JP3305778B2 - 親水化ポリスルホン系樹脂中空糸膜およびその製造方法 - Google Patents
親水化ポリスルホン系樹脂中空糸膜およびその製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、親水化ポリスルホン系
樹脂中空糸膜に関する。
樹脂中空糸膜に関する。
【０００２】
【従来の技術】ポリスルホン系樹脂製の中空糸膜は、耐
熱性、耐薬品性が優れているために、様々な用途に使用
されている。しかし、ポリスルホン系樹脂膜は疎水性で
あるために、膜が汚れやすく透水低下が起こりやすい。
ポリスルホン系樹脂膜の親水化方法としては、特開昭５
３−１３６７９号公報、特開昭５９−１９６３２２号公
報ではスルホン酸基を、特開昭５７−１７４１０４号公
報ではポリマー主鎖にポリエチレンイミンポリマー類
を、それぞれ導入もしくはグラフトして親水化してい
る。これらの親水化ポリスルホン膜は、水に溶けたり、
製造方法が複雑のため高価で実用的でない等の問題点が
あった。
熱性、耐薬品性が優れているために、様々な用途に使用
されている。しかし、ポリスルホン系樹脂膜は疎水性で
あるために、膜が汚れやすく透水低下が起こりやすい。
ポリスルホン系樹脂膜の親水化方法としては、特開昭５
３−１３６７９号公報、特開昭５９−１９６３２２号公
報ではスルホン酸基を、特開昭５７−１７４１０４号公
報ではポリマー主鎖にポリエチレンイミンポリマー類
を、それぞれ導入もしくはグラフトして親水化してい
る。これらの親水化ポリスルホン膜は、水に溶けたり、
製造方法が複雑のため高価で実用的でない等の問題点が
あった。
【０００３】また、特開昭６２ー１２５８０２号公報は
親水性ポリマーであるビニル系重合体のポリビニルピロ
リドンをポリスルホン系樹脂にブレンドしている。しか
し、ポリビニルピロリドンは水に溶けやすく、使用して
いると効果がなくなってしまうという問題点があった。
親水性ポリマーであるビニル系重合体のポリビニルピロ
リドンをポリスルホン系樹脂にブレンドしている。しか
し、ポリビニルピロリドンは水に溶けやすく、使用して
いると効果がなくなってしまうという問題点があった。
【０００４】
【発明が解決しょうとする課題】本発明の目的は、ポリ
スルホン系樹脂中空糸膜を安価で恒久的に親水化する製
造方法および親水化ポリスルホン中空糸膜を提供するに
ある。
スルホン系樹脂中空糸膜を安価で恒久的に親水化する製
造方法および親水化ポリスルホン中空糸膜を提供するに
ある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、本発明者は鋭意検討した結果、ポリスルホン系樹
脂中空糸膜の細孔表面の少なくとも一部にエチレン−ビ
ニルアルコール共重合体を一定量保持させてやればよい
ことを見いだし、本発明を完成させた。すなわち、本発
明は、ポリスルホン系樹脂中空糸膜の細孔表面にエチレ
ン−ビニルアルコール共重合体が０．１〜５重量％保持
されている親水化ポリスルホン系樹脂中空糸膜にあり、
さらに、ポリスルホン系樹脂中空糸膜を、エチレン−ビ
ニルアルコール共重合体が０．１〜２重量％溶解した、
メタノール、エタノール、イソプロパノールから選ばれ
るアルコールと水との混合溶液に浸漬した後、水で凝固
せずに乾燥することを特徴とする親水化ポリスルホン系
樹脂中空糸膜の製造方法である。
めに、本発明者は鋭意検討した結果、ポリスルホン系樹
脂中空糸膜の細孔表面の少なくとも一部にエチレン−ビ
ニルアルコール共重合体を一定量保持させてやればよい
ことを見いだし、本発明を完成させた。すなわち、本発
明は、ポリスルホン系樹脂中空糸膜の細孔表面にエチレ
ン−ビニルアルコール共重合体が０．１〜５重量％保持
されている親水化ポリスルホン系樹脂中空糸膜にあり、
さらに、ポリスルホン系樹脂中空糸膜を、エチレン−ビ
ニルアルコール共重合体が０．１〜２重量％溶解した、
メタノール、エタノール、イソプロパノールから選ばれ
るアルコールと水との混合溶液に浸漬した後、水で凝固
せずに乾燥することを特徴とする親水化ポリスルホン系
樹脂中空糸膜の製造方法である。
【０００６】以下、本発明を説明する。ポリスルホン系
樹脂としては、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホ
ン樹脂及びこれらの樹脂と他の樹脂との混合物が使用出
来る。また、エチレン−ビニルアルコール共重合体とし
ては、ランダム、ブロック、グラフト等いずれのタイプ
の共重合体であっても良いが、該重合体のエチレン含量
