JP3384116B2 - 単結晶Si製カンチレバーの製造方法及び走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents
単結晶Si製カンチレバーの製造方法及び走査型プローブ顕微鏡Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走査型プローブ顕微鏡
及びその顕微鏡に使用される探針付きカンチレバーを作
製する方法に関する。
及びその顕微鏡に使用される探針付きカンチレバーを作
製する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属や半導体の試料面上の微細構造を測
定する有力な装置として走査型トンネル顕微鏡(ST
M:Scanning Tunneling Microscope)がある。
定する有力な装置として走査型トンネル顕微鏡(ST
M:Scanning Tunneling Microscope)がある。
【0003】また、最近では、そのSTMの技術を応用
して、探針先端と試料との間に働く量(原子間の引力
等)をプローブとして試料表面の微細構造を測定する走
査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microsco
pe)が開発されている。
して、探針先端と試料との間に働く量(原子間の引力
等)をプローブとして試料表面の微細構造を測定する走
査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microsco
pe)が開発されている。
【0004】この走査型プローブ顕微鏡は、探針をもつ
カンチレバーを試料表面に沿って2次元状に走査する
と、そのカンチレバーが試料の表面形状に応じて上下運
動する点を利用し、レバーの上下動を検出することによ
り試料表面の微細形状を原子レベルで測定する装置であ
る。
カンチレバーを試料表面に沿って2次元状に走査する
と、そのカンチレバーが試料の表面形状に応じて上下運
動する点を利用し、レバーの上下動を検出することによ
り試料表面の微細形状を原子レベルで測定する装置であ
る。
【0005】そして、走査型プローブ顕微鏡では、カン
チレバーとして、従来、異方性エッチング等を利用した
Si微細加工技術によって作製された構造体が使用され
ている。その作製方法の例を、以下、図6に示す工程
(1)〜(5) を参照しつつ説明する。
チレバーとして、従来、異方性エッチング等を利用した
Si微細加工技術によって作製された構造体が使用され
ている。その作製方法の例を、以下、図6に示す工程
(1)〜(5) を参照しつつ説明する。
【0006】(1) Si基板101に対してKOHなどの
エッチャントによって異方性エッチングを行ってV字形
の凹みを形成した後、(2) その基板101表面を酸化し
て酸化膜(SiO2 )102を形成し、次いで(3) CV
D法等によりSi窒化膜103を成膜する。この後、
(4) 基板101の成膜側の面にガラス104を接合し、
この状態で、(5) Si基板101及び酸化膜102をエ
ッチングして、Si窒化膜103製の構造体つまりカン
チレバーを得る。
エッチャントによって異方性エッチングを行ってV字形
の凹みを形成した後、(2) その基板101表面を酸化し
て酸化膜(SiO2 )102を形成し、次いで(3) CV
D法等によりSi窒化膜103を成膜する。この後、
(4) 基板101の成膜側の面にガラス104を接合し、
この状態で、(5) Si基板101及び酸化膜102をエ
ッチングして、Si窒化膜103製の構造体つまりカン
チレバーを得る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のカン
チレバーは、レバー部がSi窒化膜(SiN等)で形成
されているため、機械的性質があまり良くなく疲労が生
じやすい点、さらにSiN等はクリープ・ヒステリシス
が比較的大きく、ばね材料としての性質が良くない等の
欠点があり、そのため、この種のSi窒化膜製のカンチ
レバーを使用した走査型プローブ顕微鏡では、装置寿命
や動作の安定性の面において問題が残されている。
チレバーは、レバー部がSi窒化膜(SiN等)で形成
されているため、機械的性質があまり良くなく疲労が生
じやすい点、さらにSiN等はクリープ・ヒステリシス
が比較的大きく、ばね材料としての性質が良くない等の
