JP3493190B2

JP3493190B2 - 重荷重用空気入りタイヤ

Info

Publication number: JP3493190B2
Application number: JP2001317058A
Authority: JP
Inventors: 光晴小矢
Original assignee: Sumitomo Rubber Industries Ltd
Current assignee: Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date: 2001-10-15
Filing date: 2001-10-15
Publication date: 2004-02-03
Anticipated expiration: 2021-10-15
Also published as: JP2003118320A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、雪上、氷上性能を
ともに向上させ、かつ耐偏摩耗性能に優れることによ
り、スタッドレス空気入りタイヤとして好適に採用しう
る重荷重用空気入りタイヤに関する。

【０００２】

【従来の技術】冬用タイヤ、スノータイヤ、スタッドレ
スタイヤ等にあっては、トレッド面を、縦溝及び横溝に
より区画したブロックからなるブロックパターンに形成
し、その溝内に噛込まれかつ踏み固められた雪柱の剪断
力、即ち雪柱に作用させうる剪断反力によって雪上での
走行性能を高めている。

【０００３】他方、氷上性能については、主として、ト
レッド部を軟らかいゴム材で形成することによる氷路面
との粘着摩擦力の向上と、ブロックに形成するサイピン
グとによって高めうる。

【０００４】これは、一般に０℃から−１５℃付近の氷
路面上では、タイヤの接地圧により氷面上の氷が溶ける
ことによる水膜が、タイヤトレッド面と氷面との間に介
在してその水がタイヤを滑らせるが、トレッド面に施さ
れた前記サイピングは、接地面内で開閉することによ
り、その水をサイピング内に吸収して水膜を破るととも
に、サイピングのエッジが氷路面をひっかき、路面摩擦
係数を向上するエッジ効果によって氷面上のグリップを
向上させる。また、氷上での耐横滑り性能について、例
えば特開平７−２０５６１７号公報は、タイヤ周方向に
のびるサイピングを用いることを提案している。

【０００５】一方、一般に、サイピングはその溝容積が
少なく、サイピングの壁面が通常、又は接地時において
接触するため、サイピングのエッジ部の動きが少なく、
タイヤの摩耗寿命、耐偏摩耗性能に及ぼす悪影響は少な
いと言われている。

【０００６】しかしながら、高荷重で使用される重荷重
用空気入りタイヤにあっては、トレッド接地面に加わる
高い荷重、及びそれに伴うブロックの激しい動きによ
り、サイピングの数を多くし、深さを増大させること
は、氷上走行性能を高める反面、偏摩耗、トレッドの一
部が欠けるクラックの発生原因となる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】重荷重用空気入りタイ
ヤにおいて、これらの損傷を防止するためには、初期で
のサイピングの深さ、又は長さを減じることも考えられ
るが、そのとき摩耗中期から後期のサイピングの効果が
なくなり、また、ブロックの動きが抑制されるため、氷
上の横滑り性能も低下する。また各ブロックを小さく、
そして数を多くすることにより、雪上性能及び氷上性能
の向上を図ることもできるが、同時に偏摩耗やブロック
欠けを生じやすくなる。

【０００８】本発明は、偏摩耗、クラックの発生を抑制
しつつ、氷上のグリップ性能を高め氷雪走行性能を向上
しうる重荷重用空気入りタイヤの提供を目的としてい
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明のうち請求項１に
係る発明は、トレッド面を、周方向に連続してのびる複
数の縦溝Ｇと、この縦溝間を横切る複数の横溝ｇとによ
り区分されるブロックＢが周方向に隔設される複数列の
ブロック列ＢＲを有し、前記ブロック列ＢＲには、ブロ
ックＢに、Ｖ字の突端ａがタイヤ周方向に向き、かつ巾
方向に連続して両端が前記縦溝Ｇに開口するＶ字状サイ
ピングＳａを有するＶ字サイプブロックＢａが周方向に
並ぶＶ字サイプブロック列ＢＲａを含み、かつタイヤ軸
方向に隣り合うＶ字サイプブロック列ＢＲａにおいて該
Ｖ字の突端ａの周方向の向きを異ならせるとともに、周
方向に隣り合う前記Ｖ字サイプブロックＢａ間には、上
面がトレッド面よりも沈みしかも少なくとも一方のタイ
ヤ軸方向端部が面する縦溝Ｇの溝底面よりも高い上面を
有する連結部Ｃを設けることにより前記Ｖ字サイプブロ
ックＢａ、Ｂａ間を継ぐとともに、前記連結部Ｃは、前
記横溝ｇの溝巾が異なることにより周方向長さＬＣが異
なり、かつタイヤ軸方向の巾ＷＣも異なる複数種類の連
結部Ｃを含むことを特徴とする。

