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JP3450460B2 - 走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents

走査型プローブ顕微鏡

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Publication number
JP3450460B2
JP3450460B2 JP23572394A JP23572394A JP3450460B2 JP 3450460 B2 JP3450460 B2 JP 3450460B2 JP 23572394 A JP23572394 A JP 23572394A JP 23572394 A JP23572394 A JP 23572394A JP 3450460 B2 JP3450460 B2 JP 3450460B2
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probe
cantilever
signal
scanning
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明 八木
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Olympus Corp
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Olympus Optic Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、探針を試料に近接させ
ることにより、試料の微視的な表面情報を得る走査型プ
ローブ顕微鏡に係り、特に、試料表面のエバネッセント
光の散乱及び導電性分布等の表面情報を得ることのでき
る走査型プローブ顕微鏡に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、走査型プローブ顕微鏡として
は、試料と探針の相互作用力をカンチレバーを用いて検
出する原子力顕微鏡(Atomic Force Microscope :以
下、AFMとする)や試料表面もしくは探針先端部に局
在するエバネッセント光を用いて光の回折限界を超える
分解能で試料の屈折率分布を測定する近視野顕微鏡(Ne
ar field microscope )もしくは、Photon−走査
型トンネル顕微鏡(PSTM)及び走査型トンネル顕微
鏡(Scanning tunneling microscope;STM)などが知
られている。
【0003】前記AFMには、2つの代表的な動作があ
る。1つは、例えば特開昭62−130302号公報に
記載されるように、試料と探針の間に働く力を一定に保
つことにより、試料表面の凹凸を検出する方式である。
【0004】もう1つは、例えば、「J.Appl.Phys.Vo1
61,P4723(1987)」に記載されるように、
探針が試料に近接したことにより働く、電場、磁場、フ
ァンデルワールス引力等の力の勾配を受けて、あたかも
カンチレバーのバネ定数が変化したようになることを利
用し、カンチレバーの共振特性の変動を検出して試料の
表面近傍の電場・磁場の分布あるいは試料表面形状を測
定するACモードと呼ばれる方式である。
【0005】後者のACモードのAFMにおいて、探針
はバネ定数が0.01から数N/mで、共振周波数が数
kHz〜数百kHzのカンチレバーの上に形成される。
このカンチレバーは、励振用のアクチュエータに固定さ
れ、微動素子上に支持された試料面すなわちXY平面に
正対するように配置される。探針は試料の走査に応じて
試料表面を走査される。
【0006】この走査の間、励振用アクチュエータに
は、共振周波数近傍の周波数で試料表面に垂直な方向の
所定の振幅の振動をするような信号が印加される。さら
に試料を支持している電圧素子等で構成された微動素子
はカンチレバーの振動振幅を一定に保つように0.1n
m以下の精度で制御され、試料表面に垂直な方向、すな
わちZ方向に試料が相対移動される。この結果、探針の
先端は試料、表面形状を反映した曲面上をトレ−スす
