JP3339969B2 - 再生加熱アスファルト混合物の製造方法 - Google Patents
再生加熱アスファルト混合物の製造方法Info
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Description
再生加熱アスファルト混合物の品質向上に関する。更に
詳しくは、本発明はある特定の酸性有機リン酸化合物か
らなる再生加熱アスファルト混合物用添加剤、それを用
いた再生アスファルト混合物、及びその製造方法に関す
るものであり、更に詳しくは、瀝青質と骨材との付着性
を強固にし、その結果、瀝青質に極めて優れた剥離防止
剤効果を発現せしめることを可能にした再生加熱アスフ
ァルト混合物用添加剤、それを用いた再生アスファルト
混合物及びその製造方法に関するものである。
ァルトコンクリート舗装廃材の再利用については、資源
の有効活用、廃棄物の抑制及び環境問題への対応という
時代のニーズから全国的にその気運が高まりつつあり、
平成3年には「再生資源の利用の促進に関する法律」
(リサイクル法)が施行され、その効率的使用が急務と
なっている。
ァルト混合物中のアスファルトは、そのアスファルト中
のマルテン留分(n−ペンタン可溶の極性留分、芳香族
留分及び飽和留分からなるものをいう。)が酸化あるい
は重合されてアスファルテン(n−ペンタン不溶分を言
う。)に移行することにより、化学組成的に原アスファ
ルトと比較して相対的にマルテン留分が不足することに
なる。これが原因でアスファルト混合物の物性が悪くな
ったり応力緩和性能等が低下することになる。そのため
に、マルテン留分に近い物性を有する再生用添加剤又は
補充用新アスファルトをアスファルト混合物に対して添
加することによって、もとの原アスファルトの物性に近
づけて回復再生をしている。
一般的な傾向として再生混合物は新規混合物よりも疲労
破壊が起こりやすく、従って、早期にひび割れに至るケ
ースがあった。再生用添加剤を添加され、原アスファル
トの物性に近づけられたものであっても、依然、原アス
ファルトと比較してアスファルテンが多いことより、骨
材とアスファルトとの付着性が原アスファルトと比較し
ても低下するためであると考えられる。
を付与する手段としては、再生骨材混合物に微細繊維状
物を配合してなる再生加熱アスファルト混合物が特開平
5-112724号公報にて考案されているが、アスファルテン
成分が多いアスファルトと骨材との付着性向上に関して
は言及されたものではない。
ァルテンを含有する溶融アスファルトに五酸化リン、ポ
リリン酸、五硫化リンなどのリン酸化合物を攪拌添加す
ることにより、アスファルトの骨材への付着性向上が考
案されているが、再生加熱アスファルト混合物への添加
に関しては、添加の手段が実際上なく、また、これらの
リン酸化合物は無機物であって、必ずしも有機物中への
分散状態は良くなく、アスファルトの骨材への付着性能
は不十分である。
機リン酸化合物が剥離防止効果のあることが記載されて
いるが、再生加熱アスファルト混合物への添加と再生用
添加剤が添加された再生加熱アスファルト混合物への添
加に関しては言及されていない。
アスファルト混合物について、アスファルトと骨材との
剥離防止効果について鋭意努力した結果、ある特定の酸
性有機リン酸化合物が特に優れた剥離防止効果を発現せ
しめる能力があることを見出し、本発明を完成するに至
った。
される酸性有機リン酸化合物からなる再生加熱アスファ
ルト混合物用添加剤に関する。
不飽和の脂肪族炭化水素基又は炭素数8〜26のアルキル
フェニル基を表し、mは1又は2の整数、nは0〜10の
整数、kは1又は2の整数を表し、m+kは3であ
る。) また、本発明は、再生アスファルト 100重量部に上記の
添加剤を0.05〜5重量部添加したことを特徴とする再生
加熱アスファルト混合物に関する。
用添加剤及び/又は補充用新アスファルトに添加した
後、該混合物と、アスファルト舗装廃材を破砕もしくは
解砕してなる再生砕石と、新材砕石とを混練りすること
を特徴とする再生加熱アスファルト混合物の製造方法に
関する。
もよく、又は複数の化合物の混合物であってもよい。
及びその誘導体は、極性基の電気的正負に吸着配向し、
瀝青質と骨材間との濡れを改善している。ところが初期
の付着性には効果的であるが、長期的な付着には問題が
ある。例えば、長期にわたる水の存在下、温度の上昇及
び動的荷重など外部応力が加えられた場合、添加剤それ
自身が界面活性剤であるので瀝青質の乳化剤として作用
し、骨材から瀝青を剥がしてしまう欠点がある。
分子を配列させる組成を有し、更に下記の反応式に示す
