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JP3491075B2 - 微粒子製剤およびその製造法 - Google Patents

微粒子製剤およびその製造法

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JP3491075B2
JP3491075B2 JP17885293A JP17885293A JP3491075B2 JP 3491075 B2 JP3491075 B2 JP 3491075B2 JP 17885293 A JP17885293 A JP 17885293A JP 17885293 A JP17885293 A JP 17885293A JP 3491075 B2 JP3491075 B2 JP 3491075B2
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弥三郎 赤木
信之 武智
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は薬物徐放性の微粒子製剤
およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術および課題】水溶性薬物を含有した徐放性
のマイクロカプセルのごとき微粒子製剤の製造法の一つ
として、従来、水中乾燥法が知られており、例えば、特
開昭60−100516号公報に記載されている従来技
術に従って三相乳化物を形成し、水中乾燥法によりマイ
クロカプセルを製造する方法では、水溶性薬物は外水相
に分配するため、微粒子製剤へのトラップ率が低下し高
含有量の製剤が得られにくい。一般に、水中乾燥法によ
り製造された微粒子製剤はトラップ率においてロット間
ばらつきが大きく、また、初期放出量も多く、スケール
アップによる影響が大きく、品質を一定レベルに維持す
ることが困難である。また、スプレードライ法も知られ
ているが、この方法により微粒子製剤を製造すると、ト
ラップ率の問題は少ないが、一般には初期放出が多い。
微粒子製剤間の付着・凝集が多く、さらに微粒子製剤が
スプレードライヤーに付着する。水中乾燥品と比較する
と、微粒子製剤は水性の分散媒への分散性が良くないと
いう問題がある。
【0003】
【課題を解決するための手段】このような事情に鑑み、
本発明者らは、マイクロカプセル等の微粒子製剤間の付
着・凝集が少なく、分散性のよい水溶性あるいは脂溶性
の徐放性製剤を得るため、鋭意研究したところ、(1)薬
物と高分子重合物とを含む溶液、(2)薬物または高分子
重合物あるいは両者の一部または全てが分散状態にある
液、(3)薬物または高分子重合物あるいは両者を含む液
が、O/W、W/O、W/O/W、O/W/O型の乳化
液、あるいは(4)薬物または高分子重合物あるいは両者
を含む液が(3)の乳化状態にあって、かつ、薬物または
高分子重合物あるいは両者の一部または全てが分散状態
である液を、スプレードライヤーのノズル(二流体ノズ
ル、多流体ノズルまたは圧力ノズルまたは2液、多液噴
霧用の構造にした回転ディスク)から微粒化・噴霧し、
別のノズルからマイクロカプセル等の微粒子製剤凝集防
止用の非付着性の水溶性の無機塩、有機酸または有機酸
塩の溶液を噴霧することによって、微粒子製剤間の付着
・凝集が少なく、薬物の微粒子製剤中へのトラップ率が
高く、放出試験において初期放出量の少ない、優れた性
質を有する微粒子製剤を効率よく連続的に、しかも短時
間に大量に得ることができることを見いだした。上記水
溶性の無機塩、有機酸または有機酸塩の溶液とは、水溶
性の無機塩、有機酸または有機酸塩の分散液であっても
よい。
【0004】また、凝集防止用の水溶性の無機塩、有機
酸または有機酸塩の溶液を噴霧する際、非付着性物質液
に非イオン性界面活性剤を添加し噴霧することによっ
て、または水溶性の無機塩、有機酸または有機酸塩の分
散液あるいは溶液とは別に、非イオン性界面活性剤溶液
を微粒子製剤形成時に同時に噴霧することにより、さら
に良好な分散性を示す微粒子製剤を得ることができるこ
とを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、
本発明は、水溶性の無機塩、有機酸または有機酸塩で、
少なくとも部分的ないしは完全に被覆された薬物含有高
分子重合物微粒子製剤を提供するものである。また、本
発明は、薬物を含む高分子重合物溶液と、水溶性の無機
塩、有機酸または有機酸塩の溶液とを、それぞれ別のノ
ズルを用いてスプレードライヤー中で噴霧・接触させる
ことを特徴とする、水溶性の無機塩、有機酸または有機
酸塩で、少なくとも部分的ないしは完全に被覆された薬
物含有高分子重合物微粒子製剤の製造法も提供するもの
である。本発明の製造法においては、水溶性の無機塩、
有機酸または有機酸塩の溶液に非イオン性界面活性剤を
添加して噴霧するか、別途、非イオン性界面活性剤の溶
液を噴霧・接触させることにより、より良好な分散性を
有する微粒子製剤が得られる。
【0005】本発明によれば、薬物と高分子重合物を含
む溶液、乳化液あるいは懸濁液を、スプレードライヤー
を用いて噴霧・乾燥することによって、有機溶媒と共に
水も瞬時に揮発させ、薬物を損失することなく、適切で
強固な構造のマイクロカプセルのような微粒子製剤を製
造することができ、放出試験での薬物の初期放出量を水
中乾燥法によるものよりも少なく抑えることが可能とな
る。また、同時に、またはあらかじめ、もう一方のノズ
ルから微粒子製剤凝集防止のために、凝集防止剤として
水溶性の無機塩、有機酸または有機酸塩の溶液を噴霧す
ることによって、水溶性の無機塩、有機酸または有機酸
塩の微粒子が微粒子製剤の表面周囲を少なくとも部分的
ないしは完全に被覆し、微粒子製剤間の凝集や微粒子製
剤のスプレードライヤー装置への付着を顕著に防止し、
流動性に優れた粉末微粒子を、凍結乾燥工程なしに短時
間で得ることができる。さらに、水溶性の無機塩、有機
酸または有機酸塩と共にあるいは別に、非イオン性界面
活性剤溶液を高分子重合物液と同時に噴霧することによ
り、界面活性剤が微粒子製剤表面を被覆し、微粒子製剤
分散時に非常に優れた分散性を示す。
【0006】以下、本発明をさらに詳しく説明する。微
粒子製剤の具体例としては、例えばマイクロカプセル等
が挙げられる。これらの中でマイクロカプセルが最も好
ましい。本発明の微粒子製剤に用いる薬物は、特に限定
されないが、例えば、生理活性を有するペプチド、その
他の抗生物質、抗腫瘍剤、解熱剤、鎮痛剤、消炎剤、鎮
咳去たん剤、鎮静剤、筋弛緩剤、抗てんかん剤、抗潰瘍
剤、抗うつ剤、抗アレルギー剤、強心剤、不整脈治療
剤、血管拡張剤降圧利尿剤、糖尿病治療剤、抗凝血剤、
止血剤、抗結核剤、ホルモン剤、麻薬拮抗剤、骨吸収抑
制剤、血管新生抑制剤などが挙げられる。このうち生理
活性を有するペプチド、骨吸収抑制剤、血管新生抑制剤
が好ましい薬剤として挙げられる。上記生理活性を有す
るペプチドとしては、2個以上のアミノ酸から構成され
るもので、分子量約200〜80000のものが好まし
い。 その具体例としては、例えば、黄体形成ホルモン
放出ホルモン(LH−RH)、これと同様の作用を有する
誘導体であって、式(I):
【0007】
【化1】 (Pyr)Glu−R1−Trp−Ser−R2−R3−R4−Arg−Pro−R5 (I) [式中、R1はHis、Tyr、Trpまたはp−NH2−Phe
を、R2はTyrまたはPheを、R3はGlyまたはD型のア
ミノ酸残基を、R4はLue、IleまたはNleを、R5はG
