JP3410825B2 - 熱収縮性ポリエステルフィルム - Google Patents
熱収縮性ポリエステルフィルムInfo
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Description
いられる熱収縮性ポリエステルフィルムに関し、さらに
詳しくは高温での収縮特性に優れるとともに、収縮ムラ
の発生がなく、優れた帯電防止性を有するポリエステル
フィルムに関するものである。 【0002】 【従来の技術】熱収縮性プラスチックフィルムは、容器
類、釣竿、コンデンサー、棒状蛍光灯等の標示、保護、
結束、商品付加価値向上等に用いられるほか、本やノー
ト等の集積包装や密着包装を行うために用いられてい
る。現在、この他にも多くの分野でこの熱収縮性フィル
ムの収縮性及び収縮応力を利用した種々の用途展開が期
待されている。 【0003】従来、熱収縮性フィルムの素材としては、
ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオレフィン等の樹
脂が用いられてきた。しかし、このような樹脂は耐熱
性、耐候性、耐薬品性などにおいて難点があった。例え
ば、ポリ塩化ビニルフィルムは種々の収縮特性を有する
熱収縮性フィルムとなし得るものの、フィッシュアイが
多発しやすく、これに印刷したフィルムを包装材とした
商品は美観が損なわれ、商品価値が低下したものとなり
やすかった。また、フィッシュアイのない熱収縮性フィ
ルムを得るためには過度の品質管理が必要となるため、
フィルム製造コストが著しく増大する等の問題を有して
いた。さらに、ポリ塩化ビニルは廃棄の際に焼却すると
公害問題を起こすこと、及びポリ塩化ビニル樹脂中の可
塑剤等の添加剤が経時的にブリードアウトし塵埃の付着
等により、汚れが生ずると共に、安全性の点でも好まし
くなかった。 【0004】一方、ポリスチレンから得られる熱収縮性
フィルムは、収縮後の仕上りは良好であるものの、耐溶
剤性が低いために印刷の際には特殊インクを使用しなけ
ればならないことや、室温でも自然収縮が起こるために
冷所に保存しなければならなかった。また、高温での焼
却を必要とし、焼却時に多量の黒煙と異臭を発生する
等、その廃棄にも大きな問題があった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】従来、熱収縮性ポリエ
ステルフィルムは、その熱収縮性において充分満足でき
るものではなかった。特に、収縮時に収縮ムラが発生し
易く、PETボトル、ポリエチレンボトル、ガラス瓶等
の容器に被覆収縮する際に、フィルムに印刷した文字や
模様がうまく再現できなかったり、容器へのフィルム密
着が十分できなかったりする等の問題点を有していた。
このような要求に対して、特願平4−110963号公
報や特願平4−110964号公報等に記載されている
ように、特定の共重合成分を共重合させたポリエステル
樹脂を使用したり、収縮速度を制御することによって収
縮ムラの発生の少ない熱収縮性ポリエステルフィルム等
が提案されている。 【0006】しかし、このような熱収縮性ポリエステル
フィルムは、比較的低温での収縮特性を有するものであ
り、100℃を超えるような高温で収縮が行われるガラ
ス瓶等の容器に収縮被覆する場合には、急激な収縮によ
り収縮ムラが発生したり、耐熱性に劣る等の問題点を有
していた。また、包装材料に使用する場合には、一般に
熱収縮性フィルムに印刷が施されるため、優れた印刷性
を有することが熱収縮性フィルムに要求される重要な特
性の一つであるが、ポリエステルフィルムは非常に静電
気を帯電しやすいために、フィルムに印刷する際にヒゲ
が発生する等の問題点を有していた。本発明の目的は、
高温での収縮特性に優れるとともに、収縮ムラの発生が
なく、優れた帯電防止性を有する熱収縮性ポリエステル
フィルムを提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、このよう
な状況に鑑み、熱収縮性フィルムを構成するポリエステ