ように脱水反応によりその界面に化学結合を形成して強
固に接着させ、且つ、酸性有機リン酸化合物自体及び無
機リン酸化合物と重合し強固な疎水性の被膜を骨材表面
に形成するため、骨材表面に水が侵入してきても瀝青質
と置換することがなく、衝撃を受けても骨材と瀝青質の
接着界面が破壊されることがない優れた剥離防止効果を
示すと考えられる。
合物は、分子中にP-OH基を有することが必須であり、下
記の一般式(イ)で表される。
不飽和の脂肪族炭化水素基又は炭素数8〜26のアルキル
フェニル基を表し、mは1又は2の整数、nは0〜10の
整数、kは1又は2の整数を表し、m+kは3であ
る。) 本発明で用いる酸性有機リン酸化合物は、一般に公知の
方法で工業的に容易に製造でき、例えば、無水リン酸
(P2O3) 、オキシ三塩化リン(POCl3)、三塩化リン(PC
l3) 又はポリリン酸などのリン酸化剤と式RO(C2H4O)nH
で表されるヒドロキシル化合物との反応で製造される。
ものは、炭素数8〜36の脂肪族炭化水素基又は炭素数8
〜26のアルキルフェニル基であり、これらは飽和であっ
ても不飽和であっても、また直鎖状であっても分岐状で
あってもよい。
ば、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシ
ル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサ
デシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エ
イコシル、ヘネイコシル、ドコシル、トリコシル、テト
ラコシル、トリアコンチル、ペンタトリアコンチル、ヘ
キサトリアコンチルなどがあり、アルキルフェニル基と
しては、例えばエチルフェニル、プロピルフェニル、ブ
チルフェニル、ペンチルフェニル、ヘキシルフェニル、
ヘプチルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニ
ル、デシルフェニル、ウンデシルフェニル、ドデシルフ
ェニル、トリデシルフェニル、テトラデシルフェニル、
ペンタデシルフェニル、ヘキサデシルフェニル、ヘプタ
デシルフェニル、オクタデシルフェニル、ノナデシルフ
ェニル、エイコシルフェニルなどがある。
合を介して他の原子団と結合し、酸性有機リン酸化合物
を構成するが、このオキシアルキレンのアルキレンとし
ては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、
ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デセ
ンがあり、この中でエチレンが工業的には最も安価であ
り、最も好ましい。
合物を得る場合に用いられる原料ヒドロキシル化合物の
代表的なものとしては、例えば以下のものが挙げられ
る。2−エチルヘキシルアルコール、デシルアルコー
ル、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パル
ミチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステア
リルアルコール、オレイルアルコール、アラキジルアル
コールなどの脂肪族アルコール、オクチルフェノール、
ノニルフェノールなどのアルキルフェノール、オキソ
法、チーグラー法及びガーペット法などによる合成アル
コール、又はこれらにアルキレンオキシド好ましくはエ
チレンオキシドを1ないし10モル付加したアルコール、
及びこれらの各比混合物などの殆どの高級アルコール類
が含まれる。
着界面を形成するためには、炭素数16〜18の直鎖又は分
岐鎖の飽和又は不飽和のリン酸脂肪族エステルが最も好
ましい。
接着界面を形成するためには、炭素数16〜18の直鎖又は
分岐鎖の飽和又は不飽和のリン酸モノ脂肪族エステル
(A)と炭素数16〜18の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽
和のリン酸ジ脂肪族エステル(B)とからなり、A/
(A+B)×100(モル%)が40〜95の組成比であるこ
とが重要であり、リン酸モノ脂肪族エステル比が40未満
でも、95を超えていてもこのような密な分子配列及び化
学結合を得ることが難しく、剥離防止性能が不充分であ
る。更に好ましくは、A/(A+B)×100(モル%)
が60〜90である。
リン酸化合物の分析法 (例えば、特公昭58-8746 号公報
記載の方法) によって得られる。即ち、生成物1gを常
法によってアルカリによって電位差滴定を行い、第1当
