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JP3491153B2 - 防火区画体の防火構造 - Google Patents

防火区画体の防火構造

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JP3491153B2
JP3491153B2 JP2001132417A JP2001132417A JP3491153B2 JP 3491153 B2 JP3491153 B2 JP 3491153B2 JP 2001132417 A JP2001132417 A JP 2001132417A JP 2001132417 A JP2001132417 A JP 2001132417A JP 3491153 B2 JP3491153 B2 JP 3491153B2
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fireproof
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hole
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JP2001132417A
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栄一 赤堀
一也 小野寺
勝己 新井
新司 野村
通夫 鈴木
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Japan Insulation Co Ltd
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Japan Insulation Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な防火区画体
の防火構造に関する。
【0002】
【従来技術】ケーブル、配管等の長尺体は、防火区画体
の貫通口を介して複数の防火区画体にわたって配置され
る。この場合、長尺体が通る貫通口では、火災時の延焼
を防止することを目的として、防火区画体と長尺体との
隙間を閉塞するための防火措置をとる必要がある。この
ような防火区画体の防火構造としては従来から各種のも
のが知られている。例えば、図8に示すように、床防火
区画体1の開口部2内を貫通する長尺体としてのケーブ
ル3の周囲にロックウール4を詰め、床防火区画体の上
面及び下面にケイ酸カルシウム等の耐火性板からなる蓋
5,5を配置した後、これらの蓋をアンカーボルト6,
6で床防火区画体に固定し、ケーブルと蓋との間の隙間
に耐火パテ7,7を詰めて固定する構造がある。
【0003】しかしながら、上記構造では、床防火区画
体に貫通配置されているケーブルを引き替え工事した
り、増設工事をする場合、ロックウール、蓋、耐火パテ
等の防火措置部材を全部取り除く必要があり、非常に手
間がかかるという問題がある。
【0004】しかも、これらの引き替え工事には通常は
数日〜数週間を要するが、その期間内は防火措置部材が
ない状態であり、開放状態で放置される。従って、この
期間内に火災が発生すれば、床防火区画体の開口部から
火炎や煙が吹き抜け、延焼するおそれがある。
【0005】そこで、これらの問題を解決し、施工性あ
るいは材料の互換性を図るために、ロックウール、セラ
ミックスファイバー等の無機繊維、柔軟材、熱膨張材等
を布等で包んでなる分包体を複数用いて貫通口を閉塞す
る方法が提案されている。例えば、耐火材をカーボンク
ロス等の不燃性繊維からなる布により包んだ分包体で貫
通口を閉塞する方法(特開平11−222955号、特
開平4−8979号、実開平2−66653号等)があ
る。また、ポリエチレン、ポリビニル等の安価な合成樹
脂からなる袋を用いて貫通口を閉塞する方法(実開昭5
7−145442号)が知られている。
【0006】しかしながら、これらの方法では、分包体
を支えるための遮蔽板が必要不可欠である。従来技術で
は、例えば遮蔽板としてケイ酸カルシウム板を用い、そ