る。
【0007】従って探針先端のXY面上の位置と同時
に、Z方向の位置を圧電体に印加した電圧から求め、記
録することにより試料表面の微細な凹凸を示すAFM像
が得られる。
【0008】一方、近視野顕微鏡(Near Field Microsc
ope)は自由空間を伝達するような光でなく微小空間に局
在したエバネッセント光の特性を利用したものである。
実際のPSTM測定では測定試料の表面近傍に局在する
エバネッセント光に光ピックアップ(即ち、プロ−ブ)
を走査することで散乱させて通常の伝搬光(即ち、散乱
光)に変換する。この散乱光を検出して散乱強度の地図
を作成することによって光の波長より小さい物体に対す
る解像がなされる。
【0009】第1の従来例として、例えば本出願人によ
る特願平5−350961号には、前述したACモード
のAFMとPSTMの2つのプローブ顕微鏡を組み合わ
せた装置を提案している。
【0010】図5には、その装置の構成を示す。この装
置において、図示するように自由端表面に探針101を
有するカンチレバー102と、測定試料103が設置可
能であって且つ測定試料103の表面近傍にエバネッセ
ント光を発生させるエバネッセント光発生手段(プリズ
ム104、レザー光源105、光ファイバーケーブル1
06、コリメーターレンズ107、調整機構108)
と、カンチレバー102を所定の周波数で振動させる励
振手段(Z軸変調信号発生装置109、圧電アクチュエ
ータ110)と、カンチレバー102の自由端裏面にレ
ーザー光を照射し且つ自由端裏面から反射したレーザー
光の位置の変化を検出することによりカンチレバー10
2の自然の位置からの変化を検出する、変位検出手段
(半導体サーザー111、反射面112、2分割フォト
ダイオード113、差動増幅器114)と、この変位検
出手段によって検出された変位信号に基づいて、カンチ
レバー102の先端部の探針101の振動中心と測定試
料103との間の距離を一定に維持させるサーボ手段
(ロックインアンプ115、チューブスキャナ116、
Zサーボ回路117)とこのサーボ動作を行いながら探
針101を測定試料103に対して相対的に走査する走
査手段(XY走査装置118、チューブスキャナ11
6)と測定試料103の表面近傍に発生したエバネッセ
ント光に探針101が接することによって発生した散乱
光の強度を検出する光量検出手段119と、この光量検
出手段119によって検出された光量信号に基づいて、
測定試料103の表面の屈折率分布を画像解析する画像
解析手段(光量検出手段119、ロックインアンプ12
0、ローパスフィルタ121、画像解析装置122)と
を備えている。
【0011】このような構成により、Z軸変調信号発生
器109から出力された励振信号に基づいて、圧電アク
チュエータ110はカンチレバー102と一体化された
探針101を測定試料103に対して垂直方向に所定の
周波数fで振動させる。
【0012】このとき半導体レーザーから出た光はカン
チレバー上の反射面112に当たって反射し、2分割フ
ォトダイオード113上にスッポトを作り、それぞれの
ダイオード上の光量はカンチレバーの振動に応じて変化
する。この2つのフォトダイオードの光電流を変位検出
器114で差動増幅すれば得られる信号はカンチレバー
の振動に応じた信号に変換される。ロックインアンプ1
15は、Z軸変調信号発生器109から出力された励振
信号に基づいて前記周波数の励振信号に同期したカンチ
レバーの振動振幅を検出する。
【0013】ここで、カンチレバー102の自由端裏面
背面に形成された反射面112は、変位検出手段の半導
体レーザーの光の反射効率を高くし、試料面のエバネッ
セント光への混入を防ぐための金属薄膜である。
【0014】このカンチレバー102の振動振幅は探針
101と試料103の間の距離変化に応じて作動する。
そこで前記振動振幅を一定に保つようにアクチュエータ
116のZ方向を制御する為に前記振動振幅信号がZ位
置制御機構117に接続され演算制御動作を行う。この
制御により探針101の振動中心と試料103の表面は
常に一定の間隔に保たれる。これと同時に、XY走査装
置118の接続されたアクチュエータ116は試料をX
Y方向に走査される。XY走査信号とZ方向制御信号は
