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JP3449634B2 - 耐熱性二軸延伸ブロー成形ボトル及びその製造方法 - Google Patents

耐熱性二軸延伸ブロー成形ボトル及びその製造方法

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JP3449634B2
JP3449634B2 JP30226593A JP30226593A JP3449634B2 JP 3449634 B2 JP3449634 B2 JP 3449634B2 JP 30226593 A JP30226593 A JP 30226593A JP 30226593 A JP30226593 A JP 30226593A JP 3449634 B2 JP3449634 B2 JP 3449634B2
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、口部及び移行部が結晶
化(白化)した耐熱性二軸延伸ブロー成形ボトル及びそ
の製造方法に関し、特に口部内側及び移行部が結晶化し
ているために優れた耐熱性と良好な寸法精度を有する耐
熱性二軸延伸ブロー成形ボトル及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
ポリエステル製ボトルに80〜95℃の液体を充填するいわ
ゆるホットフィルや、炭酸ガス入りの果汁・乳酸菌飲料
等を充填したボトルに対するホットシャワーによるパス
テライジングが行われるようになり、そのため特に口部
付近に優れた耐熱性が要求されるようになった。という
のは、ホットフィルでは口部が熱い液体に最初にさらさ
れ、またホットシャワーによるパステライジングでも、
ホットシャワーをボトル上方から注ぐのが一般的である
からである。
【0003】ところが、通常の二軸延伸ブロー成形によ
って得られるポリエステル製ボトルでは、口部は未延伸
のまま残され、また移行部も低延伸のため、延伸やヒー
トセットによる耐熱性の付与ができず、80〜95℃の液体
の充填には供し得ない。
【0004】そこで、口部に耐熱性樹脂とポリエステル
樹脂等からなる多層構造を有するパリソンから二軸延伸
ブロー成形ボトルを製造する方法が種々試みられてい
る。しかしながら、その方法でも炭酸ガス入り飲料用ボ
トル等に65〜80℃のホットシャワーによるパステライジ
ングを長時間行う場合は、熱と内圧のため特に低延伸の
移行部において変形量が大きい。また、90℃以上の厳し
いホットフィル条件下で連続使用できる耐熱性を得るこ
とが難しい。
【0005】また、パリソンの段階、あるいは二軸延伸
ブロー成形した後に、ボトルの口部に加熱処理を施すこ
とにより、ポリエステルを結晶化させ、耐熱性を向上さ
せる方法が行われている。しかしながら、この方法にお
いては加熱処理した時のポリエステルの結晶化に伴い、
口部の寸法が変化しやすく、特に開口端部で収縮が発生
しやすいという問題がある。また、結晶化したサポート
リングは、内容物の充填時や移送の際に割れやすいとい
う問題がある。
【0006】したがって、本発明の目的は、優れた耐熱
性及び寸法精度を有する口部及び移行部を具備するとと
もに、強度の高いサポートリングを有する耐熱性二軸延
伸ブロー成形ボトル、及びかかる耐熱性二軸延伸ブロー
成形ボトルを製造する方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は、ポリエステル樹脂と耐熱性樹脂と
を共射出して、口部に多層構造を有するパリソンを製造
し、パリソンの段階又はパリソンを二軸延伸ブロー成形
した後に、冷却した口部型により口部を把持しながら、
口部及び移行部を内側から加熱すれば、口部の内側及び
移行部におけるポリエステル層は実質的に変形すること
なく結晶化し、ホットフィル及びホットシャワーに対す
る十分な耐熱性を有する二軸延伸ブロー成形ボトルが得
られることを見出し、本発明に想到した。
【0008】すなわち本発明の耐熱性二軸延伸ブロー成
形ボトルは、下端にサポートリングを有する口部と、前
記口部に続く移行部と、肩部と、胴部と、底部とを有
し、前記口部がポリエステル層と耐熱性樹脂層とからな
る多層構造を有するものであり、前記口部の内側におけ
るポリエステル層結晶化しており、前記移行部のサポ
ートリング直下部におけるポリエステル層は均一結晶化
領域を形成しており、前記結晶化領域は前記肩部に向か
って外側から徐々に減少していることを特徴とする。
【0009】また、上記耐熱性二軸延伸ブロー成形ボト
ルを製造する本発明の第一の方法は、(a) ポリエステル
層と耐熱性樹脂層とからなる多層構造を有し下端にサポ
ートリングを有する口部と、前記口部に続く移行部と、
