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JP3374169B2 - セラミックス複合材料 - Google Patents

セラミックス複合材料

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Publication number
JP3374169B2
JP3374169B2 JP10582796A JP10582796A JP3374169B2 JP 3374169 B2 JP3374169 B2 JP 3374169B2 JP 10582796 A JP10582796 A JP 10582796A JP 10582796 A JP10582796 A JP 10582796A JP 3374169 B2 JP3374169 B2 JP 3374169B2
Authority
JP
Japan
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fiber
stepwise
continuously
amorphous
layer
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JP10582796A
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English (en)
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JPH09286672A (ja
Inventor
泰広 塩路
光彦 佐藤
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Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
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Publication date
Application filed by Ube Industries Ltd filed Critical Ube Industries Ltd
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Publication of JPH09286672A publication Critical patent/JPH09286672A/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミックス複合
材料に関し、更に詳しくは、耐熱性、耐蝕性及び機械的
特性に優れたセラミックス複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、宇宙・航空分野等に用いる材料として、耐熱性、機
械的特性に優れた材料が種々開発されており、その代表
的なものとしてセラミックス複合材料等が提案されてい
る。
【0003】特に近年においては、上記セラミックス複
合材料に対して、力学的強度及び破壊靱性等の物性に優
れることが要求されており、かかる物性を要求されてい
るレベルとするために、繊維とマトリックスとの間に界
面層を形成することが重要となっている。即ち、繊維と
マトリックスとの間に、繊維とマトリックスの結合強
度、繊維とマトリックスとの熱物性の違い及び弾性率等
の違いを調整するために、界面層を形成させることが必
要であることが提言されている〔“Acta metall., Vol.
34,No.12, p.2435 (1986). ”,“Ceramic Bulletin, V
ol.68, No.2, p.395 (1989). ”,“Ceramic Bulletin,
Vol.68, No.2, p.429 (1989). ”,“J. Am. Ceram. S
oc., Vol.73, No.6, p.1691 (1990).”,“Composites,
Vol.21, No.4, p.305 (1990). ”〕。
【0004】従来、上記界面層としては、炭素界面層あ
るいは窒化ホウ素界面層が提案されており、化学気相析
出法により炭素あるいは窒化ホウ素を被覆したSi−C
繊維〔「ハイニカロン」登録商標、日本カーボン(株)
製〕、Si−C−O繊維〔「ニカロン」登録商標、日本
カーボン(株)製〕、SiC繊維〔「SCS繊維」登録
商標、米国テキストロン社製〕あるいは、繊維最表面に
炭素層を持つSi−Ti−C−O繊維〔「チラノ繊維
(TM−S5、TY−F1)」登録商標、宇部興産
(株)製〕を無機繊維として使用することにより、セラ
ミックス複合材料中の繊維とマトリックスとの間に形成
させている。そして、上記炭素界面層及び上記窒化ホウ
素界面層は、酸素及び水蒸気のない雰囲気中では高温で
の無機繊維とマトリックスとの反応を抑制するので、該
炭素界面層及び窒化ホウ素層を有する上記複合材料は室
温から比較的高温にいたるまでの温度範囲で優れた機械
的特性を示すことが知られている〔“Ceram. Eng. Sc
i., Proc., Vol.5, (7-8), p.513 (1984).”,“Glasse
s and Glass-Ceramics;M.H.Lewis, Ed.; Chapman and H
all: London, 1989; p.336.”,“Proc. 4th Int. Symp
o. Ultra-high Temp. Mater. '94 in Tajimi, Nov.30-D
ec.1, Tajimi (1994), p.86. ”〕。
【0005】しかしながら、上記炭素界面層を形成する
炭素は600℃以上で酸素と反応し〔理化学事典、岩波
書店発行〕、また上記窒化ホウ素界面層を形成する窒化
ホウ素は900℃以上で酸素と反応し〔アドバンスト・
セラミックスの新展開、東レリサーチセンター発行〕、
更に水蒸気の存在下ではこれら以下の温度でそれぞれ容
易に分解する〔化学大事典、共立出版発行〕。そのた
め、大気のような酸素及び水蒸気が存在する環境下で
は、高温での実使用時に炭素又は窒化ホウ素の酸化ある
いは分解により、炭素界面層あるいは窒化ホウ素界面層
が破壊され、その結果、複合材料の機械的特性が損なわ
れる(経時的に劣化する)という問題点を有している
〔“Glasses and Glass-Ceramics; M.H.Lewis, Ed.; Ch
apman and Hall: London, 1989; p.336.”,“Proc. 4t
h Int. Sympo. Ultra-high Temp. Mater. '94 in Tajim
i; Nov.30-Dec.1, Tajimi (1994), p.86. ”,“Proc.
1993 Powder Metallurgy World Congress; Y.Bando and
K.Kosuge, Eds.; July, 12-15,Kyoto (1993), p.86.
”,“Scripta Metallurgica et Materialia, Vol.31,
No.8, p.959 (1994). ”〕。
【0006】従って、本発明の目的は、大気中のよう
に、酸素及び水蒸気が存在する環境下においても、高温
での実使用時に、機械的特性の低下が少ないセラミック
ス複合材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題を解決するために種々研究した結果、繊維とマトリッ
クスとの間に自己修復性を持つ界面層を形成してなるセ
ラミックス複合材料が、上記目的を達成しうることを知
見した。
【0008】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
のであり、繊維本体と、該繊維本体の表面に位置し、該
繊維本体とは構造が異なる表面層とを有する複数の無機
繊維、及びセラミックスにより形成されており、上記無
機繊維からなる繊維部分、上記セラミックスからなり、
該繊維部分の周囲に位置するマトリックス部分、及び上
記表面層と上記セラミックスとが反応して上記繊維部分
と上記マトリックス部分との間に形成された、自己修復
性を有する界面層を具備し、該界面層の自己修復性は、
該界面層の酸化又は該界面層の周囲の酸化によって形成
された酸化物と、該界面層との反応又は上記無機繊維若
しくは上記セラミックスとの反応によって生じるもので
り、 上記界面層は、その厚さが3nm以上であり、 (g)実質的にSiと、Ti及び/又はZrと、CとO
とからなる非晶質、 (h)上記非晶質並びに1000nm以下のβ−SiC
と、TiC及び/又はZrCと、Cとの結晶質の集合
体、若しくは (i)上記結晶質:並びにその近傍に存在するSiOx
と、TiOx及び/又はZrOx(0<x≦2)とから
なる非晶質の混合系であり、且つ その平均の元素組成
は、Siが0.5〜50wt%、Ti及び/又はZrが
0.05〜20wt%、Cが30〜99.0wt%、O
が0.001〜40wt%であるか、又は (j)実質的にSiと、Cと、Oとからなる非晶質、 (k)上記非晶質並びに1000nm以下のβ−SiC
の結晶質、 (l)上記非晶質及び上記結晶質、若しくは (m)上記非晶質及び/又は上記結晶質と、炭素の凝集
体との混合系であり、且つ その平均組成は、Siが0.
1〜75wt%、Cが25〜99.5wt%、Oが0.
