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JP3320060B2 - 変視症用テストチャート - Google Patents

変視症用テストチャート

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JP3320060B2
JP3320060B2 JP2000237963A JP2000237963A JP3320060B2 JP 3320060 B2 JP3320060 B2 JP 3320060B2 JP 2000237963 A JP2000237963 A JP 2000237963A JP 2000237963 A JP2000237963 A JP 2000237963A JP 3320060 B2 JP3320060 B2 JP 3320060B2
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長太 松本
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株式会社イナミ
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、変視症の検出およ
び変視症の定量的評価が可能な変視症用テストチャート
に関する。
【0002】
【従来の技術】眼科疾患において、特に黄斑部に病変を
有する加齢黄斑変性症、中心性漿液性網脈絡膜症、黄斑
前膜、黄斑円孔などでは、網膜上の視細胞の配列の乱れ
により、物が歪んで見える「変視症」と呼ばれる眼症状
を自覚する症例が多い。この変視症は、視力、視野など
の他の自覚検査により検出可能な症状に比べて黄斑疾患
に特異的な症状を呈し、その早期診断および経過観察に
おいて極めて重要な所見である。
【0003】従来より、変視症の診断には、アムスラー
チャートと呼ばれる検査表が用いられてきた。しかしな
がら、このアムスラーチャートでは、変視症の存在は判
定できるが、その定量的な評価は全く不可能であった。
本発明者が知る限り、現在までに変視症の定量的評価を
可能にした検査表は存在していない。
【0004】
【発明が解決しようとしている課題】従って、本発明の
目的は、変視症の存在が判定できるとともに、変視症の
程度が極めて簡便かつ短時間に定量的に評価可能な変視
症用テストチャートを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】変視症によって生じる視
覚イメージの歪みを自覚するためには、ある所定の長さ
の連続した直線による網膜面への刺激が必要である。本
発明者は、変視症を有する患者の臨床研究において、こ
の直線を点間隔の最も狭い点線から、徐々に点間隔の広
い点線に変えることにより、次第に患者は変視症によっ
て生じる視覚イメージの歪みを自覚しなくなることを見
出した。本発明者は、さらにこの現象を利用することに
より、極めて簡便かつ短時間に変視症の程度を定量化で
きることを見出した。これらの知見が本発明の完成に繋
がった。
【0006】本発明は、所定の長さの複数本の点線から
なり、これらの点線は、点間隔が最も狭い点線と、点間
隔が最も広い点線と、これらの点線の点間隔の中間に属
する点間隔を有する複数本の点線とからなることを特徴
とする変視症用テストチャートを提供する。本発明によ
る変視症用テストチャートは、変視症の存在が判定でき
るとともに、変視症の程度が極めて簡便かつ短時間に定
量的に評価可能である。
【0007】
【発明の実施の形態】次に好ましい実施の形態を示す添
付図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。本発
明のテストチャートは、基本的形態として、所定の長さ
の複数本の点線からなり、これらの点線は、最も狭い一
定の点間隔を有する点線aと、最も広い一定の点間隔を
有する点線bと、これらの最も狭い一定の点間隔と最も
広い一定の点間隔との間の中間の間隔範囲内にそれぞれ
属する一定の点間隔を有する残りの複数本の点線c1
2,c3・・・・c17とからなることを特徴としてい
る。そして、上記形態に、単数もしくは複数(好ましく
は二本または三本)の実線を加えたテストチャートはよ
り便利である。
【0008】第一実施態様の1例としてのテストチャー