ル樹脂について鋭意検討した結果、本発明に到達したも
のである。すなわち、本発明の熱収縮性ポリエステルフ
ィルムは、ナフタレンジカルボン酸またはそのエステル
形成誘導体を主成分とする酸成分とエチレングリコール
を主成分とするアルコール成分からなるポリエステル樹
脂(A)と、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形
成誘導体を主成分とする酸成分とエチレングリコールお
よび/またはブタンジオールを主成分とするアルコール
成分からなり、数平均分子量1000〜8000のポリ
エチレングリコールおよび/または数平均分子量100
0〜3000のポリオキシテトラメチレングリコールを
10重量%以上含有するポリエステル樹脂(B)と、次
の一般式(1)で示されるスルホン酸のアルカリ金属塩
0.01〜5重量%とからなり、ポリエチレングリコー
ルおよび/またはポリオキシテトタメチレングリコール
が樹脂の合計量中に1重量%以上含有されるようにポリ
エステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)とが混合
されていることを特徴とする熱収縮性ポリエステルフィ
ルム。 【0008】 【化2】R−SO3M ・・・ (1) (式中、Rは炭素数11〜30のアルキル基あるいはア
ルキルベンゼン基を示し、Mはアルカリ金属を示す。) 本発明の熱収縮性ポリエステルフィルムは、少なくとも
2種類のポリエステル樹脂の混合物からなるものであ
り、そのうちの1種のポリエステル樹脂(A)は、ナフ
タレンジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体を主
成分とする酸成分とエチレングリコールを主成分とする
アルコール成分から構成される。 【0009】ポリエステル樹脂(A)を構成する酸成分
は、ナフタレン−1,4−もしくは−2,6−ジカルボ
ン酸等のナフタレンジカルボン酸またはそのジアルキル
エステルやジアリールエステル等のエステル形成誘導体
を主成分とするものであり、好ましくは全酸成分中にナ
フタレンジカルボン酸成分を60モル%以上含有し、さ
らに好ましくは70モル%以上である。これは、ナフタ
レンジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体を酸成
分の主成分とすることによって、フィルムとして製膜し
た際の機械的強度や耐熱性を向上させるとともに、ポリ
エステル樹脂のガラス転移温度の低下することなく高温
での優れた収縮特性を付与するためである。 【0010】本発明において使用できるナフタレンジカ
ルボン酸以外の酸成分としては、テレフタル酸、イソフ
タル酸等の芳香族ジカルボン酸、グルタル酸、アジピン
酸、セバシン酸、アゼライン酸、シュウ酸、コハク酸等
の脂肪族ジカルボン酸あるいはこれらのエステル形成誘
導体等が挙げられる。これらの中で、フィルムの製膜性
や機械的強度、高温での収縮特性等の観点から、芳香族
ジカルボン酸あるいはそのエステル形成誘導体は、ナフ
タレンジカルボン酸との合計量として全酸成分中に80
モル%以上含有されることが好ましく、さらに好ましく
は85モル%以上である。脂肪族ジカルボン酸あるいは
そのエステル形成誘導体は、フィルムの熱収縮量を増加
させる目的で使用され、全酸成分中に20モル%未満、
好ましくは15モル%未満の範囲で含有させることがで
きる。これは、これら脂肪族ジカルボン酸成分が20モ
ル%以上含有されると、ポリエステルフィルムの機械的
強度の低下をまねく恐れがあるためである。 【0011】本発明において、ポリエステル樹脂(A)
を構成するアルコール成分としては、エチレングリコー
ルを主成分とするものであり、具体的には全アルコール
成分中にエチレングリコールを50モル%以上含有した
ものであり、好ましくは70モル%以上である。これ
は、エチレングリコールの含有量が50モル%未満であ
ると、樹脂を製造する際に重合反応性が低下する傾向に
あり、目的とする重合度の樹脂を得ることができない場