001〜30wt%であ ることを特徴とするセラミック
ス複合材料を提供するものである。
【0009】
【0010】
【0011】また、本発明は、上記繊維本体の構造は、
下記構造であり、上記表面層の構造は、下記構造(A)
又は(B) である上記セラミックス複合材料を提供するも
のである。。
【0012】構造; (a)実質的にSiと、Ti及び/又はZrと、CとO
とからなる非晶質、(b)上記非晶質並びに1000n
m以下のβ−SiCと、TiC及び/又はZrCとの結
晶質の集合体、若しくは(c)上記結晶質並びにその近
傍に存在するSiOxと、TiOx及び/又はZrOx
(0<x≦2)とからなる非晶質の混合系であり、且つ
その平均の元素組成は、Siが30〜80wt%、Ti
及び/又はZrが0.05〜8wt%、Cが15〜69
wt%、Oが0.01〜20.0wt%である構造。
【0013】構造(A) ;Siが0.5〜20wt%から
無機繊維の平均組成値まで連続的あるいは段階的に変化
し、Cが80〜99.5wt%から無機繊維の平均組成
値まで連続的あるいは段階的に変化し、Oが0〜19.
5wt%から無機繊維の平均組成値まで連続的あるいは
段階的に変化すると共に、Ti及び/又はZrを0〜1
0wt%含有する構造。
【0014】構造(B) ;Siが20〜80wt%から0
〜60wt%まで連続的あるいは段階的に変化し、Cが
0〜50wt%から40〜100wt%まで連続的ある
いは段階的に変化し、Oが2〜80wt%から0〜45
wt%まで連続的あるいは段階的に変化すると共に、T
i及び/又はZrを0〜10wt%含有する構造を最外
層として有し、且つSiが0〜60wt%から無機繊維
の平均組成値まで連続的あるいは段階的に変化し、Cが
40〜100wt%から無機繊維の平均組成値まで連続
的あるいは段階的に変化し、Oが0〜45wt%から無
機繊維の平均組成値まで連続的あるいは段階的に変化す
ると共に、Ti及び/又はZrを0〜10wt%含有す
る構造を第2層として有する構造。
【0015】また、本発明は、上記繊維本体の構造は、
下記構造であり、上記表面層の構造は、下記構造(C)
又は(D) である上記セラミックス複合材料を提供するも
のである。。
【0016】構造; (d)実質的にSiと、Cと、Oからなる非晶質、
(e)1000nm以下のβ−SiCの結晶質集合体
と、非晶質SiO2 及び/又は実質的にSiと、Cと、
Oからなる非晶質との集合体、若しくは(f)上記非晶
質及び/又は上記集合体と、炭素の凝集体との混合系で
あり、且つその平均の元素組成は、Siが30〜80w
t%、Cが10〜65wt%、Oが0.01〜25wt
%、Hが2wt%以下である構造。
【0017】構造(C) ;Siが0.5〜20wt%から
無機繊維の平均組成値まで連続的あるいは段階的に変化
し、Cが75〜99wt%から無機繊維の平均組成値ま
で連続的あるいは段階的に変化し、Oが0〜24.5w
t%から無機繊維の平均組成値まで連続的あるいは段階
的に変化する構造。
【0018】構造(D) ;Siが20〜80wt%から0
〜55wt%まで連続的あるいは段階的に変化し、Cが
0〜55wt%から45〜100wt%まで連続的ある
いは段階的に変化し、Oが2〜80wt%から0〜2
4.5wt%まで連続的あるいは段階的に変化する構造
を最外層として有し、且つSiが0〜55wt%から無
機繊維の平均組成値まで連続的あるいは段階的に変化
し、Cが45〜100wt%から無機繊維の平均組成値
まで連続的あるいは段階的に変化し、Oが0〜24.5
wt%から無機繊維の平均組成値まで連続的あるいは段
階的に変化する構造を第2層として有する構造。
【0019】また、本発明は、上記表面層の厚さが、1
0nm以上である上記セラミックス複合材料を提供する
ものである。
【0020】また、本発明は、上記セラミックスが、炭
化物、窒化物、ホウ化物、ケイ化物及び酸化物からなる
群より選択される1種以上である上記セラミックス複合
材料を提供するものである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明のセラミックス複合
材料について更に詳細に説明する。本発明のセラミック
ス複合材料は、繊維本体と、該繊維本体の表面に位置
し、該繊維本体とは構造が異なる表面層とを有する複数
の無機繊維、及びセラミックスにより形成されている。
【0022】尚、本発明において、上記「表面層」と
は、繊維(原材料としての繊維)の表面に公知の物理的
あるいは化学的な手法により膜を被覆して形成された被
覆膜、及び該繊維を処理して表面部分の構造を繊維本体
の構造から変えて、内部構造(繊維本体の構造)とは異
なる構造を繊維の表面部分に形成させた場合の該表面部
分の両者を含む。
【0023】本発明において上記無機繊維の原材料とし
て用いられる上記繊維としては、下記構造を有する繊
維又は下記構造を有する繊維等が好ましく用いられ
る。即ち、上述の如く、該繊維の構造は上記無機繊維に
措ける繊維本体の構造と同じであるので、下記構造及
びは、上記繊維本体の具体例でもある。 構造; (a)実質的にSiと、Ti及び/又はZrと、CとO
とからなる非晶質、(b)上記非晶質並びに1000n
m以下のβ−SiCと、TiC及び/又はZrCとの結
晶質の集合体、若しくは(c)上記結晶質、並びにその
近傍に存在するSiOxと、TiOx及び/又はZrO
x(0<x≦2)とからなる非晶質の混合系であり、且
つその平均の元素組成は、Siが30〜80wt%、T
i及び/又はZrが0.05〜8wt%、Cが15〜6
9wt%、Oが0.01〜20.0wt%である構造。
【0024】構造; (d)実質的にSiと、Cと、Oとからなる非晶質、
(e)1000nm以下のβ−SiCの結晶質集合体並
びに、非晶質SiO2 及び/又は実質的にSiと、C
と、Oとからなる非晶質との集合体、若しくは(f)上
記非晶質及び/又は上記集合体と、炭素の凝集体との混
合系であり、且つその平均の元素組成は、Siが30〜
80wt%、Cが10〜65wt%、Oが0.01〜2
5wt%、Hが2wt%以下、好ましくは0〜0.5w
t%である構造。
【0025】ここで、上記構造の上記(c)における
「その近傍」とは、好ましくは結晶質粒子からの距離が
100nm以下の領域である。
【0026】上記繊維としては、宇部興産(株)から
「チラノ繊維」(登録商標)として市販されているSi
−Ti又はZr−C−Oからなる無機繊維、あるいは日
本カーボン(株)から「ニカロン」(登録商標)あるい
は「ハイニカロン」(登録商標)として市販されている
Si−C−Oからなる無機繊維等の市販品を用いること
もできる。
【0027】また、上記無機繊維において、上記繊維本
体の表面(周方向表面及び端部表面の両方を含む)に形
成される上記表面層は、上述の如く、原材料としての上
記繊維の表面に膜を被覆してなる被覆膜、及び該繊維の
表面部分の構造を変化させたものの両者を含むものであ
る。即ち、上記表面層は、上記繊維の構造そのままの構
造を有する上記繊維本体とは異なる構造を有するもので
あり、この異なる構造を有していれば、各成分の組成や
結晶構造(結晶質であるか又は非晶質であるか等)は特
に制限されないが、上記表面層の構造としては、具体的
には、下記構造 (A)〜(D) 等が挙げられる。
【0028】構造(A) ;Siが0.5〜20wt%から
無機繊維の平均組成値(上述した構造及びに示す元
素組成値を意味する)まで連続的あるいは段階的に変化
し、Cが80〜99.5wt%から無機繊維の平均組成
値まで連続的あるいは段階的に変化し、Oが0〜19.