胴部と、底部とを有する有底円筒状のパリソンを形成
し、(b) 前記口部を冷却した口部型により把持しなが
ら、前記口部の内側に挿入したヒータにより前記口部及
び前記移行部を内側より加熱し、前記口部の内側及び前
記移行部におけるポリエステル層を結晶化し、(c)続い
て前記パリソンを二軸延伸ブロー成形することを特徴と
する。
【0010】上記耐熱性二軸延伸ブロー成形ボトルを製
造する本発明の第二の方法は、(a)ポリエステル層と耐
熱性樹脂層とからなる多層構造を有し下端にサポートリ
ングを有する口部と、前記口部に続く移行部と、胴部
と、底部とを有する有底円筒状のパリソンを形成し、
(b) 前記パリソンを二軸延伸ブロー成形し、(c) 得られ
た二軸延伸ブロー成形ボトルの口部を冷却した口部型に
より把持しながら、前記口部の内側に挿入したヒータに
より前記口部及び前記移行部を内側より加熱し、前記口
部の内側及び前記移行部におけるポリエステル層を結晶
化することを特徴とする。
【0011】
【実施例】以下、本発明を詳細に説明する。〔A〕ボトル口部の構造 本発明の耐熱性二軸延伸ブロー成形ボトルは、図1に例
示するように、下端にサポートリング11を有する口部1
と、口部1に続く移行部2と、肩部3と、胴部4と、底
部5とからなる。本明細書において、移行部とは口部1
のわずか下方に位置し、二軸延伸ブローによってほとん
ど延伸されない部位をいい、ボトルの状態では口部と肩
部との間に位置するものである。また、本明細書におけ
る「耐熱性」は、耐熱性及び耐熱・耐圧性のいずれの意
味をも含む。なお、ボトルの肩部3、胴部4及び底部5
については、図1に示した形状にとらわれず、従来のプ
ラスチック製ボトルにみられる種々の形状に適宜変更し
てよい。また、口部1のシール形態は、ネジ以外のもの
にも適宜形状を選択できることは言うまでもない。
【0012】口部1は、ねじ部12とサポートリング11と
からなる。このような形状の口部1は、耐熱性樹脂層13
とポリエステル層14とが交互に形成された多層構造を有
する。図2に示す例では耐熱性樹脂層13は3層(13a〜
13c)となっており、最外層の耐熱性樹脂層13aは、サ
ポートリング11の上面まで連続していてもよい。一方ポ
リエステル層14a、14bは各耐熱性樹脂層13a〜13cの
間に存在する。なお、耐熱性樹脂層13は3層に限らず、
任意の層数とすることができる。
【0013】耐熱性樹脂層13a〜13cの厚さには特に制
限はないが、開口端に近づくにつれて耐熱性樹脂層13の
占める割合が多くなり、開口端部ではほぼ全体が耐熱性
樹脂からなるようになっているのが好ましい。
【0014】図1及び図2に示すように、口部1の内側
におけるポリエステル層14は結晶化層14aとなってお
り、優れた耐熱性を有する。サポートリング11を含む口
部1の外側におけるポリエステル部分14bは結晶化して
おらず、非晶質(アモルファス)の状態にある。このよ
うに、サポートリング11中のポリエステル樹脂は結晶化
していないので、結晶化工程中の加熱の際に自重によっ
て変形することがなく、また耐衝撃性が良好である。口
部1の外側に位置するねじ山及びねじ谷も加熱による変
形がないため、寸法精度が良好である。
【0015】また、移行部2はサポートリング11の直下
に均一結晶化領域2aを、その下部に傾斜結晶化領域2bを
有する。均一結晶化領域2aは内側も外側も全体的に均一
に結晶化しているが、傾斜結晶化領域2bは肩部3に向か
って外側から徐々に減少している。
【0016】上記均一結晶化領域2a及び傾斜結晶化領域
2bを有する移行部2においては、高温の内容物を充填す
る場合でも、その内容物に接する移行部内側は結晶化さ
れているため耐熱性に優れ、変形等が生じない。また、
移行部2をパリソン段階で上記のように結晶化する場合
は、その後のブロー成形の際に、傾斜結晶化領域2bの外
側の結晶化していない部分を任意の形状に延伸・成形す
ることができる。このとき、移行部の肉厚と肩部の肉厚
とをなだらかに変化させれば、優れた物性や美麗な外観
を得ることができる。
【0017】従って、図2に示すような移行部2におい
ては、移行部全体を結晶化した場合と比較して形状に自
由性があるとともに、一旦結晶化した移行部を無理に成
形した際に生じる変形や、割れ、あるいは結晶化した移
行部とその下部の未結晶化部分との間に生じやすい肉厚
の段差等を防止することができる。
【0018】以上説明した本発明のボトルは、80〜95℃
の液体を充填するホットフィルや、70〜80℃のホットシ
ャワーを30分ほどボトル上方より施すパステライジング
に充分に耐え得る良好な耐熱性を有する。
【0019】〔B〕ボトルの製造方法 サポートリング11以外の口部1の結晶化は加熱処理によ
って行うが、加熱結晶化処理には以下の2通りの方法、
すなわち(1) パリソンの段階で加熱結晶化処理を施す方