欠点があり、そのため、この種のSi窒化膜製のカンチ
レバーを使用した走査型プローブ顕微鏡では、装置寿命
や動作の安定性の面において問題が残されている。
【0008】また、上記したカンチレバーの作製手順で
は、KOHによるSiエッチング後に、酸化あるいはC
VDなどの高温プロセスを実施するため、酸化炉あるい
はCVD装置がK(カリウム)などのアルカリ汚染の影
響を受ける。ここで、Kイオン等は半導体デバイスの性
能を劣化させるため、前記のように炉内がKイオン等に
より汚染されると、その酸化炉あるいはCVD装置等を
他のSiプロセスに使用できなくなる。
は、KOHによるSiエッチング後に、酸化あるいはC
VDなどの高温プロセスを実施するため、酸化炉あるい
はCVD装置がK(カリウム)などのアルカリ汚染の影
響を受ける。ここで、Kイオン等は半導体デバイスの性
能を劣化させるため、前記のように炉内がKイオン等に
より汚染されると、その酸化炉あるいはCVD装置等を
他のSiプロセスに使用できなくなる。
【0009】本発明はそのような事情に鑑みてなされた
もので、装置寿命が長くて動作の安定性が優れた走査型
プローブ顕微鏡を提供することを目的とし、その目的を
達成するため、機械的性質等が優れた単結晶Si製カン
チレバーを作製する方法を提供する。
もので、装置寿命が長くて動作の安定性が優れた走査型
プローブ顕微鏡を提供することを目的とし、その目的を
達成するため、機械的性質等が優れた単結晶Si製カン
チレバーを作製する方法を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明方法は、Si基板
の微細加工により探針をもつカンチレバーを作製する方
法であって、実施例に対応する図2に示すように、単結
晶Si基板(n型)11の表面にマスク(フォトレジス
ト)14を形成して、探針の形成部に相応する領域のみ
被覆した状態で、その基板11中に表面側から基板とは
導電型が異なる不純物を導入して不純物層(p型層)1
5を形成した後、熱処理により不純物を拡散して、マス
ク14の下方に相当する部分で不純物層15の下面側に
探針1aを形成し、次いで、基板11を裏面側からエッ
チングし、そのエッチング面が不純物層15の下面から
所定距離に達した時点で当該エッチングを停止してレバ
ー部1bを形成し、この後、不純物層15のみを選択的
にエッチングすることによって特徴づけられる。
の微細加工により探針をもつカンチレバーを作製する方
法であって、実施例に対応する図2に示すように、単結
晶Si基板(n型)11の表面にマスク(フォトレジス
ト)14を形成して、探針の形成部に相応する領域のみ
被覆した状態で、その基板11中に表面側から基板とは
導電型が異なる不純物を導入して不純物層(p型層)1
5を形成した後、熱処理により不純物を拡散して、マス
ク14の下方に相当する部分で不純物層15の下面側に
探針1aを形成し、次いで、基板11を裏面側からエッ
チングし、そのエッチング面が不純物層15の下面から
所定距離に達した時点で当該エッチングを停止してレバ
ー部1bを形成し、この後、不純物層15のみを選択的
にエッチングすることによって特徴づけられる。
【0011】本発明の装置は、試料面上の微細構造を測
定する顕微鏡であって、前記した本発明の製造方法にて
製作された単結晶Si製カンチレバーと、試料を上記単
結晶Si製カンチレバーの探針に対して2次元方向に走
査するステージと、このステージと上記探針先端との間
の距離の変化を検出する手段を備えていることによって
特徴づけられる。
定する顕微鏡であって、前記した本発明の製造方法にて
製作された単結晶Si製カンチレバーと、試料を上記単
結晶Si製カンチレバーの探針に対して2次元方向に走
査するステージと、このステージと上記探針先端との間
の距離の変化を検出する手段を備えていることによって
特徴づけられる。
【0012】
【作用】まず、基板にフォトレジスト等によってマスク
をパターニングした後、イオン注入したときのイオン入
射方向に平行な断面での分布は図3のようになる(S.M.
Sze, VLSI Technology)。すなわち、入射イオンは基板
中の原子によって散乱を受け、マスク下面まで廻り込
み、入射面内である分布をもつようになる。
をパターニングした後、イオン注入したときのイオン入
射方向に平行な断面での分布は図3のようになる(S.M.