5wt%から無機繊維の平均組成値まで連続的あるいは
段階的に変化すると共に、Ti及び/又はZrを0〜1
0wt%含有する構造。
【0029】構造(B) ;Siが20〜80wt%から0
〜60wt%まで連続的あるいは段階的に変化し、Cが
0〜50wt%から40〜100wt%まで連続的ある
いは段階的に変化し、Oが2〜80wt%から0〜45
wt%まで連続的あるいは段階的に変化すると共に、T
i及び/又はZrを0〜10wt%含有する構造を最外
層として有し、且つSiが0〜60wt%から無機繊維
の平均組成値まで連続的あるいは段階的に変化し、Cが
40〜100wt%から無機繊維の平均組成値まで連続
的あるいは段階的に変化し、Oが0〜45wt%から無
機繊維の平均組成値まで連続的あるいは段階的に変化す
ると共に、Ti及び/又はZrを0〜10wt%含有す
る構造を第2層(最外層の内側の層)として有する構
造。
【0030】構造(C) ;Siが0.5〜20wt%から
無機繊維の平均組成値まで連続的あるいは段階的に変化
し、Cが75〜99wt%から無機繊維の平均組成値ま
で連続的あるいは段階的に変化し、Oが0〜24.5w
t%から無機繊維の平均組成値まで連続的あるいは段階
的に変化する構造を有する構造。
【0031】構造(D) ;Siが20〜80wt%から0
〜55wt%まで連続的あるいは段階的に変化し、Cが
0〜55wt%から45〜100wt%まで連続的ある
いは段階的に変化し、Oが2〜80wt%から0〜2
4.5wt%まで連続的あるいは段階的に変化する構造
を最外層として有し、且つSiが0〜55wt%から無
機繊維の平均組成値まで連続的あるいは段階的に変化
し、Cが45〜100wt%から無機繊維の平均組成値
まで連続的あるいは段階的に変化し、Oが0〜24.5
wt%から無機繊維の平均組成値まで連続的あるいは段
階的に変化する構造を第2層として有する構造。
【0032】上記構造(A) 〜 (D)において、「連続的」
とは、表面層の厚さ方向における各元素の組成が徐々に
変化しており、例えば図1に示すように各成分の組成値
が実質的に連続している状態を示す。また、「段階的」
とは、表面層が、各成分の組成値が実質的に連続してい
る複数の領域に分割されており、各領域間では、各元素
の組成が急激に変化してその組成値が実質的に連続して
いない(各領域間において非連続的に変化している)状
態を示す。また、上記の「連続的あるいは段階的な変
化」は、ランダムな変化を意味し、従って、図1に示す
ように各成分の組成がそれぞれ別個に増減することによ
り上記「変化」が生じる。また、結晶構造もランダムに
変化しており、結晶質と非晶質とがランダムに混在す
る。
【0033】ここで、上記構造を有する繊維を原材料
として用いた場合には上記構造(A)又は(B) を有する表
面層が好ましくは形成され、また、上記構造を有する
繊維を原材料として用いた場合には上記構造(C) 又は
(D) を有する表面層が好ましくは形成される。従って、
本発明において用いられる上記無機繊維としては、上記
構造を有する繊維本体と、該繊維本体の表面に形成さ
れた上記構造(A) 又は(B) を有する表面層とからなるも
の、及び上記構造を有する繊維本体と、該繊維本体の
表面に形成された上記構造(C) 又は(D) を有する表面層
とからなるものが好ましく用いられ、使用に際しては両
者をそれぞれ単独で又は混合して用いることができる。
また、上記表面層の厚さは、10nm以上であるのが好
ましく、10〜5000nmであるのが更に好ましい。
【0034】また、上記無機繊維の繊維径は、0.1〜
1000μmであるのが好ましい。
【0035】上記無機繊維は、下記の方法(イ)〜
(ニ)により上記繊維を表面処理する等して容易に得る
ことができる。 方法(イ);公知の化学気相析出法(化学蒸着法、以下
「CVD法」という)により、上記繊維の表面に、上述
の構造の表面層(被覆膜)が形成されるように連続的あ
るいは段階的に組成を変えながら被覆を行う方法。この
際に使用する原料としては、Si(Cm 2m+1)n Cl
4-n (n= 0〜4、m= 1〜6)、SiHn Cl
4-n (n= 0〜4)、Si(Cm 2m+1)n 4-n (n=
0〜4、m= 1〜6)、TiCl4 、ZrCl4 、Cn
n+2 、C6 6 、H2 、NO2 、H2 O、CO2 、O
2 等が好ましく用いることができる。
【0036】方法(ロ);公知の物理蒸着法(以下、
「PVD法」という)により、上記繊維の表面に、上述
の構造の表面層(被覆膜)が形成されるように連続的あ
るいは段階的に組成を変えながら被覆を行う方法。この
際に使用するターゲットは、上述の表面層と同じ組成に
調製した非晶質あるいは結晶質あるいはそれらの混合物
が好ましい。また、このターゲットは、無機粉末を混合
した後に焼結されたもの、有機金属化合物を無機化した
もの、及び無機粉末と有機金属化合物の混合物を無機化
したもののいずれかでもよく、更にはこのターゲット自
身を上記CVD法あるいはPVD法により調製してもよ
い。
【0037】方法(ハ);上記繊維を、CO、CO2
Si(Cm 2m+1)n Cl4-n(n= 0〜4、m= 1〜
6)、Si( Cm 2m+1)n 4-n (n= 0〜4、m= 1
〜6)、H2 、Cn n+2 、C6 6 、SiO、Ar、
He及びN2 等からなる群より選択される少なくとも1
種類以上のガスあるいは蒸気の雰囲気中で、1000℃
〜1800℃で熱処理して上記繊維の表面構造を変化さ
せることによって表面に上記表面層を形成する方法。
【0038】方法(ニ);上記繊維を、予め、酸素ある
いは酸素を含有する化合物の存在する雰囲気中、600
℃〜1500℃で熱処理して繊維の表面付近に酸素を導
入した後に、CO、CO2 、Si (Cm 2m+1)n Cl
4-n (n= 0〜4、m= 1〜6)、Si(Cm 2m+1)n
4-n (n= 0〜4、m= 1〜6)、H2 、Cnn+2
6 6 、SiO、Ar、He及びN2 等からなる群よ
り選択される少なくとも1種類以上のガスあるいは蒸気
の雰囲気中で、1000℃〜1800℃で熱処理して繊
維の表面部分の構造を変化させることによって上記表面
層を形成する方法。
【0039】また、上記方法(イ)〜(ニ)は、上記繊
維を製造する際に、該繊維の製造と連続して行ってもよ
い。また、上記無機繊維は、上記方法(イ)〜(ニ)を
適宜行う等して得られるものであるが、特に、上記方法
(イ)及び(ロ)は、上記構造 (A)〜 (D)を有する表面
層において、各成分の組成が段階的に変化するものを得
る場合に好適であり、上記方法(ハ)及び(ニ)は、上
記構造 (A)〜 (D)を有する表面層において、各成分の組
成が連続的に変化するものを得る場合に好適である。
