JP3485214B2 - 電動工具におけるスピンドルのロック機構 - Google Patents
電動工具におけるスピンドルのロック機構Info
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Description
タ軸から回転伝達されるスピンドルを一時的に固定する
ロック機構に関するものである。 【0002】 【従来の技術】本件出願人は、モータ軸から減速機構を
介してスピンドルに回転を伝達する電動工具のトルク伝
達機構を提供している。これは図3の如く、丸鋸機30
において、モータ軸31と噛合して右回転(ブレード3
0aを見た方向で言う、以下同じ)するギヤ32にスピ
ンドル33を遊貫させて同軸でハウジングへ軸支し、前
記ギヤ32にはリング状の溝34を設ける一方、スピン
ドル33には、大径部35と、その大径部35より更に
大径で後方を開放した中間筒36とを夫々一体に設け
て、ギヤ32と大径部35、中間筒36とで筒状の空間
を形成し、その空間内部の外周面に、その外周面よりや
や大径で、ギヤ32の回転方向と同じ右巻きの外側コイ
ルバネ37を、内周面に、その内周面よりやや小径で、
ギヤ32の回転方向と同じ右巻きの内側コイルバネ38
を夫々巻装させて、ギヤ32とスピンドル33とをこの
2つのコイルバネで連結したものである。よってここで
はモータ始動時にギヤ32が右回転すると、その回転に
より外側コイルバネ37の径が拡開して中間筒36へ回
転伝達を、ブレーキ時にギヤ32の回転が減少すると、
内側コイルバネ38の径が縮小して制動力の伝達を夫々
行うことになるが、特に上記外側コイルバネ37、内側
コイルバネ38が夫々モータ始動直後、ブレーキ作動直
後には、中間筒36や大径部35側との当接部分を若干
滑りながら徐々に拡開力、巻装力を高めて一体化させる
作用を奏するから、モータ側からの負荷をコイルバネに
よって吸収でき、モータ軸とギヤとの噛合部での音の発
生や部品の消耗を軽減できることになる。一方上記丸鋸
機等の電動工具には、ブレードの交換作業等における作
業性を考慮して、一時的に上記スピンドル或はモータ軸
を固定できるロック機構が設けられる。この機構として
は実開平3−83461号公報に開示のように、非係止
方向へ付勢されるロックプレートを係止方向へ押圧する
ことで、ロックプレートのコ字状の係合部がモータ軸に
形成した二面幅の係止部を把持して、モータ軸を固定さ
せるものが知られている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし上記コイルバネ
によるトルク伝達機構を採用する電動工具に上記ロック
機構を採用すると、モータ軸31をロックしてもギヤ3
2とスピンドル33との間で空回りするため、スピンド
ル33を直接ロックする必要がある。ところが上記構造
ではロックプレートを係止させるスピンドル33の位置
はその後端しかなく、この場合スピンドル33が小径で
あるから、例えばブレード30aの交換時等では、回転
しようとするスピンドル33をロックするのに比較的大
きな力が必要となる上、この場合スピンドル後端の二面
幅が係合部にこじれた状態で嵌り込み、ロックプレート
が戻らないこともある。 【0004】 【課題を解決するための手段】そこで本発明は上記トル
ク伝達機構を採用する電動工具においても、スピンドル
のロックと解除とを上記のような不具合なく確実且つス
ムーズに行えるようにするもので、その構成は、前記中
間筒等のスピンドル側の筒状部の外周に係止凹部を設け
る一方、ハウジングに、筒状部方向へ前後移動可能で、
前進位置で前記係止凹部と係止するロック部材を、後退
方向へ付勢して設けたことを特徴とするものである。 【0005】 【作用】付勢に抗してロック部材をスピンドルの筒状部
方向へ前進させると、ロック部材が筒状部の係止凹部と
係止し、筒状部とスピンドルの回転をロックする。ロッ
ク部材を離すと、付勢によって後退し、係止凹部との係
止が解除する。このロックはスピンドルより大径の筒状
部に設けた係止凹部とロック部材との係脱でなされるか
ら、小さな力でもスピンドルの固定ができ、又ロック状
態でロック部材から手を離しても戻らないようなことが
ない。 【0006】 【実施例】以下本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。図1,2は丸鋸機1のスピンドル7軸支部分の説明
図で、円盤状のブレード2は、インナーフランジ3とア
ウターフランジ4とで挟持されて、アウターフランジ4
側からボルト5、ワッシャー6によってスピンドル7に
固着され、そのスピンドル7は、ギヤハウジング8側の
ボールベアリング9と、ギヤハウジング8に螺着される
ベアリングボックス10側のボールベアリング11とに