法、及び(2) ブロー成形後に加熱結晶化処理を施す方法
がある。以下、各方法について説明する。
【0020】(1) パリソンの段階で加熱結晶化処理を施
す方法 まず、パリソンの製造について説明する。図3(a) に示
すように、口部型71と、インジェクションキャビティ型
72と、インジェクションコア型73とからなる射出成形型
7を用いて、パリソンを製造する。本発明におけるパリ
ソン6の口部1は、耐熱性樹脂層13とポリエステル樹脂
層14とからなる多層構造を有するため、例えば特開平1
−294025号に示されたポリエステル樹脂と耐熱性樹脂と
の共射出方法によって、上記多層構造を有するパリソン
を製造することができるが、他にも、口部側から耐熱性
樹脂を、底部側からポリエステル樹脂をそれぞれ射出す
る、いわゆる2ゲート共射出成形法等によっても製造す
ることができる。
【0021】成形したパリソン6がガラス転移温度より
低い温度まで冷却したら、インジェクションコア型73及
びインジェクションキャビティ型72を離型する。このと
き、図3(b) に示すように、口部型71はパリソン6の口
部1を把持したままとする。
【0022】次に、図4に示すように、口部型71で把持
したパリソン6を冷却型8内に入れるのが好ましい。そ
のとき、口部型71のみならず、パリソン6の胴部及び底
部も冷却するのが好ましい。冷却温度は、ポリエステル
樹脂の結晶化温度より低ければよいが、具体的には、10
〜50℃程度に冷却するのが好ましい。
【0023】上記のようにパリソン6を外側から冷却し
た状態で、図4に示すようにパリソン6の口部1からロ
ッドヒータ9を挿入し、口部1及び移行部2を内側より
加熱し、その部分におけるポリエステル層14を部分的
に、すなわち内側部分だけ結晶化する。このとき、パリ
ソンの表面温度が100 〜190 ℃となるように加熱するの
が好ましい。パリソンの表面温度が100 ℃未満ではポリ
エステル樹脂が結晶化せず、190 ℃を超えるとポリエス
テル樹脂の結晶化が遅くなるとともにパリソンが軟化・
変形しやすくなる。また、加熱時間はポリエステル樹脂
の部分的結晶化を起こすように設定するが、具体的には
0.5 〜3分が好ましい。
【0024】このような方法で口部1を加熱することに
より、口部1の外側及びサポートリング11中のポリエス
テル層14は非結晶のままで、それ以外の口部1の内側が
結晶化し、移行部2に均一結晶化領域2a及び傾斜結晶化
領域2bが形成される。
【0025】サポートリング11は、加熱軟化すると自重
で変形しやすくなるが、冷却した口部型71で把持される
ため、変形を防止することができる。この非結晶のまま
のサポートリング11は良好な耐衝撃性を保持するので、
衝撃を受けた際にも破損することがない。また、口部1
の外側に位置するねじ山及びねじ谷も、同様に冷却した
口部型71で把持されるため変形を防止することができ、
良好な寸法精度を保持することができる。
【0026】このようにして得られたパリソン6を通常
の方法により二軸延伸ブロー成形するが、その際、移行
部2から肩部3にかけて急峻な肉厚差が生じない。
【0027】なお、二軸延伸ブロー成形法として、二段
階ブロー成形法を用いてもよい。二段階ブロー成形法の
場合、第一段において、一旦目的とするボトルの最終形
状よりも幾分大きくブロー成形し、プレボトルを製造す
る。このプレボトルを結晶性プラスチックの結晶化温度
以上融点未満の温度で加熱収縮させ、再度二軸延伸ブロ
ー成形を行い、所望の形状のボトルとする。このような
二軸延伸ブロー成形方法によって、ボトル胴部等の白化
現象を防止するとともに、ボトル表面の不規則な歪みの
発生を防止することができる。また、内部応力の緩和や
密度の向上を図ることができるため、さらに優れた耐熱
性を有するボトルを得ることができる。
【0028】(2) ブロー成形後に加熱結晶化処理を施す
方法 この方法では、パリソンに加熱結晶化処理を施すことな
く、上記と同様の方法で二軸延伸ブロー成形を行ってボ
トルを成形し、その後で口部の加熱結晶化処理を行う。
【0029】二軸延伸ブロー成形後、ボトルを口部型で
把持したまま金型から取り出し、次の加熱結晶化処理を
行う。加熱結晶化処理では、口部型で把持したボトルを
冷却型内に入れ、(1) の方法と同様にボトルの口部から
ヒータを挿入して口部及び移行部を内側から加熱し、そ
の部分におけるポリエステル層を結晶化する。加熱結晶
化条件は(1) の方法と同様でよい。
【0030】〔C〕材質 本発明の耐熱性二軸延伸ブロー成形ボトルのポリエステ
ル層14は、飽和ジカルボン酸と飽和二価アルコールとか
らなるポリエステル樹脂により形成することができる。
飽和ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル
酸、フタル酸、ナフタレン-1,4- 又は2,6-ジカルボン
酸、ジフェニルエーテル-4,4′−ジカルボン酸、ジフェ
ニルジカルボン酸類、ジフェノキシエタンジエタンジカ
ルボン酸類等の芳香族ジカルボン酸類、アジピン酸、セ
バチン酸、アゼライン酸、デカン-1,10-ジカルボン酸等
の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等
の脂環族ジカルボン酸等を使用することができる。また
飽和二価アルコールとしては、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラ
メチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテト
ラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ド
デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の
脂肪族グリコール類、シクロヘキサンジメタノール等の
脂環族グリコール、2,2-ビス(4′−β−ヒドロキシエト
キシフェニル)プロパン、その他の芳香族ジオール類等
を使用することができる。このような飽和ジカルボン酸
と飽和二価アルコールとからなるポリエステル樹脂とし
ては、テレフタル酸とエチレングリコールとからなるポ
リエチレンテレフタレートを用いるのが好ましい。
【0031】上記ポリエステル樹脂は、固有粘度が 0.5
〜1.5 、好ましくは0.55〜0.85の範囲の値を有する。ま
たこのようなポリエステルは、溶融重合で製造され、 1
80〜250 ℃の温度下で減圧処理または不活性ガス雰囲気
で熱処理されたもの、または固相重合して低分子量重合
物であるオリゴマーやアセトアルデヒドの含有量を低減
させたものが好適である。
【0032】また、耐熱性樹脂としては、ポリカーボネ
ート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、ポ
リアセタール、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテル
ケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミ
ド、ポリフェニレンサルファイド及びこれらの樹脂とポ
リエチレンテレフタレートとのブレンドポリマー、及び
上記耐熱性樹脂間のブレンドポリマー、さらには上記耐
熱性樹脂の2種以上の樹脂とポリエチレンテレフタレー
トとのブレンドポリマー、Uポリマー(ユニチカ製、ポ
リアリレートとポリエチレンテレフタレートとのブレン
ドポリマー)等を使用することができる。これらのうち
では、特にポリカーボネート、ポリアリレート、及びU
ポリマー(ポリアリレートとポリエチレンテレフタレー
トとのブレンドポリマー)が好ましい。
【0033】なお本発明で使用するポリエステル樹脂及
び耐熱性樹脂中には、本発明の目的を損なわない範囲で
安定剤、顔料、酸化防止剤、熱劣化防止剤、紫外線劣化
防止剤、帯電防止剤、抗菌剤等の添加剤やその他の樹脂
を適量加えることができる。
【0034】以上、本発明を添付図面を参照して説明し
てきたが、本発明はこれに限定されず、本発明の思想を
逸脱しない限り、種々の変更を施すことができる。
【0035】本発明を以下の具体的実施例により、さら
に詳細に説明する。実施例1 耐熱性樹脂としてポリカーボネート(三菱化成(株)
製、NOVAREX 7022A )を使用し、ポリエチレンテレフタ
レート(ユニチカ(株)製、NEH-2050)と共射出成形に
より、図5に示す多層構造を有するパリソンを成形し
た。得られたパリソンの各部位の寸法A〜H(A:ネジ
山径、B:ネジ谷径、C:口部内径(最大)、D:口部
内径(最小)、E:巻締リング径、F:巻締リング下
径、G:サポートリング径、H:サポートリング高)を
測定した。
【0036】パリソンを口部型で把持したまま、20℃に
冷却している冷却型内に入れた。この状態で、パリソン
の口部からロッドヒータを挿入し、150 ℃で1分間パリ
ソンの口部及び移行部を内側より加熱し、その部分にお
けるポリエステル層を結晶化した。
【0037】加熱結晶化後、パリソンの各部位の寸法A
〜Hを測定し、加熱結晶化による収縮率を算出した。結
果を図6に示す。図6のグラフから明らかなように、本
発明の方法により加熱結晶化処理を施したパリソンの口
部には、加熱結晶化による変形がほとんどなかった。
【0038】実施例2 実施例1と同様の原料を用いて図5に示す多層構造を有
するパリソンを成形し、通常の方法で二軸延伸ブロー成
形を行った。得られたボトルについて、各部位の寸法A
〜Hを測定した。
【0039】ボトルを口部型で把持したまま、20℃に冷
