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JP3455638B2 - 平衡機能検査装置 - Google Patents

平衡機能検査装置

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Publication number
JP3455638B2
JP3455638B2 JP30973996A JP30973996A JP3455638B2 JP 3455638 B2 JP3455638 B2 JP 3455638B2 JP 30973996 A JP30973996 A JP 30973996A JP 30973996 A JP30973996 A JP 30973996A JP 3455638 B2 JP3455638 B2 JP 3455638B2
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equilibrium function
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JP30973996A
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和雄 船曳
昭文 橘
隆一郎 新関
正和 鈴木
英基 吉川
晋 桐村
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J Morita Manufaturing Corp
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J Morita Manufaturing Corp
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Publication date
Application filed by J Morita Manufaturing Corp filed Critical J Morita Manufaturing Corp
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  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、頭部運動と眼球運
動を観察・記録し、前庭機能を解析して、平衡障害など
の内耳疾患を診断するために好適に実施することができ
る平衡機能検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図28は、典型的な先行技術の平衡機能
検査装置1を示す図である。内耳起源の眼球運動は一定
の規則に従って発現することが知られており、図28に
示されるような平衡機能検査装置1によって被検者5の
眼球運動を観察することによって、その疾患の診断に寄
与することができる。このような眼球運動は暗所開眼状
態で発現しやすく、そのため従来から可視光を遮断する
ゴーグル2に赤外線CCDカメラ3が設けられる装着具
4を被検者5の頭部6に装着し、左右両眼7の前眼部を
覆って暗所状態とし、ゴーグル2内に設けられる光源で
ある赤外線発光素子8を点灯して前眼部を赤外線によっ
て照明し、この前眼部を前記赤外線CCDカメラ3によ
って撮像している。
【0003】赤外線CCDカメラ3は、撮像によって発
生した電荷を撮像信号としてライン9に出力する。この
撮像信号はアナログ信号であって、ライン9が接続され
る画像処理装置10内でデジタル化された後、信号処理
して所定の汎用信号、たとえばNTSC方式またはPA
L方式に信号変換し、ライン11によって接続されたモ
ニタテレビ12の画面13に表示するとともに、その画
像をビデオレコーダ14によってビデオテープまたはビ
デオディスクに記録し、画面13に映し出された被検者
5の眼球運動と頭位および体位とを観察して、診断およ
び研究資料としている。
【0004】このような図28に示される先行技術に類
似する他の先行技術は、たとえば実公平3−2243号
公報に示されている。この先行技術では、上記ゴーグル
2の前眼部の前方にハーフミラーを設けて、その赤外反
射光をCCDから成るビデオカメラによって撮像し、こ
のビデオカメラからの撮像信号を増幅器および中央演算
処理装置CPUを介して陰極線管CRTに表示するよう
に構成されている。
【0005】また図28に示される先行技術に類似する
さらに他の先行技術は、たとえば特開平6−16575
9号公報に示されている。この先行技術では、ゴーグル
2に照明灯として設けられた赤外線発光ダイオードから
前眼部に照射された光をミラーを介してテレビカメラに
よって撮像し、このときゴーグルの重量によってアイマ
スクが被検者の顔面に食込んだり、瞼がふさがってしま
うという問題を防止するために、アイマスク接触圧調整
手段によってアイマスクと前眼部周縁との接触圧を調整
することができるようにした構成が開示されている。
【0006】さらに、日常に行われるめまいなどの平衡
障害に関する診療においては、注視、頭位、および頭位
変換眼振などの安静時あるいは前庭に負荷を加えたりし
た後での病的な眼球運動の観察、記録といったことが中
心であり、定量性を持った機能検査は行われていない。
また機能検査としては、体温とは異なる温度の水を外耳
内に与え、外側半規管にリンパ流を起こさせたときの眼
球運動を観察する温度眼振検査、いわゆるカロリック検
査は、ある程度の定量性を持って左右の半規管機能を個
別に評価できるという点で、末梢前庭の機能検査として
確固たる地位を築いているが、その刺激が非生理的であ
ること、すなわち片側の半規管のみが非常にゆっくりと
した持続的な刺激を受けるという日常の生活では経験の
少ない刺激によって、個体差が大きく、充分な定量性が
得られないという問題がある。しかも、日常的なめまい
を診療中に頻繁に上記温度眼振検査を行うことは不可能
に近い。つまり、一般的に行われている日常のめまい臨
床には、聴覚の聴力検査のように頻繁に行える定量性を
持った機能検査が欠落しているという問題がある。
【0007】しかし従来から、頭部に生理的な回転刺激
などを与えると、視野を安定するための頭部と反対に眼
球が変位する、いわゆる前庭眼反射(略称VOR:Vest
ibulo-ocular reflex)の存在はよく知られており、こ
の反射の解剖学的な神経の連絡および生理学的な動特性
については非常に多くの報告および知見があり、定量性
が高く個体差の少ない検査であることが知られている。
しかしこのVORを測定するには、従来は電波暗室の中
で、電気眼振検査(略称ENG:Electronystagmogra
m)とともに、回転椅子に設けたポテンショメータから
の頭部位置情報を同時に記録し、解析することが必要で
あり、日常臨床中にこれを行うのは多くの繁雑な手間を
必要とし、日常臨床に普及するには至っていない。さら
に、赤外線カメラによって撮像した眼球運動を観察する
だけでは、固視による抑制機能を評価するための情報が
なく、したがってこの固視抑制機能についての情報を観
察および記録できる技術は存在しない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】図28に示される先行
技術では、赤外線CCDカメラ3は、内蔵される垂直転
送用CCD(Charge Coupled Device;電荷結合素子)
および水平転送用CCDから順次1画素分の信号電荷を
取出して1フィールド分の撮像信号とし、この1フィー
ルド分の撮像信号を標準TV信号に合わせて1/60秒
で転送する。
【0009】このような画像処理装置10は、価格が高
く、一般の開業医院や診療所にとって容易に購入するこ
とが困難である。また赤外線CCDカメラ3と画像信号
処理装置10とを電気的に接続するライン9は、CCD
からの撮像信号を画像処理装置10に導く信号線の他
に、そのCCDに駆動電力を供給するための電源ライン
および赤外線発光素子8の電源ラインなどを1本のケー
ブルに内蔵しており、そのため撮像信号線にノイズが侵
入しやすく、また撮像信号の信号波形に歪みなどが生じ
やすいという問題がある。
【0010】また実公平3−2243号公報に示される
先行技術では、上記の図28に示される先行技術と同様
に、ビデオカメラから出力される撮像信号を、このビデ
オカメラとは別途に設けられる中央演算処理装置CPU
によって画像信号に信号処理しており、そのためビデオ
カメラを備える装着具とは別に高価な画像処理装置を購
入しなければならず、経済性が悪いという問題がある。
しかもビデオカメラからの撮像信号を中央演算処理装置
に転送する途中で、撮像信号へノイズが混入したり、そ
の撮像信号に歪みが生じてしまうという問題があり、鮮
明な画像が得られないおそれがある。
【0011】さらに特開平6−165759号公報に示
される先行技術では、ヘッドバンドに止めねじによっ
て、テレビカメラおよびミラーを備える大重量のゴーグ
ルが角変位自在に連結されるので、たとえば頭位変換眼
振検査を行うために被検者の頭部を変位させたとき、前
記ゴーグルがずれてしまうおそれがあり、したがってテ
レビカメラによってモニタテレビなどに映し出された画
像がぶれてしまい、正確な検査を行うことができないと
いう問題が生じる。
【0012】さらに図28、実公平3−2243号公報
および特開平6−165759号公報に示される各先行
技術では、眼球運動はモニタテレビによって検者が容易
に認識することができるけれども、この眼球運動と頭位
の変化、特に三半規管との関連を容易に認識することが
できず、診断の正確さおよび容易さを向上することがで
きる平衡機能検査装置が望まれている。
【0013】さらに上記の平衡障害に関する診療の先行
技術では、カロリック検査などの非生理的刺激による反
応を観察する検査方式は、個体差が大きく、左右差につ
いて議論する以外は、定量性が不充分であり、またEN
G検査は設備規模が大きく、検査時間が長く、かつ検者
および被検者の負担が大きいという問題がある。しかも
外来などの一般診療中に前庭機能の検査を簡単に行うこ
とができず、また通常のVORに加えて、自然視前庭眼
反射(略称VisVOR:Visual-vestibulo-ocular re
flex)および固視前庭眼反射(略称VOR―FIX:Fi
xationsuppression of the Vestibulo-ocular reflex)
を簡便に行う方法がなく、さらに眼球運動と頭部の運動
とを日常的な方法で同時に記録し、後日再生し解析でき
る技術も存在していない。
【0014】本発明の目的は、被検者の頭位の変化に拘
わらず画像のぶれをなくし、明瞭な画像で安価に眼球運
動を撮影することができるようにした平衡機能検査装置
を提供することである。
【0015】本発明の他の目的は、眼球運動と頭位の変
化や三半規管との関連を容易に認識可能として、前庭機
能を簡便に定量化し、診断の正確さおよび容易さを向上
することができるようにした平衡機能検査装置を提供す
ることである。
【0016】本発明のさらに他の目的は、赤外線CCD
カメラなどの撮像素子と角速度センサなどとを組合わせ
て、頭部に刺激を加えた場合の頭部運動と眼球運動とを
観察および記録することにより、定量的かつ簡便に前庭
機能の検査を行うことができるようにした平衡機能検査
装置を提供することである。
【0017】本発明のさらに他の目的は、検査結果をビ
デオレコーダなどに記録し、後日再生して、前庭機能の
解析、特に移動の困難な被検者および遠隔地での診療な
どに利用することができる利便性が向上された平衡機能
検査装置を提供することである。
【0018】本発明のさらに他の目的は、前庭眼反射に
加えて、自然視前庭眼反射および固視前庭眼反射の検査
を行うことによって、前庭機能のみならず中枢神経系か
らの固視抑制機能をも評価することができるようにした
平衡機能検査装置を提供することである。
【0019】本発明のさらに他の目的は、カロリック検
査をより短時間で簡便にかつ簡単な設備を用いて、観察
および記録することができるようにした平衡機能検査装
置を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、被検者の顔面に装着して前眼部を覆う装着具に、前
眼部を照明する照明光を発生する光源と、前眼部を撮像
する撮像素子と、撮像素子からの撮像信号を信号処理し
て所定の汎用画像信号を出力する画像処理手段とが設け
られ、被検者の頭部の動きを撮影してその画像信号を出
力する頭部撮影手段を含むことを特徴とする平衡機能検
査装置である。本発明に従えば、被検者の顔面に装着さ
れる装着具に、光源と、撮像素子と画像処理手段とが左
右両眼または片眼に対応して設けられる。前記光源は被
検者の前眼部に照明光を照射し、その反射光を撮像素子
によって撮像し、撮像素子からの撮像信号は、画像処理
手段によって所定の汎用画像信号、たとえばNTSCあ
るいはPALなどの画像信号に変換される。したがって
画像処理手段から出力される画像信号を用いてモニタテ
レビなどの表示手段に撮影画像を直接表示させることが
できる。これによって前記従来の技術に関連して述べた
ように、高価な画像処理装置を別途に購入する必要がな
くなり、また撮像素子から出力されるアナログ値の撮像
信号を信号線を介して前記画像処理装置に転送する必要
がなくなり、したがって撮像信号へのノイズの混入や信
号波形の歪みなどが生じず、明瞭な画像で表示を行うこ
とが可能となる。しかも光源と撮像素子と画像処理手段
とが1つの基板上に一体に取付けてユニット化すること
ができるので、装着具に取付けても軽量であり、被検者
の頭位の変化によって画像にぶれが生じるおそれはな
い。また、頭部撮影手段は被検者の頭部の動きを撮影し
てその画像信号を出力するたとえば市販のビデオカメラ
によって実現することができ、この画像信号を既存のモ
ニタテレビなどの表示手段によって前記画像処理手段か
らの画像信号に基づく被検者の前眼部の画像とともに1
つの画面上、あるいは個別に準備されたモニタテレビの
各画面上に同時に表示することができる。このようにし
て前眼部の片眼または両眼の眼球の運動と被検者の頭部
の動きとを同時に認識することができるので、眼球運動
と頭位とを対応付けて把握することができ、これによっ
て診断の正確さおよび容易さを向上することができる。
【0021】請求項2記載の本発明は、被検者の顔面に
装着して前眼部を覆う装着具に、前眼部を照明する照明
光を発生する光源と、前眼部を撮像する撮像素子と、撮
像素子からの撮像信号を信号処理して所定の汎用画像信
号を出力する画像処理手段とが設けられ、装着具には、
その装着具を装着した状態における被検者の三半規管の
位置に対応させて、三半規管に相当する疑似形状に形成
された疑似三半規管が設けられることを特徴とする平衡
機能検査装置である。請求項4記載の本発明は、装着具
には、その装着具を装着した状態における被検者の三半
規管の位置に対応させて、三半規管に相当する疑似形状
に形成された疑似三半規管が設けられることを特徴とす
る。本発明に従えば、前記装着具には被検者の三半規管
の位置に対応させて疑似三半規管が設けられる。この三
