JP3458839B2 - 路面の最大摩擦係数推定装置 - Google Patents
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Description
間の最大摩擦係数の推定に係り、更に詳細には各車輪の
タイヤと路面との間の最大摩擦係数を推定する最大摩擦
係数推定装置に係る。
の間の最大摩擦係数を推定する最大摩擦係数推定装置の
一つとして、例えば特開平3−295445号公報に記
載されている如く、車輪の加速スリップが発生したとき
に当該車輪の駆動トルク及び接地荷重が演算され、駆動
トルク及び接地荷重に基づき路面とタイヤとの間の最大
摩擦係数を演算するよう構成された最大摩擦係数推定装
置が従来より知られている。
動輪に所定の加速スリップが生じたときのタイヤの駆動
トルク及び接地荷重に基づき最大摩擦係数が推定される
ので、例えば車輌の前後加速度及び横加速度の自乗和平
方根に基づき摩擦係数が推定される場合に比して、タイ
ヤと路面との間の最大摩擦係数を正確に推定することが
できる。
の最大摩擦係数推定装置に於いては、駆動輪が所定の加
速スリップの状態になった瞬間に於いてしか最大摩擦係
数を推定することができず、また車輪が所定の加速スリ
ップの状態になることが必要であるため、従動輪のタイ
ヤと路面との間の最大摩擦係数を全く推定することがで
きないという問題がある。
イヤの駆動トルク及び支持荷重に基づき最大摩擦係数が
推定されるよう構成された従来の最大摩擦係数推定装置
に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、
本発明の主要な課題は、路面の摩擦係数(粘着係数)は
タイヤの路面反力及びタイヤの接地荷重が解れば路面反
力を支持荷重にて除算することにより求められ、特にタ
イヤのスリップ率が高くなるにつれて路面の摩擦係数は
最大摩擦係数に近づくと共にスリップ率の変化量に対す
る路面反力の変化量の比が漸次0に近づくことに着目す
ることにより、タイヤが所定の加速スリップ状態にある
か否かや車輪が駆動輪であるか否かに拘わらず、タイヤ
の路面反力、タイヤの接地荷重、スリップ率の変化量に
対する路面反力の変化量の比に基づいて各車輪について
路面の最大摩擦係数を推定することである。
発明によれば、請求項1の構成、即ち各車輪のタイヤと
路面との間の最大摩擦係数を推定する最大摩擦係数推定
装置にして、各車輪について、タイヤモデルに基づきタ
イヤの路面反力を演算する手段と、タイヤの接地荷重を
求める手段と、タイヤの接地荷重に対する路面反力の比
を第一の比として演算する手段と、タイヤモデルに基づ
き演算されるスリップ率の変化量に対する路面反力の変
化量の比を第二の比として演算する手段と、所定の係数
と前記第二の比との積及び前記第一の比に基づき路面の
最大摩擦係数を演算する手段とを有することを特徴とす
る路面の最大摩擦係数推定装置によって達成される。
地荷重に対する路面反力の比が第一の比として演算さ
れ、タイヤモデルに基づき演算されるスリップ率の変化
量に対する路面反力の変化量の比が第二の比として演算
され、所定の係数と第二の比との積及び第一の比に基づ
き路面の最大摩擦係数が演算されるので、車輪が所定の
加速スリップ状態にあるか否かに拘わらず路面の最大摩
擦係数が演算され、また駆動輪及び従動輪の何れについ
ても路面の最大摩擦係数が演算される。
が小さい領域に於いては第一の比は路面の最大摩擦係数
よりも小さい値になるが、所定の係数と第二の比との積
が考慮されることにより路面の実際の最大摩擦係数に近
づけられる。特にスリップ率が大きい領域に於いてはス
リップ率が大きくなるほど第二の比が漸次小さくなり、
演算される値が漸次路面の実際の最大摩擦係数に近づ
き、これにより路面の最大摩擦係数が正確に推定され
る。
効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前
記路面反力は路面での二次元平面に於ける路面反力であ
るよう構成される(請求項2の構成)。
での二次元平面に於ける路面反力であるので、タイヤの
前後方向又は車輌の前後方向の路面反力のみが取り扱わ
れる場合に比して路面の最大摩擦係数が正確に演算され
る。
効果的に達成すべく、上記請求項1又は2の構成に於い
て、前記スリップ率は路面反力の方向についてのスリッ
プ率であるよう構成される(請求項3の構成)。
面反力の方向についてのスリップ率であるので、タイヤ
の前後方向又は車輌の前後方向のスリップ率のみが取り
扱われる場合に比して路面の最大摩擦係数が正確に演算
される。
効果的に達成すべく、上記請求項1乃至3の何れかの構
成に於いて、前記タイヤの路面反力を演算する手段は各
車輪のタイヤ前後力及びタイヤ横力を推定し、タイヤ前
後力及びタイヤ横力に基づき各車輪のタイヤの路面反力
を演算するよう構成される(請求項4の構成)。請求項
4の構成によれば、各車輪のタイヤ前後力及びタイヤ横
力が推定され、タイヤ前後力及びタイヤ横力に基づき各
車輪のタイヤの路面反力が演算されるので、後に詳細に
説明する如く路面での二次元平面に於ける各車輪の路面
反力が確実に推定される。
効果的に達成すべく、上記請求項4の構成に於いて、前
記タイヤの路面反力を演算する手段は車輌の前後加速
度、操舵角、各車輪の制動力、各車輪のタイヤ横力に基
づき各車輪のタイヤ前後力を演算し、各車輪のタイヤ横
力として前回演算されたタイヤ横力が使用されるよう構
成される(請求項5の構成)。
度、操舵角、各車輪の制動力、各車輪のタイヤ横力に基
づき各車輪のタイヤ前後力が演算され、各車輪のタイヤ
横力として前回演算されたタイヤ横力が使用されるの