画像解析装置に取り込まれ試料の凹凸を反映する画像を
構築するために用いられる。
【0015】このような動作により、レーザー光源10
5から光ファイバー106を通して導光され、レンズ1
07で平行光にされたレーザー光は調整機構108によ
りプリズム104の表面に対して常に全反射条件を満た
す角度で入射させる。このような状態においてはプリズ
ム表面上の測定試料103の表面近傍には、下記の数1
の関係を有するエバネッセント光Eが発生する。
【0016】
【数1】 但し、 I;エバネッセント光強度 d;試料- 探針間距離 γ;減衰係数 とする。
【0017】
【数2】 但し、 n;試料の屈折率 θ;入射角度 λ;入射光の波長 とする。
【0018】前述した試料103と探針101の間隔を
一定に保つような制御により、探針101は試料103
表面に局在したエバネッセント光を散乱光に変換できる
領域に保たれる。この散乱光は対物レンズ123によっ
て光検出器119に集光されその光量信号に変換され
る。
【0019】上記動作において探針101は前述したよ
うに励振周波数fで振動しており、数1,数2のような
Z方向依存性を持つエバネッセント光を散乱光に変換し
ているため、光検出器の出力である光量信号も同期して
振動することになる。そこで光検出器の出力信号を入力
したロックインアンプ120は励振周波数fに同期した
エバネッセント光強度の試料探針間の距離依存性を反映
するような信号(AC成分)を検出する。又光量信号は
ローパスフィルタ121にも接続されており、エバネッ
セント光全体の強度(dc成分)も検出できるようにな
っている。AC成分はエバネッセント光のZ方向の距離
の微分値を反映するため、数1のエバネッセント光強度
の依存性式に基づいて、AC成分をdc成分で除算すれ
ば、数2における減衰係数γの値即ち屈折率nを反映す
る信号を求めることができる。このAC成分とdc成分
の2つの光量信号も画像解析装置122に入力し演算処
理されて、試料103表面の屈折率の分布像を構成する
ことになる。
【0020】尚、探針101及びカンチレバー102
は、観察領域の光に対して光学的に透明である部材(例
えば、窒化シリコン)からなっている。STMは、19
82年にビニッヒ(Binnig)、ロ−ラ(Rohr
er)らによってUSP4,343,993号において
提案された微細表面形状計測装置であり、導電性試料の
表面形状を原子レベルの分解能で測定できる装置として
知られている。
【0021】また、第2の従来例として、例えば、本出
願人による特開平4−184201号公報には、このS
TMをACモ−ドのAFMと組み合わせたバリアハイト
測定装置を提案している。
【0022】図6には、バリアハイト測定装置の構成を
示し、その動作について説明する。このバリアハイト測
定装置において、カンチレバー202薄膜状の片持ち
造でその自由端には導電性材料からなる探針201
(もしくは非導電性薄膜をコートしたもの)が、試料2
03に対向するように支持されている。
【0023】また、カンチレバー202の基端部は、圧
電アクチュエータ204に支持されており、圧電アクチ
ュエータ204の入力端は、Z軸変調信号発生器205
の出力端と接続されている。カンチレバー202の背面
には、化学式の変位検出器205が設けられ、この変位
検出器205の出力端は第1のロックインアンプ206
の第1の入力端と接続されている。ロックインアンプ2
06の第2の入力端には、更にZ軸変調信号発生器20
7の出力端が接続されており、また、ロックインアンプ
206の出力端は、Z位置制御機構208の入力端及び
画像解析装置209の入力端と接続されている。
【0024】一方、試料203は3次元方向に微動可能
なXYZ圧電アクチュエータ210上に保持されるとと
もに、バイアス電圧発生器211に接続されており、ま
たXYZ圧電アクチュエータ210のZ入力端はZ位置
制御機構208の出力端と接続されている。
【0025】また、導電性の探針201は電流電圧変換
器213の入力端に電気的に接続されており、電流電圧
変換器213の出力信号は、第2のロックインアンプ2
12の第1の入力端及び画像解析装置209に接続され
ており、ロックインアンプ212の第2の入力端にはZ