半規管の位置は、被検者が装着具を装着した状態におい
て、装着具の両側部または一側部のいずれであってもよ
く、被検者の左右両側の内耳に存在する各三半規管の位
置、すなわち外側半規管、前半規管および後半規管をそ
れぞれ左右に対応付けて配置する。このように疑似三半
規管を装着具に設けるのは、それぞれの三半規管の膨大
部がその半規管の平面での頭部の回転加速度刺激を主と
して感受し、これにより前庭神経が興奮して、前庭神経
核、動眼神経核を経て対応する眼筋が収縮および伸長し
て眼球が偏位するという前庭眼反射が医学的に知られて
おり、検者および被検者の家族などに頭位変換および回
転刺激検査の意味を容易に認知させるためである。した
がって装着具に疑似三半規管を設けた場合には、検者は
モニタテレビに映し出された眼球の運動と被検者に装着
されている装着具の疑似三半規管とを同時に認識して、
被検者の頭位と眼球運動との関係を容易に、しかも正確
に認識することができる。また請求項2記載の本発明の
構成において、装着具に疑似三半規管を設けた場合に
は、被検者の頭部が頭部撮影手段によって撮影されるた
め、別途に準備されたモニタテレビの画面上で被検者の
頭部に装着された装着具の疑似三半規管を眼球運動とと
もに同時に認識することが可能となる。さらに、装着具
には前記疑似三半規管とともに頭部の動きを検出する検
出器が設けられるので、被検者の頭部の動きを検出器か
らの検出信号に基づくたとえば棒グラフなどの表示が眼
球の運動とともに表示され、この表示を疑似三半規管の
動きとともに同時に認識することが可能となる。したが
って検者は実際の被検者の頭部の動きを目で見ながら疑
似三半規管の刺激を受けた部位などを把握し、頭部の動
きを定量的に把握することができ、より正確で確実な診
断を行うことが可能となる。
【0022】請求項3記載の本発明は、装着具には、頭
部の動きに対する速度、加速度、角速度および角加速度
のいずれかを3次元で検出して、直交3軸方向の検出信
号を出力する検出器が設けられることを特徴とする。 本発明に従えば、請求項1記載の本発明の構成に加え
て、前記装着具には頭部の動きを検出する検出器が設け
られるので、この検出器からの検出信号に基づいて、別
途に準備されたモニタテレビの画面上でたとえば棒グラ
フなどによって可視的に表示することができ、このよう
にして眼球運動と検出器による装着具の動き、すなわち
頭部の動きを同時に認識することができ、これによって
診断の正確さおよび容易さを向上することができる。
【0023】
【0024】請求項5記載の本発明は、装着具には、少
なくとも撮像素子を予め定める方向に移動させて撮像位
置を調整する撮像位置調整手段が設けられることを特徴
とする。 本発明に従えば、請求項1記載の本発明の構成におい
て、装着具には撮像位置調整手段が設けられるので、撮
像素子を眼球の中心に移動させて眼球の運動全体を明瞭
に撮像することができるように調整を行うことができ
る。このような撮像位置調整手段は、撮像素子が両眼に
対応して設けられる場合には、各撮像素子が相互に近接
/離反する方向、この近接/離反する方向に対して垂直
な上下方向、および各撮像素子が装着状態で前眼部に近
接/離反する方向の3方向に設けるようにしてもよく、
あるいはこの3方向のうち少なくとも各撮像素子が相互
に近接/離反する方向にだけ撮像位置を調節することが
できるように構成されてもよい。この各撮像素子が相互
に近接/離反する方向に撮像位置を調整可能に設けるこ
とによって、大人から子供まで両眼の間隔の相違に対応
して撮像位置を正確に位置決めすることが可能となる。
また前眼部に近接/離反する方向に撮像位置を調整する
ことができる場合には、拡大した状態で瞳孔の観察を行
うことができ、また離反させた状態で眼球の移動範囲を
すべてカバーして撮像することが可能となる。また上下
方向に撮像位置を調整することができる場合には、被検
者に装着具を装着した状態で装着具を変位させることな
しに各撮像素子を上下方向に移動させて微調整すること
が可能となる。このような撮像位置調整手段は、装着具
に左右両眼のうちいずれか一方にのみ光源と撮像素子と
画像処理手段とが設けられる構成に対しても同様に実施
することができ、検者の所望する態様で撮像位置を調整
することが可能である。またこのような撮像位置調整手
段は、請求項2〜4の各発明の構成であっても、検者の
希望する位置に撮像位置を調整することができるので、
たとえば被検者が斜視である場合であっても、偏位の方
向を予め検者が把握することができ、診断上の利便性が
向上される。
【0025】請求項6記載の本発明は、装着具は、可視
光に対して遮光性を有し、光源は、赤外線を発生する赤
外線発光素子から成り、撮像素子は、赤外線を検出する
赤外線検出素子から成ることを特徴とする。 本発明に従えば、前眼部は装着具によって暗所とされ、
赤外線発光素子から赤外線を発生してもその暗所の状態
が維持され、この状態で赤外線検出素子によって前眼部
が撮像される。これによって眼球運動測定時において、
固視による眼振抑制をより少なくして、正確な眼振運動
の測定を行うことができる。このような赤外線による眼
球運動の撮影は、請求項1〜5のいずれの構成であって
も暗所での正確な眼球運動を観察することが可能であ
り、前庭機能を評価し、病巣を同定する上で、眼球運動
が外部の光によって影響を受けないことはきわめて重要
であり、疾患の解明に寄与することができる。
【0026】請求項7記載の本発明は、画像処理手段か
らの画像信号に基づく前眼部の画像および頭部撮影手段
からの画像信号に基づく頭部の動きを示す画像のいずれ
か一方または両方を選択的に表示する表示手段を含むこ
とを特徴とする。 本発明に従えば、請求項2記載の本発明の構成におい
て、画像処理手段からの前眼部の画像および頭部撮影手
段による頭部の動きを示す画像のいずれか一方または両
方を選択的に表示手段によって表示することができる。
このように表示手段は選択的に前眼部の画像および頭部
の動きの画像のいずれか一方または両方を表示すること
ができるので、検者の希望に応じて表示態様を使い分け
ることができ、診断上の利便性を向上することができ
る。
【0027】請求項8記載の本発明は、画像処理手段か
らの画像信号に基づく前眼部の画像、および頭部の動き
を検出する検出器からの検出信号に基づく直交3軸方向
の速度、加速度、角速度および角加速度のいずれかを示
す画像のいずれか一方または両方を選択的に表示する表
示手段を含むことを特徴とする。 本発明に従えば、請求項3記載の本発明の構成におい
て、表示手段は前眼部の画像および頭部の動きを検出す
る検出器からの検出信号に基づく直交3軸方向の速度、
加速度、角速度および角加速度のいずれかを示す画像の
いずれか一方または両方を選択的に表示することができ
る。これによって眼球の運動と頭部の動きとを1つの画
面上で同時にまたは一方だけを認識することができ、こ
れによって被検者の頭部の動きと眼球の運動とを対応付
けて定量的に認識することができ、診断上の利便性を向
上することができる。
【0028】請求項9記載の本発明は、表示手段は、頭
部の動きを検出する検出器からの検出信号に基づいて三
半規管の反応部位を表示することを特徴とする。 本発明に従えば、請求項8記載の本発明の構成におい
て、前記表示手段は三半規管の反応部位を検出器からの
検出信号に基づいて表示するように構成されるので、被
検者は表示手段によって映し出された三半規管の反応部
位、すなわち頭部の動きによって反応すべき部位と、被
検者の眼球の運動の起源となっているであろう三半規管
の部位との相違を容易に認識して診断を行うことがで
き、これによって被検者の疾患の有無、病巣の同定、疾
患の診断あるいは治療経過の観察を容易に行うことがで
きる。
【0029】請求項10記載の本発明は、前記装着具に
は、頭部の動きに対する速度、加速度、角速度および角
加速度のいずれかを3次元で検出して直交3軸方向の検
出信号を出力する検出器および装着具を装着した状態に
おける被検者の三半規管の位置に対応させて、三半規管
に相当する疑似形状に形成された疑似三半規管のうち少
なくともいずれか一方が設けられることを特徴とする。
本発明に従えば、請求項1記載の本発明の構成におい
て、装着具には頭部の動きを検出する検出器および疑似
三半規管のうち少なくとも一方が設けられる。前記装着
具に疑似三半規管だけが設けられる場合には、検者は、
光源によって照明され撮像素子によって撮像された前眼
部の画像を、予め準備されたモニタテレビなど既存の表
示手段の画面によって確認しながら、同時に被検者が装
着している装着具の疑似三半規管によって、被検者の頭
部の動きに伴う三半規管の傾きを、前記画面の映し出さ
れた眼球の動きに対応付けて確認することができる。こ
れによって上記の前庭眼反射等に基づく診断の正確さお
よび容易さを向上することができる。また前記装着具に
頭部の動きを検出する検出器だけが設けられる場合に
は、被検者の頭位の動き、すなわち3軸方向の各動き
を、速度、加速度、角速度および角加速度のいずれかに
よって検出し、既存の画像処理手段およびその画像処理
手段からの画像信号に基づいてモニタテレビなどの表示
手段によって定量的に表示することができる。さらに装
着具に上記の疑似三半規管および検出器の両者を設ける
ことによって、検者は頭位の変化を定量的に把握しなが
ら疑似三半規管によって眼球運動の三半規管上の起源を
容易に具現化して認識することができ、より一層診断の
正確さおよび容易さを向上することができる。
【0030】請求項11記載の本発明は、請求項1〜1
0のいずれかに記載の発明の構成において、装着具は、
可撓性および弾発性を有する暗黒色の不透明な合成樹脂
またはゴムから成ることを特徴とする。 本発明に従えば、装着具は可撓性および弾発性を有する
暗黒色の不透明な合成樹脂またはゴムから成るので、こ
の装着具を被検者が顔面に装着したとき、合成樹脂また
はゴムの可撓性および弾発性によって、装着具が顔面形
状に応じて適度に変形し、装着具を顔面に密着させた状
態で前眼部を覆うことができる。このように装着具を顔
面に密着させることによって、顔面と装着具との間に隙
間が生じて外部光が前眼部に入射することが防がれる。
このように前眼部ヘの外部光の入射を防ぐのは、撮像素
子が前眼部および外部光の反射光をも受光して明瞭な画
像が得られなくなることを防止するとともに、被検者が
眼球を外部光によって無意識的に動かしてしまい、正確
な眼振検査を行えなくなってしまうことを防ぐためであ
る。特に外部光のちらつき、点滅、強弱、色などの影響
によって、被検者の頭位とは無関係な眼球運動を誘引し
て、頭位に対する眼振の再現性が低下し、その眼振を誘
発している部位が三半規管のどの部分であるかを特定す
る眼振起源の特定に支障を生じる恐れがある。そのた
め、本発明では上記のように、装着具が被検者の顔面に
密着するようにして隙間の発生を防ぎ、また暗黒色の不
透明な合成樹脂またはゴムを用いて外部光を遮断し、信
頼性の高い眼振検査情報を得ることができるようにな
る。
【0031】請求項12記載の本発明は、請求項11記
載の発明の構成において、装着具は、合成樹脂またはゴ
ムに抗菌剤を混入した材料、もしくは合成樹脂またはゴ
ムの表面に抗菌剤を被覆した材料から成ることを特徴と
する。 本発明に従えば、抗菌性のある合成樹脂またはゴムによ
って上記装着具が構成されるので、被検者の顔面、手お
よび指などの皮膚を介して感染する細菌の繁殖を抑制し
または無くし、感染を防ぐことができる。またこの装着
具は、前記抗菌性に加えて耐薬品性をも有する材料を選
択することによって、装着具をアルコールなどの消毒剤
によって払拭して消毒しても、医薬品による変質および
劣化を防ぐことができる。
【0032】請求項13記載の本発明は、前記撮像素子
からの撮像信号を信号処理して眼球運動を観察する手段
を有し、前記装着具には、頭部の動きに対する速度、加
速度、角度、角速度および角加速度のいずれかを検出す
るセンサを接続し、頭部を動かしたときの眼球運動の撮
像信号とセンサの出力信号とを処理して、前庭眼反射を
観察および記録することができるように構成されること
を特徴とする。本発明に従えば、請求項1または2記載
の本発明の構成において、赤外線CCDカメラなどの撮
像素子によって撮像された眼球運動の撮像信号と、頭部
の運動を検出するセンサの出力信号とを処理し、眼球運
動と、頭部運動の速度、加速度、角度、角速度および角
加速度のいずれかとを処理して、たとえばモニタテレビ
などに同時表示しまたは再生し、平衡機能の定量的およ
び客観的な観察を可能とし、前庭眼反射による平衡機能
の診断を高い信頼性のデータに基づいて行うことが可能
となる。
【0033】請求項14記載の本発明は、請求項13記
載の発明の構成において、装着具に、前眼部と撮像素子
とを結ぶ―直線上に、この一直線に対して直交する方向
を映し出すハーフミラーを設け、その直交する方向にさ
らにミラーを設けて、眼球が外部の状況を自然視できる
ようにし、かつ眼球運動を観察手段によって観察できる
ようにして、頭部を動かしたときの眼球運動の撮像信号
とセンサの出力信号とを処理して、自然視前庭眼反射を
観察および記録することができるように構成されること
を特徴とする。 本発明に従えば、眼部と撮像素子との間にその眼部と撮
像素子とを結ぶ一直線上で、眼部に対して直交する方向
を映し出すハーフミラーを設け、その直交する方向にさ
らにミラーを設けて外部の状況を自然視できるように
し、その眼球運動を撮像素子によって撮像して、頭部を
動かしたときの眼球運動の撮像信号と前記センサの出力
信号とを処理して、自然視前庭眼反射を定量的かつ簡便
に観察および記録することが可能となる。
【0034】請求項15記載の本発明は、請求項14記
載の発明の構成において、ミラーを装着具に収納する
か、またはミラーを装着具の外装の一部を成す構造と
し、前庭眼反射を観察および記録することができるよう
に構成されることを特徴とする。 本発明に従えば、ミラーを装着具に収納し、ハーフミラ
ーを跳上げることによつて、または跳上げずに、暗所下
の状態に切換えることができる。前記ハーフミラーは、
撮像素子による受光量の減衰を少なくするために、撮像
時に撮像素子の撮像経路外に跳上げて退避させておくこ
とが好ましいが、撮像素子の感度を高くし、または光源
の発光強度を高くし、もしくはそれらをともに高くする
ことによって、前記撮像素子の受光量の減衰を回避する
ことができるため、ハーフミラーが撮像経路内に介在し
た状態であっても、何ら支障は生じない。このようにし
て自然視可能な状態と暗所下の状態とに容易に切換え
て、前庭眼反射検査と自然視前庭眼反射検査とを個別に
行うことができる。 また本発明は、ミラーが、装着具の外装の一部を成すよ
うに設けられる。すなわち外装の一部を成すとは、たと
えば装着具に開閉可能に前記ミラーを設け、開閉動作に
よって前記ミラーを跳上げ、または閉じることができる
ように構成されてもよい。このようにミラーを装着具の
外装の一部を成すように設けることによって、前記ミラ
ーを用いるときには前記蓋部を開き、前記ミラーを用い
ないときには蓋部を閉じて、ほこりなどの侵入を防止す
ることができる。
