内部には可動鉄心が配置されてい
る。ここで、コアおよび固定鉄心ならびに可動鉄心が磁
性材料により構成されている。 【0010】また、コアの内周にはフランジが形成さ
れ、かつ、コアの内部には環状のシートおよび円筒形状
のベースが配置されている。そして、シートとベースと
の間に弁体収納室が形成されている。この弁体収納室に
は弁体が移動可能に配置されている。さらに、シートに
は入口流路が形成され、コアには制御圧供給流路と排圧
流路とが形成されている。さらにまた、固定鉄心には、
電磁コイルの中心孔と同心状に貫通孔が形成され、貫通
孔には調整部材が定寸圧入されている。 【0011】そして、第2の従来構造の電磁弁の組立工
程においては、ベースおよび弁体ならびにシートが、コ
アの貫通孔の一方から取り付けられる。そして、ベース
とシートとの相対位置に基づいて、弁体の動作量が設定
される。また、これとは反対側から中心孔に対して可動
鉄心が挿入され、固定鉄心を中心孔に対して固定する。
そして、固定鉄心の貫通孔に調整部材を圧入し、フラン
ジと調整部材との距離に基づいて、可動鉄心の動作量が
設定される。 【0012】第2の従来構造の電磁弁は、電磁コイルの
非通電状態にある場合は、リターンスプリングの弾性力
により可動鉄心がシート側に押圧され、弁体により入口
流路が閉じられている。また、制御圧供給流路と排圧流
路とが連通している。そして、電磁コイルに通電された
場合は、固定鉄心およびコアならびに可動鉄心を磁束が
通過して磁気回路が形成され、可動鉄心が固定鉄心側に
吸引される。 【0013】すると、入口流路の油圧により弁体が移動
して入口流路が開放され、入口流路と制御圧供給流路と
が連通する。また、排圧流路が弁体により閉じられる。
ここで、電磁コイルに対する通電は、通電パルスのデュ
ーテイ比を制御しておこなわれ、電流に比例した油圧が
制御圧供給流路に供給される。なお、ベースに形成され
たガイド孔により、可動鉄心が、その動作方向にほぼ直
交する方向に移動することが抑制されている。 【0014】 【発明が解決しようとする課題】しかし、第1の従来構
造の電磁弁においては、弁体の動作量が、弁体およびベ
ースならびにシートの寸法精度(加工精度)により決定
され、電磁弁の組立工程で弁体の動作量を調整すること
ができなかった。したがって、制御圧供給流路に供給さ
れる油圧の制御精度を高めることができず、製品品質が
低下する可能性があった。また、複数の電磁弁を製造し
た場合に、各電磁弁毎に、油圧制御特性にバラツキが生
じる可能性があった。 【0015】さらに、可動鉄心の動作方向にほぼ直交す
る方向の動作を規制するための機構と、可動鉄心の動作
量を設定するための機構とが別個に設けられていた。し
たがって、部品点数が多くなって組立工数が増し、製造
コストが上昇する問題があり、ひいては電磁弁の大型化
および大重量化を招いていた。 【0016】一方、第2従来構造の電磁弁においては、
電磁弁の組立工程で弁体の動作量を調整することが可能
であるが、可動鉄心の動作方向にほぼ直交する方向の動
作を規制するための機構と、可動鉄心の動作量を設定す
るための機構とが別個に設けられている。このため、部
品点数が多くなって、電磁弁の大型化および大重量化を
招くとともに、製造コストが上昇する問題があった。 【0017】また、第2従来構造の電磁弁においては、
各部品を電磁コイルおよびコアの両側から組み付ける構
造になっている。このため、電磁弁の組立工程におい
て、電磁コイルおよびコアを反転しなければならず、生
産性が低下する可能性があった。さらに、電磁コイルに
通電された場合にはフランジをも磁束が通過する。この
ため、フランジを通過する磁束により、可動鉄心を固定
鉄心から離れる方向に移動させる磁気吸引力が発生す
る。その結果、可動鉄心の動作応答性が低下して、油圧
制御特性が変化する可能性があった。 【0018】この発明は上記の事情を背景としてなされ
たもので、可動鉄心の動作量および弁体の動作量を調整
でき、かつ、部品点数を抑制し、さらに、組立作業を容
易におこなうことができるとともに、可動鉄心の動作特
性を良好に維持することの可能な電磁弁を提供すること
を目的としている。 【0019】 【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するためこの発明は、電磁力を発生する電磁コ
イルと、この電磁コイルの中心孔に臨んで軸線方向に配
置され、かつ、磁束が通過する固定鉄心および磁束が通
過する第1筒部材と、この第1筒部材を前記中心孔と同
心状に貫通する貫通孔と、この貫通孔の内部に軸線方向
に移動可能に配置され、かつ、磁気吸引力により動作す
る可動鉄心と、この可動鉄心の動作に対応して動作する
弁体と、この弁体により開閉される流路とを有する電磁
弁において、前記貫通孔の内部に、非磁性材料により構
成された第2筒部材と、この第2筒部材との間に弁体収
納室を形成する第3筒部材とが、前記固定鉄心から離れ
る方向に順次配置され、前記第2筒部材の外径および前
記第3筒部材の外径が前記貫通孔の内径とほぼ同一に設
定され、前記第2筒部材に、前記可動鉄心を軸線方向に
移動可能に保持し、かつ、前記弁体収納室に連通するす
るガイド孔が貫通して形成され、前記第3筒部材に前記
弁体収納室に臨む流路が開口され、前記弁体収納室に収
納された弁体の外径が前記貫通孔の内径未満に設定され
ているとともに、前記固定鉄心と前記第2筒部材との対
向部位に、前記可動鉄心の軸線方向の動作量を設定する
可動鉄心調整機構が設けられ、前記第3筒部材と前記第
2筒部材との対向部位に、前記第2筒部材の軸線方向に
おける前記弁体の動作量を設定する弁体調整機構が形成
されており、前記固定鉄心に対して、前記電磁コイルお
よび可動鉄心および第1筒部材および第2筒部材および
弁体および第3筒部材を同一の方向に移動することによ
り、各部品が相互に固定される構成であり、前記可動鉄
心調整機構は、前記固定鉄心の端面および前記第2筒部
材の端面を有しているとともに、前記固定鉄心に第2の
貫通孔が形成され、この第2の貫通孔の内周に段部が形
成され、この第2の貫通孔内であって、前記段部と前記
可動鉄心との間に、この前記可動鉄心を前記弁体に向け
て押圧するリターンスプリングが設けられていることを
特徴とする。 【0020】この発明によれば、第2筒部材の外径およ
び第3筒部材の外径が、貫通孔の内径とほぼ同一に設定
されているため、電磁コイルと固定鉄心とを相対移動し
て相互に固定した後、第1筒部材の貫通孔に第2筒部材
を嵌合して、第1筒部材を電磁コイルの移動方向と同一
の方向に移動して中心孔に取り付けるとともに、貫通孔
に対する第2筒部材の圧入量を調整して、可動鉄心の動
作量を調整することができる。つまり、可動鉄心調整機
構により可動鉄心の動作量を調整することができ、弁体
調整機構により弁体の動作量を調整することができる。
また、第2筒部材が、可動鉄心の動作量を調整する機能
と、可動鉄心が、その動作方向にほぼ直交する方向に移
動することを抑制する機能とを兼備している。 【0021】その後、第1筒部材の貫通孔の内部に弁体
を挿入するとともに、第3筒部材を第2筒部材と同一の
方向に移動して、第3筒部材を貫通孔に嵌合することが
できる。その結果、第2筒部材と第3筒部材との間に弁
体収納室が形成され、弁体収納室内に弁体が収納され
る。ここで、第2筒部材と第3筒部材との軸線方向の相
対位置を調整することにより、軸線方向における弁体の