却している冷却型内に入れた。この状態で、ボトルの口
部からロッドヒータを挿入し、150 ℃で1分間ボトルの
口部及び移行部を内側より加熱し、その部分におけるポ
リエステル層を結晶化した。
【0040】得られたボトルの各部位の寸法A〜Hを測
定し、加熱結晶化による収縮率を算出した結果、二軸延
伸ブロー成形ボトルの口部には加熱結晶化による変形が
ほとんどないことが分かった。
【0041】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明においては、
二軸延伸ブロー成形する前又は後で、口部及び移行部を
外側から冷却するとともに内側から加熱結晶化するの
で、ボトルの口部には加熱結晶化による変形が実質的に
ほとんどなく、寸法精度の良好なボトルが得られる。ま
た、サポートリングが結晶化されていないので、その部
分の耐衝撃性が良好であり、ボトルの取扱い中や充填時
に衝撃がかかっても破損することはない。
【0042】このような特性を有する本発明の耐熱性二
軸延伸ブロー成形ボトルは、ホットフィルやホットシャ
ワーによるパステライジング等を適用のに好適であると
ともに、取扱い性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐熱性二軸延伸ブロー成形ボトルの一
例を示す断面図である。
【図2】図1の口部の拡大図である。
【図3】本発明の耐熱性二軸延伸ブロー成形ボトルの製
造工程の一部を示す概略図である。
【図4】本発明の耐熱性二軸延伸ブロー成形ボトルの製
造工程の一部を示す概略図である。
【図5】実施例において得られたパリソンの口部を示す
断面図である。
【図6】実施例1において得られたパリソンの口部の各
部位における収縮率を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・・口部 11・・・サポートリング 12・・・ネジ部 13・・・耐熱性樹脂層 14・・・ポリエステル層 14a・・・結晶化ポリエステル層 14b・・・未結晶化ポリエステル層 2・・・移行部 2a・・・均一結晶化領域 2b・・・傾斜結晶化領域 3・・・肩部 4・・・胴部 5・・・底部 6・・・パリソン 7・・・射出成形型 71・・・口部型 72・・・インジェクションキャビティ型 73・・・インジェクションコア型 8・・・冷却型 9・・・ロッドヒータ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下端にサポートリングを有する口部と、
    前記口部に続く移行部と、肩部と、胴部と、底部とを有
    し、前記口部がポリエステル層と耐熱性樹脂層とからな
    る多層構造を有する耐熱性二軸延伸ブロー成形ボトルで
    あって、前記口部の内側におけるポリエステル層結晶
    化しており、前記移行部のサポートリング直下部におけ
    るポリエステル層は均一結晶化領域を形成しており、前
    記結晶化領域は前記肩部に向かって外側から徐々に減少
    していることを特徴とする耐熱性二軸延伸ブロー成形ボ
    トル。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の耐熱性二軸延伸ブロー
    成形ボトルの製造方法であって、(a) ポリエステル層と
    耐熱性樹脂層とからなる多層構造を有し下端にサポート
    リングを有する口部と、前記口部に続く移行部と、胴部
    と、底部とを有する有底円筒状のパリソンを形成し、
    (b) 前記口部を冷却した口部型により把持しながら、前
    記口部の内側に挿入したヒータにより前記口部及び前記
    移行部を内側より加熱し、前記口部の内側及び前記移行
    部におけるポリエステル層を結晶化し、(c) 続いて前記
    パリソンを二軸延伸ブロー成形することを特徴とする方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の耐熱性二軸延伸ブロー
    成形ボトルの製造方法であって、(a) ポリエステル層と
    耐熱性樹脂層とからなる多層構造を有し下端にサポート
    リングを有する口部と、前記口部に続く移行部と、胴部
    と、底部とを有する有底円筒状のパリソンを形成し、
    (b) 前記パリソンを二軸延伸ブロー成形し、(c) 得られ
    た二軸延伸ブロー成形ボトルの口部を冷却した口部型に
    より把持しながら、前記口部の内側に挿入したヒータに
    より前記口部及び前記移行部を内側より加熱し、前記口
    部の内側及び前記移行部におけるポリエステル層を結晶
    化することを特徴とする方法。
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