ly−NH−R6(R6はHまたは、所望により水酸基を有
する低級アルキル基)またはNH−R6(R6は前記と同意
義)をそれぞれ示す。]で表わされるペプチドまたはその
塩が挙げられる[米国特許第3,853,837号、同第
4,008,209号、同第3,972,859号、英国特
許第1,423,083号およびプロシーディングス・オ
ブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス
(Proceedings of the National Academy of
Sciences of the UnitedStates of America)
第78巻 第6509〜6512頁(1981年)参
照]。上記式(I)において、R3で示されるD型のアミ
ノ酸残基としては、例えば、炭素数が9までのα−D−
アミノ酸〔例、D−(Lue、Ile、Nle、Val、NVa
l、Abu、Phe、Phg、Ser、Tyr、Met、Ala、Tr
p、α−Aibu)〕などが挙げられ、それらは適宜保護基
(例、t−ブチル、t−ブトキシ、t−ブトキシカルボニル
など)を有していてもよい。勿論、ペプチド(I)の酸
塩、金属錯体化合物もペプチド(I)と同様に使用するこ
とができる。式(I)で表わされるペプチドにおけるアミ
ノ酸、ペプチド、保護基等に関して用いる略号は、IU
PAC−IUBコミッション オン バイオケミカル
ノメンクレーチュアー(Commission on Biochemica
l Nomenclature)による略号あるいは当該分野におけ
る慣用略号に基づくものであり、また、アミノ酸に関
し、光学異性体がありうる場合、特に明示しなければL
体を示す。なお、本明細書においては、上記(I)式にお
いてR1=His、R2=Tyr、R3=D−Leu、R4=Le
u、R5=NHCH2−CH3であるペプチドの酢酸塩を
「TAP−144」と称する。
【0008】また、該ペプチドとしては、LH−RH拮
抗物質(米国特許第4086219号、同第41245
77号、同第4253997号および同第431781
5号参照)が挙げられる。また、さらに該ペプチドとし
ては、例えば、インスリン、ソマトスタチン、ソマトス
タチン誘導体(米国特許第4087390号、同第40
93574号、同第4100117号および同第425
3998号参照)、成長ホルモン、プロラクチン、副腎
皮質刺激ホルモン(ACTH)、メラノサイト刺激ホルモ
ン(MSH)、甲状腺ホルモン放出ホルモン(TRH)その
塩およびその誘導体(特開昭50−121273号、特
開昭52−116465号公報参照)、甲状腺刺激ホル
モン(TSH)、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホル
モン(FSH)、バソプレシン、バソプレシン誘導体{デ
スモプレシン[日本内分泌学会雑誌、第54巻、第5号
第676〜691頁(1978)]参照}、オキシトシン、
カルシトニン、副甲状腺ホルモン、グルカゴン、ガスト
リン、セクレチン、パンクレオザイミン、コレシストキ
ニン、アンジオテンシン、ヒト胎盤ラクトーゲン、ヒト
絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、エンケファリン、エン
ケファリン誘導体[米国特許第4277394号、ヨー
ロッパ特許出願公開第31567号公報参照]等のオリ
ゴペプチドおよびエンドルフィン、キョウトルフィン、
インターフェロン(α型、β型、γ型)、インターロイキ
ン(I、II、III)、タフトシン、サイモポイエチ
ン、サイモシン、サイモスチムリン、胸腺液性因子(T
HF)、血中胸腺因子(FTS)およびその誘導体(米国特
許第4229438号参照)、およびその他の胸腺因子
[医学のあゆみ、第125巻、第10号、835〜84
3頁(1983年)]、腫瘍壊死因子(TNF)、コロニー
誘発因子(CSF)、モチリン、ディノルフィン、ポムベ
シン、ニュウロテンシン、セルレイン、ブラディキニ
ン、ウロキナーゼ、アスパラギナーゼ、カリクレイン、
サブスタンスP、神経成長因子、血液凝固因子の第VI
II因子、第IX因子、塩化リゾチーム、ポリミキシン
B、コリスチン、グラミシジン、バシトラシン、タンパ
ク合成刺激ペプチド(英国特許第8232082号)、胃
酸分泌抑制ポリペプチド(GIP)、バソアクティブ イ
ンテスティナル ポリペプチド(vasoactive intestin
al polypeptide:VIP)、プレートレット デライブ
ド グロス ファクター(platelet−derived growthf
actor:PDGF)、成長ホルモン分泌因子(GRF、ソ
マトクリニン)、ボーンモーファゲネティック プロテ
イン(bone morphagenetic protein:BMP)、上皮
成長因子(EGF)などのペプチドが挙げられる。
【0009】上記抗腫瘍剤としては、例えば、塩酸ブレ
オマイシン、メソトレキセート、アクチノマイシンD、
マイトマイシンC、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリ
スチン、塩酸ダウノルビシン、アドリアマイシン、ネオ
カルチノスタチン、シトシンアラビノシド、フルオロウ
ラシル、テトラヒドロフリル−5−フルオロウラシル、
ピシバニール、レンチナン、レバミゾール、ベスタチ
ン、アジメキソン、グリチルリチン、ポリI:C、ポリ
A:U、ポリICLCなどが挙げられる。上記の抗生物
質としては、例えば、ゲンタマイシン、ジベカシン、カ
ネンドマイシン、リビドマイシン、トブラマイシン、ア
ミカシン、フラジオマイシン、シソマイシン、テトラサ
イクリン、オキシテトラサイクリン、ロリテトラサイク
リン、ドキシサイクリン、アンピシリン、ピペラシリ
ン、チカルシリン、セファロチン、セファロリジン、セ
フォチアム、セフスロジン、セフメノキシム、セフメタ
ゾール、セファゾリン、セファタキシム、セフォペラゾ
ン、セフチゾキシム、モキソラクタム、チエナマイシ
ン、スルファゼシン、アズスレオナムまたはそれらの塩
などが挙げられる。上記の解熱、鎮痛、消炎剤として
は、例えば、サリチル酸、スルピリン、フルフェナム
酸、ジクロフェナック、インドメタシン、モルヒネ、ペ
チジン、酒石酸レボルファノール、オキシモルフォンな
どが、鎮咳去たん剤としては、例えば、エフェドリン、
メチルエフェドリン、ノスカピン、コデイン、ジヒドロ
コデイン、アロクラマイド、クロルフェジアノール、ピ
コペリダミン、クロペラスチン、プロトキロール、イソ
プロテレノール、サルブタノール、テレブタリンまたは
その塩などが、鎮痛剤としては、例えば、クロルプロマ
ジン、プロクロルペラジン、トリフロペラジン、アトロ
ピン、スコポラミンまたはその塩などが、筋弛緩剤とし
ては、例えば、プリジノール、ツボクラリン、パンクロ
ニウムなどが、抗てんかん剤としては、例えば、フェニ
トイン、エトサクシミド、アセタゾラミド、クロルジア
ゼポキシドなどが、それぞれ挙げられる。
【0010】上記抗潰瘍剤としては、例えば、メトクロ
プロミド、ヒスチジンなどが、抗うつ剤としては、例え
ば、イミプラミン、クロミプラミン、ノキシプチリン、
フェネルジンなどが、抗アレルギー剤としては、例え
ば、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、トリペ
レナミン、メトジラジン、クレミゾール、ジフェニルピ
ラリン、メトキシフェナミンなどが、強心剤としては、
例えば、トランスバイオキソカンファー、テレフィロー