軸変調信号発生器207の出力端が接続され、ロックイ
ンアンプ212の出力端は画像解析装置209の入力端
に接続されている。
【0026】このような構成により、試料203の凹凸
を反映する画像は第1の従来例で述べた方法と同様の動
作で求められる。一方、試料にはバイアス電圧がバイア
ス電圧発生器211によって印加されており、導電性の
試料表面203と0電位である導電性の探針201の間
隔が数nm程度になると、試料と探針の間には数3のよ
うな依存性を持ったトンネル電流が流れることになる。
【0027】
【数3】 但し、 J:トンネル電流 d:試料探針間距離 φ:バリアハイト とする。
【0028】前記した、試料203と探針201の間隔
を一定に保つ制御により探針201は試料203表面か
らトンネル電流Jが流れる領域に保たれる。このトンネ
ル電流は電気的に接続されている電流電圧変換器213
によって、電圧信号に変換されている。
【0029】上記動作において探針201は前従来例で
述べたように所定の励振周波数fで振動しており、トン
ネル電流Jが数3のような試料探針間距離依存性を持つ
ため、トンネル電流信号も同期して振動する事になる。
そこで電流電圧変換器213の出力信号を入力したロッ
クインアンプ212はZ軸変調信号の励振周波数fに位
相も含めて同期したトンネル電流信号Jの試料探針間距
離依存性を示す信号(AC成分)に変換する。又電流電
圧変換器の出力端も直接画像解析装置209に接続され
ており、全電流値(dc成分)も検出できるようになっ
ている。AC成分はトンネル電流のZ方向の距離の微分
値を反映するため、数3のトンネル電流の試料探針間距
離依存性式を考慮すると、AC成分をdc成分で除算す
れば、数3におけるバリアハイトφの平方根に当たる値
を求めることになる。この値とXY走査装置214から
の信号とを元に画像解析装置209では試料203表面
のバリアハイトの分布像を構成することになる。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】しかし前述した第1,
第2の従来例のような多機能型の走査型プローブ顕微鏡
においては、ACモードのAFMを用いて試料の凹凸を
測定し、同時に試料のバリアハイトや屈折率等の物性値
を高感度に測定するために、探針を周波数fで振動させ
て試料探針間の距離に変調を加え、更に試料または探針
に励起電圧あるいは励起光を加えることにより、試料近
傍で発生した試料探針間の距離に強い依存性を示すトン
ネル電流あるいはエバネッセント波を、探針を近接させ
て電気信号に変換し、この電気信号から探針を振動させ
る為の励振信号を参照信号とするロックイン検出を行っ
ていた。
【0031】ところが、励振信号の位相と実際の試料と
探針の間の距離変動の位相は、試料表面の粘弾性係数に
よって変動する。この変動により位相検出感度の高いロ
ックインアンプを用いたトンネル電流やエバネッセント
波の信号強度は位相変動の影響を受け、実際の物性値の
変動のみならず試料の硬さの変動の影響が重畳された信
号になってしまう。
【0032】そこで本発明は、カンチレバーの振動振幅
を一定に保つつ走査して試料の凹凸像を検出し、且つ試
料の局所的な粘弾性係数に影響されずにトンネル電流や
エバネッセント波の距離依存性を求められる走査型プロ
ーブ顕微鏡装置を提供することを目的とする。
【0033】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、片持ち梁構造を成し、その自由端に探針を
有するカンチレバーと、所定の試料を保持する保持手段
と、前記試料表面に前記探針が近接保持されたときに、
カンチレバーの変位量を検出する手段と、前記試料と前
記探針の間隔に依存する物理量を検出する手段と、前記
針を振動させる手段と、前記変位量に基づき前記試料
と前記探針の間隔を一定に保つ制御手段と、参照信号と
して前記カンチレバーの変位量信号を用いて、前記物理
量の検出信号をロックインアンプ入力し、前記物理量の
前記試料と前記探針間距離依存性基づく値を算出す
る手段と、を具備することを特徴とする走査型プローブ
顕微鏡を提供する。
【0034】
【作用】このように構成された走査型プローブ顕微鏡装