Sze, VLSI Technology)。すなわち、入射イオンは基板
中の原子によって散乱を受け、マスク下面まで廻り込
み、入射面内である分布をもつようになる。
【0013】また、マスク形状を変えた場合には、その
不純物層(p型層)の分布は、図4(A) のようになり、
さらに熱処理を加えることによって、最終的にp型層は
図4(B) に示す分布となる。このp型層は電気化学的方
法を用いて選択的にエッチングして除去することがで
き、その結果、n型層のみが残り、鋭い先端部をもつ単
結晶Si構造体を得ることができる。従って、このよう
な方法を採用することにより、探針及びレバー部が単結
晶Siで構成されたカンチレバーを作製することができ
る。
不純物層(p型層)の分布は、図4(A) のようになり、
さらに熱処理を加えることによって、最終的にp型層は
図4(B) に示す分布となる。このp型層は電気化学的方
法を用いて選択的にエッチングして除去することがで
き、その結果、n型層のみが残り、鋭い先端部をもつ単
結晶Si構造体を得ることができる。従って、このよう
な方法を採用することにより、探針及びレバー部が単結
晶Siで構成されたカンチレバーを作製することができ
る。
【0014】ここで、単結晶Si構造体は機械的性質が
優れており、その単結晶Siでカンチレバーを構成する
と、レバー部1bの耐久性が高くなり、ひいては走査型
プローブ顕微鏡の装置寿命が長くなる。また、単結晶S
i構造体はクリープ・ヒステリシスが小さく、ばね材料
として理想的な性質であることから、走査型プローブ顕
微鏡の動作の安定性が、SiN薄膜製のカンチレバーを
使用する場合に比して向上する。
優れており、その単結晶Siでカンチレバーを構成する
と、レバー部1bの耐久性が高くなり、ひいては走査型
プローブ顕微鏡の装置寿命が長くなる。また、単結晶S
i構造体はクリープ・ヒステリシスが小さく、ばね材料
として理想的な性質であることから、走査型プローブ顕
微鏡の動作の安定性が、SiN薄膜製のカンチレバーを
使用する場合に比して向上する。
【0015】
【実施例】図1は本発明実施例である走査型プローブ顕
微鏡の構成を示すブロック図である。
微鏡の構成を示すブロック図である。
【0016】まず、この例の顕微鏡の機構部は、試料S
が置かれるステージ2と、その上方に配置されるカンチ
レバー1と、このカンチレバー1のZ軸方向の変位を検
出する変位検出器3によって主に構成されており、ま
た、制御系として走査制御回路4及び位置制御回路5が
設けられている。
が置かれるステージ2と、その上方に配置されるカンチ
レバー1と、このカンチレバー1のZ軸方向の変位を検
出する変位検出器3によって主に構成されており、ま
た、制御系として走査制御回路4及び位置制御回路5が
設けられている。
【0017】走査制御回路4はステージ2のX−Y軸の
移動を制御する回路である。また、位置制御回路5は、
変位検出器3の出力信号に基づいて、カンチレバー1の
探針1aの位置の制御つまりカンチレバー1の撓みを一
定にすべく、ステージ2をZ軸方向に移動するための回
路で、このように探針1aの位置を制御することによ
り、探針1aが試料Sから受ける力を一定にすることが
できる。
移動を制御する回路である。また、位置制御回路5は、
変位検出器3の出力信号に基づいて、カンチレバー1の
探針1aの位置の制御つまりカンチレバー1の撓みを一
定にすべく、ステージ2をZ軸方向に移動するための回
路で、このように探針1aの位置を制御することによ
り、探針1aが試料Sから受ける力を一定にすることが
できる。
【0018】そして、以上の構造の走査型プローブ顕微
鏡では、カンチレバー1の探針1aの位置を一定に制御
しつつ、この探針1aに対して試料Sを走査するといっ
た動作(ダイナミックモード)での観察が可能で、その
走査過程おいて位置制御回路5がステージ2を駆動制御
(Z軸)する量が、試料Sの表面形状を表す情報とな
る。
鏡では、カンチレバー1の探針1aの位置を一定に制御
しつつ、この探針1aに対して試料Sを走査するといっ
た動作(ダイナミックモード)での観察が可能で、その
走査過程おいて位置制御回路5がステージ2を駆動制御
(Z軸)する量が、試料Sの表面形状を表す情報とな
る。
【0019】なお、この例の顕微鏡において、位置制御