【0035】請求項16記載の本発明は、請求項14記
載の発明の構成において、ミラーに代えて定点視が可能
な目標物を装着具に配置するか、または定点視ができる
目標物が装着具の外装の一部を成す構造とし、頭部を動
かしたときの眼球運動の撮像信号とセンサの出力信号と
を処理して、固視前庭眼反射を観察および記録すること
ができるように構成されることを特徴とする。 本発明に従えば、前記ミラーに代えて定点視が可能な目
標物が装着具に設けられるので、前記ハーフミラーには
この目標物が反射して被検者によって認識することがで
き、このようにして固視前庭眼反射を検査することがで
きるとともに、自然視による眼反射のデータをも参酌し
て、固視抑制機能の評価も行うことができる。 また本発明は、定点視ができる目標物が、装着具の外装
の一部を成すように設けられる。前記目標物が装着具の
外装の一部を成すとは、たとえば装着具に前記ミラーに
よって被検者が視認することができる位置に前記目標物
を開閉可能に設け、固視前庭眼反射を観察して平衡機能
検査を行うことができる。
【0036】請求項17記載の本発明は、請求項16記
載の発明の構成において、定点視ができる目標物が、任
意の映像を映し出すことができるように構成されること
を特徴とする。 本発明に従えば、任意の映像を映出すことができる構成
として、具体的には、たとえば液晶表示素子によって実
現することができる。このような液晶表示素子によっ
て、定点視される目標物を図柄、文字および符号などに
よって表示することができ、しかもその位置および大き
さを被検者の視力などの視覚特性に適応させることがで
きる。したがって目標物が一定のものに限らず、液晶表
示素子によって映し出された目標物に応じて固視前庭眼
反射を分析することが可能であり、検査上の利便性が向
上される。
【0037】請求項18記載の本発明は、請求項16記
載の発明の構成において、定点視ができる目標物が、小
形の照明具であることを特徴とする。 本発明に従えば、定点視ができる目標物として小形の照
明具が用いられ、この小形の照明具として、たとえば発
光ダイオードおよびエレクトロルミネセンスなどの発光
素子を用いることができる。このような発光素子は、そ
の点灯および消灯、明るさ、色などを被検者の視覚特性
あるいは検査目的に応じて適宜変化させることが可能で
あるため、このような変化に応じた固視前庭眼反射を観
察することができ、検査結果を様々な角度から分析する
ことが可能となり、検査上の利便性が向上される。
【0038】請求項19記載の本発明は、請求項15ま
たは16記載の発明の構成において、ハーフミラーが、
跳上がるように構成されることを特徴とする。 本発明に従えば、前記ハーフミラーは撮像素子の前方か
らその撮像経路外に変位可能に設けられるので、暗所下
で前庭眼反射による前庭機能検査を行うときなどのよう
にハーフミラーが不要であるときには、そのハーフミラ
ーを撮像経路外に退避させ、自然視前庭眼反射および固
視前庭眼反射による平衡機能の検査を行うときなどのよ
うにハーフミラーを用いるときには、そのハーフミラー
を撮像素子の前方に変位させることができる。このよう
にしてハーフミラーを前記撮像経路外に退避させた状態
では、撮像素子の前方にハーフミラーが存在しないの
で、光源によって照明された前眼部の反射光がハーフミ
ラーによって減衰せず、前眼部を撮像素子によって鮮明
に撮像することができる。
【0039】請求項20記載の本発明は、請求項13〜
19のいずれかに記載の発明の構成に加えて、頭部の動
きに対する速度、加速度、角度、角速度および角加速度
のいずれかを検出するセンサの出力信号を処理し、撮像
信号とともにビデオレコーダに記録し、このビデオレコ
ーダの記録内容を再生して、前庭眼反射、自然視前庭眼
反射または固視前庭眼反射を観察および記録することが
できるように構成されることを特徴とする。 本発明に従えば、頭部の動きに対する速度、加速度、角
度、角速度および角加速度のいずれかをセンサによって
検出し、このセンサの出力信号を処理し、撮像素子によ
る撮像信号とともにビデオレコーダに記録し、これを再
生して前述の前庭眼反射検査、自然視前庭眼反射および
固視前庭眼反射のいずれかの検査を行うことができる。
特に、前記ビデオレコーダに頭部の動きに対する速度、
加速度、角度、角速度および角加速度のいずれかの動き
に関する情報と、前記撮像素子による眼球の動きに関す
る情報とが記録されるので、これらの情報を繰返して観
察することができ、診断上の利便性が向上される。
【0040】請求項21記載の本発明は、請求項20記
載の発明の構成において、センサヘの出力信号を前記ビ
デオレコーダの音声帯域に変調して記録し、再生時には
復調することを特徴とする。 本発明に従えば、前記頭部の動きに対する速度、加速
度、角度、角速度および角加速度のいずれかを検出する
センサの出力信号は、ビデオレコーダの音声帯域に変調
して記録されるので、再生時に前記音声帯域に記録され
たセンサの出力信号を復調して画像とともに同時に表示
することができる。これによって眼球の動きとセンサの
出力信号による前記速度、加速度、角度、角速度および
角加速度のいずれかとの対応関係を容易に認識すること
ができ、診断上の利便性が向上される。
【0041】請求項22記載の本発明は、請求項13記
載の発明の構成において、眼球の動きを撮像する素子を
持たないフレンツェル眼鏡に、頭部の動きに対する速
度、加速度、角度、角速度および角加速度のいずれかを
検出するセンサを接続し、頭部を動かしたときの眼球運
動を、観察および記録することができるように構成され
ることを特徴とする。 本発明に従えば、従来から頭位変換眼振検査などに用い
られるフレンツェル眼鏡にセンサを設けて、頭部を動か
したときの眼球運動およびセンサの出力信号を記録およ
び観察するように構成されるので、前記フレンツェル眼
鏡によるいわば定点視を持たない自然視状態で前庭眼反
射の検査を行うことができ、このような従来のフレンツ
ェル眼鏡にも本発明を好適に実施して、簡単な構成で定
量的な平衡機能検査を行うことが可能となる。
【0042】請求項23記載の本発明は、請求項13記
載の発明の構成に加えて、ノズル先端から空気を吐出
し、外耳道内に挿入可能なエアノズルと、エアノズルの
ノズル先端から吐出される空気の温度または赤外線によ
る鼓膜の温度を検出する温度センサと、前記空気の温度
を、温度センサの温度情報に基づいて制御する空気温度
制御手段と、エアノズルに空気を供給するポンプとを備
え、温度刺激を加えたときの眼球運動を観察することに
より温度眼振検査を行えるように構成されることを特徴
とする。 本発明に従えば、ポンプから供給される空気はエアノズ
ルに導かれ、ノズル先端から外耳道内で吐出される。こ
のエアノズルのノズル先端から吐出される空気の温度ま
たは鼓膜の温度は、温度センサによって検出される。こ
の温度センサによって検出された吐出空気または鼓膜の
温度情報に基づいて、空気温度制御手段は、前記ノズル
先端から吐出する空気の温度を制御する。前記エアノズ
ルは外耳道内に挿入可能であり、前記装着具を被検者の
前眼部に装着して、前記エアノズルのノズル先端から所
定温度の温風を吐出して外耳道内に温度刺激を与え、眼
球運動を観察することによって温度眼振検査、すなわち
カロリック検査を行うことができる。 このような温度眼振検査は、暗所開眼で行われ、たとえ
ば30〜44℃程度の温風を外耳道内に注入し、これに
よって誘発される眼振を観察し、この眼振の持続時間、
振幅および眼振緩徐相の速度などによって疾患因子を推
定することができる。このような温度眼振検査は、誘発
された温度眼振が最高に達したときに、暗所開眼から明
所開眼一点注視を行わせ、その眼振緩徐相の速度がどの
ように変化するかを観察する。健常者では、非注視下で
誘発されていた眼振が明所注視下にすると抑制されるの
が一般的であり、小脳の障害ではその抑制効果が少なく
なることが知られている。このような温度眼振検査を行
うにあたって、前記エアノズルから吐出される空気の温
度は、温度制御手段によって自在に制御することがで
き、したがって温度刺激の強さを調整して、被検者に適
した刺激を与えることができる。
【0043】請求項24記載の本発明は、請求項23記
載の発明の構成において、温度眼振を加えたときのタイ
ミングと、外耳道内または鼓膜の温度とを個別にまたは
組合わせて処理し、撮像信号とともにビデオレコーダに
記録し、再生して、眼球運動を観察および記録すること
ができるように構成されることを特徴とする。 本発明に従えば、上記のエアノズルのノズル先端から外
耳道内に空気を吐出して温度眼振を加えたときのタイミ
ングと、前記温度センサによる外耳道内または鼓膜の温
度とを撮像信号とともにビデオレコーダに記録する。こ
のとき前記温度眼振を加えたときのタイミングと外耳道
内または鼓膜の温度とは、個別または同時に組合わせて
処理され、再生時には、眼球運動の画像と温度刺激を加
えたときのタイミングと外耳道内または鼓膜の温度と
を、同時にまたは個別に観察することができる。これに
よって温度刺激によって誘発された眼振と外耳道内また
は鼓膜の温度とを同時に把握し、眼振の持続時間、振
幅、眼振緩徐相の速度などを時間的経緯および外耳道内
または鼓膜の温度に対応付けて容易に観察することがで
きる。
【0044】請求項25記載の本発明は、請求項23ま
たは24記載の発明の構成において、温度刺激を加えた
ときのタイミングと、外耳道内または鼓膜の温度とを個
別にまたは組合わせて処理し、前記ビデオレコーダの音
声帯域に変調して記録し、再生時には復調することを特
徴とする。 本発明に従えば、温度刺激を加えたときのタイミング
と、外耳道内または鼓膜の温度とを個別にまたは組合わ
せて処理し、前記ビデオレコーダの音声帯域に変調して
記録する。このような音声帯域の記録は、前記撮像信号
とともに同期させて再生することができ、タイミングお
よび温度を個別に処理しても、タイミングを示すデータ
と温度を示すデータとを相互に同期させる必要がなく、
さらにタイミングを示すデータと温度を示すデータとを
前記撮像信号に対して同期させる必要もなく、信号処理
するための構成が簡単であり、構成が複雑化しない。
【0045】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の一形態の平
衡機能検査装置21を示す断面図であり、図2は図1の
下方から見た平衡機能検査装置21の正面図であり、図
3は図2の右方から見た眼球右方撮影装置21の側面図
であり、図4は平衡機能検査装置21の斜視図である。
本形態の平衡機能検査装置21は、基本的に、被検者の
顔面に装着して左右両眼の前眼部を覆う装着具22と、
装着具22に設けられ前眼部を照明する照明光として不
可視領域の赤外線を発生する左右各4つの光源23a,
23bと、装着具22に設けられ、前眼部を撮像する撮
像素子である一対の赤外線CCDカメラ24a,24b
と、装着具22に設けられ、各赤外線CCDカメラ24
a,24bからの撮像信号を信号処理して所定の汎用画
像信号を出力する一対の画像処理手段25a,25bと
を含む。
【0046】装着具22は、被検者の前眼部を覆うアイ
マスク26と、アイマスク26の両側部27a,27b
に長手方向両端部が固着されるヘッドベルト28とを有
する。ヘッドベルト28は、2本のベルト部分29a,
29bから成り、各ベルト部分29a,29bの前記両
側部27a,27bに固着される部分とは反対側の長手
方向他端部が、たとえばマジックテープなどと呼ばれる
面状ファスナーあるいはバックルなどと呼ばれる係合金
具によって相互に着脱自在に連結され、被検者の頭部の
大きさに応じてヘッドベルト28の長さを調整できるよ
うに構成される。このようなベルト部分29a,29b
は、たとえば軟質ゴムなどであって、可撓性および弾発
性を有し、アルコール消毒を行うことができるように耐
薬品性を有する材料から成る。
【0047】前記アイマスク26は、ゴーグルとも呼ば
れ、大略的にメガネ状に形成されており、アルコール消
毒が可能なように耐薬品性を有し、かつ装着時に被検者
の顔面に密着されるために適度の可撓性および弾発性を
有する暗黒色の不透明な合成樹脂または軟質ゴムから成
る。上記のアイマスク26およびヘッドベルト28から
成る装着部22は、可撓性および弾発性を有する材料と
して、具体的には、シリカゲルの表面に殺菌作用を有す
る金属イオンを含むアルミノ珪酸塩の被膜を有する抗菌
性組成物を、合成樹脂またはゴムの成型時に混合した抗
菌性合成樹脂または抗菌性ゴムによって実現することが
できる。前記シリカゲルは、SiO2 を主成分とし、―
般式(SiO2)x・(H2O)yで示される非晶質の多
孔性物質であって、たとえば3〜5μm程度の粒径を有
する微粒子である。このようなシリカゲルは、多孔質で
あるため、表面積が大きく、その表面は極めて活性であ
って、銀、銅、亜鉛、水銀、錫、鉛、ビスマス、カドミ
ウム、およびクロムなどの殺菌作用を有する金属イオン
をほば均一に付着させることができる。
【0048】合成樹脂としては、耐熱性および耐寒性に
優れ、耐薬品性、耐水性および化学的安定性の高いシリ
コン樹脂が用いられる。上記の抗菌性組成物としての殺
菌作用を有する金属イオンを付着させたシリカゲルを、
樹脂成型時に混合し、樹脂全体に対して1〜5重量%を
配合したものを用いることによって、抗菌性を有する樹
脂成型品としてアイマスク26およびヘッドベルト28
を形成することができる。
【0049】本発明の実施の他の形態として、合成樹脂
としては、上記のシリコン樹脂以外に、たとえば耐熱
性、および耐薬品性を有し、かつ柔軟性を有するボリア
ミド樹脂またはポリイミド樹脂などを用いることができ
る。またゴム材料としては、天然シリコンゴムまたはフ
ッ素ゴムなどを用いることができる。
【0050】さらに本発明の実施の他の形態として、抗
菌性合成樹脂または抗菌性ゴムとして、チタニア(Ti
2)の微粒子を合成樹脂またはゴムの成型時に0.5
〜1.0重量%を配合したものであってもよい。上記の
チタニアを5〜50μmの微粉末として火炎溶射器によ
って溶融加熱し、合成樹脂またはゴムの表面に噴射して
付着させてもよい。この場合、チタニア層の厚みは、2
0〜500μmに選ばれる。このように合成樹脂または
ゴムの表面にチタニア層を形成すると、このチタニア
は、光半導体として作用し、チタニアの価電子帯の電子
が励起されて伝導帯に移行するとともに価電子帯に正孔
を残す。伝導帯の電子は、チタニア層を移動して金属表
面で放電し、水素を発生する。またチタニアの正孔は、
その界面で水と反応して活性水酸基OHまたは酸素を発
生させ、この光電気化学作用が殺菌作用として働き、光
がチタニアに当たると大腸菌、緑濃菌、ブドウ球菌およ
び黒黴菌などを60分以内にほぼゼロにする殺菌効果を
生じさせることができる。
【0051】本発明の実施の他の形態として、上記のチ
タニアに代えて、ゼオライト、リン酸カルシウム、ハイ
ドロキシアパタイトおよびリン酸ジルコニウムなどの無
機系の無機イオン交換体または多孔質体などと、抗菌性
金属材料またはそのイオンとの複合体であってもよい。
この実施例としては、銀銅ゼオライト、銀リン酸ジルコ