動作量を調整できる。 【0022】さらに、可動鉄心の動作量を調整する機能
を有する第2筒部材が非磁性材料により構成されている
ため、電磁弁の組立状態で電磁コイルに通電した場合
に、第2筒部材を磁束が通過することがない。 【0023】 【発明の実施の形態】つぎに、この発明の実施例を添付
図面に基づいて詳細に説明する。この発明の電磁弁は、
車両用自動変速機の油圧制御回路などに適用可能であ
る。さらに詳しくは、自動変速機の摩擦係合装置または
ロックアップクラッチの油圧を制御するために電磁弁が
用いられる。 【0024】図1はこの発明の電磁弁(リニアソレノイ
ドバルブ)1の構成例を示す正面断面図である。図1に
おいて、2はヨークであり、ヨーク2は金属などの磁性
材料により構成されている。またヨーク2には円筒部3
が形成され、円筒部3は軸線A1を中心とする貫通孔4
を備えている。貫通孔4の内周には段部5が形成される
とともに、貫通孔4内にはリターンスプリング6が配置
されている。このリターンスプリング6は圧縮ばねであ
る。 【0025】また、ヨーク2の外殻部7の内周には、プ
ラスチックなどの非磁性材料により構成されたボビン8
が固定されており、ボビン8には電磁コイル9が装着さ
れている。電磁コイル9は、端子10およびリード線
(図示せず)を介して電源(図示せず)に接続されてい
る。そして、ボビン8の中心孔11の内周に円筒部3が
嵌合固定されている。 【0026】さらに、中心孔11における円筒部3とは
反対側の端部には、磁性材料により構成されたコア12
が嵌合固定されている。つまり、コア12のうち、中心
孔11に嵌合される部分の外径は、中心孔11の内径と
ほぼ同一に設定されている。このコア12は円筒形状に
構成され、コア12には軸線A1を中心とする固定孔1
3および案内孔14が連続して形成されている。固定孔
13はボビン8の外部に開口されており、案内孔14は
ヨーク2側に開口されている。また、固定孔13の内径
は案内孔14の内径よりも小さく設定されている。そし
て、固定孔13には、円筒状のベース15と、円筒状の
シート16とが嵌合固定されている。ベース15は、ヨ
ーク2と協働して、後述するプランジャ組立体の軸線方
向における移動量を調整するための機能を備えている。
そして、ベース15の外径は固定孔13の内径とほぼ同
一に設定されている。また、シート16の外径は、固定
孔13の内径とほぼ同一に設定されている。 【0027】ベース15は、固定孔13において案内孔
14に臨む箇所に配置されており、ベース15には軸線
A1を中心とするガイド孔17が貫通して形成されてい
る。このガイド孔17は、後述するプランジャ組立体の
半径方向の移動を抑制するための構成である。また、ベ
ース15の長手方向のほぼ中央には、ベース15を半径
方向に貫通する排圧流路18が形成されている。また、
ベース15におけるシート16側の端部には、テーパ面
19が形成されている。このテーパ面19は、シート1
6側に向けて拡径する方向に傾斜している。そして、こ
のテーパ面19がガイド孔17の内周面に接続されてい
る。 【0028】前記シート16には軸線A1を中心とする
入口流路20が形成されており、入口流路20は、図示
しない油圧源に接続されている。入口流路20の内径
は、ガイド孔17の内径とほぼ同一に設定されている。
そして、シート16におけるベース15側には小径部1
6Bが形成されている。小径部16Bの外径は固定孔1
3の内径よりも小さく設定されている。この小径部16
Bにおけるベース15側の内周面には、テーパ面21が
形成されている。このテーパ面21はベース15側に向
けて拡径する方向の傾斜を備えている。 【0029】上記のように構成されたベース15とシー
ト16とは、その対向端部に所定の隙間が設定された状
態で、固定孔13に嵌合固定されている。そして、ベー
ス15とシート16との間に、テーパ面19およびテー
パ面21により取り囲まれた弁体収納室22が形成され
ている。したがって、ガイド孔17と入口流路20とが
弁体収納室22を介して連通されている。また、コア1
2には制御圧供給流路23が半径方向に貫通して形成さ
れ、制御圧供給流路23と弁体収納室22とが、貫通孔
13、およびベース15とシート16との隙間を介して
連通されている。なお、制御圧供給流路23は、摩擦係
合装置のピストン作動室、またはロックアップクラッチ
のピストン作動室などの制御対象部(図示せず)に接続
されている。 【0030】前記弁体収納室22の内部、具体的には、
ベース15とシート16との間には、金属製のボール2
4が配置されている。ボール24の外径は、入口流路2
0の内径および貫通孔17の内径よりも大きく設定され
ている。このため、ボール24が固定孔13の軸線方向
に移動した場合は、テーパ面19,21に当接すること
により、その移動範囲が規制される。そして、ボール2
4が弁体収納室22内において、固定孔13の軸線方向
に所定量が移動可能となる状態で、ベース15とシート
16とが軸線方向に位置決めされている。つまり、固定
孔13の軸線方向におけるテーパ面21とテーパ面19
との相対位置(相対距離)に基づいて、固定孔13の軸
線方向におけるボール24の最大移動量が決定される。 【0031】一方、ガイド孔17および案内孔14なら
びに中心孔11に亘り、プランジャ組立体25が配置さ
れている。このプランジャ組立体25は、金属などの磁
性材料により構成されている。また、プランジャ組立体
25は、コア12およびベース15に対して、軸線方向
に相対移動可能に構成されている。プランジャ組立体2
5は、案内孔14内に配置された有底円筒部26と、ガ
イド孔17内に配置された軸部27とから構成されてい
る。有底円筒部26の外径は、案内孔14の内径未満に
設定されている。また、有底円筒部26の外径は、貫通
孔13の内径を超える値に設定されている。さらに、軸
部27の外径は、ガイド孔17の内径よりも若干小さく
設定されている。 【0032】そして、有底円筒部26の固定孔28に対
して、軸部27の一端が嵌合固定されている。また、軸
部27の他端に形成された小径部27Aが、弁体収納室
22に臨む位置に到達している。小径部27Aの外径
は、ガイド孔17の内径未満に設定されている。さら
に、有底円筒部26は、円筒部3の端面3Aと、ベース
15におけるヨーク2側の端面15Aとの間に、軸線方
向に移動可能に配置されている。そして、プランジャ組
立体25の軸線方向の最大動作量が、端面3Aと端面1
5Aとの軸線方向の間隔(距離)に基づいて設定されて
いる。 【0033】前記リターンスプリング6は、その一端が
段部5に当接され、他端が有底円筒部26の端面に当接
されている。そして、リターンスプリング26の弾性力
が有底円筒部26および軸部27を介してボール24に
伝達され、ボール24が入口流路20側に押圧されてい
る。このため、電磁コイル9が非通電状態にある場合
は、ボール24により入口流路20が閉じられている。 【0034】また、前記コア12には、排圧流路18に
連通する排圧流路29が形成されており、排圧流路29
がオイルパン(図示せず)に接続されている。さらに、
コア12にはボビン8の外部に露出された外向きフラン
ジ30が形成されており、外向きフランジ30とボビン
8との間には、ボデーアース用ターミナル31が介在さ
れている。このボデーアース用ターミナル31は磁性材
料により構成され、コア12およびヨーク2の両方に当