よって軸支される。前記スピンドル7の後方(図1の右
側、以下スピンドル7のブレード2側を前方、ボールベ
アリング9側を後方として説明する)には出力軸として
のギヤ12が同軸で遊嵌されており、ギヤ12のピニオ
ンがモータ13のモータ軸13aと噛合している。又ギ
ヤハウジング8内において、前記スピンドル7には従動
軸部としての大径部14が形成されると共に、その大径
部14とボールベアリング11間には二面の面取部が形
成され、そこに大径部14の軸方向の外周面と非接触
で、後方を開放して前記ギヤ12と隣接した筒状部とし
ての中間筒15が一体に嵌着されている。よってギヤ1
2は、中間筒15によって軸方向の移動を規制される。
一方ギヤ12の前面には、内径を前記大径部14の外径
と、外径を前記中間筒15の内径と夫々一致させて隣接
するリング状の溝16が設けられている。更に前記溝1
6の内径とスピンドル7の大径部14間には断面角形の
内側コイルバネ17が、溝16の外径と中間筒15間に
は、同じく断面角形の外側コイルバネ18が夫々配置さ
れている。内側コイルバネ17は、大径部14よりも溝
16の内径側への巻き量を若干多くして巻装された右巻
き(ギヤ12からブレード2側を見た方向で言う。以下
同じ)のもので、その内径は、溝16の内径及びスピン
ドル7の大径部14の径よりもやや小さく(−0.3m
m)設定されており、その巻装力によってギヤ12と大
径部14とを連結するものである。一方外側コイルバネ
18は、中間筒15の内周面への当接部分よりも溝16
の外径への当接部分を多くして収容された右巻きのもの
で、その外径は、溝16の外径及び中間筒15の内周面
の径よりもやや大きく(+0.3mm)設定されており、
その拡開力によってギヤ12と中間筒15とを連結する
ものである。 【0007】そしてギヤハウジング8には、前記スピン
ドル7と直交状にスライド可能なロックプレート20が
設けられている。このロックプレート20は、細長の金
属板を折曲形成して操作部21と、中間部を切り起こし
形成して前後に段違いのストッパー22,23とを夫々
備えたもので、後方側のストッパー23は、ロックプレ
ート20に沿ってギヤハウジング8へ収納された圧縮ス
プリング24の上端が当接して、スピンドル7との離反
方向への付勢力を得ている一方、前方側のストッパー2
2は、ギヤハウジング8に螺着された規制板25と係止
して、前記圧縮スプリング24によって付勢されるロッ
クプレート20の上限位置を規制するものとなってい
る。更に前記スピンドル7における中間筒15の外周に
は、図2にも示す如く点対称に係止凹部19,19が形
成されており、前記ロックプレート20の操作部21を
圧縮スプリング24の付勢に抗して押し込むことによ
り、ロックプレート20の先端部26が前記係止凹部1
9の一方に係止して、中間筒15の回転をロックするも
のである。尚27はワッシャー、28はスポンジであ
る。 【0008】このように構成された丸鋸機1は、まずモ
ータ13の起動時には外側コイルバネ18がトルク伝達
を行う。即ちモータ13の起動によりモータ軸13aが
左回転すると、ギヤ12が右回転し、外側コイルバネ1
8も溝16の外径と一体に右回転し、スピンドル7の中
間筒15へも回転伝達させる。この時スピンドル7は同
時に回転を開始するが、外側コイルバネ18の中間筒1
5への当接部分が中間筒15の内周を滑りながら回転す
るため、立上りは遅いスピードでスピンドル7を回転さ
せる。そしてギヤ12の回転上昇に連れて外側コイルバ
ネ18はその外周と中間筒15の内周面との摩擦力によ
り拡がる方向へ力が加えられて、溝16の外径、中間筒
15の内周面夫々への拡開力が上昇し、両者をしっかり
連結して一体回転させることになる。この時内側コイル
バネ17も立上りは大径部14への巻装部分がその外周
面を滑るが、この際に生じる摩擦力により逆に拡開する
ことになるから、巻装力が低下し、トルク伝達機能を殆
ど生じさせない。一方電気ブレーキをかけた際には、モ
ータ軸13aへの逆方向への制動によりギヤ12へ左回
転のトルクが伝えられて回転数は減少するが、スピンド
ル7はブレード2の慣性によりそのまま回転を続けよう
とし、同時にブレーキはかかるが、今度は内側コイルバ
ネ17がスピンドル7の大径部14の外周面を滑りなが
ら回転する。この時の回転スピードの相違により生じた
摩擦力で内側コイルバネ17には巻き絞る方向へ力が加
えられて溝16の内径、スピンドル7の大径部14夫々
への巻装力が上昇し、両者をしっかり連結させる。よっ
てモータ軸13a、ギヤ12の停止と共にスピンドル
7、ブレード2も同時に停止することになる。この時外
側コイルバネ18は停止しようとするギヤ12と中間筒
15とのスピードの相違により生じる摩擦力によって、
巻き絞る方向へ力を加えられるから、拡開力が低下して