【００１０】請求項２に係る発明は、連結部Ｃが、周方
向長さＬＣがＳ周方向長さＬＣ１の第１の連結部Ｃ１
と、前記周方向長さＬＣ１よりも長い周方向長さＬＣ２
の第２の連結部Ｃ２とを含み、かつ第２の連結部Ｃ２の
巾ＷＣ２は、第１の連結部Ｃ２の巾ＷＣ１よりも大とす
るとともに、前記Ｖ字サイプブロックＢａの周方向長さ
ＬＢ、巾ＷＢよりはいずれも小であることを特徴として
いる。

【００１１】請求項３に係る発明は、前記連結部Ｃが、
周方向長さＬＣが周方向長さＬＣ１の第１の連結部Ｃ１
と、前記周方向長さＬＣ１よりも長い周方向長さＬＣ２
の第２の連結部Ｃ２との２種類からなり、かつタイヤ周
方向に交互に配しており、かつ請求項４に係る発明は、
縦溝Ｇが、溝巾が４．０mmより大かつ２０．０mm以下の
主縦溝Ｇｍと、２．０mm以上かつ４．０mm以下の溝巾の
副縦溝Ｇｓとからなり、かつ前記連結部Ｃの前記主縦溝
Ｇｍの溝底からの高さＨＣと、前記主縦溝Ｇｍの深さＨ
Ｇｍとの比ＨＣ／ＨＧｍを、０．５０以上かつ０．７８
以下としたことを特徴とする。

【００１２】また請求項５に係る発明は、Ｖ字サイプブ
ロックＢａの周方向長さＬＢに対する第１の連結部Ｃ１
の周方向長さＬＣ１の比ＬＣ１／ＬＢを０．０８〜０．
２０、第２連結部Ｃ２の周方向長さＬＣ２の比ＬＣ２／
ＬＢを０．３５〜０．４５としたことを特徴とし、かつ
請求項６の発明は連結部Ｃの巾ＷＣを、Ｖ字サイプブロ
ックＢａの巾ＷＢの０．６０〜０．７０の範囲としてい
る。

【００１３】さらに、請求項７に係る発明は、Ｖ字サイ
プブロックＢａが、タイヤ周方向の一方端面が前記Ｖ字
状サイピングＳａの形状に合わせたＶ字壁面を具えると
ともに、その突端ａから周方向に延びかつＶ字状サイピ
ングＳａに交わりことなく途切れる周方向サイピングＳ
ｃを有することを特徴とし、請求項８の発明は、前記副
縦溝Ｇｓが、その溝底が、前記連結部よりも半径方向上
方にあること、請求項９の発明は、その溝底が、前記連
結部よりも半径方向下方にあることを特徴とする。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下本発明の実施の一形態を図面
に基づき説明する。図１は、重荷重用空気入りタイヤ１
（以下タイヤ１という）が、例えば、タイヤサイズが１
１Ｒ２２．５の冬用タイヤであり、正規リムＲに組み込
まれ正規内圧を充填した状態した標準状態でのタイヤ子
午線断面における赤道面ＥＰの右半分を示している。

【００１５】本明細書において、「正規リム」とは、Ｊ
ＡＴＭＡで規定する標準リム、ＴＲＡで規定する ”Ｄ
ｅｓｉｇｎＲｉｍ” 、或いはＥＴＲＴＯで規定する
”ＭｅａｓｕｒｉｎｇＲｉｍ” のいずれかに従っ
て定め、また「正規内圧」とは、ＪＡＴＭＡで規定する
最高空気圧、ＴＲＡの表 ”ＴＩＲＥＬＯＡＤＬＩＭ
ＩＴＳＡＴＶＡＲＩＯＵＳＣＯＬＤＩＮＦＬＡ
ＴＩＯＮＰＲＥＳＳＵＲＥＳ” に記載の最大値、或い
はＥＴＲＴＯで規定する”ＩＮＦＬＡＴＩＯＮＰＲＥ
ＳＳＵＲＥ” のいずれかに従って定められる。