の上に分包体を配置する防火措置工法が採られている。
このため、遮蔽板を必要とする分だけ、施工に手間を要
し、またコスト面でも不利となってしまう。
【0007】また、これらの方法では、内容物を包装す
るための袋体を必要とする。特に、大きさの異なる分包
体では袋体を作製する手間やコストが過大となる。ま
た、これらの方法では、火炎や衝撃により袋体が破れる
おそれがあり、袋体が破れた場合には、所望の耐火性が
得られなくなったり、一つにまとめられている内容物が
落下してしまうおそれもある。しかも、袋体の材質によ
っては非常に高価になることもあり、低コスト化に支障
を来すという問題もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来技術
では、耐火性のほか、施工性及び経済性という点でなお
改善すべき余地が残されている。
【0009】従って、本発明は、耐火性とともに、施工
性及び経済性にも優れた防火構造を提供することを主な
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、これら従来
技術の問題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、熱膨張性成
形体を用いてなる特定の構造が上記目的を達成できるこ
とを見出し、ついに本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明は、下記の防火区画体の
防火構造に係るものである。
【0012】1.貫通口を有する防火区画体の防火構造
であって、(1)当該貫通口に長尺体が貫通しており、
(2)当該貫通口と長尺体との隙間が、軟質ウレタンフ
ォーム、無機系膨張剤及び形崩れ防止剤を含む熱膨張性
成形体の2以上により閉塞され、(3)当該2以上の熱
膨張性成形体は、熱膨張した際に隣り合う熱膨張性成形
体どうしが接合するように配置されている、ことを特徴
とする防火区画体の防火構造。
【0013】2.貫通口を有する防火区画体の防火構造
であって、(1)当該貫通口に長尺体が貫通しており、
(2)当該貫通口と長尺体との隙間が、軟質ウレタンフ
ォーム、無機系膨張剤及び形崩れ防止剤を含む熱膨張性
成形体の2以上により閉塞され、(3)当該2以上の熱
膨張性成形体は、隣り合う熱膨張性成形体どうしが接触
した状態で配置されている、ことを特徴とする防火区画
体の防火構造。
【0014】3.熱膨張性成形体の形状が、立方体又は
直方体である前記項1又は2に記載の防火構造。
【0015】4.熱膨張性成形体を支持するための遮蔽
板を有しない前記項1〜3のいずれかに記載の防火構
造。
【0016】5.軟質ウレタンフォームが、水性ウレタ
ンプレポリマーから得られるものである前記項1〜4の
いずれかに記載の防火構造。
【0017】6.無機系膨張剤が、膨張性黒鉛である前
記項1〜5のいずれかに記載の防火構造。
【0018】7.形崩れ防止剤が、ホウ酸である前記項
1〜6のいずれかに記載の防火構造。
【0019】8.形崩れ防止剤及び無機系膨張剤の合計
量が、軟質ウレタンフォーム100重量部に対して50
重量部以上である前記項1〜7のいずれかに記載の防火
構造。
【0020】
【発明の実施の形態】1.防火構造 本発明の防火区画体の防火構造は、貫通口を有する防火
区画体の防火構造であって、(1)当該貫通口に長尺体
が貫通しており、(2)当該貫通口と長尺体との隙間
が、軟質ウレタンフォーム、無機系膨張剤及び形崩れ防
止剤を含む熱膨張性成形体の2以上により閉塞され、
(3)当該2以上の熱膨張性成形体は、熱膨張した際に
隣り合う熱膨張性成形体どうしが接合するように配置さ
れている、ことを特徴とする。
【0021】本発明は、防火区画体に貫通口が設けられ
ているものである。より具体的には、防火区画体の壁
(側面)、天井(上面)又は床(底面)のいずれかに貫
通口が設けられている。貫通口の数、大きさ、形状等は
特に限定されない。この貫通口には、長尺体が貫通して
いる。長尺体としては、例えば電力用、通信用等の各種
ケーブル、水道、ガス等の各種配管のほか、建築構造物
に必要な設備等をすべて包含する。