トを図1〜図10の各シートに分けて示す。本発明の一
つのテストチャートは図1〜図10の各シートを一緒に
したものである。図1に示す実線は、視角で20°の長
さ(30cmの距離でテストした時、約105.8m
m)、視角で0.1°の太さ(30cmの距離でテスト
した時、約0.5mm)になるよう設定されている。こ
の実線には、該実線上に中心点が設けられ、さらに患者
の焦点がこの中心点に誘導されるように矢印が設けられ
ている。変視症を有する患者が、この実線を見たとき
は、直線が歪んでいるように自覚する。図1下段に示す
点線aは、上記実線と同様な長さである。点線を形成し
ている各点は、個々に視角で0.1°の大きさ(30c
mの距離でテストした時、直径約0.5mm)の円形で
ある。これらの円点同士の間隔は長さ方向において一定
である。2個の隣接する円点間の間隔は、中心−中心間
隔で測定した時に視角で0.2°(30cmの距離でテ
ストした時、約1.1mm)であり、そして2個の隣接
する円点の端部−端部の最小間隔で測定した時に視角で
0.1°の間隔(30cmの距離でテストした時、約
0.5mm)である。
【0009】以上の例示の数値は、本発明の第一実施形
態の数値であることに留意すべきである。本発明の実施
に際して、それぞれ点線の長さは視角で5°〜20°
(30cmの距離でテストした時、約26.2mm〜1
05.8mm)の範囲で変化させ得る。また、それぞれ
の円点の直径は視角で0.05°〜0.5°(30cm
の距離でテストした時、約0.1mm〜1.3mm)の
範囲で変化させ得る。また、円点の中心−中心間隔は視
角で0.1°〜0.6°(30cmの距離でテストした
時、約0.5mm〜3.1mm)の範囲で変化させ得
る。また、隣接する2個の円点の端部−端部の最小間隔
は視角で0.05°〜0.15°(30cmの距離でテ
ストした時、約0.1mm〜0.8mm)の範囲で変化
させ得る。この点線aを、第一実施態様における最も狭
い点間隔を有する点線とする。各点線を構成する個々の
点は、円点であることは本質的ではなく、その他の形
状、例えば、四角形、三角形でもよい。
【0010】図10の下段に示す点線bは、本発明の第
一実施態様による変視症用テストチャートにおける最も
広い点間隔を有する点線である。この点線bは、図1に
示す点線aと同様の長さおよびドット形状を有している
が、点線bにおける隣接する2個の円点の中心−中心間
隔は視角で2.0°(30cmの距離でテストした時、
約10.5mm)である。また、隣接する2個の円点の
端部−端部の最小間隔は視角で1.9°(30cmの距
離でテストした時、約10mm)である。以上の例示の
数値は、本発明の第一実施態様の数値であることに留意
すべきであり、本発明の実施に際して、円点の中心−中
心間隔は、視角で2.0°〜5.0°(30cmの距離
でテストした時、約10.5mm〜26.2mm)の範
囲で変化させ得る。また、隣接する2個の円点の端部−
端部最小間隔は視角で1.95°〜4.95°(30c
mの距離でテストした時、約10.2mm〜26.0m
m)の範囲で変化させ得る。
【0011】図2〜図10図の上段に示した点線c1
17は、一定の点間隔を有しており、それらの点間隔が
同じ増加量で順次大きくなっている。すなわち、前記点
線aの点間隔と前記点線bの点間隔との間で、視角で
0.1°づつ順次大きくなっている。図2に示す点線c
1およびc2は、それぞれ視角で0.3°および0.4
°、図3に示す点線c3およびc4は、それぞれ視角で
0.5°および0.6°、図4に示す点線c5およびc6
は、それぞれ視角で0.7°および0.8°、図5に示
す点線c7およびc8は、それぞれ視角で0.9°および
1.0、図6に示す点線c9およびc10は、それぞれ視
角で1.1°および1.2°、図7に示す点線c11およ
びc12は、それぞれ視角で1.3°および1.4°、図
8に示す点線c 13およびc14は、それぞれ視角で1.5
°および1.6°、図9に示す点線c15およびc16は、
それぞれ視角で1.7°および1.8°、図10に示す
点線c17およびbは、それぞれ視角で1.9°および
2.0°の一定の間隔を有している。
【0012】以上の第一実施態様では、点線a、bおよ
びc1〜c17はトータルで19本である。しかしなが
ら、19本であることは好ましい1例であって、これら
の点線のトータル本数は19本より少なくても、19本