ル、アミノフィリン、エチレフリンなどが、不整脈治療
剤としては、例えば、プロプラノール、アルプレノロー
ル、ブフェトロールオキシプレノロールなどが、血管拡
張剤としては、例えば、オキシフェドリン、ジルチアゼ
ム、トラゾリン、ヘキソベンジン、バメタンなどが、降
圧利尿剤としては、例えば、ヘキサメトニウムプロミ
ド、ペントリニウム、メカミルアミン、エカラジン、ク
ロニジンなどが、糖尿病治療剤としては、例えば、グリ
ミジン、グリビザイド、フェンフォルミン、ブフォルミ
ン、メトフォルミンなどが、抗凝血剤としては、例え
ば、ヘパリン、クエン酸などが、止血剤としては、例え
ば、トロンボプラスチン、トロンビン、メナジオン、ア
セトメナフトン、ε−アミノカプロン酸、トラネキサム
酸、カルバゾクロムスルホン酸、アドレノクロムモノア
ミノグアニジンなどが、抗結核剤としては、例えば、イ
ソニアジド、エタンブトール、パラアミノサリチル酸な
どが、ホルモン剤としては、例えば、プレドニゾロン、
プレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、ヘキ
セストロール、メチマゾールなどが、麻薬拮抗剤として
は、例えば、レバロルファン、ナロルフィン、ナロキソ
ンまたはその塩などが、骨吸収抑制剤としては、(硫黄
含有アルキル)アミノメチレンビスフォスフォン酸など
が、血管新生抑制剤としては、血管新生抑制ステロイド
[サイエンス(Science)第221巻719頁(1983
年)参照]、フマギリン(ヨーロッパ特許公開第325
199号公報参照)、フマギロール誘導体(ヨーロッバ
特許公開第357061号、同第359036号、同第
386667号、同第415294号公報参照)などが
それぞれ挙げられる。 これらのうち、水溶性の薬物の
製剤の場合に過剰の初期放出が認められることが多いた
め、本発明は水溶性の薬物に適用するのがより好まし
い。薬物の水溶性は、水とn−オクタノールとの油水分
配率で定義され、n−オクタノール/水溶解度の比が1
以下の薬物への適用が好ましく、0.1以下の薬物への
適用がより好ましい。
【0011】油水分配率の測定は、「物理化学実験法」
鮫島実三郎著、裳華房刊、昭和36年に記載された方法
に従えばよい。すなわち、まず試験管中にn−オクタノ
ールおよびpH5.5の緩衝液(1対1の等量混合物)を
入れる。該緩衝液としては例えばゼーレンゼン(Sφer
enzen)緩衝液[Ergeb. Physiol. 12,393(191
2)]、クラークルブス(Clark-Lubs)緩衝液[J. Bact.
(1),109,191(1917)]、マクルベイ
ン(Macllvaine)緩衝液[J. Biol. Chem. 49,183
(1921)]、ミカエリス(Michaelis)緩衝液[Die W
asser-stoffionenkonzentration. p.186(191
4)]、コルソフ(Kolthoff)緩衝液[Biochem. Z. 17
,410(1926)]などが挙げられる。これらの
薬物を適宜量投入し、さらに栓をして恒温槽(25℃)
に浸し、しばしば強く振盪する。そして薬物が両液層間
に溶け、平衡に達したと思われる頃、液を静置あるいは
遠心分離し、上下各層より別々にピペットにて一定量の
液をとり出し、これを分析して各層の中における薬物の
濃度を決定し、n−オクタノール層中の薬物の濃度/水
層中の薬物の濃度の比をとれば、油水分配率となる。薬
物はそれ自身であっても、薬学的に許容される塩であっ
てもよい。該薬学的に許容される塩としては、例えば、
薬物がアミノ基等の塩基性基を有する場合、無機酸
(例、塩酸,硫酸,硝酸等)、有機酸(例、炭酸,クエ
ン酸等)との塩が挙げられ、例えば、薬物がカルボキシ
ル基等の酸性基を有する場合、無機塩基(例、ナトリウ
ム,カリウム等のアルカリ金属等)、塩基性有機化合物
(例、トリエチルアミン,ピリジン等)、塩基性アミノ
酸(例、アルギニン,ヒスチジン等)との塩が挙げられ
る。
【0012】上記薬物の使用量は、薬物の種類、所望の
薬理効果および効果の持続期間などにより異なり、個々
の微粒子製剤の用途に応じて適宜選択できる。例えば、
微粒子製剤製造に際し、通常、薬物の濃度として、約
0.001%〜70%(W/W)、より好ましくは、約0.
01%〜50%(W/W)の範囲から選ばれる。本発明の
微粒子製剤に用いる高分子重合物は、水に難溶または不
溶で、生体適合性のある高分子重合物であり、水に難溶
とは、水に対する溶解度が、3%(w/w)以下である
ことを意味する。高分子重合物の使用量は、薬物の薬理
活性の強さと、薬物放出の速度および期間などによって
決まる。例えば、薬物に対して約0.5〜10,000倍
(重量比)の量で調製され、好ましくは約1〜100倍
(重量比)の量の高分子重合物を用いる。
【0013】高分子重合物の数平均分子量は、約3,0
00〜30,000のものが好ましい。さらに約5,00
0〜25,000のものが好ましく、約5,000〜2
0,000のものが特に好ましい。本明細書における、
重量平均分子量および分散度は、ポリスチレンを基準物
質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(G
PC)で測定した値を意味する。測定は、GPCカラム
KF804×2(昭和電工製)を使用、移動相としてク
ロロホルムを用いた。高分子重合物の例としては、例え
ば生体内分解型として、ポリ脂肪酸エステル〔例、脂肪
酸の単重合物(例、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ
クエン酸、ポリリンゴ酸等)、2種以上の脂肪酸共重合
物(例、乳酸/グリコール酸共重合体、2−ヒドロキシ
酪酸/グリコール酸共重合体等)、これらの混合物
(例、ポリ乳酸と2−ヒドロキシ酪酸/グリコール酸共
重合体の混合物等)、ここで、脂肪酸としては、例えば
α−ヒドロキシ脂肪酸(例、グリコール酸、乳酸、2−
ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキ
シ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−
ヒドロキシイソカプロン酸、2−ヒドロキシカプリン酸
等)α−ヒドロキシ脂肪酸の環状2量体(例、グリコシ
ド、ラクチド等)、ヒドロキシジカルボン酸(例、リン
ゴ酸等)、ヒドロキシトリカルボン酸(例、クエン酸
等)をいう〕、ポリ−α−シアノアクリル酸エステル、
ポリ−ヒドロキシ酪酸、ポリアルキレンオキサレート
(例、ポリトリメチレンオキサレート、ポリテトラメチ
レンオキサレートなど)、ポリオルソエステル、ポリオ
ルソカーボネートあるいはその他のポリカーボネート
(例、ポリエチレンカーボネート、ポリエチレンプロピ
レンカーボネートなど)、ポリアミノ酸(例、ポリ−γ−
ベンジル−L−グルタミン酸、ポリ−L−アラニン、ポ
リ−γ−メチル−L−グルタミン酸など)などが挙げら
れる。さらに、生体適合性を有するその他の高分子重合
物として、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリメタア
クリル酸、アクリル酸とメタアクリル酸との共重合物、
シリコンポリマー、デキストランステアレート、エチル
セルロース、アセチルセルロース、ニトロセルロース、
ポリウレタン、無水マレイン酸系共重合物、エチレンビ
ニールアセテート系共重合物、ポリビニールアセテー
ト、ポリビニールアルコール、ポリアクリルアミドなど
が挙げられる。これらの重合物は一種でもよく、また2