で、後に詳細に説明する如く各車輪のタイヤ前後力が確
実に推定される。
効果的に達成すべく、上記請求項4又は5の構成に於い
て、前記タイヤの路面反力を演算する手段は車輌のヨー
レート、車輌の横加速度、各車輪のタイヤ前後力に基づ
き前輪のタイヤ横力を演算するよう構成される(請求項
6の構成)。
ト、車輌の横加速度、各車輪のタイヤ前後力に基づき前
輪のタイヤ横力が演算されるので、後に詳細に説明する
如く前輪のタイヤ横力が確実に推定される。
効果的に達成すべく、上記請求項4又は5の構成に於い
て、前記タイヤの路面反力を演算する手段は車輌の横加
速度、各車輪のタイヤ前後力、前輪のタイヤ横力に基づ
き後輪のタイヤ横力を演算するよう構成される(請求項
7の構成)。
度、各車輪のタイヤ前後力、前輪のタイヤ横力に基づき
後輪のタイヤ横力が演算されるので、後に詳細に説明す
る如く後輪のタイヤ横力が確実に推定される。
最大摩擦係数演算装置の概要について説明する。尚説明
の便宜上、車輌の左旋回の場合を中心に説明する。また
タイヤ前後力については駆動力を正、制動力を負とし、
前後加速度については加速を正、減速を負とし、タイヤ
横力については左方向を正とし、横加速度については左
方向を正とし、車輌の横すべり角については反時計回り
方向を正とし、操舵角については反時計回り方向(左旋
回方向)を正とする。
2の左右前輪及び左右後輪を示し、FXVi(i=fl、f
r、rl、rr)はそれぞれ左右前輪及び左右後輪が路面よ
り受ける車輌前後方向の力を示し、FYVi(i=fl、f
r、rl、rr)はそれぞれ左右前輪及び左右後輪が路面よ
り受ける車輌横方向の力を示している。またFXC及びF
YCはそれぞれ車輌102の重心104に作用する前後力
及び横力を示している。
の力の釣合いは下記の式1により表され、車輌には横力
FYCに対応する横加速度が発生する。 FYC=FYVfl+FYVfr+FYVrl+FYVrr ……(1)
の式2により表され、車輌には前後力FXCに対応する前
後加速度が発生する。 FXC=FXVfl+FXVfr+FXVrl+FXVrr ……(2)
し、前輪車軸と車輌の重心104との間の距離をLfと
し、後輪車軸と車輌の重心104との間の距離をLrと
し、また車輌のヨー慣性モーメントをIBとし、車輌の
ヨーレートの変化率、即ちヨー加速度をγdとすると、
各車輪の路面反力による車輌の重心周りのヨーモーメン
トの釣合いは下記の式3により表される。
横すべり角の大きさが大きくなるので、後輪の横すべり
角の大きさの増大により左右後輪の横力の和F YVrl+F
YVrrが大きくなり得る範囲に於いてはヨー加速度が漸次
小さくなり、I Bγdはやがて0となって重心周りのモー
メントは静的にバランスする。これに対し横力の和F
YVrl+FYVrrが限界に達してもIBγd>0の状態が残る
と、重心周りのモーメントは静的にバランスすることが
できず、車輌はスピン状態になる。尚FYVrl+FYVrrの
限界は後輪の前後力FXVrl、FXVrr及び後輪の最大路面
摩擦係数の影響を受ける。
ルスピン装置も後輪の制動力や駆動力を制御して後輪の
横力の和FYVrl+FYVrrを確保する機能を持つが、重心
周りのモーメントが静的にバランスするようFYVrl+F
YVrrを最適化するものではないので、スピン制御機能は
完全ではない。
と同一の出願人により出願された特願2000−
の明細書及び図面に記載されている如く、車輌が
スピン状態になったときには、各車輪の路面反力による
重心周りのモーメントが静的にバランスするよう各車輪
の制動力や駆動力を制御し、これにより車輌のスピン状
態を抑制し解消することが考えられる。
すべり角の大きさが小さくなるので、ヨー加速度が漸次
小さくなり、IBγdはやがて0となって重心周りのモー
メントは静的にバランスする。
な状態にある状況である。かかる状況に於いても、左右
前輪の横力の和FYVfl+FYVfrが限界に達し、左右後輪
の横力の和FYVrl+FYVrrが限界に達していないときに
は、FYVrl+F YVrrが限界に達していない分、車輌の旋
回性能を有効に発揮できていない。この状態がドリフト
アウト状態である。
動力を制御することにより前輪の横力の和FYVfl+F
YVfrを確保して、車輌に反時計回り方向のヨー加速度を
発生させ、後輪の横すべり角の大きさを大きくし、これ
により後輪の横力の和FYVrl+FYVrrの大きさを大きく
して旋回性能を確保する機能を持つが、FYVrl+FYVrr
を最適化するものではないので、ドリフトアウト制御機
能は完全ではない。
の明細書及び図面に記載されている如く、車輌がド
リフトアウト状態になったときには、後輪の制動力や駆
動力を制御することにより、左右後輪の前後力差による
車輌回頭モーメントによって後輪の横すべり角の大きさ
を大きくすることにより後輪の横力の和FYVrl+FYV rr
の大きさを最適に大きくし、これにより旋回性能を向上
させて車輌のドリフトアウト状態を抑制し解消すること
が考えられる。
重心周りのモーメントに基づき車輌のスピン状態やドリ
フトアウト状態を判定し制御しようとすると、発生可能
な各車輪の制駆動力や各車輪の路面反力によるモーメン
トを正確に把握する必要があり、そのためには例えば以
下の如く各車輪について路面の最大摩擦係数が正確に推
定されなければならない。
し、車輌のヨーレートをγとし、ヨー加速度をγdと
し、操舵角をδとし、左右前輪及び左右後輪の車輪速度
をVWi(i=fl、fr、rl、rr)とし、左右前輪及び左
右後輪の車輪加速度をVWdi(i=fl、fr、rl、rr)と
し、左右前輪及び左右後輪のホイールシリンダ油圧をP
