JP3454275B2 - プログラムされた細胞死に関連した新規なポリペプチドおよびそれをコードするdna - Google Patents
プログラムされた細胞死に関連した新規なポリペプチドおよびそれをコードするdnaInfo
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Description
死に関連した新規なポリペプチド(PD−1)および該
ポリペプチドをコードするDNAに関する。
ルされた細胞の死は、種々の動物のほとんどあらゆる組
織で観察することができる。そのような細胞の死は一般
的に「プログラムされた細胞死」と呼ばれ、病理学的メ
カニズムによって起こる「偶然に起こる細胞死」とは区
別されている。動物における、種々のタイプのプログラ
ムされた細胞死を一律に定義することは不可能である
が、死をプログラムされた細胞のほとんどは、死ぬため
には新たにRNAまたは蛋白のドゥノボ(de novo)合
成が必要であることが示されている。
体節間筋の死、オタマジャクシの尾の変態による細胞
死、ニワトリ胎児の神経死は、アクチノマイシンDやシ
クロヘキサイミドのような蛋白合成阻害剤によって阻止
される。また、神経成長因子(NGF)の除去によって
誘導されるラット神経細胞の死、あるいはグルココルチ
コイドや内因性のスーパーアンチゲンによって誘発され
るマウス胸腺細胞の死が、アクチノマイシンDやシクロ
ヘキサイミドによって阻害されることを示すインビトロ
(in vitro)の実験もある。
(もしかしたら細胞死に特定の遺伝子ではないかもしれ
ないが)、プログラムされた細胞死を起こすために発現
されなければならないことを示している。一方、あるク
ラスの細胞死の形態学的特徴を表わすのに「アポトーシ
ス」ということばが好んで用いられる。アポトーシスを
受けた細胞では、染色体は核の周辺部に凝集してくる
が、ミトコンドリアや他の細胞内小器官は大きく変化し
ない。
つつある細胞は、染色体は不規則にいくつかのヌクレオ
ソームを単位としたDNA断片に分断されている。哺乳
動物において、死をプログラムされたほとんどの細胞
は、アポトーシスの形態学的および生化学的状態を示す
ようであるが、明らかにアポトーシス状態を示さない細
胞もある。さらに、いかなる蛋白合成が行なわれなくて
もアポトーシスによる細胞死が引き起こされることもあ
る。このように、アポトーシスはプログラムされた細胞
死と同義語でないことを理解しておくことは重要なこと
であろう。最近になって、発ガン遺伝子のひとつである
bcl−2は、細胞死を防ぐことによりB細胞を不死化
していることが明らかにされ、細胞死の制御の重要性が
示された。
関連したポリペプチドが数種類報告されている。代表的
なものとしてFas抗原が知られている[Itoh,N.et a
l.,Cell, 66, 233 (1991)]。ヒトのFas抗原は33
5個のアミノ酸からなるポリペプチドで、N末端には1
6個の疎水性アミノ酸よりなるシグナルペプチドを有
し、成熟蛋白はN末端側より細胞外領域(157アミノ
酸)、膜貫通領域(17アミノ酸)および細胞質領域
(145アミノ酸)に区分されるような構造を有すると
推定されている。そしてFas抗原は、細胞死を誘導す
る因子(リガンド)の受容体として機能していると考え
られている。
のポリペプチドとはまったく別個の、新規な哺乳動物の
プログラムされた細胞死に深く関わるポリペプチドおよ
びそれをコードするDNAを見出すことを目的とする。
く関わる遺伝子を単離し、その塩基配列を決定し、アミ
ノ酸配列を推定した。その結果、まったく新規なポリペ
プチドおよびそれをコードするDNAを見出すことに成
功し、本発明を完成した。
子を単離するために、本発明者らは、インビトロ(in v
itro)の系でアポトティックな死が簡単に起こる哺乳動
物細胞の代表としてマウスの細胞株4種を選んだ。未成
熟なTリンパ球と同様に、マウスT細胞ハイブリドー
マ、2B4.11はそれが認識する抗原(I−Ek +ハ
トチトクロームC)で刺激されると、あるいはイオノマ
イシンとPMAを組み合わせて刺激すると死ぬ。マウス
未成熟B細胞株、WEHI−231は、その表面IgM