回路5による駆動制御を行わず、カンチレバー1の探針
1aの先端を試料Sの表面に接触させてた状態でX−Y
走査を行う動作つまり接触モードでの観察も可能であ
る。その場合、変位検出器3の出力信号を記録すること
により表面観察像を得ることができる。
回路5による駆動制御を行わず、カンチレバー1の探針
1aの先端を試料Sの表面に接触させてた状態でX−Y
走査を行う動作つまり接触モードでの観察も可能であ
る。その場合、変位検出器3の出力信号を記録すること
により表面観察像を得ることができる。
【0020】さて、本発明実施例において注目すべきと
ころは、カンチレバー1として探針1a及びレバー部1
bが単結晶Siで作製された構造体を用いている点にあ
る。その単結晶Si製のカンチレバー1を作製する手順
を、以下、図2に示す工程(1)〜(7) を参照して説明す
る。
ころは、カンチレバー1として探針1a及びレバー部1
bが単結晶Siで作製された構造体を用いている点にあ
る。その単結晶Si製のカンチレバー1を作製する手順
を、以下、図2に示す工程(1)〜(7) を参照して説明す
る。
【0021】(1):n〔単結晶Si〕型基板11の表面
側に、1×1019程度の表面濃度をもつp型拡散層12
を形成する。 (2):n型基板11の裏面側に、1×1019程度の表面
濃度をもつn型拡散層13を形成する。
側に、1×1019程度の表面濃度をもつp型拡散層12
を形成する。 (2):n型基板11の裏面側に、1×1019程度の表面
濃度をもつn型拡散層13を形成する。
【0022】(3):フォトリソグラフィにより探針の形
成部に相応する部分にフォトレジスト14を形成した
後、このフォトレジスト14をマスクとして、イオン注
入〔B;1MeV,ドーズ量 1.0×1013/cm2〕を行っ
てp型層15を形成する。このとき、注入イオンはフォ
トレジスト14の下面にまで廻り込み、フォトレジスト
14の下方のイオン非注入部分(n型層)は鼓形にな
る。
成部に相応する部分にフォトレジスト14を形成した
後、このフォトレジスト14をマスクとして、イオン注
入〔B;1MeV,ドーズ量 1.0×1013/cm2〕を行っ
てp型層15を形成する。このとき、注入イオンはフォ
トレジスト14の下面にまで廻り込み、フォトレジスト
14の下方のイオン非注入部分(n型層)は鼓形にな
る。
【0023】(4):先の工程(3) で打ち込んだイオンを
電気的に活性にするため、必要なアニール〔1000℃;30m
in〕を行う。この熱処理により、注入不純物は拡散し、
図に示す分布、すなわちフォトレジスト14の下方でp
型層15の中央部が繋がった形状の分布となり、このp
型層15の下面のn型層に目的とする形状の探針1aが
形成される。以上の熱処理は酸素あるいは水蒸気雰囲気
中で行い、熱処理が完了した後、n型基板11の表面と
裏面にそれぞれ酸化膜(SiO2 )16が形成されるよ
うにする。
電気的に活性にするため、必要なアニール〔1000℃;30m
in〕を行う。この熱処理により、注入不純物は拡散し、
図に示す分布、すなわちフォトレジスト14の下方でp
型層15の中央部が繋がった形状の分布となり、このp
型層15の下面のn型層に目的とする形状の探針1aが
形成される。以上の熱処理は酸素あるいは水蒸気雰囲気
中で行い、熱処理が完了した後、n型基板11の表面と
裏面にそれぞれ酸化膜(SiO2 )16が形成されるよ
うにする。
【0024】(5):n型基板11の裏面側の酸化膜16
の一部を除去し、カンチレバーの支持部1cとなる部分
には酸化膜16を残した状態で、n型基板11をエッチ
ングする。このとき、エッチングはn型基板11の裏面
側から進行することになり、そのエッチング面がp型層
15の下面から所定距離に達した時点でエッチングを停
止する。すなわち、n型層が所望の厚さになるまでエッ
チングを行ってレバー部1bを形成する。
の一部を除去し、カンチレバーの支持部1cとなる部分
には酸化膜16を残した状態で、n型基板11をエッチ
ングする。このとき、エッチングはn型基板11の裏面
側から進行することになり、そのエッチング面がp型層
15の下面から所定距離に達した時点でエッチングを停
止する。すなわち、n型層が所望の厚さになるまでエッ
チングを行ってレバー部1bを形成する。