i(i=fl、fr、rl、rr)とし、車輌の横すべり角をβB
(後述の如く別途算出されたものを使用)とし、左右前
輪及び左右後輪の制動力をBi(i=fl、fr、rl、rr)
とし、左右前輪及び左右後輪の接地荷重をFzi(i=f
l、fr、rl、rr)とする。
イールシリンダ油圧より制動力への変換係数(負の値)
とすると、左右前輪の制動力Bfl、Bfr及び左右後輪の
制動力Brl、Brrはそれぞれ下記の式4〜7により表わ
される。 Bfl=KPf・Pfl ……(4) Bfr=KPf・Pfr ……(5) Brl=KPr・Prl ……(6) Brr=KPr・Prr ……(7)
Lr)とし、車輌の重心高さをhとし、車輌の重量をF
ZVとし、重力加速度をgとし、前輪側のロール剛性配分
をηfとし、後輪側のロール剛性配分をηrとすると、左
右前輪及び左右後輪の接地荷重FZfl、FZfr、FZrl、
FZrrはそれぞれ下記の式8〜11により表わされる。
力の算出 図2に示されている如く、左右前輪及び左右後輪のタイ
ヤ前後力をFXfl、FX fr、FXrl、FXrrとし、左右前輪
のタイヤ横力をFYfl、FYfrとし、車輌の質量をmと
し、操舵角をδとすると、車輌前後方向の力の釣合いよ
り、下記の式12が成立する。 mGX=(FXfl+FXfr)cosδ−(FYfl+FYfr)sinδ+(FXrl+FXrr) ……(12)
右前輪及び左右後輪の慣性モーメントをIWi(i=fl、
fr、rl、rr)とすると、左右前輪及び左右後輪のタイヤ
前後力FXfl、FXfr、FXrl、FXrrはそれぞれ下記の式
13〜16により表される。尚下記の式13〜16等に
於ける車輪加速度VWdiはそれぞれ対応する車輪速度V
Wiの微分値であってよい。
後輪のタイヤ前後力FXfl、FXfr、FXrl、FXrrはそれ
ぞれ下記の式17〜20により表される。
することにより、車輌の駆動力Dは下記の式21により
求められる。
前後力FXfl、FXfr、FXrl、FXrrはそれぞれ下記の式
22〜25により表される。
輪及び左右後輪のタイヤ前後力FXf l、FXfr、FXrl、
FXrrはそれぞれ下記の式26〜29により表される。
することにより、車輌の駆動力Dは下記の式30により
求められる。
る前輪のタイヤ横力FYfl及びFYfrとしてそれらの前回
の算出値を使用すれば、車輌の前後加速度GX、操舵角
δ、各車輪のブレーキ油圧Pi、車輪加速度VWdiを検
出することにより、上記式17〜20又は式26〜29
に従って各車輪のタイヤ前後力FXiを算出することがで
きる。この場合車輌の駆動時に於いても、エンジン及び
駆動系を考慮する必要がない。また上記式21又は式3
0に従ってエンジンより駆動系を経て駆動輪の車軸へ伝
達される駆動力を算出することもできる。この場合エン
ジンマップ、駆動系のギヤ比や伝達効率を考慮すること
なく駆動輪車軸の駆動力を算出することができる。
の釣合いより、それぞれ下記の式31及び32が成立す
る。
ると、下記の式38が得られる。
Yfrの係数をそれぞれAk、Bkとし、上記式38の右辺
をCkとして上記式38を下記の式39の通り表現す
る。尚実用操舵角の範囲に於いては、Ak>0、Bk>0
である。 Ak・FYfl+Bk・FYfr=Ck ……(39)
の車輪間の接地荷重比(又は路面の最大摩擦係数と接地
荷重との積の比)であると考えられるので、下記の式4
0が成立する。
ることにより、下記の式41が成立し、従って下記の式
42が得られる。
0に代入することにより、以下の通り下記の式43が得
られる。
0、FYfr>0である。下記の式44が成立するときに
は、上記式43の分母が負であるので、FYfr>0とな
るためには上記式43に於ける±は−でなければならな
い。よって右前輪のタイヤ横力FYfrは下記の式45に
より求められ、左前輪のタイヤ横力FYflは下記の式4
6により求められる。
記式42の分母が負であるので、F Yfl>0となるため
には上記式42に於ける±は−でなければならない。よ
っ左前輪のタイヤ横力FYflは下記の式48により求め
られ、右前輪のタイヤ横力FY frは下記の式49により
求められる。
<0、FYfr<0である。上記式44が成立するときに
は、上記式43の分母が負であるので、FYfr<0とな
るためには上記式43に於ける±は+でなければならな
い。よって右前輪のタイヤ横力FYfrは下記の式50に
より求められ、左前輪のタイヤ横力FYflは下記の式5
1により求められる。
式42の分母が負であるので、FYf l<0となるために
は上記式42に於ける±は+でなければならない。よっ
て左前輪のタイヤ横力FYflは下記の式52により求め
られ、右前輪のタイヤ横力FY frは下記の式53により
求められる。
ると、下記の式61が得られる。尚式55及び56に於
けるFYfl及びFYfrとして、上記「(1)前輪のタイヤ
横力」に於いて算出された値が使用される。
1を下記の式62の通り表現する。 FYrl+FYrr=Dk ……(62)
の車輪間の接地荷重比(又は路面の最大摩擦係数と接地
荷重との積の比)であると考えられるので、下記の式6
3が成立し、従って下記の式64が成立する。
ることにより、以下の通り下記の式65が得られる。
4に代入することにより、以下の通り下記の式66が得
られる。
0、FYrr>0である。下記の式67が成立するときに
は、上記式66の分母が負であるので、FYrr>0とな
るためには上記式66に於ける±は−でなければならな
い。よって右後輪のタイヤ横力FYrrは下記の式68に
より求められ、左後輪のタイヤ横力FYrlは下記の式6
9により求められる。