が抗IgM抗体によってクロスリンクされると死が誘発
される。マウスのリンパ球性/骨髄性の前駆細胞株、L
yD9とマウスの細胞傷害性T細胞株、CTLL−2は
生存増殖のためにはそれぞれインターロイキン−3(I
L−3)とインターロイキン−2(IL−2)が必要で
ある。そしてこれらの細胞株は培養液から成長因子(I
L−3またはIL−2)を除くと死ぬ。
胞死に新たなRNA合成が必要かどうかを調べた。そし
て、2B4.11とLyD9の死には新たなRNA合成
が必要だが、WEHI−231とCTLL−2の死には
不要であることを確認した。2B4.11とLyD9の
死のパターンには興味深い共通性、すなわち、いずれも
アポトティックな死であり、かつ新たなRNA合成が必
要であることがわかったので、これらの細胞死には共通
の生化学的経路が存在するにちがいないとの仮説をた
て、サブトラクティブハイブリダイゼーションテクニッ
クを用いて、刺激を受けた2B4.11細胞とIL−3
欠損培養液で培養したLyD9細胞の両方で新たに発現
される遺伝子を同定することを試みた。
でなく、細胞株の性質も全く異なるので、刺激を受けた
2B4.11細胞とIL−3欠損培養液で培養したLy
D9細胞の両方で活性化される遺伝子は、ふたつの処置
された細胞株に共通したただひとつの現象、すなわちプ
ログラムされた細胞死に深く関わっていると考えられ
る。
胞死に関連したポリペプチドのアミノ酸配列を、ナショ
ナルバイオメディカルリサーチファンデーションのデー
タベースに登録されている既知のポリペプチドのアミノ
酸配列と比較してみたが、同一のアミノ酸配列を有して
いるものはまったくなかった。もちろん、該ポリペプチ
ドはFasとは全く相同性のないことも確認された。そ
こで、新規なプログラムされた細胞死に深く関わるポリ
ペプチドをPD−1と命名し、既知のポリペプチドとは
区別することにした。
ムされた細胞死に深く関わるポリペプチド(以下、PD
−1と呼ぶ。)に関する。PD−1には、Fasとはそ
の構造的特徴のまったく異なる一連の(種々の哺乳動物
に共通の)ポリペプチド群が含まれる。すなわち、本発
明によってそのアミノ酸配列が明らかにされたマウスの
PD−1をはじめとし、マウスPD−1と高いホモロジ
ーを有する(マウスPD−1の抗体と交差反応を生じる
というような免疫学的同等性を意味する)他の哺乳動物
のPD−1、とりわけヒトのPD−1が含まれる。
D−1以外に修飾PD−1が含まれる。すなわち、天然
のPD−1のアミノ酸配列中の一部が欠損したもの(例
えば、シグナルペプチドが欠損し成熟蛋白部分だけから
なるポリペプチド、あるいは成熟蛋白中、活性の発現に
必須な部分だけからなるポリペプチド)、その一部が他
のアミノ酸と置換したもの(例えば、物性の類似したア
ミノ酸に置換したもの)、およびその一部に他のアミノ
酸が付加または挿入されたものも含まれる。
構造的特徴は以下のようである。マウスPD−1は28
8個のアミノ酸からなる膜結合型蛋白であると考えられ
る。N末端部分と中間部分にふたつの疎水性領域を有し
ており、それらはそれぞれシグナルペプチドと細胞膜貫
通領域に相当すると思われる。マウスPD−1のN末端
のシークエンスを、典型的シグナルペプチドの切断部位
と比べてみると、マウスPD−1のシグナルペプチド
は、1番目のMetから20番目のGlnまでと推定さ
れる。従って、成熟蛋白部分は21番目のSerから2
88番目のLeuまでの268アミノ酸よりなり、細胞
外領域(147アミノ酸)、膜貫通領域(27アミノ
酸)および細胞質領域(94アミノ酸)を構成している
ものと考えられる。また細胞外領域には4ヶ所のN−グ
リコシレーションサイトが存在する可能性がある。
ルバイオメディカルリサーチファンデーションのデータ
ベースに登録されたすべてのアミノ酸配列と照合してみ
ると、マウスPD−1の細胞外領域は、既知の免疫グロ
ブリンスーパーファミリーに属する数種類のポリペプチ
ドとホモロジーを有していることがわかる。免疫グロブ
リンドメインは、保持されたアミノ酸パターンと逆行性
β−ストランドの数に基づいて分類されているV、C1
およびC2セットを有する。54番目のCysと123
番目のCysに挟まれた68個のアミノ酸配列はジスル