【００１６】タイヤ１は、ビードコア２が通る両側のビ
ード部３と、各ビード部３からタイヤ半径方向外向きに
のびるサイドウォール部４と、その上端間を継ぐトレッ
ド部５とを具え、前記ビード部３、３間にカーカス６が
架け渡されるとともに、このカーカス６のタイヤ半径方
向外側かつトレッド部５の内方にはベルト層７が周方向
に巻装される。

【００１７】前記カーカス６は、カーカスコードをタイ
ヤ赤道ＥＰに対して７０〜９０°の角度で配列した１枚
以上のカーカスプライから形成され、このカーカスプラ
イは、前記トレッド部５からサイドウォール部４をへて
ビード部３のビードコア２の廻りで内側かつ外側に折返
されて係止されることにより前記のごとく、カーカス６
がビード部３，３間に架け渡される。カーカスプライの
カーカスコードとして、ナイロン、ポリエステル、レー
ヨン、芳香族ポリアミド繊維等からなる有機繊維コード
も用いうるが、本例では、スチールのカーカスコードを
タイヤ赤道ＥＰに対して略９０°の角度で配列した１枚
のカーカスプライによって形成している。

【００１８】前記ベルト層７は、本例では、スチールの
ベルトコードをタイヤ赤道ＥＰに対して、例えば４０°
から７０°程度のコード角度で傾けたタイヤ半径方向最
内層となる第１ベルトプライ７Ａと、タイヤ赤道面ＥＰ
に対してベルトコードを１０°から３０°の小なコード
角度で傾けた第２〜第４のベルトプライ７Ｂ、７Ｃ、７
Ｄとの複数枚のベルトプライを用いている。

【００１９】又前記トレッド部５の外表面をなすトレッ
ド面５Ｓには、図２に示すように、周方向に連続しての
びる複数本の縦溝Ｇと、この縦溝Ｇ間を横切ることによ
りこの縦溝Ｇ間を複数のブロックＢに区分する複数本の
横溝ｇにより形成されるブロックＢが周方向に連なる複
数本のブロック列ＢＲが配置される。

【００２０】本例において、縦溝Ｇは、平均の溝巾ＷＧ
ｍが４．０mm以上かつ２０．０mm以下の主縦溝Ｇｍと、
平均の溝巾ＷＧｓが溝巾ＷＧｍよりも小であって、通常
４．０mm未満かつ２．０mm以上の副縦溝Ｇｓとを含みう
る。

【００２１】前記主縦溝Ｇｍは、本形態では、タイヤ赤
道面に沿って延びる第１の主縦溝Ｇｍ１と、タイヤ赤道
面ＥＰとトレッド縁との間の領域の４０〜６０％をタイ
ヤ赤道面ＥＰから隔て、本例ではその領域をほぼ二等分
する位置に配される左右２本の第２の主縦溝Ｇｍ２、Ｇ
ｍ２とからなり、また副縦溝Ｇｓは、主縦溝Ｇｍ１、主
縦溝Ｇｍ２のタイヤ軸方向ほぼ中間位置（両溝Ｇｍ１、
Ｇｍ２の間の４０〜６０％を、一方の溝から隔てる領
域）を通る。またトレッド縁の近傍を通る短冊状の細溝
Ｇｋを包含している。

【００２２】これにより、主縦溝Ｇｍ１と副縦溝Ｇｓと
の間、副縦溝Ｇｓと主縦溝Ｇｍ２との間には、前記横溝
ｇにより区分されたブロックＢが並ぶブロック列ＢＲを
形成している。また主縦溝Ｇｍ２のタイヤ軸方向外側に
は、前記第２の副縦溝Ｇｋにより分割された巾狭の分割
ブロックＢｄを有するリブ状列ＲＬをトレッド縁側に形
成している。

【００２３】本形態では、このように、トレッド面５Ｓ
には、タイヤ赤道ＥＰの両側に対称となる主縦溝Ｇｍ１
と副縦溝Ｇｓとの間のブロック列ＢＲ１、ＢＲ１と、そ
のタイヤ軸方向外側に配され副縦溝Ｇｓと主縦溝Ｇｍ２
との間のブロック列ＢＲ２、ＢＲ２との合計４列のブロ
ック列ＢＲ、及びトレッド縁側のリブ状列ＲＬとが形成
され、かつこのリブ状列ＲＬも、トレッド縁からのびる
ラグ溝Ｇｒ１と主縦溝Ｇｍ２からのびるラグ状溝Ｇｒ２
が周方向に交互に入りこみ、かつサイプにより区分され
るブロック列状をなす。