【0022】上記貫通口と長尺体との隙間は、軟質ウレ
タンフォーム、無機系膨張剤及び形崩れ防止剤を含む熱
膨張性成形体の2以上により閉塞されている。上記成形
体の形状、大きさ等は特に限定されず、施工部位、施工
方法等に応じて適宜選択すれば良い。特に、上記成形体
の形状としては、耐火性、施工性等の見地より、立方体
又は直方体であることが好ましい。
【0023】本発明では、当該2以上の熱膨張性成形体
は、熱膨張した際に互いに隣り合う熱膨張性成形体どう
しが接合できるように配置されている。すなわち、熱膨
張性成形体の配置方法は、これらが火災等により熱膨張
した際に互いに隣り合う熱膨張性成形体どうしが接合で
きるようにすれば良い。従って、その限りにおいては、
各成形体どうしが接触した状態で配置されていても良い
し、隙間をもたせて配置されていても良い。
【0024】本発明における「接合」とは、互いに隣り
合う熱膨張性成形体どうしが完全に接合して一体化する
場合のほか、互いに隣り合う熱膨張性成形体の一部(例
えば、加熱された部分)どうしが接合する場合も包含さ
れる(以下同じ。)。
【0025】本発明では、各成形体どうしが接触した状
態で配置されていることが好ましい。すなわち、本発明
は、貫通口を有する防火区画体の防火構造であって、
(1)当該貫通口に長尺体が貫通しており、(2)当該
貫通口と長尺体との隙間が、軟質ウレタンフォーム、無
機系膨張剤及び形崩れ防止剤を含む熱膨張性成形体の2
以上により閉塞され、(3)当該2以上の熱膨張性成形
体は、隣り合う熱膨張性成形体どうしが接触した状態で
配置されている、ことを特徴とする防火区画体の防火構
造が望ましい態様である。
【0026】とりわけ、立方体又は直方体(すなわち六
面体)の熱膨張性成形体を用いる場合、互いに隣り合う
熱膨張性成形体どうしがいずれかの面で接触した状態で
配置することが好ましい。
【0027】本発明の防火構造では、2以上の熱膨張性
成形体は、熱膨張した際に隣り合う熱膨張性成形体どう
しが接合するように配置されている。このため、火災等
により熱膨張したとき、熱膨張性成形体どうしが互いに
接合する。加熱温度によっては、これら複数の熱膨張性
成形体が一体化することができる。特に、接合した熱膨
張性成形体は、熱膨張により貫通口の側断面又は長尺体
を押圧することによって、階下へ落下することなく、そ
の場にとどめることも可能である。この場合は、落下を
防止するための手段(落下防止部材)を特に必要としな
いで済む。また、たとえ、接合した熱膨張性成形体が落
下するおそれがある場合であっても、接合した熱膨張性
成形体の一部だけ支持しておけば落下を防止することが
可能となる。例えば、針金、金網、金属板(長尺のH型
材、U字型等の軽量形鋼)等の落下防止部材で熱膨張性
成形体の一部を支えたり、特定の熱膨張性成形体のみを
落下防止部材で支持できるようにすれば良い。本発明の
防火構造では、従来の工法のように各分包体をすべて支
持するための遮蔽板等を必要としない。
【0028】また、本発明で使用する熱膨張性成形体は
弾力性を有する。このため、施工時に貫通口と長尺体の
隙間に熱膨張性成形体を圧縮しながら装填すれば、貫通
口と長尺体と挟持された状態となる。従って、施工時に
おいても、落下防止手段は特に必要とされない。 2.熱膨張性成形体 本発明で用いる熱膨張性成形体は、軟質ウレタンフォー
ム、無機系膨張剤及び形崩れ防止剤を含むものである。
以下、これらの成分について説明する。
【0029】無機系膨張剤としては、加熱により発泡な
いしは膨張する性質を有する無機系材料であれば特に制
限されず、公知の発泡性樹脂組成物に使用されている無
機系膨張剤をそのまま用いることもできる。例えば、膨
張性黒鉛(鱗片黒鉛粉末を濃硫酸等で酸化処理して黒鉛
層間に化合物をインターカレーションしたもの、膨張黒
鉛ともいう)、ホウ砂、パーライト、ひる石等が挙げら
れる。これら無機系膨張剤の中でも、膨張性黒鉛が好ま
しい。
【0030】無機系膨張剤の含有量は、樹脂成分の種
類、所望の発泡倍率等によって適宜設定することができ
るが、通常は本発明組成物の水を除いた成分中10〜4
5重量%程度、好ましくは20〜30重量%とすれば良