フィドで結合されたVセット配列に類似している。ま
た、4個のアミノ酸残基(94Arg,95Phe, 117A
spおよび 119Gly)は多くの免疫グロブリンのVセ
ット配列に特徴的なものである。
白なホモロジーを有していないが、注意深く調べると、
抗原受容体やFc受容体に関連するほとんどのポリペプ
チドが有する細胞質領域の尾部にみられる共通の配列
(Asp/Glu-X7-Asp/Glu-X2-Tyr-X2-Leu-X7-Tyr-Leu/Ile
)の変形した配列を含んでいることがわかる。最近、
この共通配列が1単位あれば、シグナルを伝えるのに十
分であることが示されている。マウスPD−1において
は、Leuと2番目のTyrの間の非保存アミノ酸数が
共通配列のそれよりかなり多いけれども、大抵の保存ア
ミノ酸残基とスペーサーの長さは、PD−1ポリペプチ
ドの細胞質領域において保存されている。他の哺乳動物
のPD−1も配列中のアミノ酸の数や種類に多少の違い
はあるが、その構造上の特徴はマウスPD−1に類似し
たものであると考えられる。
るDNAは、以下の方法により作製することができる。
すなわち、外部からの刺激によりアポトーシスを起こさ
せた細胞(例えば、血球細胞等)から抽出したmRNA
を用いて一本鎖cDNAを作製する。作製したcDNA
は健康な同細胞から抽出した過剰量のmRNAで数回
(好ましくは2〜3回)控除される。残ったcDNA
は、ランダムプライミングによって32Pでラベルし、プ
ローブが作製される。このようにして作製されたcDN
Aプローブは、アポトーシスによる細胞死に関連したm
RNA由来のcDNAが濃縮されていると考えられる。
めに、刺激した同細胞から抽出されたmRNAを用い
て、cDNAを作製する。得られた一本鎖cDNAは常
法により二本鎖cDNAに変換して公知のベクター(例
えば、λgt10)に導入する。次に、このライブラリ
ーを先に作製した控除cDNAプローブでスクリーニン
グすることにより目的のクローン、すなわち本発明のP
D−1のcDNAが得られる。
Aは得られるが、さらにアポトーシスを起こす他の細胞
があれば、さらに確実な方法で二種の細胞の細胞死に共
通して活性化される遺伝子を得ることができる。すなわ
ち、外部からの刺激によりアポトーシスを起こさせた一
方の細胞(仮に細胞aとする。)より抽出したmRNA
を用いて一本鎖cDNAを作製する。作製したcDNA
は健康な同細胞から抽出した過剰量のmRNAで数回
(好ましくは2〜3回)控除される。残ったcDNA
は、ランダムプライミングによって32Pでラベルし、プ
ローブが作製される。
めに、刺激によって死につつある他方の細胞(仮に細胞
bとする。)から抽出したmRNAを用いて一本鎖cD
NAを作製する。作製したcDNAは健康な同細胞から
抽出した過剰量のmRNAで数回(好ましくは2〜3
回)控除される。残ったcDNAは刺激した同細胞から
抽出した過剰量のmRNAとバックハイブリダイズさせ
た後、常法により二本鎖cDNAに変換して公知のベク
ター(例えば、λgt10)に導入する。次にこのライ
ブラリーを先に細胞aから作製した控除cDNAプロー
ブを用いてスクリーニングすることにより目的とするク
ローン、すなわち細胞死に関連しかつ二種の細胞に共通
したクローンが得られる。
健康な状態の時でさえもわずかながら目的とする遺伝子
が発現されることがあるので、その場合は、控除cDN
Aライブラリーを作製する工程は、刺激時にのみ発現す
る細胞(例えば、細胞a)の健康な細胞から抽出したm
RNAを用いて控除されるべきである。
が、一旦確定されると、その後は、化学合成によって、
あるいは該塩基配列の断片を化学合成し、これをプロー
ブとしてハイブリダイズさせることにより、本発明のD
NAを得ることができる。さらに、本DNAを含有する
ベクターDNAを適当な宿主に導入し、これを増殖させ
ることによって、目的とする本発明DNAを必要量得る
ことができる。
方法としては、(1)生体または培養細胞から精製単離
する方法、(2)ペプチド合成する方法、または(3)
遺伝子組み換え技術を用いて生産する方法、などが挙げ
られるが、工業的には(3)に記載した方法が好まし
い。