ニウム、銀リン酸塩ガラス、銀リン酸塩セラミックおよ
び銀蒸着ハイドロキシアパタイトなどがあり、これらの
微粒子を上記のような耐薬品性および耐熱性ならびに柔
軟性を有する合成樹脂またはゴムに1〜5重量%程度を
混入して成型するようにしてもよい。
【0052】また本発明の実施のさらに他の形態とし
て、装着具22に用いられるビス、ボルトゴム、ナット
およびその他の金具などの金属類に対しても、抗菌性を
付与してもよい。このような抗菌性を有する金属として
は、ステンレス鋼の表面を抗菌性金属層で被覆したもの
と、金属自体に抗菌性を付与するものとがある。具体的
には、ステンレス鋼の表面に抗菌性金属層を被覆したも
のとして、抗菌性金属であるAgおよび/またはCuを
含むCr、Pi、Ni、Feなどの金属層または合金層
で被覆した構成が考えられる。この場合、Ag含有量は
19〜60重量%、Cu含有量は6〜21重量%の範囲
に選ばれ、上記のCr、pi、Niまたはステンレス鋼
の表面にAgまたはCuもしくはこれらの合金または化
合物から成るターゲットを分散して配置し、マグネトロ
ンスパッタリングによってステンレス鋼表面に被覆層を
形成することができる。
【0053】またステンレス鋼自体に抗菌性を付与する
場合には、具体的には、ステンレス鋼の表面を、TiO
2含有量が1体積%以上で厚みが0.2μm以上の表層
部が形成されたものを用いることができ、TiO2リッ
チの表層部は、有効Ti量が0.1〜0.8重量%の範
囲に調整されているステンレス鋼を、露点が15〜30
℃で70体積%以上のH2を含むH2とN2との混合ガス
雰囲気中で700〜1,000℃に熱処理したものを用
いることができる。このようなTiO2リッチの表層部
によって抗菌性を実現することができる。
【0054】上記のようなステンレス鋼の表面に抗菌性
金属を被覆した材料またはステンレス鋼自体に抗菌性表
層を形成して抗菌性を付与した材料によって上記の装着
具22に用られる各種の金具を形成することによって、
消毒液などが入り込みにくい隙間などに細菌が発生する
ことが防がれ、清潔な状態を継続的に維持することがで
きる。このようなアイマスク26は、被検者の顔面にほ
ぼ周方向全周にわたって密着するように図1の水平断面
において円弧状または楕円状の当接面30が形成される
周壁31と、この周壁31の前記当接面30とは反対側
の端部から内方に屈曲した前壁32とを有し、この前壁
32には透孔33が形成される。
【0055】アイマスク26の前壁32には、上記の各
光源23a,23b、各赤外線CCDカメラ24a,2
4bおよび各画像処理手段25a,25bを保持する保
持体34が設けられる。この保持体34は、耐薬品性を
有する硬質ゴムから成り、前記前壁32に固着される環
状の枠部35と、この枠部35の図1の下方となる一端
面を塞ぐ端板36とを有する。このような保持体34お
よび上記のアイマスク26は、被検者が装着した状態に
おいて可視光の反射を防ぐために黒色とされ、また前述
したようにアイマスク26の当接面30が顔面に周方向
全周にわたって密着して可視光の侵入を防ぎ、左右両眼
の前方を暗所として、頭位とは無関係な眼球の動きを防
止することができる。
【0056】各画像処理手段25a,25bは、各赤外
線CCDカメラ24a,24bからの撮像信号を所定の
汎用画像信号、たとえばNTSC(National televisio
nSystem Committee)方式の画像信号に信号処理する市
販の信号処理回路を用いることができ、その回路基板3
7a,37b上には各光源23a,23bが電気的に接
続されて立設される。本形態では、これらの光源23
a,23bは、各赤外線CCDカメラ24a,24bを
挟む図1における左右両側にそれぞれ2本ずつ設けられ
る。各赤外線CCDカメラ24a,24bは、複数の垂
直転送用CCD(Charge Coupled Device;電荷結合素
子)から1画素分の信号電荷を水平転送用CCDに転送
し、水平転送用CCDにはこの信号電荷をたとえば図1
における右側から左側へ順次出力として送出し、送出し
終えてから次の1画素分の各垂直転送用CCDから水平
転送用CCDに移し、これを順次的に繰り返して全ての
転送を終了すると、1フィールド分の撮像信号として画
像処理手段25a,25bにそれぞれ導出し、この画像
処理手段25a,25bにおいて上記の汎用画像信号に
信号処理し、たとえば1フィールド分の画像信号を1/
60秒で出力することができるように構成される。
【0057】保持体34には、上記の各光源23a,2
3bおよび各赤外線CCDカメラ24a,24bを備え
る各画像処理手段25a,25bの基板37a,37b
を、予め定める方向である相互に近接/離反する方向4
1a,41b;42a,42bに移動させて各赤外線C
CDカメラ24a,24bによる撮像位置を調整するた
めの撮像位置調整手段43a,43bが設けられる。一
方の撮像位置調整手段43aについて説明する。
【0058】この撮像位置調整手段43aは、基板37
aに固定される金属製のガイドブロック44aと、ガイ
ドブロック44aの長手方向一端部にほぼ直角に抜け止
めされた状態で回転自在に連結されるねじ棒45aと、
このねじ棒45aの保持体34から突出した軸線方向一
端部に固定されるつまみ46aと、保持体34に係止さ
れ、ねじ棒45aが挿通する挿通孔38aに外部から嵌
着され内周面にねじ棒45aに螺合する内ねじが形成さ
れる抜止め片ナット48aと、ガイドブロック44aの
長手方向他端部に形成される軸孔49aに挿通し、基端
部が保持体34に固定され、ねじ棒45aの軸線と平行
な軸線を有する案内軸50aとを有する。もう一方の撮
像位置調整手段43bは、上記の撮像位置調整手段43
aと同様に、装着具22の幅方向(図1および図2の左
右方向)中心を通る一平面51に関して左右対称に形成
され、対応する部分には同一の数字に添字bを付す。
【0059】このような撮像位置調整手段43a,43
bによって、光源23a,23bおよび赤外線CCDカ
メラ24a,24bを備える画像処理手段25a,25
bの各基板37a,37bを個別に近接方向41a,4
1bおよび離反方向42a,42bに変位させて、各赤
外線CCDカメラ24a,24bによる撮像位置を眼球
のほぼ中心となるように撮像位置を調整することができ
る。このような各撮像位置調整手段43a,43bは、
軸線方向両側に逆方向に外ねじが形成されるねじ棒によ
って一方のつまみ46aを操作することによって、各基
板37a,37bを相互に同一距離だけ近接方向41
a,41bおよび離反方向42a,42bに連動して移
動させることができる。
【0060】上記の装着具22の両側部27a,27b
には、その装着具22を装着した状態における被検者の
三半規管の位置に対応させて左右両側の各三半規管に相
当する擬似形状に形成された一対の擬似三半規管55
a,55bが左右対称に設けられる。各擬似三半規管5
5a,55bは、外側半規管部56a,56bをほぼ水
平にしてその頭部寄りに前半規管部57a,57bが設
けられ、各外側半規管部56a,56bの後方に前半規
管部57a,57bに直交する平面に後半規管部58
a,58bが設けられる。これらの外側半規管部56
a,56b、前半規管部57a,57bおよび後半規管
部58a,58bは、実際の三半規管とほぼ類似した形
状でかつ各半規管ごとに色分けして形成されており、各
半規管の付け根の膨大部56a1,57a1,58a
1;56b1,57b1,58b1も各半規管部と色分
けされて、左右対称に配置される。
【0061】この三半規管は、それぞれが環状で略半円
形をしており、頭部の回転加速度の刺激を主として感受
することができ、各3つの半規管は互いに交差する略直
交3平面内にあり、それぞれの面に加わった回転加速度
で各半規管が刺激される。このような刺激によって半規
管神経が興奮すると、前庭神経核を通じて各半規管神経
と連絡する眼筋が伸縮または伸長し、左右の眼球が変位
する。このような眼球の変位は、刺激された半規管の面
内で惹起されることが知られており、このような眼球の
動きは前庭眼反射と呼ばれている。
【0062】このような装着具22の保持体34には、
その上部に各画像処理手段25a,25bに電気的に接
続された一対の信号用端子61a,61bと、電源用端
子62と、電源スイッチ63とが設けられる。電源スイ
ッチ63を押圧操作することによって、電源用端子62
に供給される電力が各画像処理手段25a,25bに導
かれ、各赤外線CCDカメラ24a,24bが電力付勢
されるとともに、各光源23a,23bが点灯される。
【0063】図5は平衡機能検査装置21の全体の構成
を模式的に示す図であり、図6は平衡機能検査装置21
の電気的構成を示すブロック図である。平衡機能検査装
置21は、上記の装着具22に加えて、各画像処理手段
25a,25bから出力される画像信号に基づく前眼部
の画像を表示する表示手段66を含む。この表示手段6
6は、各画像処理手段25a,25bから出力される右
眼画像信号および左眼画像信号を入力して信号処理し、
2つの画像信号を1つの画面に映し出されるように編集
する画像制御手段67と、画像制御手段67からの出力
によって画像を表示するモニタテレビ68と、モニタテ
レビ68に映し出される画像を記録するビデオレコーダ
69とを含む。
【0064】画像制御手段67では、その編集例とし
て、両方の各画像信号の同時表示、被検者のカルテ番号
およびIDコードなどの追加表示などが行われる。図5
の表示態様では、モニタテレビ68の画面70には片側
の前眼部だけが表示されており、各画像処理手段25
a,25bのうちいずれか一方の信号用端子61aまた
は61bに接続される各接続線71a,71bのいずれ
か一方は、画像処理手段67に設けられる図示しない信
号の入力端子に接続されていない状態とされる。また各
接続線71a,71bを画像制御手段67の入力端子に
それぞれ接続することによって、両方の前眼部の画像を
表示することができ、さらに上記のような編集によって
被検者のカルテの番号およびIDコードなどを追加表示
することができる。
【0065】図7は、頭位変換眼振検査の手順を説明す
るための図である。頭位変換により、主に耳石器と半規
管に急激な動的刺激を加えることによって、その後に誘
発される眼振を本形態の平衡機能検査装置21によって
撮影し、前記モニタテレビ68に映し出された画像と被
検者73の頭位とを同時に観察して平衡障害などの疾患
を診断することができる。このような頭位変換眼振検査
の手順としては、図7(1)に示されるように、被検者
73を座位とし、検者74が被検者73の頭部75の顔
面に装着具22を装着する。この状態で検者74は装着
具22に設けられる各信号用端子61a,61bと画像
制御手段67に設けられる図示しない画像信号入力端子
とを各接続線71a,71bによってそれぞれ接続し、
装着具22に設けられる電源スイッチ63を押圧してモ
ニタテレビ68に映し出された各前眼部の画像を確認
し、撮像位置調整手段43a,43bのつまみ46a,
46bを操作して、撮像位置を調整する。
【0066】このようにして準備が完了すると、被検者
73の頭位を変化させながら眼振検査が開始される。眼
振検査は、図7(1)に示される座位の状態から図7
(2)に示される懸垂頭位の状態にわたって被検者73
の体位を変化させながら、頭部75を正面、右下、左下
に傾ける頭位変換が行われる。図8を参照して、さらに
詳しく説明する。まず、矢状面の頭位変換眼振検査で
は、懸垂頭位正面から座位正面に移した後、座位正面か
ら懸垂頭位正面に頭部変換させる。また矢状面と水平面
の複合頭位変換眼振検査では、懸垂頭位右下から座位正
面に移り、この座位正面から懸垂頭位右下に移り、懸垂
頭位左下から座位正面に移り、座位正面から懸垂頭位左
下に移る。
【0067】このようにして患者の頭位を変換しながら
モニタテレビ68に映し出された画像をみて、眼振の潜
伏時間、眼振方向、眼振数、再現性、減衰現象およびめ
まい感の有無などが観察される。このようにして頭位を
変換した際に、装着具22には擬似三半規管55a,5
5bが設けられので、モニタテレビ68の画像を見なが
ら被検者73の頭位の変化で三半規管のどの部位が刺激
されているかを擬似三半規管55a,55bによって容
易に把握することが可能である。
【0068】図9(1)〜図9(4)は典型的な頭位変
換眼振すなわちモニタテレビ68に表示された眼球の主
たる運動方向を矢印で示す図であり、上段は座位での眼
振を示し、下段は懸垂頭位での眼振を示している。図9
(1)は、方向固定性頭位変換眼振と呼ばれ、懸垂頭位
と座位とでは、ともに右方向への水平性眼振が出現した
例を示す。また図9(2)は、反対回旋性頭位変換眼振
を示し、懸垂頭位では右、座位では左への順回旋性眼振
が出現した例を示す。また図9(3)は、垂直性頭位変
換眼振を示し、懸垂頭位では下眼瞼向き垂直性眼振が出
現した状態を示し、さらに図9(4)は、逆行性垂直性
頭位変換眼振を示し、垂直性頭位で下眼瞼向きで、座位
で上眼瞼向きの垂直性眼振が出現した例を示す。このよ
うな頭位変換動作は、日常の起床、仰床動作の中でも無
意識のうちにしばしば生じるけれども、正常者では頭位
変換の際に眼振が誘発されることはない。しかしながら
内耳障害や小脳・脳幹障害例では眼振抑制機構に破綻を
生じ、眼振とともにめまい感が誘発されるなどの各種の
症状があり、このような頭位変換に対応する被検者73
の眼振運動をみて、診断を行うことができる。
【0069】図10は本発明の実施のさらに他の形態を
示す平衡機能検査装置21aの全体の構成を示す図であ
り、図11は図10に示される平衡機能検査装置21a
の電気的構成を示すブロック図である。なお、図1〜図
9の実施の形態と対応する部分には同一の参照符を付
す。本形態の平衡機能検査装置21aは、図1〜図9に
示される形態の平衡機能検査装置21における装着具2
2の一側部に、この装着具22、したがって被検者73
の頭部75の動きに対する加速度を3次元で検出して直
交3軸方向(X軸、Y軸、Z軸)の加速度信号を出力す
る加速度検出器77が設けられる。この加速度検出器7
7は、たとえば直交3軸方向の加速度をそれぞれ個別に
検出する3つの音叉形(ワトソン形)加速度センサ、ピ
エゾジャイロ、あるいは圧電形加速度センサなどによっ
て実現することができる。この加速度検出器77からの
加速度信号は、加速度信号処理手段78に入力されてデ
ジタル化され、そのデジタル化された加速度信号は前記
画像制御手段67に入力される。この画像制御手段67
には、前述した編集例、すなわち両眼の動きの同時表示
および被検者のカルテの番号およびIDコードなどの追
加表示に加えて、前記加速度信号に基づく頭部の動きま
たは加速度を追加表示することができるように編集を行
う。
【0070】このような画像制御手段67による加速度
信号を含むモニタテレビ68の表示画像の一例として、
図12に示されるように、画面70の右側の表示領域8
1に前眼部を表示し、左側の表示領域82に前記加速度
信号に基づく3軸方向の加速度を三半規管の各半規管に
対応して棒グラフで表示するようにしてもよい。また図
13に示されるように、画面70を4等分して、上段の