【0025】(6):先の工程(1),(2) で形成したp型拡
散層12及びn型拡散層13の各表面に、それぞれ金属
膜17及び18を、例えば蒸着法により形成する。 (7):金属膜17及び18に配線を行った後に、n型基
板11の全体をKOHなどのエッチャントに浸漬し、こ
の状態で、n型基板11のp型拡散層12,n型拡散層
13及びエッチャントに必要な電位を与えてエッチング
を行う。
散層12及びn型拡散層13の各表面に、それぞれ金属
膜17及び18を、例えば蒸着法により形成する。 (7):金属膜17及び18に配線を行った後に、n型基
板11の全体をKOHなどのエッチャントに浸漬し、こ
の状態で、n型基板11のp型拡散層12,n型拡散層
13及びエッチャントに必要な電位を与えてエッチング
を行う。
【0026】このとき、p型拡散層12つまりp型層1
5に与える電位を適当な値、例えばエッチャント(溶
液)の基準電位〔飽和カロメル電極の電極電位〕に対し
てp型層15が 1.5V程度の値になるように設定する
と、p型層のみが選択的にエッチングされる(IEEE TRA
NSACTIONS ON ELECTORON DEVICES VOL 36. No.4 April
1989)。そして、このようなエッチングによりp型層1
5を除去することによって鋭い探針1aをもつ単結晶S
i製カンチレバー1を得ることができる。
5に与える電位を適当な値、例えばエッチャント(溶
液)の基準電位〔飽和カロメル電極の電極電位〕に対し
てp型層15が 1.5V程度の値になるように設定する
と、p型層のみが選択的にエッチングされる(IEEE TRA
NSACTIONS ON ELECTORON DEVICES VOL 36. No.4 April
1989)。そして、このようなエッチングによりp型層1
5を除去することによって鋭い探針1aをもつ単結晶S
i製カンチレバー1を得ることができる。
【0027】ここで、以上のプロセスにおいて、工程
(3) のマスク形状、イオン注入のエネルギ・ドーズ量、
並びに工程(4) の熱処理条件などのパラメータを変化さ
せることにより、様々な形状の探針を得ることができ
る。
(3) のマスク形状、イオン注入のエネルギ・ドーズ量、
並びに工程(4) の熱処理条件などのパラメータを変化さ
せることにより、様々な形状の探針を得ることができ
る。
【0028】なお、以上の実施例では、p型層の選択エ
ッチングの際に、p型層15,n型基板11及びエッチ
ャントへの電位付与のための電極と、飽和カロメル電極
の4電極を使用する、いわゆる4電極法を採用している
が、p型層15には電位を付与しない状態でエッチング
を行う3電極法を採用してもよい。この場合、図2に示
した工程(1) のプロセスを省略できる。また、エッチャ
ントとしてはKOHのほか、例えばEDP(Ethylene di
amine Pyrocatechol) 等の他の溶液を使用してもよい。
ッチングの際に、p型層15,n型基板11及びエッチ
ャントへの電位付与のための電極と、飽和カロメル電極
の4電極を使用する、いわゆる4電極法を採用している
が、p型層15には電位を付与しない状態でエッチング
を行う3電極法を採用してもよい。この場合、図2に示
した工程(1) のプロセスを省略できる。また、エッチャ
ントとしてはKOHのほか、例えばEDP(Ethylene di
amine Pyrocatechol) 等の他の溶液を使用してもよい。
【0029】さらに、基板に不純物を導入する方法とし
ては、イオン注入に代えて熱拡散法を採用してもよい。
さらにまた、以上の実施例では、n型基板の加工により
カンチレバーを得る工程を説明したが、p型基板にn型
の不純物を導入して、そのn型層を選択的にエッチング
する方法でも本発明は実施可能である。この場合、n型
層の選択エッチングにはパルス電流陽極酸化法を利用し
た方法、すなわち、図5に示すように、基板51をエッ
チャント(KOH)中に浸漬した状態で、電極(Pt )
52及びp型層にパルス電流を通電すると、p型層側は
ホール電流により厚い酸化膜が形成されるが、n型層の
表面には薄い酸化膜しか形成されず、n型層のみがKO
Hでエッチングされる、といった方法を採用する。
ては、イオン注入に代えて熱拡散法を採用してもよい。