種以上の共重合物、あるいは単なる混合物でもよく、ま
たその塩でもよい。
【0014】これらの高分子重合物の中で、ポリ脂肪酸
エステル、ポリ−α−シアノアクリル酸エステルが好ま
しい。さらに、ポリ脂肪酸エステルが特に好ましい。ポ
リ脂肪酸エステルの中で、α−ヒドロキシ脂肪酸または
α−ヒドロキシ脂肪酸の環状2量体の単重合物、2種以
上のα−ヒドロキシ脂肪酸またはα−ヒドロキシ脂肪酸
の環状2量体の共重合物あるいはこれらの混合物が好ま
しい。さらに、α−ヒドロキシ脂肪酸の単重合物、2種
以上のα−ヒドロキシ脂肪酸の共重合物あるいはこれら
の混合物がより好ましい。とりわけ、ポリ乳酸、乳酸/
グリコール酸共重合物、2−ヒドロキシ酪酸/グリコー
ル酸共重合物あるいはこれらの混合物が特に好ましい。
これらのα−ヒドロキシカルボン酸において、D−体、
L−体およびD,L−体が存在するものは、そのいずれ
を用いてもよいが、D,L−体が好ましい。上記の高分
子重合物として、乳酸/グリコール酸共重合物を用いる
場合、その組成比は約100/0〜50/50が好まし
く、酪酸−グリコール酸共重合物を用いる場合、その組
成比は約100/0〜25/75が好ましい。乳酸/グ
リコール酸共重合物の重量平均分子量は、約5,000
から約30,000のものが好ましい。さらに約5,00
0から20,000のものが特に好ましい。上記高分子
重合物として例えばポリ乳酸(A)とグリコール酸/2
−ヒドロキシ酪酸共重合物(B)との混合物を用いる場
合、(A)/(B)で表される混合比が約10/90か
ら約90/10(重量比)の範囲で使用される。好まし
くは約25/75から約75/25(重量比)の範囲で
ある。
【0015】ポリ乳酸の重量平均分子量は約5,000
から約30,000のものが好ましい。さらに約6,00
0から約20,000のものが特に好ましい。グリコー
ル酸/2−ヒドロキシ酪酸共重合物は、その組成が、グ
リコール酸が約40から約70モル、残りが2−ヒドロ
キシ酪酸であるものが好ましい。グリコール酸/2−ヒ
ドロキシ酪酸共重合物の重量平均分子量は約5,000
から約25,000のものが好ましい。さらに約5,00
0から約20,000のものが特に好ましい。本発明の
微粒子製剤において、凝集防止剤として用いられる水溶
性の無機塩、有機酸および有機酸塩としては人体に投与
できる、室温で固体の非付着性の物質であれば、特に限
定するものではない。無機塩としては、例えば、ハロゲ
ン化アルカリ金属(例、塩化ナトリウム、塩化カリウ
ム、臭化ナトリウム、臭化カリウムなど)、ハロゲン化
アルカリ土類金属(例、塩化カルシウム、塩化マグネシ
ウムなど)、ハロゲン化アンモニウム(例、塩化アンモ
ニウム、臭化アンモニウムなど)、アルカリ金属の炭酸
塩または炭酸水素塩(例、炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなど)、ア
ルカリ土類金属の炭酸塩(例、炭酸カルシウム、炭酸マ
グネシウムなど)、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモ
ニウム、アルカリ金属のリン酸塩類(例、リン酸3ナト
リウム、リン酸3カリウム、リン酸水素2ナトリウム、
リン酸水素2カリウム、リン酸2水素ナトリウム、リン
酸2水素カリウムなど)、リン酸水素2アンモニウム、
リン酸2水素アンモニウム、アルカリ土類金属の酸化物
(例、酸化マグネシウム、酸化カルシウムなど)、アル
カリ土類金属の水酸化物(例、水酸化マグネシウム、水
酸化カルシウムなど)などが挙げられる。水溶性の有機
酸としては、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハ
ク酸、安息香酸、コンドロイチン硫酸、デキストラン硫
酸、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ペクチ
ン酸等が挙げられる。水溶性の有機酸塩としては、例え
ば酢酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、安息
香酸、コンドロイチン硫酸、デキストラン硫酸、カルボ
キシメチルセルロース、アルギン酸、ペクチン酸、炭
酸、重炭酸などとアルカリ金属(例、ナトリウム,カリ
ウム等)、アンモニア、塩基性アミノ酸またはアルカリ
土類金属(例、カルシウム,マクネシウム等)との塩が
挙げられる。
【0016】これらのうち、水溶性の無機塩が特に好ま
しい。これらの水溶性の無機塩、有機酸および有機酸塩
は1種類または2種類以上を適宜の割合で組み合わせて
使用することができる。上記水溶性の無機塩、有機酸ま
たは有機酸塩の高分子重合物に対する配合比は、凝集防
止効果が認められる範囲であればよい。具体的には、重
量比で約0.001〜100倍、より好ましくは約0.0
1〜50倍から選ばれる。さらに好ましくは約0.1〜
10倍が選ばれる。また、本発明においては、界面活性
剤を水溶性の無機塩、有機酸または有機酸塩溶液に混合
して、または凝集防止剤とは別のノズルで薬物高分子重
合物液と同時に噴霧してもよく、これにより、界面活性
剤が微粒子製剤表面に分散あるいは被覆され、分散媒へ
の微粒子製剤の分散時に非常に優れた分散性を示す。該
界面活性剤の好ましい具体例としては、例えば、アルキ
レングリコール類(例、プロピレングリコールなど)、
ポリソルベート類(例、ポリソルベート40、ポリソル
ベート60、ポリソルベート80など)、マクロゴール
類(例、マクロゴール300、マクロゴール400、マ
クロゴール600、マクロゴール1500、マクロゴー
ル4000、マクロゴール6000など)、ポリオキシ
エチレン硬化ヒマシ油類(例、ポリオキシエチレン硬化
ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60など)などの非イ
オン性界面活性剤が挙げられ、これらの1種類あるいは
2種類以上を適宜の割合で組み合わせて使用することが
できる。上記界面活性剤の高分子重合物に対する配合比
は、分散性の向上が認められる範囲であればよい。具体
的には、重量比で約0.0000001〜10倍、より
好ましくは0.000005〜5倍が選ばれる。さらに
好ましくは0.00001〜0.01倍が選ばれる。
【0017】本発明の微粒子製剤を製造するには、上記
のごとく、(1)薬物と高分子重合物を含む溶液、
(2)薬物または高分子重合物あるいは両者の一部また
は全部が分散状態にある液、(3)薬物または高分子重
合物あるいは両者を含む液が、O/W、W/O、W/O
/W、O/W/O型の乳化液、(4)薬物または高分子
重合物あるいは両者を含む液が(3)の乳化状態にあっ
て、かつ、薬物または高分子重合物あるいは両者の一部
または全部が分散状態である液をスプレードライヤーの
ノズルから微粒化・噴霧し、別のノズルから水溶性の無
機塩、有機酸または有機酸塩の液を噴霧する。所望によ
り、水溶性の無機塩、有機酸または有機酸塩の液に非イ
オン界面活性剤を添加してもよく、あるいは非イオン界
面活性剤の液を別途、噴霧してもよい。水溶性の無機
塩、有機酸または有機酸塩の液は水溶液が好ましい。さ
らに詳しくは、例えば、水溶性薬物の場合、まず、水に
水溶性薬物を溶解し、内水相用水溶液とする。また、該
水溶液には、水溶性薬物の安定性あるいは溶解性を保つ
ためのpH調整剤として、例えば、無機酸(例、炭酸,
リン酸など)、有機酸(例、酢酸、シュウ酸、クエン
酸、酒石酸、コハク酸など)またはそれら無機酸、有機
酸のアルカリ金属塩、塩酸、水酸化アルカリ金属(例、