【0040】また、本発明においては、上記無機繊維
は、種々の公知の形態で用いることができる。具体的に
は、連続繊維あるいは連続繊維を切断した短繊維であっ
てもよく、連続繊維から製織された平織、朱子織、多軸
織、三次元織あるいは連続繊維を一方向に引き揃えたシ
ート状物であってもよく、さらにはこれらの2種類以上
が混合した形態であってもよい。
【0041】また、本発明において用いられる上記セラ
ミックスとしては、結晶質又は非晶質である酸化物、炭
化物、窒化物、ホウ化物及びケイ化物からなる群より選
択される一種以上のセラミックス、並びにこれらの粒子
分散強化したセラミックス材料を例示することができ
る。
【0042】上記酸化物の具体例としては、アルミニウ
ム、マグネシウム、ケイ素、イットリウム、カルシウ
ム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、鉄、銅、バリウ
ム、亜鉛、ストロンチウム、ベリリウム、インジウム、
ウラン、タンタル、ネオジウム、スカンジウム、ルテニ
ウム、ロジウム、錫、ニッケル、コバルト、モリブデ
ン、マンガン、ゲルマニウム、鉛、ハフニウム等の元素
の酸化物及びこれらの複合酸化物が挙げられる。また、
上記酸化物の非晶質以外に、非晶質の酸化物としてケイ
酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラスが挙げら
れる。更に、結晶質と非晶質の混合した酸化物セラミッ
クスとしては上記の例示した酸化物の混合物以外に結晶
化ガラス(ガラスセラミックス)を挙げることができ
る。結晶化ガラスの具体例としては、主結晶相がβ−Sp
odumene であるLiO2 −Al2 3 −MgO−SiO
2 系結晶化ガラス及びLiO2 −Al2 3 −MgO−
SiO2 −Nb2 5 系結晶化ガラス、主結晶相がCord
ieriteであるMgO−Al2 3 −SiO2 系結晶化ガ
ラス、主結晶相がMullite あるいはCelsian であるBa
O−Al2 3 −SiO2 系結晶化ガラス、主結晶相が
Anorthite であるCaO−Al2 3 −SiO2 系結晶
化ガラス等が挙げられる。
【0043】上記炭化物の具体例としては、ケイ素、チ
タン、ジルコニウム、アルミニウム、ウラン、タングス
テン、タンタル、ハフニウム、ホウ素、鉄、マンガン、
モリブデン等の元素の炭化物及びこれらの複合炭化物が
挙げられる。上記窒化物の具体例としては、ケイ素、チ
タン、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、ハ
フニウム、ホウ素、モリブデン等の元素の窒化物及びこ
れらの複合窒化物、サイアロンが挙げられる。上記ホウ
化物の具体例としては、チタン、イットリウム、ランタ
ン等の元素のホウ化物、CeCo3 2 、CeCo4
4 、ErRh4 4 等のホウ化白金族ランタノイドが挙
げられる。上記ケイ化物の具体例としては、モリブデ
ン、ニッケル、ニオブ等の元素のケイ化物が挙げられ
る。
【0044】更に、上記セラミックスとしては、上記の
具体的に例示した各種セラミックスの固溶体を用いるこ
ともできる。
【0045】また、上記セラミックス材料の具体例とし
ては、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸
化マグネシウム、酸化アルミニウム、チタン酸カリウ
ム、ホウ酸マグネシウム、酸化亜鉛、ホウ化チタン及び
ムライトから選択される1種類以上の無機物の球状粒
子、多面体粒子、板状粒子及び/又は棒状粒子を、上記
酸化物等のセラミックスに、0.1〜60vol%均一
分散したセラミックス材料が挙げられる。球状粒子及び
多面体粒子の粒径は、0.1μm〜1mm、板状粒子及
び棒状粒子のアスペクト比は1.5〜1000であるの
が好ましい。
【0046】そして、本発明のセラミックス複合材料
は、上記無機繊維からなる繊維部分、上記セラミックス
からなり、該繊維部分の周囲に位置するマトリックス部
分、及び上記無機繊維と上記セラミックスとが反応し
て、上記繊維部分と上記マトリックス部分との間に形成
された自己修復性を有する界面層を具備する。
【0047】上記繊維部分は、上記無機繊維(上記表面
層の形成されていない部分)により形成されてなる部分
である。そして、この繊維部分の形状は、上記無機繊維
を配した形状に対応する。上記無機繊維を平織状のシー
トとして用い、該シートを所定の間隔をあけて、複数層
配した場合、複数の平織状の繊維部分が形成される。ま
た、上記繊維部分の存在量は、セラミックス複合材料全
体に対して5〜85vol%とするのが好ましい。
【0048】上記マトリックス部分は、上記繊維部分の
周囲、即ち上記繊維部分が平織状であり複数配されてい
る場合には、各繊維部分の周囲及び各無機繊維間の間隔
に位置し、セラミックス複合材料の外形を形成する部分
である。また、上記マトリックス部分の存在量は、セラ
ミックス複合材料全体に対して14.5〜94.5vo
l%とするのが好ましい。
【0049】本発明のセラミックス複合材料が具備する
上記界面層は、自己修復性を持つものである。ここで、
上記「自己修復性」とは、本発明のセラミックス複合材
料を使用している際において、例えば酸化反応により界
面層の少なくとも一部が酸化され、界面層の内部に酸化
物が形成された場合においては、該酸化物と界面層とが
反応して、界面層が復元され、また界面層の周囲に酸化
物が形成された場合においては、該酸化物と上記無機繊
維又は上記セラミックスとが反応して、該界面層と同じ
組成および構造を持つ新規な界面層が形成される機能を
意味する。
【0050】上記界面層としては、下記界面層(1) 及び
(2) 等が挙げられる。 界面層(1) ;厚さ3nm以上、好ましくは3〜6000
nmであり、(g)実質的にSiと、Ti及び/又はZ
rと、CとOとからなる非晶質、(h)上記非晶質並び
に1000nm以下のβ−SiCと、TiC及び/又は
ZrCと、Cとの結晶質の集合体、若しくは(i)上記
結晶質:並びにその近傍に存在するSiOxと、TiO
x及び/又はZrOx(0<x≦2)とからなる非晶質
の混合系であり、その平均組成が、Siが0.5〜50
wt%、Ti及び/又はZrが0.05〜20wt%、
Cが30〜99.0wt%、Oが0.001〜40wt
%である界面層。
【0051】界面層(2) ;厚さ3nm以上、好ましくは
3〜6000nmであり、(j)実質的にSiと、C
と、Oからなる非晶質、(k)上記非晶質並びに100
0nm以下のβ−SiCの結晶質、(l)上記非晶質及
び上記結晶質、若しくは(m)上記非晶質及び/又は上
記結晶質と、炭素の凝集体との混合系であり、その平均
組成が、Siが0.1〜75wt%、Cが25〜99.