さらにまた、以上の実施例では、n型基板の加工により
カンチレバーを得る工程を説明したが、p型基板にn型
の不純物を導入して、そのn型層を選択的にエッチング
する方法でも本発明は実施可能である。この場合、n型
層の選択エッチングにはパルス電流陽極酸化法を利用し
た方法、すなわち、図5に示すように、基板51をエッ
チャント(KOH)中に浸漬した状態で、電極(Pt )
52及びp型層にパルス電流を通電すると、p型層側は
ホール電流により厚い酸化膜が形成されるが、n型層の
表面には薄い酸化膜しか形成されず、n型層のみがKO
Hでエッチングされる、といった方法を採用する。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
単結晶Si基板の表面にマスクを形成し、イオン注入な
どの方法により、基板中に導電型が異なる不純物層を形
成した後、熱処理を行って上記マスクの下方に相当する
部分で上記不純物層の下面側に探針を形成し、次いで基
板エッチングによりレバー部を形成し、この後、不純物
層のみを選択的にエッチングすることによって単結晶S
i製のカンチレバーを得るので、ウェットエッチングの
後の高温の熱処理(酸化)工程が不要となり、これによ
り、KOHなどのエッチャントによる、処理炉の汚染の
可能性がない。また、従来行われていたガラスとの接合
工程も不要となり、プロセスに要する時間を短縮でき
る。しかも、基板エッチングによりレバー部を作製する
ので、その厚さを任意に選ぶことが可能で、これによ
り、SiNなどの薄膜を構造体とする場合に比べ、実現
できるばね定数の範囲が広がる。
単結晶Si基板の表面にマスクを形成し、イオン注入な
どの方法により、基板中に導電型が異なる不純物層を形
成した後、熱処理を行って上記マスクの下方に相当する
部分で上記不純物層の下面側に探針を形成し、次いで基
板エッチングによりレバー部を形成し、この後、不純物
層のみを選択的にエッチングすることによって単結晶S
i製のカンチレバーを得るので、ウェットエッチングの
後の高温の熱処理(酸化)工程が不要となり、これによ
り、KOHなどのエッチャントによる、処理炉の汚染の
可能性がない。また、従来行われていたガラスとの接合
工程も不要となり、プロセスに要する時間を短縮でき
る。しかも、基板エッチングによりレバー部を作製する
ので、その厚さを任意に選ぶことが可能で、これによ
り、SiNなどの薄膜を構造体とする場合に比べ、実現
できるばね定数の範囲が広がる。
【0031】そして、以上の作製方法で得られる単結晶
Si製カンチレバーは、機械的性質に優れ、しかもクリ
ープ・ヒステリシスが小さくてばね性にも優れており、
従ってこのようなカンチレバーを使用した本発明の走査
型プローブ顕微鏡は、装置寿命が長くて動作の安定性が
良い。また、単結晶Siは導電性があることから、観察
の際におけるチャージアップの影響も防ぐことができ
る。
Si製カンチレバーは、機械的性質に優れ、しかもクリ
ープ・ヒステリシスが小さくてばね性にも優れており、
従ってこのようなカンチレバーを使用した本発明の走査
型プローブ顕微鏡は、装置寿命が長くて動作の安定性が
良い。また、単結晶Siは導電性があることから、観察
の際におけるチャージアップの影響も防ぐことができ
る。
【0032】さらに、ばね定数の大きなカンチレバーを
作製できることから、走査型プローブ顕微鏡において、
ダイナミックモードで試料の表面像を得るにあたり、高
い周波数での測定が可能になり、これにより分解能が向
上するといった効果も達成できる。
作製できることから、走査型プローブ顕微鏡において、
ダイナミックモードで試料の表面像を得るにあたり、高
い周波数での測定が可能になり、これにより分解能が向
上するといった効果も達成できる。
【図1】本発明実施例の顕微鏡の構成を示すブロック図
【図2】本発明実施例のカンチレバーの作製方法の手順
を説明する図
を説明する図
【図3】本発明方法の作用説明図
【図4】同じく作用説明図
【図5】n型層を選択的にエッチングする方法の説明図
【図6】探針付きカンチレバーの作製方法の従来の例を
示す図
示す図
1 カンチレバー(単結晶Si製)
1a 探針
1b レバー部
1c 支持部
2 ステージ
3 変位検出器
4 走査制御回路
5 位置制御回路