左右の表示領域83,84に左右の各前眼部を表示し、
下段の左右の各表示領域85,86に左右両側の加速度
信号に基づく加速度を三半規管の各半規管に対応して個
別に棒グラフによって表示するようにしてもよい。さら
に図14に示されるように、図12の表示態様におい
て、左側の表示領域82の棒グラフに代えて、3軸方向
の加速度を横軸を時間とし、縦軸を加速度とする3つの
グラフによって表示するようにしてもよい。さらに図1
5に示されるように、前述の図13の下段の2つの領域
85,86にそれぞれ表示される棒グラフに代えて、右
および左の各3軸方向の加速度を横軸を時間とし、縦軸
を加速度とする3つのグラフをそれぞれ表示するように
してもよい。
【0071】上記のような加速度検出器77に代えて、
回転運動の角速度成分を検出する角速度センサ(振動ジ
ャイロまたはガスレートジャイロ)や、その微分値であ
る角加速度を検出する角加速度センサ、さらに速度セン
サを用いるようにしてもよい。
【0072】図16は、本発明の実施のさらに他の形態
を示す平衡機能検査装置21bを示す図である。本形態
の平衡機能検査装置21bは、被検者の頭部の動きを撮
影する頭部撮影手段88を備える。この頭部撮影手段8
8は、たとえば市販のビデオカメラによって実現するこ
とができる。この頭部撮影手段88は、前述の図7およ
び図8に示されるようにして頭位変換眼振検査を行う際
に、被検者の頭部を撮影して、その画像信号を出力し、
前記画像制御手段67に入力してモニタテレビ68に表
示することができるように構成される。この場合、画像
制御手段68は、右側の表示領域90には右または左の
赤外線CCDカメラ24aまたは24bによって撮像さ
れた前眼部が表示され、左側の表示領域91には前記頭
部撮像手段88によって撮像された被検者73の頭部7
5付近の画像が表示される。その左側の表示領域91に
映し出された画像には、頭部75に装着した装着具22
が各擬似三半規管55a,55bとともに表示されるの
で、検者は同時に2つの表示領域90,91を視認して
被検者73が頭位と眼球運動とを関連つけて把握するこ
とができる。このようにして診断上の利便性を向上する
ことができる。
【0073】また図17に示されるように、画面70を
4分割して上段の左右両側の表示領域93,94に左右
両眼の前眼部を表示し、下段の右側の表示領域95に被
検者の氏名、性別、検査日などの検査関連情報を表示
し、さらに下段の左側の表示領域96に前記頭部撮影手
段88によって撮像された被検者の頭部付近の画像を表
示するようにしてもよい。このように画面70を4分割
して両眼の前眼部と頭位と検査データとを同時に表示す
ることができるので、1つの画面で検者が多くの情報を
1度に関連つけて診断することができ、これによって診
断上の利便性を格段に向上することができる。
【0074】以上の実施の各形態では、装着具22に両
眼の眼球運動を撮影するためにそれぞれ一対の光源23
a,23b、赤外線CCDカメラ24a,24b、画像
処理手段25a,25b、撮像位置調整手段43a,4
3b、および疑似三半規管55a,55bを設けるよう
にしたけれども、本発明の実施のさらに他の形態とし
て、装着具22の右または左の片側だけに上記の光源2
3a(または23b)、赤外線CCDカメラ24a(ま
たは24b)、画像処理手段25a(または25b)、
撮像位置調整手段43a(または43b)、および疑似
三半規管55a(または55b)を設けるようにしても
よい。
【0075】図18は、本発明の実施のさらに他の形態
の平衡機能検査装置21cを簡略化して示す図であり、
図19は図18に示される平衡機能検査装置21cに備
えられる装着具22aの内部構造を示す断面図である。
本実施の形態の平衡機能検査装置21cは、基本的に、
被検者Mの顔面に装着して前眼部を覆う装着具22a
に、前眼部を照明する照明光として非可視領域の赤外線
を発生する左右各4つの光源101と、装着具22aに
設けられ、前眼部を撮像する撮像素子である一対の赤外
線CCDカメラ102と、装着具22aに設けられ、各
赤外線CCDカメラ102からの撮像信号を処理して所
定の汎用画像信号を出力する一対の画像処理手段103
と、装着具22aの一側部に設けられ、頭部の動きに対
する角速度を検出するセンサである角速度検出器104
と、各画像処理手段103からの頭部を動かしたときの
眼球運動の撮像信号と前記角速度検出器104の出力信
号とを処理して、前庭眼反射(略称VOR:Vestibulo-
ocular reflex)を表示し、かつ記録する表示記録手段
105とを含む。
【0076】被検者Mの眼部106と各赤外線CCDカ
メラ102とを結ぶ一直線107上には、この一直線1
07に対して直交する方向を映出すハーフミラー108
が設けられ、その直交する方向(図18および図19の
上方)にさらに反射ミラー109を設けて、外部の状況
を自然視することができるように構成される。前記光源
101は、前述の実施の形態と同様に、赤外線LEDが
用いられる。また各画像処理手段103の所定の汎用画
像信号としては、前述の実施の形態と同様に、各赤外線
CCDカメラ102からの撮像信号をNTSC方式を画
像信号に信号処理する市販の信号処理回路を用いること
ができる。さらに各赤外線CCDカメラ102は、前述
の実施の形態と同様に、複数の垂直転送用CCDから1
画素分の信号電荷を水平転送用CCDに転送し、水平転
送用CCDにはこの信号電荷を前述の図1における右側
から左側へ順次出力として送出し、送出し終えてから次
の1画素分の各垂直転送用CCDから水平転送用CCD
に移し、これを順次的に繰返して全ての転送を終了する
と、1フィールド分の撮像信号として画像処理手段10
3にそれぞれ導出し、この画像処理手段103において
上記の汎用画像信号に信号を処理し、たとえば1フィー
ルド分の画像信号を1/60秒で出力することができる
ように構成される。
【0077】前記表示記録手段105は、変調器110
および復調器111を有する変調/復調手段112と、
ビデオデッキ113およびモニタテレビ114を有する
ビデオレコーダ115と、セレクタ116と、A/D変
換器117と、コンピュータ118とを含む。
【0078】前記装着具22aは、図1〜図17に示さ
れる実施の形態と同様に、可撓性および弾発性を有する
暗黒色の不透明な合成樹脂またはゴムから成り、これら
の合成樹脂またはゴムに抗菌剤を混入または被覆して形
成され、両側部には図1および図2に示される疑似三半
規管55と同様に一対の疑似三半規管(図示せず)が左
右対象に設けられるとともに、各赤外線CCDカメラ1
02および各光源101が接続される各画像処理手段1
03がそれぞれ設けられる各基板121を個別に相互に
近接/離反変位させるための撮像位置調整手段122が
設けられる。
【0079】この撮像位置調整手段122は、装着具2
2の前壁165から前方に突出したつまみ123を有
し、このつまみ123を右または左に回転操作すること
によって、各基板121を相互に近接/離反する方向に
変位させることができる。このような装着具22aは、
前記光源101、赤外線CCDカメラ102、画像処理
手段103および撮像位置調整手段122が内蔵される
撮像部124と、前記ハーフミラー108および反射ミ
ラー109が内蔵されるミラー部125と、被検者Mの
前眼部を外囲するようにして装着される接眼部126と
から成る。前記接眼部126は、図1〜図17に示され
る各実施の形態でいうアイマスク26に相当し、その両
側部にはヘッドベルト28が連結されている。このよう
な接眼部126の前壁127の周縁部には、嵌合突起1
28が周方向に間隔をあけて複数設けられる。この嵌合
突起128は前壁127に一体に読込まれた金属片であ
ってもよく、前壁127と同一の材料から成ってもよ
い。前壁127にはまた、装着状態でハーフミラー10
8をほぼ全領域にわたって視認することができる透孔1
29が形成される。
【0080】前記ミラー部125は、上壁130と、下
壁131と、上壁130よりも内側に間隔をあけて配置
される上内壁132と、下壁131よりも内方(図19
の上方)に間隔をあけて設けられる下内壁133と、上
壁130、下壁131、上内壁132および下内壁13
3の幅方向(図19の左右方向)一端部に垂直に一体的
に連なる前壁134と、上壁130、下壁131、上内
壁132、下内壁133および前壁134の長手方向
(図19の紙面に垂直方向)両端部、両方垂直に連なる
両側壁135とを有する。上壁130には透孔136が
形成され、また上内壁132には透孔137が形成され
て、上方に跳上げられた反射ミラー109の反射光をハ
ーフミラー108によって認識することができるよう
に、ハーフミラー108および反射ミラー109間の光
経路が確保されている。前記ハーフミラー108は、撮
像時に上方へ跳上げておくことによって、眼球を含む前
眼部による赤外線の反射光をCCDカメラ102によっ
て直接受光することが感度上好ましいが、必ずしも跳上
げなくても、CCDカメラ102の感度を高くし、およ
びまたは光源101の発光強度を高くすることによっ
て、明瞭な画像を得ることが可能である。
【0081】前壁134には透孔138が形成されると
ともに、その周縁部には周方向に間隔をあけて複数の嵌
合突起139が形成され、この嵌合突起139には撮像
部124が嵌着される。前記前壁134の透孔138内
には、撮像部124から突出する各光源101および赤
外線CCDカメラ102が挿通してミラー部125内に
突出しており、各光源101はハーフミラー108の上
下両端部と各内壁132,133との間に形成される空
間に臨んで配置される。これによって光源101からの
赤外線が妨げられることが防がれ、より多くの光量で前
眼部を照明することができる。
【0082】上壁130には、反射ミラー109の基端
部がピン141によって枢支され、幅方向中央部にはピ
ン142によってリンク片143の長手方向一端部が連
結される。このリンク片143の長手方向他端部は、ピ
ン144によってもう1つのリンク片145の長手方向
一端部に連結され、このリンク片145の長手方向他端
部はピン146によって上壁130の透孔136に臨む
一側部に連結される。
【0083】このような上壁130の一側部と、反射ミ
ラー109と、各ピン141,142,144,147
と、各リンク片143,145とによって、平行四辺形
リンクを構成する。このような平行四辺形リンク機構に
よって、反射ミラー109は上壁130から上方に跳上
げられた開放位置と透孔136内に嵌まり込んだ閉鎖位
置とに角変位自在である。このようにして反射ミラー1
09は、装着具22aに収納可能に設けられている。
【0084】上記の平行四辺形リンク手段は、反射ミラ
ー109の図9における紙面に垂直な長手方向一端部だ
けに設けられてもよく、両端部に設けられてもよい。ま
た各ピン141,142,144,147および各リン
ク片143,145は、前述したような抗菌性を有する
金属から成る。
【0085】このような反射ミラー109は、基端部側
のピン141を設けず、あるいは外すことによって仮想
線148に示されるように上壁130とほぼ平行に立上
げて配置することができ、この場合には、ハーフミラー
108に臨む反射ミラー109の表面に、定点視用目標
物として、所定の大きさの丸、四角、三角などの各種の
形状の図柄を表示するようにしてもよい。これによって
反射ミラー109の定点視用の目標物をハーフミラー1
08によって視認することができる。
【0086】ハーフミラー108は、図19の紙面に垂
直な長手方向一端部において、幅方向一端部には取付片
151が固定され、この取付片151はピン152によ
って上内壁132から下方に突出する垂下片153に連
結される。またハーフミラー108の幅方向他端部には
取付片154が固定され、この取付片154にはピン1
55によってリンク片156の長手方向一端部が連結さ
れる。このリンク片156の長手方向他端部には、ピン
157によってもう1つのリンク片158の長手方向一
端部が連結され、このリンク片158の長手方向他端部
はピン159によって上内壁132から下方に突出して
連なる垂下片160に連結される。
【0087】各取付片151,154、各ピン152,
155,157,159、各リンク片156,158、
各垂下片153,160と、上内壁132およびハーフ
ミラー108によって、平行四辺形リンクを構成する。
このような平行四辺形リンクによって、前記ハーフミラ
ー108はピン152を中心にして角変位可能であり、
かつ図19に示されるように、上壁130および上内壁
132に対して約45°の角度を成して安定に保持した
状態に維持することができる。またこのようなハーフミ
ラー108は赤外線を透過しかつ可視光を反射するた
め、光源101によって前眼部が照明されたとき、その
反射光をハーフミラー108を介して赤外線CCDカメ
ラ102によって受光することができ、かつ反射ミラー
109に写ったたとえば室内の状況をハーフミラー10
8によって反射して視認することができる。なお、各取
付片151,154、各ピン152,155,157,
159および各リンク片156,158は、前述した抗
菌性を有する金属から成る。
【0088】撮像部124の上壁161には透孔162
が形成される。この上壁161の図19の紙面に垂直な
両端部には、両側壁163がほぼ直角に屈曲して連な
り、各側壁163の下端部は下壁164によって連結さ
れる。上壁161、両側壁163および下壁164の図
19の左右方向となる幅方向一端部には前壁165が連
なり、塞がれている。上壁161の前壁165寄りの端
部には、ピン166によって定点視用の目標物の取付板
167が連結され、この取付板167の他端部にはピン
168によってリンク片169の長手方向一端部が連結
される。リンク片169の長手方向他端部には、ピン1
70によってもう1つのリンク片171の長手方向一端
部が連結され、このリンク片171の長手方向他端部が
ピン172によって上壁161の透孔162に臨む周縁
部におけるミラー部125寄りの端部に連結される。
【0089】各ピン166,168,170、各リンク
片169,171、取付板167および上壁161の一
側部によって、平行四辺形リンクが構成される。このよ
うな平行四辺形リンクによって、取付板167は、図1
9に示されるように上方に立上げた開放位置と、透孔1
62内に嵌まり込んで収納された閉鎖位置とに角変位す
ることができ、かつ一定の前記開放状態に立上げた状態
が維持されるように支持することができる。
【0090】各ピン166,170,172および各リ
ンク片169,171は、前述の抗菌性を有する金属か
ら成る。取付板167の反射ミラー109に臨む表面に
は、目標物がたとえばシートまたは塗料によって表示さ
れる。このような目標物が取付板167に設けられる場
合には、前記反射ミラー109に目標物は設けられてお
らず、取付板167の目標物を反射ミラー109によっ
て反射し、ハーフミラー108によって認識することが
できる。
【0091】赤外線CCDカメラ102および光源10
1を内蔵した装着具22aを被検者Mの前眼部に装着