を生産するための発現系(宿主−ベクター系)として
は、例えば、細菌、酵母、昆虫細胞および哺乳動物細胞
の発現系が挙げられる。
熟蛋白部分をコードするDNAの5′末端に開始コドン
(ATG)を付加し、得られたDNAを、適当なプロモ
ーター(例えば、trpプロモーター、lacプロモー
ター、λPL プロモーター、T7プロモーター等)の下
流に接続し、大腸菌内で機能するベクター(例えば、p
BR322、pUC18、pUC19等)に挿入して発
現ベクターを作製する。次に、この発現ベクターで形質
転換した大腸菌(例えば、E.ColiDH1、E.ColiJM1
09、E.ColiHB101株等)を適当な培地で培養し
て、その菌体より目的とするポリペプチドを得ることが
できる。
えば、pelBのシグナルペプチド)を利用すれば、ペ
リプラズム中に目的とするポリペプチドを分泌すること
もできる。さらに、他のポリペプチドとのヒュージョン
プロテイン (fusion protein) を生産することもでき
る。
は、例えば、PD−1の全長をコードするDNAを適当
なベクター(例えば、レトロウイルスベクター、パピロ
ーマウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、
SV40系ベクター等)中の適当なプロモーター(例え
ば、SV40プロモーター、LTRプロモーター、メタ
ロチオネインプロモーター等)の下流に挿入して発現ベ
クターを作製する。
動物細胞(例えば、サルCOS−7細胞、チャイニーズ
ハムスターCHO細胞、マウスL細胞等)を形質転換
し、形質転換体を適当な培地で培養することによって、
その培養液中に目的とするポリペプチドが分泌される。
以上のようにして得られたポリペプチドは、一般的な生
化学的方法によって単離精製することができる。
コードするDNAは、これをプローブとしてヒトを含む
マウス以外の動物のPD−1遺伝子を分離することが可
能である。それらのPD−1遺伝子をコードするDNA
あるいはDNA断片はプローブあるいはプライマーとし
てPD−1遺伝子の検出ができ、これによって該遺伝子
と生体防御機能、免疫機能あるいは腫瘍等の疾患との関
係の研究あるいは疾患の診断等に利用することができ
る。
法によって多大な有用性が期待されるPD−1ポリペプ
チド、ポリペプチド断片あるいはその誘導体を生産する
際の必須の鋳型として用いることができる。そのように
して生産されたポリペプチド、ポリペプチド断片あるい
は修飾ポリペプチドは感染症、免疫機能の低下または亢
進あるいは腫瘍等の治療剤として用いることが期待され
る。
の断片を抗原として常法によりポリクローナル抗体およ
びモノクローナル抗体を作製できるので、それらを用い
て該ポリペプチドを定量することによって該ポリペプチ
ドと疾患との関係の研究あるいは疾患の診断等に利用す
ることができる。また、該モノクローナル抗体はそのま
まの形あるいはヒト抗体とのキメラ抗体の形あるいはヒ
ト型に変換した形で治療剤として用いることができる。
説明するが、これらは本発明の範囲を制限するものでは
ない。
l,NationalCancer Institut
eより供与された)はRPMI1640培養液(GIB
CO社製)に10%非働化牛胎児血清、2mMグルタミ
ン、50μM2−メルカプトエタノール、100U/m
l ペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン
を添加したもの(以下完全培養液と呼ぶ)を用いて培養
した。マウスLyD9細胞(Palacios等,EM
BO J.,6,3687(1987)に記載)は完全
培養液にマウスIL−3発現ベクターで形質転換したX
63Agミエローマ細胞(Karasuyama等,E
ur.J.Immunol.,18,97(1988)
に記載)の培養上清を0.2%添加したものを用いて培
養した。
全培養液に500ng/ml イオノマイシン(カルビ
オケム社製)と10ng/ml PMA(フォルボール
12−ミリステート13−アセテート,カルビオケム社
製)を添加し、37℃、5%CO2 にて2〜6時間培養
することによって行なった。
子の涸渇により行なった。すなわち、細胞をRPMI 1