量点までに必要なアルカリ量(amg) 、第2当量点まで
に必要なアルカリ量 (bmg) を求め、更に生成物中に存
在するリン酸酸性OH基と化学当量以上の硝酸銀を加えた
後、同様にアルカリによる電位差滴定を行い、第3当量
点までに必要なアルカリ量 (cmg) を求め、次式により
各成分の含量を算出する。
ドロキシル化合物とリン酸化剤のモル比や水の添加等に
よって所定のエステル組成比を有する酸性有機リン酸化
合物が得られる。
重量部に対し0.05〜5.0 重量%、好ましくは 0.1〜3.0
重量%である。0.05重量%未満では効果が低下し、 5.0
重量%を超えると効果があるものの、経済的でない。
る。再生アスファルトとは、舗装廃材から回収された回
収アスファルトと、再生用添加剤及び/又は補充用新ア
スファルトとを、必要に応じて補足剤などを添加して混
合したものである。
舗装廃材の回収から再生加熱アスファルト混合物へのフ
ローを示す。さらに、図2には、再生加熱アスファルト
混合物の配合設計のフローを示す。
質に応じて、目標とする針入度(設計針入度)に適合す
るよう、補充用新アスファルト、再生用添加剤、補足材
などの配合率を決定する。設計針入度への調整には、再
生用添加剤又は新アスファルトによって行う。
アスファルトは、そのアスファルト中のマルテン留分が
アスファルテンに移行しているため、針入度が30未満の
ものが多く、再生用添加剤又は補充用新アスファルトに
より調整された再生アスファルトの設計針入度は50〜80
である。
ルト量とは、回収アスファルトと、補充用新アスファル
ト及び/又は再生用添加剤とを合わせた量である。
とは、プラント再生舗装技術指針(日本道路協会発行)
に示された再生用添加剤の品質に適合するものであり、
特に限定されるものではなく、劣化した旧アスファルト
の針入度等を新アスファルトと同等に回復させる。
ファルトと骨材との剥離防止効果に関しては、その機能
をもっていないものである。
指針に記述される再生材を指し、発生源、加工方法は特
に限定されない。
する補充用新アスファルトは、ストレートアスファル
ト、セミブローンアスファルト、改質アスファルトI
型、改質アスファルトII型などが用いられるが、一般的
にはストレートアスファルトが用いられる。
め 120〜200 ℃の範囲に加熱した再生用添加剤及び/又
は補充用新アスファルトに本発明の添加剤を添加し、十
分混合した後、再生砕石、新材砕石と混練りすることに
より製造することを特徴とする。本発明の再生加熱アス
ファルト混合物の製造に際して、予め加熱した再生用添
加剤及び/又は補充用新アスファルトに本発明の添加剤
を添加することにより、本発明の添加剤を再生アスファ
ルト中に均一に分散し、均質な再生加熱アスファルト混
合物が得られるものである。本発明の添加剤を予め再生
砕石又は新材砕石に混ぜると、局在化して均質なアスフ
ァルト混合物が得られない可能性があり、好ましくな
い。
発明における酸性有機リン酸化合物に各種の脂肪族アミ
ンを併用してもよい。これは分子中に窒素原子を有する
ことにより、初期の濡れを更に増強するという意味があ
る。アミン類には特に制限はないが、一般的なものとし
て牛脂プロピレンジアミンの如き、高級脂肪族ポリアミ
ン及びその誘導体、アルキルヒドロキシアミン、モノエ
タノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノール
アミンなどのアルキロールアミンなどがあるが、中性ま
たは酸性側で使用するのが好ましい。本発明の酸性有機
リン酸化合物と併用される各種の脂肪族アミンとしては
これらに限定されるものではない。
に、例えば炭酸カルシウム、消石灰、ポルトランドセメ
ント、活性炭などの無機充填剤及び有機充填剤、石油樹
脂、低分子ポリエチレンなどの石油系軟化剤、オレイン
酸などの植物油系軟化剤、各種の可塑剤及びイオウなど
と本発明の酸性有機リン酸化合物との併用系で使用する
ことも出来る。
はこれらの実施例に限定されるものではない。
シャル試験を実施し、試験の供試体を割裂した後の剥離
状況を目視にて観察し、アスファルト剥離率を面積%で
評価した。
方法KODAN202「アスファルト混合物に対するマーシャル
試験方法」に準じた。但し、供試体の水浸時間を48時間
から96時間まで長くし、より厳しい条件下で実施した。
試験はマーシャル安定度試験方法 (アスファルト舗装要
綱)に従った。本試験に用いたアスファルト混合物の種
類は密粒度アスファルト混合物(13mm)で、再生アスファ
ルトの設計針入度は50になるように調整した。試験用再
生アスファルト混合物供試体は、再生用添加剤及び/又