記式65の分母が負であるので、F Yrl>0となるため
には上記式65に於ける±は−でなければならない。よ
って左後輪のタイヤ横力FYrlは下記の式71により求
められ、右後輪のタイヤ横力FYrrは下記の式72によ
り求められる。
<0、FYrr<0である。上記式67が成立するときに
は、上記式66の分母が負であるので、FYrr<0とな
るためには上記式66に於ける±は+でなければならな
い。よって右後輪のタイヤ横力FYrrは下記の式73に
より求められ、左後輪のタイヤ横力FYrlは下記の式7
4により求められる。
式65の分母が負であるので、FYr l<0となるために
は上記式65に於ける±は+でなければならない。よっ
て左後輪のタイヤ横力FYrlは下記の式75により求め
られ、右後輪のタイヤ横力FY rrは下記の式76により
求められる。
r)は前後力FXi及び横力FYiの合力(合成路面反力)
として下記の式76〜79により求められる。
ラッシュタイヤモデル」(上記[2]の駆動時の式)に
よれば、VBを車体速度とし、βをタイヤの横すべり角
とし、Kβをタイヤの横剛性とし、KSをタイヤの縦剛
性とし、μmaxを路面の最大摩擦係数とし、FZをタイヤ
の接地荷重として、スリップ率S、複合スリップ率λは
それぞれ下記の式80〜81により表される。またξを
下記の式82の通りとする。
XYiに沿う方向のスリップ率である。また一般にタイヤ
と路面との間の摩擦係数μと複合スリップ率λとの関係
は図3(A)の如くになるが、このタイヤモデルに於け
る摩擦係数μと複合スリップ率λとの関係は図3(B)
の如く表され、図3(B)に図示の如く路面の最大摩擦
係数μmaxを定義する。
イヤの前後方向に対しなす角度をθとして、タイヤの前
後力FX及び横力FYはそれぞれ下記の式83及び84に
より表される。
X及び横力FYはそれぞれ下記の式85及び86により表
され、cosθ及びsinθはそれぞれ下記の式87及び88
により表される。
が、上記式83及び84をそれぞれ下記の式89及び9
0の如く書き直すことができる。
路面反力FXYを下記の式92により表すことができる。
れぞれ下記の式93及び94が導かれ、タイヤの前後力
FX及び横力FYをそれぞれこれらの式により求めること
ができる。
記の式95により表されるので、これを上記式92に代
入することにより、タイヤの路面反力FXYを下記の式9
6により求めることができる。
が求められ、上記式96より下記の式98が求められ
る。
示しており、矢印110はタイヤの移動方向を示し、点
A及びCはそれぞれタイヤ110の接地点112を通る
タイヤ前後方向の線114及びタイヤ横方向の線116
と限界摩擦円108との交点を示している。また点Eは
タイヤの移動方向110と限界摩擦円108との交点を
示し、点B及びDはそれぞれ真円118上にある限界摩
擦円108上の点のうち最も点Cに近い駆動側及び制動
側の点を示している。
6、97、98は、タイヤの路面反力FXYのベクトルの
先端が限界摩擦円108上の点Bと点Dとの間にある場
合の各値を示している。
83及び84よりタイヤの路面反力FXYは下記の式99
により表され、上記式85及び87よりタイヤの前後力
FXは下記の式100により表され、上記式86及び8
8よりタイヤの横力FYは下記の式101により表され
る。
102が求められ、また下記の式103が成立する。
は、タイヤの路面反力FXYのベクトルの先端が限界摩擦
円108上の点Aと点Bとの間又は点Dと点Eとの間に
ある場合の各値を示している。
摩擦係数μmax(後述の[11]参照)、接地荷重F
Z(上記[2]参照)、スリップ率S(後述の[10]
参照)、タイヤの横すべり角β(後述の[8]参照)、
タイヤ縦剛性KS及びタイヤ横剛性Kβ(後述の[7]
参照)を求めることにより∂FXY/∂λを求めることが
できることが解る。
FXY及び接地荷重FZの関数であり、KXYS及びKXYβを
路面反力FXYに対する係数とし、KZS及びKZβを接地
荷重FZに対する係数として、それぞれ下記の式104
及び105により表されるものとする。尚この仮定は事
実に反するものではない。 KS=KXYS・FXY+KZS・FZ ……(104) Kβ=KXYβ・FXY+KZβ・FZ ……(105)
0]に於いて推定される車体速度VB、車輌の横すべり
角βB、操舵角δを使用して左右前輪の横すべり角
βfl、βfr(前輪の横すべり角βf)及び左右後輪の横
すべり角βrl、βrr(後輪の横すべり角βr)をそれぞ
れ下記の式106及び107により求めることができる
(図5参照)。
いて公知の任意の要領にて演算されてよく、例えば横加
速度Gyと車速V及びヨーレートγの積Vγとの偏差Gy
−Vγとして横加速度の偏差、即ち車輌の横すべり加速
度Vydが演算され、横すべり加速度Vydが積分されるこ
とにより車体の横すべり速度Vyが演算され、更に車体
の前後速度Vx(=車速V)に対する車体の横すべり速
度Vyの比Vy/Vxとして車体のスリップ角βBが演算さ
れてよい。
ける前後速度(修正車輪速度SVWi(i=fl、fr、r
l、rr)という)に換算する。
る如く下記の式108及び109が成立する。
正車輪速度SVWflは下記の式110により求められ、
同様にして右前輪の修正車輪速度SVWfrは下記の式1
11により求められる。
SVWrrはそれぞれ下記の式112及び113により求
められる。
プ率の算出 (1)基準スリップ率SK 推定車体速度VBを算出するためのスリップ率(基準ス
リップ率SKという)は以下の通りである。
プ率SKは下記の式114により表される。
の式115〜118より、基準スリップ率SKは下記の