ブレーキ直後は制動力の伝達を殆ど行わない。このよう
に本実施例の丸鋸機1では、起動時と制動時のトルク伝
達を夫々内外のコイルバネによって行うようにしたか
ら、モータ側からの負荷をコイルバネによって吸収する
ことができ、ブレーキ作動時のブレードの空転時間を短
縮するのは勿論、モータ軸とギヤとの噛合部での音の発
生や部品の消耗を軽減することも可能となるのである。 【0009】そしてブレード2の交換やメンテナンス時
等にスピンドル7を固定させる必要がある場合は、ロッ
クプレート20の操作部21を押圧し、ブレード2を手
で回転させると、スピンドル7側へ押し込まれたロック
プレート20の先端部26と中間筒15の係止凹部19
とが一致する位置で、図2の二点鎖線で示すように先端
部26が係止凹部19に係合して中間筒15が固定さ
れ、同時にスピンドル7とブレード2もロックされるか
ら、ブレード2の交換に要するボルト5の取り外しや締
め付け等がしやすくなる。ロックの必要がなくなれば、
操作部21の押圧を解くことで、圧縮スプリング24の
付勢によりロックプレート20は前方のストッパー22
が規制板25に当接する位置まで復帰して、先端部26
と中間筒15の係止凹部19との係合が外れる。このロ
ックは大径の中間筒15の係止凹部19へ先端部26が
係止して行われる構造であるから、スピンドル7の中心
からの距離が長くなって、小さな力で中間筒15の固定
ができると共に、先端部26が嵌り込んで抜けなくなる
ようなことがなく、ロック解除も確実になされる。又上
記コイルバネによるトルク伝達機構に用いられる中間筒
15を利用してロック機構を構成できるから、部品点数
や製造工程の増加を極力抑えた経済的な構造にもなる。 【0010】尚ロックプレート20の形状は上記実施例
に限定するものでなく、上記プレート状でなくロッド形
状とし、それに合わせて係止凹部19の形状を丸孔等に
変更したりできる。又中間筒側の係止凹部19も2箇所
でなく3か所以上設けたりしても良い。 【0011】 【発明の効果】以上本発明によれば、コイルバネを用い
たトルク伝達機構を採用する電動工具において、ロック
部材とスピンドルより大径の筒状部との係脱でスピンド
ルをロックするものとしたから、大きな力を必要とせず
にスピンドルのロックとその解除がスムーズ且つ確実に
なされる。又トルク伝達に用いられる筒状部を利用する
合理的な構成であるから、コストの増加を極力抑えるこ
ともできる。
ジ、4・・アウターフランジ、5・・ボルト、6・・ワ
ッシャー、7・・スピンドル、8・・ギヤハウジング、
12・・ギヤ、13・・モータ、14・・大径部、15
・・中間筒、16・・溝、17・・内側コイルバネ、1
8・・外側コイルバネ、19・・係止凹部、20・・ロ
ックプレート、21・・操作部、22,23・・ストッ
パー、24・・圧縮スプリング、25・・規制板、26
・・先端部、27・・ワッシャー。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 モータ軸から回転伝達される減速機構の
出力軸と同軸にスピンドルを配置し、前記出力軸に対し
てスピンドルに設けた従動軸部を軸方向へ隣接すると共
に、前記出力軸とスピンドルの従動軸部とに、互いに対
向しスピンドルより大径の筒状部を夫々一体且つ同軸に
備え、前記両筒状部の相互間に跨がって嵌挿させた外側
コイルバネと、前記出力軸と従動軸との相互間に跨がっ
て巻装された内側コイルバネとによって、前記出力軸の
回転及び制動をスピンドルへ伝達可能とした電動工具に
おいて、 前記スピンドル側の筒状部の外周に係止凹部を設ける一
方、ハウジングに、筒状部方向へ前後移動可能で、前進
位置で前記係止凹部と係止するロック部材を、後退方向
へ付勢して設けたことを特徴とする電動工具におけるス
ピンドルのロック機構。
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---|---|---|---|
JP07909495A JP3485214B2 (ja) | 1995-04-04 | 1995-04-04 | 電動工具におけるスピンドルのロック機構 |
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Family Applications (1)
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-
1995
- 1995-04-04 JP JP07909495A patent/JP3485214B2/ja not_active Expired - Fee Related
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