5wt%、Oが0.001〜30wt%である界面層。
【0052】ここで、上記(i)における「その近傍」
とは、好ましくは結晶質粒子からの距離が100nm以
下の領域である。
【0053】また、上記「自己修複性」のシステムは、
定かではないが、下記の反応(1)〜(3)を起こして
いることが考えられる。 (1)上記界面層の一部が酸化され、余剰炭素が消費さ
れ界面層にSiO2 が形成される。 (2)酸化により生成したSiO2 と、酸化されずに残
った界面層の一部又は無機繊維の表面付近に存在する、
実質的にSiと、Ti及び/又はZrと、Cと、Oとか
らなる非晶質あるいはβ−SiCの結晶質との間に、S
iC+O2 →SiO2 +Cの反応によって余剰炭素が生
成する。 (3)上記(2)の反応で生成した余剰炭素と、酸化に
より生成したSiO2及び/又は酸化せずに残った界面
層の一部及び/又は無機繊維の表面付近の構造の一部と
が混在し且つ相互反応する。
【0054】上記(2)の反応以外に、SiC+O2
SiO+COあるいは2/3SiC+O2 →2/3Si
2 +2/3COの反応が考えられるが、COガスの分
圧の高い雰囲気下では上記(2)の反応が起こりやすい
〔“J. Mat. Sci., Vol.22,p.3148 (1987).”〕。仮
に、上記SiC+O2 →SiO+COあるいは2/3S
iC+O2 →2/3SiO2 +2/3COの反応が起き
たとしても、何れの反応もCOガスが発生する。セラミ
ックス複合材料の内部という非常に限られた狭い領域で
は、発生したCOガスは外部に拡散しにくく、COガス
の分圧の高い状態となるため、結果的に上記(2)の反
応が起こりやすくなる。
【0055】上記界面層の存在量は、セラミックス複合
材料全体に対して、0.05〜20vol%とするのが
好ましい。
【0056】本発明のセラミックス複合材料は、上記の
表面処理された無機繊維と上記セラミックスを用いて、
下記方法(ホ)〜(チ)により容易に製造することがで
きる。 方法(ホ);上記無機繊維とセラミックスの原料粉末と
を配合して加熱処理あるいは高温加圧処理する方法。 方法(ヘ);上記無機繊維の表面にマトリックスとなる
セラミックスをPVD法あるいはCVD法により付着さ
せた後にそれらの集合体を加熱処理あるいは高温加圧処
理する方法。 方法(ト);上記無機繊維の織物、シート、不織布ある
いは短く切断した物等の集合体の内部に化学気相含浸法
(化学気相浸透法、化学気相浸漬法、CVI法)により
マトリックスとなるセラミックスを析出させる方法。 方法(チ);上記無機繊維の織物、シート、不織布ある
いは短く切断した物等の集合体にマトリックスとなるセ
ラミックスの前駆重合体、即ち、ポリカルボシラン、ポ
リジルコノカルボシラン、ポリチタノカルボシラン、ペ
ルヒドロポリシラザン、ポリシラスチレン、ポリカルボ
シラザン、ポリシラザン、ポリボラジン等を含浸させた
後、真空中、又はArガス、N2 ガス、NH3 ガス若し
くはSi(Cm 2m+1)n 4-n (n= 0〜4、m= 1〜
6)ガス等の各種の雰囲気中で加熱処理する方法。
【0057】上記方法(ホ)〜(チ)について更に詳述
する。上記の方法(ホ)においては、無機繊維が短繊維
であるときは、短繊維状の無機繊維とセラミックスの原
料粉末とを混合した混合物とし、無機繊維が長繊維、織
物、不織布、又はシート状物であるときは、これらの繊
維層とセラミックスの原料粉末層とを交互に積層した積
層物、あるいは繊維表面にセラミックスの原料粉末が付
着した長繊維の繊維束を織物、不織布、又はシート状に
加工した物の積層物とし、所望の形状に成形した後に、
あるいは成形と同時に加熱処理してセラミックスの原料
粉末を焼結することによって、セラミックス複合材料を
得ることができる。
【0058】上記の方法(ヘ)においては、無機繊維の
表面に公知のCVD法あるいはPVD法によりマトリッ
クスとなるセラミックスを付着させる。
【0059】CVD法を利用する場合、マトリックスの
セラミックスが炭化物の場合は、セラミックスを構成す
る金属のハロゲン化物、水素化物、有機金属化合物の少
なくとも1種類以上のガスあるいは蒸気と、Cn 2n+2
(n=1以上)ガス及び/又はH2 ガスとの混合物を、
マトリックスのセラミックスが窒化物の場合は、上記ガ
スあるいは蒸気と、NH3 ガス及び/又はN2 ガス及び
/又はH2 ガスとの混合物を、マトリックスのセラミッ
クスが酸化物の場合は、NO2 ガス及び/又はO2 ガス
及び/又はH2 O蒸気との混合物を、マトリックスのセ
ラミックスがホウ化物の場合は:上記ガスあるいは蒸気
と、ハロゲン化ホウ素及び/又はH2 ガスとの混合物
を、マトリックスのセラミックスがケイ化物の場合は:
上記ガスあるいは蒸気と、Si(Cm 2m+1)n
4-n (n= 0〜4、m= 1〜6)及び/又はSi(Cm
2m+1)n Cl4-n (n= 0〜4、m= 1〜6)及び/又
はSiHnCl4-n (n= 0〜4)及び/又はH2 ガス
との混合物等のそれ自体公知のCVD法の原料ガスを使
用することができる。
【0060】PVD法を利用する場合は、目的とするセ
ラミックスの組成と同じかあるいはそれに非常に近い組
成となるように調整した化合物あるいは混合物をターゲ
ットとして使用するか、あるいは化合物あるいは混合物
の複数のターゲットをそれぞれ交互に使用する等して目
的とするセラミックスと同組成となるようにPVD処理
した後に、必要ならば熱処理を行って、無機繊維の表面
にセラミックスを付着させることができる。
【0061】上記の方法(ト)においては、無機繊維が
短繊維であるときは、短繊維状の無機繊維の集合体、無
機繊維が長繊維、織物、不織布、又はシート状物である
ときは、これらの繊維層の積層物に、マトリックスのセ
ラミックスが炭化物の場合は、目的とするセラミックス
を構成する金属のハロゲン化物、水素化物、有機金属化
合物の少なくとも1種類以上のガスあるいは蒸気と、C
n 2n+2(n=1以上)ガス及び/又はH2 ガスとの混
合物を、マトリックスのセラミックスが窒化物の場合は
NH3 ガス及び/又はN2 ガス及び/又はH2 ガスとの
混合物を、マトリックスのセラミックスが酸化物の場合
は:上記ガスあるいは蒸気と、NO2 ガス及び/又はO
2 ガス及び/又はH2 O蒸気との混合物を、マトリック
スのセラミックスがホウ化物の場合は:上記ガスあるい
は蒸気と、ハロゲン化ホウ素及び/又はH2 ガスとの混
合物を、マトリックスのセラミックスがケイ化物の場合
はSi(Cm 2m+1)n 4-n (n= 0〜4、m= 1〜
6)及び/又はSi(Cm 2m+1)n Cl4-n (n= 0〜
4、m= 1〜6)及び/又はSiHn Cl4-n (n=0
〜4)及び/又はH2 ガスとの混合物等のそれ自体公知
のCVDの原料ガス使用し、それ自体公知のCVI法に
よっても本発明の無機セラミックス複合材料を成形する
ことができる。このCVI法の場合、必要ならば上記の
短繊維状の無機繊維の集合体あるいは上記の繊維層の積
層物に温度勾配及び/又は原料ガスの圧力勾配を設けて
もよいし、原料ガスの供給と反応生成ガスの排気を交互
に繰り返すことによってCVI処理を行ってもよい。
【0062】上記の方法(チ)においては、セラミック
スの前駆重合体をトルエン、キシレン、テトラヒドロフ
ラン等の使用する前駆重合体に対して良溶媒となる有機
溶媒に溶解した溶液を上記の無機繊維、あるいは上記の
短繊維状の無機繊維の集合体、あるいは上記の繊維層の
積層物に含浸し、含浸物から溶媒を除去した後に加熱処
理することによって、複合材料が調製される。この方法
においては、内部の空孔のない複合材料を得るために、
前駆重合体の含浸、溶媒の除去、及び加熱処理の一連の
作業を複数回繰り返すことが好ましい。また、この方法
