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JP3393206B2 - 車両スライド扉の動力スライド装置 - Google Patents

車両スライド扉の動力スライド装置

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JP3393206B2
JP3393206B2 JP31540798A JP31540798A JP3393206B2 JP 3393206 B2 JP3393206 B2 JP 3393206B2 JP 31540798 A JP31540798 A JP 31540798A JP 31540798 A JP31540798 A JP 31540798A JP 3393206 B2 JP3393206 B2 JP 3393206B2
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JP
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slide
door
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clutch mechanism
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JP31540798A
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和人 横森
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Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
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Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
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Publication date
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  • Power-Operated Mechanisms For Wings (AREA)
  • Mechanical Operated Clutches (AREA)
  • One-Way And Automatic Clutches, And Combinations Of Different Clutches (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両スライド扉の動力
スライド装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来公知の特開平9−273358号公報
には、車体に対してスライド移動することにより開閉す
るスライド扉にワイヤーケーブルを介して連結されたワ
イヤードラムと、前記ワイヤードラムを回転させるため
のモータと、前記ワイヤードラムと前記モータとの間に
設けられたクラッチ機構とからなり、前記クラッチ機構
は、前記モータの閉扉回転を前記ワイヤードラムに伝達
する第1連結状態と、前記モータの開扉回転を前記ワイ
ヤードラムに伝達する第2連結状態と、前記ワイヤード
ラムの閉扉回転および開扉回転を前記モータに伝達しな
い非連結状態とに、前記モータの動力を利用して切り替
わる構成とした車両スライド扉の動力スライド装置につ
いて記載されている。また、本願出願人は、上記公知装
置を改良してワイヤードラムが設定速度以上で回転する
とクラッチ機構がブレーキ状態に切り替わる車両スライ
ド扉の動力スライド装置を特願平10−186883号
として提案している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記先願の装置は、ク
ラッチ機構がブレーキ状態に切り替わるとき、クラッチ
機構の部品同士が衝突して好ましくない音を発生させる
ことが認められた。
【0004】
【課題を解決するための手段】よって本発明は、車体1
に対してスライド移動することにより開閉するスライド
扉2にワイヤーケーブル9を介して連結されたワイヤー
ドラム8と、前記ワイヤードラム8を回転させるための
モータ7と、前記ワイヤードラム8と前記モータ7との
間に設けられたクラッチ機構15とからなるものにおい
て、前記クラッチ機構15は、前記モータ7の動力で回
転するガイドプレート18と、前記ガイドプレート18
に形成されたガイドスロット32、33と、前記ガイド
スロット32、33にスライド自在に係合するスライド
ピン30、31を備え前記ガイドプレート18が回転す
ると前記ガイドスロット32、33により案内されて前
記ワイヤードラム8に対して係合離脱する揺動アーム2
6、27とを有し、前記ガイドスロット32、33の周
壁の一部には、前記スライドピン30、31が当接する
弾性クッション74、75を取付け、前記弾性クッショ
ン74、75は、前記ワイヤードラム8が前記モータ7
により設定された速度を越えて回転すると前記スライド
ピン30、31と当接する位置に配置した車両スライド
扉の動力スライド装置としたものである。
【0005】
【実施例】本発明の一実施例を図面により説明すると、
図1において、1は自動車の車体、2は車体1にスライ
ド自在に取付けられたスライド扉であり、スライド扉2
は車体1のガイドレール65に案内されて車体1の側面
と略平行にスライドすることにより開閉が行われる。前
記スライド扉2には、スライド扉2を閉扉位置(開扉位
置ではない)に保持するためのラッチアッシー4が取付
けられる。ラッチアッシー4は、図2のように、前記車
体1に固定されたストライカ3と係合するラッチ50
と、ラッチ50と係合するラチェット51とを備えてい
る。ラッチ50はバネ52の弾力で時計回転方向に付勢
され、ラチェット51はバネ53の弾力で反時計回転方
向に付勢される。スライド扉2が閉扉方向に移動する
と、ラッチ50はストライカ3に当接して、実線で示さ
れた開扉位置(アンラッチ位置)からラチェット51が
ラッチ50のハーフラッチ段部54に係合するハーフラ
ッチ位置を介してラチェット51がラッチ50のフルラ
ッチ段部55に係合するフルラッチ位置(点線で示され
た位置)まで回転し、ラッチ50がフルラッチ位置にな
るとスライド扉2は完全に閉扉される。ラッチ50には
ラッチ50の位置を検出するスイッチ56を接続する。