置により、カンチレバーは振動手段によって特定周波数
でZ方向に振動されながら試料表面を走査する。このと
きカンチレバーの変位はカンチレバー変位検出手段によ
って検出される。カンチレバーは、その探針先端と試料
表面の間に働く力に応じて振動中心位置や振動振幅が変
化する。一方、探針−試料間には励起光あるいはバイア
ス電圧が印加され、この間に発生するエバネッセント光
あるいは流れるトンネル電流がエバネッセント光に基づ
く散乱光検出手段あるいはトンネル電流検出手段により
光量信号あるいは電流信号として検出される。
【0035】 そして、カンチレバー変位検出手段によ
って検出されるカンチレバー変位信号の振動振幅が常に
一定となるように試料−探針間距離がサーボ制御され
る。このサーボ信号は走査手段からの走査信号とともに
画像解析手段に入力され試料の表面凹凸像を再構成す
る。また、エバネッセント光に基づく散乱光量信号ある
いはトンネル電流信号はロックインアンプに入力され変
位検出手段により得られた試料探針間距離の変動を参照
信号として距離微分に比例する信号に変換される。この
微分信号は微分する前の信号と走査信号とともに画像解
析手段に入力され、屈折率分布像あるいはバリアハイト
像が算出される。
【0036】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。図1には、本発明による第1実施例として
PSTMとACモードのAFMを組み合わせた走査型プ
ローブ顕微鏡装置の構成を示し、説明する。
【0037】本実施例は、従来用いた試料の凹凸を測定
するための振幅検出部中のロックインアンプを変調信号
とカンチレバーの振動の位相差によって振幅信号が変動
しない振幅検出器に置き換えていることが特徴であり、
更には光量信号の振幅を検出するためのロックインアン
プの参照信号の入力端が変位検出器になっていることが
特徴である。
【0038】この走査型プローブ顕微鏡装置は、薄膜状
の片持ち梁構造でその自由端には導電性材料からなる探
針1が設けられたカンチレバー2と、測定試料3が設置
可能であって且つ測定試料3の表面近傍にエバネッセン
ト光を発生させる、プリズム4,レーザー光線5,光フ
ァイバーケーブル6,コリメーターレンズ7及び調整機
構8からなるエバネッセント光発生部と、カンチレバー
2を所定の周波数で振動させる、Z軸変調信号発生装置
9及び圧電アクチュエータ10からなる励振部と、カン
チレバー2の自由端裏面にレーザー光を照射し且つ自由
端裏面から反射したレーザー光の位置の変化を検出する
ことによりカンチレバー2の自然の位置からの変化を検
出する、半導体レーザー11,反射面12,2分割フォ
トダイオード13及び差動増幅器14からなる変位検出
部と、この変位検出部によって検出された変位信号に基
づいて、カンチレバー2の先端部の探針1の振動中心と
測定試料3の間の距離を一定に維持させる、振幅検出器
15,チューブスキャナ16及びZ位置制御機構17か
らなるサーボ部と、このサーボ動作を行いながら探針1
を測定試料3に対して相対的に走査する、XY走査装置
18及びチューブスキャナ16からなる走査部と、測定
試料3の表面近傍に発生したエバネッセント光に探針1
が接することによって発生した散乱光の強度を検出する
光量検出部19と、この光量検出部19によって検出さ
れた光量信号に基づいて、測定試料3の表面の屈折率分
布を画像解析する、光量検出部19,ロックインアンプ
20,ローパスフィルタ21及び画像解析装置22から
なる画像解析部とで構成されている。
【0039】次に図2を参照して本実施例の走査型プロ
ーブ顕微鏡装置の動作ついて説明する。ここで試料3は
図2(a)のように、ガラス基板上のBからCの間に半
透明の有機膜が島状に付着している場合を考える。
【0040】図2(a)上の波線はカンチレバーの振動
の軌跡を模式的に示したものである。横軸はX方向であ
り、その他のグラフはそれぞれ試料をX方向に走査した
ときの信号の変化を示すグラフになっている。図2
(b)はカンチレバーを励振するために用いるZ軸変調
信号発生器9から出力されている励振信号Vmodであ
る。信号の立ち上がりの0点に波線を引き、位相の状況
がわかりやすいように示している。
