JP3391222B2 - 活性汚泥用濾過体 - Google Patents
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Description
ための濾過体に係り、特に、活性汚泥濾過装置に浸漬配
置され、活性汚泥を効率的に分離して生物処理水を得る
ための活性汚泥用濾過体に関する。 【0002】 【従来の技術】生物反応により水中の有機物を分解処理
する活性汚泥などの生物処理装置では、生物汚泥を固液
分離するために沈殿池等の沈降分離手段を用いることが
あるが、生物反応槽の後段に沈殿池を設けた従来の生物
処理装置では、次のような問題がある。 比重差によ
り汚泥を沈降分離する沈殿処理では汚泥の分離性能に限
界があり、流入負荷の変動時やバルキング発生時等に処
理水質が悪化する。このため、高度な処理水質が要求さ
れる場合には沈殿池の後段に更に急速濾過機やストレー
ナー等の設備が必要である。 最終沈殿池で分離した
生物汚泥を生物反応槽に返送する操作も必要とされる。
汚泥返送操作や汚泥濃度管理を行っても、最終沈殿
池でスカムが発生したり、汚泥が浮上したりする等のト
ラブルが発生し、水質が悪化する場合が多い。 沈殿
池は、大きな設置スペースを必要とする。 【0003】上記の沈降分離の代りに、生物汚泥を限外
濾過膜や精密濾過膜により膜分離する場合もある。この
膜分離処理によれば、沈殿池のような大きなスペースを
必要とすることなく、SSが高度に除去された高水質処
理水を得ることができる。 【0004】しかしながら、限外濾過膜や精密濾過膜に
よる膜分離処理では、消費動力が大きい上に、膜で阻止
した物質(この膜汚染物質は、高分子状の微生物代謝産
物などが主体となっている。)により膜が汚染され、膜
孔の閉塞で濾過性能が低下するため、定期的な薬品洗浄
が必須であるという欠点がある。 【0005】このような膜分離処理における問題を解決
するものとして、濾布を備える濾過体を生物反応槽に浸
漬配置し、この濾過体の濾布を通過した濾過水を処理水
として取り出すことで、生物汚泥を固液分離することが
考えられている。 【0006】この濾過体による濾過は、実際には、濾過
の進行により濾過体の濾布表面に形成された活性汚泥粒
子の付着物層(ダイナミック濾過層。以下、単に「濾過
層」と称する場合がある。)によって行われている。即
ち、濾過体の濾布は、実質的には活性汚泥粒子を通過さ
せる、金属や高分子繊維の不織布よりなる厚み2mm以
下のものであるが、濾過の駆動圧が小さい条件下におい
て、濾布の表面に活性汚泥粒子の付着物層が形成され、
この付着物層により活性汚泥粒子の通過を阻止すること
ができるようになる。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】このような濾過体を用
いることにより、前述の沈降分離又は膜分離における問
題は解消されるが、濾過体内には濾布を通過してきた活
性汚泥粒子や濁質が徐々に沈積し、濾過を継続すること
により濾過性能が低下してくるという問題点があった。 【0008】本発明は上記従来の問題点を解決し、活性
汚泥濾過装置に浸漬配置される濾過体であって、活性汚
泥を長期に亘り安定かつ効率的に分離することができる
活性汚泥用濾過体を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明の活性汚泥用濾過
体は、活性汚泥を濾過するための濾過体であって、支持
体と、該支持体の外面に沿って設けられた不織布と、該
不織布を透過してきた濾過水の流通路と、該濾過水流通
路からの濾過水の取出と該流通路への洗浄水の供給とを
行う流路とを備えてなり、前記支持体は前記不織布と対
面する部分が空洞又は凹部となっており、該不織布は、
該空洞又は凹部を塞ぐように設けられた通水性支持部材
に支持されていることを特徴とする。 【0010】本発明の濾過体では、不織布を透過してき
た濾過水の流通路とこの流通路から濾過水を取り出すた