63は前記ラチェット51を前記ラッチ50から離脱さ
せるオープンハンドル、64はオープンハンドル63の
作動を検出するスイッチ、57は動力で前記ラチェット
51を前記ラッチ50から離脱させる動力オープン装置
である。
【0006】58は前記スライド扉2の内部に取付けら
れた動力クローズ装置であり、動力クローズ装置58の
動力は、ワイヤーケーブル59を介して前記ラッチアッ
シー4のラッチ50に伝達される。動力クローズ装置5
8は、スライド扉2の閉扉方向への移動によりラッチ5
0がハーフラッチ位置になると、前記スイッチ56から
の信号により作動してワイヤーケーブル59を牽引し、
ラッチ50をハーフラッチ位置からフルラッチ位置に回
転させる。動力クローズ装置58の構成およびワイヤー
ケーブル59をラッチ50に関連的に連結する構成は、
本願の直接の要旨とは無関係であるため詳細は省略する
が、一例としては、特開平7−180417号公報や、
特開平7−34743号公報に記載された構成がある。
【0007】図1において、5は前記車体1のクォータ
パネル(アウターパネル)6の内側に設けられた動力ス
ライド装置であり、モータ動力により前記スライド扉2
を閉扉方向および開扉方向にスライドさせる。動力スラ
イド装置5は、リバーシブルモータ7と、モータ7の動
力で回転するワイヤードラム8とを備える。ワイヤード
ラム8とスライド扉2とはワイヤーケーブル9により連
結され、モータ動力でワイヤードラム8がいずれかの方
向に回転すると、ワイヤーケーブル9がいずれかの方向
に牽引され、スライド扉2は閉扉方向又は開扉方向にス
ライドする。
【0008】60はスライド扉2を全開位置に保持する
全開ストッパーであり、種々の構成のものが公知である
が、本願では、屈曲させた板バネ若しくは弾性ゴムまた
はバネ弾力を備えたローラ等の弾性を有するものを用い
る。これらのものは、いずれもその弾性力を用いてスラ
イド扉2を全開位置に保持するもので、安価で簡単な構
造を有するものである。全開ストッパー60は、車体1
若しくはスライド扉2のいずれにも取付けることが可能
である。図1では、車体1のガイドレール65内に配設
された板バネからなる全開ストッパー60が示されてい
る。ストッパー60は、スライド扉2が所定位置まで開
扉方向にスライドすると、スライド扉2の所望部分に当
接する。更にスライド扉2が開扉方向にスライドする
と、スライド扉2はストッパー60を弾力的に変形させ
ながら乗り越えて全開位置に至り、その後は、弾力的に
復元したストッパー60によりスライド扉2は全開位置
に弾力的に保持される。なお、本願における全開位置と
は、ストッパー60を乗り越えた位置(弾性体の死点を
越えた位置)からスライド扉2が開扉方向にスライドし
て機械的に突き当たる位置との間を示すものであり、数
センチの幅Xがあるものである。
【0009】図3および図4は、前記動力スライド装置
5のワイヤードラム8の断面を示しており、ワイヤード
ラム8は、ベースプレート10とベースプレート10に
所定の間隔を置いて固定されたカバープレート11とか
らなる動力スライド装置5のケース61内に、ドラム軸
12で支持されている。ワイヤードラム8は閉塞した一
側と開放した他側を有する円筒状に形成され、その外周
面には前記ワイヤーケーブル9が係合するワイヤー溝1
3が形成される。ワイヤードラム8の内部には比較的広
い内部空間14が形成され、内部空間14内にはクラッ
チ機構15が実質的に収納される。クラッチ機構15
は、前記モータ7の出力をワイヤードラム8に伝える連
結状態と、ワイヤードラム8の回転をモータ7に伝達し
ない非連結状態と、ワイヤードラム8の回転をモータ7
に伝達するブレーキ状態とに切り替わる。これらの切替
については、作用において詳細に説明する。
【0010】前記ドラム軸12の端部には前記モータ7
に減速機構(図示なし)を介して連結される駆動歯車1
6と、該駆動歯車16に連結ピン17で固定されて一体
的に回転するガイドプレート18とがそれぞれ回転自在
に取付けられている。ガイドプレート18は駆動歯車1
6と一体的に回転するものであるため、駆動歯車16は
図4(および図4に類似する図面)では省略して図の簡
素化を図っている。前記ドラム軸12の外周の一部には
バネ支持体19を回転自在に装着し、バネ支持体19の
外周には円盤状の支持プレート20を回転自在に装着す
る。支持プレート20とバネ支持体19の環状フランジ
21との間には受皿22を介してバネ23を設ける。バ
ネ23は、支持プレート20に多少の回転抵抗を付与す
る目的で設けたものである。
【0011】前記支持プレート20の外周部にはボス部
24、25が形成され、ボス部24、25にはそれぞれ
揺動アーム26、27が前記ドラム軸12と平行の取付
軸28、29により回転自在に取付けられる。揺動アー
ム26、27の先端側には、前記ドラム軸12と平行に
伸びるスライドピン30、31がそれぞれ設けられる。
前記ガイドプレート18には、前記スライドピン30、
31がそれぞれスライド自在に係合する一対のガイドス
ロット32、33が形成される。ガイドスロット32、
33は、図5のように左右対称で、ドラム軸12を中心
とする円弧状の内側スロット34、35と、内側スロッ
ト34、35の端部に連接され前記ドラム軸12から離
れる方向に伸長する延長スロット36、37と、延長ス
ロット36、37の先端に連通しドラム軸12を中心と
する円弧状を呈する外側スロット38、39とからそれ
ぞれ構成される。延長スロット36、37の内壁36
A、37Aと外壁36B、37Bとの間隔は、ドラム軸
12から離れるに従い拡大させてある。外側スロット3
8、39の一方の端部は半円状の係合面38A、39A
に形成し、他方の端部は外壁36B、37Bと段差なく
連通する当接面38B、39Bに形成する。外側スロッ
ト38、39の長さは、クラッチ機構15の後述する手
動解除に必要な長さであり、外側スロット38、39内
を前記スライドピン30、31が移動できる長さを移動
距離Tと表現する。
【0012】前記ワイヤードラム8の筒状の内面(内
壁)には、前記ドラム軸12に向かって突出する複数の
凸部40が一定の間隙Yを置いて形成される。前記揺動
アーム26、27の先端側にはドラム軸12から離れる
方向に突出するクラッチ爪41、42を形成する。クラ
ッチ爪41、42の一方の面はドラム軸12の放射方向
と略平行の連結面41A、42Aに形成し、他方の面に
はブレーキ凹部41B、42Bを形成する。連結面41
A、42Aとブレーキ凹部41B、42Bとの間の幅Z
は間隙Yより狭くなっており、クラッチ爪41、42
は、揺動アーム26、27が、後述するように取付軸2
8、29を中心に外方に(矢印A方向に)揺動すると間