【００２４】主縦溝Ｇｍと副縦溝Ｇｓをタイヤ軸方向に
交互に配することにより、すべての縦溝Ｇを巾の広い主
縦溝Ｇｍで構成することによる摩耗寿命の低下を防止す
るとともに、摩耗寿命を低下させにくい巾の狭い副縦溝
Ｇｓによって、大きい横剛性の横長のブロックによりタ
イヤ軸方向に区分でき横剛性を高めるとともに、主縦溝
ＧｍはブロックＢによる氷上の横滑り防止性能を高める
ことができる。

【００２５】また副縦溝Ｇｓは巾が４．０mm未満である
ため、高荷重下の重荷重用空気入りタイヤに大きな横力
が加わった場合、ブロックＢ１とＢ２が互いに接触し、
過度の横変形を防止して、ブロック欠けや偏摩耗を防
ぐ。

【００２６】さらに、主縦溝Ｇｍと副縦溝Ｇｓによって
形成されるブロック列ＢＲは少なくとも４列とする。こ
れは４列未満では、タイヤ赤道ＥＰ両側のクラウン部に
おいて、横剛性について前記した作用を奏するのを困難
とする。

【００２７】前記ブロック列ＢＲ１、ＢＲ２のブロック
Ｂは、Ｖ字の突端ａがタイヤ周方向に向き、かつ巾方向
に連続して両端が前記縦溝Ｇに開口するＶ字状サイピン
グＳａが、該各ブロックＢの略周方向中央位置（中央か
らブロック周長さＬＢの１／４を隔ている範囲内）に形
成されるＶ字サイプブロックＢａを構成している。従っ
て、前記ブロック列ＢＲ１、ＢＲ２はこのＶ字サイプブ
ロックＢａが周方向に並ぶＶ字サイプブロック列ＢＲａ
を形成している。ブロック列ＢＲにはＶ字サイプブロッ
ク列ＢＲａでないブロック列を包含させることができ、
かつ２本以上の４本以下のＶ字状サイピングＳａを１つ
のブロックＢに設けることもできる。

【００２８】又Ｖ字サイプブロックＢａは、タイヤ周方
向の一方端面が前記Ｖ字状サイピングＳａの形状に合わ
せて周方向に突端ａが向く凸のＶ字端壁面を具えるとと
もに、他方端面は、Ｖ字状サイピングＳａの形状に合わ
せて、凹のＶ字端壁面を形成している。これにより、Ｖ
字状サイピングＳａを有するＶ字サイプブロックＢａは
平面矢筈状をなし、これによって、前記横溝ｇも前記
凹、凸のＶ字端壁面に合わせてＶ字に折れ曲がってい
る。なおＶ字サイプブロックＢａは、前記主縦溝Ｇｍに
向く側壁を中凸の小角度で折れ曲がるく字状とし、副縦
溝Ｇｓに向く側壁を周方向の直線状としている。

【００２９】さらにブロック列ＢＲａのＶ字状サイピン
グＳａの向きを、タイヤ軸方向に隣合う隣り合うＶ字サ
イプブロック列ＢＲａ、即ちブロック列ＢＲ１，ＢＲ２
・・において該Ｖ字の突端ａの周方向の向きを異ならせ
ている。これにより、複輪装着、タイヤローテンション
の関係から、方向性パターンを用いにくい重荷重用空気
入りタイヤにおいて、非方向性パターンとする。即ち本
形態においては、トレッドパターンはタイヤ赤道ＥＰ上
の点において点対称としている。なおＶ字状サイピング
Ｓａとすることによって氷上の水膜を効果的に破り、か
つＶ字の向きを異ならせることによって、いずれの向き
に回転する場合であっても、氷上の水膜を効果的に破通
して、氷上グリップを向上、安定させることができる。