接されている。 【0035】上記のように構成された電磁弁1において
は、アクチュエータとしての電磁部B1が、ヨーク2、
ボビン8、電磁コイル9、プランジャ組立体25、リタ
ーンスプリング6により構成されている。また、制御対
象部に作用する油圧を制御するための調圧部C1が、コ
ア12、ベース15、シート16、ボール24、軸部2
7により構成されている。 【0036】また、調圧部C1は、入口流路20を開閉
するボール24を有しており、いわゆるボール弁を構成
しているといえる。さらに、この調圧部C1は、弁体収
納室22に臨み入口流路20および流体圧供給流路23
ならびに排圧流路29が形成されている、いわゆる3方
弁を構成しているといえる。 【0037】ここで、電磁弁1の構成とこの発明の構成
との対応関係を説明する。ヨーク2がこの発明の固定鉄
心に相当し、コア12がこの発明の第1筒部材に相当
し、固定孔13がこの発明の貫通孔に相当し、プランジ
ャ組立体25がこの発明の可動鉄心に相当し、ボールが
この発明の弁体に相当する。また、ベース15がこの発
明の第2筒部材に相当し、シート16がこの発明の第3
筒部材に相当し、端面3A,15Aがこの発明の可動鉄
心調整機構に相当し、テーパ面19,21がこの発明の
弁体調整機構に相当する。 【0038】つぎに、電磁弁1の組立工程(製造過程)
を説明する。まず、作業台(図示せず)上にヨーク2を
載せる。この場合、円筒部3が上に向くようにヨーク2
を置く。そして、ヨーク2に対して上方から電磁コイル
9を下降させ、円筒部3を中心孔11内に嵌合し、ヨー
ク2とボビン8とを固定する。そして、貫通孔4の内部
にリターンスプリング6を配置する。一方、コア12の
固定孔13内にベース16を仮圧入するとともに、ベー
ス15のガイド孔17にプランジャ組立体25を挿入す
る。ついで、コア12およびベース15ならびにプラン
ジャ組立体25を下降するとともに、コア12をボビン
8に嵌合させる。 【0039】そして、外向きフランジ30がボデーアー
ス用ターミナル31に当接した時点で、ボビン8に対す
るコア12の圧入を停止する。さらに、ボデーアース用
ターミナル31および外殻部7の一部をカシメ加工する
ことにより、コア12とヨーク2とを固定する。 【0040】ここで、プランジャ組立体25の動作量を
調整する作業を行う。まず、電磁コイル9の非通電状態
においては、リターンスプリング6の弾性力によりプラ
ンジャ組立体25がベース15側に押圧され、有底円筒
部26の端面がベース15の端面15Aに当接してい
る。そして、電磁コイル9に通電すると、ヨーク2、コ
ア12、プランジャ組立体25を磁束が通過して磁気回
路が形成される。すると、プランジャ組立体25に作用
する磁気吸引力により、プランジャ組立体25がリター
ンスプリング6の弾性力に抗してヨーク2側に移動す
る。 【0041】このようにして、電磁コイル9を非通電状
態と通電状態とで相互に切り換えた場合において、プラ
ンジャ組立体25の軸線方向の移動量を測定する。そこ
で、プランジャ組立体25の軸線方向における移動量
が、所定の値になるように、ベース15とヨーク2との
軸線方向における相対位置を設定する。具体的には、固
定孔13に対するベース15の圧入量を変更すること
で、端面3Aと端面15Aとの距離を所定の値に調整す
ることができる。 【0042】その後、ボール24を固定孔13内に配置
するとともに、シート16を固定孔13に嵌合する。こ
の状態で、軸線方向におけるボール24の動作量を調整
する。具体的には、軸線方向におけるテーパ面19とテ
ーパ面21との距離が所定の値になるように、固定孔1
3に対するシート16の圧入位置を調整する。 【0043】上記のようにして組み立てられた電磁弁1
の動作を説明する。まず、電磁コイル9の非通電状態で
は、リターンスプリング6の弾性力が、プランジャ組立
体25を介してボール24に伝達され、ボール24がシ
ート16側に押圧されている。このため、図1に示すよ
うに、ボール24がテーパ面21に当接されてシール面
が形成され、入口流路20と弁体収納室22とが遮断さ
れる。したがって、制御圧供給流路23側の油圧(流体
圧)が、弁体収納室22およびガイド孔17ならびに排
圧流路18,29を介してドレーンされる。 【0044】一方、電磁コイル9に通電されると、ヨー
ク2、コア12、プランジャ組立体25を磁束が通過し
て磁気回路が形成される。すると、プランジャ25に作
用する磁気吸引力により、プランジャ組立体25がリタ
ーンスプリング6の弾性力に抗してヨーク2側に移動す
る。その結果、入口流路20に作用する油圧によってボ
ール24がテーパ面21から離間し、入口流路20と弁
体収納室22とが連通するとともに、ボール24がテー
パ面19に当接してシール面が形成され、制御圧供給流
路23と排圧流路18,29とが遮断される。したがっ
て、入口流路20側の油圧が制御圧供給流路23を介し
て制御対象部に作用する。なお、電磁コイル9に対する
通電を解除すると、リターンスプリング6の弾性力によ
り、図1の状態に復帰する。また、プランジャ組立体2
5の軸線方向の動作にほぼ直交する方向の移動が、ベー
ス15により抑制される。 【0045】上記のように電磁弁1は、電磁コイル9が
非通電状態にある場合において、入口流路20がボール
24により閉じられている、いわゆる、ノーマルクロー
ズ形式の電磁弁として機能する。そして、電磁コイル9
に対する通電は、通電パルスのデューテイ比を制御して
おこなわれ、通電電流に比例した油圧が制御圧供給流路
23に供給される。 【0046】上記のように、この実施例によれば、電磁
弁1の組立工程において、軸線方向におけるヨーク2と
ベース15との相対位置を変更することにより、プラン
ジャ組立体25の最大動作量を設定することができる。
また、軸線方向におけるベース15とシート16との相
対位置を設定することにより、軸線方向におけるボール
24の動作量を調整することができる。従って、制御圧
供給流路23に供給される油圧を高精度に制御すること
が可能になり、製品品質が向上する。また、電磁弁1を
複数製造した場合に、各電磁弁1の油圧制御特性が均一
になる。 【0047】また、ベース15が、プランジャ組立体2
5の軸線方向の動作量を設定する機能と、プランジャ組
立体25の半径方向の移動を抑制する機能とを兼備して
いる。したがって、電磁弁1の部品点数が低減されて、
電磁弁1の小型化および軽量化に寄与できるとともに、
製造コストを抑制することができる。 【0048】さらに、電磁弁1の組立工程において、電
磁コイル9およびボビン8を下降させることで、電磁コ
イル9およびボビン8と、ヨーク2とを相互に固定する
ことができる。また、ヨーク2に対するボビン8および
電磁コイル9の移動方向と同一の方向に、プランジャ組
立体25、コア12、ベース15、ボール24、シート
16を移動することにより、各部品を相互に固定して電
磁弁1を組み立てることができる。したがって、ボビン
8を反転させる作業を必要とせず、電磁弁1の組立作業
性および生産性が向上する。 【0049】さらにまた、プランジャ組立体25の軸線
方向における動作量を設定するベース15が非磁性材料
により構成されている。このため、電磁コイル9に通電
した場合に、ベース15を磁束が通過することがなく、
プランジャ組立体25をヨーク2から離れる方向(図1
の左方向)に移動させる吸引力は作用しない。したがっ
て、プランジャ組立体25の応答性が良好に維持され、