隙Y内に進入する。
【0013】図13は本発明のブロック回路を示してお
り、45は制御部、46はモータ7の負荷検出計、47
は前記クラッチ機構15を連結状態から非連結状態に復
帰させるための手動操作ボタン、66は車体1に搭載さ
れたバッテリー、67はバッテリー66の電源電圧を一
定の出力電圧を変換するパルス幅変調回路である。
【0014】図14〜図18は、前記クラッチ機構15
の揺動アーム26、27に落下防止バネ68、69を取
付けた第2実施例を示している。落下防止バネ68、6
9のコイル部は、前記支持プレート20のボス部24、
25の外周に巻回し、落下防止バネ68、69の一方の
脚部68A、69Aは揺動アーム26、27に形成した
突起70、71に係合させ、落下防止バネ68、69の
他方の脚部68B、69Bは取付軸28、29の軸心方
向に添って屈曲させた後、ボス部24、25に形成した
突起72、73に係合させて、落下防止バネ68、69
の弾力により揺動アーム26、27を反矢印A方向に付
勢する。落下防止バネ68、69は、後述するクラッチ
機構15の手動解除を行った際に、揺動アーム26、2
7が矢印A方向に意に反して動くことを防止するもので
あり、この点についての詳細は後述するが、これ以外の
目的には不要なものである。
【0015】前記クラッチ機構15のガイドプレート1
8の当接面38B、39Bには、図19のように、消音
用の弾性クッション74、75を取付ける。
【0016】
【作用】(クラッチ機構15の非連結状態)第1実施例
を示す図4または第2実施例を示す図14のように、支
持プレート20に取付軸28、29で軸支された揺動ア
ーム26、27のスライドピン30、31が、双方と
も、ドラム軸12から一定の距離に形成されたガイドプ
レート18の内側スロット34、35に係合している
と、揺動アーム26、27のクラッチ爪41、42は、
双方ともワイヤードラム8の凸部40から離間して非係
合となる。このように、両方のクラッチ爪41、42が
共に凸部40から離間した状態が、前記クラッチ機構1
5の非連結状態であり、この状態では、ワイヤードラム
8がどの方向に回転しても、その回転はクラッチ爪4
1、42(モータ7)には伝わらないから、スライド扉
2を手動で開閉させるときに、余計な抵抗が掛からない
(なお、ワイヤードラム8の回転がガイドプレート18
に伝わる状態では、スライド扉2を手動で開閉させるこ
とは困難である)。
【0017】(クラッチ機構15の連結状態)第1実施
例のクラッチ機構15の連結状態への切替について説明
する。図4の非連結状態において、モータ7を閉扉方向
に回転させると、ガイドプレート18は時計回転(閉扉
回転)する。すると、支持プレート20にはバネ23の
弾力で回転抵抗が付与されているため、当初は、支持プ
レート20に取付けられた揺動アーム26、27自体は
動かずに、揺動アーム26、27のスライドピン30、
31のみが、回転するガイドプレート18のガイドスロ
ット32、33に対して相対的に移動して、一方のスラ
イドピン31はガイドスロット33の内側スロット35
から延長スロット37に進入し、他方のスライドピン3
0は、ドラム軸12を中心とする内側スロット34内の
みを移動する。すると、一方のスライドピン31は延長
スロット37の内壁37Aに案内されて徐々にドラム軸
12から離間し、これにより揺動アーム27は取付軸2
9を中心に矢印A方向に外方に向けて揺動する。スライ
ドピン31が延長スロット37から外側スロット39に
至ると、揺動アーム27のクラッチ爪42は最外方に突
出して、凸部40同士の間隙Y内に進入し、その後、ス
ライドピン31は外側スロット39の係合面39Aに係
合する。この間、他方の揺動アーム26のスライドピン
30は、ドラム軸12を中心とする内側スロット34内
を移動するだけであるから、揺動アーム26は取付軸2
8を中心には揺動しない。スライドピン31が外側スロ
ット39の係合面39Aに係合した後も、ガイドプレー
ト18がモータ7の動力で閉扉回転を継続すると、係合
面39Aがスライドピン31を押すため、揺動アーム2
7は支持プレート20と共にドラム軸12を中心として
時計回転し、図7のように、クラッチ爪42の連結面4
2Aがワイヤードラム8の凸部40に係合する。このよ
うに、クラッチ爪42の連結面42Aが凸部40に係合
した状態が、前記クラッチ機構15の前記連結状態(第
1連結状態)となる。なお、揺動アーム27は、スライ
ドピン31が半円状の係合面39Aに係合しているた
め、反矢印A方向に戻されることはない。図7の第1連
結状態で、更にガイドプレート18が時計回転を継続す
ると、クラッチ爪42はワイヤードラム8の凸部40を
押してワイヤードラム8を時計回転させ、これにより、
ワイヤードラム8に巻回されたワイヤーケーブル9は閉
扉方向に巻き取られ、スライド扉2を閉扉方向にスライ
ドさせる。なお、図4において、モータ7を開扉方向に
回転させてガイドプレート18を反時計回転(開扉回
転)させると、別の揺動アーム26のクラッチ爪41の
連結面41Aが凸部40に係合して、クラッチ機構15
は別の連結状態(第2連結状態・図11参照)となり、
スライド扉2は開扉方向にスライドする。
【0018】第2実施例のクラッチ機構15の連結状態
への切替は、第1実施例と全く同一であり、モータ7を
閉扉方向に回転させると、クラッチ機構15は図14の
状態から図15の第1連結状態に切り替わり、モータ7
を開扉方向に回転させると、クラッチ機構15は第2連
結状態(図示なし)に切り替わる。
【0019】(クラッチ機構15のブレーキ状態)モー
タ7の動力によりスライド扉2を閉扉方向または開扉方
向にスライドさせるとき、クラッチ機構15は、クラッ
チ爪42の連結面42Aがワイヤードラム8の凸部40
に当接した第1連結状態(図7、図14)、若しくは、
別のクラッチ爪41の連結面41Aがワイヤードラム8
の凸部40に当接した第2連結状態(図11)となっ
て、ワイヤードラム8にモータ7の動力が伝達され、ス
ライド扉2はモータ7(およびその減速機構)により設
定された所定の速度でスライドする。しかし、モータ7
の動力でスライド扉2をスライドさせているときでも、
スライド扉2に強い外力が作用すると、スライド扉2は
前記所定速度を越えたオーバースピードでスライドしよ
うとする。このような外力の一例は、車体1の傾斜によ
りスライド扉2に作用する重力が挙げられる。本発明の
クラッチ機構15は、このような外力がスライド扉2に
作用すると、以下に説明するようにブレーキ状態に切り
替わって、スライド扉2のオーバースピードを防止す
る。
【0020】まず、第1実施例のクラッチ機構15のブ
レーキ状態への切替について説明する。スライド扉2を