水酸化ナトリウムなど)などを添加してもよい。さら
に、水溶性薬物の安定化剤として、例えば、アルブミ
ン、ゼラチン、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸ナト
リウム、デキストリン、亜硫酸水素ナトリウムなどを、
あるいは保存剤として、例えば、パラオキシ安息香酸エ
ステル類(例、メチルパラベン、プロピルパラベン)、ベ
ンジルアルコール、クロロブタノール、チメロサールな
どを添加してもよい。
【0018】このようにして得られた内水相用水溶液
を、高分子重合物を含む溶液(油相)中に加え、ついで乳
化操作を行い、W/O型乳化液をつくる。高分子重合物
溶液としては、高分子重合物を有機溶媒中に溶解したも
のが用いられる。該有機溶媒としては、沸点が約120
℃以下で、高分子重合物を溶解するものであればよい。
その具体例として、例えば、ハロゲン化アルカン類
(例、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロエタン、
トリクロロエタン、四塩化炭素など)、エステル類
(例、酢酸エチルなど)、エーテル類(例、エチルエー
テル、テトラヒドロフランなど)、アルコール類(例、
メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノ
ールなど)、ケトン類(例、アセトン、メチルエチルケ
トンなど)、ニトリル類(例、アセトニトリルなど)、
炭化水素類(例、n−ヘキサン、シクロヘキサンな
ど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエンなど)な
どが挙げられる。これらの有機溶媒は、2種類以上適宜
の割合で混合して用いてもよい。該乳化操作は、公知の
分散法が用いられる。該方法としては、例えば、断続振
とう法、プルペラ型撹拌機あるいはタービン型撹拌機な
どのミキサーによる方法、コロイドミル法、ホモジナイ
ザー法、超音波照射法などが挙げられる。
【0019】高分子重合物あるいは薬物または両者を含
む液が乳化液である場合、水相の比率としては好ましく
は約5〜95%であり、さらに好ましくは約10〜30
%であるが、使用する溶媒および薬物の性質によりその
比率は自由に変えることができる。また、薬物(水溶性
でも脂溶性でもよい)と高分子重合物を有機溶媒または
水と混和する溶媒と水の混液に溶解し、薬物が不溶の場
合には懸濁操作を行い、微細な粒子としたS/O型懸濁
物をつくる。この場合の有機溶媒としては、上記のもの
以外に、水と混和し易い性質のものであってもよく、例
えば、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、ピリジン、アルコール類などが挙げら
れ、これらは2種類以上混合して用いてもよい。あるい
は、薬物と高分子重合物を均一に溶解する上記有機溶媒
と水との適当な比率の混合液を用いてもよい。この時の
水の比率としては、約1〜99%であり、好ましくは約
5〜90%であり、さらに好ましくは約10〜30%で
あるが、使用する溶媒および薬物の特性によりその比率
は自由に変えることができる。
【0020】ついで、このようにして調製した乳化物あ
るいは懸濁物、溶液または懸濁乳化物をノズルを用いて
スプレードライヤーの乾燥室内へ噴霧し、極めて短時間
に微粒化液滴内の有機溶媒および水を揮発させ、粉粒状
の微粒子製剤を調製する。ノズルとしては、二流体ノズ
ル型、多流体ノズル型、圧力ノズル型、回転ディスク型
などがある。本発明においては、この際、微粒子製剤の
凝集防止を目的として、水溶性の無機塩、有機酸または
有機酸塩の液を別ノズルから同時に、あるいは同ノズル
または別ノズルからあらかじめ噴霧する。望ましくは、
ノズルを2つ設置し、一方からは薬物と高分子重合物の
乳化物、懸濁物、水溶液または懸濁乳化物を噴霧し、も
う一方からは水溶性の無機塩、有機酸または有機酸塩を
噴霧し、微粒子製剤の表面に水溶性の無機塩、有機酸ま
たは有機酸塩を一様に分散させる。ノズルとして、二流
体ノズルあるいは圧力ノズルを使用する場合には、スプ
レードライヤー中央部に2本設置してもよいが、薬物高
分子重合物と水溶性の無機塩、有機酸または有機酸塩の
液とをノズル内で混合せずに別々に噴霧できるように2
液噴霧用の構造とした各種ノズルを用いるとよい。この
際、上記のごとく非イオン性界面活性剤を水溶性の無機
塩、有機酸または有機酸塩に添加してもよい。また、水
溶性の無機塩、有機酸または有機酸塩の液とは別のノズ
ルで非イオン性界面活性剤の水あるいは上記のような有
機溶媒溶液または分散液を薬物高分子重合物の液と同時
に噴霧する。
【0021】噴霧条件は特に限定するものではなく、個
々の微粒子製剤や用いるスプレードライヤーに応じて適
宜選択する。このようにして得られた微粒子製剤は必要
であれば加温し、減圧下で微粒子製剤中の水分の除去お
よび微粒子製剤膜中の溶媒の除去を完全に行う。本発明
の微粒子製剤の粒子径は、徐放性の程度、製剤の種類に
より適宜選択される。例えば、注射用の懸濁剤として用
いる場合、分散性、通針性を満足するような範囲であれ
ばよい。具体的には、平均粒子として、約0.5〜40
0μm、より好ましくは約2〜200μmの範囲であれ
ばよい。このように、本発明によれば、微粒子製剤の表
面に非付着性の水溶性の無機塩、有機酸または有機酸塩
が分散しているために製造工程中で微粒子製剤同士の凝
集が少なく、球形状のよく整った微粒子製剤を得ること
ができ、また、非イオン性の界面活性剤を薬物高分子重
合体液と同時に噴霧した場合には、微粒子製剤を分散媒
中に分散する時に極めて優れた分散性をしめすなどの長
所を有している。また、水中乾燥法では避けることので
きない主薬の損失をすることなく、薬物の微粒子製剤へ
の取り込み率をほとんど100%にまで高めることがで
きる。さらに、油中乾燥法よりも使用する有機溶媒の量
は少量で済むことや、水中乾燥法では溶媒の除去にきわ
めて長時間を要していたが、その時間を大幅に短縮でき
ることなどから本発明は、工業生産上極めて有利であ
る。
【0022】本発明の微粒子製剤は低毒性であり安全に
用いられる。本発明の微粒子製剤は、その含有する主薬
の薬理活性により種々の疾病の予防または治療に用いら
れる。例えば主薬がLH−RH誘導体の場合、前立腺ガ
ンおよび子宮内膜症の治療に、例えば主薬がTRHの場
合、老人痴呆症および脊髄小脳変性症の治療に、例えば
主薬が(硫黄含有アルキル)アミノメチレンビスフォス
フォン酸の場合、骨粗鬆症の予防または治療に用いられ
る。本発明の微粒子製剤は、そのまま細粒剤として生体
に投与することができるが、また、種々の製剤に成型し
て投与することもでき、そのような製剤を製造する際の
原料としても使用され得る。上記製剤としては、非経口
投与製剤[例、注射剤、外用剤(例、経鼻投与製剤、経
皮投与製剤など)、坐剤(例、直腸坐剤、膣坐剤)
等]、経口投与製剤(例、散剤、顆粒剤、カプセル剤、
錠剤等)などが挙げられる。これらの製剤中含有させる
薬物の量は、薬物の種類、投与剤型、対象とする疾患な
どにより変化し得るが、通常は、1製剤当たり約0.0
01mgから約5g、好ましくは約0.01mgから約2gで
ある。例えばTRHその塩およびその誘導体の場合、通
常は、1製剤当たり約0.1mgから約1g、好ましくは約
1mgから約500mg、特に好ましくは約3mgから約60
mgである。
【0023】これらの製剤は、製剤工程において通常一
般に用いられる自体公知の方法により製造することがで
きる。たとえば、本発明方法の微粒子製剤は分散剤