は２０〜５０モル％の範囲が好ましい。エチレン含量が
２０モル％未満では、ポリスルホン樹脂への接着性が悪
く、５０モル％を超えると親水性が失われて好ましくな
い。エチレンビニル−アルコール共重合体の保持量とし
ては、膜重量に対して、０．１〜５重量％が好ましい。
０．１重量％未満では、親水性の効果が少なく、５重量
％を超えると膜の透水量が低下する。
樹脂としては、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホ
ン樹脂及びこれらの樹脂と他の樹脂との混合物が使用出
来る。また、エチレン−ビニルアルコール共重合体とし
ては、ランダム、ブロック、グラフト等いずれのタイプ
の共重合体であっても良いが、該重合体のエチレン含量
は２０〜５０モル％の範囲が好ましい。エチレン含量が
２０モル％未満では、ポリスルホン樹脂への接着性が悪
く、５０モル％を超えると親水性が失われて好ましくな
い。エチレンビニル−アルコール共重合体の保持量とし
ては、膜重量に対して、０．１〜５重量％が好ましい。
０．１重量％未満では、親水性の効果が少なく、５重量
％を超えると膜の透水量が低下する。
【０００７】本発明のエチレン−ビニルアルコール共重
合体をポリスルホン系樹脂の細孔に保持させる方法とし
ては、エチレン−ビニルアルコール共重合体をメタノー
ル、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類と
水との混合溶液に溶解させておいて、該溶液中にポリス
ルホン系樹脂中空糸膜を浸漬してから、乾燥すればよ
い。
合体をポリスルホン系樹脂の細孔に保持させる方法とし
ては、エチレン−ビニルアルコール共重合体をメタノー
ル、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類と
水との混合溶液に溶解させておいて、該溶液中にポリス
ルホン系樹脂中空糸膜を浸漬してから、乾燥すればよ
い。
【０００８】
【実施例】以下、実施例に従い、本発明を説明する。
【０００９】
【実施例１〜４、比較例１】日本合成化学（株）製のエ
チレン−ビニルアルコール共重合体樹脂ソアノールＤ２
９０８（エチレン含量２９モル％）をイソプロピルアル
コールと水の５０重量％ずつの混合溶液に溶かし、表１
に示す各種の濃度のエチレン−ビニルアルコール溶液を
作成し、これらの溶液に、内径０．７５ｍｍ、外径１．
２２ｍｍ、空孔率７５％、平均孔径０．２５μｍ、透水
量９０００リットル／ｍ2 ・ｈｒ・ｋｇ／ｃｍ2 ａｔ２
５℃のポリスルホン樹脂中空糸膜を６０℃で１０分間浸
漬し、乾燥して、表１に示すような各種の付着重量
（％）で、エチレン−ビニルアルコール共重合体を被覆
した膜（実施例１〜実施例４）を製作し、透水量と協和
界面科学（株）のＣＡ−Ａ型接触角計で傾斜法による後
退角による接触角を測定し、表１に示した。
チレン−ビニルアルコール共重合体樹脂ソアノールＤ２
９０８（エチレン含量２９モル％）をイソプロピルアル
コールと水の５０重量％ずつの混合溶液に溶かし、表１
に示す各種の濃度のエチレン−ビニルアルコール溶液を
作成し、これらの溶液に、内径０．７５ｍｍ、外径１．
２２ｍｍ、空孔率７５％、平均孔径０．２５μｍ、透水
量９０００リットル／ｍ2 ・ｈｒ・ｋｇ／ｃｍ2 ａｔ２
５℃のポリスルホン樹脂中空糸膜を６０℃で１０分間浸
漬し、乾燥して、表１に示すような各種の付着重量
（％）で、エチレン−ビニルアルコール共重合体を被覆
した膜（実施例１〜実施例４）を製作し、透水量と協和
界面科学（株）のＣＡ−Ａ型接触角計で傾斜法による後
退角による接触角を測定し、表１に示した。
【００１０】また、この実施例で使用した基材膜で、エ
チレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の被覆処理を施
していない膜の値を比較例１として示した。このよう
に、エチレン−ビニルアルコール共重合体が少量保持さ
れると膜の接触角は著しく小さくなることが判る。
チレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の被覆処理を施
していない膜の値を比較例１として示した。このよう
に、エチレン−ビニルアルコール共重合体が少量保持さ
れると膜の接触角は著しく小さくなることが判る。
【００１１】
【実施例５、比較例２】上記の実施例３の膜と比較例１
で使用した基材膜でモジュールを製作して、導電率０．
１μｓ／ｃｍ、０．２μｍ以上の微粒子数が約１００個