閉扉方向にスライドさせる第1連結状態(図7)におい
て、スライド扉2に閉扉方向のオーバースピードをもた
らす外力が作用すると、スライド扉2にワイヤーケーブ
ル9を介して連結されたワイヤードラム8は、モータ7
の動力により一定速度で閉扉方向に回転するガイドプレ
ート18より早い速度で閉扉回転する。すると、クラッ
チ爪42の1つ手前に位置していた別の凸部40が、図
8のように、クラッチ爪42の背面側に追いついてブレ
ーキ凹部42Bに当接し、更にワイヤードラム8がオー
バースピードで閉扉(時計)回転すると、揺動アーム2
7(および支持プレート20)はワイヤードラム8に押
されてワイヤードラム8と同じオーバースピードの速度
でドラム軸12を中心に時計回転し、もって揺動アーム
27のスライドピン31は係合面39Aから押出され
る。揺動アーム27は、スライドピン31が係合面39
Aから押出されても、揺動アーム27のブレーキ凹部4
2Bと別の凸部40との係合により、反矢印A方向には
揺動しないから、ワイヤードラム8がオーバースピード
で更に時計回転すると、スライドピン31は外側スロッ
ト39内を移動して、図9のように外側スロット39の
当接面39Bに当接する。この状態でも、取付軸29を
中心とする揺動アーム27の反矢印A方向の揺動は、別
の凸部40とブレーキ凹部42Bとの係合により依然と
して防止されるから、クラッチ爪42は最外方に突出し
た状態に継続して保持される。図9の状態になると、オ
ーバースピードをもたらす外力はワイヤードラム8およ
びスライドピン31を介してガイドプレート18に伝達
される。しかしながら、ガイドプレート18は減速機構
を介してモータ7に接続されていて、実質的にモータ7
および減速機構により設定された所定の速度以上では回
転しないものであるから、スライド扉2にはガイドプレ
ート18によるブレーキ抵抗が働き、以後は前記所定の
速度でスライド扉2はスライドすることになる。このよ
うに、凸部40がブレーキ凹部42Bに係合してワイヤ
ードラム8のオーバースピードが規制される状態が、前
記クラッチ機構15の前記ブレーキ状態(第1ブレーキ
状態)となる。同様に、ワイヤードラム8が反時計回転
しているときに、ワイヤードラム8がオーバースピード
で回転すると、凸部40が別の揺動アーム26のブレー
キ凹部41Bに係合し、これにより同様の原理でスライ
ド扉2のスライド速度は一定に保たれる。この状態は、
前記クラッチ機構15の別のブレーキ状態(第2ブレー
キ状態)となる。したがって、本実施例のクラッチ機構
15によると、スライド扉2にオーバースピードをもた
らす外力が作用しても、スライド扉2のオーバースピー
ドは瞬時に防止される。このように、前記動力スライド
装置5が作動しているときは、前記クラッチ機構15
は、クラッチ爪41、42の連結面41A、42Aがワ
イヤードラム8の凸部40に当接した連結状態か(図7
参照)、若しくはブレーキ凹部41B、42Bに凸部4
0が当接したブレーキ状態(図9参照)のいずれかの状
態となって、スライド扉2は一定速度で開閉移動する。
【0021】第2実施例のクラッチ機構15のブレーキ
状態への切替は、第1実施例と同一であり、図15の第
1連結状態において、ワイヤードラム8がオーバースピ
ードで閉扉方向に回転すると、図16のように、別の凸
部40がクラッチ爪42のブレーキ凹部42Bに当接
し、更にワイヤードラム8がオーバースピードで閉扉
(時計)回転すると、揺動アーム27のスライドピン3
1は係合面39Aから押出される。このとき、第2実施
例の揺動アーム27は落下防止バネ69の弾力により反
矢印A方向に付勢されているが、別の凸部40が揺動ア
ーム27のブレーキ凹部42Bに係合しているため、揺
動アーム27は反矢印A方向には揺動しない。したがっ
て、更に、ワイヤードラム8がオーバースピードで時計
回転すると、スライドピン31は図17のように外側ス
ロット39の当接面39Bに当接し、クラッチ機構15
は第1ブレーキ状態に切り替わる。
【0022】(ガイドスロット32、33の弾性クッシ
ョン74、75)前項のように、モータ7の動力でスラ
イド扉2をスライドさせているときに、スライド扉2に
オーバースピードをもたらす外力が作用すると、スライ
ドピン30、31は外側スロット38、39の係合面3
8A、39Aから抜け出て、反対側の当接面38B、3
9Bに当接する。このとき、図19のように、当接面3
8B、39Bに弾性クッション74、75を設けておく
と、スライドピン30、31が当接面38B、39Bに
当接する際の衝撃を緩和でき、異音の発生が抑えられ、
品質が向上する。
【0023】(モータ7による連結状態から非連結状態
への復帰)本発明のクラッチ機構15は、モータ7を停
止させる前に、いったんモータ7を逆方向に所定時間
(所定量)Rだけ回転させることにより、連結状態から
非連結状態に復帰するように構成されている。
【0024】まず、第1実施例のクラッチ機構15の連
結状態から非連結状態への復帰について説明する。モー
タ7の閉扉回転によりガイドプレート18を時計回転さ
せて図7の第1連結状態になったときは、いったん、モ
ータ7を逆転(開扉回転)させる。すると、ガイドプレ
ート18は反時計回転して、揺動アーム27のスライド
ピン31は、外側スロット39の係合面39Aから引き
抜かれて反対側の当接面39Bに当接し、図10の状態
となる。この状態では、ブレーキ凹部42Bは凸部40
に係合していないから、揺動アーム27は反矢印A方向
に揺動可能であり、このため、更にガイドプレート18
が反時計回転すると、スライドピン31は当接面39B
から外壁37Bに案内されて延長スロット37に戻され
て、クラッチ爪42は凸部40から離間し、ガイドプレ
ート18(モータ7)の所定量Rの反時計回転が終了す
ると、スライドピン31は図4の位置に戻され、クラッ
チ機構15は非連結状態に復帰する。なお、モータ7を
逆転(開扉回転)させている最中は、モータ7には実質
的な負荷は掛からないから、負荷検出計46は無反応と
なる。第2連結状態から非連結状態に復帰させるとき
も、同様の原理で行える。
【0025】上記において、モータ7に供給されるバッ
テリー66の電力は、バッテリー66の負荷に拘わらず
パルス幅変調回路67により一定に保持されるから、確
実にモータ7を所定量Rだけ回転させることができる。
【0026】次に、第2実施例のクラッチ機構15の連
結状態から非連結状態への復帰について説明する。第1
連結状態(図15)を解除するためにモータ7を開扉回
転させると、ガイドプレート18が反時計回転して、揺
動アーム27のスライドピン31は、外側スロット39
の係合面39Aから引き抜かれる。すると、揺動アーム