式119により表される。
スリップ率SKは下記の式120により表される。
[7]、[8]及び後述の[11]に於いて算出される
前後力FX等を代入することにより基準スリップ率SK
(各車輪の基準スリップ率SKi(i=fl、fr、rl、r
r))が演算される。
うち最も大きい値とその車輪の基準スリップ率SKiと
に基づき、下記の式121に従って推定車体速度VBが
算出される。この場合修正車輪速度SVWiのうち最も
大きい値が採用されるのは、この値が一般に最も実際の
車体速度に近いことによる。
車体速度VB及び各車輪の基準スリップ率SKiに基づ
き下記の式122〜125に従って算出される。
出 上記[2]の接地荷重FZ、[5]のタイヤの路面反力
FXY、上記タイヤモデルの式98及び103を使用して
路面の最大摩擦係数μmaxは下記の式126により表さ
れるものとする。尚下記の式126に於いて、Δμは正
の定数であり、(∂FXY/∂λ)λ=0はλ=0であると
きの∂FXY/∂λの値である。
FZ)(∂FXY/∂λ)λ=0は図7に示されたμ−λ曲
線の原点に於ける傾きであり、(1/FZ)(∂FXY/
∂λ)はλがある値(例えばλ1)であるときのμ−λ
曲線の傾きである。図3(B)に示されている如く、μ
−λ曲線の傾きは複合スリップ率λの増大につれて漸次
増大し、路面の摩擦係数μが最大摩擦係数μmaxである
領域に於いては複合スリップ率λの如何に拘わらずμ−
λ曲線の傾きは0である。
maxである領域に於ける複合スリップ率λの最小値をλe
とすると、上記式126の第2項に於けるμ−λ曲線の
傾きの比は、λがλe未満の領域に於いてはλの増大に
つれて漸次減少し、λがλe以上の領域に於いては0で
ある。よって上記式126によれば、λがλe未満の領
域に於いては最大摩擦係数μmaxはΔμと上記傾きの比
との積の値だけFXY/FZよりも高い値に推定され、λ
がλe以上の領域に於いては最大摩擦係数μmaxは真の最
大摩擦係数に推定される。
摩擦係数がμtrueである場合に於いて、λがλe未満の
λ1であるときには、FXY/FZが点A1であるとする
と、最大摩擦係数μmaxは点A2に対応する値であると推
定され、従ってμ−λ曲線は曲線Aであると推定され
る。これに対しλがλe以上のλ2であるときには、FXY
/F Zが点B1であるとすると、最大摩擦係数μmaxは点
B1と同一の点B2に対応する値であると推定され、従っ
てμ−λ曲線は曲線Bであると推定される。
大摩擦係数μmaxの推定誤差が大きく、また定数Δμが
小さい値に設定されると最大摩擦係数μmaxは真の最大
摩擦係数μtrueよりも小さく推定され、逆に定数Δμが
大きい値に設定されると最大摩擦係数μmaxは真の最大
摩擦係数μtrueよりも大きく推定されるが、λの増大に
つれて最大摩擦係数の推定誤差が漸次小さくなり、λが
λe以上の領域に於いては最大摩擦係数μmaxは真の最大
摩擦係数μtrueに適正に推定される。
ップ率λが0であるときにはξは1であるので、この場
合には下記の式127が成立する。
の如く、∂FXY/∂λの算出に際してはそのときの最大
摩擦係数μmaxが必要である。従って最大摩擦係数μmax
としてその前回の演算値μmax(n-1)を使用して∂FXY/
∂λが算出され、その値を使用して上記式126に従っ
て最大摩擦係数μmaxが算出される。
い態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、路面の
最大摩擦係数を演算する手段は所定の係数と第二の比と
の積と第一の比との和として路面の最大摩擦係数を演算
するよう構成される(好ましい態様1)。
ば、上記請求項1の構成に於いて、所定の係数はスリッ
プ率が0であるときの第二の比の値に反比例する係数で
あるよう構成される(好ましい態様2)。
ば、上記好ましい態様2の構成に於いて、スリップ率が
0であるときの第二の比の値はタイヤの縦剛性であるよ
う構成される(好ましい態様3)。
記好ましい態様2の構成に於いて、上記「発明の概要」
に基づき、路面の最大摩擦係数を演算する手段は上記式
126に従って路面の最大摩擦係数μmaxを演算するよ
う構成される(好ましい態様4)。
記請求項1の構成に於いて、上記「発明の概要」に基づ
き、第二の比を演算する手段は値ξが正の値であるとき
には上記式98に従って第二の比∂FXY/∂λを演算
し、値ξが0以下であるときには第二の比∂FXY/∂λ
を0に設定するよう構成される(好ましい態様5)。
ば、上記好ましい態様5の構成に於いて、上記「発明の
概要」に基づき、スリップ率は上記式81に従って演算
されるよう構成される(好ましい態様6)。
ば、上記好ましい態様6の構成に於いて、上記「発明の
概要」に基づき、タイヤの縦剛性Ks及び横剛性Kβは
それぞれ上記式104及び105に従って演算されるよ
う構成される(好ましい態様7)。
ば、上記好ましい態様5の構成に於いて、値ξは上記式
82に従って演算されるよう構成される(好ましい態様
8)。
ば、上記好ましい態様8の構成に於いて、上記「発明の
概要」に基づき、タイヤの縦剛性Ksは上記式104に
従って演算されるよう構成される(好ましい態様9)。
ば、上記好ましい態様8の構成に於いて、上記式82に
於ける最大摩擦係数μmaxとして前回演算された値が使
用されるよう構成される(好ましい態様10)。
ば、上記請求項1の構成に於いて、上記「発明の概要」
に基づき、タイヤの接地荷重を求める手段は上記式8〜
11に従って各車輪のタイヤの接地荷重を演算するよう
構成される(好ましい態様11)。
ば、上記請求項1又は2の構成に於いて、上記「発明の
概要」に基づき、タイヤの路面反力を演算する手段は上