／ミリリットルの純水を１ｋｇ／ｃｍ2 の圧力で、回収
率９５％で１ケ月間濾過したところ、上記の実施例３の
膜は透水保持率が９２％であったのに対して、比較例１
の基材膜では６１％に低下していた。
で使用した基材膜でモジュールを製作して、導電率０．
１μｓ／ｃｍ、０．２μｍ以上の微粒子数が約１００個
／ミリリットルの純水を１ｋｇ／ｃｍ2 の圧力で、回収
率９５％で１ケ月間濾過したところ、上記の実施例３の
膜は透水保持率が９２％であったのに対して、比較例１
の基材膜では６１％に低下していた。
【００１２】
【実施例６】上記の実施例３の膜を、４０℃の純水に３
月間浸漬した後、恒量になるまで、６０℃で乾燥して重
量を測定した結果、重量減少は０．１９重量％であり、
後退角による接触角は変わらなかった。
月間浸漬した後、恒量になるまで、６０℃で乾燥して重
量を測定した結果、重量減少は０．１９重量％であり、
後退角による接触角は変わらなかった。
【００１３】
【表１】
【００１４】
【発明の効果】本発明の親水化ポリスルホン系樹脂中空
糸膜は、優れた親水性を有しており、しかも、長期間使
用しても親水性が損なわれず、透水量も低下しない。
糸膜は、優れた親水性を有しており、しかも、長期間使
用しても親水性が損なわれず、透水量も低下しない。
Claims (3)
- 【請求項１】 ポリスルホン系樹脂中空糸膜の細孔表面
にエチレン−ビニルアルコール共重合体が０．１〜５重
量％保持されていることを特徴とする親水化ポリスルホ
ン系樹脂中空糸膜。 - 【請求項２】後退角による接触角が２８度以内であるこ
とを特徴とする請求項１記載の親水化ポリスルホン系樹
脂中空糸膜。 - 【請求項３】 ポリスルホン系樹脂中空糸膜を、エチレ
ン−ビニルアルコール共重合体が０．１〜２重量％溶解
した、メタノール、エタノール、イソプロパノールから
選ばれるアルコールと水との混合溶液に浸漬した後、水
で凝固せずに乾燥することを特徴とする親水化ポリスル
ホン系樹脂中空糸膜の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP32419092A JP3305778B2 (ja) | 1992-12-03 | 1992-12-03 | 親水化ポリスルホン系樹脂中空糸膜およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP32419092A JP3305778B2 (ja) | 1992-12-03 | 1992-12-03 | 親水化ポリスルホン系樹脂中空糸膜およびその製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH06170193A JPH06170193A (ja) | 1994-06-21 |
| JP3305778B2 true JP3305778B2 (ja) | 2002-07-24 |
Family
ID=18163081
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP32419092A Expired - Fee Related JP3305778B2 (ja) | 1992-12-03 | 1992-12-03 | 親水化ポリスルホン系樹脂中空糸膜およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3305778B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US20130280767A1 (en) * | 2010-12-27 | 2013-10-24 | Toray Industries, Inc. | Hollow fiber membrane module and method for producing chemical substance |
| CN105597562B (zh) * | 2015-12-22 | 2018-04-20 | 贵州省材料产业技术研究院 | 应用超声原位聚合对聚合物分离膜进行改性的方法 |
-
1992
- 1992-12-03 JP JP32419092A patent/JP3305778B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH06170193A (ja) | 1994-06-21 |
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