(例、ツイーン(Tween)80(アトラスパウダー社
製、米国)、HCO60(日光ケミカルズ製)、カルボ
キシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなど)、
保存剤(例、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベン
ジールアルコール、クロロブタノールなど)、等張化剤
(例、塩化ナトリウム、グリセリン、ソルビトール、ブ
ドウ糖など)などと共に水性懸濁剤に、あるいはオリー
ブ油、ゴマ油、ラッカセイ油、綿実油、コーン油などの
植物油、プロピレングリコールなどに分散して油性懸濁
剤に成形し、注射剤とすることができる。たとえば経口
投与製剤にするには、自体公知の方法に従い、本発明の
微粒子製剤をたとえば賦形剤(例、乳糖、白糖、デンプ
ンなど)、崩壊剤(例、デンプン、炭酸カルシウムな
ど)、結合剤(例、デンプン、アラビアゴム、カルボキ
シメチルセルロース、ポリビニールピロリドン、ヒドロ
キシプロピルセルロースなど)または滑沢剤(例、タル
ク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコー
ル6000など)などを添加して圧縮成形し、次いで必
要により、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性の目
的のため自体公知の方法でコーティングすることにより
経口投与製剤とすることができる。そのコーティング剤
としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、
ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレング
リコール、ツイーン80、ブルロニックF68、セルロ
ースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチル
セルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースア
セテートサクシネート、オイドラギット(ローム社製、
ドイツ、メタアクリル酸・アクリル酸共重合)および酸
化チタン、ベンガラ等の色素が用いられる。
【0024】たとえば外用剤とするには、自体公知の方
法に従い、本発明の微粒子製剤を固状、半固状または液
状の外用剤とすることができる。たとえば、上記固状の
ものとしては、該微粒子製剤をそのまま、あるいは賦形
剤(例、グルコース、マンニトール、デンプン、微結晶
セルロースなど)、増粘剤(例、天然ガム類、セルロー
ス誘導体、アクリル酸重合体など)などを添加、混合し
て粉状の組成物とする。上記液状のものとしては、注射
剤の場合とほとんど同様で、油性あるいは水性懸濁剤と
する。半固状の場合は、水性または油性のゲル剤、ある
いは軟膏状のものがよい。また、これらはいずれも、p
H調節剤(例、炭酸、リン酸、クエン酸、塩酸、水酸化
ナトリウムなど)、防腐剤(例、パラオキシ安息香酸エ
ステル類、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウムな
ど)などを加えてもよい。
【0025】たとえば坐剤とするには、自体公知の方法
に従い、本発明の微粒子製剤を油性または水性の固状、
半固状あるいは液状の坐剤とすることができる。上記組
成物に用いる油性基剤としては、微粒子製剤を溶解しな
いものであればよく、たとえば高級脂肪酸のグリセリド
[例、カカオ脂、ウイテプゾル類(ダイナマイトノーベ
ル社)など]、中級脂肪酸[例、ミグリオール類(ダイナ
マイトノーベル社)など]、あるいは植物油(例、ゴマ
油、大豆油、綿実油など)などが挙げられる。また、水
性基剤としては、たとえばポリエチレングリコール類、
プロピレングリコール、水性ゲル基剤としては、たとえ
ば天然ガム類、セルロース誘導体、ビニール重合体、ア
クリル酸重合体などが挙げられる。本発明の微粒子製剤
の投与量は、主薬の種類と含量、剤形、薬物放出の持続
時間、投与対象動物(例、マウス、ラット、ウマ、ウ
シ、人等の温血哺乳動物)、投与目的により種々異なる
が、該主薬の有効量であればよい。たとえば、成人(体
重50kg)1人に1回あたりの投与量として、微粒子製
剤の重量が約1mgないし10g、好ましくは約10mgな
いし2gの範囲から、適宜選択することができる。例え
ばTRHその塩およびその誘導体含有微粒子製剤の場
合、成人(体重50kg)1人に1回あたりの投与量として
該微粒子製剤の重量が約5mgないし5g、好ましくは約
30mgないし2g、特に好ましくは約50mgないし1gの
範囲から適宜選択することができる。なお、上記注射剤
として投与する場合の懸濁液の容量は、約0.1ないし
5ml、好ましくは約0.5ないし3mlの範囲から適宜選
ぶことができる。
【0026】微粒子製剤の基剤として用いる高分子重合
物は公知の方法、例えば特開昭50−17525号、同
56−45920号、同57−118512号、同57
−150609号、同61−28521号、同62−5
4760号公報、ヨーロッパ特許公開第481732号
公報に記載の方法あるいはこれらに準じた方法に従い製
造することができる。かくして、本発明の微粒子製剤
は、例えば、つぎの特徴を有する。 (1)種々の投与剤形で薬物の徐放性が得られ、特に注射
剤においては期待される治療を行なうのに、長期間投与
が必要な場合、毎日投与するかわりに、1週間に1回、
一月間に1回、あるいは1年間に1回の注射で、所望の
薬理効果が安定して得られ、従来の徐放性製剤に比較し
て、より長期にわたる徐放性が得られる。 (2)生体内分解型高分子重合物を用い注射剤として投与
する場合は、埋込みなどの外科手術が一切不用で、一般
の懸濁注射剤とまったく同様に容易に皮下および筋肉内
に投与でき、再び取り出す必要がない。また、腫瘍、炎
症部位あるいはレセプターの存在する局所などにも直接
投与でき、全身での副作用を軽減し、効率よく長期にわ
たりその標的器官に薬物を作用させることができ、作用
の増強が期待される。さらに、加藤らによって提唱され
ている腎臓癌、肺癌などの血管栓塞療法[ランセット(L
ancet II)、第479〜480頁、(1979年)]の
際の動脈内投与にも用いることが可能である。
【0027】(3)主薬の放出が連続的で、ホルモン拮抗
剤、レセプター拮抗剤の場合などにおいては、毎日の頻
回投与よりも強い薬理効果が得られる。 (4)従来のW/O/W型の三相乳化液をつくり、これを
水中乾燥に付す製造法よりも、微粒子製剤中に薬物を効
率よく取込ませることができ、しかも微細な、球状の整
った微粒子製剤を得ることができる。 (5)水中乾燥法では不可能であった10〜50%の薬物
含量のマイクロカプセルを得ることができる。 (6)水中乾燥法よりも溶媒の除去速度が速いため、微粒
子製剤の固化速度が速く、強固な構造の微粒子製剤が出
来るため、投与後の薬物の初期放出量を少なくすること
が可能である。 (7)薬物と高分子重合物を含む液だけをスプレードライ
する方法よりも、微粒子製剤の凝集や付着が著しく少な
い。 (8)凝集防止剤として水溶性の無機塩、有機酸または有
機酸塩分散液あるいは溶液をあらかじめ、または薬物高
分子重合体液と同時に噴霧することにより、さらに微粒
子製剤同士の付着、凝集を少なくすることができるとと
もに、スプレードライヤー本体、配管部への付着を少な
くすることができる。 (9)さらに、非イオン性界面活性剤を高分子重合物と同
時に噴霧することにより、分散媒への微粒子製剤分散時