い。
【0031】形崩れ防止剤は、上記膨張剤により形成さ
れた膨張層の形状を保持できるものであれば限定され
ず、無機系又は有機系のいずれも使用することができる
(但し、カゼイン単独での使用を除く)。
【0032】有機系形崩れ防止剤としては、例えばフェ
ノール樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルフ
ァイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテ
ルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリ
エーテルスルホン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリアミ
ド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹
脂、フッ素樹脂、コーンスターチ等を用いることができ
る。無機系形崩れ防止剤としては、例えばホウ酸、ホウ
砂、ほう酸亜鉛、ポリリン酸アンモニウム等を用いるこ
とができる。これら形崩れ防止剤の中でも、少なくとも
ホウ酸を用いることが好ましい。すなわち、ホウ酸は単
独で使用でき、また他の形崩れ防止剤と併用することも
できる。なお、この場合、ホウ酸と併用する他の形崩れ
防止剤としてカゼインを用いることは可能である。
【0033】形崩れ防止剤の含有量は、形崩れ防止剤の
種類、無機系膨張剤の種類・使用量等によって適宜設定
することができるが、通常は形崩れ防止剤及び無機系膨
張剤の割合が重量比で1:1〜10:1程度、好ましく
は2:1〜5:1となるようにすれば良い。形崩れ防止
剤が少なすぎると形状保持能力が低下することがある。
また、無機系膨張剤が少なすぎると耐火性能が低下する
おそれがある。
【0034】本発明組成物における樹脂成分としては、
軟質ウレタンフォームを用いる。また、上記ポリウレタ
ンは、一液タイプ、二液タイプ等のいずれの原料から得
られたものも使用できるが、特に一液タイプの方が好ま
しい。一液タイプのものとして、例えば水性ウレタンプ
レポリマーから得られる軟質ウレタンフォームを好適に
用いることができる。水性ウレタンプレポリマーとして
は、公知のもの又は市販品を使用できる。より具体的に
は、下記一般式(1)で示されるウレタン変性TDI
(トリレンジイソシアネート)(プレポリマー)、下記
一般式(2)で示されるウレタン変性MDI(4,4’
−ジフェニルメタンジイソシアネート)(プレポリマ
ー)等及びこれらの混合物を用いることができる。
【0035】
【化1】
【0036】
【化2】
【0037】樹脂成分の含有量は、形崩れ防止剤及び無
機系膨張剤の種類及び使用量等に応じて適宜設定できる
が、形崩れ防止剤及び無機系膨張剤の合計量が樹脂成分
100重量部に対して通常50重量部以上、好ましくは
100重量部以上となるように設定すれば良い。なお、
上記合計量の上限値は限定的でないが、通常は900重
量部程度とすれば良い。
【0038】本発明組成物では、必要に応じて公知の防
火用膨張性材料で用いられている各種添加剤も適宜含ま
れていても良い。例えば、界面活性剤、架橋剤、整泡
剤、触媒、発泡剤、鎖延長剤、難燃剤、安定剤、紫外線
吸収剤、酸化防止剤、顔料、老化防止剤、繊維類、フィ
ラー等を挙げることができる。また、必要に応じて、ア
ゾジカルボンアミド、ジニトロペンタメチレンテトラミ
ン、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジ
ド等の有機系膨張剤を使用することもできる。
【0039】上記成形体の製造方法は、所定の軟質ウレ
タンフォームが得られる限り特に限定されず、用いるポ
リウレタン原料の種類等に応じて適宜決定することがで
きる。例えば、エチレンオキサイドのような親水基が付
加された親水性ポリオールと水にポリイソシアネート化
合物を反応させる二液タイプの方法、水性ウレタンプレ
ポリマーに水を反応させる一液タイプの方法等が使用で
きる。
【0040】本発明では一液タイプの方法、殊に水性ウ
レタンプレポリマーを用いる方法をより好適に採用する