27は落下防止バネ69の弾力により反矢印A方向に付
勢されているから、スライドピン31は内壁37Aに案
内されて延長スロット37に戻され、ガイドプレート1
8(モータ7)の所定量Rの反時計回転が終了すると、
スライドピン31は図14の位置になり、クラッチ機構
15は非連結状態に復帰する。このように、連結状態か
ら非連結状態への復帰においては、第2実施例と第1実
施例とでは多少の相違があるが、この相違は、クラッチ
機構の本質に関わるものではない。
【0027】(モータ7によるブレーキ状態から非連結
状態への復帰)前記したように、クラッチ機構15の第
1連結状態は、モータ7によりガイドプレート18を所
定量Rだけ反時計回転させることにより、また、第2連
結状態は、モータ7によりガイドプレート18を所定量
Rだけ時計回転させることによりそれぞれ解除されて、
クラッチ機構15は非連結状態に復帰するが、第1ブレ
ーキ状態または第2ブレーキ状態を解除するときは、次
に説明するように、モータ7の動力でそれぞれを第1連
結状態または第2連結状態に切り替えてから、前記した
連結状態の解除を行って非連結状態に復帰させる。
【0028】まず、第1実施例のクラッチ機構15のブ
レーキ状態から非連結状態への復帰について説明する。
スライド扉2にオーバースピードの外力が掛かったまま
の状態でスライド扉2が所定位置まで閉扉したときは、
クラッチ機構15は、図9のように、凸部40がブレー
キ凹部42Bに係合した第1ブレーキ状態になってい
る。このとき、制御部45は、クラッチ機構15が第1
連結状態のまま閉扉したのか、第1ブレーキ状態で閉扉
したのかを区別していない。そこで、制御部45は、負
荷検出計46でモータ7に掛かる負荷を監視しながら、
まず、モータ7を閉扉回転から開扉回転に所定量Rだけ
反転させる制御を開始する。このとき、仮にクラッチ機
構15が第1連結状態であったならば、既に説明したよ
うに、モータ7の所定量Rの開扉回転によりクラッチ機
構15は非連結状態に戻され、この間、負荷検出計46
はモータ7の実質的な負荷は検出しない。このように無
負荷のままモータ7の所定量Rの回転が終了したとき
は、制御部45はクラッチ機構15は第1連結状態であ
ったと看做して、非連結状態への復帰制御を終了する。
しかし、クラッチ機構15が第1ブレーキ状態(図9)
であったときは、モータ7の開扉回転によりガイドプレ
ート18が反時計回転すると、ブレーキ凹部42Bが凸
部40に当接しているため、直ちに、モータ7には実質
的な負荷が掛かり、これが負荷検出計46で検出され
る。このように、モータ7の所定量Rの開扉回転が終了
する前にモータ7の負荷が検出されたときは、制御部4
5は、クラッチ機構15は第1ブレーキ状態にあると看
做し、今度は、モータ7を閉扉方向に再反転させる。す
ると、図9において、ガイドプレート18のみが時計回
転して図8のように外側スロット39の係合面39Aが
スライドピン31に係合する。更に、ガイドプレート1
8が時計回転すると、揺動アーム27はドラム軸12を
中心に時計回転して、クラッチ爪42の連結面42Aが
凸部40に当接する。この状態は、図7の第1連結状態
と同じである。ここから更にガイドプレート18が時計
回転すると、モータ7にはワイヤードラム8を回転させ
るための負荷が掛かる。この2回目の負荷が負荷検出計
46で検出されると、制御部45は、クラッチ機構15
が第1ブレーキ状態から第1連結状態に切り替わったと
看做すことができ、これにより、制御部45は、モータ
7を開扉方向に所定量Rだけ再々反転させる。これによ
り、前記したように、第1連結状態から非連結状態に復
帰する。なお、第1ブレーキ状態から第1連結状態への
切替は、モータ7を回転させる時間の制御でも行える。
また、第2ブレーキ状態を非連結状態に復帰させるとき
も同様の原理である。
【0029】次に、第2実施例のクラッチ機構15のブ
レーキ状態から非連結状態への復帰について説明する。
第2実施例においても、制御部45は、ブレーキ状態と
連結状態とを区別しておらず、モータ7の所定量Rの逆
転により負荷検出計46がモータ7の実質的な負荷を検
出したときは、クラッチ機構15はブレーキ状態にある
と看做し、モータ7を再反転させる。モータ7が再反転
すると、第1ブレーキ状態を示す図17において、当初
はガイドプレート18のみが時計回転し、スライドピン
31は外側スロット39の係合面39Aに向けて移動す
る。このとき、ブレーキ凹部42Bが凸部40に係合し
ているため、揺動アーム27は落下防止バネ69の弾力
によっては反矢印A方向に揺動しない。更に、ガイドプ
レート18が時計回転すると、係合面39Aがスライド
ピン31に係合して、揺動アーム27をドラム軸12を
中心に時計回転させる。すると、ブレーキ凹部42Bが
凸部40から離脱するが、代わりに、係合面39Aがス
ライドピン31に係合しているため、落下防止バネ69
の弾力に抗して揺動アーム27は最外方位置に保持され
たまま、クラッチ爪42の連結面42Aが凸部40に当
接する。この状態は、図15の第1連結状態と同じであ
る。ここから更にガイドプレート18が時計回転する
と、モータ7にはワイヤードラム8を回転させるための
負荷が掛かる。この負荷が負荷検出計46で検出される
と、制御部45は、クラッチ機構15が第1ブレーキ状
態から第1連結状態に切り替わったと看做すことがで
き、これにより、制御部45は、モータ7を開扉方向に
所定量Rだけ再々反転させる。これにより、前記したよ
うに、第1連結状態から非連結状態に復帰する。このよ
うに、ブレーキ状態から非連結状態への復帰において
も、第1実施例と第2実施例とでは実質的な相違はな
い。
【0030】(手動によるブレーキ状態から非連結状態
への復帰)前記クラッチ機構15のブレーキ状態および
連結状態を非連結状態に復帰させるときは、モータ7の
動力を使用するのが基本となるが、クラッチ機構15が
ブレーキ状態または連結状態にあるときに、モータ7が
故障したときは、手動によりブレーキ状態または連結状
態を解除する。
【0031】まず、第1実施例のクラッチ機構15のブ
レーキ状態から非連結状態への手動復帰を、第1ブレー
キ状態を示している図9を用いて説明する。図9では、
揺動アーム27のスライドピン31が外側スロット39
の当接面39Bに当接しているため、ワイヤードラム8
を時計回転(閉扉回転)させることはできないが、反時
計回転(開扉回転)させることは可能である。そこで、
スライド扉2を手動で開扉方向にスライドさせ、ワイヤ
ードラム8を反時計回転させる。すると、ブレーキ凹部
42Bに係合していたワイヤードラム8の凸部40は、
ブレーキ凹部42Bから離脱し、ついで、図10のよう