に非常によい分散性を得ることができる。
【0028】
【実施例】以下、実験例および実施例を挙げて本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定され
るものではない。なお、以下の実験例および実施例にお
いて濃度を表すパーセント(%)は、重量/容量パーセン
ト(W/V%)を表す。 実験例1 酢酸リュープロレリン5gを水50mlに60℃で溶解
し、乳酸・グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸
=75/25、ポリスチレン換算平均分子量13,00
0)45gを塩化メチレン75mlに溶解した液を加え、小
型ホモジナイザー(ポリトロン、キネマチカ社製、スイ
ス)で乳化してW/O型エマルジョンを得た。 (1)水中乾燥法(従来法、A法と略記する。) 上記W/O型エマルジョンを0.5%PVA水溶液20
00ml中でホモジナイザーを使用して(W/O)/W型エ
マルジョンとした。この後、通常のプロペラ撹拌機でゆ
っくり撹拌し、(W/O)型マイクロカプセルから塩化メ
チレンの揮散と共に固化するのを待って遠心分離機で捕
集し、同時に精製水で水洗した。捕集されたマイクロカ
プセルは、一昼夜凍結乾燥することによって粉末として
得られた。 (2)スプレードライ法(本発明方法、B法と略記す
る。) 上記W/O型エマルションを一方の二流体ノズルで、流
速10ml/分で同時に、もう一方のノズルからは、2%
食塩液を流速10ml/分でスプレードライヤーの乾燥室
内へ噴霧して粉末のマイクロカプセルを得た。この時の
乾燥室入口温度は95℃、出口温度40℃で、風量は8
0Kg/時で実施した。A法、B法の両方法で製造した
マイクロカプセルの諸特性を比較した結果を表1に示
す。
【0029】
【表1】 マイクロカプセルの特性比較 表面状態 薬物取込率 1) 1日での放 出率 2) 粒度分布 3) A法 小孔多い 5.2% 77% 5〜200μm B法 小孔少ない 100% 24% 5〜40μm 1)薬物取込率の測定方法 マイクロカプセル中の酢酸リュープロレリン含量は、高
速液体クロマトグラフィー(HPLC,装置:日立 L
−6300型装置,日立製)を用いて測定した。マイク
ロカプセル(50mg)を10mlの塩化メチレンに溶解
し、1/30モル・リン酸緩衝液(pH6.0,20ml)
で抽出し、緩衝液層に抽出された酢酸リュープロレリン
をHPLCで定量した。検知には紫外吸収検知器を用
い、下記の条件で測定した。 カラム:ライクロソルブ(Lichrosorb)RP・15,長さ
250mm,直径4mmカラム温度:30℃ 移動層:0.25モル・アセトニトリル(100ml)と
メチルアルコール(150ml)との混液 流速:0.7ml/分 紫外検知器の波長:280nm 薬物取込率は下式により計算した。
【0030】
【数1】 2)1日での放出率の測定法 マイクロカプセル(50mg)を0.05%のツイーン−
80を含む10mlの1/30モル・リン酸緩衝液(pH
7.0)中に懸濁する。この懸濁液を振盪容器を用い1
日振盪する。振盪後、マイクロカプセルを0.8μmのミ
リポアフルターでろ取し、マイクロカプセル中に残った
酢酸リュープロレリンを上記1)薬物取込率の測定方法
で述べた方法で定量した。また同様にして、振盪前のマ
イクロカプセル中の酢酸リュープロレリンを定量した。
1日での放出率は下式により計算した。
【0031】
【数2】 3)粒度分布の測定方法 マイクロカプセル(10mg)をイソトンII液(250m
l,株式会社日科器製)に分散した。この分散液を10
0μmまたは280μmアパーチャーチューブを装置した
マルチライザー[コールター(Coulter)社製,米国]によ
り分析し、粒度分布を測定した。走査電子顕微鏡で観察
したマイクロカプセル表面は、A法によるものは非常に
小孔が多く、B法によるものは小孔はほとんど認められ
ず、表面に食塩が一様に分散していた。薬物である酢酸
リュープロレリンの取込み率は、B法がA法よりも高か
った。放出試験での1日での薬物放出量(初期放出量)
は、B法の方が少なかった。粒度分布は、B法によるも
のの方が分布がシャープであった。また、製造に要する
時間は、A法で約24時間であったのに対し、B法では
約10分間と短時間であった。このように、総合的に比
較してB法はA法よりも極めて有用な徐放性マイクロカ
プセルの製造法であった。
【0032】実験例2 甲状腺刺激ホルモン遊離ホルモン(TRH)0.5gと乳酸
・グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=75/
25、平均分子量14000)9.5gをアセトン30ml
と水2mlの混合溶媒に均一に溶解し、スプレードライヤ
ー中央にセットした2本の二流体ノズルの内の一方か
ら、流速10ml/分で噴霧し、同時にマイクロカプセル
の付着防止用として、4%ソルビトール液をもう一方の
ノズルから噴霧して、粉末のマイクロカプセルを得た。
(これをC法とする。)また、マイクロカプセルの付着防
止剤として3%食塩液をもう一方のノズルから噴霧し
て、粉末のマイクロカプセルを得た。(これをD法とす
る。)さらに、0.0005%ポリソネベート80を含む
3%食塩液を一方のノズルから噴霧して粉末のマイクロ
カプセルを得た。(これをE法とする。)C、D、E法で
製造したマイクロカプセルの諸特性を比較した結果を表
2に示す。
【表2】 マイクロカプセルの特性比較 薬物取込率 1日での放出率 平均粒 径 残存水分 C法 99% 6% 45μm 0.9% D法 100% 5% 23μm 0.3% E法 100% 6% 24μ m 0.3%
【0033】TRHのマイクロカプセル中含量は9.9
〜10.0%(取込み率99〜100%)で、C、D、E
法において差を認めず、pH7.0のM/30リン酸緩衝
液(37℃)中での初期放出率は5〜6%で、C、D、E
法に差を認めなかった。粒度分布はC法では5〜90μ
m(平均45μm)、D法では5〜40μm(平均23μm)、
E法では5〜40μm(平均24μm)であり、D、E法に
差を認めなかった。また、水分含量はC法は0.9%、
D、E法は0.3%であるが、水中乾燥の後、凍結乾燥
したマイクロカプセルの水分1.0%よりも少ない結果
であった。走査電子顕微鏡で観察したマイクロカプセル
表面は、C、D、Eとも小孔はほとんど認められなかっ
たが、C法の製剤はソルビトールによってマイクロカプ
セルの凝集が認められ、これにより平均粒径がおおきく
なっていると考えられる。ポリソルベート80、マンニ
ットを含む分散媒へのマイクロカプセルの分散性を見る
と、C法の製剤は分散性が悪く、振とうしても分散しな
い粒子塊が認められ、24時間放置後の粒子塊は分散し
なかった。一方、D法の製剤は比較的分散性はよかった
が、分散しない粒子がわずかに認められ、超音波をあて
ることにより容易に分散した。24時間静置後、沈降し
た粒子は軽く振とうするだけで際分散した。E法の製剤
は分散媒への分散性はよく、容易に分散し、24時間静
置後も容易に再分散した。
【0034】実施例1 甲状腺刺激ホルモン遊離ホルモン(TRH)0.4gと
乳酸/グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=7
5/25、平均分子量14000)4.6gを塩化メチ
レン9.5mlとアセトニトリル10mlとエタノール
0.5mlの混合溶媒また、塩化メチレン12mlとア
セトニトリル7.5mlとエタノール0.5mlの混合溶