し、その装着具22aの側面に疑似三半規管の水平半規
管に対して垂直になるように前記角速度検出器104が
設けられる。このようにして角速度検出器104が設け
られることによって、水平半規管の回転方向の角速度を
検出することができる。たとえば回転眼振検査を行う場
合には、被検者を回転椅子に固定し、回転運動を与えた
ときの眼球運動の各赤外線CCDカメラ102による撮
像信号は、ビデオレコーダ115のビデオデッキ113
に設けられる撮像信号入力端子に入力され、角速度検出
器104の出力信号がビデオデッキ113に装填される
ビデオテープの音声帯域に記録されるように変調器11
0を通してビデオデッキ113の音声入力端子にそれぞ
れ入力し、録画を行う。このとき用いられる変調方式
は、たとえばFM、AM、FSKおよびPSKなどの音
声帯域に記録できる変調方式であればいずれであっても
よく、あるいは組合わせて用いるようにしてもよい。
【0092】このようにして出力された撮像信号および
音声信号を再生し、撮像信号がセレクタ116を介して
A/D変換器117によってA/D変換し、音声信号が
復調器111によって元のセンサ出力信号に復調され、
セレクタ116を介してA/D変換器117に入力され
る。また録画することなく直接に撮像信号とセンサ出力
信号とをA/D変換器117に入力して画像処理し、モ
ニタテレビ118aによって表示するようにしてもよ
い。
【0093】このコンピュータ118では、デジタル化
された眼球運動の撮像信号は、2値化処理され、楕円近
似または重心の移動から角速度を算出する。またデジタ
ル化されたセンサ出力信号より角度、角速度および角加
速度の少なくともいずれか1つ以上を算出する。このよ
うにしてモニタテレビ118aには、前庭眼反射(VO
R)の測定データが同時または個別に選択して表示さ
れ、前庭眼反射を観察し、記録することができる。
【0094】また前記装着具22aには、図20に示す
ように、前眼部と撮像素子との間に、前記一直線107
上に配置されるハーフミラー108、およびその直交す
る方向となる上方には反射ミラー109が設けられるの
で、通常の前庭眼反射(VOR)を測定する場合には、
ハーフミラー108は図18および図19に示されるよ
うに前記一直線107に対して交差する方向に引出され
たままの状態に保たれ、または上方に跳上げられ、かつ
反射ミラー109は装着具22aの透孔136に嵌まり
込んでその透孔136を塞ぎ、装着具22aの外装の一
部を構成するような状態で折畳まれている。
【0095】また自然視前庭眼反射(VisVOR)を
測定する場合には、図20に示すように、ハーフミラー
108を下ろした状態とし、反射ミラー109を上方に
開いて被検者Mが外部の状況を自然視できるようにし、
かつ眼球温度を各赤外線CCDカメラ102によって撮
像し、コンピュータ118のモニタテレビ118aによ
って観察し、またはビデオレコーダ115に録画して、
モニタテレビ114によって再生し、観察するととも
に、上記通常の前庭眼反射(VOR)の測定と同様に頭
部運動と眼球運動とをビデオレコーダ115によって記
録する。
【0096】さらに、図21に示すように、反射ミラー
109に設けられる定点視用目標物を用いる場合には反
射ミラー109を水平にしてハーフミラー108に直交
するように配置し、固視前庭眼反射(VOR−FIX)
の測定を行うことが可能である。このとき目標物は、た
とえば反射ミラー109に貼付けられた図柄、発光ダイ
オードなどの発光素子、または液晶表示素子に映出され
た任意の映像であってもよい。
【0097】また図22に示すように反射ミラー109
は開いたままでその反射方向に配置される取付板167
を上方に立上げ、その取付板167に設けられた定点視
できる目標物を用いる場合には、被検者に定点視させて
固視前庭眼反射をコンピュータ118のモニタテレビ1
18aによって観察し、同時にビデオレコーダ115に
よって記録することができる。
【0098】さらに本発明の実施の他の形態として、図
23の参照符120で示されるように、鉤状に前方へ屈
曲したアーム175の先端にたとえば球状の目標物17
6を不動状態となるように垂下してもよい。このような
構成によってもまた、被検者に目標物176を定点視さ
せて固視眼振検査を行うことができる。
【0099】上記の平衡機能検査装置21cによって頭
部運動と眼球運動とを観察および記録し、前庭機能の診
断を説明するための一例として、図24に示されるよう
に、頭部回転運動の角速度(HV)を図24(a)〜図
24(f)の最上段に示し、通常の前庭眼反射測定によ
る頭部回転運動の角速度(HV)を図24(a)〜図2
4(f)の上から2段目に示し、自然視前庭眼反射測定
による角速度(HV)を上から3段目に示し、固視前庭
眼反射検査による角速度(HV)を最下段に示す。これ
らの図24(a)〜図24(f)の最上段から最下段の
4段の各グラフにおいて、縦軸が角速度であり、横軸は
時間である。また角速度(HV)はたとえば装着具22
aに取付けられた角速度検出器104の出力信号であ
り、通常の前庭眼反射、自然視前庭眼反射および固視前
庭眼反射は赤外線CCDカメラ102によって撮像され
た眼球運動から算出した角速度である。
【0100】健常者の場合には、図24(a)に示され
るように、固視前庭眼反射(VOR−FIX)の角速度
が同じ波形に成るけれども、これに対して片方の前庭機
能に疾患がある場合には、図24(b)に示されるよう
に、通常の前庭眼反射のゲインすなわちVORの角速度
とHVの角速度との比が低下し、さらに両側に疾患のあ
る場合には、図24(c)に示されるように前記ゲイン
はさらに低下する。
【0101】また片側の延髄領域に疾患がある場合に
は、図24(d)に示されるようにVORが低下し、健
常者では現れないVOR−FIXにゲインが現れる。さ
らに、小脳に疾患がある場合には、図24(e)に示さ
れるように、VOR−FIXのゲインが他のVORとほ
ぼ同程度に現れ、これに加えて小葉神経系に疾患のある
場合には、図24(f)に示されるように、VORの低
下はあまり観察できず、VOR−FIXの発現だけが記
録される。
【0102】さらに上記のようにして、自然視眼振検査
および固視眼振検査の両検査の情報を分析することによ
って、前庭機能のみならず中枢神経系における眼振起源
の特定ないしは疾患の発生箇所をも評価することができ
る。
【0103】上記の図18〜図24に示される実施の各
形態では、センサを通して角速度を検出する角速度検出
器104を用いるようにしたけれども、本発明の実施の
さらに他の形態として、頭部の動きに対する速度、加速
度、角度および角加速度のいずれかを検出するセンサを
用いるようにしてもよい。また上記の装着具22,22
aのように撮像素子としての赤外線CCDカメラおよび
光源などを備えない従来のフレンツェル眼鏡に上記セン
サを設けて、図18に示す表示記録手段105によって
頭部を動かしたときの眼球運動およびセンサの出力信号
を観察し、かつ記録するように構成されてもよい。
【0104】図25は、本発明の実施のさらに他の形態
の平衡機能検査装置21dを示す簡略化した図である。
本実施の形態の平衡機能検査装置21dは、図1〜図1
7に示す装着具22または22dのいずれかを用いるこ
とができ、被検者Mの外耳道M1内に挿入可能なエアノ
ズル181と、熱電対、サーミスタまたは赤外線温度検
出素子から成り、エアノズル181のノズル先端181
から吐出される空気の温度を検出する温度センサ182
と、ペルチェ素子191によって前記空気の温度を温度
センサ182の温度情報に基づいて制御する空気温度制
御手段183と、エアノズル181に空気を供給するエ
アポンプ184と、信号処理装置(略称CPU)196
と、ポンプ駆動回路192と、圧力センサ193と、ペ
ルチェ素子駆動回路194と、温度センサ増幅器195
とを備える温度刺激制御ユニットUを含む。
【0105】このような温度刺激制御ユニットUによっ
て外耳道M1内に温度刺激を加えたときの眼球運動を、
前記装着具22によって観察することにより温度眼振検
査を行うことができるように構成される。
【0106】温度センサ182およびエアパイプ185
を備える前記エアノズル181を、被検者Mの外耳道M
1内に挿入し、温度設定操作パネル186を用いて所定
の刺激温度を設定し、また刺激提示操作パネル187を
用いて刺激時間を設定することができる。赤外線CCD
カメラ102および光源101を内蔵した装着具22を
被検者Mの前眼部に装着し、刺激を提示すると同時に、
エアノズル181による温度刺激によって眼球運動を赤
外線CCDカメラ102によって撮像し、観察および記
録する。このとき温度刺激の温度は、空気温度制御手段
183内のA/D変換器188によって読取られた後、
変調回路189によって撮像信号とともにビデオレコー
ダに記録するか、または出力信号を直接変調して撮像信
号とともに記録する。また変調時に刺激提示信号を検出
信号に合成して変調することによって、刺激の提示タイ
ミングを同時に記録することができる。このとき使用さ
れる変調方式は、たとえばFM、AM、FSKおよびP
SKなどの音声帯域に記録できる変調方式を適宜選択し
て用いることができ、あるいは組合わせて用いることが
できる。
【0107】ビデオレコーダによって録画された映像お
よび音声信号は再生され、撮像信号はA/D変換器18
8によってデジタル化され、音声信号は復調回路190
によって元のセンサ出力信号および刺激提示信号に復調
され、A/D変換器188によってA/D変換される。
また録画することなく直接撮像信号をセンサ出力信号お
よび刺激提示信号をA/D変換器188によってA/D
変換してもよい。
【0108】デジタル化された眼球運動の撮像信号は、
2値化処理され、楕円近似または重心の移動から角度お
よび角速度もしくは角加速度を算出する。またデジタル
化されたセンサ出力信号より刺激温度を算出し、刺激提
示信号によって刺激提示タイミングを算出する。
【0109】このような構成によって、眼球運動と温度
刺激信号と刺激温度とをモニタテレビによって前庭機能
の診断に必要なグラフとして表示し、観察し、かつ記録
することができる。このようなグラフの一例として、図
27には、眼球運動の角速度を最上段に右から左に向か
う方向を+として示し、刺激温度を上から2段目に示
し、刺激提示タイミングを最下段にそれぞれ縦軸として
示し、横軸には時間が示される。右側の前庭に前庭神経
炎などの症状がある場合には、一般に温度刺激を与えた
場合、疾患側から離れる方向に眼振が現れるが、右耳に
疾患がある場合には、図27(a)に示されるように右
耳に刺激を加えても反応が少ないことがわかる。一方、
正常と思われる左耳に刺激を加えた場合には、図27
(b)に示されるように反応があり、正常であることが
わかる。またこれらの反応は与える刺激の温度によっ
て、あるいは被検者の個体差によって異なるため、実際
に加える刺激の温度変化と刺激タイミングとを眼球運動
と同時に記録および表示することによって、より診断情
報の高い検査を行うことができる。
【0110】本発明の実施のさらに他の形態では、上記
温度センサ182として赤外線検出センサを用いて、直
接鼓膜の温度を検出するようにしてもよい。
【0111】
【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、画像処
理手段から出力される画像信号を用いてモニタテレビな
どの表示手段に直接表示させることができる。これによ
って前記従来の技術に関連して述べたように、高価な画
像処理装置を別途に購入する必要がなくなり、また撮像
素子から出力されるアナログ値の撮像信号を信号線を介
して前記画像処理装置に転送する必要がなくなり、した
がって撮像信号へのノイズの混入や信号波形の歪みなど
が生じず、明瞭な画像で表示を行うことが可能となる。
しかも光源と撮像素子と画像処理手段とが1つの基板上
に一体に取付けてユニット化することができるので、装
着具に取付けても軽量であり、被検者の頭位の変化によ
って画像にぶれが生じるおそれはない。また、前記画像
処理手段からの画像信号に基づく被検者の前眼部の画像
とともに1つの画面上、あるいは個別に準備されたモニ
タテレビの各画面によって同時に表示することができ
る。このような前眼部の眼球の運動と被検者の頭部の動
きとを同時に認識することができるので、眼球運動と頭
位とを対応付けて把握することができ、これによって診
断の正確さおよび容易さを向上することができる。
【0112】また請求項2,4記載の本発明によれば、
前記装着具には被検者の三半規管の位置に対応させて疑
似三半規管が設けられる。検者はモニタテレビに映し出
された眼球の運動と被検者に装着されている装着具の疑
似三半規管とを同時に認識して、被検者の頭位と眼球運
動との関係を容易に、しかも正確に認識することができ
る。また請求項2記載の本発明の構成において、装着具
に疑似三半規管を設けた場合には、被検者の頭部が頭部
撮影手段によって撮影されるため、別途に準備されたモ
ニタテレビの画面上で被検者の頭部に装着された装着具
の疑似三半規管を眼球運動とともに同時に認識すること
が可能となる。さらに、装着具には前記疑似三半規管と
ともに頭部の動きを検出する検出器が設けられるので、
被検者の頭部の動きを検出器からの検出信号に基づくた
とえば棒グラフなどの表示が眼球の運動とともに表示さ
れ、この表示を疑似三半規管の動きとともに同時に認識
することが可能となる。したがって検者は実際の被検者
の頭部の動きを目で見ながら疑似三半規管の刺激を受け
た部位などを把握し、頭部の動きを定量的に把握するこ
とができ、より正確で確実な診断を行うことが可能とな
る。
【0113】また請求項3記載の本発明によれば、請求
項1記載の本発明の構成に加えて、前記装着具には頭部
の動きを検出する検出器が設けられるので、この検出器
によって検出された速度、加速度、角速度および角加速
度のいずれかを別途に準備されたモニタテレビの画面上
でたとえば棒グラフなどによって可視的に表示すること
ができ、このようにして眼球運動と検出器による装着具
の動き、すなわち頭部の動きを同時に、しかも定量的に
認識することができ、これによって診断の正確さおよび
容易さを向上することができる。
【0114】
【0115】また請求項5記載の本発明によれば、請求
項1記載の本発明の構成において、装着具には撮像位置
調整手段が設けられるので、撮像素子を眼球の中心に移
動させて眼球の運動全体を明瞭に撮像することができる
ように調整を行うことができる。このような撮像位置調
整手段は、各撮像素子が近接/離反する方向に撮像位置
を調整可能に設けることによって、大人から子供まで両
眼の間隔の相違に対応して撮像位置を正確に位置決めす
ることが可能となる。また両眼に近接/離反する方向に
撮像位置を調整することができる場合には、拡大した状
態で瞳孔の観察を行うことができ、また離反させた状態
で眼球の移動範囲をすべてカバーして撮像することが可
能となる。また上下方向に撮像位置を調整することがで
きる場合には、被検者に装着具を装着した状態で装着具
を変位させることなしに各撮像素子を上下方向に移動さ