に、別の凸部40がクラッチ爪42の連結面42Aに当
接する。図10の状態で、更にワイヤードラム8を反時
計回転させると、連結面42Aは外方に至るに従い取付
軸29から離れる面になっているから、揺動アーム27
には凸部40との当接により反矢印A方向への力が作用
し、かつ、延長スロット37の外端部の間隔が相当に幅
広に形成されているため、揺動アーム27は取付軸29
を中心に反矢印A方向に揺動して、クラッチ爪42は凸
部40とは係合しない位置に戻され、クラッチ機構15
は第1ブレーキ状態から非連結状態に戻される。この状
態を示したのが図12である。第2ブレーキ状態の解除
も同様である。
【0032】次に、第2実施例のクラッチ機構15のブ
レーキ状態から非連結状態への手動復帰を、第1ブレー
キ状態を示している図17を用いて説明する。図17で
は、揺動アーム27のスライドピン31が外側スロット
39の当接面39Bに当接しているため、ワイヤードラ
ム8を時計回転(閉扉回転)させることはできないが、
反時計回転(開扉回転)させることは可能である。そこ
で、スライド扉2を手動で開扉方向にスライドさせ、ワ
イヤードラム8を反時計回転させ、ブレーキ凹部42B
に係合していたワイヤードラム8の凸部40は、ブレー
キ凹部42Bから離脱させる。すると、延長スロット3
7の外端部の間隔が相当に幅広に形成されているため、
揺動アーム27は落下防止バネ69の弾力により反矢印
A方向に取付軸29を中心に揺動して、図18のよう
に、スライドピン31は延長スロット37の内壁37A
に当接する。これにより、クラッチ爪42は凸部40と
は係合しない位置に戻されて、クラッチ機構15は非連
結状態に復帰する。
【0033】(第2実施例の落下防止バネ68、69)
第1実施例のクラッチ機構15を前項のように手動によ
り第1ブレーキ状態から非連結状態へ復帰させると、図
12の状態となるが、図12に示された揺動アーム27
のクラッチ爪42は、かろうじて凸部40と係合しない
位置まで反矢印A方向に戻されているのみで、車体1に
加えられる振動や揺動アーム27自体の重さにより、意
に反して矢印A方向に移動する可能性がある。これに対
して、第2実施例においては、手動により第1ブレーキ
状態から非連結状態へ復帰させた揺動アーム27(図1
8)は、落下防止バネ69の弾力により反矢印A方向に
付勢されるから、クラッチ機構15の確実な作用が期待
できる。
【0034】(手動による連結状態から非連結状態への
復帰)まず、第1実施例のクラッチ機構15の連結状態
から非連結状態への手動復帰を、第1連結状態を示して
いる図7を用いて説明する。図7では、スライドピン3
1が外側スロット39の係合面39Aに係合しているた
め、ワイヤードラム8は反時計回転(開扉回転)できな
いが、時計回転(閉扉回転)は可能となっている。そこ
で、スライド扉2を閉扉方向に手動でスライドさせ、ワ
イヤードラム8を時計回転させる。すると、連結面42
Aに当接していた凸部40は連結面42Aから離間し、
ついで、別の凸部40がクラッチ爪42のブレーキ凹部
42Bに当接し、図8の状態となる。図8の状態で、更
に、ワイヤードラム8を時計回転させると、揺動アーム
27は凸部40とブレーキ凹部42Bとの当接によりド
ラム軸12を中心に時計回転して図9の第1ブレーキ状
態となる。第1ブレーキ状態になると、揺動アーム27
のスライドピン31は外側スロット39の当接面39B
に当接するから、スライド扉2は重たく動かなくなる。
そこで、スライド扉2が重くなったら、今度は開扉方向
に手動でスライド扉2をスライドさせ、以後、前記した
第1ブレーキ状態の解除と同じ操作を行えば、クラッチ
機構15は非連結状態に復帰する。第2連結状態の解除
も同様の原理である。このように、連結状態から非連結
状態への手動解除では、スライド扉2を手動でスライド
させることになるが、このとき解除に必要なスライド扉
2のスライド量Sは、「凸部40同士の間隙Y」−「ク
ラッチ爪42の幅Z」+「外側スロット39内を移動で
きるスライドピン31の移動距離T」に等しい。このス
ライド量Sは、後述する動力スライド装置5によるスラ
イド扉2の全開位置への保持との関係で重要になる。
【0035】第2実施例のクラッチ機構15の連結状態
から非連結状態への手動復帰は、第1実施例と同一であ
り、図15の第1連結状態において、スライド扉2を閉
扉方向に手動でスライドさせて、ワイヤードラム8を時
計回転させると、図16の第1ブレーキ状態となり、そ
の後は、前述したように、スライド扉2を開扉方向に手
動でスライドさせると、クラッチ機構15は図18のよ
うに非連結状態に戻される。
【0036】(全開ストッパー60によるスライド扉2
の全開位置への保持)モータ7の開扉回転によりクラッ
チ機構15を第2連結状態にしてスライド扉2を開扉方
向に所定位置まで移動させと、スライド扉2は全開スト
ッパー60に当接し、更に、スライド扉2を移動させる
と、スライド扉2は全開ストッパー60を弾力的に変形
させながらこれを乗り越えて全開位置に移動する。スラ
イド扉2が全開位置に移動したら、制御部45はモータ
7を所定量Rだけ逆転させて、クラッチ機構15を非連
結状態に復帰させる。このようにして、スライド扉2を
全開位置に移動させた後は、弾力的に復元した全開スト
ッパー60によりスライド扉2は全開位置に保持され
る。
【0037】(動力スライド装置5によるスライド扉2
の全開位置への保持)前記全開ストッパー60は、板バ
ネ等の弾力を利用してスライド扉2を全開位置に保持す
るものであるから、その保持力はそれほど強いものでは
なく、一般的には車体1が約10%を越えて前下がり状
態に傾斜すると、スライド扉2は重力により全開ストッ
パー60を乗り越えて閉扉方向(前方方向)にスライド
してしまうことがある。しかし、本発明では、このよう
な傾斜地においても、確実にスライド扉2を全開位置に
保持できる。まず、前記のような傾斜地において、モー
タ7の開扉回転によりクラッチ機構15を第2連結状態
にしてスライド扉2を開扉方向に所定位置まで移動させ
と、スライド扉2は全開ストッパー60に当接し、更
に、スライド扉2を移動させると、スライド扉2は全開
ストッパー60を弾力的に変形させながらこれを乗り越
えて全開位置に移動する。この間、傾斜による特別な影
響はなく、スライド扉2に作用する閉扉方向への強い外
力は、開扉方向に回転するモータ7に対する強い負荷に
なるだけである。スライド扉2が全開位置に変位した
ら、制御部45はクラッチ機構15を非連結状態に復帰
させるためにモータ7を所定量Rだけ閉扉方向に逆転さ
せるが、このとき、スライド扉2には閉扉方向への強い
外力が作用しているため、クラッチ機構15は非連結状