電磁弁1の油圧制御特性を向上させることができる。 【0050】なお、この発明は、電磁コイルが非通電状
態にある場合に入口流路が開放されるノーマルオープン
形式の電磁弁にも適用可能である。また、この発明は、
オン/オフ形式の電磁弁にも適用可能である。 【0051】 【発明の効果】以上のようにこの発明は、第2筒部材の
外径および第3筒部材の外径が、貫通孔の内径とほぼ同
一に設定されているため、電磁コイルと固定鉄心とを相
対移動して相互に固定した後、第1筒部材の貫通孔に第
2筒部材を嵌合して、第1筒部材を電磁コイルの移動方
向と同一の方向に移動して中心孔に取り付けるととも
に、貫通孔に対する第2筒部材の圧入量を調整して、可
動鉄心の動作量を調整することができる。 【0052】その後、第1筒部材の貫通孔の内部に弁体
を挿入するとともに、第3筒部材を第2筒部材と同一の
方向に移動して、第3筒部材を貫通孔に嵌合することが
できる。その結果、第2筒部材と第3筒部材との間に弁
体収納室が形成され、弁体収納室内に弁体が収納され
る。ここで、第2筒部材と第3筒部材との軸線方向の相
対位置を調整することにより、軸線方向における弁体の
動作量を調整できる。 【0053】つまり、この発明によれば、電磁弁の組立
工程において、軸線方向における固定鉄心と第2筒部材
との相対位置を変更することにより、可動鉄心の軸線方
向における動作量を設定することができる。また、軸線
方向における第2筒部材と壁部材との相対位置を設定す
ることにより、軸線方向における弁体の動作量を調整す
ることができる。したがって、流路に供給される流体圧
を高精度に制御することが可能になり、製品品質が向上
する。また、電磁弁を複数製造した場合に、各電磁弁の
流体圧制御特性が均一になる。 【0054】また、第2筒部材が、可動鉄心の軸線方向
の動作量を設定する機能と、可動鉄心の軸線方向の移動
にほぼ直交する方向の移動を抑制する機能とを兼備して
いる。したがって、電磁弁の部品点数が低減されて、電
磁弁の小型化および軽量化に寄与できるとともに、製造
コストを抑制することができる。 【0055】さらに、電磁弁の組立工程において、電磁
コイルと固定鉄心とを軸線方向に相対移動することによ
り、電磁コイルと固定鉄心とを相互に固定することがで
きる。固定鉄心に対する電磁コイルの移動方向と同一の
方向に、可動鉄心、第1筒部材、第2筒部材、弁体、第
3筒部材を移動することにより、各部品を相互に固定す
ることが可能になる。したがって、電磁コイルを反転さ
せる作業を必要とせず、電磁弁の組立作業性および生産
性が向上する。 【0056】さらにまた、可動鉄心の軸線方向における
動作量を設定する第2筒部材が非磁性材料により構成さ
れている。このため、電磁コイルに通電した場合に、第
2筒部材を磁束が通過することがなく、可動鉄心を固定
鉄心から離れる方向に移動させる吸引力は作用しない。
したがって、可動鉄心の応答性が良好に維持され、電磁
弁の流体圧制御特性を向上させることができる。
自動変速機の油圧制御回路に設けられる電磁弁に関する
ものである。 【0002】 【従来の技術】一般に、車両に搭載される自動変速機に
は、歯車変速機構のトルク伝達経路を切り換えて変速を
実行するための摩擦係合装置や、トルクコンバータの入
力部材と出力部材とを機械的に接続して燃費を向上させ
るロックアップクラッチなどが設けられている。これら
の摩擦係合装置の油圧制御、またはロックアップクラッ
チの油圧制御には、作動応答性に優れ、かつ、油圧を高
精度に制御することの可能な電磁弁(リニアソレノイド
バルブ)が用いられている。このような電磁弁の構成例
が、特開平8−4934号公報および特開平9−260
39号公報に記載されている。これらの公報に記載され
た電磁弁は、電磁力を発生する電磁コイルと、この電磁
コイルの中心孔に臨んで配置され、かつ、磁束が通過す
る固定鉄心と、磁気吸引力により動作する可動鉄心と、
この可動鉄心の動作に対応して動作し、かつ、流路を開
閉する弁体とを有する。 【0003】そして、これらの電磁弁は構造上、2種類
に大別されていた。まず、第1の従来構造に係る電磁弁
は、電磁コイルの中心孔に臨み固定鉄心と円筒形状のコ
アとが取り付けられている。また、コアの内部には円筒
形状のベースが配置されている。ベースには軸線方向に
貫通するガイド孔が形成され、ガイド孔には可動鉄心が
軸線方向に移動可能に配置されている。ここで、コアお
よび固定鉄心ならびに可動鉄心が磁性材料により構成さ
れている。 【0004】さらに、コアの内部には、ベースと対向す
る環状のシートが配置され、シートとベースとの間に弁
体収納室が形成されている。この弁体収納室には弁体が
移動可能に配置されている。そして、シートには入口流
路が形成され、コアには制御圧供給流路および排圧流路
が形成されている。 【0005】さらにまた、固定鉄心には、電磁コイルの
中心孔と同心状に貫通孔が形成されており、貫通孔には
調整部材が定寸圧入されている。なお、固定鉄心と可動
鉄心との間にはリターンスプリングが配置されている。 【0006】ここで、第1の従来構造に係る電磁弁の組
立工程を説明する。まず、電磁コイルの中心孔に対し
て、シート、弁体、ベース、可動鉄心が、一方向から順
次組み付けられる。その結果、シートとベースとが突き
当てられて弁体収納室が形成される。また、固定鉄心の
貫通孔に対して調整部材が定寸圧入され、ベースと調整
部材との距離に基づいて、可動鉄心の動作量が設定され
る。 【0007】上記第1の従来構造の電磁弁は、電磁コイ
ルが非通電状態にある場合は、リターンスプリングの弾
性力により可動鉄心がシート側に押圧されている。そし
て、可動鉄心により弁体が入口流路側に押し付けられ
て、入口流路が閉じられている。また、制御圧供給流路
と排圧流路とが連通している。 【0008】そして、電磁コイルに通電された場合は、
固定鉄心およびコアならびに可動鉄心を磁束が通過して
磁気回路が形成され、可動鉄心が固定鉄心側に吸引され
る。すると、入口流路の油圧により弁体が移動して入口
流路が開放され、入口流路と制御圧供給流路とが連通す
る。また、排圧流路が弁体により閉じられる。ここで、
電磁コイルに対する通電は、通電パルスのデューテイ比
を制御しておこなわれ、電流に比例した油圧が制御圧供
給流路に供給される。なお、ベースに形成されたガイド
孔により、可動鉄心が、その動作方向にほぼ直交する方
向に移動することが抑制されている。 【0009】一方、第2の従来構造に係る電磁弁は、電
磁コイルの中心孔に対して両方向から部品を組み付ける
ものである。第2の従来構造の電磁弁は、電磁コイルの
中心孔に臨み固定鉄心と円筒形状のコアとが取り付けら
れている。中心孔の内部には可動鉄心が配置されてい
る。ここで、コアおよび固定鉄心ならびに可動鉄心が磁
性材料により構成されている。 【0010】また、コアの内周にはフランジが形成さ
れ、かつ、コアの内部には環状のシートおよび円筒形状
のベースが配置されている。そして、シートとベースと
の間に弁体収納室が形成されている。この弁体収納室に
は弁体が移動可能に配置されている。さらに、シートに
は入口流路が形成され、コアには制御圧供給流路と排圧
流路とが形成されている。さらにまた、固定鉄心には、
電磁コイルの中心孔と同心状に貫通孔が形成され、貫通
孔には調整部材が定寸圧入されている。 【0011】そして、第2の従来構造の電磁弁の組立工
程においては、ベースおよび弁体ならびにシートが、コ