【００３０】又図３に拡大して示すごとく、凸状のＶ字
端壁面の突端ａを起点として横溝ｇで開口し周方向に延
びかつＶ字状サイピングＳａに交わることなく途切れる
周方向サイピングＳｃが形成される。なお、周方向サイ
ピングＳｃの周方向長さＬＳｃは、ブロックＢの周方向
長さＬＢの約０．０５〜０．４５倍、好ましくは０．１
〜０．２５倍程度とする。

【００３１】氷上走行中に、ブロックＢに軸方向の力、
すなわちタイヤに横力が加わったとき、周方向サイピン
グＳｃが開き、エッジ効果及び周方向サイピングＳｃの
水膜破壊効果により、横滑りを抑制することができる。
また周方向サイピングＳｃの内端がＶ字状サイピングＳ
ａに開口しないことにより、ブロックＢの横剛性が低下
しすぎることを防止でき、横力によるブロック欠けを抑
制できる。また凸状のＶ字壁面の突端ａに周方向サイピ
ングＳｃを形成することにより、水膜破通効果を高めう
る。

【００３２】ブロックＢは、タイヤ軸方向に隣り合うブ
ロック列ＢＲのブロックＢにおいてタイヤ周方向に位相
をずらして配置し、各ブロック列ＢＲのブロックＢの略
周方向中央位置には、隣のブロック列ＢＲにおける横溝
ｇが配置され、これにより、タイヤ周方向でのトレッド
全体の曲げ剛性の小さい横溝ｇの部分がトレッド周方向
に分散されて偏摩耗を防止することができる。

【００３３】前記横溝ｇは、周方向長さ、即ち溝巾Ｗｇ
が異なる複数種類、本形態では溝巾Ｗｇ１の横溝ｇ１
と、前記溝巾Ｗｇ１よりも大きい溝巾Ｗｇ２の溝ｇ２と
を含み、かつ横溝ｇ１，ｇ２はタイヤ周方向に交互に配
置されるとともに、各横溝ｇ１，ｇ２には、周方向に隣
り合うＶ字サイプブロックＢａ、Ｂａを継ぐ連結部Ｃが
隆起形成される。

【００３４】横溝ｇ１，ｇ２の溝巾Ｗｇが、溝巾Ｗｇ
１，溝巾Ｗｇ２と異なることにより、本形態では連結部
Ｃは、溝巾Ｗｇ１が小の横溝ｇ１に配され、周方向長さ
ＬＣ１の第１の連結部Ｃ１と、横溝ｇ２に配され、周方
向長さＬＣ２が前記周方向長さＬＣ１よりも大きい第２
の連結部Ｃ２との２種類からなり、かつ第２の連結部Ｃ
２の巾ＷＣ２は、第１の連結部Ｃ２の巾ＷＣ１よりも大
としている。なお周方向長さＬＣ２，巾ＷＣ２は前記Ｖ
字サイプブロックＢａの周方向長さＬＢ、巾ＷＢよりは
いずれも小とし、かつ第１の連結部Ｃ１と、第２の連結
部Ｃ２とは周方向に交互に配される。また連結部Ｃはさ
らに多数種類とすることも、配置順序を変化することも
できる。

【００３５】この結果、第１の連結部Ｃ１の周方向長さ
ＬＣ１と、第２の連結部Ｃ２の周方向長さＬＣ２と、ブ
ロックＢの周方向長さＬＢは、ＬＢ＞ＬＣ２＞ＬＣ１の
関係にあり、第１の連結部Ｃ１の軸方向の巾ＷＣ１と、
第２の連結部Ｃ２の軸方向の巾ＷＣ２と、ブロックＢの
軸方向巾ＷＢは、ＷＢ＞ＷＣ２＞ＷＣ１の関係にある。

【００３６】このような連結部Ｃを各ブロックＢ間に配
置することにより、ブロックの周方向の動きを制御して
偏摩耗、特にブロックのタイヤ周方向の一端が早期に摩
耗して、タイヤを軸方向外方から見たとき鋸刃状になる
ヒールアンドトウ摩耗（以下Ｈ／Ｔ摩耗という）を防止
することができる。さらに、周方向長さ及び軸方向巾の
短い第１の連結部Ｃ１は、トレッド表面５Ｓに、タイヤ
半径方向の高荷重とともにタイヤ周方向の大きな制動力
または駆動力が加わったとき、ブロック間が接触して過
度の変位を防止することにより、偏摩耗やブロック欠け
を防止できる。周方向長さの大きい第２の連結部Ｃ２
は、横溝ｇの容積を保持して雪柱せん断力を確保する。