640 培養液を用いて3回洗浄した後、増殖因子を含まな
い完全培養液中で37℃、5%CO2 にて4〜12時間
培養した。
NA断片化の検出 被検細胞(5×106 〜1×107 個)を遠心により集
め、冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS- )で1回洗浄し
た。細胞沈渣を600μlの10mM EDTA、 0.2
%トライトンX−100を含む10mM トリス塩酸緩
衝液(pH 7.5)に溶解した。氷上に10分間放置した
後、エッペンドルフ遠心機を用い、4℃にて13000 g、
10分間遠心した。
もとのままのクロマチンは含まない)をフェノール抽出
し、次にフェノール/クロロホルム:イソアミルアルコ
ール(24:1)を用いて抽出した。水層に食塩液を加
えて300mMとし、次に2倍量のエタノールを加えて
核酸を沈殿させた。沈渣を70%エタノールで洗浄、風
乾した後、15μlの1mM EDTAを含む10mM
トリス塩酸緩衝液(pH 7.5)に溶解した。 0.6mg/
mlのアールエヌエースA(RNaseA)を加え、3
7℃にて30分間反応させRNAを分解した後、2%ア
ガロースゲル上でボイヤー緩衝液(50mM トリス塩
酸,20mM 酢酸ナトリウム,2mMEDTA,18
mM NaCl,pH 8.05 )を用いて電気泳動を行な
った。DNAはエチジウムブロマイド染色により検出し
た。
ーン1は無刺激時のパターンを示し、レーン2はイオノ
マイシンとPMAで6時間刺激した時のパターンを示
し、レーン3〜8はそれぞれ刺激から0、1、2、3、
4および5時間後にRNA転写阻害剤を添加した時のパ
ターンを示している。また図2中、レーン1はIL−3
添加時のパターンを示し、レーン2はIL−3を涸渇さ
せて12時間培養した時のパターンを示し、レーン3〜
7はそれぞれIL−3の涸渇から0、2、4、6および
8時間後にRNA転写阻害剤を添加した時のパターンを
示している。
オノマイシンとPMAで同時に6時間刺激するとアポト
ーシスに特徴的なDNA断片化が認められること、ま
た、刺激と同時にRNA転写阻害剤であるアクチノマイ
シンD(200ng/ml,シグマ社製)を添加するこ
とによりほぼ完全に抑制されることを示す。このことは
2B4.11細胞のアポトーシスにはRNAのドゥノボ
合成が必要なことを明確に示している。また、アクチノ
マイシンDの添加時期を変化させた実験から、この細胞
死に必要なmRNA合成は刺激後3時間までに完了する
ことを示している。
を涸渇させて12時間培養すると同様のDNA断片化が
認められること、また、IL−3の涸渇と同時にアクチ
ノマイシンDを添加することにより完全に抑制されるこ
とを示す。しかし、アクチノマイシンDの添加時期を変
えた実験から、LyD9細胞のこの細胞死に必要なmR
NA合成は2B4.11細胞の場合と比べると幾分長時
間にわたっているようであった。
製 イオノマイシン(500ng/ml)とPMA(10n
g/ml)を添加して2〜3時間刺激した2B4.11
細胞(約5×109個)から常法(Molecular
Cloning:Sambrook,J.,Frit
sh,E.F.,およびManiatis,T.著,C
old SpringHarbor Laborato
ry Pressより1989年に発刊に記載)に従っ
てPoly(A)+RNA(300μg)を得た。
dTプライマーおよび6塩基ランダムプライマーを用い
て、アクチノマイシンDと極微量の[α−32P]dCT
P存在下で逆転写酵素により、ファーストストランドを
合成した。 0.2Nカセイソーダを加え68℃、30分間
処理してRNAテンプレートを加水分解して得た一本鎖
cDNAを、IL−3存在下培養のLyD9細胞から抽
出した Poly(A)+ RNAの過剰量(200μg)と5m
M EDTA、 0.2%SDSを含む 0.5M リン酸ナト
リウム緩衝液(pH 6.8)中で68℃、26時間ハイブ
リダイゼーションを行なった。この反応のCot値(高
塩濃度の影響を補正したもの、Britten等,Meth.Enzy
m.,29, 363-418 (1974)に記載)は7800mol・sec