めの流路が確保されているため、濾過水を安定に取り出
すことができる。また、濾過を継続することにより、濾
過体内に濁質や活性汚泥粒子が蓄積して濾過性能が低下
してきた場合には、洗浄水の流路及び濾過水流通路を経
て洗浄水を供給して濾過体内を洗浄することによりこれ
を排除し、濾過性能を回復させることができる。 【0011】また、支持体の不織布と対面する部分が空
洞又は凹部となっており、不織布はこの空洞又は凹部を
塞ぐように設けられた通水性支持部材に支持されている
ため、濾過水流通路側に侵入した活性汚泥粒子や濁質が
支持体と不織布との間に滞留して安定濾過を阻害するこ
とが防止される。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の活
性汚泥用濾過体の実施の形態について説明する。 【0013】図1は参考例に係る活性汚泥用濾過体を示
す図であって、(a)図は一部切欠正面図、(b)図は
(a)図のB−B線に沿う模式的な断面図であり、図2
は本発明の活性汚泥用濾過体の実施の形態を示す断面図
である。 【0014】図1に示す活性汚泥用濾過体1Aは、支持
体2Aが、その不織布4Aに対面する部分が空洞部2B
となる枠状部材からなる。この空洞部2Bを塞ぐように
スペーサ3Aを介して不織布4Aが取り付けられ、取付
枠5Aで固定されている。また、支持体2Aの上部の端
面側から支持体2Aの空洞部2Bに連通する洗浄水流入
管22Aが2本設けられ、支持体2Aの底部の端面側か
ら支持体2Aの空洞部2Bに連通する濾過水取出管22
Bが2本設けられている。 【0015】このように支持体2Aに空洞部2Bを設け
る場合、支持体が大型になると、金網状のスペーサ3A
のみでは不織布4Aの平面性を保持できない場合がある
ため、本発明では、図2に示す如く、金網状のスペーサ
3Aの下に格子状部材のような通水性支持部材6を設
け、スペーサ3A及び不織布4Aを支持するようにす
る。なお、図2に示す濾過体1Bでは、支持体2Aの不
織布取付面側に段部2Cを凹設し、この段部2Cに支持
部材6を嵌め込んで取り付けている。その他の符号は図
1と同一部分を示している。 【0016】本発明において、支持体としては、濾過部
材としての不織布を支持し、活性汚泥濾過装置内に浸漬
配置された際の水圧に耐え得る十分な剛性を有するもの
であれば良く、特に制限はないが、例えば銅等の金属、
ABS樹脂、ポリエステル等の合成樹脂、或いは、酸化
アルミニウム等のセラミックスなどで構成された板状体
又は枠状体が好適である。 【0017】不織布としては、銅等の金属又はポリエス
テル、ポリプロピレン等の高分子材料よりなるものであ
って、分離粒径30μm以上、好ましくは30〜100
0μmの目開きを有し、厚さが2mm以下、特に0.1
〜1mmのものが不織布の目詰りを防止して安定な濾過
を行う上で好ましい。 【0018】スペーサとしてはネットスペーサ(金網状
のスペーサ)等、種々のものを用いることができる。 【0019】このような活性汚泥用濾過体1A,1Bで
は、不織布4Aを通過した濾過水は、支持体2Aの空洞
部2B及び取出管22Bを経て取り出される。 【0020】このとき、濾過体に使用される不織布4A
は活性汚泥粒子より目開きが大きいものであるので、微
量の濁質や活性汚泥粒子は濾過水中に混入する。これら
の濁質、活性汚泥粒子は下方に沈降する傾向が強い。従
って、これが濾過体内で沈積するのを防止して濾過水と
共に排出するために、濾過水取出管は濾過体の下部に設
けるのが好ましい。 【0021】このように濾過水取出管を濾過体の下部に
設け、濾過体内での濁質や微生物粒子の沈積を防止して
濾過を行っていても、濾過を継続することにより、濾過
体内のうち濾過水の流れの悪い部分に少しずつ濁質や活
性汚泥粒子が蓄積され、濾過性能が悪くなる。このた
め、これらを濾過体内から排除するために、洗浄水を供
給して濾過体内を洗浄する。 【0022】図1,2に示す濾過体1A,1Bでは、洗
浄水を流入管22Aより供給し、取出管22Bより排出