ことができる。この方法では、比較的多量の水を使用で
きるのでスラリー濃度、ひいては最終製品の物性等を自
由にコントロールできる点で有利である。また、工業的
規模での生産に適しており、しかもより優れた性能をも
つ組成物がより確実に得られるという点でも一液タイプ
の方法が好ましい。
【0041】水性ウレタンプレポリマーを使用する方法
についてさらに詳細に説明すると、まず無機系膨張剤及
び形崩れ防止剤を水に加えてスラリーを調製した後、こ
のスラリーに水性ウレタンプレポリマーを混合し、発泡
硬化させることによって製造することができる。水性ウ
レタンプレポリマーとしては、軟質ウレタンフォームを
与えるものであれば特に限定的でなく、公知のもの又は
市販品を用いることもできる。また、上記プレポリマー
の重合度等も、最終製品の用途・使用目的等に応じて適
宜選択することができ、特に限定されない。
【0042】無機系膨張剤及び形崩れ防止剤としては、
前記で掲げた材料をそれぞれ用いることができる。この
場合も、無機系膨張剤として膨張性黒鉛を用いることが
好ましい。また、形崩れ防止剤としてホウ酸を用いるこ
とが好ましい。
【0043】水性ウレタンプレポリマー、無機系膨張剤
及び形崩れ防止剤の配合割合は、最終的に本発明組成物
が得られるように設定すれば良く、具体的には前記で掲
げた配合割合を採用すれば良い。
【0044】スラリーの濃度(固形分濃度)は、最終製
品の使用目的、用途等に応じて適宜設定することができ
るが、通常は20〜90重量%程度、好ましくは50〜
70重量%である。水が多すぎる場合には、得られる成
形体の形状安定性が低下するおそれがある。また、水が
少なすぎる場合は、スラリーの粘度が上昇するため、所
望の発泡硬化体が得られなくなることがある。
【0045】また、スラリーには、必要に応じて他の添
加剤を配合することもできる。例えば、界面活性剤、分
散剤、架橋剤、整泡剤、触媒、発泡剤、鎖延長剤、難燃
剤、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料、老化防
止剤、繊維類、フィラー等を用いることができる。
【0046】スラリーの調製は、これらの成分を同時又
は順次に配合した後、公知の攪拌機等により均一に混合
・攪拌すれば良い。
【0047】次いで、上記スラリーに水性ウレタンプレ
ポリマーを添加する。添加後、スラリーの発泡が開始す
るまで攪拌混合を続ける。発泡させるスラリーは、必要
に応じて所定の形状を有する型に注入すれば良い。この
場合、型に注入された状態で発泡硬化が行われる。
【0048】得られた成形体をそのまま脱型しても良い
が、必要に応じて発泡硬化体を50℃以上で養生しても
良い。養生は、脱型、水分蒸発等を行うことができれ
ば、その条件は特に制限されない。例えば、発泡硬化体
を型とともに約100℃で養生して収縮させてから脱型
し、さらに約50℃で養生して水分を蒸発させることに
より、形状安定性に優れた発泡硬化体を得ることができ
る。これらの養生時間は、養生温度、発泡硬化体の大き
さ等に応じて適宜設定すれば良い。
【0049】ポリウレタン原料として、例えばエチレン
オキサイドが付加された親水性ポリオール及びイソシア
ネート化合物の二液タイプの原料を用いる場合は、上記
親水性ポリオール、無機系膨張剤、形崩れ防止剤及び水
を含む水性スラリーを調製した後、上記水性スラリーに
イソシアネート化合物を混合し、発泡硬化させることに
より製造することができる。
【0050】エチレンオキサイドが付加された親水性ポ
リオール及びイソシアネート化合物は、それぞれ公知の
ものを使用することができ、また市販品もそのまま用い
ることができる。親水性ポリオール及びイソシアネート
化合物の組み合わせ方及び配合割合等は、最終製品の使
用目的、所望の物性等に応じて適宜採択することができ
る。無機系膨張剤、形崩れ防止剤等は、前記の水性ウレ
タンプレポリマーを用いる場合と同様のものを使用する
ことができる。また、成形方法、養生方法等の製造条件
も、前記の水性ウレタンプレポリマーを用いる場合に準
じて実施すれば良い。
【0051】
【発明の効果】本発明の防火構造によれば、特定の熱膨