よりも多くてもよい。これらの点線のトータルの本数に
従って変視症の定量の正確性が向上するが、点線の本数
を過剰に多くしても、多くした意味がない。従ってこれ
らの点線の好ましいトータル本数は10〜25本であ
る。また、図1に示した実線は本発明の本質的な構成で
はないが、点線群に実線を付加することは、検査を受け
ている者に点線aを見せる前に、実線を見せることによ
り、変視症を確認する意味で好ましい。
【0013】変視症の患者に、以上の如き複数本の点線
からなるテストチャートを、点間隔が狭い方から広い方
に順に観察させると、点間隔がある範囲の点線までは、
点線が歪んで自覚されるが、それを越えると点線が歪ま
ず直線として自覚されるようになる。このように歪んで
自覚される点線の視覚で示された点間隔と、直線に自覚
される点線の視角で示された点間隔によって、変視症の
程度を定量することができる。すなわち、点間隔が比較
的狭い点線のところでさえ、点線が直線に視覚される患
者の変視症の程度は軽く、一方、点間隔が比較的広い点
線のところになるまで、点線が直線に視覚されない患者
の変視症の程度は重いと定量される。従って各患者の変
視症の程度は、その患者に初めて直線として視覚される
点線に付された視角によって表わされる。さらに、多く
の場合、変視の程度は水平方向と垂直方向で異なる。従
ってテストチャートは最初に水平に、次いで垂直に、ま
たは、その逆に患者に見せ、それによって患者のそれぞ
れの変視の程度を別々に定量評価することができる。
【0014】図11〜図20は、本発明の第二の実施形
態の1例としてのテストチャートをを示している。この
第二実施態様は、同一の実線2本を1セットとしたもの
と、同一の点線2本を1セットにした他の各セットから
なっている。これらの点において、図1〜図10に示し
た第一の実施態様とは異なっている。このように点線を
2本1セットとすることにより、黄斑円孔などの中心暗
点を有する症例に適切に対応することができる。さらに
実線や各点線3本以上を1セットとしてもよく、本数が
多い程変視症の程度の定量できる範囲が広くなるが、余
り多くても検査時間が長くなるため、一般的には1セッ
ト当たり2〜3本が好ましい範囲である。尚、1セット
当たり複数本設ける場合の各点線間の間隔に特別の制限
はないが、対応する円点の中心−中心間隔で視覚1.0
°〜2.0° の範囲が好ましい。
【0015】以上の図1〜図20に示した本発明の第一
および第二実施態様による近大式変視症用テストチャー
トは、A4版の厚紙の中央に印刷した例であるが、これ
らのチャートは、紙以外のプラスチックシートやその他
のシートに印刷されたものでもよく、さらに上記の如き
本発明の変視症用テストチャートをコンピュータープロ
グラミングし、コンピューターを用いてCRTやLCD
のような光学的ディスプレイの画面に光学的に表示でき
るようにしたものも本発明の範囲に包含される。また、
図1〜図10中の符号a、bおよびc1〜c17は単に第
一実施態様の説明の便宜上加えたもので、実際の変視症
用テストチャートにおいてはこれらの符号は省略されて
いる。上記で述べた例では、一枚のシートに線を2本ま
たは2セット描いてあるが、この線の数は、一枚のシー
トに1本線もしくは1セットまたは3本線もしくは3セ
ット以上を描いてもかまわない。
【0016】
【発明の効果】以上の如き本発明によれば、変視症の存
在が判定できるとともに、変視症の程度が極めて簡便か
つ短時間に定量的に評価可能な変視症用テストチャート
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第一実施態様のテストチャートにおける1番
目のシートを示す図。
【図2】 第一実施態様のテストチャートにおける2番
目のシートを示す図。
【図3】 第一実施態様のテストチャートにおける3番
目のシートを示す図。
【図4】 第一実施態様のテストチャートにおける4番
目のシートを示す図。
【図5】 第一実施態様のテストチャートにおける5番
目のシートを示す図。
【図6】 第一実施態様のテストチャートにおける6番
目のシートを示す図。
【図7】 第一実施態様のテストチャートにおける7番
目のシートを示す図。
【図8】 第一実施態様のテストチャートにおける8番
目のシートを示す図。
【図9】 第一実施態様のテストチャートにおける9番
目のシートを示す図。
【図10】 第一実施態様のテストチャートにおける1