媒に均一に溶解し、スプレードライヤー中央にセットし
た2本の二流体ノズルの内の一方から、流速10ml/
分で噴霧し、同時にマイクロカプセルの付着防止用とし
て、1/5Mリン酸バッファー(リン酸水素2ナトリウ
ム・リン酸二水素ナトリウム、pH7.4)をもう一方
のノズルから噴霧して、粉末のマイクロカプセルを得
た。得られたマイクロカプセルのいずれも薬物取り込み
率は100%で、放出試験での初期放出量は、15%で
あった。分散性も良く、平均粒径は22μmであった。 実施例2 甲状腺刺激ホルモン遊離ホルモン(TRH)0.8gと
乳酸/グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=7
5/25、平均分子量14000)9.2gをアセトニ
トリル34.6mlと水5.3mlの混合溶媒に均一に溶
解し、スプレードライヤー中央にセットした2本の二流
体ノズルの内の一方から、流速10ml/分で噴霧し、
同時にマイクロカプセルの付着防止用として、1/5M
リン酸バッファー(リン酸水素2ナトリウム・リン酸2
水素ナトリウムpH7.4)をもう一方のノズルから噴
霧して、粉末のマイクロカプセルを得た。薬物取り込み
率は100%で、放出試験での初期放出量は、10%で
あった。分散性も良く、平均粒径は23μmであった。
【0035】実施例3 甲状腺刺激ホルモン遊離ホルモン(TRH)1.6gと
乳酸/グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=7
5/25、平均分子量14000)18.4gをアセト
ニトリル50mlとエタノール10mlの混合溶媒に均
一に溶解し、スプレードライヤー中央にセットした2本
の二流体ノズルの内の一方から、流速10ml/分で噴
霧し、同時にマイクロカプセルの付着防止用として、1
/30Mリン酸バッファー(リン酸水素2ナトリウム・
リン酸2水素ナトリウム、pH7.4)をもう一方のノ
ズルから噴霧して、粉末のマイクロカプセルを得た。薬
物取り込み率は100%で、放出試験での初期放出量
は、10%であった。分散性も良く、平均粒径は22μ
mであった。 実施例4 甲状腺刺激ホルモン遊離ホルモン(TRH)0.8gと
乳酸/グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=7
5/25、平均分子量14000)9.2gを塩化メチ
レン24mlとエタノール14mlと水2mlの混合溶
媒に均一に溶解し、スプレードライヤー中央にセットし
た2本の二流体ノズルの内の一方から、流速10ml/
分で噴霧し、同時にマイクロカプセルの付着防止用とし
て、1/10Mリン酸バッファー(リン酸水素2ナトリ
ウム・リン酸2水素ナトリウム、pH7.4)と2/1
0Mの食塩液の混合液をもう一方のノズルから噴霧し
て、粉末のマイクロカプセルを得た。薬物取り込み率は
100%で、放出試験での初期放出量は、18%であっ
た。分散性も良く、平均粒径は23μmであった。
【0036】実施例5 甲状腺刺激ホルモン遊離ホルモン(TRH)0.8gと
乳酸/グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=7
5/25、平均分子量14000)9.2gを塩化メチ
レン10.6mlとアセトニトリル25.5mlと水3.
9mlの混合溶媒に均一に溶解し、スプレードライヤー
中央にセットした2本の二流体ノズルの内の一方から、
流速10ml/分で噴霧し、同時にマイクロカプセルの
付着防止用として、1/5Mリン酸バッファー(リン酸
水素2ナトリウム・リン酸2水素ナトリウム、pH7.
4)をもう一方のノズルから噴霧して、粉末のマイクロ
カプセルを得た。薬物取り込み率は100%で、放出試
験での初期放出量は、18%であった。分散性も良く、
平均粒径は23μmであった。 実施例6 セフォチアム・2塩酸塩1gを水3mlに溶解し、ポリ乳
酸(分子量21,000)9gを塩化メチレン20mlに溶解
した液を加え、ポリトロンで20秒間混合した液を二重
構造にした回転ディスク型ノズルの一方(内側)から注入
噴霧し、0.0001%ポリオキシエチレン硬化ヒマシ
油60含有3%リン酸2水素ナトリウム溶液をもう一方
(外側)から同時に噴霧し、スプレードライヤーにて粉末
のマイクロカプセルを得た。
【0037】実施例7 塩酸ブレオマイシン1gと、酪酸/グリコール酸共重合
体(酪酸/グリコール酸=50/50、平均分子量10
000)9gとを水5mlとアセトニトリル30ml、エタノ
ール5mlの混液に溶解し、2液噴霧用の構造にした三流
体ノズルの一番内側から噴霧し、2%炭酸水素ナトリウ
ム溶液を内側から二番目に流して、一番外側には、圧空
を流すことによってマイクロカプセルを得た。
【0038】
【発明の効果】本発明によると、従来の水中乾燥法では
不可能であった薬物高含有の徐放性微粒子製剤を短時間
に、しかも連続的に大量生産することが可能となる。ま
た、微粒子製剤の表面に非付着性の物質を一様に分散さ
せることにより、従来のスプレードライ法では不可避で
あった微粒子製剤同士の付着や凝集を顕著に防止するこ
とが、また微粒子製剤表面に非イオン性の界面活性剤を
分散あるいは被覆することにより微粒子製剤の分散性を
著しく向上させることができる。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 9/58 A61K 9/52 A61K 47/34

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水溶性の無機塩、水溶性の有機酸または水
    溶性の有機酸塩で、少なくとも部分的ないしは完全に被
    覆された薬物含有高分子重合物微粒子製剤(ただし、高
    分子重合物はポリ脂肪酸エステルまたはポリ−α−シア
    ノアクリル酸エステルであり、該水溶性の有機酸はカル
    ボキシメチルセルロースまたはアミノ酸ではなく、該水
    溶性の有機酸塩はカルボキシメチルセルロース塩ではな
    い)。
  2. 【請求項2】水溶性の無機塩で、少なくとも部分的ない
    しは完全に被覆された請求項1記載の製剤。
  3. 【請求項3】水溶性の無機塩が塩化ナトリウムである請
    求項2記載の製剤。
  4. 【請求項4】薬物を含む高分子重合物溶液と、水溶性の
    無機塩、水溶性の有機酸または水溶性の有機酸塩の溶液
    とを、それぞれ別のノズルを用いてスプレードライヤー
    中で噴霧・接触させることを特徴とする水溶性の無機
    塩、水溶性の有機酸または水溶性の有機酸塩で、少なく
    とも部分的ないしは完全に被覆された薬物含有高分子重
    合物微粒子製剤の製造法(ただし、高分子重合物はポリ
    脂肪酸エステルまたはポリ−α−シアノアクリル酸エス
    テルであり、該水溶性の有機酸はカルボキシメチルセル
    ロースまたはアミノ酸ではなく、該水溶性の有機酸塩は
    カルボキシメチルセルロース塩ではない)。
  5. 【請求項5】水溶性の無機塩、水溶性の有機酸または水
    溶性の有機酸塩の溶液が水溶液である請求項4記載の製
    造法。
  6. 【請求項6】水溶性の無機塩、水溶性の有機酸または水
    溶性の有機酸塩の溶液に非イオン性界面活性剤を含有さ
    せる請求項4記載の製造法。
  7. 【請求項7】さらに、非イオン性界面活性剤溶液を噴霧
    ・接触させる請求項4記載の製造法。
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