11 n型基板(単結晶Si)
14 フォトレジスト(マスク)
15 p型層
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(56)参考文献 特開 平4−233128(JP,A)
特開 平6−10158(JP,A)
特開 平6−290730(JP,A)
特開 平6−213654(JP,A)
特開 平6−34361(JP,A)
特開 平6−150405(JP,A)
特開 平3−218998(JP,A)
特開 平4−22809(JP,A)
特表 平10−510620(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
G01N 13/00 - 13/24
G12B 21/00 - 21/24
C30B 29/06
H01L 21/265
H01L 21/66
JICSTファイル(JOIS)
Claims (2)
- 【請求項1】 Si基板の微細加工により探針をもつカ
ンチレバーを作製する方法であって、単結晶Si基板の
表面にマスクを形成して、探針の形成部に相応する領域
のみを被覆した状態で、その基板中に表面側から当該基
板とは導電型が異なる不純物を導入して不純物層を形成
した後、熱処理により上記不純物を拡散して、上記マス
クの下方に相当する部分で上記不純物層の下面側に探針
を形成し、次いで、上記基板を裏面側からエッチング
し、そのエッチング面が上記不純物層の下面から所定距
離に達した時点で当該エッチングを停止してレバー部を
形成し、この後、上記不純物層のみを選択的にエッチン
グすることを特徴とする単結晶Si製カンチレバーの製
造方法。 - 【請求項2】 試料面上の微細構造を測定する顕微鏡で
あって、請求項1記載の製造方法にて製作された単結晶
Si製カンチレバーと、試料を上記単結晶Si製カンチ
レバーの探針に対して2次元方向に走査するステージ
と、このステージと上記探針先端との間の距離の変化を
検出する手段を備えていることを特徴とする走査型プロ
ーブ顕微鏡。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14776594A JP3384116B2 (ja) | 1994-06-29 | 1994-06-29 | 単結晶Si製カンチレバーの製造方法及び走査型プローブ顕微鏡 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14776594A JP3384116B2 (ja) | 1994-06-29 | 1994-06-29 | 単結晶Si製カンチレバーの製造方法及び走査型プローブ顕微鏡 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0815283A JPH0815283A (ja) | 1996-01-19 |
JP3384116B2 true JP3384116B2 (ja) | 2003-03-10 |
Family
ID=15437674
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14776594A Expired - Fee Related JP3384116B2 (ja) | 1994-06-29 | 1994-06-29 | 単結晶Si製カンチレバーの製造方法及び走査型プローブ顕微鏡 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3384116B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
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CN100447542C (zh) * | 2006-05-31 | 2008-12-31 | 北京大学 | Mems力学微探针及其制备方法 |
-
1994
- 1994-06-29 JP JP14776594A patent/JP3384116B2/ja not_active Expired - Fee Related
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