【００３７】また連結部Ｃは、本例では、前記横溝ｇの
巾Ｗｇのタイヤ軸方向中心を通る周方向線を中心として
対称巾をなし、かつ本形態では、図４に示すように、そ
の上面Ｃｓは、前記トレッド面５Ｓよりも沈み、かつ前
記主縦溝Ｇｍの溝底面よりも高く形成される。また本形
態では、連結部Ｃの主縦溝Ｇｍに向く側のタイヤ軸方向
端縁は、該主縦溝Ｇｍの溝底面に連なる下向きの側壁ｃ
ｗ１を形成する。他方、副縦溝Ｇｓに向く側のタイヤ軸
方向端部は、図３，４に示すように、この副縦溝Ｇｓの
溝底面が、前記連結部Ｃの上面Ｃａよりも半径方向上方
にあることによって、その端部は上向きの側壁ｃｗ２を
形成している。

【００３８】なお、主縦溝Ｇｍの深さＨＧｍに対する連
結部Ｃの上面Ｃｓまでの深さＨＣの比ＨＣ／ＨＧｍは、
０．５０以上かつ０．７８以下の範囲にあることが好ま
しい。０．５０未満では前記連結部の効果が発揮されに
くく、０．７８を越えるとブロックパターンとしての雪
上グリップ性能が低下する。さらに本形態では、前記副
縦溝Ｇｓの深さＨＧｓは、前記上面Ｃｓまでの深さＨＣ
の０．２〜０．７倍程度で副縦溝Ｇｓを浅くしている。
しかし後記するごとく、副縦溝Ｇｓの深さＨＧｓを連結
部Ｃの深さＨＣよりも大であって、主縦溝Ｇｍの深さＤ
Ｇｍの０．８〜０．４倍程度とし排水性を向上すること
もできる。

【００３９】前記のように、一方のタイヤ軸方向の端部
において副縦溝Ｇｓを連結部Ｃの上面Ｃａよりも浅くす
ることにより、比較的早い摩耗の中期以前にトレッド面
にその溝底面を露出させ、これによりタイヤ軸方向のエ
ッジ効果を補強してタイヤの横滑りを低減する。なお、
図６に示すように、副縦溝Ｇｓの溝底面を前記連結部Ｃ
の上面Ｃａよりも半径方向下方とすることもでき、排水
性を維持するようにも構成しうる。

【００４０】又連結部Ｃに関して、Ｖ字サイプブロック
Ｂａの周方向長さＬＢに対する第１の連結部Ｃ１の周方
向長さＬＣ１の比ＬＣ１／ＬＢを０．０８〜０．２０と
する。０．０８未満では、横溝の効果が発揮しえず、
０．２０を越えると、前記ブロック間の過度の変位の抑
制効果が発揮されにくい。第２の連結部Ｃ２の周方向長
さＬＣ２の比ＬＣ２／ＬＢを０．３５〜０．４５として
いる。０．３５未満では、雪上グリップのもとになる横
溝ｇ内の雪柱せん断力は減少し。０．４５を越えると摩
耗寿命の低下が大きくなりすぎる。又連結部Ｃの巾ＷＣ
（副縦溝Ｇｓの溝底面が、上面Ｃａの半径方向上方にあ
るときにも前記上面Ｃａの巾をいう）は、Ｖ字サイプブ
ロックＢａの巾ＷＢの０．６０〜０．７０の範囲とす
る。０．６０未満では、連結部の効果が発揮されにく
く、０．７０を越えると、横溝ｇの効果がでにくい。

【００４１】なおＶ字状サイピングＳａはその深さＨｓ
ａを、主縦溝深さＨＧｍの４０〜７０％の範囲としてサ
イピングとしての機能を発揮させるとともに、周方向サ
イピングＳｃは、その深さＨｓｃを、連結部深さＨＣの
６５〜７５％の範囲として欠損を防止するのがよく、ま
た本発明に係る自動二輪車用タイヤは、第１の連結部Ｃ
１の深さＤＣ１と第２の連結部Ｃ２の深さＤＣ２を異な
らせ、縦溝Ｇとして同幅のもののみを用い、また配列、
トレッドパターンとしてピッチバリエーションを採用す
るなど、種々な変形ができる。