張性成形体が火災等により熱膨張した際に隣り合う熱膨
張性成形体どうしが接合するので、従来工法のような大
がかりな遮蔽板を不要とすることができる。
【0052】また、上記熱膨張性成形体は、形崩れが有
効に防止され、しかも長時間高温にさらされても脆弱化
しにくい。このため、上記熱膨張性成形体は、袋体に詰
めることなく、そのまま使用することができ、分包体を
必要とする従来技術よりも施工性・経済性に優れてい
る。
【0053】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明の特
徴とするところをより一層明確にする。なお、本発明
は、これら実施例に限定されるものではない。
【0054】実施例1 図1〜図3に示すように、床(1)に長方形の開口部
(5)を設け、その開口部に数種類のケーブル(通信及
び電力用ケーブル)(2)及びケーブルラック(3)を
それぞれ貫通させた。
【0055】次いで、図1のように、3対の受け金(7
b)をそれぞれアンカーボルト(8)で床に固定し、ア
ンカーボルトで固定されていない側の受け金の一端に落
下防止金具(7a)を掛け、開口部の長尺方向に掛け渡
した。そして、直方体の熱膨張性成形体(4)を複数用
いて、図1のように隙間なく上記金具上に並べて載せる
ことにより上記開口部を閉塞した。このとき、各熱膨張
性成形体は、図2に示すように、隣り合う成形体どうし
の面が接触するように配置した。
【0056】落下防止金具(7a)は、U字型軽量形鋼
を用い、図3に示す状態で設置した。この落下防止金具
により、図1及び図3のように、各成形体の一部が支持
されて落下が防止されている。
【0057】次に、上記のようにして構築された防火構
造について、耐火試験を実施した。上記防火構造を耐火
試験炉に載せ、ISO標準加熱曲線[T=345log
10(8t+1)+20(但し、Tは平均炉内温度
(℃)、tは試験の経過時間(分)を示す。)]に従っ
て1時間の加熱試験を行った。その結果、非加熱側での
ケーブル及び部材の燃焼、熱膨張性耐火ブロックの脱落
は見られず、良好な耐火性を発揮することが確認され
た。また、試験後に上記構造を解体したところ、各熱膨
張性耐火ブロックの加熱側は接合により一体化した状態
になっていた。
【0058】なお、熱膨張性耐火ブロックとしては、つ
ぎのようなものを用いた。まず、形崩れ防止剤(ホウ
酸)67重量部と膨張性黒鉛33重量部の混合物に対
し、水70重量部を加えてスラリーを調製した。このス
ラリーに水性ウレタンポリマー78重量部を加えて攪拌
混合し、寸法12cm×12cm×17cmの型に注入
して発泡成型させ、型とともにオーブン中100℃で1
時間で養生した後、脱型した。得られた発泡硬化体をさ
らにオーブン中50℃で2日間養生することにより水分
を蒸発させてスポンジ状の成形体を得た。
【0059】なお、表中の各成分は、以下に示すものを
用いた。
【0060】・ホウ酸:オルトホウ酸(グラニュラータ
イプ)、U.S.BORAX製 ・膨張性黒鉛:「CA−60」、住金ケミカル製 ・水性ウレタンプレポリマー:「EGH−401」、三
井化学製 実施例2 図5に示すように、壁(図示せず)に長方形の開口部
(6)を設け、開口部にケーブル(通信及び電力用ケー
ブル)(2)及びケーブルラック(3)を貫通させ、実
施例1と同じ熱膨張性耐火ブロック(4)を概ね互いに
接触するように配置することにより上記開口部を閉塞
し、防火構造を構成した。
【0061】次に、上記防火構造について、耐火試験を
実施した。上記構造を耐火試験炉にセットし、実施例1
と同様にして加熱試験を行った。その結果、非加熱側で
のケーブル及び部材の燃焼、熱膨張性耐火ブロックの脱
落は見られず、良好な耐火性を発揮することが確認され
た。また、試験後に上記構造を解体したところ、各熱膨
張性耐火ブロックの加熱側は接合により一体化した状態
になっていた。
【0062】実施例3 開口部面積の小さな場合の施工例を示す。図7に示すよ
うに、床(図示せず)に受け金物(7b)のみを取り付
け、実施例1と同じ熱膨脹性耐火ブロック(4)を概ね
互いに接触するように配置することにより上記開口部を