記式17〜20に従って各車輪のタイヤ前後力を演算
し、車輌の左旋回時には上記式45、46又は上記式4
8、49に従って前輪のタイヤ横力を演算すると共に、
上記式68、69又は上記式71、72に従って後輪の
タイヤ横力を演算し、車輌の左旋回時には上記式50、
51又は上記式52、53に従って前輪のタイヤ横力を
演算すると共に、上記式73、74又は上記式75、7
6に従って後輪のタイヤ横力を演算し、これらのタイヤ
前後力及びタイヤ横力に基づき上記式76〜79に従っ
て各車輪のタイヤの路面反力を演算するよう構成される
(好ましい態様12)。
ば、上記請求項3の構成に於いて、上記「発明の概要」
に基づき、スリップ率は上記式81に従って演算される
よう構成される(好ましい態様13)。
ば、上記好ましい態様13の構成に於いて、上記「発明
の概要」に基づき、タイヤの縦剛性Ks及び横剛性Kβ
はそれぞれ上記式104及び105に従って演算される
よう構成される(好ましい態様14)。
発明を好ましい実施形態について詳細に説明する。
数推定装置の第一の実施形態を示す概略構成図である。
り、エンジン10の駆動力はトルクコンバータ12及び
トランスミッション14を含む自動変速機16を介して
プロペラシャフト18へ伝達される。プロペラシャフト
18の駆動力はディファレンシャル20により左後輪車
軸22L及び右後輪車軸22Rへ伝達され、これにより駆
動輪である左右の後輪24RL及び24RRが回転駆動され
る。
であると共に操舵輪であり、図9には示されていない
が、運転者によるステアリングホイールの転舵に応答し
て駆動されるラック・アンド・ピニオン式のパワーステ
アリング装置によりタイロッドを介して操舵される。
24RL、24RRの制動力は制動装置26の油圧回路28
により対応するホイールシリンダ30FL、30FR、30
RL、30RRの制動圧が制御されることによって制御され
る。図9には示されていないが、油圧回路28はオイル
リザーバ、オイルポンプ、種々の弁装置等を含み、各ホ
イールシリンダの制動圧は通常時には運転者によるブレ
ーキペダル32の踏み込み操作に応じて駆動されるマス
タシリンダ34内の圧力に応じて電子制御装置36によ
り制御され、また必要に応じて車輌の挙動を安定化させ
るべく電子制御装置36により制御される。
8により検出された車輌の前後加速度GXを示す信号、
横加速度センサ40により検出された車輌の横後加速度
GYを示す信号、ヨーレートセンサ42により検出され
た車輌のヨーレートγを示す信号、操舵角センサ44に
より検出された操舵角δを示す信号、圧力センサ46FL
〜46RRにより検出された左右前輪及び左右後輪のホイ
ールシリンダ30FL〜30RR内の圧力Pi(i=fl、f
r、rl、rr)を示す信号、車輪速度センサ48FL〜48R
Rにより検出された左右前輪及び左右後輪の車輪速度V
Wi(i=fl、fr、rl、rr)を示す信号が入力される。
OM、RAM、入出力ポート装置を含みこれらが双方向
性のコモンバスにより互いに接続された周知の構成のマ
イクロコンピュータと駆動回路とよりなるものであって
よい。
御フローを記憶しており、後述の如く各車輪のタイヤ前
後力FXi(i=fl、fr、rl、rr)及びタイヤ横力F
Yi(i=fl、fr、rl、rr)を演算し、タイヤ前後力FXi
及びタイヤ横力FYiに基づき各車輪の路面反力F
XYi(i=fl、fr、rl、rr)を演算し、各車輪の接地荷
重FZi(i=fl、fr、rl、rr)を演算し、各車輪につい
て複合スリップ率λの変化量に対する路面反力FXYの変
化量の比∂FXY/∂λを演算し、これらに基づき各車輪
について最大摩擦係数μmaxを演算する。
置36は路面反力FXyiによる車輌の重心周りのヨーモ
ーメントMi(i=fl、fr、rl、rr)等を演算し、ヨー
モーメントMi等に基づき車輌の挙動を判定し、車輌が
スピン状態又はドリフトアウト状態にあるときには所定
の車輪の制動圧を制御することにより所定の車輪に所要
の制動力を付与し、これにより車輌の挙動を安定化させ
る。尚ヨーモーメントMi等に基づく車輌の挙動制御は
本発明の要旨をなすものではないので、これについての
詳細な説明を省略する。
ャートを参照して第一の実施形態に於ける最大摩擦係数
演算ルーチンについて説明する。尚図10及び図11に
示されたフローチャートによる制御は図には示されてい
ないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所
定の時間毎に繰返し実行される。
ンサ38により検出された車輌の前後加速度GXを示す
信号等の読込みが行われ、ステップ20に於いては制動
圧Piに基づき上記式4〜7に従って各車輪の制動力Bi
が演算される。
時間微分値として車輪加速度VWdiが演算されると共
に、車輪加速度VWdi等に基づき上記式17〜20に従
って各車輪のタイヤ前後力FXiが演算され、ステップ4
0に於いては上記式21に従って車輌の駆動力Dが演算
される。
センサ42により検出された車輌のヨーレートγの符号
に基づき車輌が左旋回状態にあるか否かの判別が行わ
れ、否定判別が行われたときにはステップ80へ進み、
肯定判別が行われたときにはステップ60へ進む。尚車
輌の旋回状態の判別は当技術分野に於いて公知の任意の
要領にて行われてよい。
横力FYfl及びFYfrがそれぞれ上記式45及び46又は
式48及び49に従って演算され、ステップ70に於い
ては左右後輪のタイヤ横力FYrl及びFYrrがそれぞれ上
記式68及び69又は式71及び72に従って演算され
る。
のタイヤ横力FYfl及びFYfrがそれぞれ上記式50及び