態に復帰しない。つまり、スライド扉2が全開位置に変
位したときは、クラッチ機構15は図11に示された第
2連結状態にあるが、この状態では、スライド扉2に作
用する閉扉方向への外力の影響でワイヤードラム8には
時計回転方向への外力が作用しており、このため、モー
タ7を図11の状態で所定量Rだけ閉扉方向に逆転させ
てガイドプレート18を時計回転させると、同時にワイ
ヤードラム8も外力により追従して時計回転し、スライ
ドピン30は係合面38Aから離間できず、モータ7の
所定量Rの閉扉回転が終了した後も、クラッチ機構15
は図11の第2連結状態まま保持される。これは、落下
防止バネ68、69を備えた第2実施例でも同じであ
る。しかし、この第2連結状態では、ワイヤードラム8
の閉扉回転は、スライドピン30と係合面38Aの係合
によりガイドプレート18に伝達されるから、ワイヤー
ドラム8の閉扉回転は事実上不可能となっており、した
がって、傾斜地の影響によりスライド扉2に閉扉方向へ
の強い外力が作用していても、スライド扉2は全開位置
に確実に保持される。なお、モータ7の所定量Rの閉扉
回転によりスライド扉2が閉扉方向にスライドする距離
Dは全開位置の幅Xより短く設定して、モータ7の所定
量Rの閉扉回転によりスライド扉2が閉扉方向に追従し
てスライドしたときに、スライド扉2が全開ストッパー
60に強く接触しないように(好適には全く接触しない
ように)する。仮に、スライド扉2の前記追従スライド
により、スライド扉2が全開ストッパー60に強く接触
するようなことがあると、この接触により、スライド扉
2に作用する閉扉方向への外力が実質的に減衰されるこ
とになるから、図11に示された第2連結状態が不完全
な状態に変化する惧れがあり、スライド扉2を全開位置
に保持できなくなる。また、図11の状態から、手動で
スライド扉2を閉扉させるときは、前記した連結状態の
手動解除と同じ操作を行ってクラッチ機構15を非連結
状態に復帰させてから、スライド扉2を閉扉方向にスラ
イドさせる。このためには、ワイヤードラム8(スライ
ド扉2)を図11の状態において開扉方向にスライド量
Sだけスライドさせることが必要となり、したがって、
スライド量Sはモータ7の所定量Rの閉扉回転によりス
ライド扉2が閉扉方向にスライドする距離Dより短くし
ておく。これにより、図11の状態でモータ7が故障し
ても手動でスライド扉2を閉扉させることができる。
【0038】(動力クローズ装置58による完全閉扉)
動力スライド装置5のモータ7の動力によりスライド扉
2が閉扉方向へスライドして、ラッチアッシー4のラッ
チ5がストライカ3との係合によりハーフラッチ位置に
なると、スイッチ56がこれを検出する。すると、制御
部45はモータ7の閉扉回転を終了させるとともに、ク
ラッチ機構15を非連結状態へ戻す復帰制御を行う。ク
ラッチ機構15が非連結状態になったら、制御部45は
動力クローズ装置58を作動させてハーフラッチ位置の
ラッチ50をフルラッチ位置に回転させ、スライド扉2
を完全に閉扉させ、スイッチ56がフルラッチ位置を検
出したら、動力クローズ装置58の作動を停止させると
共に、再び動力スライド装置5のモータ7を所定時間だ
け、若しくは負荷検出計46が負荷を検出するまで開扉
回転させて、クラッチ機構15を第2連結状態(図11
参照)にし、制御部45はモータ7の制御を終了する。
このように、スライド扉2が完全閉扉されたら、クラッ
チ機構15を開扉操作用の第2連結状態にする。この状
態からスライド扉2のオープンハンドル63を開扉操作
すると、ラチェット51はラッチ50から離脱してスラ
イド扉2はスライド扉2と車体1との間に設けられるゴ
ムシールの弾力によって開扉方向に押出され、同時にオ
ープンハンドル63の開扉操作がスイッチ64で検出さ
れることにより、制御部45は動力スライド装置5のモ
ータ7を開扉回転させて、スライド扉2を開扉方向にス
ライドさせる。このとき、車体1が傾斜地にあって、開
扉と同時にスライド扉2に開扉方向への強い外力が作用
したとしても、クラッチ機構15が完全閉扉状態におい
て予め開扉用の第2連結状態になっているため、ワイヤ
ードラム8の開扉方向へのオーバースピードにより、ク
ラッチ機構15は瞬時に第2ブレーキ状態に切り替わる
から、スライド扉2のオーバースピードでのスライドは
瞬間的に防止される。また、閉扉状態において、手動操
作ボタン47を押すと、モータ7が所定量閉扉回転して
クラッチ機構15は非連結状態に戻される。なお、前記
においては、スライド扉2がフルラッチ状態になったと
きにクラッチ機構15を第2連結状態に切り替えている
が、第2連結状態への切替を開扉操作の後に変更するこ
とも可能である。この場合、開扉操作が行われる直前ま
ではクラッチ機構15は非連結状態としておき、オープ
ンハンドル63の開扉操作がスイッチ64で検知された
ら、まずクラッチ機構15を第2連結状態に切替え、そ
の後、動力オープン装置57によりラチェット51をラ
ッチ50から離脱させ、続いて動力スライド装置5を作
動させてスライド扉2を開扉方向にスライドさせる。こ
のような変更を行っても、開扉時のスライド扉2のオー
バースピードでのスライドはよく防止される。
【0039】
【発明の効果】以上のように、本発明は、車体1に対し
てスライド移動することにより開閉するスライド扉2に
ワイヤーケーブル9を介して連結されたワイヤードラム
8と、前記ワイヤードラム8を回転させるためのモータ
7と、前記ワイヤードラム8と前記モータ7との間に設
けられたクラッチ機構15とからなるものにおいて、前
記クラッチ機構15は、前記モータ7の動力で回転する
ガイドプレート18と、前記ガイドプレート18に形成
されたガイドスロット32、33と、前記ガイドスロッ
ト32、33にスライド自在に係合するスライドピン3
0、31を備え前記ガイドプレート18が回転すると前
記ガイドスロット32、33により案内されて前記ワイ
ヤードラム8に対して係合離脱する揺動アーム26、2
7とを有し、前記ガイドスロット32、33の周壁の一
部には、前記スライドピン30、31が当接する弾性ク
ッション74、75を取付け、前記弾性クッション7
4、75は、前記ワイヤードラム8が前記モータ7によ
り設定された速度を越えて回転すると前記スライドピン
30、31と当接する位置に配置した車両スライド扉の
動力スライド装置としたため、スライドピン30、31
がガイドスロット32、33の端部に衝突する際の衝撃
を緩和でき、装置全体の品質が向上する。また、本発明
は、前記装置において、前記ガイドスロット30、31
は、前記ワイヤードラム8を支持するドラム軸12を中
心とする円弧状の内側スロット34、35と、前記内側
スロット34、35の端部に連接され前記ドラム軸12