することで濾過体1A,1B内の濁質等を洗い出す。こ
の濾過体1A,1Bでは、状況に応じて、上記とは逆
に、取出管22Bから洗浄水を供給して流入管22Aか
ら排出する洗浄を取り入れても良い。この洗浄の間に、
洗浄水の大部分は、不織布4Aを通過し、濾過体1A,
1B内に蓄積された濁質等を不織布4Aを通して活性汚
泥濾過装置の反応液側へ排出する。 【0023】この洗浄水としては、処理水である濾過水
を用いても良く、別途清浄な水を導入して用いても良
い。 【0024】本発明の活性汚泥用濾過体は、図2に示す
ような構成の濾過体を複数連設して濾過ユニットとして
用いても良く、この場合には、例えば、図3(a)(平
面図),(b)(側面図)に示す如く、濾過体11A,
11B,11C,11Dを適当な間隔で並設し、各濾過
体11A〜11Dの上部に設けられた洗浄水流入管12
A,12B,12C,12Dを連通する洗浄水流入集合
管13と、各濾過体11A〜11Dの下部に設けられた
濾過水取出管14A,14B,14C,14Dを連通す
る濾過水取出集合管15で濾過体11A〜11Dを連結
してユニット化すれば良い。 【0025】図1に示す構成の濾過体を図3,4に示す
如く濾過水取出集合管30Aと洗浄水流入集合管30B
で4個連結した濾過体ユニット30を、生物反応槽31
の一側部に浸漬配置した。この生物反応槽31の他側部
には生物反応に必要な酸素を供給するための散気管32
が設けられている。また、濾過体ユニット30の下方に
は通気管33が設けられている。34は仕切壁である。 【0026】35は処理水(濾過水)槽であり、この処
理水槽35内の処理水を給水ポンプ36で汲み上げて給
水槽37に貯留し、この水を洗浄水流入集合管30Bを
経て濾過体ユニット30の各濾過体に供給するように構
成されている。 【0027】V1,V2,V3,V4はバルブである。 【0028】この活性汚泥濾過装置では、濾過運転時
(生物反応処理時)には、生物反応槽31に原水を供給
すると共に、散気管32から空気等の酸素含有ガスを散
気して生物処理を行い、生物処理液を濾過体ユニット3
0で水頭差ΔHによる駆動力で濾過を行い、処理水(濾
過水)を濾過水取出集合管30Aを経て処理水槽35に
導入する。即ち、生物反応槽31の水位よりも処理水槽
35の水位を低水位とし、この水頭差ΔHを駆動力とし
て濾過を進行させる。 【0029】長時間濾過を継続すると、濾過体ユニット
30の各濾過体の不織布面に形成された濾過層が圧密化
し、濾過抵抗が増大し、濾過水量が低下してくるため、
定期的に濾過体のガス洗浄を行う。即ち、バルブV1を
開いて通気管33より曝気を行うことにより、濾過体の
不織布表面の濾過層を気液混合流の掃流で洗浄除去す
る。なお、このガス洗浄時には、通常、散気管32から
の散気は停止する。このようにガス洗浄時に散気を停止
するようにすることにより、散気管32と通気管33と
で空気供給用のブロワ等を共用することができる。 【0030】濾過体ユニット30の各濾過体内の洗浄
は、上記ガス洗浄と同時に行っても良く、ガス洗浄とは
別に独立して行っても良い。 【0031】この洗浄に当っては、原水の供給を停止す
ると共に、バルブV2を開として、給水槽37内の水を
洗浄水として自然流下で洗浄水流入集合管30Bを経て
濾過体ユニット30内に供給する(なお、この洗浄水の
供給は処理水槽35から給水ポンプ36より、直接行っ
ても良い。)。この洗浄水の一部は不織布を通過して生
物反応槽31の液側に流出し、その過程で濾過体内の濁
質等を排出する。また、洗浄水の残部は濾過水取出集合
管30Aより排出され、その過程で濾過体内の濁質等を
処理水槽35側へ排出する。この排出液は、再度処理を
要する場合には、バルブV4を開として給水ポンプ36
で原水槽(図示せず)又は生物反応槽31に返送され
る。 【0032】以下に図4に示す洗浄水濾過装置により、
合成下水の生物処理を行った場合の具体的な実施例を示
す。 【0033】合成下水は流入BOD量が300mg/L