においては、前駆重合体の無機化と焼結とが同時に進行
する。
【0063】上記の各方法(ホ)〜(チ)における加熱
処理温度は通常800〜2000℃である。また、加熱
処理は、N2 ガス中、Ar中、真空中のような不活性雰
囲気中、あるいはH2 ガス中、COガス中のような還元
性雰囲気中で行われる。
【0064】本発明のセラミックス複合材料は、航空・
宇宙分野における各種成形物等の材料として有用であ
る。
【0065】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を更に
具体的に説明するが本発明はこれらに限定されるもので
はない。尚、以下、「部」及び「%」は、特別の断りの
ないかぎり、それぞれ「重量部」および「重量%」を示
す。
【0066】参考例1 5リットルの三口フラスコに無水キシレン2.5リット
ルとナトリウム400gとを投入し、N2 ガス気流下で
キシレンの沸点まで加熱した後、ジメチルジクロロシラ
ン1リットルを1時間かけて滴下した。滴下終了後、1
0時間加熱環流して沈殿物を生成させた。この沈殿物を
濾過し、該沈殿物をまずメタノールで洗浄した後、水で
洗浄して、白色粉末のポリジメチルシラン410gを得
た。得られたポリジメチルシラン250gを内容積が1
リットルの誘導回転式オートクレーブに投入し、真空ポ
ンプで脱気後1気圧のArガスを封入した。次いで、攪
拌しながら、容器内の温度が470℃になるように加熱
し、470℃で15時間保持し、反応させた。反応終了
後における、容器内の圧力は、約105kg/cm2
あった。その後、室温まで冷却し反応生成物をn−ヘキ
サン溶液として取り出し、濾過後、減圧蒸留によって2
80℃/1mmHgまでの沸点を有する低分子量生成物
を除去し、140gの淡褐色で固体状の数平均分子量1
850のポリカルボシランを得た。
【0067】参考例2 ジフェニルジクロロシラン750g及びホウ酸124g
をN2 ガス気流下にn−ブチルエーテル中、100〜1
20℃で加熱し、生成した白色樹脂状物をさらに真空中
400℃で1時間加熱処理することによってポリボロジ
フェニルシロキサン515gを得た。このポリボロジフ
ェニルシロキサン8.2gと参考例1の中で得られたポ
リジメチルシラン250gとを混合し、環流管を備えた
石英管中、N2 ガス気流下で350℃に加熱し、350
℃で攪拌しながら6時間保持し、シロキサン結合を一部
含むポリカルボシラン138gを得た。このポリカルボ
シラン40gとチタンテトラブトキシド7.3gとをキ
シレン0.3リットルに溶解したのうち、N2ガス中1
20℃で30分間、攪拌しながら還流した。その後、キ
シレンを蒸発させ、さらにN2 ガス中300℃で1時間
加熱して、室温で固体状のポリチタノカルボシランを得
た。
【0068】参考例3 参考例2で得られたポリチタノカルボシランをN2 ガス
気流下に210℃で溶融紡糸して無機材料からなる繊維
を得た。次いで、得られた繊維を、無張力で空気中、室
温から15℃/時間の昇温速度で190℃まで昇温し、
190℃で4時間保持して不融化繊維を得た。得られた
不融化繊維をN2 ガス気流下で無張力で100℃/時間
の昇温速度で1000℃まで昇温し、1000℃で一時
間保持した後、空気中、1000℃で15分間保持し、
さらにCOガス気流下で100℃/時間の昇温速度で1
330℃まで昇温し、1330℃で3時間保持して焼成
することにより、表面処理〔上記方法(ニ)〕を行っ
た。この焼成によって、繊維径約11μmで繊維本体の
表面に表面層が形成された無機繊維が得られた。この表
面処理された無機繊維全体の構成元素の割合は、ケイ素
が52%、炭素が33%、チタンが4%、酸素が11%
であった。
【0069】得られた無機繊維について、その表面付近
(表面層を含む表面付近)をオージェー電子分光分析し
た。その結果を図1に示す。尚、図1においては、表面
層から無機繊維の表面にかけての、厚さ方向の構成元素
の濃度分布がモル%で示されている。図1に示す結果か
ら明らかなように、この無機繊維は、繊維本体の表面に
厚さ約70nmの表面層が形成されており、該表面層
は、ケイ素が48%→56%→55%に、炭素が12%
→9%→22%に、酸素が36%→26%→16%に連
続的に変化し、チタンを4〜9%含有する最外層(厚さ
約10nm)を有し、最表面からの深さが10nm〜7
0nmの範囲に、ケイ素が55%→33%→52%に、
炭素が22%→53%→33%に、酸素が16%→12
%→11%に連続的に変化し、チタンを2〜7%含有す
る構造を第2層(厚さ約10〜60nm)として有する
ものであった。尚、繊維本体の構造は、X線回折的には
β−SiCの平均結晶子サイズが2nm以下であり、電
子線回折的には非晶質であったことから、実質的にケイ
素と、チタンと、炭素と酸素とからなる非晶質であり、
且つ各元素組成は、ケイ素が約52%、チタンが約4
%、炭素が約33%、酸素が約11%で、繊維の中心ま
で各元素組成はほぼ一定となっており、該繊維本体の構
造と上記表面層の構造とは明確に相違していた。
【0070】参考例4 参考例2で得られたポリチタノカルボシランをN2 ガス
気流下に210℃で溶融紡糸して無機材料からなる繊維
を得た。次いで、得られた繊維をHeガス気流下で、室
温から120℃の温度範囲で電子線を15MGyまで照
射した後、Arガス気流下で200℃/時間の昇温速度
で425℃まで昇温し、425℃で2.5時間保持して
不融化繊維を得た。得られた不融化繊維をN2 ガス気流
下において無張力で300℃/時間の昇温速度で100
0℃まで昇温して加熱処理し、1000℃で30分保持
した後、COガス気流下において無張力で100℃/時
間の昇温速度で1400℃まで昇温し、更に1400℃
で1時間保持して焼成することにより表面処理〔上記方
法(ハ)〕を行った。これにより、繊維径約10μmで
繊維本体の表面に表面層が形成された無機繊維が得られ
た。得られた表面処理された無機繊維の構成元素の割合
は、ケイ素が52%、炭素が38%、チタンが3%、酸
素が7%であった。
【0071】得られた無機繊維について、その表面付近
(表面層を含む表面付近)をオージェー電子分光分析し
た。その結果を図2に示す。尚、図2においては、表面
層から無機繊維の表面にかけての、厚さ方向の構成元素
の濃度分布がモル%で示されている。図2に示す結果か
ら明らかなように、この表面処理された無機繊維は、繊
維本体の表面に厚さ約120nmで、ケイ素が4%→5
2%に、炭素が89%→38%に、酸素が4%→7%に
連続的に変化し、チタンを約3%含有する表面層を有す
るものであった。尚、上記繊維本体の構造は、X線回折
的にはβ−SiCの平均結晶子サイズが5nm以下であ
り、透過型電子顕微鏡による観察では5〜10nmのβ
−SiC結晶及び5〜20nmのTiC結晶が確認され
たことから、実質的にケイ素と、チタンと、炭素と酸素
とからなる非晶質、並びに大きさ5〜10nmのβ−S
iCの結晶及び大きさ5〜50nmのTiCの結晶の混
合系であり、且つ各元素の平均組成はケイ素が約52
%、チタンが約3%、炭素が約38%、酸素が約7%
で、繊維の深さ方向の各元素の平均組成は中心までほぼ
一定となっており、該繊維本体の構造と上記表面層の構
造とは明確に相違していた。
【0072】実施例1 参考例1で得られたポリカルボシラン100部及びヘキ
サン100部の混合溶液に、参考例3で得られた無機繊
維により作製した三次元織物[繊維密度X軸方向:Y軸
方向:Z軸方向(重量比)=1:1:0. 1]を浸漬
し、500Torrの減圧下で脱気した後に、4気圧の
アルゴンガス雰囲気中で上記の三次元織物に上記の混合
溶液を含浸させた。含浸後の三次元織物をアルゴンガス
気流下に80℃に加熱してヘキサンを蒸発除去した。次
に、ヘキサンを除去した含浸物を電気炉にて、窒素ガス