せて微調整することが可能となる。このような撮像位置
調整手段は、装着具に左右両眼のうちいずれか一方にの
み光源と撮像素子と画像処理手段とが設けられる構成に
対しても同様に実施することができ、検者の所望する態
様で撮像位置を調整することが可能である。またこのよ
うな撮像位置調整手段は、請求項2〜4の各発明の構成
であっても、検者の希望する位置に撮像位置を調整する
ことができるので、たとえば被検者が斜視である場合で
あっても、偏位の方向を予め検者が把握することがで
き、診断上の利便性が向上される。
【0116】また請求項6記載の本発明によれば、前眼
部は装着具によって暗所とされ、赤外線発光素子から赤
外線を発生してもその暗所の状態が維持され、この状態
で赤外線検出素子によって前眼部が撮像される。これに
よって眼球運動測定時において、固視による眼振抑制を
より少なくして、正確な眼振運動の測定を行うことがで
きる。このような赤外線による眼球運動の撮影は、請求
項1〜5のいずれの構成であっても暗所での正確な眼球
運動を観察することが可能であり、正確に前庭機能を評
価し、病巣を同定する上で、眼球運動が外部の光によっ
て影響を受けないことはきわめて重要であり、疾患の解
明に寄与することができる。
【0117】また請求項7記載の本発明によれば、請求
項2記載の本発明の構成において、画像処理手段からの
前眼部の画像および頭部撮影手段による頭部の動きを示
す画像のいずれか一方または両方を選択的に表示手段に
よって表示することができる。このように表示手段は選
択的に前眼部の画像および頭部の動きの画像のいずれか
一方または両方を表示することができるので、被検者の
希望に応じて表示態様を使い分けることができ、診断上
の利便性を向上することができる。
【0118】また請求項8記載の本発明によれば、請求
項3記載の本発明の構成において、表示手段は眼前部の
画像および直交3軸方向の速度、加速度、角速度または
角加速度を示す画像のいずれか一方または両方を選択的
に表示することができる。これによって眼球の運動と頭
部の動きとを1つの画面上で同時にまたは一方だけを認
識することができ、これによって被検者の頭部の動きと
眼球の運動とを関連付けて認識することができ、診断上
の利便性を向上することができる。
【0119】また請求項9記載の本発明によれば、請求
項8記載の本発明の構成において、前記表示手段は三半
規管の反応部位を検出器からの検出信号に基づいて表示
するように構成されるので、被検者は表示手段によって
映し出された三半規管の反応部位、すなわち頭部の動き
によって反応すべき部位、すなわち被検者の眼球の運動
の起源となっているであろう三半規管の部位との相違を
容易に認識して診断を行うことができ、これによって被
検者の疾患の有無、病巣の同定、疾患の診断あるいは治
療経過の観察を容易に行うことができる。
【0120】また請求項10記載の本発明によれば、装
着具には頭部の動きを検出する検出器および疑似三半規
管のうち少なくとも一方が設けられる。前記装着具に疑
似三半規管だけが設けられる場合には、検者は、光源に
よって照明され撮像素子によって撮像された前眼部の画
像を、予め準備されたモニタテレビなど既存の表示手段
の画面によって確認しながら、同時に被検者が装着して
いる装着具の疑似三半規管によって、被検者の頭位変化
に伴う三半規管の傾きを、前記画面の映し出された眼球
の動きに対応付けて確認することができる。これによっ
て上記の前庭眼反射等に基づく診断の正確さおよび容易
さを向上することができる。また前記装着具に頭部の動
きを検出する検出器だけが設けられる場合には、被検者
の頭位の動き、すなわち3軸方向の各動きを、速度、加
速度、角速度および角加速度のいずれかによって検出
し、既存の画像処理手段およびその画像処理手段からの
画像信号に基づいてモニタテレビなどの表示手段によっ
て定量的に表示することができる。さらに装着具に上記
の疑似三半規管および検出器の両者を設けることによっ
て、検者は頭位の変化を定量的に把握しながら疑似三半
規管によって眼球運動の三半規管上の起源を容易に具現
化して認識することができ、より一層診断の正確さおよ
び容易さを向上することができる。
【0121】請求項11記載の本発明によれば、装着具
は可撓性および弾発性を有する暗黒色の不透明な合成樹
脂またはゴムから成るので、この装着具を被検者が顔面
に装着したとき、合成樹脂またはゴムの可撓性および弾
発性によって、装着具が顔面形状に応じて適度に変形
し、装着具を顔面に密着させた状態で前眼部を覆うこと
ができる。このように装着具を顔面に密着させることに
よって、顔面と装着具との間に隙間が生じて外部光が前
眼部に入射することが防がれる。このように前眼部ヘの
外部光の入射を防ぐのは、撮像素子が前眼部および外部
光の反射光をも受光して明瞭な画像が得られなくなるこ
とを防止するとともに、被検者が眼球を外部光によって
無意識的に動かしてしまい、正確な眼振検査を行えなく
なってしまうことを防ぐためである。特に外部光のちら
つき、点滅、強弱、色などの影響によって、被検者の頭
位とは無関係な眼球運動を誘引して、頭位に対する眼振
の再現性が低下し、その眼振を誘発している部位が三半
規管のどの部分であるかを特定する眼振起源の特定に支
障を生じる恐れがある。そのため、本発明では上記のよ
うに、装着具が被検者の顔面に密着するようにして隙間
の発生を防ぎ、また暗黒色の不透明な合成樹脂またはゴ
ムを用いて外部光を遮断し、信頼性の高い眼振検査情報
を得ることができるようになる。
【0122】また請求項12記載の本発明によれば、抗
菌性のある合成樹脂またはゴムによって上記装着具が構
成されるので、被検者の顔面、手および指などの皮膚を
介して感染する細菌の繁殖を抑制しまたは無くし、感染
を防ぐことができる。またこの装着具は、前記抗菌性に
加えて耐薬品性をも有する材料を選択することによっ
て、装着具をアルコールなどの消毒剤によって払拭して
消毒しても、医薬品による変質および劣化を防ぐことが
できる。
【0123】また請求項13記載の本発明によれば、赤
外線CCDカメラなどの撮像素子によって撮像された眼
球運動の撮像信号と、頭部の運動を検出するセンサの出
力信号とを処理し、眼球運動と、頭部運動の速度、加速
度、角度、角速度および角加速度のいずれかとを処理し
て、たとえばモニタテレビなどに同時表示しまたは再生
し、平衡機能の定量的および客観的な観察を可能とし、
前庭眼反射による平衡機能の診断を高い信頼性のデータ
に基づいて行うことが可能となる。
【0124】また請求項14記載の本発明によれば、眼
部と撮像素子との間にその眼部と撮像素子とを結ぶ一直
線上で、眼部に対して直交する方向を映し出すハーフミ
ラーを設け、その直交する方向にさらにミラーを設けて
外部の状況を自然視できるようにし、その眼球運動を撮
像素子によって撮像して、頭部を動かしたときの眼球運
動の撮像信号と前記センサの出力信号とを処理して、自
然視前庭眼反射を定量的かつ簡便に観察および記録する
ことが可能となる。
【0125】また請求項15記載の本発明によれば、ミ
ラーを装着具に収納し、ハーフミラーを跳上げることに
よつて、または跳上げずに、暗所下の状態に切換えるこ
とができる。前記ハーフミラーは、撮像素子による受光
量の減衰を少なくするために、撮像時に撮像素子の撮像
経路外に跳上げて退避させておくことが好ましいが、撮
像素子の感度を高くし、または光源の発光強度を高く
し、もしくはそれらをともに高くすることによって、前
記撮像素子の受光量の減衰を回避することができるた
め、ハーフミラーが撮像経路内に介在した状態であって
も、何ら支障は生じない。このようにして自然視可能な
状態と暗所下の状態とに容易に切換えて、前庭眼反射検
査と自然視前庭眼反射検査とを個別に行うことができ
る。
【0126】また本発明は、ミラーが、装着具の外装の
一部を成すように設けられる。すなわち外装の一部を成
すとは、たとえば装着具に開閉可能に前記ミラーを設
け、開閉動作によって前記ミラーを跳上げ、または閉じ
ることができるように構成されてもよい。このようにミ
ラーを装着具の外装の一部を成すように設けることによ
って、前記ミラーを用いるときには前記蓋部を開き、前
記ミラーを用いないときには蓋部を閉じて、ほこりなど
の侵入を防止することができる。
【0127】また請求項16記載の本発明によれば、前
記ミラーに代えて定点視が可能な目標物が装着具に設け
られるので、前記ハーフミラーにはこの目標物が反射し
て被検者によって認識することができ、このようにして
固視前庭眼反射を検査することができるとともに、自然
視による眼反射のデータをも参酌して、固視抑制機能の
評価も行うことができる。
【0128】また本発明は、定点視ができる目標物が、
装着具の外装の一部を成すように設けられる。前記目標
物が装着具の外装の一部を成すとは、たとえば装着具に
前記ミラーによって被検者が視認することができる位置
に前記目標物を開閉可能に設け、固視前庭眼反射を観察
して平衡機能検査を行うことができる。
【0129】また請求項17記載の本発明によれば、任
意の映像を映出すことができる構成として、具体的に
は、たとえば液晶表示素子によって実現することができ
る。このような液晶表示素子によって、定点視される目
標物を図柄、文字および符号などによって表示すること
ができ、しかもその位置および大きさを被検者の視力な
どの視覚特性に適応させることができる。したがって目
標物が一定のものに限らず、液晶表示素子によって映し
出された目標物に応じて固視前庭眼反射を分析すること
が可能であり、検査上の利便性が向上される。
【0130】また請求項18記載の本発明によれば、定
点視ができる目標物として小形の照明具が用いられ、こ
の小形の照明具として、たとえば発光ダイオードおよび
エレクトロルミネセンスなどの発光素子を用いることが
できる。このような発光素子は、その点灯および消灯、
明るさ、色などを被検者の視覚特性あるいは検査目的に
応じて適宜変化させることが可能であるため、このよう
な変化に応じた固視前庭眼反射を観察することができ、
検査結果を様々な角度から分析することが可能となり、
検査上の利便性が向上される。
【0131】また請求項19記載の本発明によれば、前
記ハーフミラーは撮像素子の前方からその撮像経路外に
変位可能に設けられるので、暗所下で前庭眼反射による
前庭機能検査を行うときなどのようにハーフミラーが不
要であるときには、そのハーフミラーを撮像経路外に退
避させ、自然視前庭眼反射および固視前庭眼反射による
平衡機能の検査を行うときなどのようにハーフミラーを
用いるときには、そのハーフミラーを撮像素子の前方に
変位させることができる。このようにしてハーフミラー
を前記撮像経路外に退避させた状態では、撮像素子の前
方にハーフミラーが存在しないので、光源によって照明
された前眼部の反射光がハーフミラーによって減衰せ
ず、前眼部を撮像素子によって鮮明に撮像することがで
きる。
【0132】また請求項20記載の本発明によれば、頭
部の動きに対する速度、加速度、角度、角速度および角
加速度のいずれかをセンサによって検出し、このセンサ
の出力信号を処理し、撮像素子による撮像信号とともに
ビデオレコーダに記録し、これを再生して前述の前庭眼
反射検査、自然視前庭眼反射および固視前庭眼反射のい
ずれかの検査を行うことができる。特に、前記ビデオレ
コーダに頭部の動きに対する速度、加速度、角度、角速
度および角加速度のいずれかの動きに関する情報と、前
記撮像素子による眼球の動きに関する情報とが記録され
るので、これらの情報を繰返して観察することができ、
診断上の利便性が向上される。
【0133】また請求項21記載の本発明によれば、前
記頭部の動きに対する速度、加速度、角度、角速度およ
び角加速度のいずれかを検出するセンサの出力信号は、
ビデオレコーダの音声帯域に変調して記録されるので、
再生時に前記音声帯域に記録されたセンサの出力信号を
復調して画像とともに同時に表示することができる。こ
れによって眼球の動きとセンサの出力信号による前記速
度、加速度、角度、角速度および角加速度のいずれかと
の対応関係を容易に認識することができ、診断上の利便
性が向上される。
【0134】また請求項22記載の本発明によれば、従
来から頭位変換眼振検査などに用いられるフレンツェル
眼鏡にセンサを設けて、頭部を動かしたときの眼球運動
およびセンサの出力信号を記録および観察するように構
成されるので、前記フレンツェル眼鏡によるいわば定点
視を持たない自然視状態で前庭眼反射の検査を行うこと
ができ、このような従来のフレンツェル眼鏡にも本発明
を好適に実施して、簡単な構成で定量的な平衡機能検査
を行うことが可能となる。
【0135】また請求項23記載の本発明によれば、ポ
ンプから供給される空気はエアノズルに導かれ、ノズル
先端から外耳道内で吐出される。このエアノズルのノズ
ル先端から吐出される空気の温度または鼓膜の温度は、
温度センサによって検出される。この温度センサによっ
て検出された吐出空気または鼓膜の温度情報に基づい
て、空気温度制御手段は、前記ノズル先端から吐出する
空気の温度を制御する。前記エアノズルは外耳道内に挿
入可能であり、前記装着具を被検者の前眼部に装着し
て、前記エアノズルのノズル先端から所定温度の温風を
吐出して外耳道内に温度刺激を与え、眼球運動を観察す
ることによって温度眼振検査、すなわちカロリック検査
を行うことができる。
【0136】このような温度眼振検査は、暗所開眼で行
われ、たとえば30〜44℃程度の温風を外耳道内に注
入し、これによって誘発される眼振を観察し、この眼振
の持続時間、振幅および眼振緩徐相の速度などによって
疾患因子を推定することができる。このような温度眼振
検査は、誘発された温度眼振が最高に達したときに、暗
所開眼から明所開眼一点注視を行わせ、その眼振緩徐相
の速度がどのように変化するかを観察する。健常者で
は、非注視下で誘発されていた眼振が明所注視下にする
と抑制されるのが一般的であり、小脳の障害ではその抑
制効果が少なくなることが知られている。このような温
度眼振検査を行うにあたって、前記エアノズルから吐出
される空気の温度は、温度制御手段によって自在に制御
することができ、したがって温度刺激の強さを調整し
て、被検者に適した刺激を与えることができる。
【0137】また請求項24記載の本発明によれば、上
記のエアノズルのノズル先端から外耳道内に空気を吐出
して温度眼振を加えたときのタイミングと、前記温度セ
ンサによる外耳道内または鼓膜の温度とを撮像信号とと
もにビデオレコーダに記録する。このとき前記温度眼振
を加えたときのタイミングと外耳道内または鼓膜の温度
とは、個別または同時に組合わせて処理され、再生時に
は、眼球運動の画像と温度刺激を加えたときのタイミン
グと外耳道内または鼓膜の温度とを、同時にまたは個別
に観察することができる。これによって温度刺激によっ
て誘発された眼振と外耳道内または鼓膜の温度とを同時
に把握し、眼振の持続時間、振幅、眼振緩徐相の速度な
どを時間的経緯および外耳道内または鼓膜の温度に対応
付けて容易に観察することができる。
【0138】また請求項25記載の本発明によれば、温
度刺激を加えたときのタイミングと、外耳道内または鼓