から離れる方向に伸長する延長スロット36、37と、
前記延長スロット36、37の先端に連通し前記ドラム
軸12を中心とする円弧状の外側スロット38、39と
から構成し、前記弾性クッション74、75は前記外側
スロット38、39の一方の端部で前記延長スロット3
6、37の外壁36B、37Bに連通する当接面38
B、39Bに取付けた車両スライド扉の動力スライド装
置としたため、前記クラッチ機構15がワイヤードラム
8のオーバースピード回転によりブレーキ状態に切り替
わる際の、スライドピン30、31とガイドスロット3
2、33との衝撃力を緩和でき、装置全体の品質が向上
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 スライド扉を備えた車両の側面図。
【図2】 ラッチアッシーの断側面。
【図3】 第1実施例のクラッチ機構を備えた動力スラ
イド装置の縦断側面図。
【図4】 前記動力スライド装置の縦断正面図。
【図5】 前記クラッチ機構のガイドプレートの正面
図。
【図6】 前記クラッチ機構の揺動アームの正面図。
【図7】 前記クラッチ機構が連結状態(第1連結状
態)にあるときの断面図。
【図8】 図7の第1連結状態からワイヤードラムがオ
ーバースピードで回転して凸部がブレーキ凹部に係合し
た状態を示す断面図。
【図9】 図8の状態からワイヤードラムがオーバース
ピードで回転してスライドピンが当接面に当接した状態
を示す断面図。
【図10】 図9の状態からワイヤードラムを手動で反
時計回転させて凸部がクラッチ爪に当接した状態を示す
断面図。
【図11】 前記クラッチ機構の第2連結状態を示す断
面図。
【図12】 前記クラッチ機構を手動によりブレーキ状
態から非連結状態に復帰させた状態を示す断面図。
【図13】 本発明のブロック回路図。
【図14】 第2実施例のクラッチ機構を備えた動力ス
ライド装置の縦断正面図。
【図15】 前記クラッチ機構が連結状態(第1連結状
態)にあるときの断面図。
【図16】 図15の第1連結状態からワイヤードラム
がオーバースピードで回転して凸部がブレーキ凹部に係
合した状態を示す断面図。
【図17】 図16の状態からワイヤードラムがオーバ
ースピードで回転してスライドピンが当接面に当接した
状態を示す断面図。
【図18】 前記クラッチ機構を手動によりブレーキ状
態から非連結状態に復帰させた状態を示す断面図。
【図19】 ガイドプレートの弾性クッションを示す正
面図。
【符号の説明】
1…車体、2…スライド扉、3…ストライカ、4…ラッ
チアッシー、5…動力スライド装置、6…クォータパネ
ル、7…モータ、8…ワイヤードラム、9…ワイヤーケ
ーブル、10…ベースプレート、11…カバープレー
ト、12…ドラム軸、13…ワイヤー溝、14…内部空
間、15…クラッチ機構、16…駆動歯車、17…連結
ピン、18…ガイドプレート、19…バネ支持体、20
…支持プレート、21…環状フランジ、22…受皿、2
3…バネ、24、25…ボス部、26、27…揺動アー
ム、28、29…取付軸、30、31…スライドピン、
32、33…ガイドスロット、34、35…内側スロッ
ト、36、37…延長スロット、36A、37A…内
壁、36B、37B…外壁、38、39…外側スロッ
ト、38A、39A…係合面、38B、39B…当接
面、40…凸部、41、42…クラッチ爪、41A、4
2A…連結面、41B、42B…ブレーキ凹部、45…
制御部、46…負荷検出計、47…手動操作ボタン、5
0…ラッチ、51…ラチェット、52、53…バネ、5
4…ハーフラッチ段部、55…フルラッチ段部、56…
スイッチ、57…動力オープン装置、58…動力クロー
ズ装置、59…ワイヤーケーブル、60…全開ストッパ
ー、61…ケース、63…オープンハンドル、64…ス
イッチ、65…ガイドレール、66…バッテリー、67
…パルス幅変調回路、68、69…落下防止バネ、68
A、68B、69A、69B…脚部、70〜73…突
起、74、75…弾性クッション、D…モータ7の所定
量Rの回転により移動するスライド扉2の距離、R…ク
ラッチ機構15を非連結状態に復帰させるのに必要なモ
ータ7の回転所定量、S…連結状態の手動による解除に
必要なスライド扉2のスライド量、T…外側スロット3
9内をスライドピン31が移動できる距離、X…全開ス
トッパー60により規定される全開位置の幅、Y…凸部
40同士の間隙、Z…クラッチ爪42の幅。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体1に対してスライド移動することに
    より開閉するスライド扉2にワイヤーケーブル9を介し
    て連結されたワイヤードラム8と、前記ワイヤードラム
    8を回転させるためのモータ7と、前記ワイヤードラム
    8と前記モータ7との間に設けられたクラッチ機構15
    とからなるものにおいて、前記クラッチ機構15は、前
    記モータ7の動力で回転するガイドプレート18と、前
    記ガイドプレート18に形成されたガイドスロット3
    2、33と、前記ガイドスロット32、33にスライド
    自在に係合するスライドピン30、31を備え前記ガイ
    ドプレート18が回転すると前記ガイドスロット32、
    33により案内されて前記ワイヤードラム8に対して係
    合離脱する揺動アーム26、27とを有し、前記ガイド
    スロット32、33の周壁の一部には、前記スライドピ
    ン30、31が当接する弾性クッション74、75を取
    付け、前記弾性クッション74、75は、前記ワイヤー
    ドラム8が前記モータ7により設定された速度を越えて
    回転すると前記スライドピン30、31と当接する位置
    に配置した車両スライド扉の動力スライド装置。
  2. 【請求項2】 請求項において、前記ガイドスロット
    30、31は、前記ワイヤードラム8を支持するドラム
    軸12を中心とする円弧状の内側スロット34、35
    と、前記内側スロット34、35の端部に連接され前記
    ドラム軸12から離れる方向に伸長する延長スロット3
    6、37と、前記延長スロット36、37の先端に連通
    し前記ドラム軸12を中心とする円弧状の外側スロット
    38、39とから構成し、前記弾性クッション74、7
    5は前記外側スロット38、39の一方の端部で前記延
    長スロット36、37の外壁36B、37Bに連通する
    当接面38B、39Bに取付けた車両スライド扉の動力
    スライド装置。
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