は補充用新アスファルトを 165〜180 ℃に加熱溶解し、
条件に応じて本発明の添加剤を加えて混合物を調製後、
165〜180 ℃に加熱した再生砕石、新材砕石と混練りす
ることにより作製した。混合物の作製条件は混合温度 1
65〜180 ℃、突固め温度 165〜180 ℃で行った。供試体
は10個 (直径10cm、厚さ約6.3cm の円筒形) を作製し、
このうち5個は標準マーシャル試験を行い、残り5個は
60℃恒温水槽に96時間浸漬し、浸漬終了後、供試体のマ
ーシャル安定度を求めた。次式より水浸マーシャル試験
による残留安定度を算出した。
材砕石(砂岩)(6号)の混合割合は、R−2:R−
3:6号=5:4:1で使用した。再生砕石の物性値を
表1に示す。
トの針入度が50になるように再生用添加剤を添加し、か
つ、再生アスファルトに対して 0.5重量%に相当するス
テアリルアルコールのリン酸エステル(A/(A+B)
×100 =60モル%)を再生用添加剤に添加した後、供試
体を作製した。水浸マーシャル試験の残留安定度は93.5
%で、アスファルト剥離率は0%であった。
外は全て実施例1と同様にした。水浸マーシャル試験の
残留安定度は35.1%で、アスファルト剥離率は45%であ
った。
結果を表2に示す。
物との品質の差を明確にするために以下に参考例1を示
す。新砕石と新アスファルト(針入度50)を用いて、密
粒度アスファルト混合物(13mm) 供試体を作製した。水
浸マーシャル試験の残留安定度は49.5%で、アスファル
ト剥離率は30%であった。再生加熱アスファルト混合物
は、新加熱アスファルト混合物に比べ品質が低下してい
ることがわかる。
物と新加熱アスファルト混合物について明確にするため
に以下に参考例2を示す。新砕石と、新アスファルト
(針入度50)と、ステアリルアルコールのリン酸エステ
ル(A/(A+B)×100 =60モル%)(新アスファル
トに対して 0.5重量%をあらかじめ新アスファルトに添
加し均一に混合)とより、密粒度アスファルト混合物(1
3mm)供試体を作製した。水浸マーシャル試験の残留安定
度は、 93.5 %で、アスファルト剥離率は0%であっ
た。
ァルト混合物用添加剤を用いた再生アスファルトは骨材
との接着性が向上し、剥離防止効果が著しく改善され、
耐久性が向上していることが明白である。また、参考例
より、本発明品を添加しない再生加熱アスファルト混合
物は、新加熱アスファルト混合物に比べ、品質が低下す
るにもかかわらず、本発明品を使用することにより、本
発明品を添加した新加熱アスファルト混合物と同等の品
質を有するものである。従って、この添加剤は、最近の
アスファルトコンクリート舗装廃材の再利用を促進させ
るものであり、資源の有効活用、廃棄物の抑制及び環境
問題への対応面からも大きなメリットが期待され、その
波及効果は大きい。
から再生加熱アスファルト混合物へのフロー図である。
図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 下記の一般式(イ)で表される酸性有機
リン酸化合物からなる再生加熱アスファルト混合物用添
加剤を、予め再生用添加剤及び/又は補充用新アスファ
ルトに添加した後、該混合物と、アスファルト舗装廃材
を破砕もしくは解砕してなる再生砕石と、新材砕石とを
混練りすることを特徴とする再生加熱アスファルト混合
物の製造方法。 【化1】 (式中、 Rは炭素数8〜36の飽和もしくは不飽和の脂肪
族炭化水素基又は炭素数8〜26のアルキルフェニル基を
表し、mは1又は2の整数、nは0〜10の整数、kは1
又は2の整数を表し、m+kは3である。) - 【請求項2】 前記一般式(イ)で表される酸性有機リ
ン酸化合物を、アスファルト舗装廃材を破砕もしくは解
砕してなる再生砕石と、新材砕石と、再生用添加剤及び
/又は補充用新アスファルトとの混合物100重量部に対
して、0.05〜5重量部添加する請求項1記載の再生加熱
アスファルト混合物の製造方法。 - 【請求項3】 酸性有機リン酸化合物が、炭素数16〜18
の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和のリン酸モノ脂肪族
エステル(A)と炭素数16〜18の直鎖又は分岐鎖の飽和
又は不飽和のリン酸ジ脂肪族エステル(B)とからな
り、A/(A+B)×100(モル%)が40〜95であるこ
とを特徴とする請求項1又は2記載の再生加熱アスファ
ルト混合物の製造方法。
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