気流下で50℃/時間の昇温速度で1350℃まで昇温
し、1350℃で1時間保持した後、1000℃まで1
00℃/時間の降温速度で降温し、その後室温まで放冷
して、含浸物の焼成を行った。この含浸と焼成を10回
繰り返すことにより本発明のセラミックス複合材料を得
た。得られたセラミックス複合材料における繊維部分と
マトリックス部分との界面付近、即ち、界面層及びその
周辺の透過型電子顕微鏡写真を図3に示す。
【0073】図3において、矢印Aで挟まれた領域が界
面層である。そして、エネルギー分散型X線分光分析装
置による分析結果及び電子線回折結果から、写真中の1
はβ−SiCの結晶粒子、2はTiCの結晶粒子、3及
び4はSiと、Tiと、Cと、Oからなる非晶質、5は
炭素の結晶粒子であることが明らかになった。図3に示
す結果から明らかなように、得られた複合材料中の繊維
部分とマトリックス部分との間には厚さ約50nmの界
面層が形成されており、エネルギー分散型X線分光分析
装置による分析結果及び電子線回折結果から、この界面
層はSiと、Tiと、Cと、Oからなる非晶質、30n
m以下の大きさのβ−SiC結晶粒子およびTiC結晶
粒子及び炭素の結晶粒子から構成されていることが判っ
た。
【0074】得られた複合材料の曲げ強度は550MP
aであり、空気中1250℃で110時間熱処理後の曲
げ強度は500MPaであった。また、熱処理後の複合
材料の繊維とマトリックスの界面付近をエネルギー分散
型X線分光分析装置付の透過型電子顕微鏡により観察し
た結果、当初に形成されていた界面層は酸化され、繊維
とマトリックスの間に厚さ50〜70nmのケイ素酸化
物の酸化層が形成されていたが、その酸化層と繊維との
間に10〜20nmのSiと、Tiと、Cと、Oからな
る非晶質、10nm以下の大きさのTiC結晶粒子及び
炭素の結晶粒子から構成される新規な界面層が形成され
ていることが判った。
【0075】実施例2 参考例4で得られた無機繊維により作製した平織物[繊
維密度X軸方向:Y軸方向(重量比)=1:1]を、8
層積層した後に0.5cm間隔でステッチングした繊維
積層物を、参考例2で得られたポリチタノカルボシラン
100部及びキシレン100部の混合溶液に浸漬し、4
00Torrの減圧下で脱気した後に5気圧のArガス
雰囲気中で上記繊維積層物に、実施例1で用いたものと
同じ混合溶液を、実施例1と同様にして含浸させた。次
いで、含浸後の積層物(以下、「含浸物」という)をA
rガス気流下に150℃に加熱してキシレンを蒸発除去
した。
【0076】次に、キシレンを除去した含浸物を電気炉
にて、N2 ガス気流下で30℃/時間の昇温速度で13
50℃まで昇温し、1350℃で1時間保持した後、1
000℃まで100℃/時間の降温速度で降温し、その
後室温まで放冷して、含浸物の焼成を行った。この含浸
と焼成を10回繰り返すことにより本発明のセラミック
ス複合材料を得た。得られたセラミックス複合材料にお
ける繊維部分とマトリックス部分との界面付近、即ち、
界面層及びその周辺をエネルギー分散型X線分光分析装
置付の透過型電子顕微鏡により観察した。その時の透過
型電子顕微鏡写真を図4に示す。
【0077】図4において、矢印Aで挟まれた領域が界
面層である。エネルギー分散型X線分光分析装置による
分析結果及び電子線回折結果、写真中の1はβ−SiC
の結晶粒子、2はTiCの結晶粒子、3及び4はSi
と、Tiと、Cと、Oからなる非晶質、5は炭素の結晶
粒子であることが判った。図4に示す結果から明らかな
ように、得られた複合材料中の繊維部分とマトリックス
部分との間には厚さ20〜60nmの界面層が形成され
ており、エネルギー分散型X線分光分析装置による分析
結果及び電子線回折結果から、この界面層はSiと、T
iと、Cと、Oからなる非晶質、20nm以下の大きさ
のβ−SiC結晶粒子およびTiC結晶粒子及び炭素の
結晶粒子から構成されていることが判った。
【0078】得られた複合材料の曲げ強度は680MP
aであり、空気中1250℃で100時間熱処理後の曲
げ強度は675MPaであった。更に、熱処理後のセラ
ミックス複合材料中の界面層周辺の透過型電子顕微鏡写
真を図5に示す。
【0079】図5において、矢印Aで挟まれた領域が酸
化層であり、矢印Bで挟まれた領域が新規に形成された
界面層である。エネルギー分散型X線分光分析装置によ
る分析結果及び電子線回折結果、図5中、1は無機繊
維、2はβ−SiCの結晶粒子、3及び4はSiとOか
らなる非晶質、5はマトリックス、6はTiCの結晶粒
子、7はSiと、Tiと、Cと、Oからなる非晶質、8
は炭素の凝集体であった。また図6中、1はβ−SiC
の結晶粒子、2はTiCの結晶粒子、3及び4はSi
と、Tiと、Cと、Oからなる非晶質、5は炭素の凝集
体であった。図5、図6及びエネルギー分散型X線分光
分析装置による分析結果から、当初に形成されていた界
面層は酸化され、繊維部分とマトリックス部分の間に厚
さ45〜70nmのケイ素酸化物の酸化層が形成されて
いたが、その酸化層と繊維との間に30nmのSiと、
Tiと、Cと、Oからなる非晶質、30〜50nmのT
iC結晶粒子及び10nm以下のβ−SiC結晶粒子及
び炭素の結晶粒子から構成される新規な界面層が形成さ
れていることが判った。
【0080】比較例1 市販の「チラノ繊維TM−S1」〔商品名、宇部興産
(株)製〕に、エタンガスを原料としてCVD法により
厚さ約200nmの炭素を被覆して無機繊維を調製し
た。この無機繊維から、実施例2と同様にして作製し
た、平織物[繊維密度X軸方向:Y軸方向(重量比)=
1:1]を8層積層した後に0.5cm間隔でステッチ
ングした積層物を、参考例2で得られたポリチタノカル
ボシラン100部及びキシレン100部の混合溶液に浸
漬し、400Torrの減圧下で脱気した後に5気圧の
Arガス雰囲気中で上記の積層物に上記の混合溶液を含
浸させた。含浸後の積層物(以下、「含浸物」という)
をArガス気流下に150℃に加熱してキシレンを蒸発
除去した。
【0081】次に、キシレンを除去した含浸物を電気炉
にて、N2 ガス気流下で30℃/時間の昇温速度で13
50℃まで昇温し、1350℃で1時間保持した後、1
000℃まで100℃/時間の降温速度で降温し、その
後室温まで放冷して、含浸物の焼成を行った。この含浸
と焼成を10回繰り返すことによりセラミックス複合材
料を得た。得られたセラミックス複合材料の繊維部分と
マトリックス部分との界面付近をエネルギー分散型X線
分光分析装置付の透過型電子顕微鏡により観察した結
果、得られた複合材料中の繊維とマトリックスの間には
厚さ約200nmの界面層が形成されており、この界面
層は炭素から構成されていた。得られた複合材料の曲げ
強度は500MPaであり、空気中1250℃で100
時間熱処理後の曲げ強度は25MPaであった。
【0082】得られたセラミックス複合材料について、
上記熱処理後の界面層の状態をエネルギー分散型X線分
光分析装置付の透過型電子顕微鏡により観察した結果、
当初に形成されていた炭素から成る界面層は消失し、繊
維とマトリックスの間に厚さ約80nmのケイ素酸化物
の酸化層が形成されていた。また、この酸化層の内部、
あるいはこの酸化層と繊維との間、あるいはこの酸化層
とマトリックスとの間には、実施例1及び実施例2で観
察されたような新規な界面層は形成されていなかった。
【0083】
【発明の効果】本発明セラミックス複合材料は、大気中
のように、酸素及び水蒸気が存在する環境下において
も、高温での実使用時に、機械的特性の低下が少ないも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、参考例3で得られた表面処理された無
機繊維の表面(表面層)から深さ方向へのオージェー電