合があるためである。 【0012】また、エチレングリコール以外の他のアル
コール成分としては、ブタンジオール、シクロヘキサン
ジメタノールおよびビスフェノール化合物またはその誘
導体のエチレンオキサイド付加物、プロピレングリコー
ル、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、
ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポ
リオキシテトラメチレングリコール等が使用できる。こ
れら他のアルコール成分は、本発明の効果を損ねない範
囲、例えば、20モル%以下の範囲で使用することもで
きる。 【0013】さらに、ポリエステル樹脂(A)において
は、急激な収縮を抑制し、収縮ムラをより低減させる目
的で、3価以上の多価カルボン酸あるいは多価アルコー
ルを使用することもできる。3価以上の多価カルボン酸
あるいは多価アルコールの具体例としては、トリメリッ
ト酸、ピロメリット酸およびこれらの無水物等の多価カ
ルボン酸、トリメチロールプロパン、トリメチロールエ
タン、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトー
ル等の多価アルコールが挙げられる。中でも、フィルム
製膜時の熱安定性や重縮合時の反応性等の点からトリメ
チロールプロパン、トリメリット酸、ペンタエリスリト
ールが好ましい。 【0014】上記にようなポリエステル樹脂(A)とと
もに使用される別のポリエステル樹脂(B)は、芳香族
ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体を主成分と
する酸成分とエチレングリコールおよび/またはブタン
ジオールを主成分とするアルコール成分から構成され
る。ポリエステル樹脂(B)を構成する酸成分は、テレ
フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−1,4−もしく
は−2,6−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸また
はこれらのジアルキルエステルやジアリールエステル等
のエステル形成誘導体を主成分とするものであり、好ま
しくは全酸成分中にこれら芳香族ジカルボン酸成分を7
0モル%以上含有し、さらに好ましくは80モル%以上
である。これは、芳香族ジカルボン酸またはそのエステ
ル形成誘導体を酸成分の主成分とすることによって、フ
ィルムへの製膜性に優れるとともに、樹脂のガラス転移
温度を低下させることがないためである。 【0015】また、本発明において使用できる芳香族ジ
カルボン酸以外の酸成分としては、グルタル酸、アジピ
ン酸、セバシン酸、アゼライン酸、シュウ酸、コハク酸
等の脂肪族ジカルボン酸あるいはこれらのエステル形成
誘導体等が挙げられる。これらの中で、脂肪族ジカルボ
ン酸あるいはそのエステル形成誘導体は、ポリエステル
樹脂の全酸成分中に20モル%未満、好ましくは15モ
ル%未満の範囲で含有させることができる。これは、こ
れら脂肪族ジカルボン酸成分が20モル%以上含有され
ると、ポリエステルフィルムの機械的強度の低下をまね
く恐れがあるためである。 【0016】本発明において、ポリエステル樹脂(B)
を構成するアルコール成分としては、エチレングリコー
ルおよび/またはブタンジオールを主成分とするもので
あり、具体的には全アルコール成分中にエチレングリコ
ールおよび/またはブタンジオールを50モル%以上含
有したものであり、好ましくは70モル%以上である。
これは、エチレングリコールおよび/またはブタンジオ
ールの含有量が50モル%未満であると、樹脂を製造す
る際に重合反応性が低下する傾向にあり、目的とする重
合度の樹脂を得ることができない場合があるためであ
る。 【0017】また、本発明において使用できる他のアル
コール成分としては、シクロヘキサンジメタノールおよ
びビスフェノール化合物またはその誘導体のエチレンオ
キサイド付加物、プロピレングリコール、トリエチレン
グリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリ
コール等の他のアルコール成分を、本発明の効果を損ね
ない範囲、例えば、20モル%以下の範囲で使用するこ
ともできる。 【0018】さらに、ポリエステル樹脂(B)の構成成
分としてポリエチレングリコールまたはポリオキシテト
ラメチレングリコールの少なくとも1種を含有させるこ
とにより、熱収縮性フィルムの収縮ムラの低減により優
れた効果をもたらすものである。これらポリエチレング
リコールあるいはポリオキシテトラメチレングリコール
は、ポリエステル樹脂(B)中に10重量%以上の範囲
で含有される。これは、ポリエチレングリコールあるい
はポリオキシテトラメチレングリコールの含有量が10
重量%未満では収縮ムラの低減効果が少ないためであ
る。さらに、40重量%を超えるような範囲であると、
ポリエステル樹脂の融点やガラス転移温度が低くなる傾
向にあり、ポリエステル樹脂の取扱い等の問題をまねく
傾向にあり、好ましくは15〜40重量%の範囲であ
る。使用されるポリエチレングリコールとしては、数平
均分子量が1000〜60000の範囲のものが好まし
く、ポリオキシテトラメチレングリコールとしては、数
平均分子量が1000〜3000の範囲のものが好まし
い。これは、これら未満の数平均分子量のものは収縮ム
ラの低減効果示さず、逆に、これらを超える数平均分子
量ではポリエステル樹脂との相溶性が悪く好ましくない
ためである。 【0019】さらに、ポリエステル樹脂(B)において
は、急激な収縮を抑制し、収縮ムラをより低減させる目
的で、3価以上の多価カルボン酸あるいは多価アルコー
ルを使用することもできる。3価以上の多価カルボン酸
あるいは多価アルコールの具体例としては、トリメリッ
ト酸、ピロメリット酸およびこれらの無水物等の多価カ
ルボン酸、トリメチロールプロパン、トリメチロールエ
タン、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトー
ル等の多価アルコールが挙げられる。中でも、フィルム
成膜時の熱安定性や重縮合時の反応性等の点からトリメ
チロールプロパン、トリメリット酸、ペンタエリスリト
ールが好ましい。 【0020】本発明のポリエステル樹脂(A)およびポ
リエステル樹脂(B)は、公知の直接重合法やエステル
交換法等により製造することができ、その重合度は特に
制限されるものではないが、フィルム原反の成形性か
ら、固有粘度(フェノール/テトラクロロエタン等重量
混合溶液中で25℃にて測定)が0.5〜1.2のもの
が好ましい。 【0021】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム
は、このようなポリエステル樹脂(A)とポリエステル
樹脂(B)とを混合してなるポリエステル樹脂組成物か
ら得られるものである。これらポリエステル樹脂(A)
およびポリエステル樹脂(B)とは、ポリエステル樹脂
(B)を構成するポリエチレングリコールおよび/また
はポリオキシテトラメチレングリコールの含有量が樹脂
組成物中に1重量%以上となるような割合で配合される
が、ポリエステル樹脂(A)50〜95重量%とポリエ
ステル樹脂(B)5〜50重量%との範囲で配合するこ
とが好ましい。これは、樹脂組成物中でのポリエチレン
グリコールおよび/またはポリオキシテトラメチレング
リコールの含有量が1重量%未満では、収縮ムラの低減
効果が少ないためである。また、10重量%を超えるよ
うな範囲であると、ポリエステル樹脂の融点やガラス転
移温度が低くなる傾向にあり、フィルム製膜性の低下を
招く傾向にあるためであり、好ましくは1〜10重量%
の範囲である。 【0022】本発明においては、上記のようなポリエス
テル樹脂混合物とともに、次の一般式(1)で示される
スルホン酸のアルカリ金属塩を配合することが、フィル
ムへの優れた帯電防止性を付与するうえで重要である。 【0023】 【化3】R−SO3M ・・・ (1) (式中、Rは炭素数11〜30のアルキル基あるいはア