【００４２】

【実施例】図１の構成を有するタイヤサイズ１１Ｒ２
２．５のタイヤを表１の仕様に基づき、各試供タイヤに
おける氷雪性能をテストし、これらを比較した。なおタ
イヤ構造は、表２に示す如く、各タイヤ共通である。テ
ストは、試供タイヤを８．２５×２２．５のリムにリム
組みし、内圧７００ｋＰａを充填し、積載量８ｔの２−
Ｄ車両の全輪に装着して、フル積載７８ｋＮで以下の評
価・測定を行った。実施例１〜６のタイヤとともに、比
較例１，２及び図７，図８に示す比較例３，４のタイヤ
についても評価・測定した。図７のタイヤはＶ字状サイ
ピングがなく、図８のタイヤはブロックが矢はず状では
なく、かつサイピングも直線状に形成されている。なお
比較例３，４において、各部の深さは実施例に準じた位
置の値である。

【００４３】＜氷上の横滑り量＞氷上発進時のドライブ
軸の横滑り量を前後、左右のＧ測定を行い、比較例１を
１００とする指数に換算することにより求めた。前後Ｇ
が大、左右Ｇが小、前後Ｇが小、左右Ｇが大であるとき
横すべり量が大となる。

【００４４】＜氷雪上制動性能＞制動テストと発進テス
トとを行い、制動テストとしては、氷雪路において、速
度３０ｋｍ／ｈからロック急制動をかけて制動距離を
測定し、比較例１を１００とする指数で表示している。
数値が小さいほど制動距離が短く氷雪制動性に優れる。

【００４５】＜氷雪上発進テスト＞氷雪路で車両を発進
させたり走行中に加速させ、その時のトラクション性能
をドライバーのフィーリングにより比較例１を１００と
する指数で表示している。数値が大きいほどトラクショ
ン性能に優れ発進性が良い。

【００４６】＜偏摩耗評価＞各タイヤで２０，０００km
を走行し、偏摩耗量として、ブロック間の段差、いわゆ
るヒールアンドトウ摩耗量を測定した。

【００４７】

【表１】

【００４８】

【表２】

【００４９】

【発明の効果】前述の如く本発明は構成しているため、
雪柱剪断力とエッジ効果とを大巾に向上でき、氷雪性能
を高め、また、偏摩耗やブロック欠けを有効に防止しう
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のタイヤを構成しうるタイヤの一例を示
す断面図である。

【図２】本発明の１実施の形態のトレッドパターンを例
示するトレッド面展開図である。

【図３】ブロック列の一部を示す平面図である。

【図４】タイヤ子午線断面図である。

【図５】ブロックを例示する斜視図である。

【図６】他のタイヤを例示する断面図である。

【図７】比較例タイヤのブロックパターンを右半分で示
す平面図である。

【図８】他の比較例タイヤのブロックパターンを右半分
で示す平面図である。

【符号の説明】

２ビードコア３ビード部４サイドウォール部５トレッド部６カーカス７ベルトＢブロックＢＲ，ＢＲ１，ＢＲ２ブロック列ＢａＶ字サイプブロックＢＲａＶ字サイプブロック列ｇ，ｇ１，ｇ２横溝Ｃ，Ｃ１，Ｃ２連結部ＳａＶ字状サイピングＳｃ周方向サイピングＧ縦溝Ｇｍ主縦溝Ｇｓ副縦溝ＬＢブロック周方向長さＬＣ１第１の連結部の周方向長さＬＣ２第２の連結部の周方向長さＷＢブロック巾ＷＣ１第１の連結部の巾ＷＣ２第２の連結部の巾ＷＧｍ主縦溝のタイヤ軸方向の巾ＷＧｓ副縦溝のタイヤ軸方向の巾ＨＧｍ主縦溝の深さＨＢｓ副縦溝の深さＨＣ連結部深さＨＳａＶ字状サイピングの深さＨＳｃ周方向サイピングの深さＬＳｃ周方向サイピングの周方向長さ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B60C 11/04 B60C 11/11 B60C 11/12