子分光分析結果を示すチャートである。
【図2】図2は、参考例4で得られた表面処理された無
機繊維の表面(表面層)から深さ方向へのオージェー電
子分光分析結果を示すチャートである。
【図3】図3は、実施例1で得られたセラミックス複合
材料の界面層周辺の透過型電子顕微鏡写真(図面に代え
て提出する写真であって、セラミック材料の組織を示す
写真)である。
【図4】図4は、実施例2で得られたセラミックス複合
材料の透過型電子顕微鏡写真(図面に代えて提出する写
真であって、セラミック材料の組織を示す写真)であ
る。
【図5】図5は、実施例2で得られたセラミックス複合
材料を熱処理した後の界面層周辺の透過型電子顕微鏡写
真(図面に代えて提出する写真であって、セラミック材
料の組織を示す写真)である。
【図6】図6は、実施例2で得られたセラミックス複合
材料を熱処理した後の界面層周辺の透過型電子顕微鏡写
真(図面に代えて提出する写真であって、セラミック材
料の組織を示す写真)であって、図5より倍率の高い写
真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−70289(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/00 - 35/84 C04B 41/80 - 41/91

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維本体と、該繊維本体の表面に位置
    し、該繊維本体とは構造が異なる表面層とを有する複数
    の無機繊維、及びセラミックスにより形成されており、 上記無機繊維からなる繊維部分、上記セラミックスから
    なり、該繊維部分の周囲に位置するマトリックス部分、
    及び上記表面層と上記セラミックスとが反応して上記繊
    維部分と上記マトリックス部分との間に形成された、自
    己修復性を有する界面層を具備し、該界面層の自己修復
    性は、該界面層の酸化又は該界面層の周囲の酸化によっ
    て形成された酸化物と、該界面層との反応又は上記無機
    繊維若しくは上記セラミックスとの反応によって生じる
    ものであり、 上記界面層は、その厚さが3nm以上であり、 (g)実質的にSiと、Ti及び/又はZrと、CとO
    とからなる非晶質、 (h)上記非晶質並びに1000nm以下のβ−SiC
    と、TiC及び/又はZrCと、Cとの結晶質の集合
    体、若しくは (i)上記結晶質:並びにその近傍に存在するSiOx
    と、TiOx及び/又はZrOx(0<x≦2)とから
    なる非晶質の混合系であり、且つ その平均の元素組成
    は、Siが0.5〜50wt%、Ti及び/又はZrが
    0.05〜20wt%、Cが30〜99.0wt%、O
    が0.001〜40wt%であるか、又は (j)実質的にSiと、Cと、Oとからなる非晶質、 (k)上記非晶質並びに1000nm以下のβ−SiC
    の結晶質、 (l)上記非晶質及び上記結晶質、若しくは (m)上記非晶質及び/又は上記結晶質と、炭素の凝集
    体との混合系であり、且つ その平均組成は、Siが0.
    1〜75wt%、Cが25〜99.5wt%、Oが0.
    001〜30wt%であ ることを特徴とするセラミック
    ス複合材料。
  2. 【請求項2】 上記繊維本体の構造は、下記構造であ
    り、上記表面層の構造は、下記構造(A) 又は(B) である
    ことを特徴とする請求項1記載のセラミックス複合材
    料。構造; (a)実質的にSiと、Ti及び/又はZrと、CとO
    とからなる非晶質、 (b)上記非晶質並びに1000nm以下のβ−SiC
    と、TiC及び/又はZrCとの結晶質の集合体、若し
    くは (c)上記結晶質並びにその近傍に存在するSiOx
    と、TiOx及び/又はZrOx(0<x≦2)とから
    なる非晶質の混合系であり、且つその平均の元素組成
    は、Siが30〜80wt%、Ti及び/又はZrが
    0.05〜8wt%、Cが15〜69wt%、Oが0.
    01〜20.0wt%である構造。 構造(A) ; Siが0.5〜20wt%から無機繊維の平均組成値ま
    で連続的あるいは段階的に変化し、Cが80〜99.5
    wt%から無機繊維の平均組成値まで連続的あるいは段
    階的に変化し、Oが0〜19.5wt%から無機繊維の
    平均組成値まで連続的あるいは段階的に変化すると共
    に、Ti及び/又はZrを0〜10wt%含有する構
    造。 構造(B) ; Siが20〜80wt%から0〜60wt%まで連続的
    あるいは段階的に変化し、Cが0〜50wt%から40
    〜100wt%まで連続的あるいは段階的に変化し、O
    が2〜80wt%から0〜45wt%まで連続的あるい
    は段階的に変化すると共に、Ti及び/又はZrを0〜
    10wt%含有する構造を最外層として有し、且つSi
    が0〜60wt%から無機繊維の平均組成値まで連続的
    あるいは段階的に変化し、Cが40〜100wt%から
    無機繊維の平均組成値まで連続的あるいは段階的に変化
    し、Oが0〜45wt%から無機繊維の平均組成値まで
    連続的あるいは段階的に変化すると共に、Ti及び/又
    はZrを0〜10wt%含有する構造を第2層として有
    する構造。
  3. 【請求項3】 上記繊維本体の構造は、下記構造であ
    り、上記表面層の構造は、下記構造(C) 又は(D) である
    ことを特徴とする請求項1記載のセラミックス複合材
    料。 構造; (d)実質的にSiと、Cと、Oからなる非晶質、 (e)1000nm以下のβ−SiCの結晶質集合体
    と、非晶質SiO2 及び/又は実質的にSiと、Cと、
    Oからなる非晶質との集合体、若しくは (f)上記非晶質及び/又は上記集合体と、炭素の凝集
    体との混合系であり、且つその平均の元素組成は、Si
    が30〜80wt%、Cが10〜65wt%、Oが0.
    01〜25wt%、Hが2wt%以下である構造。 構造(C) ; Siが0.5〜20wt%から無機繊維の平均組成値ま
    で連続的あるいは段階的に変化し、Cが75〜99wt
    %から無機繊維の平均組成値まで連続的あるいは段階的
    に変化し、Oが0〜24.5wt%から無機繊維の平均
    組成値まで連続的あるいは段階的に変化する構造。 構造(D) ; Siが20〜80wt%から0〜55wt%まで連続的
    あるいは段階的に変化し、Cが0〜55wt%から45
    〜100wt%まで連続的あるいは段階的に変化し、O
    が2〜80wt%から0〜24.5wt%まで連続的あ
    るいは段階的に変化する構造を最外層として有し、且つ
    Siが0〜55wt%から無機繊維の平均組成値まで連
    続的あるいは段階的に変化し、Cが45〜100wt%
    から無機繊維の平均組成値まで連続的あるいは段階的に
    変化し、Oが0〜24.5wt%から無機繊維の平均組
    成値まで連続的あるいは段階的に変化する構造を第2層
    として有する構造。
  4. 【請求項4】 上記表面層の厚さが、10nm以上であ
    ることを特徴とする請求項1記載のセラミックス複合材
    料。
  5. 【請求項5】 上記セラミックスが、炭化物、窒化物、
    ホウ化物、ケイ化物及び酸化物からなる群より選択され
    る1種以上であることを特徴とする請求項1記載のセラ
    ミックス複合材料。
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