51又は式52及び53に従って演算され、ステップ9
0に於いては左右後輪のタイヤ横力FYrl及びFYrrがそ
れぞれ上記式73及び74又は式75及び76に従って
演算される。
前後力FXi及びタイヤ横力FYiに基づき上記式76〜7
9に従って各車輪の路面反力FXYiが演算され、ステッ
プ110に於いては車輌の前後加速度GX等に基づき上
記式8〜11に従って各車輪の接地荷重FZiが演算され
る。
たルーチンに従って各車輪について複合スリップ率λの
変化量に対する路面反力FXYの変化量の比∂FXY/∂λ
が演算され、ステップ150に於いては上記式126に
従って各車輪について路面の最大摩擦係数μmaxiが演算
され、しかる後ステップ10へ戻る。
/∂λ演算ルーチンのステップ122に於いては、各車
輪についてそれぞれ上記式104及び105に従ってタ
イヤの縦剛性KS及びタイヤの横剛性Kβが演算され、
ステップ124に於いては当技術分野に於いて公知の要
領にて車輌の横すべり角βBが演算されると共に、車輌
の横すべり角βB等に基づき上記式106及び107に
従って各車輪のタイヤ横すべり角βiが演算される。
113に従って各車輪の修正車輪速度SVWiが演算さ
れ、ステップ128に於いては上記式114又は119
に従って各車輪の基準スリップ率SKiが演算され、ス
テップ130に於いては修正車輪速度SVWiのうち最
も大きい値に基づき上記式121に従って推定車体速度
VBが演算される。
B及び各車輪の基準スリップ率SK iに基づき上記式1
22〜125に従って各車輪のスリップ率Siが演算さ
れ、ステップ134に於いては上記式81に従って複合
スリップ率λが演算される。
λが0であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われ
たときにはそのままステップ140へ進み、肯定判別が
行われたときにはステップ138に於いて複合スリップ
率λが0であるときの複合スリップ率λの変化量に対す
る路面反力FXYの変化量の比(∂FXY/∂λ)λ=0がタ
イヤの縦剛性KSに設定された後ステップ140へ進
む。
maxの前回値等に基づき上記式82に従って値ξが演算
され、ステップ142に於いては値ξが正の値であるか
否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステ
ップ144に於いて複合スリップ率λの変化量に対する
路面反力FXYの変化量の比∂FXY/∂λが0に設定さ
れ、肯定判別が行われたときにはステップ146に於い
て最大摩擦係数μmaxの前回値等に基づき複合スリップ
率λの変化量に対する路面反力FXYの変化量の比λFXY
/∂λが上記式98に従って演算される。
記ステップ134〜146は例えば左前輪、右前輪、左
後輪、右後輪の順に各車輪毎に実行され、従って複合ス
リップ率λ等は各車輪について演算される。
テップ20に於いて各車輪の制動力Biが演算され、ス
テップ30に於いて各車輪のタイヤ前後力FXiが演算さ
れ、ステップ40に於いて車輌の駆動力Dが演算され、
ステップ50〜90に於いて各車輪のタイヤ前後力FYi
が演算され、ステップ100に於いて各車輪の路面反力
FXYiが演算され、ステップ110に於いて各車輪の接
地荷重FZiが演算される。
いて複合スリップ率λの変化量に対する路面反力FXYの
変化量の比∂FXY/∂λが演算され、ステップ150に
於いて上記式126に従って接地荷重FZiに対する路面
反力FXYiの比FXyi/FZiと、所定の係数及び比∂FXY
/∂λの積との和として路面の最大摩擦係数μmaxiが各
車輪について演算される。
「発明の概要」の「〔11〕各車輪の路面の最大摩擦係
数の算出」に於いて説明したように、複合スリップ率が
高くなるにつれて推定される最大摩擦係数が路面の実際
の最大摩擦係数に漸次近づくので、複合スリップ率が高
い領域に於いて路面の最大摩擦係数μmaxiを各車輪毎に
正確に推定することができる。
路面の最大摩擦係数を正確に推定することはできない
が、一般に、路面の最大摩擦係数の情報が必要とされる
のは、車輌の挙動が悪化しその挙動安定化させる挙動制
御が行われるような場合であり、かかる状況に於いては
複合スリップ率が高いので、第一の実施形態によれば、
路面の最大摩擦係数の情報が必要とされる状況に於いて
路面の最大摩擦係数を正確に推定することができ、これ
により挙動制御を正確に実行することができると共に複
合スリップ率が低い領域に於ける路面の最大摩擦係数の
推定精度が低いことが過剰の不都合を来すことはない。
の加速スリップ状態にあることが要件とはならないの
で、前述の従来の推定装置の場合に比して遥かに高頻度
に路面の最大摩擦係数を正確に推定することができ、ま
た従動輪についても路面の最大摩擦係数を正確に推定す
ることができる。
係数推定装置の第二の実施形態を示す概略構成図、図1
3は第二の実施形態に於ける最大摩擦係数推定ルーチン
を示す図10と同様のフローチャートである。尚図12
に於いて、図9に示された部材と同一の部材には図9に
於いて付された符号と同一の符号が付されており、図1
3に於いて、図10に示されたステップに対応するステ
ップには図10に於いて付されたステップ番号と同一の
ステップ番号が付されている。
10の駆動力は自動変速機16及びディファレンシャル
54を介して左前輪車軸56L及び右前輪車軸56Rへ伝
達され、これにより操舵輪でもあり駆動輪でもある左右
の前輪24FL及び24FRが回転駆動される。
ップ30に於いて各車輪のタイヤ前後力FXiが上記式2
6〜29に従って演算され、ステップ40に於いては車