となるように生物反応槽31に導入し、生物反応槽1の
MLSSは約4000mg/Lに維持し、BOD−SS
負荷は約0.15kg/kg・日とした。 【0034】また、濾過体ユニット30の各濾過体の各
部の仕様は次の通りであり、この濾過体ユニット30の
濾過有効面積は濾過体1枚当り約0.4m2であった。 【0035】支持体:塩化ビニル製 外寸47cm×51cm×15cm厚さ 空洞部の大きさ42cm×46cm スペーサ:SUS304製金網状スペーサ 目開き3.5mm 不織布:ユニチカ製ポリエステル不織布(品番2015
7 WTD) 目付量15g/m2 分離粒径100μm 厚さ0.11mm 【0036】濾過体ユニット30の濾過水(処理水)
は、静水位に対して25cmの水頭差を駆動圧として取
り出した。 【0037】このような活性汚泥濾過装置において、3
時間の濾過運転毎に3分の洗浄運転を行った。 【0038】洗浄運転時には、通水を停止すると共に散
気管32の曝気を停止し、洗浄水流入集合管30Bから
処理水を3L/分で濾過体ユニット30の各濾過体内に
導入した。また、通気管33から4m3/時で曝気を行
った。 【0039】その結果、1000時間の運転継続後にお
いても2m3/m2/日の濾過速度を安定して得ること
ができた。また、洗浄時に濾過体内が洗浄水で満たされ
るために、各洗浄運転後の濾過運転再開時の濾過水の水
質低下が防止され、約5分後には得られる濾過水の濁度
は10度以下になり濾過水質は安定した。 【0040】1000時間の運転後、濾過体を引き上げ
て観察したところ、濁質等による濾過体内の濾過水流路
の閉塞等は認められなかった。 【0041】 【発明の効果】以下詳述した通り、本発明の活性汚泥用
濾過体は、活性汚泥を長期に亘り安定かつ効率的に分離
することができるため、このような活性汚泥用濾過体を
活性汚泥濾過装置に浸漬して用いることにより、生物処
理の固液分離を、沈殿池や膜分離手段を必要とすること
なく、低動力で安定かつ確実に行うことができ、処理効
率の向上と省エネルギー及び省スペース化を図ることが
できる。
一例を示す図であって、(a)図は一部切欠正面図、
(b)図は(a)図のB−B線に沿う断面図である。 【図2】本発明の活性汚泥用濾過体の実施の形態を示す
断面図である。 【図3】本発明の活性汚泥用濾過体の実施の形態の更に
別の例を示す図であって、(a)図は平面図、(b)図
は側面図である。 【図4】活性汚泥用濾過体を用いた活性汚泥濾過装置を
示す断面図である。 【符号の説明】1 A,1B 濾過体2 A 支持体3 A スペーサ4 A 不織布5 A 取付枠 6 支持部材 30 濾過体ユニット 30A 濾過水取出集合管 30B 洗浄水流入集合管 31 生物反応槽 32 散気管 33 通気管 34 仕切壁 35 処理水槽 36 給水ポンプ 37 給水槽
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 活性汚泥を濾過するための濾過体であっ
て、 支持体と、 該支持体の外面に沿って設けられた不織布と、 該不織布を透過してきた濾過水の流通路と、 該濾過水流通路からの濾過水の取出と該流通路への洗浄
水の供給とを行う流路とを備えてなり、 前記支持体は前記不織布と対面する部分が空洞又は凹部
となっており、 該不織布は、該空洞又は凹部を塞ぐように設けられた通
水性支持部材に支持されていることを特徴とする 活性汚
泥用濾過体。
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第34回下水道研究発表会講演集,社団法人日本下水道協会,1997年 6月25日,647〜649 |
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JPH1119677A (ja) | 1999-01-26 |
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