アの貫通孔の一方から取り付けられる。そして、ベース
とシートとの相対位置に基づいて、弁体の動作量が設定
される。また、これとは反対側から中心孔に対して可動
鉄心が挿入され、固定鉄心を中心孔に対して固定する。
そして、固定鉄心の貫通孔に調整部材を圧入し、フラン
ジと調整部材との距離に基づいて、可動鉄心の動作量が
設定される。 【0012】第2の従来構造の電磁弁は、電磁コイルの
非通電状態にある場合は、リターンスプリングの弾性力
により可動鉄心がシート側に押圧され、弁体により入口
流路が閉じられている。また、制御圧供給流路と排圧流
路とが連通している。そして、電磁コイルに通電された
場合は、固定鉄心およびコアならびに可動鉄心を磁束が
通過して磁気回路が形成され、可動鉄心が固定鉄心側に
吸引される。 【0013】すると、入口流路の油圧により弁体が移動
して入口流路が開放され、入口流路と制御圧供給流路と
が連通する。また、排圧流路が弁体により閉じられる。
ここで、電磁コイルに対する通電は、通電パルスのデュ
ーテイ比を制御しておこなわれ、電流に比例した油圧が
制御圧供給流路に供給される。なお、ベースに形成され
たガイド孔により、可動鉄心が、その動作方向にほぼ直
交する方向に移動することが抑制されている。 【0014】 【発明が解決しようとする課題】しかし、第1の従来構
造の電磁弁においては、弁体の動作量が、弁体およびベ
ースならびにシートの寸法精度(加工精度)により決定
され、電磁弁の組立工程で弁体の動作量を調整すること
ができなかった。したがって、制御圧供給流路に供給さ
れる油圧の制御精度を高めることができず、製品品質が
低下する可能性があった。また、複数の電磁弁を製造し
た場合に、各電磁弁毎に、油圧制御特性にバラツキが生
じる可能性があった。 【0015】さらに、可動鉄心の動作方向にほぼ直交す
る方向の動作を規制するための機構と、可動鉄心の動作
量を設定するための機構とが別個に設けられていた。し
たがって、部品点数が多くなって組立工数が増し、製造
コストが上昇する問題があり、ひいては電磁弁の大型化
および大重量化を招いていた。 【0016】一方、第2従来構造の電磁弁においては、
電磁弁の組立工程で弁体の動作量を調整することが可能
であるが、可動鉄心の動作方向にほぼ直交する方向の動
作を規制するための機構と、可動鉄心の動作量を設定す
るための機構とが別個に設けられている。このため、部
品点数が多くなって、電磁弁の大型化および大重量化を
招くとともに、製造コストが上昇する問題があった。 【0017】また、第2従来構造の電磁弁においては、
各部品を電磁コイルおよびコアの両側から組み付ける構
造になっている。このため、電磁弁の組立工程におい
て、電磁コイルおよびコアを反転しなければならず、生
産性が低下する可能性があった。さらに、電磁コイルに
通電された場合にはフランジをも磁束が通過する。この
ため、フランジを通過する磁束により、可動鉄心を固定
鉄心から離れる方向に移動させる磁気吸引力が発生す
る。その結果、可動鉄心の動作応答性が低下して、油圧
制御特性が変化する可能性があった。 【0018】この発明は上記の事情を背景としてなされ
たもので、可動鉄心の動作量および弁体の動作量を調整
でき、かつ、部品点数を抑制し、さらに、組立作業を容
易におこなうことができるとともに、可動鉄心の動作特
性を良好に維持することの可能な電磁弁を提供すること
を目的としている。 【0019】 【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するためこの発明は、電磁力を発生する電磁コ
イルと、この電磁コイルの中心孔に臨んで軸線方向に配
置され、かつ、磁束が通過する固定鉄心および磁束が通
過する第1筒部材と、この第1筒部材を前記中心孔と同
心状に貫通する貫通孔と、この貫通孔の内部に軸線方向
に移動可能に配置され、かつ、磁気吸引力により動作す
る可動鉄心と、この可動鉄心の動作に対応して動作する
弁体と、この弁体により開閉される流路とを有する電磁
弁において、前記貫通孔の内部に、非磁性材料により構
成された第2筒部材と、この第2筒部材との間に弁体収
納室を形成する第3筒部材とが、前記固定鉄心から離れ
る方向に順次配置され、前記第2筒部材の外径および前
記第3筒部材の外径が前記貫通孔の内径とほぼ同一に設
定され、前記第2筒部材に、前記可動鉄心を軸線方向に
移動可能に保持し、かつ、前記弁体収納室に連通するす
るガイド孔が貫通して形成され、前記第3筒部材に前記
弁体収納室に臨む流路が開口され、前記弁体収納室に収
納された弁体の外径が前記貫通孔の内径未満に設定され
ているとともに、前記固定鉄心と前記第2筒部材との対
向部位に、前記可動鉄心の軸線方向の動作量を設定する
可動鉄心調整機構が設けられ、前記第3筒部材と前記第
2筒部材との対向部位に、前記第2筒部材の軸線方向に
おける前記弁体の動作量を設定する弁体調整機構が形成
されており、前記固定鉄心に対して、前記電磁コイルお
よび可動鉄心および第1筒部材および第2筒部材および
弁体および第3筒部材を同一の方向に移動することによ
り、各部品が相互に固定される構成であり、前記可動鉄
心調整機構は、前記固定鉄心の端面および前記第2筒部
材の端面を有しているとともに、前記固定鉄心に第2の
貫通孔が形成され、この第2の貫通孔の内周に段部が形
成され、この第2の貫通孔内であって、前記段部と前記
可動鉄心との間に、この前記可動鉄心を前記弁体に向け
て押圧するリターンスプリングが設けられていることを
特徴とする。 【0020】この発明によれば、第2筒部材の外径およ
び第3筒部材の外径が、貫通孔の内径とほぼ同一に設定
されているため、電磁コイルと固定鉄心とを相対移動し
て相互に固定した後、第1筒部材の貫通孔に第2筒部材
を嵌合して、第1筒部材を電磁コイルの移動方向と同一
の方向に移動して中心孔に取り付けるとともに、貫通孔
に対する第2筒部材の圧入量を調整して、可動鉄心の動
作量を調整することができる。つまり、可動鉄心調整機
構により可動鉄心の動作量を調整することができ、弁体
調整機構により弁体の動作量を調整することができる。
また、第2筒部材が、可動鉄心の動作量を調整する機能
と、可動鉄心が、その動作方向にほぼ直交する方向に移
動することを抑制する機能とを兼備している。 【0021】その後、第1筒部材の貫通孔の内部に弁体
を挿入するとともに、第3筒部材を第2筒部材と同一の
方向に移動して、第3筒部材を貫通孔に嵌合することが
できる。その結果、第2筒部材と第3筒部材との間に弁
体収納室が形成され、弁体収納室内に弁体が収納され
る。ここで、第2筒部材と第3筒部材との軸線方向の相
対位置を調整することにより、軸線方向における弁体の
動作量を調整できる。 【0022】さらに、可動鉄心の動作量を調整する機能
を有する第2筒部材が非磁性材料により構成されている
ため、電磁弁の組立状態で電磁コイルに通電した場合
に、第2筒部材を磁束が通過することがない。 【0023】 【発明の実施の形態】つぎに、この発明の実施例を添付
図面に基づいて詳細に説明する。この発明の電磁弁は、
車両用自動変速機の油圧制御回路などに適用可能であ
る。さらに詳しくは、自動変速機の摩擦係合装置または
ロックアップクラッチの油圧を制御するために電磁弁が
用いられる。 【0024】図1はこの発明の電磁弁(リニアソレノイ
ドバルブ)1の構成例を示す正面断面図である。図1に
おいて、2はヨークであり、ヨーク2は金属などの磁性