ルキルベンゼン基を示し、Mはアルカリ金属を示す。)
このようなスルホン酸のアルカリ金属塩としては、炭素
数が11〜30の範囲のものであり、例えば、テトラデ
シルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウム、テトラデシルスルホン酸カリウム、ドデ
シルベンゼンスルホン酸カリウム、アルキルナフタレン
スルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸
カリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、α−
オレフィンスルホン酸カリウム等が挙げられ、これらを
単独あるいは2種以上を組合せて使用することができ
る。中でも、テトラデシルスルホン酸ナトリウム、ドデ
シルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。これら
スルホン酸のアルカリ金属塩の含有量は0.01〜5重
量%であり、好ましくは0.05〜4重量%の範囲であ
る。これは、スルホン酸のアルカリ金属塩が0.01重
量%未満では帯電防止性の効果が不十分であり、逆に5
重量%を超えると重合反応を阻害するおそれがあるため
である。 【0024】得られたポリエステル樹脂(A)、ポリエ
ステル樹脂(B)およびスルホン酸のアルカリ金属塩の
混合物は、例えば以下の方法によって熱収縮性ポリエス
テルフィルムに成形される。先ずポリエステル樹脂を乾
燥させた後、溶融し、ダイから溶融押出し、キャスト法
またはカレンダー法等で原反フィルムを形成する。次い
で、この原反フィルムを該ポリエステル樹脂のガラス転
移温度(Tg)より3℃以上高い温度、好ましくは5℃
以上高い温度で縦方向あるいは横方向に1.5〜5.0
倍、好ましくは1.0〜4.8倍に延伸し、高い収縮率
をフィルムに付与する。さらに、必要に応じて前記延伸
方向と直角方向に1.0〜1.8倍、好ましくは1.0
〜1.5倍に延伸する。これは、フィルムの引張強度を
向上させ、前記延伸方向の収縮を必要以上に収縮させな
いために有効である。 【0025】フィルムの延伸は、同時二軸延伸、逐次二
軸延伸、一軸延伸等の方法により行われ、縦方向の延伸
と横方向の延伸はどちらを先に延伸してもよい。延伸さ
れた熱収縮性ポリエステルフィルムは、そのまま製品と
して使用することも可能であるが、寸法安定性などの点
から50〜150℃の温度で、数秒から数十秒の熱処理
を行ってもよい。このような熱処理を行うことにより、
本発明のポリエステルフィルムの収縮方向の収縮率の調
整、未収縮フィルムの保存時の経時収縮の減少、収縮斑
の減少などの好ましい性質を発現させることができる。 【0026】このようにして得られた本発明の熱収縮性
ポリエステル系フィルムは、その帯電特性として、温度
20℃、湿度65%の条件下での厚さ40μmのフィル
ムでの表面抵抗値が1×1015Ω以下であることが好ま
しい。また、厚さ40μmのフィルムのヘーズが10以
下である透明性を有することが好ましい。また、120
℃の熱風中で無加重で1分間収縮させたときの収縮率が
10%以上であり、150℃の熱風中で無加重で1分間
収縮させたときの収縮率が30%以上であることが好ま
しい。 【0027】本発明の熱収縮性ポリエステルフィルムの
厚さは特に限定されるものではないが、1〜600μm
の範囲のものが実用的には使われる。包装用途、特に食
品、飲料、医薬品等の包装においては、6〜380μm
の範囲のものが用いられる。またPETボトル、ポリエ
チレンボトル、ガラス瓶等のラベルに用いられる場合
は、20〜70μmの範囲のものが用いられる。 【0028】本発明に、さらに特定の性能を付与するた
めに従来公知の各種の加工処理、適当な添加剤を配合す
ることができる。加工処理の例としては、紫外線、α
線、β線、γ線あるいは電子線等の照射、コロナ処理、
プラズマ照射処理、火炎処理等の処理、塩化ビニリデ
ン、ポリビニルアルコ−ル、ポリアミド、ポリオレフィ
ン等の樹脂の塗布、ラミネ−ト、あるいは金属の蒸着等