0番目のシートを示す図。
【図11】 第二実施態様のテストチャートにおける1
番目のシートを示す図。
【図12】 第二実施態様のテストチャートにおける2
番目のシートを示す図。
【図13】 第二実施態様のテストチャートにおける3
番目のシートを示す図。
【図14】 第二実施態様のテストチャートにおける4
番目のシートを示す図。
【図15】 第二実施態様のテストチャートにおける5
番目のシートを示す図。
【図16】 第二実施態様のテストチャートにおける6
番目のシートを示す図。
【図17】 第二実施態様のテストチャートにおける7
番目のシートを示す図。
【図18】 第二実施態様のテストチャートにおける8
番目のシートを示す図。
【図19】 第一実施態様のテストチャートにおける9
番目のシートを示す図。
【図20】 第二実施態様のテストチャートにおける1
0番目のシートを示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−22911(JP,A) 実公 昭58−2323(JP,Y2) 特表 昭63−502323(JP,A) 特表 平11−503152(JP,A) 松本 長太,新しい変視表M−CHA RTSによる変視症の定量化の試み,臨 床眼科,日本,2000年,第54巻,373頁 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 3/00 - 3/18 JICSTファイル(JOIS)

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の長さの複数本の点線からなり、こ
    れらの点線は、(a)均一点間隔が最も狭い点線と、
    (b)均一点間隔が最も広い点線と、(c)これらの最
    も狭い均一点間隔および最も広い均一点間隔の間の中間
    間隔範囲に入る均一点間隔の複数本の残余の点線とから
    なることを特徴とする変視症用テストチャート。
  2. 【請求項2】 前記複数の点線は、視角で20°の同一
    の長さを有し、前記最も狭い点間隔が視角で0.2°で
    あり、前記の最も広い点間隔が視角で2°であり、前記
    中間間隔範囲の点間隔が順次同一の増加量で変化してい
    る請求項1に記載の変視症用テストチャート。
  3. 【請求項3】 点間隔の異なる複数本の点線が、それぞ
    れ複数本セットで設けられている請求項1に記載の変視
    症用テストチャート。
  4. 【請求項4】 点間隔の異なる複数本の点線が、2本ず
    つセットで設けられている請求項1に記載の変視症用テ
    ストチャート。
  5. 【請求項5】 点間隔の異なる複数本の点線が、3本ず
    つセットで設けられている請求項1に記載の変視症用テ
    ストチャート。
  6. 【請求項6】 シート上に印刷されている請求項1〜5
    のいずれか1項に記載の変視症用テストチャート。
  7. 【請求項7】 光学ディスプレイ上に表示される請求項
    1〜5のいずれか1項に記載の変視症用テストチャー
    ト。
  8. 【請求項8】 さらに前記の最も狭い均一点間隔を有す
    る前記点線(a)の前に配列された実線を有する請求項
    1または2に記載の変視症用テストチャート。
  9. 【請求項9】 それぞれの線に、該線に配置された中心
    点が設けられ、かつ該中心点の付近に配置された矢印を
    有し、該矢印によって患者の焦点が前記中心点に定まる
    ようにされている請求項1または2に記載の変視症用テ
    ストチャート。
  10. 【請求項10】 前記最も狭い均一点間隔、前記中間間
    隔の前記均一点間隔および前記最も広い均一点間隔が、
    0.1°の同一増加量で順次変化している請求項1〜9
    の何れか1項に記載の変視症用テストチャート。
  11. 【請求項11】 前記複数の点線(a、b、c)の総数
    が10〜25の範囲である請求項1、2、8および9の
    何れか1項に記載の変視症用テストチャート。
  12. 【請求項12】 前記複数の点線(a、b、c)の総数
    が19である請求項11に記載の変視症用テストチャー
    ト。
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