材料により構成されている。またヨーク2には円筒部3
が形成され、円筒部3は軸線A1を中心とする貫通孔4
を備えている。貫通孔4の内周には段部5が形成される
とともに、貫通孔4内にはリターンスプリング6が配置
されている。このリターンスプリング6は圧縮ばねであ
る。 【0025】また、ヨーク2の外殻部7の内周には、プ
ラスチックなどの非磁性材料により構成されたボビン8
が固定されており、ボビン8には電磁コイル9が装着さ
れている。電磁コイル9は、端子10およびリード線
(図示せず)を介して電源(図示せず)に接続されてい
る。そして、ボビン8の中心孔11の内周に円筒部3が
嵌合固定されている。 【0026】さらに、中心孔11における円筒部3とは
反対側の端部には、磁性材料により構成されたコア12
が嵌合固定されている。つまり、コア12のうち、中心
孔11に嵌合される部分の外径は、中心孔11の内径と
ほぼ同一に設定されている。このコア12は円筒形状に
構成され、コア12には軸線A1を中心とする固定孔1
3および案内孔14が連続して形成されている。固定孔
13はボビン8の外部に開口されており、案内孔14は
ヨーク2側に開口されている。また、固定孔13の内径
は案内孔14の内径よりも小さく設定されている。そし
て、固定孔13には、円筒状のベース15と、円筒状の
シート16とが嵌合固定されている。ベース15は、ヨ
ーク2と協働して、後述するプランジャ組立体の軸線方
向における移動量を調整するための機能を備えている。
そして、ベース15の外径は固定孔13の内径とほぼ同
一に設定されている。また、シート16の外径は、固定
孔13の内径とほぼ同一に設定されている。 【0027】ベース15は、固定孔13において案内孔
14に臨む箇所に配置されており、ベース15には軸線
A1を中心とするガイド孔17が貫通して形成されてい
る。このガイド孔17は、後述するプランジャ組立体の
半径方向の移動を抑制するための構成である。また、ベ
ース15の長手方向のほぼ中央には、ベース15を半径
方向に貫通する排圧流路18が形成されている。また、
ベース15におけるシート16側の端部には、テーパ面
19が形成されている。このテーパ面19は、シート1
6側に向けて拡径する方向に傾斜している。そして、こ
のテーパ面19がガイド孔17の内周面に接続されてい
る。 【0028】前記シート16には軸線A1を中心とする
入口流路20が形成されており、入口流路20は、図示
しない油圧源に接続されている。入口流路20の内径
は、ガイド孔17の内径とほぼ同一に設定されている。
そして、シート16におけるベース15側には小径部1
6Bが形成されている。小径部16Bの外径は固定孔1
3の内径よりも小さく設定されている。この小径部16
Bにおけるベース15側の内周面には、テーパ面21が
形成されている。このテーパ面21はベース15側に向
けて拡径する方向の傾斜を備えている。 【0029】上記のように構成されたベース15とシー
ト16とは、その対向端部に所定の隙間が設定された状
態で、固定孔13に嵌合固定されている。そして、ベー
ス15とシート16との間に、テーパ面19およびテー
パ面21により取り囲まれた弁体収納室22が形成され
ている。したがって、ガイド孔17と入口流路20とが
弁体収納室22を介して連通されている。また、コア1
2には制御圧供給流路23が半径方向に貫通して形成さ
れ、制御圧供給流路23と弁体収納室22とが、貫通孔
13、およびベース15とシート16との隙間を介して
連通されている。なお、制御圧供給流路23は、摩擦係
合装置のピストン作動室、またはロックアップクラッチ
のピストン作動室などの制御対象部(図示せず)に接続
されている。 【0030】前記弁体収納室22の内部、具体的には、
ベース15とシート16との間には、金属製のボール2
4が配置されている。ボール24の外径は、入口流路2
0の内径および貫通孔17の内径よりも大きく設定され
ている。このため、ボール24が固定孔13の軸線方向
に移動した場合は、テーパ面19,21に当接すること
により、その移動範囲が規制される。そして、ボール2
4が弁体収納室22内において、固定孔13の軸線方向
に所定量が移動可能となる状態で、ベース15とシート
16とが軸線方向に位置決めされている。つまり、固定
孔13の軸線方向におけるテーパ面21とテーパ面19
との相対位置(相対距離)に基づいて、固定孔13の軸
線方向におけるボール24の最大移動量が決定される。 【0031】一方、ガイド孔17および案内孔14なら
びに中心孔11に亘り、プランジャ組立体25が配置さ
れている。このプランジャ組立体25は、金属などの磁
性材料により構成されている。また、プランジャ組立体
25は、コア12およびベース15に対して、軸線方向
に相対移動可能に構成されている。プランジャ組立体2
5は、案内孔14内に配置された有底円筒部26と、ガ
イド孔17内に配置された軸部27とから構成されてい
る。有底円筒部26の外径は、案内孔14の内径未満に
設定されている。また、有底円筒部26の外径は、貫通
孔13の内径を超える値に設定されている。さらに、軸
部27の外径は、ガイド孔17の内径よりも若干小さく
設定されている。 【0032】そして、有底円筒部26の固定孔28に対
して、軸部27の一端が嵌合固定されている。また、軸
部27の他端に形成された小径部27Aが、弁体収納室
22に臨む位置に到達している。小径部27Aの外径
は、ガイド孔17の内径未満に設定されている。さら
に、有底円筒部26は、円筒部3の端面3Aと、ベース
15におけるヨーク2側の端面15Aとの間に、軸線方
向に移動可能に配置されている。そして、プランジャ組
立体25の軸線方向の最大動作量が、端面3Aと端面1
5Aとの軸線方向の間隔(距離)に基づいて設定されて
いる。 【0033】前記リターンスプリング6は、その一端が
段部5に当接され、他端が有底円筒部26の端面に当接
されている。そして、リターンスプリング26の弾性力
が有底円筒部26および軸部27を介してボール24に
伝達され、ボール24が入口流路20側に押圧されてい
る。このため、電磁コイル9が非通電状態にある場合
は、ボール24により入口流路20が閉じられている。 【0034】また、前記コア12には、排圧流路18に
連通する排圧流路29が形成されており、排圧流路29
がオイルパン(図示せず)に接続されている。さらに、
コア12にはボビン8の外部に露出された外向きフラン
ジ30が形成されており、外向きフランジ30とボビン
8との間には、ボデーアース用ターミナル31が介在さ
れている。このボデーアース用ターミナル31は磁性材
料により構成され、コア12およびヨーク2の両方に当
接されている。 【0035】上記のように構成された電磁弁1において
は、アクチュエータとしての電磁部B1が、ヨーク2、
ボビン8、電磁コイル9、プランジャ組立体25、リタ
ーンスプリング6により構成されている。また、制御対
象部に作用する油圧を制御するための調圧部C1が、コ
ア12、ベース15、シート16、ボール24、軸部2
7により構成されている。 【0036】また、調圧部C1は、入口流路20を開閉
するボール24を有しており、いわゆるボール弁を構成
しているといえる。さらに、この調圧部C1は、弁体収
納室22に臨み入口流路20および流体圧供給流路23
ならびに排圧流路29が形成されている、いわゆる3方
弁を構成しているといえる。 【0037】ここで、電磁弁1の構成とこの発明の構成