が挙げられる。添加剤の例としては、ポリアミド、ポリ
オレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネ
ート等の樹脂、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシ
ウム等の無機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の
顔料、紫外線吸収剤、離型剤、難燃剤等が挙げられる。 【0029】 【実施例】以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明
する。収縮率は、延伸方向に150mm、その直角方向
に20mmの大きさに切り出したポリエステルフィルム
に、標線を間隔100mmに設けて120℃および15
0℃の各熱風中にて無荷重で1分間放置した際に、フィ
ルムの延伸方向について、収縮前の長さ(L)と収縮後
の長さ(L’)を測定し次式により求めた。 【0030】 【数1】収縮率(%)={(L−L’)/L}×100 熱収ムラは、延伸方向に150mm、その直角方向に2
0mmの大きさに切り出したポリエステルフィルムを、
120℃の熱風中にて無荷重で1分間加熱収縮させた
後、フィルムへの収縮ムラの発生を外観上で、 ○:殆ど収縮ムラの発生が見られなかったもの △:少し収縮ムラが発生したもの ×:収縮ムラの著しかったもの の3段階で評価した。 【0031】表面抵抗値は、厚さ40μmのポリエステ
ルフィルムを乾燥機中で24時間乾燥した後、温度20
%、湿度65%RHの環境下で4時間放置し、ADVA
NTEST R8340A微少電流計とADVANTE
ST R12704レジスティビティチャンバーを用い
て、印加電圧を1000Vとして測定した。 【0032】へーズは、ヘーズメーター(東京電色社製
モデルTC−H3)を用いて測定した。なお、ビスフェ
ノールAエチレンオキサイド付加物としては、ビスフェ
ノールAの両末端にエチレンオキサイドが1分子ずつ付
加したものを使用した。 【0033】ポリエステル樹脂A−1 ナフタレンジカルボン酸ジメチル82モル部、イソフタ
ル酸ジメチル15モル部、セバシン酸ジメチル3モル
部、エチレングリコール240モル部を反応容器に入
れ、エステル交換触媒として酢酸マグネシウムを全酸成
分に対して400ppm添加し、エステル交換反応を十
分に行った。次いで、安定剤としてトリメチルフォスフ
ェートを全酸成分に対して250ppm、重合触媒とし
て三酸化アンチモンを全酸成分に対して400ppm添
加し、反応容器内の温度を280℃に保持して、5mm
Hg以下の減圧下で3時間重縮合反応を行いポリエステ
ル樹脂A−1を得た。 【0034】ポリエステル樹脂A−2 ナフタレンジカルボン酸ジメチル82モル部、イソフタ
ル酸ジメチル12モル部、アジピン酸ジメチル6モル
部、エチレングリコール240モル部を反応容器に入
れ、エステル交換触媒として酢酸亜鉛を全酸成分に対し
て400ppm添加し、エステル交換反応を十分に行っ
た。次いで、安定剤としてトリメチルフォスフェートを
全酸成分に対して250ppm、重合触媒として三酸化
アンチモンを全酸成分に対して500ppm添加し、反
応容器内の温度を280℃に保持して、5mmHg以下
の減圧下で4時間重縮合反応を行いポリエステル樹脂A
−2を得た。 【0035】ポリエステル樹脂A−3 ナフタレンジカルボン酸ジメチル70モル部、イソフタ
ル酸ジメチル25モル部、アジピン酸ジメチル5モル
部、エチレングリコール200モル部を反応容器に入
れ、エステル交換触媒として酢酸マンガンを全酸成分に
対して400ppm添加し、エステル交換反応を十分に
行った。次いで、安定剤としてトリメチルフォスフェー
トを全酸成分に対して300ppm、重合触媒として三
酸化アンチモンを全酸成分に対して300ppm添加
し、反応容器内の温度を280℃に保持して、5mmH
g以下の減圧下で4時間重縮合反応を行いポリエステル
樹脂A−3を得た。 【0036】ポリエステル樹脂A−4 ナフタレンジカルボン酸ジメチル90モル部、イソフタ