【0041】図2(c)は、励振信号cmodとカンチ
レバーの変位信号の位相差を示したものである。B点と
C点の間は試料が有機薄膜であり試料探針間の相互作用
を考慮する際に試料の粘弾性特性がカンチレバー振動の
位相を遅らせるようになるため、BとCの間では位相差
は通常のφから△φだけ遅れることになる。
【0042】図2(d)には光検出器19の出力信号が
示されているが、BとCの間で全体光量(dc成分)が
減少し、カンチレバーの振動に同期した光量変動を示す
(AC成分)。ここでAC成分はエバネッセント光の試
料探針間距離に関する微分に比例する信号になる。この
ときのAC成分を図2(e)に実線で示した。ところが
従来例のようにロックインアンプ20の参照信号として
Z軸変調信号発生器9を用いた場合には、試料探針間距
離の変動との位相変動がBとCの間であるために実際の
AC成分よりも小さな値(図2の波線)になってしま
う。そこでロックインアンプ20の参照信号として変位
検出器19信号を用いる。
【0043】以上のように、第1実施例によれば、変位
検出器の出力信号は実際の試料探針間距離の変動量を反
映するため、変位検出器の出力信号をロックインアンプ
20の参照信号として用いることにより、試料の粘弾性
係数の影響を受けていないネバエッセント光のZ方向依
存性がロックインアンプ20の出力信号として得られ
る。
【0044】次に図3には本発明による第2実施例とし
て、PSTMとACモードのAFMを組み合わせた走査
型プローブ顕微鏡装置の構成を示し説明する。本実施例
は、従来では試料の凹凸を測定するための振幅検出部の
中のロックインアンプを変調信号とカンチレバーの振動
の位相差によって振幅信号が変動しない振幅検出器に置
き変えていることが特徴であり、さらに、トンネル電流
の振幅を検出するためのロックインアンプの参照信号の
入力端が変位検出器になっていることが特徴である。
【0045】この走査型プローブ顕微鏡装置は、薄膜状
の片持ち梁構造でその自由端には導電性材料からなる探
針31(もしくは非導電性薄膜をコートしたもの)が、
試料33に対向するように支持されているカンチレバー
32と、測定試料33が設置可能であって且つ測定試料
33にバイアス電圧を印加する、バイアス電圧発生器4
1からなるバイアス電圧印加部と、カンチレバー32を
所定の周波数で振動させる、Z軸変調信号発生装置37
及び圧電アクチュエータ34からなる励振部と、カンチ
レバー32の自由端裏面にレーザー光を照射し且つ自由
端裏面から反射したレーザー光の位置の変化を検出する
ことによりカンチレバー32の自然の位置からの変化を
検出する変位検出器35と、この変位検出器35によっ
て検出された変位信号に基づいて、カンチレバー32の
先端部の探針31の振動中心と測定試料33との間の距
離を一定に維持させる、振幅検出器45,チューブスキ
ャナ40及びZ位置制御機構37からなるサーボ部と、
このサーボ動作を行いながら探針31を測定試料33に
対して相対的に走査する、XY走査装置44及びチュー
ブスキャナ40からなる走査部と、測定試料33の表面
近傍に近接した探針31に流れたトンネル電流を検出す
る電流電圧変換器43からなる電流検出部と、この電流
検出部によって検出された電流信号に基づいて、測定試
料33の表面の導電性分布を画像解析する、電流電圧変
換器43,ロックインアンプ42及び画像解析装置39
からなる画像解析部とで構成される。
【0046】図4を参照して、第2実施例の走査型プロ
ーブ顕微鏡装置の動作について説明する。ここで、試料
33は図4(a)のようにシリコン基板のBからCの間
に導電性有機膜が島状に付着している場合を考える。
【0047】図4(a)上の波線は、カンチレバーの振
動の軌跡を模式的に示したものである。横軸はX方向で
あり、その他のグラフはそれぞれ試料をX方向に走査し
たときの信号の変化を示すグラフになっている。
【0048】図4(b)はカンチレバーを励振するため
に用いるZ軸変調信号発生器37から出力されている励
振信号Vmodである。信号の立ち上がりの0点に波線
を引き、位相の状況がわかりやすいように示している。
【0049】図4(c)は励振信号Vmodとカンチレ
バーの変位信号の位相差を示したものである。B点とC