との対応関係を説明する。ヨーク2がこの発明の固定鉄
心に相当し、コア12がこの発明の第1筒部材に相当
し、固定孔13がこの発明の貫通孔に相当し、プランジ
ャ組立体25がこの発明の可動鉄心に相当し、ボールが
この発明の弁体に相当する。また、ベース15がこの発
明の第2筒部材に相当し、シート16がこの発明の第3
筒部材に相当し、端面3A,15Aがこの発明の可動鉄
心調整機構に相当し、テーパ面19,21がこの発明の
弁体調整機構に相当する。 【0038】つぎに、電磁弁1の組立工程(製造過程)
を説明する。まず、作業台(図示せず)上にヨーク2を
載せる。この場合、円筒部3が上に向くようにヨーク2
を置く。そして、ヨーク2に対して上方から電磁コイル
9を下降させ、円筒部3を中心孔11内に嵌合し、ヨー
ク2とボビン8とを固定する。そして、貫通孔4の内部
にリターンスプリング6を配置する。一方、コア12の
固定孔13内にベース16を仮圧入するとともに、ベー
ス15のガイド孔17にプランジャ組立体25を挿入す
る。ついで、コア12およびベース15ならびにプラン
ジャ組立体25を下降するとともに、コア12をボビン
8に嵌合させる。 【0039】そして、外向きフランジ30がボデーアー
ス用ターミナル31に当接した時点で、ボビン8に対す
るコア12の圧入を停止する。さらに、ボデーアース用
ターミナル31および外殻部7の一部をカシメ加工する
ことにより、コア12とヨーク2とを固定する。 【0040】ここで、プランジャ組立体25の動作量を
調整する作業を行う。まず、電磁コイル9の非通電状態
においては、リターンスプリング6の弾性力によりプラ
ンジャ組立体25がベース15側に押圧され、有底円筒
部26の端面がベース15の端面15Aに当接してい
る。そして、電磁コイル9に通電すると、ヨーク2、コ
ア12、プランジャ組立体25を磁束が通過して磁気回
路が形成される。すると、プランジャ組立体25に作用
する磁気吸引力により、プランジャ組立体25がリター
ンスプリング6の弾性力に抗してヨーク2側に移動す
る。 【0041】このようにして、電磁コイル9を非通電状
態と通電状態とで相互に切り換えた場合において、プラ
ンジャ組立体25の軸線方向の移動量を測定する。そこ
で、プランジャ組立体25の軸線方向における移動量
が、所定の値になるように、ベース15とヨーク2との
軸線方向における相対位置を設定する。具体的には、固
定孔13に対するベース15の圧入量を変更すること
で、端面3Aと端面15Aとの距離を所定の値に調整す
ることができる。 【0042】その後、ボール24を固定孔13内に配置
するとともに、シート16を固定孔13に嵌合する。こ
の状態で、軸線方向におけるボール24の動作量を調整
する。具体的には、軸線方向におけるテーパ面19とテ
ーパ面21との距離が所定の値になるように、固定孔1
3に対するシート16の圧入位置を調整する。 【0043】上記のようにして組み立てられた電磁弁1
の動作を説明する。まず、電磁コイル9の非通電状態で
は、リターンスプリング6の弾性力が、プランジャ組立
体25を介してボール24に伝達され、ボール24がシ
ート16側に押圧されている。このため、図1に示すよ
うに、ボール24がテーパ面21に当接されてシール面
が形成され、入口流路20と弁体収納室22とが遮断さ
れる。したがって、制御圧供給流路23側の油圧(流体
圧)が、弁体収納室22およびガイド孔17ならびに排
圧流路18,29を介してドレーンされる。 【0044】一方、電磁コイル9に通電されると、ヨー
ク2、コア12、プランジャ組立体25を磁束が通過し
て磁気回路が形成される。すると、プランジャ25に作
用する磁気吸引力により、プランジャ組立体25がリタ
ーンスプリング6の弾性力に抗してヨーク2側に移動す
る。その結果、入口流路20に作用する油圧によってボ
ール24がテーパ面21から離間し、入口流路20と弁
体収納室22とが連通するとともに、ボール24がテー
パ面19に当接してシール面が形成され、制御圧供給流
路23と排圧流路18,29とが遮断される。したがっ
て、入口流路20側の油圧が制御圧供給流路23を介し
て制御対象部に作用する。なお、電磁コイル9に対する
通電を解除すると、リターンスプリング6の弾性力によ
り、図1の状態に復帰する。また、プランジャ組立体2
5の軸線方向の動作にほぼ直交する方向の移動が、ベー
ス15により抑制される。 【0045】上記のように電磁弁1は、電磁コイル9が
非通電状態にある場合において、入口流路20がボール
24により閉じられている、いわゆる、ノーマルクロー
ズ形式の電磁弁として機能する。そして、電磁コイル9
に対する通電は、通電パルスのデューテイ比を制御して
おこなわれ、通電電流に比例した油圧が制御圧供給流路
23に供給される。 【0046】上記のように、この実施例によれば、電磁
弁1の組立工程において、軸線方向におけるヨーク2と
ベース15との相対位置を変更することにより、プラン
ジャ組立体25の最大動作量を設定することができる。
また、軸線方向におけるベース15とシート16との相
対位置を設定することにより、軸線方向におけるボール
24の動作量を調整することができる。従って、制御圧
供給流路23に供給される油圧を高精度に制御すること
が可能になり、製品品質が向上する。また、電磁弁1を
複数製造した場合に、各電磁弁1の油圧制御特性が均一
になる。 【0047】また、ベース15が、プランジャ組立体2
5の軸線方向の動作量を設定する機能と、プランジャ組
立体25の半径方向の移動を抑制する機能とを兼備して
いる。したがって、電磁弁1の部品点数が低減されて、
電磁弁1の小型化および軽量化に寄与できるとともに、
製造コストを抑制することができる。 【0048】さらに、電磁弁1の組立工程において、電
磁コイル9およびボビン8を下降させることで、電磁コ
イル9およびボビン8と、ヨーク2とを相互に固定する
ことができる。また、ヨーク2に対するボビン8および
電磁コイル9の移動方向と同一の方向に、プランジャ組
立体25、コア12、ベース15、ボール24、シート
16を移動することにより、各部品を相互に固定して電
磁弁1を組み立てることができる。したがって、ボビン
8を反転させる作業を必要とせず、電磁弁1の組立作業
性および生産性が向上する。 【0049】さらにまた、プランジャ組立体25の軸線
方向における動作量を設定するベース15が非磁性材料
により構成されている。このため、電磁コイル9に通電
した場合に、ベース15を磁束が通過することがなく、
プランジャ組立体25をヨーク2から離れる方向(図1
の左方向)に移動させる吸引力は作用しない。したがっ
て、プランジャ組立体25の応答性が良好に維持され、
電磁弁1の油圧制御特性を向上させることができる。 【0050】なお、この発明は、電磁コイルが非通電状
態にある場合に入口流路が開放されるノーマルオープン
形式の電磁弁にも適用可能である。また、この発明は、
オン/オフ形式の電磁弁にも適用可能である。 【0051】 【発明の効果】以上のようにこの発明は、第2筒部材の
外径および第3筒部材の外径が、貫通孔の内径とほぼ同
一に設定されているため、電磁コイルと固定鉄心とを相
対移動して相互に固定した後、第1筒部材の貫通孔に第
2筒部材を嵌合して、第1筒部材を電磁コイルの移動方
向と同一の方向に移動して中心孔に取り付けるととも
に、貫通孔に対する第2筒部材の圧入量を調整して、可