ル酸ジメチル10モル部、エチレングリコール240モ
ル部を反応容器に入れ、エステル交換触媒として酢酸マ
グネシウムを全酸成分に対して400ppm添加し、エ
ステル交換反応を十分に行った。次いで、安定剤として
トリメチルフォスフェートを全酸成分に対して300p
pm、重合触媒として三酸化アンチモンを全酸成分に対
して500ppm添加し、反応容器内の温度を280℃
に保持して、5mmHg以下の減圧下で3時間重縮合反
応を行いポリエステル樹脂A−4を得た。 【0037】ポリエステル樹脂A−5 ナフタレンジカルボン酸ジメチル100モル部、エチレ
ングリコール200モル部、ビスフェノールAエチレン
オキサイド付加物20モル部、トリメチロールプロパン
0.3モル部を反応容器に入れ、エステル交換触媒とし
て酢酸亜鉛を全酸成分に対して350ppm添加し、エ
ステル交換反応を十分に行った。次いで、安定剤として
トリメチルフォスフェートを全酸成分に対して300p
pm、重合触媒として三酸化アンチモンを全酸成分に対
して500ppmを添加し、反応容器内の温度を280
℃に保持して、5mmHg以下の減圧下で4時間重縮合
反応を行いポリエステル樹脂A−5を得た。 【0038】ポリエステル樹脂B−1 ナフタレンジカルボン酸ジメチル82モル部、イソフタ
ル酸ジメチル15モル部、セバシン酸ジメチル3モル
部、エチレングリコール239モル部、トリメチロール
プロパン1モル部、ポリエチレングリコール(数平均分
子量4000)20重量%を反応容器に入れ、窒素加圧
下でエステル化反応を十分に行った。次いで、安定剤と
してトリメチルフォスフェートを全酸成分に対して35
0ppm、重合触媒として三酸化アンチモンを全酸成分
に対して400ppm添加し、反応容器内の温度を26
0℃に保持して、5mmHg以下の減圧下で3時間重縮
合反応を行いポリエステル樹脂B−1を得た。 【0039】ポリエステル樹脂B−2 テレフタル酸98モル部、トリメリット酸2モル部、エ
チレングリコール120モル部、ビスフェノールAエチ
レンオキサイド付加物20モル部、ポオキシテトラメエ
チレングリコール(数平均分子量1000)30重量%
を反応容器に入れ、窒素加圧下でエステル化反応を十分
に行った。次いで、安定剤としてトリメチルフォスフェ
ートを全酸成分に対して100ppm、重合触媒として
三酸化アンチモンを全酸成分に対して500ppm添加
し、反応容器内の温度を260℃に保持して、5mmH
g以下の減圧下で4時間重縮合反応を行いポリエステル
樹脂B−2を得た。 【0040】ポリエステル樹脂B−3 テレフタル酸ジメチル100モル部、エチレングリコー
ル200モル部、シクロヘキサンジメタノール35モル
部、トリメチロールプロパン3モル部、ポリエチレング
リコール(数平均分子量2000)20重量%を反応容
器に入れ、エステル交換触媒として酢酸マンガンを全酸
成分に対して400ppm添加し、エステル交換反応を
十分に行った。次いで、安定剤としてトリメチルフォス
フェートを全酸成分に対して300ppm、重合触媒と
して三酸化アンチモンを全酸成分に対して300ppm
添加し、反応容器内の温度を260℃に保持して、5m
mHg以下の減圧下で3時間重縮合反応を行いポリエス
テル樹脂B−3を得た。 【0041】ポリエステル樹脂B−4 ナフタレンジカルボン酸ジメチル100モル部、ブタン
ジオール140モル部、ポリエチレングリコール(数平
均分子量2000)20重量%を反応容器に入れ、エス
テル交換触媒としてチタンテトラブトオキシドを全酸成
分に対して400ppm添加し、エステル交換反応を十
分に行った。次いで、反応容器内の温度を260℃に保
持して、5mmHg以下の減圧下で3時間重縮合反応を
行いポリエステル樹脂B−4を得た。 【0042】実施例1〜4 表1に示したポリエステル樹脂A、ポリエステル樹脂B
およびスルホン酸のアルカリ金属塩を、表1に示した重
量割合で十分に混合した後、270℃の樹脂温度でTダ
イより溶融押出して、原反フィルムを作成した。この原