点の間は試料が有機薄膜であり試料探針間の相互作用を
考慮する際に試料の粘弾性特性がカンチレバー振動の位
相を遅らせるようになるため、BとCの間では位相差は
通常のφから△φだけ遅れることになる。
【0050】図4(d)には電流電圧変換器43の出力
信号が示されているがBとCの間で全体光量(dc成
分)が減少し、カンチレバーの振動に同期した電流変動
を示す(AC成分)。ここで、AC成分はトンネル電流
の試料探針間距離に関する微分に比例する信号になる。
このときのAC成分を図4(e)に実線で示した。とこ
ろが従来例のようにロックインアンプ42の参照信号と
してZ軸変調信号発生器37を用いた場合には、試料探
針間距離の変動との位相変動がBとCの間であるために
実際のAC成分よりも小さな値(図4の波線)になって
しまう。そこで、ロックインアンプ42の参照信号とし
て変位検出器35の信号を用いる。
【0051】以上説明したように第2実施例によれば、
変位検出器の出力信号は、実際の試料探針間距離の変動
量を反映するため、変位検出器の出力信号をロックイン
アンプ42の参照信号として用いることにより、試料の
粘弾性係数の影響を受けていないトンネル電流のZ方向
依存性がロックインアンプ42の出力信号として得られ
る。
【0052】なお、本発明の上記実施態様によれば、以
下如き構成が得られる。 (1)片持ち梁構造を成し、その自由端に探針を有する
カンチレバーと、所定の測定試料を把持し、該測定試料
表面に前記探針が近接保持されたときに、カンチレバー
の変位量を検出する手段と、前記変位量に基づき前記測
定試料と前記探針の間隔を一定条件下に保つ制御手段
と、前記測定試料と前記探針の間隔に依存する物理量を
探針を通じて検出する手段と、前記物理量の試料探針間
距離依存性を得るために前記探針部を振動させる手段
と、前記物理量の検出信号をロックインアンプ入力し、
参照信号として前記カンチレバーの変位量信号を用い
て、該物理量の試料探針間距離依存性が得られるように
前記試料上を走査を行う手段と、前記走査により得られ
た情報と走査信号に基づき物理量を算出する、若しくは
画像化する画像解析装置とを具備することを特徴とする
走査型プローブ顕微鏡。
【0053】(2) 測定対象となる物理量が測定試料
の表面近傍に局在する光に関わるものである(1)記載
の走査型プローブ顕微鏡。 (3) 測定対象となる物理量が測定試料と探針の間に
流れる電流に関わるものである(1)記載の走査型プロ
ーブ顕微鏡。
【0054】(4) 測定対象となる物理量が測定試料
の表面近傍に局在するエバネッセント光に関わるもので
ある(1)記載の走査型プローブ顕微鏡。 (5) 試料と探針の間隔を一定条件下に保つ制御手段
が、カンチレバーの変位量の振幅を一定に保つ方式の
(1)記載の走査型プローブ顕微鏡。
【0055】(6) 前記カンチレバーの変位量の振幅
を一定に保つ方式が変位量の振動の振幅の実効値を検出
する回路からなるの(5)記載の走査型プローブ顕微
鏡。 (7) 前記物理量が光であり、所定の測定試料をセッ
ト可能であって且つ前記測定試料の表面近傍にエバネッ
セント光を発生させるエバネッセント光発光手段と、前
記測定試料の表面近傍に発生した前記エバネッセント光
に前記探針が接することによって発生した散乱光の強度
を検出する検出手段と、この光検出手段によって検出さ
れた信号に基づいて、前記測定試料の表面の屈折率分布
を画像解析する画像解析手段とを備えることを特徴とす
る(1)記載の走査型プローブ顕微鏡。
【0056】(8) 前記物理量を検出するために、測
定試料と探針の間に所定のバイアス電圧を印加するバイ
アス電圧印加手段と、試料表面近傍に探針が制御されて
いる状態で試料と探針の間に流れる電流を検出する検出
手段を持つ(1)記載の走査型プローブ顕微鏡。
【0057】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、励
振部によりカンチレバー上の探針を試料の法線方向に振
動させ、試料と探針の間に働く相互作用(原子力、静電
気力及び磁気力)によって変化するカンチレバーの振動
振幅を、一定に保つAFMを用いて、試料の局所的な粘
弾性係数に影響されずに、トンネル電流やエバネッセン