膜の温度とを個別にまたは組合わせて処理し、前記ビデ
オレコーダの音声帯域に変調して記録する。このような
音声帯域の記録は、前記撮像信号とともに同期させて再
生することができ、タイミングおよび温度を個別に処理
しても、タイミングを示すデータと温度を示すデータと
を相互に同期させる必要がなく、さらにタイミングを示
すデータと温度を示すデータとを前記撮像信号に対して
同期させる必要もなく、信号処理するための構成が簡単
であり、構成が複雑化しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す平衡機能検査装置
21の断面図である。
【図2】図1の下方から見た平衡機能検査装置21を部
分的に切欠いた正面図である。
【図3】図2の右側から見た平衡機能検査装置21の側
面図である。
【図4】平衡機能検査装置21の斜視図である。
【図5】平衡機能検査装置21の全体の構成を簡略化し
て示す図である。
【図6】平衡機能検査装置21の電気的構成を示すブロ
ック図である。
【図7】平衡機能検査装置21による頭位変換眼振検査
の手順を説明するための図であり、図7(1)は被検者
73が座位の状態を示し、図7(2)は被検者73が垂
下頭位の状態を示す。
【図8】頭位変換眼振検査における被検者73の頭位の
変換手順を説明するための図である。
【図9】典型的な頭位変換眼振の眼球運動方向を示す図
であり、図9(1)は方向固定性頭位変換眼振を示し、
図9(2)は反対回旋性頭位変換眼振を示し、図9
(3)は垂直性頭位変換眼振を示し、図9(4)は逆行
性垂直性頭位変換眼振を示す。
【図10】本発明の実施の他の形態を示す平衡機能検査
装置21aの簡略化した図である。
【図11】図10に示される平衡機能検査装置21aの
電気的構成を示すブロック図である。
【図12】平衡機能検査装置21aの表示手段66によ
る画像表示状態を示す図である。
【図13】平衡機能検査装置21aの表示手段66によ
る他の表示状態を示す図である。
【図14】平衡機能検査装置21aの表示手段66によ
るさらに他の表示状態を示す図である。
【図15】平衡機能検査装置21aの表示手段66によ
るさらに他の表示状態を示す図である。
【図16】本発明のさらに他の形態の平衡機能検査装置
21bを示す図である。
【図17】図16に示される平衡機能検査装置21bの
表示手段66による他の表示状態を示す図である。
【図18】本発明の実施のさらに他の形態の平衡機能検
査装置21cを簡略化して示す図である。
【図19】図18に示される平衡機能検査装置21cに
備えられる装着具22dの内部構造を示す断面図であ
る。
【図20】装着具22aの通常の前庭眼反射測定時およ
び自然視前庭眼反射測定時の状態を示す斜視図である。
【図21】反射ミラー109に目標物を設けたときの固
定視前庭眼反射測定時の状態を示す斜視図である。
【図22】取付板167に目標物を設けたときの固定視
前庭眼反射測定時の状態を示す斜視図である。
【図23】本発明の実施の他の形態を示す斜視図であ
る。
【図24】角速度検出器によって検出された頭部の部位
による角速度と時間との関係を示すグラフであり、図2
4(a)は健常者の測定結果の波形を示し、図24
(b)は片方の前庭機能に疾患がある場合の波形を示
し、図24(c)は両側に疾患がある場合の波形を示
し、図24(d)は片方の延髄領域に疾患がある場合の
波形を示し、図24(e)は小脳に疾患がある場合の波
形を示し、図24(f)は前記小脳の疾患に加えて小葉
神経系疾患がある場合の波形を示す。
【図25】本発明の実施のさらに他の形態の平衡機能検
査装置21dを簡略化して示す図である。
【図26】エアノズル181および温度刺激制御ユニッ
トUの構成を示す簡略化した図である。
【図27】温度眼振検査による時間経過に伴う角速度、
温度および刺激を示すグラフであり、図27(a)は右
耳に疾患がある場合の波形を示し、図27(b)は正常
と思われる左耳に刺激を加えた場合の波形を示す。
【図28】典型的な先行技術の平衡機能検査装置1を示
す図である。
【符号の説明】
21,21a,21b 平衡機能検査装置 22 装着具 23a,23b;101 光源 24a,24b;102 赤外線CCDカメラ 25a,25b 画像処理手段 26 アイマスク 34 保持体 43a,43b 撮像位置調整手段 55a,55b 擬似三半規管 61a,61b 信号用端子 62 電源用端子 63 電源スイッチ 66 表示手段 67 画像制御手段 68,114 モニタテレビ 69,115 ビデオレコーダ 70 画面 73 被検者 75 頭部 77 加速度検出器 78 加速度信号処理手段 103 画像処理装置 104 角速度検出器 105 表示記録手段 106 眼部 107 一直線 108 ハーフミラー 109 反射ミラー 118 コンピュータ 124 撮像部 125 ミラー部 126 接眼部 181 エアノズル 182 温度センサ 183 空気温度制御手段 184 エアポンプ 186 温度設定操作パネル 187 刺激提示操作パネル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 正和 京都府京都市伏見区東浜南町680番地 株式会社モリタ製作所内 (72)発明者 吉川 英基 京都府京都市伏見区東浜南町680番地 株式会社モリタ製作所内 (72)発明者 桐村 晋 京都府京都市伏見区東浜南町680番地 株式会社モリタ製作所内 (56)参考文献 特開 平5−49627(JP,A) 特開 平6−165759(JP,A) 特開 平3−37047(JP,A) 特開 昭56−116449(JP,A) 実開 昭62−42801(JP,U) 実公 平3−2243(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 5/103 - 5/113 A61B 3/00 - 3/18

Claims (25)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検者の顔面に装着して前眼部を覆う装
    着具に、前眼部を照明する照明光を発生する光源と、前
    眼部を撮像する撮像素子と、撮像素子からの撮像信号を
    信号処理して所定の汎用画像信号を出力する画像処理手
    段とが設けられ、 被検者の頭部の動きを撮影してその画像信号を出力する
    頭部撮影手段を含むことを特徴とする平衡機能検査装
    置。
  2. 【請求項2】 被検者の顔面に装着して前眼部を覆う装
    着具に、前眼部を照明する照明光を発生する光源と、前
    眼部を撮像する撮像素子と、撮像素子からの撮像信号を
    信号処理して所定の汎用画像信号を出力する画像処理手
    段とが設けられ、 装着具には、その装着具を装着した状態における被検者
    の三半規管の位置に対応させて、三半規管に相当する疑
    似形状に形成された疑似三半規管が設けられることを特
    徴とする平衡機能検査装置。
  3. 【請求項3】 装着具には、頭部の動きに対する速度、
    加速度、角速度および角加速度のいずれかを3次元で検
    出して、直交3軸方向の検出信号を出力する検出器が設
    けられることを特徴とする請求項1または2記載の平衡
    機能検査装置。
  4. 【請求項4】 装着具には、その装着具を装着した状態
    における被検者の三半規管の位置に対応させて、三半規
    管に相当する疑似形状に形成された疑似三半規管が設け
    られることを特徴とする請求項1記載の平衡機能検査装
    置。
  5. 【請求項5】 装着具には、少なくとも撮像素子を予め
    定める方向に移動させて撮像位置を調整する撮像位置調
    整手段が設けられることを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれかに記載の平衡機能検査装置。
  6. 【請求項6】 装着具は、可視光に対して遮光性を有
    し、光源は、赤外線を発生する赤外線発光素子から成
    り、撮像素子は、赤外線を検出する赤外線検出素子から
    成ることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の
    平衡機能検査装置。
  7. 【請求項7】 画像処理手段からの画像信号に基づく前
    眼部の画像および頭部撮影手段からの画像信号に基づく
    頭部の動きを示す画像のいずれか一方または両方を選択
    的に表示する表示手段を含むことを特徴とする請求項1
    記載の平衡機能検査装置。
  8. 【請求項8】 画像処理手段からの画像信号に基づく前
    眼部の画像、および頭部の動きを検出する検出器からの
    検出信号に基づく直交3軸方向の速度、加速度、角速度
    および角加速度を示す画像のいずれか一方または両方を
    選択的に表示する表示手段を含むことを特徴とする請求
    項3記載の平衡機能検査装置。
  9. 【請求項9】 表示手段は、頭部の動きを検出する検出
    器からの検出信号に基づいて三半規管の反応部位を表示
    することを特徴とする請求項8記載の平衡機能検査装
    置。
  10. 【請求項10】 前記装着具には、頭部の動きに対する
    速度、加速度、角速度および角加速度のいずれかを3次
    元で検出して直交3軸方向の検出信号を出力する検出器
    および装着具を装着した状態における被検者の三半規管
    の位置に対応させて、三半規管に相当する疑似形状に形
    成された疑似三半規管のうち少なくともいずれか一方が
    設けられることを特徴とする請求項1記載の平衡機能検
    査装置。
  11. 【請求項11】 装着具は、可撓性および弾発性を有す
    る暗黒色の不透明な合成樹脂またはゴムから成ることを
    特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の平衡機能
    検査装置。
  12. 【請求項12】 装着具は、合成樹脂またはゴムに抗菌
    剤を混入した材料、もしくは合成樹脂またはゴムの表面
    に抗菌剤を被覆した材料から成ることを特徴とする請求
    項11記載の平衡機能検査装置。
  13. 【請求項13】 前記撮像素子からの撮像信号を信号処
    理して眼球運動を観察する手段を有し、 前記装着具には、頭部の動きに対する速度、加速度、角
    度、角速度および角加速度のいずれかを検出するセンサ
    を接続し、頭部を動かしたときの眼球運動の撮像信号と
    センサの出力信号とを処理して、前庭眼反射を観察およ
    び記録することができるように構成されることを特徴と
    する請求項1または2記載の平衡機能検査装置。
  14. 【請求項14】 装着具に、前眼部と撮像素子とを結ぶ
    一直線上に、この一直線に対して直交する方向を映し出
    すハーフミラーを設け、その直交する方向にさらにミラ
    ーを設けて、眼球が外部の状況を自然視できるように
    し、かつ眼球運動を観察手段によって観察できるように
    して、頭部を動かしたときの眼球運動の撮像信号とセン
    サの出力信号とを処理して、自然視前庭眼反射を観察お
    よび記録することができるように構成されることを特徴
    とする請求項13記載の平衡機能検査装置。
  15. 【請求項15】 ミラーを装着具に収納するか、または
    ミラーを装着具の外装の一部を成す構造とし、前庭眼反
    射を観察および記録することができるように構成される
    ことを特徴とする請求項14記載の平衡機能検査装置。
  16. 【請求項16】 ミラーに代えて定点視が可能な目標物
    を装着具に配置するか、または定点視ができる目標物が
    装着具の外装の一部を成す構造とし、頭部を動かしたと
    きの眼球運動の撮像信号とセンサの出力信号とを処理し
    て、固視前庭眼反射を観察および記録することができる
    ように構成されることを特徴とする請求項14記載の平
    衡機能検査装置。
  17. 【請求項17】 定点視ができる目標物が、任意の映像
    を映し出すことができるように構成されることを特徴と
    する請求項16記載の平衡機能検査装置。
  18. 【請求項18】 定点視ができる目標物が、小形の照明
    具であることを特徴とする請求項16記載の平衡機能検
    査装置。
  19. 【請求項19】 ハーフミラーが、跳上がるように構成
    されることを特徴とする請求項15または16記載の平
    衡機能検査装置。
  20. 【請求項20】 頭部の動きに対する速度、加速度、角
    度、角速度および角加速度のいずれかを検出するセンサ
    の出力信号を処理し、撮像信号とともにビデオレコーダ
    に記録し、このビデオレコーダの記録内容を再生して、
    前庭眼反射、自然視前庭眼反射または固視前庭眼反射を
    観察および記録することができるように構成されること
    を特徴とする請求項13〜19のいずれかに記載の平衡
    機能検査装置。
  21. 【請求項21】 センサヘの出力信号を前記ビデオレコ
    ーダの音声帯域に変調して記録し、再生時には復調する
    ことを特徴とする請求項20記載の平衡機能検査装置。
  22. 【請求項22】 眼球の動きを撮像する素子を持たない
    フレンツェル眼鏡に、頭部の動きに対する速度、加速
    度、角度、角速度および角加速度のいずれかを検出する
    センサを接続し、頭部を動かしたときの眼球運動を、観
    察および記録することができるように構成されることを
    特徴とする請求項13記載の平衡機能検査装置。
  23. 【請求項23】 ノズル先端から空気を吐出し、外耳道
    内に挿入可能なエアノズルと、エアノズルのノズル先端
    から吐出される空気の温度または赤外線による鼓膜の温
    度を検出する温度センサと、前記空気の温度を、温度セ
    ンサの温度情報に基づいて制御する空気温度制御手段
    と、エアノズルに空気を供給するポンプとを備え、温度
    刺激を加えたときの眼球運動を観察することにより温度
    眼振検査を行えるように構成されることを特徴とする請
    求項13記載の平衡機能検査装置。
  24. 【請求項24】 温度眼振を加えたときのタイミング
    と、外耳道内または鼓膜の温度とを個別にまたは組合わ
    せて処理し、撮像信号とともにビデオレコーダに記録
    し、再生して、眼球運動を観察および記録することがで
    きるように構成されることを特徴とする請求項23記載
    の平衡機能検査装置。
  25. 【請求項25】 温度刺激を加えたときのタイミング
    と、外耳道内または鼓膜の温度とを個別にまたは組合わ
    せて処理し、前記ビデオレコーダの音声帯域に変調して
    記録し、再生時には復調することを特徴とする請求項2
    3または24記載の平衡機能検査装置。
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