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】トレッド面を、周方向に連続してのびる複
数の縦溝Ｇと、この縦溝間を横切る複数の横溝ｇとによ
り区分されるブロックＢが周方向に隔設される複数列の
ブロック列ＢＲを有し、前記ブロック列ＢＲには、ブロックＢに、Ｖ字の突端ａ
がタイヤ周方向に向き、かつ巾方向に連続して両端が前
記縦溝Ｇに開口するＶ字状サイピングＳａを有するＶ字
サイプブロックＢａが周方向に並ぶＶ字サイプブロック
列ＢＲａを含み、かつタイヤ軸方向に隣り合うＶ字サイプブロック列ＢＲ
ａにおいて該Ｖ字の突端ａの周方向の向きを異ならせる
とともに、周方向に隣り合う前記Ｖ字サイプブロックＢａ間には、
上面がトレッド面よりも沈みしかも少なくとも一方のタ
イヤ軸方向端部が面する縦溝Ｇの溝底面よりも高い上面
を有する連結部Ｃを設けることにより前記Ｖ字サイプブ
ロックＢａ、Ｂａ間を継ぐとともに、前記連結部Ｃは、前記横溝ｇの溝巾が異なることにより
周方向長さＬＣが異なり、かつタイヤ軸方向の巾ＷＣも
異なる複数種類の連結部Ｃを含むことを特徴とする重荷
重用空気入りタイヤ。
【請求項２】連結部Ｃは、周方向長さＬＣが周方向長さ
ＬＣ１の第１の連結部Ｃ１と、前記周方向長さＬＣ１よ
りも長い周方向長さＬＣ２の第２の連結部Ｃ２とを含
み、かつ第２の連結部Ｃ２の巾ＷＣ２は、第１の連結部
Ｃ２の巾ＷＣ１よりも大とするとともに、前記Ｖ字サイ
プブロックＢａの周方向長さＬＢ、巾ＷＢよりはいずれ
も小であることを特徴とする請求項１記載の重荷重用空
気入りタイヤ。
【請求項３】前記連結部Ｃは、周方向長さＬＣが周方向
長さＬＣ１の第１の連結部Ｃ１と、前記周方向長さＬＣ
１よりも長い周方向長さＬＣ２の第２の連結部Ｃ２との
２種類からなり、かつタイヤ周方向に交互に配したこと
を特徴とする請求項１又は２記載の重荷重用空気入りタ
イヤ。
【請求項４】前記縦溝Ｇは、溝巾が４．０mmより大かつ
２０．０mm以下の主縦溝Ｇｍと、２．０mm以上かつ４．
０mm以下の溝巾の副縦溝Ｇｓとからなり、かつ前記連結部Ｃの前記主縦溝Ｇｍの溝底からの高さＨ
Ｃと、前記主縦溝Ｇｍの深さＨＧｍとの比ＨＣ／ＨＧｍ
を、０．５０以上かつ０．７８以下としたことを特徴と
する請求項１〜３のいずれかに記載の重荷重用空気入り
タイヤ。
【請求項５】Ｖ字サイプブロックＢａの周方向長さＬＢ
に対する第１の連結部Ｃ１の周方向長さＬＣ１の比ＬＣ
１／ＬＢを０．０８〜０．２０、第２連結部Ｃ２の周方
向長さＬＣ２の比ＬＣ２／ＬＢを０．３５〜０．４５と
したことを特徴とする請求項１〜４のいずれかに記載の
重荷重用空気入りタイヤ。
【請求項６】連結部Ｃの巾ＷＣは、Ｖ字サイプブロック
Ｂａの巾ＷＢの０．６０〜０．７０の範囲にあることを
特徴とする請求項１〜５のいずれかに記載の重荷重用空
気入りタイヤ。
【請求項７】Ｖ字サイプブロックＢａは、タイヤ周方向
の一方端面が前記Ｖ字状サイピングＳａの形状に合わせ
たＶ字壁面を具えるとともに、その突端ａから周方向に
延びかつＶ字状サイピングＳａに交わりことなく途切れ
る周方向サイピングＳｃを有することを特徴とする請求
項１〜６のいずれかに記載の重荷重用空気入りタイヤ。
【請求項８】前記副縦溝Ｇｓは、その溝底が、前記連結
部よりも半径方向上方にあることを特徴とする請求項４
記載の重荷重用空気入りタイヤ。
【請求項９】前記副縦溝Ｇｓは、その溝底が、前記連結
部よりも半径方向下方にあることを特徴とする請求項４
記載の重荷重用空気入りタイヤ。