反フィルムを、100℃で延伸方向に4.5倍の一軸延
伸を行い、厚さ40μmの熱収縮性ポリエステルフィル
ムを得た。得られたフィルムの収縮率、ヘーズおよび表
面抵抗値の測定結果、収縮ムラの評価結果を表1に示し
た。いずれの熱収縮性ポリエステルフィルムも、高温で
の収縮特性および帯電防止性に優れていた。 【0043】比較例1 ポリエステル樹脂A−1を、270℃の樹脂温度でTダ
イより溶融押出して、原反フィルムを作成した。この原
反フィルムを、100℃で延伸方向に4.5倍の一軸延
伸を行い、厚さ40μmの熱収縮性ポリエステルフィル
ムを得た。得られたフィルムの収縮率、ヘーズおよび表
面抵抗値の測定結果、収縮ムラの評価結果を表1に示し
た。 【0044】比較例2 ポリエステル樹脂A−4を、270℃の樹脂温度でTダ
イより溶融押出して、原反フィルムを作成した。この原
反フィルムを、100℃で延伸方向に4.5倍の一軸延
伸を行い、厚さ40μmの熱収縮性ポリエステルフィル
ムを得た。得られたフィルムの収縮率、ヘーズおよび表
面抵抗値の測定結果、収縮ムラの評価結果を表1に示し
た。 【0045】比較例3 ポリエステル樹脂Aー5およびスルホン酸のアルカリ金
属塩(DBS:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム、TDS:テトラデシルスルホン酸ナトリウム、R
S:ラウリルスルホン酸ナトリウム)を、表1に示した
重量割合で十分に混合した後、270℃の樹脂温度でT
ダイより溶融押出して、原反フィルムを作成した。この
原反フィルムを、100℃で延伸方向に4.5倍の一軸
延伸を行い、厚さ40μmの熱収縮性ポリエステルフィ
ルムを得た。得られたフィルムの収縮率、ヘーズおよび
表面抵抗値の測定結果、収縮ムラの評価結果を表1に示
した。 【0046】 【表1】 【0047】 【発明の効果】本発明の熱収縮性ポリエステルフィルム
は、比較的高温においても高い熱収縮率を有するととも
に、ボトル等の容器への収縮密着性に優れ、収縮ムラの
ない収縮被覆を行えるとともに、フィルムの透明性を損
なうことなく優れた帯電防止性を有し、各種包装材料と
して実用性に優れたものであり、特に、ガラス製ボトル
用の熱収縮ラベルとして好適である。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ナフタレンジカルボン酸またはそのエス
テル形成誘導体を主成分とする酸成分とエチレングリコ
ールを主成分とするアルコール成分からなるポリエステ
ル樹脂(A)と、芳香族ジカルボン酸またはそのエステ
ル形成誘導体を主成分とする酸成分とエチレングリコー
ルおよび/またはブタンジオールを主成分とするアルコ
ール成分からなり、数平均分子量1000〜8000の
ポリエチレングリコールおよび/または数平均分子量1
000〜3000のポリオキシテトラメチレングリコー
ルを10重量%以上含有するポリエステル樹脂(B)
と、次の一般式(1)で示されるスルホン酸のアルカリ
金属塩0.01〜5重量%とからなり、ポリエチレング
リコールおよび/またはポリオキシテトタメチレングリ
コールが樹脂の合計量中に1重量%以上含有されるよう
にポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)と
が混合されていることを特徴とする熱収縮性ポリエステ
ルフィルム。 【化1】R−SO3M ・・・ (1) (式中、Rは炭素数11〜30のアルキル基あるいはア
ルキルベンゼン基を示し、Mはアルカリ金属を示す。)
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-
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- 1994-07-21 JP JP16976994A patent/JP3410825B2/ja not_active Expired - Fee Related
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