ト光に基づく散乱光の距離依存性を求めることが出来る
走査型プローブ顕微鏡装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1実施例としてPSTMとAC
モードのAFMを組み合わせた走査型プローブ顕微鏡装
置の構成を示す図である。
【図2】第1実施例の動作を説明するための各検出,動
作信号を示す図である。
【図3】本発明による第2実施例として、PSTMとA
CモードのAFMを組み合わせた走査型プローブ顕微鏡
装置の構成を示す図である。
【図4】第2実施例の動作を説明するための各検出,動
作信号を示す図である。
【図5】従来のACモードのAFMとPSTMの2つの
プローブ顕微鏡を組み合わせた装置の構成を示す図であ
る。
【図6】従来のバリアハイト測定装置の構成を示す図で
ある。
【符号の説明】
1…探針(磁性探針)、2…カンチレバー、3…測定試
料(試料)、4…プリズム、5…レーザー光線、6…光
ファイバーケーブル、7…コリメーターレンズ、8…調
整機構、9…Z軸変調信号発生装置、10…圧電アクチ
ュエータ、11…半導体レーザー、12…反射面、13
…2分割フォトダイオード、14…差動増幅器、15…
振幅検出器、16…チューブスキャナ、17…Z位置制
御機構、18…XY走査装置、19…光量検出部、20
…ロックインアンプ、21…ローパスフィルタ、22…
画像解析装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−184201(JP,A) 特開 平7−198732(JP,A) 特開 平5−223520(JP,A) 特開 平4−225104(JP,A) 特開 平5−332711(JP,A) 特開 平5−187864(JP,A) 特開 平3−12503(JP,A) 特開 平6−50750(JP,A) 特開 平6−221846(JP,A) 特開 平6−259820(JP,A) 特開 平6−137856(JP,A) 特開 平6−117846(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 13/10 - 13/24 G12B 21/00 - 21/24 JICSTファイル(JOIS)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 片持ち梁構造を成し、その自由端に探針
    を有するカンチレバーと、 所定の試料を保持する保持手段と、 前記試料表面に前記探針が近接保持されたときに、カン
    チレバーの変位量を検出する手段と、 前記試料と前記探針の間隔に依存する物理量を検出する
    手段と、 前記探針を振動させる手段と、 前記変位量に基づき前記試料と前記探針の間隔を一定に
    保つ制御手段と、 参照信号として前記カンチレバーの変位量信号を用い
    て、前記物理量の検出信号をロックインアンプ入力し、 前記物理量の前記試料と前記探針間距離依存性基づ
    く値を算出する手段と、を具備することを特徴とする走
    査型プローブ顕微鏡。
  2. 【請求項2】 測定対象となる前記物理量が前記試料と
    前記探針の間に流れる電流に基づくことを特徴とする請
    求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡。
  3. 【請求項3】 測定対象となる前記物理量が前記試料の
    表面近傍に局在するエバネッセント光に基づくことを特
    徴とする請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡。
  4. 【請求項4】 前記試料と前記探針の間隔を一定条件下
    に保つ制御手段が、カンチレバーの変位量の振幅を一定
    に保つことを特徴とする請求項1に記載の走査型プロー
    ブ顕微鏡。
  5. 【請求項5】 前記カンチレバーの変位量の振幅を一定
    に保つ制御手段が変位量の振動の振幅の実効値を検出す
    る回路からなることを特徴とする請求項4に記載の走査
    型プローブ顕微鏡。
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