動鉄心の動作量を調整することができる。 【0052】その後、第1筒部材の貫通孔の内部に弁体
を挿入するとともに、第3筒部材を第2筒部材と同一の
方向に移動して、第3筒部材を貫通孔に嵌合することが
できる。その結果、第2筒部材と第3筒部材との間に弁
体収納室が形成され、弁体収納室内に弁体が収納され
る。ここで、第2筒部材と第3筒部材との軸線方向の相
対位置を調整することにより、軸線方向における弁体の
動作量を調整できる。 【0053】つまり、この発明によれば、電磁弁の組立
工程において、軸線方向における固定鉄心と第2筒部材
との相対位置を変更することにより、可動鉄心の軸線方
向における動作量を設定することができる。また、軸線
方向における第2筒部材と壁部材との相対位置を設定す
ることにより、軸線方向における弁体の動作量を調整す
ることができる。したがって、流路に供給される流体圧
を高精度に制御することが可能になり、製品品質が向上
する。また、電磁弁を複数製造した場合に、各電磁弁の
流体圧制御特性が均一になる。 【0054】また、第2筒部材が、可動鉄心の軸線方向
の動作量を設定する機能と、可動鉄心の軸線方向の移動
にほぼ直交する方向の移動を抑制する機能とを兼備して
いる。したがって、電磁弁の部品点数が低減されて、電
磁弁の小型化および軽量化に寄与できるとともに、製造
コストを抑制することができる。 【0055】さらに、電磁弁の組立工程において、電磁
コイルと固定鉄心とを軸線方向に相対移動することによ
り、電磁コイルと固定鉄心とを相互に固定することがで
きる。固定鉄心に対する電磁コイルの移動方向と同一の
方向に、可動鉄心、第1筒部材、第2筒部材、弁体、第
3筒部材を移動することにより、各部品を相互に固定す
ることが可能になる。したがって、電磁コイルを反転さ
せる作業を必要とせず、電磁弁の組立作業性および生産
性が向上する。 【0056】さらにまた、可動鉄心の軸線方向における
動作量を設定する第2筒部材が非磁性材料により構成さ
れている。このため、電磁コイルに通電した場合に、第
2筒部材を磁束が通過することがなく、可動鉄心を固定
鉄心から離れる方向に移動させる吸引力は作用しない。
したがって、可動鉄心の応答性が良好に維持され、電磁
弁の流体圧制御特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1…電磁弁、 2…ヨーク、 3A,15A…端面、
9…電磁コイル、 11…中心孔、 12…コア、 1
3…固定孔、 15…ベース、 16…シート、 17
…ガイド孔、 19,21…テーパ面、 20…入口流
路、 23…制御圧供給流路、 22…弁体収納室、
24…ボール、 25…プランジャ組立体、 29…排
圧流路、 A1…軸線。
9…電磁コイル、 11…中心孔、 12…コア、 1
3…固定孔、 15…ベース、 16…シート、 17
…ガイド孔、 19,21…テーパ面、 20…入口流
路、 23…制御圧供給流路、 22…弁体収納室、
24…ボール、 25…プランジャ組立体、 29…排
圧流路、 A1…軸線。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平3−79880(JP,A)
実開 昭64−15884(JP,U)
実開 昭63−184278(JP,U)
実公 平7−20461(JP,Y2)
特許2536236(JP,B2)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
F16K 31/06 - 31/11
F16K 11/044
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 電磁力を発生する電磁コイルと、この電
磁コイルの中心孔に臨んで軸線方向に配置され、かつ、
磁束が通過する固定鉄心および磁束が通過する第1筒部
材と、この第1筒部材を前記中心孔と同心状に貫通する
貫通孔と、この貫通孔の内部に軸線方向に移動可能に配
置され、かつ、磁気吸引力により動作する可動鉄心と、
この可動鉄心の動作に対応して動作する弁体と、この弁
体により開閉される流路とを有する電磁弁において、 前記貫通孔の内部に、非磁性材料により構成された第2
筒部材と、この第2筒部材との間に弁体収納室を形成す
る第3筒部材とが、前記固定鉄心から離れる方向に順次
配置され、前記第2筒部材の外径および前記第3筒部材
の外径が前記貫通孔の内径とほぼ同一に設定され、前記
第2筒部材に、前記可動鉄心を軸線方向に移動可能に保
持し、かつ、前記弁体収納室に連通するするガイド孔が
貫通して形成され、前記第3筒部材に前記弁体収納室に
臨む流路が開口され、前記弁体収納室に収納された弁体
の外径が前記貫通孔の内径未満に設定されているととも
に、前記固定鉄心と前記第2筒部材との対向部位に、前
記可動鉄心の軸線方向の動作量を設定する可動鉄心調整
機構が設けられ、前記第3筒部材と前記第2筒部材との
対向部位に、前記第2筒部材の軸線方向における前記弁
体の動作量を設定する弁体調整機構が形成されており、
前記固定鉄心に対して、前記電磁コイルおよび可動鉄心
および第1筒部材および第2筒部材および弁体および第
3筒部材を同一の方向に移動することにより、各部品が
相互に固定される構成であり、前記可動鉄心調整機構
は、前記固定鉄心の端面および前記第2筒部材の端面を
有しているとともに、前記固定鉄心に第2の貫通孔が形
成され、この第2の貫通孔の内周に段部が形成され、こ
の第2の貫通孔内であって、前記段部と前記可動鉄心と
の間に、この前記可動鉄心を前記弁体に向けて押圧する
リターンスプリングが設けられていることを特徴とする
電磁弁。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09828398A JP3414253B2 (ja) | 1998-03-26 | 1998-03-26 | 電磁弁 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11280935A JPH11280935A (ja) | 1999-10-15 |
JP3414253B2 true JP3414253B2 (ja) | 2003-06-09 |
Family
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP09828398A Expired - Fee Related JP3414253B2 (ja) | 1998-03-26 | 1998-03-26 | 電磁弁 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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KR101487451B1 (ko) * | 2013-12-27 | 2015-02-04 | 주식회사 유니크 | 오일펌프 컨트롤 밸브 |
KR101538938B1 (ko) * | 2014-07-03 | 2015-07-24 | 주식회사 유니크 | 오일펌프 컨트롤 밸브 |
-
1998
- 1998-03-26 JP JP09828398A patent/JP3414253B2/ja not_active Expired - Fee Related
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