輌の駆動力Dが上記式30に従って演算されるが、他の
点については上述の第一の実施形態の場合と同様に各車
輪について路面の最大摩擦係数μmaxが演算される。
輌が前輪駆動車である場合にも複合スリップ率が高い領
域に於いて路面の最大摩擦係数μmaxiを各車輪毎に正確
に推定することができ、また上述の第一の実施形態の場
合と同様、前述の従来の推定装置の場合に比して遥かに
高頻度に路面の最大摩擦係数を正確に推定することがで
き、従動輪である後輪についても路面の最大摩擦係数を
正確に推定することができる。
ップ率λの変化量に対する路面反力FXYの変化量の比∂
FXY/∂λに対する係数Δμ・{(∂FXY/∂
λ)λ=0}は複合スリップ率λが0であるときの複合ス
リップ率λの変化量に対する路面反力FXYの変化量の比
(∂FXY/∂λ)λ=0に反比例する値であるので、この
係数が一定である場合に比して正確に各車輪について路
面の最大摩擦係数μmaxiを推定することができる。
ついて詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限
定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の
実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであ
ろう。
本発明が後輪駆動車に適用され、上述の第二の実施形態
に於いては本発明が前輪駆動車に適用されているが、本
発明は四輪駆動車に適用されてもよく、その場合には四
輪駆動制御装置より入力される駆動力の前輪配分比Rdf
及び後輪配分比Rdrに基づき、左右前輪のタイヤ前後力
FXfl、FXfr及び左右後輪のタイヤ前後力FXrl、FXrr
はそれぞれ下記の式128〜131に従って演算され
る。
リップ率λの変化量に対する路面反力FXYの変化量の比
∂FXY/∂λに対する係数Δμ・{(∂FXY/∂λ)
λ=0}は複合スリップ率λが0であるときの複合スリッ
プ率λの変化量に対する路面反力FXYの変化量の比(∂
FXY/∂λ)λ=0に反比例する値として可変設定される
ようになっているが、この係数は一定値に設定されても
よい。
の縦剛性KS及び横剛性Kβはそれぞれ上記式104及
び105に従って演算されるようになっているが、これ
らは他の要領にて演算されてもよく、また定数に設定さ
れてもよい。
明によれば、車輪が所定の駆動スリップ状態にあるか否
かに拘わらず路面の最大摩擦係数を演算することがで
き、また駆動輪及び従動輪の何れについても路面の最大
摩擦係数を演算することができ、更にはスリップ率が高
い領域に於いて路面の最大摩擦係数を正確に演算するこ
とができる。
に作用する前後力、横力を示す説明図である。
重心に作用する前後力、横力を示す説明図である。
モデル(B)について路面とタイヤとの間の摩擦係数μ
と複合スリップ率λとの関係を示すグラフである。
ヤの路面反力を示す説明図である。
べり角βiを演算する要領を示す説明図である。
SVWiを演算する要領を示す説明図である。
/∂λ)を説明するためのグラフである。
るためのμ−λ曲線を示すグラフである。
係数推定装置の第一の実施形態を示す概略構成図であ
る。
ーチンを示すフローチャートである。
∂λ演算のサブルーチンを示すフローチャートである。
擦係数推定装置の第二の実施形態を示す概略構成図であ
る。
ーチンを示すフローチャートである。
Claims (7)
- 【請求項1】各車輪のタイヤと路面との間の最大摩擦係
数を推定する最大摩擦係数推定装置にして、各車輪につ
いて、タイヤモデルに基づきタイヤの路面反力を演算す
る手段と、タイヤの接地荷重を求める手段と、タイヤの
接地荷重に対する路面反力の比を第一の比として演算す
る手段と、タイヤモデルに基づき演算されるスリップ率
の変化量に対する路面反力の変化量の比を第二の比とし
て演算する手段と、所定の係数と前記第二の比との積及
び前記第一の比に基づき路面の最大摩擦係数を演算する
手段とを有することを特徴とする路面の最大摩擦係数推
定装置。 - 【請求項2】前記路面反力は路面での二次元平面に於け
る路面反力であることを特徴とする請求項1に記載の最
大摩擦係数推定装置。 - 【請求項3】前記スリップ率は路面反力の方向について
のスリップ率であることを特徴とする請求項1又は2に
記載の最大摩擦係数推定装置。 - 【請求項4】前記タイヤの路面反力を演算する手段は各
車輪のタイヤ前後力及びタイヤ横力を推定し、タイヤ前
後力及びタイヤ横力に基づき各車輪のタイヤの路面反力
を演算することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに
記載の路面の最大摩擦係数推定装置。 - 【請求項5】前記タイヤの路面反力を演算する手段は車
輌の前後加速度、操舵角、各車輪の制動力、各車輪のタ
イヤ横力に基づき各車輪のタイヤ前後力を演算し、各車
輪のタイヤ横力として前回演算されたタイヤ横力が使用
されることを特徴とする請求項4に記載の路面の最大摩
擦係数推定装置。 - 【請求項6】前記タイヤの路面反力を演算する手段は車
輌のヨーレート、車輌の横加速度、各車輪のタイヤ前後
力に基づき前輪のタイヤ横力を演算することを特徴とす
る請求項4又は5に記載の路面の最大摩擦係数推定装
置。 - 【請求項7】前記タイヤの路面反力を演算する手段は車
輌の横加速度、各車輪のタイヤ前後力、前輪のタイヤ横
力に基づき後輪のタイヤ横力を演算することを特徴とす
る請求項4又は5に記載の路面の最大摩擦係数推定装
置。
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