/lで行なった。
(pH 6.8)で平衡化したハイドロキシアパタイトカラ
ム(バイオラッド社製)にウォータージャケット中で6
0℃に保ちながら通して、cDNA/RNAヘテロ二本
鎖とハイブリダイズしなかった一本鎖cDNAを分離し
た。この一本鎖cDNAを前出のイオノマイシンとPM
Aで刺激した2B4.11細胞から抽出した Poly(A)+
RNAの過剰量(200μg)と8000mol・sec/
lのCot値となるようバックハイブリダイズさせた。
得られたcDNA/RNAヘテロ二本鎖から二本鎖cD
NAへの変換およびλgt10へのクローン化は、Mole
cular Cloning (前出)に記載の方法に従って行なっ
た。以上の操作により全体の約90%のcDNAが控除
されたことから、細胞死特異的と思われるcDNAクロ
ーンは約10倍濃縮されたと判断した。
キシアパタイトカラムクロマトグラフィーの方法は実施
例3に記載の方法に従った。すなわち、IL−3を涸渇
させて4〜6時間培養したLyD9細胞から抽出した P
oly(A)+ RNA(40μg)よりファーストストランド
を合成し、RNAテンプレートを加水分解して一本鎖c
DNAを得た。これを、IL−3存在下培養のLyD9
細胞から抽出した Poly(A)+ RNAの過剰量(200μ
g)と8000mol・sec/lのCot値となるようハ
イブリダイズした。ハイドロキシアパタイトカラムクロ
マトグラフィーによりハイブリダイズしなかった一本鎖
cDNAを分離した。
シアパタイトカラムクロマトグラフィーのサイクルを繰
り返して得た一本鎖cDNA(130ng)を、Molecu
larCloning (前出)に記載の方法に従い、6塩基ラン
ダムプライマーを用い[α−32P]dCTP(3000Ci
/mmol,アマーシャム社製)により標識した。比活
性約4×109 dpm/μgのプローブが得られた。な
お、以上の操作により全体の約96%のcDNAが控除
されたことから、IL−3涸渇に特異的な控除プローブ
は約25倍に濃縮されていた。
20cmのLBプレートに約1×104 個のプラーク/
プレートの密度でクローンを播き(全部で2×10
4 個)、37℃で13時間培養した後、ニトロセルロー
スフィルターにDNAを移し取りレプリカを作製した。
ハイブリダイゼーションは約5×108 dpmのプロー
ブ(実施例4で作製)を含むハイブリダイゼーション用
緩衝液(5×SSPE,5×デンハルト溶液,120μ
g/ml サケ精子DNA,10%デキストラン硫酸,
0.3%ナトリウムドデシル硫酸)中で68℃、27時間
行なった。
液(1×SSC:0.15M NaCl, 0.015M クエン
酸ナトリウム)中で55℃、40分間、次に 0.1%ナト
リウムドデシル硫酸を含む 0.1×SSC溶液中で68
℃、30分間洗浄した。オートラジオグラフィーの結
果、強いシグナルを示したクローン(120個)を以下
の2次スクリーニングに供した。
直径10cmのLBプレートに播きなおし(約200個
のプラーク/プレート)、ニトロセルロースフィルター
のレプリカを2枚ずつ作製した。一方のフィルター群は
上記の標識プローブと、他方のフィルター群はIL−3
存在下培養のLyD9細胞由来cDNAを同様の方法で
標識したプローブとハイブリダイゼーションを行なっ
た。洗浄、オートラジオグラフィー後、前者のプローブ
とだけハイブリダイズし、後者のプローブとはハイブリ
ダイズしない独立のクローン4個(すなわちIL−3涸
渇特異的なクローン)を得、それぞれブルースクリプト
SKプラスミドベクター(ストラタジーン社より販売)
にサブクローン化した。
は異なるが、制限酵素地図は重複し、かつ互いに非常に
強いストリンジェントな条件下においてもハイブリダイ
ズしたことから同一の遺伝子に由来するものと考えられ
た。この遺伝子をPD−1と名付けた。
イシンとPMAで刺激した2B4.11細胞から作製し
たλgt10cDNAライブラリー(控除は行なってい
ない)からもクローニングを行ない、最長のインサート
を持つクローン(PD−1cDNA#7)を得た。これ
も同様にブルースクリプトSKプラスミドベクターにサ
ブクローン化した。以下の解析は主にPD−1 cDN
A#7を用いて行なった。