閉塞し、耐火構造を構成した。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の防火構造を示す平面図である。
【図2】図1のA−A’断面図である。
【図3】図1のB−B’断面図である。
【図4】実施例1で用いた落下防止金具の本体(7a)
及び留め金(7b)の斜視図である。
【図5】実施例2の壁防火構造を示す正面図である。
【図6】図5のC−C’断面図である。
【図7】床防火区画体の開口部において、開口部の比較
的小さい場合の施工例を示す平面図である。
【図8】従来の防火措置構造を示す図である。
【符号の説明】
(1)…床 (2)…ケーブル (3)…ケーブルラック (4)…熱膨張性成形体 (5)…開口部 (6)…開口部 (7a)…落下防止金具 (7b)…受け金 (8)…アンカーボルト (9)…壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H02G 1/06 307 F16L 5/02 M (72)発明者 小野寺 一也 東京都中央区新川1丁目14番5号金盃第 3ビル 日本インシュレーション株式会 社東京本部内 (72)発明者 新井 勝己 東京都中央区新川1丁目14番5号金盃第 3ビル 日本インシュレーション株式会 社東京本部内 (72)発明者 野村 新司 東京都中央区新川1丁目14番5号金盃第 3ビル 日本インシュレーション株式会 社東京本部内 (72)発明者 鈴木 通夫 東京都葛飾区亀有1丁目10番5号 (56)参考文献 特開 平2−68076(JP,A) 特開 平9−176498(JP,A) 特開 平11−1537(JP,A) 特開2001−348476(JP,A) 特許2732435(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02G 3/22 C09K 21/02 E04B 1/94 F16L 5/02 F16L 5/04 H02G 1/06

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 貫通口を有する防火区画体の防火構造で
    あって、 (1)当該貫通口に長尺体が貫通しており、 (2)当該貫通口と長尺体との隙間が、軟質ウレタンフ
    ォーム、無機系膨張剤及び形崩れ防止剤を含み、且つ、
    当該形崩れ防止剤として少なくともホウ酸を用いた熱膨
    張性成形体の2以上により閉塞され、 (3)当該2以上の熱膨張性成形体は、熱膨張した際に
    隣り合う熱膨張性成形体どうしが接合するように配置さ
    れている、 ことを特徴とする防火区画体の防火構造。
  2. 【請求項2】 貫通口を有する防火区画体の防火構造で
    あって、 (1)当該貫通口に長尺体が貫通しており、 (2)当該貫通口と長尺体との隙間が、軟質ウレタンフ
    ォーム、無機系膨張剤及び形崩れ防止剤を含み、且つ、
    当該形崩れ防止剤がホウ酸である熱膨張性成形体の2以
    上により閉塞され、 (3)当該2以上の熱膨張性成形体は、熱膨張した際に
    隣り合う熱膨張性成形体どうしが接合するように配置さ
    れている、 ことを特徴とする防火区画体の防火構造。
  3. 【請求項3】 熱膨張性成形体の形状が、立方体又は直
    方体である請求項1又は2に記載の防火構造。
  4. 【請求項4】 熱膨張性成形体を支持するための遮蔽板
    を有しない請求項1〜3のいずれかに記載の防火構造。
  5. 【請求項5】 軟質ウレタンフォームが、水性ウレタン
    プレポリマーから得られるものである請求項1〜4のい
    ずれかに記載の防火構造。
  6. 【請求項6】 無機系膨張剤が、膨張性黒鉛である請求
    項1〜5のいずれかに記載の防火構造。
  7. 【請求項7】 形崩れ防止剤及び無機系膨張剤の合計量
    が、軟質ウレタンフォーム100重量部に対して50重
    量部以上である請求項1〜6のいずれかに記載の防火構
    造。
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