法(Sanger,F.,等, Proc.Nat.Acad.Sci.USA, 74, 5463
(1977) に記載)により、修飾T7DNAポリメラーゼ
(United States Biochemical より入手)と[α−
32P]dCTP(3000Ci/mmol,アマーシャム社
製)を用いて実施した。
配列とそれから予想されるアミノ酸配列を配列表1から
4に示し、制限酵素地図を図3に示す。PD−1遺伝子
は膜貫通部位と思われる27アミノ酸を含む288アミ
ノ酸からなるポリペプチドをコードしているものと推測
された。
涸渇したLyD9細胞で共に活性化されていることを確
認するために、ノーザンブロッティング法による解析を
行った。全細胞RNAの抽出、Poly(A)+RNA
の精製およびノーザンハイブリダイゼーションの方法は
Molecular Cloning(前出)に記載の
標準法を用いた。プローブにはPD−1 cDNA#7
のコーディング領域に存在するPstI断片(650b
p)をランダムプライマーを用いて[α−32P]dC
TAで標識したものを用いた。また、内部標準として、
マウスβ−アクチンcDNAの3’ノンコーディング領
域のみを含むプラスミドPMAβ−3’utのEcoR
I断片(300bp)を同様に標識してプローブとし
た。
激時の2B4.11細胞のパターンを示し、レーン2は
刺激後の2B4.11細胞のパターンを示し、レーン3
はIL−3含有培養後のLyD9細胞のパターンを示
し、そしてレーン4はIL−3涸渇培養後のLyD9細
胞のパターンを示している。結果は、刺激後の2B4.
11細胞においてPD−1 mRNAの発現が非常に強
く(10倍以上)増強されていること、また、IL−3
涸渇後のLyD9細胞に特異的に発現されていることを
示している。
現されているかを検討した。5週令のICRマウス(静
岡実験動物センターより購入)にマウスCD3(ε)に
対するモノクローナル抗体(Leo,O.等, Proc.Nat.Aca
d.Sci.USA, 84, 1374-1378 (1987)に記載)を生産する
ハイブリドーマ145−2C11を注射したBALB/
C nu/nuマウスから集めた脱フィブリン化腹水2
00μlまたはリン酸緩衝生理食塩水200μlを腹腔
内に注射した。一定時間後にマウスを屠殺し、各臓器か
らMolecular Cloning (前出)に記載の方法に従って全
RNAの抽出、 Poly(A)+ RNAの精製およびノーザン
ハイブリダイゼーションを行なった。プローブは本実施
例に記載のものを用いた。
ーン1〜7はそれぞれ脳、心臓、肺、胸腺、脾臓、肝臓
および腎臓におけるPD−1 mRNAの発現を示して
いる。図6中、レーン1〜5は胸腺を、レーン6〜10
は脾臓を表わし、さらにレーン1と6は無処置群の、レ
ーン2と7はPBS投与8時間後の、レーン3と8はP
BS投与12時間後の、レーン4と9は抗CD3抗体投
与8時間後の、そしてレーン5と10は抗CD3抗体投
与12時間後の、PD−1 mRNAの発現を示してい
る。
腺(胸腺では胸腺細胞の死が恒常的に起きている)にお
いて顕著であり、脳、心臓、肺、脾臓、肝臓および腎臓
では殆ど認められないことがわかる。さらに、図6か
ら、マウス胸腺内におけるアポトーシスによる細胞死を
増強することが知られている抗CD3モノクローナル抗
体の注射によって、8〜12時間後にPD−1 mRN
Aの発現が胸腺内において増強(約3倍)されているこ
と、また、興味深いことに脾臓においても増強されてい
ることがわかる。
胞のDNA断片化を示す図である。
yD9細胞のDNA断片化を示す図である。
胞およびIL−3涸渇培養後のLyD9細胞におけるP
D−1 mRNAの発現を示す図である。
mRNAの発現を示す図である。
腺および脾臓におけるPD−1mRNAの発現を示す図
である。
Claims (2)
- 【請求項1】 配列番号1で示されるアミノ酸配列から
なるマウスPD−1。 - 【請求項2】 配列番号4において、アミノ酸配列番号
1から268で示されるマウスPD−1成熟蛋白。
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